JP2004345114A - コンクリートセグメントの仕上げ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】コンクリートセグメントの仕上げ装置において、人手による仕上げ作業に劣らぬ高精度の仕上げを行うことができるとともに、人間の作業負荷を大幅に軽減し、作業効率を格段に向上できるようにする。
【解決手段】コンクリート5の打設後、蓋型枠を外したセグメント型枠2を覆うようにセグメント仕上げ装置1を設置する。セグメント仕上げ装置1は、支持フレーム3に水平方向移動可能な加圧移動機構4を設けたもので、加圧移動機構4には、型枠上面2cの母線方向に密着してセグメント幅方向に沿って直線往復運動するとともに、軸周りに揺動可能な仕上げ角棒13が設けられる。仕上げ角棒13の揺動は揺動レバー13bを作業者が操作して行うようにする。
【選択図】 図1
【解決手段】コンクリート5の打設後、蓋型枠を外したセグメント型枠2を覆うようにセグメント仕上げ装置1を設置する。セグメント仕上げ装置1は、支持フレーム3に水平方向移動可能な加圧移動機構4を設けたもので、加圧移動機構4には、型枠上面2cの母線方向に密着してセグメント幅方向に沿って直線往復運動するとともに、軸周りに揺動可能な仕上げ角棒13が設けられる。仕上げ角棒13の揺動は揺動レバー13bを作業者が操作して行うようにする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートセグメントの仕上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネルのシールド工法などに用いられるコンクリートセグメントは、トンネル内周面となるセグメント内周面を形成するための湾曲を有する型枠面を下方に配置し、その周囲に接合面を形成する側面型枠設けたセグメント型枠を設け、その上部にトンネル外周面となるセグメント外周面を形成するための蓋型枠を取り付け、型枠内に鉄筋を配置して、蓋型枠の上部の注入孔からコンクリートを打設した後、硬化養生して型枠から取り出す、といった工法により製作されていた。
このような工法では、上部から注入されたコンクリートは、セグメント内周面および接合面を形成する型枠面に沿って充填される。このため、コンクリートの自重により型枠面との間の空気などが排除されて、硬化後にセグメント内周面および接合面を形成する型枠面が精度よく転写されていた。
その反面、セグメントの外周面を形成する上方の蓋型枠近傍においては、空気などがたまりやすくなっていた。また、蓋型枠に作用するコンクリートの圧力が比較的小さいため、コンクリートと蓋型枠との密着性が悪く、そのまま硬化すると表面に微細な凹凸が残り表面性が悪くなりがちであった。このような微細な凹凸は、シールド掘削機のテールシールのシール性を悪化させるので、コンクリートが硬化する前に、セグメント外周面の凹凸を所定値以下に納める仕上げ工程を設けるのが一般的であった。
すなわち、コンクリートをやや多めに打設してから、蒸気養生した後、蓋型枠を取り外し、コンクリートが硬化しない内に、長尺の鏝部材などの工具を用いて高精度な平滑面に仕上げることが行われていた。この作業は硬化中の粘度の高いコンクリートを精密に均していく必要があるため、経験豊富な熟練工により手作業で行われる場合がほとんどであった。しかも蒸気養生した直後に時間を争って行われる作業となるので、酷暑環境下の重労働となっていた。また、このような手間のかかる仕上げ工程を設けるためにコンクリートセグメントの製作費が高くついていた。
一方、このような問題を改善するために、特許文献1、2には、仕上げ工程を機械化するためのコンクリートセグメント用の仕上装置が提案されている。
特許文献1には、長手方向に移動可能な角棒を外側曲面に接触させる曲面仕上手段をセグメントの湾曲に沿って車輪走行させるコンクリートセグメント用の仕上装置が記載されている。
特許文献2には、リンク機構により型枠の湾曲方向に移動可能な曲面仕上手段を備えるコンクリートセグメント用の仕上装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−128728号公報(第2−6頁、図1、6)
【特許文献2】
特開2002−90655号公報(第2−6頁、図1−2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のコンクリートセグメントの仕上げ工程、およびそれに用いられるコンクリートセグメントの仕上げ装置には、以下のような問題があった。
長尺の鏝部材により人力で仕上げ加工を行う場合、鏝部材を介して感知されるコンクリートの粘度などに応じて力を加減することにより、熟練工の経験による高精度の仕上げを行うことができるものの、限られた技能者しか作業ができず、しかも高温下の力作業となるため短時間の交代作業としなければならないので、製作費が高くつくという問題があった。
特許文献1、2に記載の技術では、機械力により作業できるので、作業効率が向上し種々の湾曲に対応した仕上げを行うことができるが、所定軌道上で角棒を移動させるだけなので、コンクリートの粘度などの状態を感知して動作させるといった細かな対応ができない。その結果、手仕上げに比べると仕上げ精度が劣るものとなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、人手による仕上げ作業に劣らぬ高精度の仕上げを行うことができるとともに、人間の作業負荷を大幅に軽減し、作業効率を格段に向上させることができるコンクリートセグメントの仕上げ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、セグメントの型枠にコンクリートを打設した後、該コンクリートが硬化する前に前記型枠の上部を開放して、露出させたコンクリート面をその側面側の型枠の湾曲に合わせて均す仕上げ工程を行うためのコンクリートセグメントの仕上げ装置であって、前記コンクリート面に上方から押圧可能に設けられた棒状の整形部材と、該整形部材を前記コンクリート面に加圧した状態で、前記整形部材の長手方向に沿う揺動軸回りの揺動運動と、前記揺動軸方向の直線往復運動と、前記型枠の湾曲に周方向に沿う曲線運動とが可能とされた加圧移動機構とを備える。
この発明によれば、加圧移動機構により、整形部材を型枠の湾曲に沿って加圧移動することができるので、加圧や移動のために人手に負荷をかけることなく均し作業ができる。また、整形部材を揺動軸回りに揺動させつつ揺動軸方向に直線往復運動させることができるので、コンクリート面の状態により揺動角度を変えることにより、コンクリート面から受ける抵抗を加減しながら均すことができ、それにより人手の作業に劣らぬきめ細かな仕上げ動作を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置において、前記加圧移動機構が、前記整形部材を前記揺動軸回りの揺動運動可能に保持する第1のフレーム部材と、該第1のフレーム部材を前記揺動軸方向の直線往復運動可能に保持する第2のフレーム部材と、該第2のフレーム部材を上下方向の直線往復運動可能に保持する第3のフレーム部材と、該第3のフレーム部材を前記揺動軸と略直交する水平方向の直線往復運動可能に保持する支持フレームと、前記第1〜3のフレーム部材をそれぞれ前記運動可能方向に移動させるための複数の移動手段とを備える。
この発明によれば、加圧移動機構の揺動運動以外の、揺動軸方向、上下方向、揺動軸と略直交する水平方向の直線往復運動が、それぞれ第1、第2、第3のフレーム部材を移動させる移動手段により可能とされ、それらが支持フレームに保持される構成とされるので、簡素な構成でありながら複雑な運動が行える。また、複数の移動手段を備えるので、それぞれの運動方向の移動量や加圧力を変更することが容易となる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置において、前記整形部材を揺動軸回りに揺動させるためのレバー部材を備え、該レバー部材を操作することにより揺動できるようにした構成とする。
この発明によれば、レバー部材を操作して整形部材の揺動運動を行うので、例えば、コンクリートの凹凸や粘度などにより変動する抵抗力が整形部材から、レバー部材を介して伝達されるから、その抵抗力などを感知または検知して、ただちに揺動角度や揺動速度を加減することができ、きめ細かい均し作業を行うことができる。また、レバー部材を操作するので、てこの原理により操作側の負荷の少ない揺動を行うことができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置において、前記移動機構が、前記型枠の大きさに応じて移動範囲を可変できる構成とする。
この発明によれば、型枠の大きさにばらつきがあっても、共通の装置で仕上げ工程を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の概略構成を説明するための斜視説明図である。図2(a)は、同じく正面説明図である。図2(b)は、図1におけるA−A断面図である。図3は、本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の一部を詳細に説明するための部分斜視説明図である。
本発明のコンクリートセグメントの仕上げ装置の実施形態に係るセグメント仕上げ装置1について説明する。
セグメント仕上げ装置1は、コンクリートセグメント(以下、セグメントと略称する)を製作する際に、コンクリート5をセグメント型枠2に打設してからコンクリート5が硬化するまでの間に、セグメント型枠2の上部側のコンクリート面を均して仕上げるための装置である。
その概略構成は、図1に示したように、セグメント型枠2を取り囲んで配置された支持フレーム3に加圧移動機構4を設けてなる。
【0011】
まずセグメント型枠2について簡単に説明する。
セグメント型枠2は、トンネルの周方向断面形状を周方向に分割してトンネル延設方向に押し出した形状とされ、周方向に所定の湾曲を有する板状のセグメントを製作するための型枠装置である。そして、セグメントの湾曲部が上に凸となる姿勢で、コンクリート5が打設できる構成を有する。
すなわち、トンネル外周部の湾曲に沿う湾曲面を有する型枠上面2cを上端部に備えた側板部2a、2aと、その端部の間を所定寸法だけ離して支持する端板部2b、2bとより水平方向が囲まれ、その上部側の内面に、セグメントの型枠面を構成する側部型枠面2d、2d、端部型枠面2e、2e、および底部型枠面2f、2fが設けられている(図1、2参照)。
そして、セグメントの外周部の型枠面は、不図示の蓋型枠を型枠上面2c上に取り付けることにより設ける。蓋型枠には、その湾曲の頂部にコンクリートを注入するための注入孔が形成されている。
【0012】
なお、セグメントの種類によっては、側部型枠面2d、2dが平行でない場合もあるが、以下では、説明を簡単にするために、トンネル延設方向でありセグメントの湾曲面の母線方向となる方向を、セグメント幅方向と称する。また、セグメント幅方向に直交する面内でのセグメントの湾曲に沿う方向を、セグメント周方向と称する。
そして、これらの方向は、セグメント仕上げ装置1の使用時におけるセグメント型枠2との位置関係を表す場合に使用する。また、本実施形態では、セグメント幅方向は水平方向に一致しているので、誤解の恐れがない限り、セグメント幅方向を水平方向の一方向を代表させるために用いる場合がある。
【0013】
支持フレーム3について説明する。
支持フレーム3の概略構成は、セグメント型枠2を取り囲む四方に支柱3cが配置され、その上端部に、矩形状フレームを構成するスライドガイド梁3a、3a、スパン部材3d、3dが水平に配置されてなる。
スライドガイド梁3a、3aは、断面が略コ字状の形鋼などからなる部材で、コ字の開口部を水平方向に対向させて平行に配置されている。コ字の開口部は、後述する加圧移動機構4を水平移動可能に保持するためのガイド溝3bをなしている。
スライドガイド梁3a、3aの配置スパンは、鋼材などによるスパン部材3dにより規制されている。その配置スパンは、後述する加圧移動機構4を収納できる寸法とされ、少なくとも、セグメント型枠2をそのスパン内に納めるため、セグメント型枠2のセグメント幅方向の外形より大きい寸法とされる。
支柱3c間には、作業者以外が支持フレーム3内に近づくことができないように、安全ロープ6が張り渡されている。安全ロープ6には必要に応じて、センサが設けられ、加圧移動機構4の動作中に人や物が安全ロープ6に接触した場合には緊急停止させるといった安全機構が設けられている。
【0014】
図2に示したように、支持フレーム3の上部には、適宜の構造部材によりモータ取付部3eが設けられ、後述する台車フレーム7を移動するためのモータ20が固定されている。
支柱3c…の上部にはセグメント幅方向の両端側において、セグメント幅方向に沿う回転軸(不図示)により回転可能なプーリ22、22がそれぞれ設けられている。そして、セグメント幅方向の同じ側のプーリ22、22の間には、端部が後述する台車フレーム7に固定されたワイヤーロープ21が巻き回されている。
モータ20のシャフトには駆動プーリ20aが設けられ、モータ20の回転をプーリ22の回転軸もしくはワイヤーロープ21に伝達できる構成とされている。
【0015】
加圧移動機構4は、仕上げ角棒13(整形部材)をコンクリート5の上面に当接させてコンクリート5の表面の凹凸を均しながら、型枠上面2cに沿って移動させるための機構であり、その概略構成は、台車フレーム7(第3のフレーム部材)と、昇降フレーム8(第2のフレーム部材)と、スライドフレーム12(第1のフレーム部材)と、それぞれを移動させるための複数の移動手段とからなる(図2(b)参照)。
【0016】
台車フレーム7は、スライドガイド梁3a、3aのスパン間に渡されたフレーム本体7aと、車輪7b…と昇降ガイド部7c、7cとからなる。
車輪7bは、フレーム本体7aをスライドガイド梁3aの延設方向に沿って移動可能に保持するために、セグメント幅方向端部に設けられ、ガイド溝3b内に上下方向に位置規制された状態で収納されている。車輪7bの個数は、フレーム本体7aを安定して水平方向に移動するために、それぞれのスライドガイド梁3aの側に少なくとも2個ずつ配置されている。
昇降ガイド部7cは、フレーム本体7aのセグメント幅方向端部の下面側に設けられた、例えば、水平方向断面が略コ字状とされコ字の開口部がセグメント型枠2側を向けられた柱状部材である。そして、その開口部内に後述するガイドロッド8bを上下方向に移動可能に保持するためのスライドガイド7dが設けられている。
【0017】
スライドガイド7dは、鉛直方向に延びる棒状部材を上下方向に移動可能に保持するために、例えば直動軸受などを設けた部材である。そして、スライドガイド7dには、上下方向に加圧力を付勢するジャッキ7e(移動手段)が固定されている。すなわち、ジャッキ7eの加圧反力はスライドガイド7d、昇降ガイド部7cを介してフレーム本体7aに伝達できるようになっている。
ジャッキ7eは、どのようなジャッキでもよいが、例えば加圧力が容易に可変でき、高速な駆動が可能なエアジャッキなどを好適に採用することができる。
【0018】
また、台車フレーム7は、端部に固定されたワイヤーロープ21を介してモータ20の駆動力が伝達されることにより、セグメント幅方向と直交する水平方向へ直線往復運動できる構成とされている。すなわちモータ20は台車フレーム7の移動手段になっている。
また、スライドガイド梁3aの適宜位置には、台車フレーム7の移動量の行き過ぎを防止して安全性を機械的に確保するためのストッパ14、14が設けられている。ストッパ14は、例えばボルト止めなどによりセグメント型枠2の大きさに応じて設置位置が可変できるように設置される。
【0019】
昇降フレーム8は、図2(b)、図3に示したように、フレーム本体7aの下面側に設けられてセグメント幅方向に延びる梁部8aと、その長手方向両端部の下面から下方側延ばされた棒状のガイドロッド8b、8bと、フレーム本体7aの長手方向の中間部の下面側に設けられた横移動機構8cとから構成される。
梁部8aは、例えば矩形断面などの鋼管や適宜の形鋼などの構造部材からなり、その長手方向両端部が昇降ガイド部7cの開口部内に配置されている。そして、ガイドロッド8bは、スライドガイド7dに摺動自在に嵌合されている。
また梁部8aは、ジャッキ7eの加圧端が梁部8aの下面に固定されることにより、台車フレーム7と結合され、ジャッキ7eにより加圧力を付勢され、台車フレーム7に対して上下方向に直線往復運動が可能となる構成とされている。すなわち、ジャッキ7eは昇降フレーム8の移動手段となっている。
【0020】
横移動機構8cの構成について、図4を参照して説明する。
図4(a)は、本実施形態の横移動機構8cについて説明するための側面視部分拡大図である。図4(b)、(c)は、それぞれ図4(a)におけるB−B断面図およびC−C断面図である。
横移動機構8cは、後述するスライドフレーム12を梁部8aの下面側に吊り下げ、セグメント幅方向に移動させるための機構である。その概略構成は、フレーム部材10、車輪11a…、サイドローラ11b…、ジャッキ9(移動手段)からなる。
【0021】
フレーム部材10は、梁部8aの長手方向中間部の下面に設けられ、その内部に後述するスライドガイド12aをセグメント幅方向に移動可能に保持する支持部材である。
車輪11a…は、フレーム部材10の内部側に対向して設けられ、スライドガイド12aを、上下方向に支持しつつ、セグメント幅方向への移動可能に保持するための回転ローラである。
サイドローラ11b…は、同じくフレーム部材10の内部側に対向して設けられ、スライドガイド12aを、セグメント幅方向と直交する水平方向に位置規制して保持しつつ、セグメント幅方向への移動可能に保持するための回転ローラである。
ジャッキ9は、ジャッキ7eと同様のジャッキ装置からなり、一端がフレーム部材10に固定され、他端がスライドフレーム12に固定されることにより、セグメント幅方向に加圧力を付勢しつつ伸縮できるようになっている。すなわち、ジャッキ9は、スライドフレーム12をセグメント幅方向に直線往復運動させる移動手段を構成している。
【0022】
スライドフレーム12は、図2(b)、図3に示したように、昇降フレーム8の下面側に設けられ、スライドガイド12a、フレーム支柱部12b、12bからなる。
スライドガイド12aは、セグメント幅方向に延ばされ、セグメント幅方向の左右の側部に、それぞれ、上下方向に所定幅で対向する水平支持面12A、12Aと、水平方向に対向する垂直支持面12Bとからなる略コ字状の開口部を形成する溝形状が設けられた梁状部材からなる。
水平支持面12A、12Aと垂直支持面12Bとは、それぞれ、横移動機構8cの車輪11a…とサイドローラ11b…とが回転可能に当接できる形状とされている。
フレーム支柱部12b、12bは、スライドガイド12aの長手方向両端部の下面から下方側に延ばされた柱状部材であり、その下端側に、後述する仕上げ角棒13をセグメント幅方向の軸回りに回動可能に保持する軸受機構(不図示)が設けられている。そして、一方のフレーム支柱部12bにはジャッキ9の端部が固定されている。
【0023】
仕上げ角棒13は、セグメント型枠2に打設されたコンクリート5を蓋型枠が取り外された状態で型枠上面2cに沿って均して整形するために、セグメント型枠2の幅方向より十分長く延ばされた略真直な棒状部材である。本実施形態では矩形断面を有している。そして仕上げ角棒13の両端部には、セグメント幅方向に延ばされた揺動軸13a、13aが設けられ、それらがフレーム支柱部12b、12bに設けられた軸受けなどよりそれぞれ回動自在に保持されている。
少なくとも一方の側の揺動軸13aの先端には、揺動軸13aと交差する方向に揺動レバー13bが設けられている。そして、作業者25が揺動レバー13bを手動操作することにより、揺動軸13aを中心とする揺動運動を行うことが可能となっている。また、揺動レバー13bを保持して、仕上げ角棒13の揺動レバー13bに対する傾斜角を一定に保つこともできるようになっている。
【0024】
本実施形態に係るセグメント仕上げ装置1の動作を説明する。
図5は、セグメント仕上げ装置1の動作を説明するための正面視模式説明図である。図6は、仕上げ角棒13の動作を説明するための斜視説明図である。
まず、コンクリート5を打設し、所定の蒸気養生を施し、蓋型枠を外す。その間に、セグメント仕上げ装置1をセグメント型枠2に対して上記に説明した位置関係となるように位置合わせして配置しておく。すなわち、仕上げ角棒13の揺動軸13aをセグメント幅方向に整列させ、仕上げ角棒13がセグメント幅の左右に略均等にまたがるように型枠上面2c、2c上に配置する。また、セグメント幅方向に直交する水平方向においては、仕上げ角棒13の可動範囲が少なくともコンクリート5の露出面を覆う範囲となるようにする。
【0025】
セグメント仕上げ装置1は、種々のセグメント型枠2の寸法に応じて、長手方向および幅方向に余裕を備えているので、設置位置が多少ずれても、可動範囲を可変することで柔軟に対応できるという利点がある。例えば、セグメント型枠2がスライドガイド梁3aの延設方向に対して偏った位置に配置されても、台車フレーム7の可動範囲を規制するストッパ14の位置を変更することにより可動範囲を変更できる。その結果、配置位置を修正することなく素早く仕上げ作業を開始することができて好都合である。
また、図5に示したようにセグメント型枠2に対して、セグメント周方向長さが短いセグメント型枠30が配置されたような場合でも、ストッパ14、14の位置をストッパ14a、14aのように対抗方向内側に移動することで対応できる。つまりセグメント型枠の大きさに対して汎用性を有するという利点がある。
【0026】
このようにセグメント仕上げ装置1を位置合わせすることにより、仕上げ角棒13を保持する加圧移動機構4を、セグメント幅方向に直交する水平方向、上下方向、セグメント幅方向にそれぞれ直線往復運動させることができる。
すなわち、セグメント幅方向に直交する水平方向は、台車フレーム7がモータ20によりスライドガイド梁3aに沿って移動することにより直線往復運動させることができる。
上下方向は、ガイドロッド8bがスライドガイド7dに案内された状態で、昇降フレーム8をジャッキ7eで駆動することにより直線往復運動させることができる。
セグメント幅方向は、スライドフレーム12が横移動機構8cに可動保持された状態で、スライドフレーム12をジャッキ9で駆動することにより直線往復運動させることができる。
【0027】
このように仕上げ角棒13が加圧移動機構4により3方向に独立移動可能に保持されているので、型枠上面2cに略密着して曲面軌跡を描いて滑らかに移動することができる(図5参照)。その際、それぞれの方向により独立に駆動されるので、それぞれの移動方向の移動速度、加圧力もそれぞれ自在に可変できる。
【0028】
仕上げ角棒13は、図6に示したように、型枠上面2cに沿って、図示矢印のようにジグザグ状に移動することができる。
その際、作業者25(図2(a)参照)が揺動レバー13bを操作することにより、仕上げ角棒13は揺動軸13a回りに回動できる。その操作により、仕上げ角棒13の一つの稜線を型枠上面2cに滑らかに当接した状態で、仕上げ角棒13の側面を揺動軸13a回りに揺動させつつ移動させることができる。
【0029】
仕上げ角棒13がこのように移動することにより、型枠上面2cの上側に突出した不揃いなコンクリート5の表面を滑らかに仕上げることができる。その作用について説明する。
仕上げ角棒13の姿勢は、セグメント周方向の移動方向に対して後方側の稜線(以下、後側稜線と称する)を型枠上面2c上に密着させ、前方側の稜線を型枠上面2cから持ち上げて、型枠上面2cに対向する面(以下、押し当て面と称する)を移動方向に対して上方向にやや傾斜させておく(この傾斜角を以下、迎え角と称する)。
すると、仕上げ角棒13がセグメント周方向に移動するにしたがって、型枠上面2cの上方に突出するコンクリート5が押し当て面に徐々に当接していく。そして、押し当て面の傾斜に沿って滑って均され、後側稜線を抜けるとき、型枠上面2c面で高さを規制され、型枠上面2cに揃った仕上げ面が形成される。
【0030】
このとき、型枠上面2c上に突出するコンクリート5の量や粘度に応じて、仕上げ角棒13に作用する抵抗力が異なるものである。例えば、コンクリート5の突出量が多いときに、押し当て面の角度を浅くしておくと、くさび効果により大きな抵抗を受け、ジャッキ7eによる加圧力が一定ならば仕上げ角棒13はより持ち上げられやすくなる。その結果、後側稜線において型枠上面2cとの密着が失われ、コンクリート5の表面が所定形状より盛り上がってしまう。
本実施形態では、揺動レバー13bを作業者25が操作しているので、このような状態となれば、揺動レバー13bの手応えから、ただちにその変化を感知することができる。そして、押し当て面の迎え角を大きくして、同じ加圧力であっても、後側稜線が浮き上がらないようにすることができる。その結果、仕上げ面の精度が向上できるという利点がある。
【0031】
また、コンクリート5の凹凸は、セグメント幅方向にも分布している。したがって、コンクリート5をセグメント幅方向にも均さないと精度のよい仕上げ面は得られない。
本実施形態では、セグメント周方向に仕上げ角棒13を移動させるとともに、ジャッキ9により、セグメント幅方向にも移動させるので、このような方向の凹凸ムラを均すことができる。
【0032】
また、コンクリート5が比較的大きく盛り上がっている場合、迎え角を大きいまま固定するだけでなく、セグメント周方向への移動とともに、徐々に迎え角を小さくしたり、揺動速度を変えながら小刻みに迎え角を浅くする、といった操作を行うことができる。このように段階的あるいはなし崩し的に均していくことにより、より高精度の仕上げ面が得られる。本実施形態では、作業者25が揺動レバー13bを手動操作するので、例えば熟練技能者が経験的に行っていた精妙な動作を容易に取り入れることができるという利点がある。
【0033】
しかも、その際、仕上げ角棒13の揺動運動以外は、仕上げ角棒13をコンクリート5からの抵抗力に抗して移動させる動作は、モータ20、ジャッキ7e、9などの機械駆動で行うようにしたので、作業者25への体力的な負荷をかけることなく、高精度の仕上げ面が形成できるという利点がある。
【0034】
また、移動速度や加圧力が自在に可変できるので、移動に必要な時間や仕上げ回数を減らすことができ、作業時間を短縮できるという利点がある。これにより、頻繁に人員交代するなどとった不効率が避けられ、作業効率と格段に向上することができるという利点がある。
また、体力的に劣っている熟練技術者であっても、無理することなく軽快に作業を行うことができるので、人材資源を有効に活用できるという利点がある。
【0035】
なお、上記の説明では、各移動手段の駆動はそれぞれ独立に行うことが可能であるとして説明したが、それらの移動を制御する手段は各移動手段に共通であってもよい。
また、圧力センサや、位置センサを適宜配置して自動制御される構成としてもよいことは言うまでもない。
例えば、圧力センサにより、コンクリート5からの抵抗力を検知して加圧力を可変するようにすれば、より高精度な仕上げ面とすることができるという利点がある。また例えば、位置センサを配置すれば、直線往復運動のリターン位置を検出して、効率的な自動運転を行うことができる。このような位置センサは、上記の説明のストッパ14などとともに設けておいてもよい。
【0036】
また、上記の説明では、整形部材の揺動運動は人力で行う場合で説明したが、例えばモータやアクチュエータなどの機械的な手段で揺動させるようにしてもよい。そうすれば、仕上げ工程すべてにおいて、人力が不要となるので、蒸気養生後の過酷な環境下での作業が解消されるから生産性が向上するという利点がある。
またその際、より高精度の仕上げを行うためには、揺動運動に対する抵抗力を検知するセンサなどの検知手段を設けて、揺動角度を自動制御するようにしておくことが好ましい。
【0037】
また、上記の説明では、セグメント型枠が正しく水平に置かれ、整形部材が型枠上面のセグメント幅方向に位置合わせできるものとして説明したが、場合によっては、セグメント型枠が若干傾くなどの配置誤差がある。そのような場合、例えばフレーム支柱部12bの長さを可変できるようにするなどして、整形部材を水平面に対して傾斜させる調整ができる構成としてもよい。
あるいは、例えばリンク機構などを加圧移動機構内のいずれかに設けることにより、型枠の配置誤差による傾斜にならって、整形部材が水平方向から傾斜した状態で型枠に押圧できるように回転自由度を付加した構成としてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上に述べたように、請求項1に記載の発明では、加圧や移動のために人手に負荷をかけることなく均し作業ができ、人手の作業に劣らぬきめ細かな仕上げ動作を行うことができるから、コンクリートセグメントにおいて、高精度の仕上げ面を人間の作業負荷を大幅に軽減し、作業効率を格段に向上させることができるという効果を奏する。
【0039】
請求項2に記載の発明では、加圧移動機構を第1、第2、第3のフレーム部材に分割し、それぞれを移動させる移動手段を設けることにより、簡素な構成で複雑な移動が容易に行えるとともに、それぞれの運動方向の移動量や加圧力を変更することが容易となるから、簡素でありながら、高精度の仕上げを行うための装置を製作することができるという効果を奏する。
【0040】
請求項3に記載の発明では、レバー部材を介した抵抗力などを感知または検知して、揺動角度や揺動速度を加減できるので、人手のみの作業によるのと同様のきめ細かい均し作業を行うことができるから、高精度の仕上げ面を形成することができるという効果を奏する。
【0041】
請求項4に記載の発明では、種々の大きさの型枠に対する仕上げ工程を行うことができるから、汎用的な装置とすることができ、設備費を低減できるとともに、作業効率を向上することができるから、コンクリートセグメントの製作費を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の概略構成を説明するための斜視説明図である。
【図2】同じく、正面説明図およびそのA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の一部を詳細に説明するための部分斜視説明図である。
【図4】本実施形態の横移動機構について説明するための側面視部分拡大図およびそのB−B断面図およびC−C断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の動作を説明するための正面視模式説明図である。
【図6】同じく、整形部材の動作を説明するための斜視説明図である。
【符号の説明】
1 セグメント仕上げ装置(コンクリートセグメントの仕上げ装置)
2、30 セグメント型枠(型枠)
2c 型枠上面(湾曲した型枠面)
3 支持フレーム
4 加圧移動機構
5 コンクリート
7 台車フレーム(第3のフレーム部材)
7e、9 ジャッキ(移動手段)
8 昇降フレーム(第2のフレーム部材)
8c 横移動機構
12 スライドフレーム(第1のフレーム部材)
13 仕上げ角棒(整形部材)
13a 揺動軸
13b 揺動レバー(レバー部材)
20 モータ(移動手段)
25 作業者
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートセグメントの仕上げ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、トンネルのシールド工法などに用いられるコンクリートセグメントは、トンネル内周面となるセグメント内周面を形成するための湾曲を有する型枠面を下方に配置し、その周囲に接合面を形成する側面型枠設けたセグメント型枠を設け、その上部にトンネル外周面となるセグメント外周面を形成するための蓋型枠を取り付け、型枠内に鉄筋を配置して、蓋型枠の上部の注入孔からコンクリートを打設した後、硬化養生して型枠から取り出す、といった工法により製作されていた。
このような工法では、上部から注入されたコンクリートは、セグメント内周面および接合面を形成する型枠面に沿って充填される。このため、コンクリートの自重により型枠面との間の空気などが排除されて、硬化後にセグメント内周面および接合面を形成する型枠面が精度よく転写されていた。
その反面、セグメントの外周面を形成する上方の蓋型枠近傍においては、空気などがたまりやすくなっていた。また、蓋型枠に作用するコンクリートの圧力が比較的小さいため、コンクリートと蓋型枠との密着性が悪く、そのまま硬化すると表面に微細な凹凸が残り表面性が悪くなりがちであった。このような微細な凹凸は、シールド掘削機のテールシールのシール性を悪化させるので、コンクリートが硬化する前に、セグメント外周面の凹凸を所定値以下に納める仕上げ工程を設けるのが一般的であった。
すなわち、コンクリートをやや多めに打設してから、蒸気養生した後、蓋型枠を取り外し、コンクリートが硬化しない内に、長尺の鏝部材などの工具を用いて高精度な平滑面に仕上げることが行われていた。この作業は硬化中の粘度の高いコンクリートを精密に均していく必要があるため、経験豊富な熟練工により手作業で行われる場合がほとんどであった。しかも蒸気養生した直後に時間を争って行われる作業となるので、酷暑環境下の重労働となっていた。また、このような手間のかかる仕上げ工程を設けるためにコンクリートセグメントの製作費が高くついていた。
一方、このような問題を改善するために、特許文献1、2には、仕上げ工程を機械化するためのコンクリートセグメント用の仕上装置が提案されている。
特許文献1には、長手方向に移動可能な角棒を外側曲面に接触させる曲面仕上手段をセグメントの湾曲に沿って車輪走行させるコンクリートセグメント用の仕上装置が記載されている。
特許文献2には、リンク機構により型枠の湾曲方向に移動可能な曲面仕上手段を備えるコンクリートセグメント用の仕上装置が記載されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−128728号公報(第2−6頁、図1、6)
【特許文献2】
特開2002−90655号公報(第2−6頁、図1−2)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような従来のコンクリートセグメントの仕上げ工程、およびそれに用いられるコンクリートセグメントの仕上げ装置には、以下のような問題があった。
長尺の鏝部材により人力で仕上げ加工を行う場合、鏝部材を介して感知されるコンクリートの粘度などに応じて力を加減することにより、熟練工の経験による高精度の仕上げを行うことができるものの、限られた技能者しか作業ができず、しかも高温下の力作業となるため短時間の交代作業としなければならないので、製作費が高くつくという問題があった。
特許文献1、2に記載の技術では、機械力により作業できるので、作業効率が向上し種々の湾曲に対応した仕上げを行うことができるが、所定軌道上で角棒を移動させるだけなので、コンクリートの粘度などの状態を感知して動作させるといった細かな対応ができない。その結果、手仕上げに比べると仕上げ精度が劣るものとなるという問題がある。
【0005】
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、人手による仕上げ作業に劣らぬ高精度の仕上げを行うことができるとともに、人間の作業負荷を大幅に軽減し、作業効率を格段に向上させることができるコンクリートセグメントの仕上げ装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、セグメントの型枠にコンクリートを打設した後、該コンクリートが硬化する前に前記型枠の上部を開放して、露出させたコンクリート面をその側面側の型枠の湾曲に合わせて均す仕上げ工程を行うためのコンクリートセグメントの仕上げ装置であって、前記コンクリート面に上方から押圧可能に設けられた棒状の整形部材と、該整形部材を前記コンクリート面に加圧した状態で、前記整形部材の長手方向に沿う揺動軸回りの揺動運動と、前記揺動軸方向の直線往復運動と、前記型枠の湾曲に周方向に沿う曲線運動とが可能とされた加圧移動機構とを備える。
この発明によれば、加圧移動機構により、整形部材を型枠の湾曲に沿って加圧移動することができるので、加圧や移動のために人手に負荷をかけることなく均し作業ができる。また、整形部材を揺動軸回りに揺動させつつ揺動軸方向に直線往復運動させることができるので、コンクリート面の状態により揺動角度を変えることにより、コンクリート面から受ける抵抗を加減しながら均すことができ、それにより人手の作業に劣らぬきめ細かな仕上げ動作を行うことができる。
【0007】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置において、前記加圧移動機構が、前記整形部材を前記揺動軸回りの揺動運動可能に保持する第1のフレーム部材と、該第1のフレーム部材を前記揺動軸方向の直線往復運動可能に保持する第2のフレーム部材と、該第2のフレーム部材を上下方向の直線往復運動可能に保持する第3のフレーム部材と、該第3のフレーム部材を前記揺動軸と略直交する水平方向の直線往復運動可能に保持する支持フレームと、前記第1〜3のフレーム部材をそれぞれ前記運動可能方向に移動させるための複数の移動手段とを備える。
この発明によれば、加圧移動機構の揺動運動以外の、揺動軸方向、上下方向、揺動軸と略直交する水平方向の直線往復運動が、それぞれ第1、第2、第3のフレーム部材を移動させる移動手段により可能とされ、それらが支持フレームに保持される構成とされるので、簡素な構成でありながら複雑な運動が行える。また、複数の移動手段を備えるので、それぞれの運動方向の移動量や加圧力を変更することが容易となる。
【0008】
請求項3に記載の発明では、請求項1または2に記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置において、前記整形部材を揺動軸回りに揺動させるためのレバー部材を備え、該レバー部材を操作することにより揺動できるようにした構成とする。
この発明によれば、レバー部材を操作して整形部材の揺動運動を行うので、例えば、コンクリートの凹凸や粘度などにより変動する抵抗力が整形部材から、レバー部材を介して伝達されるから、その抵抗力などを感知または検知して、ただちに揺動角度や揺動速度を加減することができ、きめ細かい均し作業を行うことができる。また、レバー部材を操作するので、てこの原理により操作側の負荷の少ない揺動を行うことができる。
【0009】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置において、前記移動機構が、前記型枠の大きさに応じて移動範囲を可変できる構成とする。
この発明によれば、型枠の大きさにばらつきがあっても、共通の装置で仕上げ工程を行うことができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
図1は、本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の概略構成を説明するための斜視説明図である。図2(a)は、同じく正面説明図である。図2(b)は、図1におけるA−A断面図である。図3は、本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の一部を詳細に説明するための部分斜視説明図である。
本発明のコンクリートセグメントの仕上げ装置の実施形態に係るセグメント仕上げ装置1について説明する。
セグメント仕上げ装置1は、コンクリートセグメント(以下、セグメントと略称する)を製作する際に、コンクリート5をセグメント型枠2に打設してからコンクリート5が硬化するまでの間に、セグメント型枠2の上部側のコンクリート面を均して仕上げるための装置である。
その概略構成は、図1に示したように、セグメント型枠2を取り囲んで配置された支持フレーム3に加圧移動機構4を設けてなる。
【0011】
まずセグメント型枠2について簡単に説明する。
セグメント型枠2は、トンネルの周方向断面形状を周方向に分割してトンネル延設方向に押し出した形状とされ、周方向に所定の湾曲を有する板状のセグメントを製作するための型枠装置である。そして、セグメントの湾曲部が上に凸となる姿勢で、コンクリート5が打設できる構成を有する。
すなわち、トンネル外周部の湾曲に沿う湾曲面を有する型枠上面2cを上端部に備えた側板部2a、2aと、その端部の間を所定寸法だけ離して支持する端板部2b、2bとより水平方向が囲まれ、その上部側の内面に、セグメントの型枠面を構成する側部型枠面2d、2d、端部型枠面2e、2e、および底部型枠面2f、2fが設けられている(図1、2参照)。
そして、セグメントの外周部の型枠面は、不図示の蓋型枠を型枠上面2c上に取り付けることにより設ける。蓋型枠には、その湾曲の頂部にコンクリートを注入するための注入孔が形成されている。
【0012】
なお、セグメントの種類によっては、側部型枠面2d、2dが平行でない場合もあるが、以下では、説明を簡単にするために、トンネル延設方向でありセグメントの湾曲面の母線方向となる方向を、セグメント幅方向と称する。また、セグメント幅方向に直交する面内でのセグメントの湾曲に沿う方向を、セグメント周方向と称する。
そして、これらの方向は、セグメント仕上げ装置1の使用時におけるセグメント型枠2との位置関係を表す場合に使用する。また、本実施形態では、セグメント幅方向は水平方向に一致しているので、誤解の恐れがない限り、セグメント幅方向を水平方向の一方向を代表させるために用いる場合がある。
【0013】
支持フレーム3について説明する。
支持フレーム3の概略構成は、セグメント型枠2を取り囲む四方に支柱3cが配置され、その上端部に、矩形状フレームを構成するスライドガイド梁3a、3a、スパン部材3d、3dが水平に配置されてなる。
スライドガイド梁3a、3aは、断面が略コ字状の形鋼などからなる部材で、コ字の開口部を水平方向に対向させて平行に配置されている。コ字の開口部は、後述する加圧移動機構4を水平移動可能に保持するためのガイド溝3bをなしている。
スライドガイド梁3a、3aの配置スパンは、鋼材などによるスパン部材3dにより規制されている。その配置スパンは、後述する加圧移動機構4を収納できる寸法とされ、少なくとも、セグメント型枠2をそのスパン内に納めるため、セグメント型枠2のセグメント幅方向の外形より大きい寸法とされる。
支柱3c間には、作業者以外が支持フレーム3内に近づくことができないように、安全ロープ6が張り渡されている。安全ロープ6には必要に応じて、センサが設けられ、加圧移動機構4の動作中に人や物が安全ロープ6に接触した場合には緊急停止させるといった安全機構が設けられている。
【0014】
図2に示したように、支持フレーム3の上部には、適宜の構造部材によりモータ取付部3eが設けられ、後述する台車フレーム7を移動するためのモータ20が固定されている。
支柱3c…の上部にはセグメント幅方向の両端側において、セグメント幅方向に沿う回転軸(不図示)により回転可能なプーリ22、22がそれぞれ設けられている。そして、セグメント幅方向の同じ側のプーリ22、22の間には、端部が後述する台車フレーム7に固定されたワイヤーロープ21が巻き回されている。
モータ20のシャフトには駆動プーリ20aが設けられ、モータ20の回転をプーリ22の回転軸もしくはワイヤーロープ21に伝達できる構成とされている。
【0015】
加圧移動機構4は、仕上げ角棒13(整形部材)をコンクリート5の上面に当接させてコンクリート5の表面の凹凸を均しながら、型枠上面2cに沿って移動させるための機構であり、その概略構成は、台車フレーム7(第3のフレーム部材)と、昇降フレーム8(第2のフレーム部材)と、スライドフレーム12(第1のフレーム部材)と、それぞれを移動させるための複数の移動手段とからなる(図2(b)参照)。
【0016】
台車フレーム7は、スライドガイド梁3a、3aのスパン間に渡されたフレーム本体7aと、車輪7b…と昇降ガイド部7c、7cとからなる。
車輪7bは、フレーム本体7aをスライドガイド梁3aの延設方向に沿って移動可能に保持するために、セグメント幅方向端部に設けられ、ガイド溝3b内に上下方向に位置規制された状態で収納されている。車輪7bの個数は、フレーム本体7aを安定して水平方向に移動するために、それぞれのスライドガイド梁3aの側に少なくとも2個ずつ配置されている。
昇降ガイド部7cは、フレーム本体7aのセグメント幅方向端部の下面側に設けられた、例えば、水平方向断面が略コ字状とされコ字の開口部がセグメント型枠2側を向けられた柱状部材である。そして、その開口部内に後述するガイドロッド8bを上下方向に移動可能に保持するためのスライドガイド7dが設けられている。
【0017】
スライドガイド7dは、鉛直方向に延びる棒状部材を上下方向に移動可能に保持するために、例えば直動軸受などを設けた部材である。そして、スライドガイド7dには、上下方向に加圧力を付勢するジャッキ7e(移動手段)が固定されている。すなわち、ジャッキ7eの加圧反力はスライドガイド7d、昇降ガイド部7cを介してフレーム本体7aに伝達できるようになっている。
ジャッキ7eは、どのようなジャッキでもよいが、例えば加圧力が容易に可変でき、高速な駆動が可能なエアジャッキなどを好適に採用することができる。
【0018】
また、台車フレーム7は、端部に固定されたワイヤーロープ21を介してモータ20の駆動力が伝達されることにより、セグメント幅方向と直交する水平方向へ直線往復運動できる構成とされている。すなわちモータ20は台車フレーム7の移動手段になっている。
また、スライドガイド梁3aの適宜位置には、台車フレーム7の移動量の行き過ぎを防止して安全性を機械的に確保するためのストッパ14、14が設けられている。ストッパ14は、例えばボルト止めなどによりセグメント型枠2の大きさに応じて設置位置が可変できるように設置される。
【0019】
昇降フレーム8は、図2(b)、図3に示したように、フレーム本体7aの下面側に設けられてセグメント幅方向に延びる梁部8aと、その長手方向両端部の下面から下方側延ばされた棒状のガイドロッド8b、8bと、フレーム本体7aの長手方向の中間部の下面側に設けられた横移動機構8cとから構成される。
梁部8aは、例えば矩形断面などの鋼管や適宜の形鋼などの構造部材からなり、その長手方向両端部が昇降ガイド部7cの開口部内に配置されている。そして、ガイドロッド8bは、スライドガイド7dに摺動自在に嵌合されている。
また梁部8aは、ジャッキ7eの加圧端が梁部8aの下面に固定されることにより、台車フレーム7と結合され、ジャッキ7eにより加圧力を付勢され、台車フレーム7に対して上下方向に直線往復運動が可能となる構成とされている。すなわち、ジャッキ7eは昇降フレーム8の移動手段となっている。
【0020】
横移動機構8cの構成について、図4を参照して説明する。
図4(a)は、本実施形態の横移動機構8cについて説明するための側面視部分拡大図である。図4(b)、(c)は、それぞれ図4(a)におけるB−B断面図およびC−C断面図である。
横移動機構8cは、後述するスライドフレーム12を梁部8aの下面側に吊り下げ、セグメント幅方向に移動させるための機構である。その概略構成は、フレーム部材10、車輪11a…、サイドローラ11b…、ジャッキ9(移動手段)からなる。
【0021】
フレーム部材10は、梁部8aの長手方向中間部の下面に設けられ、その内部に後述するスライドガイド12aをセグメント幅方向に移動可能に保持する支持部材である。
車輪11a…は、フレーム部材10の内部側に対向して設けられ、スライドガイド12aを、上下方向に支持しつつ、セグメント幅方向への移動可能に保持するための回転ローラである。
サイドローラ11b…は、同じくフレーム部材10の内部側に対向して設けられ、スライドガイド12aを、セグメント幅方向と直交する水平方向に位置規制して保持しつつ、セグメント幅方向への移動可能に保持するための回転ローラである。
ジャッキ9は、ジャッキ7eと同様のジャッキ装置からなり、一端がフレーム部材10に固定され、他端がスライドフレーム12に固定されることにより、セグメント幅方向に加圧力を付勢しつつ伸縮できるようになっている。すなわち、ジャッキ9は、スライドフレーム12をセグメント幅方向に直線往復運動させる移動手段を構成している。
【0022】
スライドフレーム12は、図2(b)、図3に示したように、昇降フレーム8の下面側に設けられ、スライドガイド12a、フレーム支柱部12b、12bからなる。
スライドガイド12aは、セグメント幅方向に延ばされ、セグメント幅方向の左右の側部に、それぞれ、上下方向に所定幅で対向する水平支持面12A、12Aと、水平方向に対向する垂直支持面12Bとからなる略コ字状の開口部を形成する溝形状が設けられた梁状部材からなる。
水平支持面12A、12Aと垂直支持面12Bとは、それぞれ、横移動機構8cの車輪11a…とサイドローラ11b…とが回転可能に当接できる形状とされている。
フレーム支柱部12b、12bは、スライドガイド12aの長手方向両端部の下面から下方側に延ばされた柱状部材であり、その下端側に、後述する仕上げ角棒13をセグメント幅方向の軸回りに回動可能に保持する軸受機構(不図示)が設けられている。そして、一方のフレーム支柱部12bにはジャッキ9の端部が固定されている。
【0023】
仕上げ角棒13は、セグメント型枠2に打設されたコンクリート5を蓋型枠が取り外された状態で型枠上面2cに沿って均して整形するために、セグメント型枠2の幅方向より十分長く延ばされた略真直な棒状部材である。本実施形態では矩形断面を有している。そして仕上げ角棒13の両端部には、セグメント幅方向に延ばされた揺動軸13a、13aが設けられ、それらがフレーム支柱部12b、12bに設けられた軸受けなどよりそれぞれ回動自在に保持されている。
少なくとも一方の側の揺動軸13aの先端には、揺動軸13aと交差する方向に揺動レバー13bが設けられている。そして、作業者25が揺動レバー13bを手動操作することにより、揺動軸13aを中心とする揺動運動を行うことが可能となっている。また、揺動レバー13bを保持して、仕上げ角棒13の揺動レバー13bに対する傾斜角を一定に保つこともできるようになっている。
【0024】
本実施形態に係るセグメント仕上げ装置1の動作を説明する。
図5は、セグメント仕上げ装置1の動作を説明するための正面視模式説明図である。図6は、仕上げ角棒13の動作を説明するための斜視説明図である。
まず、コンクリート5を打設し、所定の蒸気養生を施し、蓋型枠を外す。その間に、セグメント仕上げ装置1をセグメント型枠2に対して上記に説明した位置関係となるように位置合わせして配置しておく。すなわち、仕上げ角棒13の揺動軸13aをセグメント幅方向に整列させ、仕上げ角棒13がセグメント幅の左右に略均等にまたがるように型枠上面2c、2c上に配置する。また、セグメント幅方向に直交する水平方向においては、仕上げ角棒13の可動範囲が少なくともコンクリート5の露出面を覆う範囲となるようにする。
【0025】
セグメント仕上げ装置1は、種々のセグメント型枠2の寸法に応じて、長手方向および幅方向に余裕を備えているので、設置位置が多少ずれても、可動範囲を可変することで柔軟に対応できるという利点がある。例えば、セグメント型枠2がスライドガイド梁3aの延設方向に対して偏った位置に配置されても、台車フレーム7の可動範囲を規制するストッパ14の位置を変更することにより可動範囲を変更できる。その結果、配置位置を修正することなく素早く仕上げ作業を開始することができて好都合である。
また、図5に示したようにセグメント型枠2に対して、セグメント周方向長さが短いセグメント型枠30が配置されたような場合でも、ストッパ14、14の位置をストッパ14a、14aのように対抗方向内側に移動することで対応できる。つまりセグメント型枠の大きさに対して汎用性を有するという利点がある。
【0026】
このようにセグメント仕上げ装置1を位置合わせすることにより、仕上げ角棒13を保持する加圧移動機構4を、セグメント幅方向に直交する水平方向、上下方向、セグメント幅方向にそれぞれ直線往復運動させることができる。
すなわち、セグメント幅方向に直交する水平方向は、台車フレーム7がモータ20によりスライドガイド梁3aに沿って移動することにより直線往復運動させることができる。
上下方向は、ガイドロッド8bがスライドガイド7dに案内された状態で、昇降フレーム8をジャッキ7eで駆動することにより直線往復運動させることができる。
セグメント幅方向は、スライドフレーム12が横移動機構8cに可動保持された状態で、スライドフレーム12をジャッキ9で駆動することにより直線往復運動させることができる。
【0027】
このように仕上げ角棒13が加圧移動機構4により3方向に独立移動可能に保持されているので、型枠上面2cに略密着して曲面軌跡を描いて滑らかに移動することができる(図5参照)。その際、それぞれの方向により独立に駆動されるので、それぞれの移動方向の移動速度、加圧力もそれぞれ自在に可変できる。
【0028】
仕上げ角棒13は、図6に示したように、型枠上面2cに沿って、図示矢印のようにジグザグ状に移動することができる。
その際、作業者25(図2(a)参照)が揺動レバー13bを操作することにより、仕上げ角棒13は揺動軸13a回りに回動できる。その操作により、仕上げ角棒13の一つの稜線を型枠上面2cに滑らかに当接した状態で、仕上げ角棒13の側面を揺動軸13a回りに揺動させつつ移動させることができる。
【0029】
仕上げ角棒13がこのように移動することにより、型枠上面2cの上側に突出した不揃いなコンクリート5の表面を滑らかに仕上げることができる。その作用について説明する。
仕上げ角棒13の姿勢は、セグメント周方向の移動方向に対して後方側の稜線(以下、後側稜線と称する)を型枠上面2c上に密着させ、前方側の稜線を型枠上面2cから持ち上げて、型枠上面2cに対向する面(以下、押し当て面と称する)を移動方向に対して上方向にやや傾斜させておく(この傾斜角を以下、迎え角と称する)。
すると、仕上げ角棒13がセグメント周方向に移動するにしたがって、型枠上面2cの上方に突出するコンクリート5が押し当て面に徐々に当接していく。そして、押し当て面の傾斜に沿って滑って均され、後側稜線を抜けるとき、型枠上面2c面で高さを規制され、型枠上面2cに揃った仕上げ面が形成される。
【0030】
このとき、型枠上面2c上に突出するコンクリート5の量や粘度に応じて、仕上げ角棒13に作用する抵抗力が異なるものである。例えば、コンクリート5の突出量が多いときに、押し当て面の角度を浅くしておくと、くさび効果により大きな抵抗を受け、ジャッキ7eによる加圧力が一定ならば仕上げ角棒13はより持ち上げられやすくなる。その結果、後側稜線において型枠上面2cとの密着が失われ、コンクリート5の表面が所定形状より盛り上がってしまう。
本実施形態では、揺動レバー13bを作業者25が操作しているので、このような状態となれば、揺動レバー13bの手応えから、ただちにその変化を感知することができる。そして、押し当て面の迎え角を大きくして、同じ加圧力であっても、後側稜線が浮き上がらないようにすることができる。その結果、仕上げ面の精度が向上できるという利点がある。
【0031】
また、コンクリート5の凹凸は、セグメント幅方向にも分布している。したがって、コンクリート5をセグメント幅方向にも均さないと精度のよい仕上げ面は得られない。
本実施形態では、セグメント周方向に仕上げ角棒13を移動させるとともに、ジャッキ9により、セグメント幅方向にも移動させるので、このような方向の凹凸ムラを均すことができる。
【0032】
また、コンクリート5が比較的大きく盛り上がっている場合、迎え角を大きいまま固定するだけでなく、セグメント周方向への移動とともに、徐々に迎え角を小さくしたり、揺動速度を変えながら小刻みに迎え角を浅くする、といった操作を行うことができる。このように段階的あるいはなし崩し的に均していくことにより、より高精度の仕上げ面が得られる。本実施形態では、作業者25が揺動レバー13bを手動操作するので、例えば熟練技能者が経験的に行っていた精妙な動作を容易に取り入れることができるという利点がある。
【0033】
しかも、その際、仕上げ角棒13の揺動運動以外は、仕上げ角棒13をコンクリート5からの抵抗力に抗して移動させる動作は、モータ20、ジャッキ7e、9などの機械駆動で行うようにしたので、作業者25への体力的な負荷をかけることなく、高精度の仕上げ面が形成できるという利点がある。
【0034】
また、移動速度や加圧力が自在に可変できるので、移動に必要な時間や仕上げ回数を減らすことができ、作業時間を短縮できるという利点がある。これにより、頻繁に人員交代するなどとった不効率が避けられ、作業効率と格段に向上することができるという利点がある。
また、体力的に劣っている熟練技術者であっても、無理することなく軽快に作業を行うことができるので、人材資源を有効に活用できるという利点がある。
【0035】
なお、上記の説明では、各移動手段の駆動はそれぞれ独立に行うことが可能であるとして説明したが、それらの移動を制御する手段は各移動手段に共通であってもよい。
また、圧力センサや、位置センサを適宜配置して自動制御される構成としてもよいことは言うまでもない。
例えば、圧力センサにより、コンクリート5からの抵抗力を検知して加圧力を可変するようにすれば、より高精度な仕上げ面とすることができるという利点がある。また例えば、位置センサを配置すれば、直線往復運動のリターン位置を検出して、効率的な自動運転を行うことができる。このような位置センサは、上記の説明のストッパ14などとともに設けておいてもよい。
【0036】
また、上記の説明では、整形部材の揺動運動は人力で行う場合で説明したが、例えばモータやアクチュエータなどの機械的な手段で揺動させるようにしてもよい。そうすれば、仕上げ工程すべてにおいて、人力が不要となるので、蒸気養生後の過酷な環境下での作業が解消されるから生産性が向上するという利点がある。
またその際、より高精度の仕上げを行うためには、揺動運動に対する抵抗力を検知するセンサなどの検知手段を設けて、揺動角度を自動制御するようにしておくことが好ましい。
【0037】
また、上記の説明では、セグメント型枠が正しく水平に置かれ、整形部材が型枠上面のセグメント幅方向に位置合わせできるものとして説明したが、場合によっては、セグメント型枠が若干傾くなどの配置誤差がある。そのような場合、例えばフレーム支柱部12bの長さを可変できるようにするなどして、整形部材を水平面に対して傾斜させる調整ができる構成としてもよい。
あるいは、例えばリンク機構などを加圧移動機構内のいずれかに設けることにより、型枠の配置誤差による傾斜にならって、整形部材が水平方向から傾斜した状態で型枠に押圧できるように回転自由度を付加した構成としてもよい。
【0038】
【発明の効果】
以上に述べたように、請求項1に記載の発明では、加圧や移動のために人手に負荷をかけることなく均し作業ができ、人手の作業に劣らぬきめ細かな仕上げ動作を行うことができるから、コンクリートセグメントにおいて、高精度の仕上げ面を人間の作業負荷を大幅に軽減し、作業効率を格段に向上させることができるという効果を奏する。
【0039】
請求項2に記載の発明では、加圧移動機構を第1、第2、第3のフレーム部材に分割し、それぞれを移動させる移動手段を設けることにより、簡素な構成で複雑な移動が容易に行えるとともに、それぞれの運動方向の移動量や加圧力を変更することが容易となるから、簡素でありながら、高精度の仕上げを行うための装置を製作することができるという効果を奏する。
【0040】
請求項3に記載の発明では、レバー部材を介した抵抗力などを感知または検知して、揺動角度や揺動速度を加減できるので、人手のみの作業によるのと同様のきめ細かい均し作業を行うことができるから、高精度の仕上げ面を形成することができるという効果を奏する。
【0041】
請求項4に記載の発明では、種々の大きさの型枠に対する仕上げ工程を行うことができるから、汎用的な装置とすることができ、設備費を低減できるとともに、作業効率を向上することができるから、コンクリートセグメントの製作費を低減することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の概略構成を説明するための斜視説明図である。
【図2】同じく、正面説明図およびそのA−A断面図である。
【図3】本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の一部を詳細に説明するための部分斜視説明図である。
【図4】本実施形態の横移動機構について説明するための側面視部分拡大図およびそのB−B断面図およびC−C断面図である。
【図5】本発明の実施形態に係るコンクリートセグメントの仕上げ装置の動作を説明するための正面視模式説明図である。
【図6】同じく、整形部材の動作を説明するための斜視説明図である。
【符号の説明】
1 セグメント仕上げ装置(コンクリートセグメントの仕上げ装置)
2、30 セグメント型枠(型枠)
2c 型枠上面(湾曲した型枠面)
3 支持フレーム
4 加圧移動機構
5 コンクリート
7 台車フレーム(第3のフレーム部材)
7e、9 ジャッキ(移動手段)
8 昇降フレーム(第2のフレーム部材)
8c 横移動機構
12 スライドフレーム(第1のフレーム部材)
13 仕上げ角棒(整形部材)
13a 揺動軸
13b 揺動レバー(レバー部材)
20 モータ(移動手段)
25 作業者
Claims (4)
- セグメントの型枠にコンクリートを打設した後、該コンクリートが硬化する前に前記型枠の上部を開放して、露出させたコンクリート面をその側面側の型枠の湾曲に合わせて均す仕上げ工程を行うためのコンクリートセグメントの仕上げ装置であって、
前記コンクリート面に上方から押圧可能に設けられた棒状の整形部材と、
該整形部材を前記コンクリート面に加圧した状態で、前記整形部材の長手方向に沿う揺動軸回りの揺動運動と、前記揺動軸方向の直線往復運動と、前記型枠の湾曲に周方向に沿う曲線運動とが可能とされた加圧移動機構とを備えることを特徴とするコンクリートセグメントの仕上げ装置。 - 前記加圧移動機構が、
前記整形部材を前記揺動軸回りの揺動運動可能に保持する第1のフレーム部材と、
該第1のフレーム部材を前記揺動軸方向の直線往復運動可能に保持する第2のフレーム部材と、
該第2のフレーム部材を上下方向の直線往復運動可能に保持する第3のフレーム部材と、
該第3のフレーム部材を前記揺動軸と略直交する水平方向の直線往復運動可能に保持する支持フレームと、
前記第1〜3のフレーム部材をそれぞれ前記移動可能方向に移動させるための複数の移動手段とを備えることを特徴とする請求項1に記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置。 - 前記整形部材を揺動軸回りに揺動させるためのレバー部材を備え、該レバー部材を操作することにより揺動できるようにした請求項1または2に記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置。
- 前記加圧移動機構が、前記型枠の大きさに応じて移動範囲を可変できることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のコンクリートセグメントの仕上げ装置。
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JP2003141871A JP2004345114A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | コンクリートセグメントの仕上げ装置 |
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Cited By (1)
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CN112388800A (zh) * | 2020-09-10 | 2021-02-23 | 南京永顺机械有限公司 | 一种管片混凝土自动抹光机用震荡装置及使用方法 |
-
2003
- 2003-05-20 JP JP2003141871A patent/JP2004345114A/ja active Pending
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CN112388800A (zh) * | 2020-09-10 | 2021-02-23 | 南京永顺机械有限公司 | 一种管片混凝土自动抹光机用震荡装置及使用方法 |
CN112388800B (zh) * | 2020-09-10 | 2022-05-10 | 南京永顺机械有限公司 | 一种管片混凝土自动抹光机用震荡装置及使用方法 |
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