JP2004345868A - エピタキシャル基板およびiii族窒化物層群の転位低減方法 - Google Patents
エピタキシャル基板およびiii族窒化物層群の転位低減方法 Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】所定の基材上において、少なくともAlを含み、転位密度が1×1011/cm2以下であり、(002)面におけるX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下であるIII族窒化物下地層2、及び少なくとも融点1300℃以上の遷移金属を含む単結晶の中間層3、およびIII族窒化物層群4とを含むエピタキシャル基板10を構成する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】本発明は、エピタキシャル基板、及びIII族窒化物層群の転位低減方法に関し、詳しくは、フォトニックデバイス及び電子デバイスなどの半導体素子、並びにフィールドエミッタなどの素子を構成する基板として好適に用いることのできるエピタキシャル基板、及び前記素子を作製する際のIII族窒化物層群の転位低減方法に関する。
【0002】
【従来の技術】III族窒化物膜は、フォトニックデバイス及び電子デバイスなどの半導体素子を構成する半導体膜として用いられており、近年においては、携帯電話などに用いられる高速ICチップなどを構成する半導体膜としても注目を浴びている。また、特にAlを含むIII族窒化物膜は、紫外領域での受発光素子やフィールドエミッタへの応用材料としても注目されている。
【0003】上記のようなIII族窒化物膜は、通常MOCVD法によって形成される。具体的には、前記III族窒化物膜を形成すべき基板を、所定の反応管内に設けられたサセプタ上に設置させるとともに、このサセプタ内あるいはサセプタ外に設置された加熱機構に埋め込まれたヒータによって1000℃以上にまで加熱する。そして、前記反応管内に所定の原料ガスをキャリアガスとともに導入し、前記基板上に供給する。
【0004】すると、前記基板上で熱化学反応が生じて、前記各原料ガスは構成元素に分解されるとともに、これら構成元素同士が互いに反応し、目的とするIII族窒化物膜が前記基板上に堆積されて製造されるものである。そして、これらのIII族窒化物膜は、半導体素子を構成した場合において設計値どおりの特性を得るべく、転位密度の低いことが要求される。
【0005】ところで、III族窒化物材料の融点は相対的に高いために、前記III族窒化物材料からバルク単結晶基板を作製することは困難であった。したがって、III族窒化物膜は、例えば、サファイア単結晶基板のような異なる材料系のバルク単結晶基板上にヘテロエピタキシャル成長させることにより、作製せざるを得ない。この場合、前記バルク単結晶基板と前記III族窒化物膜との格子定数差に起因して、これら界面に比較的多量のミスフィット転位が生成され、このミスフィット転位に起因して前記III族窒化物膜中に多量の転位が導入されてしまい、その結晶品質が著しく劣化してしまっていた。
【0006】かかる観点より、前記基板と前記III族窒化物膜との間に低温で成膜したバッファ層を挿入したり、ストライプ状のSiO2マスクなどを用いたELO技術などが開発されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述したバッファ層を用いた場合などにおいては、バッファ層自体の低結晶性に基づいた転位が前記III族窒化物膜中に生成されてしまい、前記III族窒化物膜中の転位密度を十分に低減させることができないでいた。また、従来のELO技術は材料選択性が大きく、特にAlを多量に含むIII族窒化物膜をエピタキシャル成長させることは困難であった。
【0008】本発明は、低転位で結晶性に優れたIII族窒化物層群、特にはAlを含有する窒化物層群を形成することのできる、新規なエピタキシャル基板、及び形成すべきIII族窒化物層群の転位低減方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成すべく、本発明は、
所定の基材と、
前記基材上に形成された、転位密度が1×1011/cm2以下であり、(002)面におけるX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下である、少なくとも全III族元素に対して50原子%以上のAlを含むIII族窒化物下地層と、
前記III族窒化物下地層上に形成された、融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層と、
前記融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層上に形成された、少なくともAlを含み、転位密度が1×1010/cm2以下であるIII族窒化物層群を具えることを特徴とするエピタキシャル基板に関する。
【0010】また、本発明は、所定の基材上に、転位密度が1×1011/cm2以下であり、(002)面におけるX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下である、少なくとも全III族元素に対して50原子%以上のAlを含むIII族窒化物下地層、融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層を順次に形成し、さらに前記中間層上に少なくともAlを含むIII族窒化物層群を形成することにより、前記III族窒化物層群中の転位密度を低減させることを特徴とする、III族窒化物層群の転位低減方法に関する。
【0011】本発明者らは、サファイア単結晶などからなる基材上に、低転位密度かつ高結晶性の、Alを含有するIII族窒化物膜を形成すべく、長年研究を行なっている。従来においては、エピタキシャル基板を構成するバッファ層などの下地層は、基材と前記エピタキシャル基板上に形成すべきIII族窒化物膜などのIII族窒化物層群との格子定数差を補完してミスフィット転位の発生を抑制すべく、比較的低温で形成した低結晶品質のIII族窒化物から構成するのが常識であると考えられていた。
【0012】このような低結晶品質の下地層を用いた場合、ミスフィット転位の低減に起因して、前記III族窒化物層群中の転位密度はある程度の割合で低減することができる。しかしながら、前記下地層自身の低結晶品質に起因して、前記III族窒化物層群中の転位密度を十分に低減することができないでいた。
【0013】これに対して、本発明者らは、前記下地層をAlを比較的多量に含むIII族窒化物から構成した場合は、前記下地層の転位密度を低減させて結晶品質を向上させた場合においても、前記基材と前記III族窒化物層群との格子定数差が補完され、III族窒化物内のミスフィット転位の発生が抑制されることを見出した。そして、前記下地層の高結晶品質に起因して、前記III族窒化物層群の結晶品質をも向上させることができ、転位密度のさらなる低減を実現できるとともに、結晶性の向上をも実現できることを見出したものである。
【0014】ただし、上述した転位密度低減の効果は、前記下地層のAl含有量に対して前記III族窒化物層群のAl含有量が少なく、かつ、Al含有量差が大きいほど顕著であるが、特に、Alを含有するIII族窒化物層群を上記下地層上に成長する場合には、III族窒化物層群のAl含有量が増加するほどAl含有量差
が小さくなるため、上述した高結晶品質のAl含有III族窒化物下地層を設けたのみでは、目的とするIII族窒化物層群中の転位密度を十分に低減させることができず、その結晶品質を十分に向上させることができないでいた。かかる状況に鑑み、本発明者らは、上述したAl含有の高結晶品質の下地層を含むエピタキシャル基板に対してELO技術を適用し、形成すべきIII族窒化物層群中の転位密度をさらに低減させるようにした。
【0015】しかしながら、前述したエピタキシャル基板上に、SiO2などからなるマスクを形成して、III族窒化物層群を形成する場合には、マスク形成のためのフォトリソ工程が必要となり、工程が煩雑になるという問題があった。また、マスクのパターンに従って、転位密度の濃淡が顕著に現れ、デバイス形成の場合の歩留まり低下の一因ともなっていた。さらに、特にAlを含有するIII族窒化物層群を成長する場合には、マスク上にもIII族窒化物層が堆積してしまい、ELO成長による転位低減が有効に行うことができなかった。
【0016】これに変わる技術として、Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42(2003)pp.L1〜L3において大島らが網目状でかつ多結晶のTiN膜を中間層として挿入し、この膜をマスクとして利用することにより転位密度が低減できることを報告している。しかしながら、本技術をAlを含むIII族窒化物層群の形成に応用したところ、TiNを用いた場合にもマスクとしての効果は得られず、表面凹凸の激しい膜が形成されてしまい、良質なAlを含むIII族窒化物層群を形成することができなかった。
【非特許文献】
大島他 Jpn.J.Appl.Phys.Vol.42(2003)pp.L1〜L3
【0017】このような状況に鑑みて、本発明者らはさらなる検討を実施し、上述したAl含有の高結晶品質の下地層を有するエピタキシャル基板上に、融点1300℃以上の遷移金属を含む均一な単結晶膜を中間層として挿入することを検討した。この場合、融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層はマスクとしての効果は全くなく、この中間層上へ直接Alを含むIII族窒化物層群を形成することを意味する。
【0018】このような中間層は一般の薄膜形成法やMOCVD装置内での成長により容易に形成できる。前記下地層から伝搬してきた転位は、融点1300℃以上の遷移金属を含む単結晶膜からなる中間層内に発生する応力やこの中間層とIII族窒化物膜の界面での格子ミスマッチにより、転位の伝搬方向の変化を引き起こし、転位の結合による転位の消失を引き起こす。
【0019】結果として、Al含有の高結晶品質の下地層と、均一な単結晶膜からなる中間層、さらに少なくともAlを含むIII族窒化物層群とからエピタキシャル基板を構成した場合には、III族窒化物層群の転位密度を著しく低減することができ、結晶品質を向上させることができる。さらに、Al含有の高結晶品質の下地層を用いることにより、Al含有のIII族窒化物層群を、クラックを発生させることなく容易に形成させることができる。
【0020】なお、本発明の好ましい態様においては、前記中間層として融点1300℃以上の遷移金属を含む単層膜、あるいはこのような遷移金属を含む少なくとも一種の単結晶膜を多層化して形成したものを用いる。
【0021】また、「III族窒化物層群」とは単独のIII族窒化物層又は複数のIII族窒化物層が複数積層されてなる多層膜構造などを総称したものであり、作製すべき半導体素子の種類などに応じて適当な構成を採る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、発明の実施の形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明のエピタキシャル基板の構成を示す図である。図1に示すエピタキシャル基板10は、基材1、この基材1上に形成されたIII族窒化物下地層2及び融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層3、およびこの中間層上に形成されたIII族窒化物層群4とを含んでいる。
【0023】下地層2はAlを含んでいることが必要であり、その含有量は全III族元素に対して50原子%以上であることが好ましく、さらには80原子%以上、さらには好ましくは、下地層2をAlN(全III族元素に対して100原子%)から構成することが好ましい。これによって、下地層2の結晶品質を以下に示すように向上させた場合においても、基材1との格子定数差を補完することができ、中間層3さらにはその上に形成すべきIII族窒化物層群4を、その結晶品質を高度に維持しながらエピタキシャル成長させることができる。
【0024】なお、下地層2におけるAlは、膜厚全体を通じて均一に含有させても良いが、膜厚方向において組成勾配を有するように含有させても良い。後者の場合、例えばAl組成を基材1側から中間層3側に減少するようにすることによって、成長中に発生する引っ張り応力を格子定数差により緩和することができ、特に中間層上に膜厚の大きいIII族窒化物層群4を形成したときの問題であるクラックの発生を抑制することができる。
【0025】なお、下地層2は、Alの他に、Ga及びInなどのIII族元素、B、Si、Ge、Zn、Be及びMgなどの添加元素を含むこともできる。さらに、意識的に添加した元素に限らず、成膜条件などに依存して必然的に取り込まれる微量元素、並びに原料、反応管材質に含まれる微量不純物を含むこともできる。
【0026】下地層2中の転位密度は1×1011/cm2以下であることが好ましく、さらには5×1010/cm2以下、特には1×1010/cm2以下であることが好ましい。また、下地層2の(002)面におけるX線ロッキングカーブ半値幅は200秒以下であることが好ましく、さらには150秒以下、特には100秒以下であることが好ましい。上述したように、下地層2がこのように高い結晶品質を有することによって、下地層2の上方に形成するIII族窒化物層群4の結晶品質を向上させることができる。したがって、最終的に得た半導体素子、例えば、半導体発光素子などの発光効率などのデバイス特性を向上させることができる。
【0027】また、下地層2の表面粗さRaは2Å以下であることが好ましい。本測定は、AFMを用いて5μm角の範囲で測定する。
【0028】なお、下地層2の膜厚は大きい方が好ましく、具体的には0.1μm以上、さらには0.5μm以上の厚さに形成することが好ましい。下地層2の厚さの上限値は特に限定されるものではなく、クラックの発生や用途などを考慮して適宜選択し、設定する。
【0029】下地層2は、上記要件を満足する限り公知の成膜手段を用いて形成することができる。しかしながら、MOCVD法を用い、その成膜温度を1100℃以上に設定することによって簡易に得ることができる。なお、本特許の成膜温度は、基材1自身の設定温度を意味する。なお、下地層2の表面の粗れなどを抑制する観点より、前記成膜温度は1250℃以下であることが好ましい。
【0030】なお、下地層の上方に形成されるIII族窒化物層群4の成膜温度を1250℃として成膜する可能性もあることから、中間層に用いる遷移金属の融点は余裕を考慮して1300℃以上であることが望ましい。III族窒化物層群4の成膜中に中間層3が融解し、表面張力等の影響により、中間層3が島状の構造になることを防ぐ必要があるからである。また融点の上限については、特に制限されるものではなく、目的とする用途、プロセスとの整合性等を考慮に入れ、適宜選択する。
【0031】但し、中間層3は、融点1300℃以上の遷移金属を含み、たとえばTi、TiNx、Ni、NiNx、Cr、CrNxなどのうちいずれか一つ、あるいはこれらのうち少なくとも一種の多層膜からなる単結晶膜から構成されることが好ましい。また、Alを含有するIII族窒化物膜層群4を成長させる場合、横方向成長による穴埋め効果は期待できないため、サイズの大きいボイドは存在しない均一膜であることが好ましい。
【0032】また、III族窒化物層群4のエピタキシャル成長を良好な状態で行なうべく、中間層3の厚さは0.5nm以上であることが好ましく、さらには1nm以上であることが好ましい。なお、中間層3の厚さの上限は形成すべきIII族窒化物層群の厚さなどに依存するが、約100nm程度である。中間層3の厚さが100nmを超えてもエピタキシャル成長の度合いに変化は見られない。
【0033】中間層3は、上記要件を満足する限り公知の成膜手段を用いて形成することができる。例えば、MOCVD法を用い、下地層2と同一バッチあるいは別バッチで形成することができる。あるいは、スパッタリング、真空蒸着などのPVD法、各種CVD法を用いることもできる。また、プラズマ・光などの各種アシスト方法も併用可能である。また、中間層の組成あるいは結晶系を変化させるため、適当なガス雰囲気下での熱処理を加えることも可能である。この場合、単結晶化を促進させるため、基板温度1000℃以上での水素、窒素、およびアンモニアのうちいずれか一つを含む雰囲気下での熱処理を加えることが好ましい。
【0034】なお、中間層3は、実質的に、融点1300℃以上の遷移金属、あるいはその遷移金属の化合物からなり、下地層2あるいはIII族窒化物層群4に含まれる元素、たとえばAl、Ga、In、BなどのIII族元素あるいはSi、Ge、Zn、Be及びMgなども含むこともできる。さらに成膜条件などに依存して必然的に取り込まれる微量元素、並びに原料、反応管材質に含まれる微量不純物を含むこともできる。
【0035】また、基材1は、サファイア単結晶、ZnO単結晶、LiAlO2単結晶、LiGaO2単結晶、MgAl2O4単結晶、MgO単結晶などの酸化物単結晶、Si単結晶、SiC単結晶などのIV族あるいはIV−IV族単結晶、GaAs単結晶、AlN単結晶、GaN単結晶、及びAlGaN単結晶などのIII−V族単結晶、ZrB2などのホウ化物単結晶などの、公知の基板材料から構成することができる。
【0036】特に基材1をサファイア単結晶から構成する場合においては、基材1の主面1Aに対して窒化処理を行ない、主面1Aにおいて表面窒化層を形成することが好ましい。これによって、下地層2、中間層3、及び窒化物層群4の結晶品質をより向上させることができる。前記窒化処理は、基材1をアンモニアなどの窒素を含有する雰囲気中に配置し、所定温度に加熱することによって実施することができる。
【0037】なお、基材1・下地層2・中間層3の上記組み合わせを用いることにより、上記中間層3上には、少なくともAlを含有するIII族窒化物層群4として、1×1010/cm2以下、さらには5×109/cm2以下の転位密度のIII族窒化物膜を実現することができる。
【0038】なお、好ましいIII族窒化物層群4の平均組成としては、Alの組成が下地層2のAlの組成以下であることが望ましい。この場合、中間層3の効果に加え、組成差による面内への圧縮応力の効果が転位低減を促進し、より低転位なIII 属窒化物層群4を実現することができる。
【0039】もちろんのことであるが、下地層2と窒化物層群4のAlの組成を等しくした場合でも、十分な転位低減の効果が期待できる。下地層2の全てのIII 族元素に対するAl組成が、50%以上、好ましくは80%以上、さらに好ましくは100%(すなわち下地層がAlN)であることから、従来低転位化が困難であった窒化物層群4の全てのIII族元素に対するAl組成が50%以上の領域、さらには下地層がAlNである場合においても、低転位化を実現することができる。
【0040】
【実施例】以下、実施例により本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
2インチ径の厚さ430μmのサファイア基板をH2SO4+H2O2で前処理した後、MOCVD装置の中に設置した。キャリアガスとして、H2を流速1m/secで流しながら、基板を1200℃まで昇温した後、トリメチルアルメニウム(TMA)及びNH3を平均流速1m/secで流して、前記サファイア基板上に下地層としてのAlN層を厚さ1μmまで成長させた。前記AlN層の(002)面におけるX線回析ロッキングカーブの半値幅は90秒であり、転位密度は2×1010/cm2であり、結晶品質に優れることが判明した。また、表面粗さRaは2Åであった。
【0041】次いで、上記AlN層上にTiを20nmの厚さに真空蒸着し、再度MOCVD装置の中に設置した。基板温度を1200℃とし、NH3を平均流速1m/secで1分流して、熱処理を加え、Ti膜を単結晶TiNx膜とした。
【0042】次いで、基板温度を1200℃とし、TMA、及びNH3を平均流速1m/secで流して、前記AlN層上に前記単結晶TiNxからなる中間層を介して、III族窒化物層群としてのAlN膜を厚さ3μmに形成した。このAlN膜中の転位密度をTEM観察によって測定したところ1×109/cm2であることが判明した。また表面粗さRaは2.5Åという平坦な膜が形成できた。
【0043】図2、図3、および図4に断面のTEM観察結果を示す。図2において、Tiを含有する中間層の上層である、III族窒化物層群としてのAlN層において転位密度が著しく低減できていることが確認できる。また、図3にTiを含有する中間層を拡大したものを示すが、Tiを含有する膜が20nm程度の厚みで均一に形成されていることが確認できる。さらに、図4にTiを含有する膜の格子像を示すが、単結晶膜が形成されていることが確認できる。
(実施例2)
【0044】サファイア基板上に下地層としてのAlN層を、実施例1と同様に、厚さ1μmまで成長させた。
【0045】次いで、上記AlN層上にNiを5nmの厚さに真空蒸着し、再度MOCVD装置の中に設置した。基板温度を1200℃とし、NH3を平均流速1m/secで15秒流して、熱処理を加え、NiNx膜とした。
【0046】次いで、基板温度を1200℃とし、TMA、及びNH3を平均流速1m/secで流して、前記AlN層上に前記単結晶NiNxからなる中間層を介して、III族窒化物層群としてのAlN膜を厚さ3μmに形成した。このAlN膜中の転位密度をTEM観察によって測定したところ5×108/cm2であることが判明した。また表面粗さRaは2.0Åという平坦な膜が形成できた。
【0047】(比較例1)
上記実施例において、下地層を低温緩衝層であるGaN膜とし、その上にIII族窒化物層群としてのAlN膜を試みたが、クラックが多量に発生し、実用に供するAlN膜のエピタキシャル成長を実現させることができなかった。なお、本GaN下地層の(002)ロッキングカーブの半値幅は300秒であった。
【0048】(比較例2)
下地層を600℃の低温で形成したAlNから構成した以外は、実施例と同様にしてIII族窒化物層群としてのAlN膜を形成した。このAlN膜中の転位密度をTEM観察によって測定したところ3×1011/cm2であることが判明した。
【0049】実施例及び比較例1から明らかなように、中間層を設けない場合においてはAlN膜のエピタキシャル成長ができないことが分かる。また、実施例及び比較例2から明らかなように、高結晶品質のAlN下地膜に代えて、低温成膜の低結晶品質のAlN下地膜を用いた場合においては、最終的に得たIII族窒化物層群としてのAlN膜の転位密度を低減できず、その結晶品質を向上できないことが分かる。
【0050】以上、具体例を挙げながら、本発明を発明の実施の形態に基づいて詳細に説明したが、本発明は上記発明の実施に形態に限定されるものではなく、本発明の範疇を逸脱しない範囲であらゆる変更や変形が可能である。たとえば、本例では中間層の全体を窒化膜としたが、表層のみを窒化して組成に分布をつけることも可能である。
【0051】さらには、中間層とIII族窒化物層群との間にバッファ層やひずみ超格子などの多層積層膜を挿入し、前記III族窒化物層群の結晶品質をさらに向上させることもできる。
【0052】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、低転位で結晶性に優れたIII族窒化物層群、特にはAlを含有する窒化物層群を形成することができ、新規なエピタキシャル基板を提供することができる。さらには、前記III族窒化物層群の転位低減方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のエピタキシャル基板の一例を示す構成図である。
【図2】本発明のエピタキシャル基板の断面の状態を示すTEM像である。
【図3】本発明のエピタキシャル基板の断面の状態を示すTEM像である。
【図4】本発明のエピタキシャル基板の断面の状態を示すTEM像である。
【符号の説明】
1 基材、2 下地層、3 中間層、4 III族窒化物層群、10 エピタキシャル基板
Claims (12)
- 所定の基材と、
前記基材上に形成された、転位密度が1×1011/cm2以下であり、(002)面におけるX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下である、少なくとも全III族元素に対して50原子%以上のAlを含むIII族窒化物下地層と、
前記III族窒化物下地層上に形成された、融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層と、
前記融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層上に形成された、少なくともAlを含み、転位密度が1×1010/cm2以下であるIII族窒化物層群を具えることを特徴とするエピタキシャル基板。 - 前記III族窒化物下地層中のAl含有量が、全てのIII族元素に対して80原子%以上であることを特徴とする、請求項1に記載のエピタキシャル基板。
- 前記III族窒化物下地層はAlNからなることを特徴とする、請求項2に記載のエピタキシャル基板。
- 前記融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層の厚さが、0.5nm〜100nmであることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一に記載のエピタキシャル基板。
- 前記融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層がTi、TiNx、Ni、NiNx、Cr、CrNxのうちいずれか一からなることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一に記載のエピタキシャル基板。
- 前記III族窒化物層群のAl含有量が、前記III族窒化物下地層のAl含有量以下であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一に記載のエピタキシャル基板。
- 所定の基材上に、転位密度が1×1011/cm2以下であり、(002)面におけるX線ロッキングカーブ半値幅が200秒以下である、少なくとも全てのIII族元素に対して50原子%以上のAlを含むIII族窒化物下地層、融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層を順次に形成し、さらに前記中間層上に少なくともAlを含むIII族窒化物層群を形成することにより、前記III族窒化物層群中の転位密度を低減させることを特徴とする、III族窒化物層群の転位低減方法。
- 前記III族窒化物下地層中のAl含有量が、全III族元素に対して80原子%以上であることを特徴とする、請求項7に記載のIII族窒化物層群の転位低減方法。
- 前記III族窒化物下地層はAlNからなることを特徴とする、請求項8に記載のIII族窒化物層群の転位低減方法。
- 前記融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層の厚さが、0.5nm〜100nmであることを特徴とする、請求項7〜9のいずれか一に記載のIII族窒化物層群の転位低減方法。
- 前記融点1300℃以上の遷移金属を含む中間層がTi、TiNx、Ni、NiNx、Cr、CrNxのうちいずれか一からなることを特徴とする、請求項7〜10のいずれか一に記載のIII族窒化物層群の転位低減方法。
- 前記III族窒化物層群のAl含有量が、前記III族窒化物下地層のAl含有量以下であることを特徴とする、請求項7〜11のいずれか一に記載のIII族窒化物層群の転位低減方法。
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