JP2004344274A - 超音波カテーテル - Google Patents
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Abstract
【解決手段】カテーテルシース2と、カテーテルシース2の管腔内の基端から先端部近傍に渡って設けられた駆動シャフト53と、駆動シャフト53の先端部に設けられたハウジング52と、ハウジング52によって支持された超音波振動子51と、ハウジング51によって支持され、先端方向に延伸する弾性体54とを有し、弾性体54が高X線造影性を有する超音波カテーテル1。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血管、脈管、消化器管等の体腔内或いは管腔内に挿入して、管腔断面像の表示などを行うために用いられる超音波カテーテルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
心筋梗塞等の原因となる血管狭窄部の治療として、カテーテルを用いて経皮的に治療を行う手術手法が行われている。この手術手法には、先端にバルーンを有する拡張カテーテルで狭窄部を押し広げる方法、ステントと呼ばれる金属の管を留置する方法、アテレクトミーデバイスと呼ばれる器具により砥石やカッターの回転で狭窄部を切除する方法など、種々の方法が存在し、狭窄部の性状や患者の状態にあわせて好ましい方法が選択される。超音波カテーテルは、主にこのような血管狭窄部の経皮的な治療の際に、狭窄部の性状を観察し、治療手段を選択するための判断の一助として用いられ、また、治療後の状態の観察にも用いられている。
【0003】
従来の超音波カテーテルは、柔軟なイメージングコア(超音波を送受信する超音波振動子ユニット並びにそれを回転させる駆動シャフト)と、それらを被覆するシース(チューブ)で構成されている。超音波カテーテル検査は、一般的に、あらかじめ患部である血管狭窄部まで到達させたガイドワイヤに沿わせて超音波カテーテルの先端部近傍に位置する超音波振動子ユニットを患部の先の深部まで運び、そこからカテーテル全体を引くか、もしくはイメージングコアのみを引き抜いて、超音波振動子ユニットを患部に運び、患部の前後に渡って連続的な超音波観察を行っている。
【0004】
このような従来の超音波カテーテル(超音波プローブ)は、一般にX線透視下で血管内に挿入されるため、超音波カテーテルの先端部の位置がX線透視下で確認できるよう、X線不透過性の造影マーカーをシースの先端部に有する(例えば、特許文献1参照)。超音波カテーテルにおける超音波観察位置は、超音波振動子ユニットの位置になるが、特許文献1では、その近傍であるシース先端部に設けた造影マーカーを用いて、超音波振動子ユニットの位置を間接的に把握している。
【0005】
また、超音波振動子ユニットのハウジングを金や白金等のX線造影性の高い材料で形成する技術(例えば、特許文献2参照)や、駆動力伝達用シャフト先端にX線造影性の高いコイルを設置する技術(例えば、特許文献3参照)も提案されている。
【0006】
【特許文献1】特開平7−136169号公報
【特許文献2】特開2000−229083号公報
【特許文献3】特開2003−61963号公報
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載された技術の場合、造影マーカーの位置と超音波観察位置が一致せず、特にシースに対してイメージングコアが移動可能な超音波カテーテルでは、X線造影部と超音波観察位置との位置関係がずれてしまい、位置把握ができなくなる。また特許文献2に記載された技術の場合、超音波振動子ユニットのハウジングを白金や金などで形成すると、振動子を搭載し、回転するに足りる強度が得られない。また、ハウジングに高X線造影性の金属をメッキすることも考えられるが、明瞭に造影するには、所定以上にメッキ厚を上げなければならず、するとハウジングのサイズが大きくなり、回転走査時の回転特性が悪化したり、超音波カテーテルの患部通過性等が損なわれてしまう虞があった。
【0007】
また、特許文献3に記載された技術の場合は、駆動力伝達シャフトの回転性能を維持するには、造影コイルの長さや外径を小さくしなくてはならず、そうすると、X線造影上見え難いという問題があった。
【0008】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであって、超音波カテーテルとしての性能を損なわずに、超音波振動子ユニットの位置が明確になり、超音波観察部位を明瞭に識別することができる超音波カテーテルを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的は、以下の(1)〜(7)によって達成される。
【0010】
(1)体腔等の細径な管内に挿入される長尺のカテーテルシースと、該カテーテルシースの管腔内の基端から先端部近傍に渡って設けられた駆動力伝達用シャフトと、該駆動力伝達用シャフトの先端部に設けられたハウジングと、該ハウジングによって支持された超音波振動子と、該ハウジングによって支持され、先端方向に延伸する弾性体とを有する超音波カテーテルにおいて、前記弾性体が高X線造影性を有することを特徴とする超音波カテーテル。
【0011】
(2)前記弾性体が弾性を有する金属で形成され、その表面を高X線造影性を有する金属によって被覆されたものであることを特徴とする上記(1)に記載の超音波カテーテル。
【0012】
(3)該弾性体はコイル状であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の超音波カテーテル。
【0013】
(4)該弾性体は疎巻き部を有することを特徴とする上記(3)に記載の超音波カテーテル。
【0014】
(5)該弾性体は密着巻きと疎巻きが混在しているコイル状に形成されていることを特徴とする上記(4)に記載の超音波カテーテル。
【0015】
(6)前記カテーテルシースの先端部近傍を補強するための先端部材を有することを特徴とする上記(1)ないし(5)のいずれかに記載の超音波カテーテル。
【0016】
(7)前記弾性部材が前記先端部材内に回転可能に納まることを特徴とする上記(6)に記載の超音波カテーテル。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の超音波カテーテルを添付図面に示す好適構成例に基づいて詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の実施の形態に係る超音波カテーテルを示す側面図である。図2は図1に示した超音波カテーテルの先端部の部分断面図である。図3は図1に示した超音波カテーテルのイメージングコアの引き抜き状態を説明する図である。また、図4は、図1に示した超音波カテーテルの基端部の部分断面図と外部ユニットとの関係を示す模式図である。
【0019】
図1において、超音波カテーテル1は、体腔内に挿入される長尺のカテーテルシース2(以下、シース2と言う)と、使用者が操作するために体腔内に挿入されず使用者の手元側に配置されるコネクタ3により構成される。シース2の先端には、ガイドワイヤルーメン4が形成されており、シース2は、ガイドワイヤルーメン4との接続部からコネクタ3との接続部にかけて連続する管腔が形成されている。
【0020】
コネクタ3は、シース2の基端に一体化されたシースコネクタ3aと、図2に示される駆動シャフト53の基端に一体化された駆動シャフトコネクタ3bとからなる。シースコネクタ3aとシース2の境界部には、耐キンクプロテクタ32が設けられ、これにより剛性を急激な変化による折れ曲がり(キンク)を防止させている。また、駆動シャフトコネクタ3bには、シース2の管腔内全体を超音波伝達液で満たすため、シリンジ(図示せず)等の取付が可能な注入ポート31が備えられている。駆動シャフトコネクタ3bの基端は、後述するスキャナー装置と接続可能となっている。
【0021】
図2において、シース2の管腔内部には、超音波を送受信する超音波振動子ユニット50と、それを回転させるために後述する外部ユニットからの駆動力を伝達する駆動シャフト53とからなるイメージングコア5がシース2のほぼ全長にわたって挿通されている。超音波振動子ユニット50は、超音波振動子51と、それを保持するハウジング52からなり、ここから体腔内組織に向けて超音波の送受信が行われる。超音波振動子51からは複数の信号線(図示せず)がコイル状に形成された駆動シャフト53の内腔を手元側のコネクタ3内まで通っている。
【0022】
超音波振動子51は、矩形状あるいは円形状をしたPZT等からなる圧電材の両面に、電極を蒸着、印刷等により形成したものである。超音波振動子51の設置位置は、駆動シャフト53が回転ムラを引き起こさないように、超音波振動子51や図示しない背面材を組み込んだ状態におけるハウジング52の重心が、回転軸方向の中心付近となるような位置に設置される。
【0023】
ハウジング52は、短い円筒状の金属パイプを切欠いたような形態で、金属塊からの削り出しやMIM(金属粉末射出成形)等によって成形される。ハウジング52は、内部に超音波振動子51を保持固定し、その基端側には駆動シャフト53が接続され、先端側には短いコイル状の弾性部材54が設けられている。
【0024】
弾性部材54は、イメージングコア5の回転走査の際に回転安定性を向上させる作用を有するバネ性を持つステンレス鋼線材を、コイル状に形成したもので、表面には金メッキが施されている。金は、高いX線不透過性を有する金属であるため、弾性部材54は超音波カテーテル1が体腔内へ挿入された際に、X線撮像装置の映像下で造影され、術者が超音波振動子51の位置を知る足掛かりとなる。金メッキの厚みは、5〜50μmが好ましく、更に好ましくは15〜25μmである。厚みが少なすぎると、X線造影性が劣るため、X線撮像装置の映像下で確認が困難となり、逆に厚みが多すぎると、弾性部材54の弾性が損なわれ、イメージングコア5の回転走査の際に回転ムラ等を引き起こす原因となる。
【0025】
弾性部材54は、一部が疎巻きコイル状に加工されている。疎巻き部は、液体の流通を可能とするため、注入ポート31からシース2の管腔内生理食塩水等の超音波伝達液を注入するプライミング作業の際に、気泡が弾性部材54内に残留するのを防ぐことができる。弾性部材54の基部側は密巻き状に形成されており、ハウジング52とのロウ接合に強度的に有利な構造となっている。
【0026】
シース先端部21とガイドワイヤルーメン4との境界部には、プライミング作業で注入された超音波伝達液を外部に排出するための排出口25が設けられている。排出口25は、シース先端部21からガイドワイヤルーメン4の内表面まで通じ、先端部材26によって形成されている。なお、排出口25は、シース先端部21の外表面に直接開口したものであっても良い。
【0027】
先端部材26の基端側には、補強部材として補強コイル27が設けられている。補強コイル27は、先端部材26の基端で急激に物性が変化すると、シース2の折れ曲がりが発生する可能性があることから、折れ曲がり防止の目的で設けられている。また、同様の目的で、弾性部材54が補強コイル27の内部に一部侵入するよう構成されている。これにより、チューブ21の管腔内には全体を通して何らかの部材が存在していることとなり、急激な物性の変化点が存在しない構造となるため、チューブの折れ曲がり(キンク)が発生しにくい。また、ここで補強コイル27を白金やタングステン、金等の高X線造影性金属で形成することによって、体腔内挿入時にX線透視下で超音波カテーテル1の先端部の位置を確認することができる。
【0028】
ガイドワイヤルーメン4は、ガイドワイヤ100が挿入可能な孔を有する。ガイドワイヤ100は、予め体腔内に挿入して、カテーテル1を患部まで導くために使用される。カテーテル1は、ガイドワイヤ100をガイドワイヤルーメン4に通しながら患部まで導かれる。ガイドワイヤルーメン4を形成する壁内には、X線造影マーカ41が埋め込まれており、体腔内挿入時にX線透視下でカテーテル1の先端位置が確認できるようになっている。ガイドワイヤルーメン4は、シース先端部21を構成する樹脂層23の内側に比較的短いチューブ42を挿入、固定することによって形成される。チューブ42の軸方向長さは、10〜30mmが望ましく、15〜25mmが更に好適である。30mmより長いと、カテーテル1の先端から超音波振動子ユニット50までの距離が長すぎるため、血管深部の目的部位へ超音波振動子ユニット50を到達させるのが困難となる。また、10mmより短いと、ガイドワイヤへの追従性が悪くなる。
【0029】
駆動シャフト53は、シース2に対して回転及びスライド可能であり、柔軟でしかも手元側から先端側まで回転をよく伝達できる特性をもつ、例えば、ステンレス等の金属線からなる多重多層密着コイル等で構成されている。駆動シャフト53は、金属製の密巻きコイルからなる。回転駆動シャフト53は、柔軟性と回転トルク伝達特性を有するように、コイルが複数重ね巻された例えば3層構造のものであり、例えば、右巻き層−左巻き層−右巻き層というように、巻き方向を交互に変えた構成であって、外径が始端から終端まで一定とされた管状体である。このようにすれば、捩り力が加わったとき、各層のコイルが相互に締め付けることになり、確実にトルク伝達が行なわれる。ただし、巻き方向あるいは重ね巻きする層数は、各機種、性能などにより適宜選択自由である。駆動シャフト53の具体例としては、直径あるいは厚さが0.001〜0.5mmのステンレス鋼、ピアノ線、超弾性合金等の線材が、外径0.1〜4mmの中空のコイル状に形成されたものであり、人の冠状動脈用超音波カテーテルの場合、外径0.4〜1.0m、長さ1300〜1800mm程度のものが好適に用いられる。駆動シャフト53の回転数は、病理状況あるいは診断する部位によっても異なるが、一般的には、モニター画像が30フレーム/secであることから30回/secとされている。
【0030】
駆動シャフト53の回転により管腔内は、360度観察可能となるが、さらに広範囲を観察するには、駆動シャフト53を軸方向に移動すればよい。図3は、駆動シャフト53をシース2に対して相対的に移動させた様子を示す図である。図3に示すように、シースコネクタ3aを固定した状態で、駆動シャフトコネクタ3bを基端側に引き抜き移動させれば、内部の駆動シャフト53やその先端に固定された超音波振動子ユニット50が軸方向に移動することとなる。この軸方向の移動は、術者が手動で行なっても良いが、後述する外部ユニットにより電動で行なっても良い。シースコネクタ3aの内部には、駆動シャフト53を覆い、駆動シャフトコネクタ3bにその基端を固定されたパイプ33がスライド自在に挿入されている。パイプ33は、駆動シャフト53を基端側に引き出した際に、駆動シャフト53が外部にむき出しにならない目的で設けられている。パイプ33の先端には、シースコネクタ3aからの抜け落ち防止のためのストッパー34が設けられている。
【0031】
シース2は、後述する超音波の送受信用窓として作用するシース先端部21と、補強層24により補強されたシース基端部22からなる。シース先端部は超音波送受信の妨げとならないよう樹脂層23のみにより形成されている。シース基端部22は、樹脂層23の外表面に金属パイプや金属ワイヤのブレイド(編組)からなる補強層24を加え、さらにその外表面を外側樹脂層25で覆うことによって、補強層24を複数の樹脂層でサンドイッチにしたもので、コネクタ3に接続されている。補強層24は、金属パイプであれば先端側を密に、基端側を疎に、徐々に密度を変えた螺旋状のスリットを先端からの一部に入れることで先端側を柔軟にし、ブレイドであれば、編む角度を変更することで先端側を柔軟にすることが好ましい。
【0032】
樹脂層23は、シース2の全長にわたって設けられているが、柔軟で強度も有する材料、例えば、1層のポリエチレンが使用されている。ただし,これのみでなく、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリイミド、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂等の各種樹脂、ポリアミドエラストマー、ポリエステルエラストマー等の熱可塑性エラストマー、シリコーンゴム、ラテックスゴム等の各種ゴムも使用できる。
【0033】
このようにシース2は、基端部が、樹脂層23と、補強層24および外側樹脂層25の3層から構成され、中間部分は補強層の先端に柔軟な加工を施し、先端部が、樹脂層23のみから構成されることになるので、基端部から先端部に向かうほど柔軟となり、かつ先端側の方が外径が細くなるため、深部への到達性が良く、操作性が向上することになる。特に、1つの内腔を有し、この内腔内に駆動シャフト53を挿通し、駆動シャフト53の先端に超音波振動子ユニット50を設け、超音波振動子ユニット50が樹脂層23のみからなる先端部に位置しているので、この樹脂層23のみの先端が超音波窓となり、超音波の発信受信が円滑に行なわれ、超音波診断の精度あるいは操作性が向上することになる。
【0034】
また、カテーテル1を管腔に円滑に挿入できるように、カテーテル1の先端側外表面に、湿潤状態で潤滑性を有する親水性高分子物質よりなる潤滑層を形成してもよい。親水性高分子物質よりなる潤滑層は、カテーテル1の先端側である、ガイドワイヤルーメン4の外表面と、樹脂層23の外表面が露出している部分(補強層24の先端部付近)までに設けるのが望ましい。カテーテル1全体に高い潤滑性を付与すると、管腔内への挿入時に操作する手が滑って取扱いが難しくなるためである。また、親水性高分子物質よりなる潤滑層を設けない基端部側には、親水性高分子物質よりは潤滑性が低いものの、ある程度の潤滑性を有するシリコーン等の潤滑層を設けるのが望ましい。
【0035】
図4は、駆動シャフトコネクタ3bの断面図と、外部ユニットの構成を説明するための図である。外部ユニットは、モーター等の外部駆動源を内蔵するスキャナー装置61と、スキャナー装置61を把持しモーター等により軸方向へ移動させる軸方向移動装置62と、スキャナー装置61と軸方向移動装置62を制御する制御部63と、超音波振動子ユニット50によって得られた画像を表示する表示部64とからなる。軸方向移動装置62には、スキャナー装置61を把持固定するスキャナー把持部621と、シースコネクタ3aを把持するコネクタ把持部622が含まれる。
【0036】
駆動シャフトコネクタ3bは、プライミングのため生理食塩液を注入するポート31を有する。回転駆動シャフト53の基端側は、生理食塩液をシールするためのOリング35を通って、スキャナー装置61に設けられたモーター(図示せず)の回転を回転駆動シャフト53に伝達するローター36に接続している。ローター36には超音波振動子51に接続された信号線511,512の基端がつながる雄コネクタ37が接続され、スキャナー装置61に設けられた図示しない雌コネクタと電気的に接続される。
【0037】
スキャナー装置61は、雄コネクタ37に接続することによって、超音波振動子ユニット50からの信号の送受信を行うと同時に、駆動シャフト53を回転させる駆動力を伝達する。
【0038】
本発明の超音波カテーテル1における超音波の走査(スキャン)は、スキャナー装置61内のモータの回転運動を駆動シャフト53に伝達し、駆動シャフト53の先端に固定されたハウジング52を回転させることによって、ハウジング52に設けられた超音波振動子51で送受信される超音波を略径方向に走査することによって行われる。ここで得られる超音波画像は、血管内の横断面像である。また、超音波カテーテル1全体、あるいは駆動シャフトコネクタ3bを手元側へ引っ張り、駆動シャフト53を長手方向に移動させることによって、血管内の軸方向にわたる包囲組織体における360°の断面画像を任意の位置まで走査的に得ることができる。
【0039】
次に、本発明の操作方法と作用について、人の冠状動脈用超音波カテーテルとして用いる例を基に説明する。
【0040】
まず、滅菌された超音波カテーテル1を用意し、シース2の内部を生理食塩液等の超音波伝播物質で満たすプライミング操作を行う。プライミング操作は、シースコネクタ3bに設けられた注入ポート31にシリンジを取り付けることによって行う。
【0041】
次に、患者の大腿部若しくは上腕部の動脈から超音波カテーテル1を血管内へ挿入する。ここでの挿入作業は、一般のPTCA用カテーテルと全く同様であるので図示は省略するが、イントロデューサシースの導入、イントロデューサシース内へのガイディングカテーテルとガイドワイヤの導入が行われ、超音波カテーテル1は、ガイドワイヤルーメン4に挿入したガイドワイヤ100に沿って、ガイディングカテーテル内を進めていくものである。ガイデイングカテーテルは、心臓内の冠状動脈の入口に先端を位置させ、冠状動脈内はガイドワイヤ100と超音波カテーテル1のみが進入することとなる。
【0042】
体内に挿入すると、弾性部材54は補強コイル27の内部に収納されているため、蛇行血管などの湾曲がきつい部位で進める際にもシース2がキンク(折れ曲がり)することがない。
【0043】
体内に挿入された状態では、術者は、X線撮影像上でのみ各カテーテルの位置を確認することが出来る。本発明の超音波カテーテル1においては、X線撮影像上に3つのX線不透過部(弾性部材54、補強コイル27、X線造影マーカ41)が明瞭に描出される。こうして術者は、X線造影マーカ41により超音波カテーテル1の先端部の位置を認知することができる。また、弾性部材54により、超音波振動子51の位置を認知することもできる。超音波振動子51がシース2の内部を移動した場合においても、術者は弾性部材54により血管壁の超音波断層像を得る点である超音波振動子51の位置を常に確認することが可能である。また、補強コイル27は、超音波振動子51の初期状態の位置を示しているので、超音波振動子51が軸方向後方に移動した場合の移動距離を視覚的に瞬時に把握することができる。従って、弾性部材54および補強コイル27、X線造影マーカ41は、それぞれ重要な役割を有することとなる。
【0044】
また、血管などの湾曲部位では、弾性部材54が補強コイル27やシース2の内表面に当接するため、駆動シャフト52は安定した回転特性が得られる。また、弾性部材44に疎巻き部分があるため、手元から生理食塩液をフラッシュした場合、超音波振動子51上の気泡を外部に向かって排除しやすい。
【0045】
以上、本発明の超音波カテーテルを図示の実施例に基づいて説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、弾性部材54にX線造影性を付与する方法としては、ステンレス鋼への金メッキに限らず、タングステンやプラチナ合金など高弾性と高X線造影性を両立する金属で直接形成したり、これらと、金メッキとの組合わせであっても良い。
【0046】
【発明の効果】
以上述べたごとく、本発明の超音波カテーテルによれば、超音波振動子ユニットの先端側に接続された弾性部材にX線造影性付与手段を付加させたことで、観察部位がX線造影所見で明瞭に識別可能になる。したがって、超音波振動子を移動させた場合であっても常に位置を把握できるため、手術の効率が向上し、ひいては操作者の不快感や疲労感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る超音波カテーテルを示す側面図である。
【図2】本発明に係る超音波カテーテルの先端部の部分断面図である。
【図3】本発明に係る超音波カテーテルのイメージングコアの引き抜き状態を説明する図である。
【図4】カテーテル1の基端部の構造を示す断面図と、外部ユニットとの関係を示す概念図である。
【符号の説明】
1 超音波カテーテル
2 シース
3 コネクタ
4 ガイドワイヤルーメン
51 超音波振動子
52 ハウジング
53 駆動シャフト
54 弾性部材
Claims (7)
- 体腔等の細径な管内に挿入される長尺のカテーテルシースと、該カテーテルシースの管腔内の基端から先端部近傍に渡って設けられた駆動力伝達用シャフトと、該駆動力伝達用シャフトの先端部に設けられたハウジングと、該ハウジングによって支持された超音波振動子と、該ハウジングによって支持され、先端方向に延伸する弾性体とを有する超音波カテーテルにおいて、前記弾性体が高X線造影性を有することを特徴とする超音波カテーテル。
- 前記弾性体が弾性を有する金属で形成され、その表面を高X線造影性を有する金属によって被覆されたものであることを特徴とする請求項1に記載の超音波カテーテル。
- 該弾性体はコイル状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の超音波カテーテル。
- 該弾性体は疎巻き部を有することを特徴とする請求項3に記載の超音波カテーテル。
- 該弾性体は密着巻きと疎巻きが混在しているコイル状に形成されていることを特徴とする請求項4に記載の超音波カテーテル。
- 前記カテーテルシースの先端部近傍を補強するための先端部材を有することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の超音波カテーテル。
- 前記弾性部材が前記先端部材内に回転可能に納まることを特徴とする請求項6に記載の超音波カテーテル。
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US9943667B2 (en) | 2010-03-16 | 2018-04-17 | Terumo Kabushiki Kaisha | Guide wire and catheter assembly |
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2003
- 2003-05-21 JP JP2003142992A patent/JP4280112B2/ja not_active Expired - Lifetime
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