JP2004344106A - 片軸受リール - Google Patents
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Abstract
【課題】片軸受リールにおいて、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくする。
【解決手段】片軸受リールは、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、釣り竿に装着されるリール本体1と、スプール軸2と、スプール3とを備えている。スプール軸2は、両端が開口するパイプ形状であり、リール本体1に一端が開口された状態で片持ち固定されている。スプール3は、スプール軸2に回転自在に装着され、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部15、糸巻胴部15の軸方向内側に設けられ糸巻胴部より大径の第1フランジ16、及び糸巻胴部の軸方向外側に第1フランジ16と対向して設けられた第2フランジ17を有している。
【選択図】 図2
【解決手段】片軸受リールは、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、釣り竿に装着されるリール本体1と、スプール軸2と、スプール3とを備えている。スプール軸2は、両端が開口するパイプ形状であり、リール本体1に一端が開口された状態で片持ち固定されている。スプール3は、スプール軸2に回転自在に装着され、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部15、糸巻胴部15の軸方向内側に設けられ糸巻胴部より大径の第1フランジ16、及び糸巻胴部の軸方向外側に第1フランジ16と対向して設けられた第2フランジ17を有している。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り用リール、特に、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取る片軸受リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
片軸受リールは、一般に、フライを使用する渓流釣りや筏や波止場や船から比較的浅場の魚を釣るのに使用される。片軸受リールは、リール本体と、リール本体に片持ち支持されたスプール軸と、スプール軸に回転自在に装着された糸巻用のスプールとを有している(たとえば、特許文献1参照)。リール本体は円板状の側板を有している。側板の外周には、軸方向に延びる上下1対のスプール保護部が形成されている。一方のスプール保護部には、釣り竿に取り付けるための竿装着部が形成されている。また、他方の保護部には、釣り糸を係止するための釣り糸係止部が設けられている。
【0003】
この種の片軸受リールでは、スプール軸は比較的小径の軸であり、本体部の中心にねじ込み固定されている。スプールはスプール軸に軸受を介して回転自在に装着されており、スプール軸に対して着脱自在になっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−253083号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、スプール軸が小径な軸であるため、スプールやスプール軸やリール本体等の部品の形状がスプール軸によって制限されて片軸受リールに対して新規な意匠を提供しにくい。また、スプールの糸巻胴部の直径が小径になり、細い釣り糸を巻くときにスペーサを装着するなどの手間が必要になる。そこで、スプール軸の直径を太くして糸巻胴部の直径を大きくすることが考えられる。しかし、スプール軸を太くすると重量が増加して軽量化を図りにくい。
【0006】
本発明の課題は、片軸受リールにおいて、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることにある。
本発明の別の課題は、片軸受リールに対して新規な意匠を提供できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る片軸受リールは、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、釣り竿に装着されるリール本体と、スプール軸と、スプールとを備えている。スプール軸は、両端が開口するパイプ形状であり、リール本体に一端が開口された状態で片持ち固定されている。スプールは、スプール軸に回転自在に装着され、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部、糸巻胴部の軸方向内側に設けられ糸巻胴部より大径の第1フランジ、及び糸巻胴部の軸方向外側に第1フランジと対向して設けられた第2フランジを有している。
【0008】
この片軸受リールでは、スプール軸がパイプ形状で両端が開口している。また、スプール軸は、一端が開口された状態でリール本体に片持ち支持されている。このスプール軸にスプールが回転自在に装着されている。ここでは、両端が開口するスプール軸がパイプ形状であるので、重量の増加を抑えてスプール軸を太くすることができる。このため、糸巻胴部の径を大きくすることができ、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることができる。また、両端が開口したスプール軸がリール本体に一端が開口された状態で固定されているので、スプール軸の中心部が素通しとなり従来の片軸受リールと異なる新規な意匠を提供できる。
【0009】
発明2に係る片軸受リールは、発明1に記載のリールにおいて、スプール軸の開口径は、第1フランジ部の外径の30〜70%の範囲である。スプール軸の開口径が第1フランジ部の外径の30%未満であると、糸巻き量は多くなるが軽量化を図りにくくなる。また、70%を超えると、軽量化を図れるが糸巻き量が極端に少なくなる。
【0010】
発明3に係る片軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールは、糸巻胴部の内周面とスプール軸の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置された第1及び第2軸受によりスプール軸に回転自在に支持されている。この場合には、スプール軸の外側外周面の2箇所に第1及び第2軸受が配置されているので、スプール軸の支持構造が簡素になる。
【0011】
発明4に係る片軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールは、第2フランジから径方向内方に延びる内フランジと、内フランジの内周端からスプール軸と間隔を隔てて配置された内筒部とをさらに有し、糸巻胴部の第1フランジ側内周部とスプール軸の外周面との間に配置された第1軸受及び内筒部の外周面とスプール軸の軸方向外側内周面との間に配置された第2軸受により、スプール軸に回転自在に支持されている。この場合には、スプール軸の内側外周面と外側内周面の2箇所でスプールが支持されている。
【0012】
発明5に係る片軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールは、第2フランジから径方向内方に延びる内フランジと、内フランジの内周端からスプール軸と間隔を隔てて配置されされ前記糸巻き胴部に対向して配置された内筒部とをさらに有し、内筒部の外周面とスプール軸の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置された第1及び第2軸受によりスプール軸に回転自在に支持されている。この場合には、スプール軸の内周面の2箇所でスプールが支持されている。
【0013】
発明6に係る片軸受リールは、発明1から5のいずれかに記載のリールにおいて、第2フランジは少なくとも糸巻胴部及び前記第1フランジのうちいずれか一方と異なる材料により形成されている。この場合には、スプールが異なる材料で形成可能であるので、外観に現れる第2フランジを高級感のある金属製にすることで美観を向上するとともに表面の穴あけ等の加工が容易になる。一方、外観に現れにくい糸巻胴部及び第1フランジを低コストの合成樹脂で形成して軽量化を図ることができる。
【0014】
発明7に係る片軸受リールは、発明1から6のいずれかに記載のリールにおいて、スプール軸の外径は、糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲にある。この場合には、糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲にスプール軸の外径があるので、スプール軸の大径化を図りつつスプールの軽量化を図ることができる。発明8に係る片軸受リールは、発明1から7のいずれかに記載のリールにおいて、スプールとリール本体との間に設けられ、スプールの回転により発音する発音手段をさらに備える。この場合には、スプールが回転すると発音するので、魚の当たりをとりやすい。
【0015】
発明9に係る片軸受リールは、発明8に記載のリールにおいて、発音手段は、スプールの糸繰り出し方向の回転と糸巻取方向の回転とで異なる音を発音する。この場合には、糸巻取方向と糸繰り出し方向とで異なる音を発生するので、音により回転方向を識別できる。
発明10に係る片軸受リールは、発明8又は9に記載のリールにおいて、発音手段を、発音可能状態と発音不能状態とに切り換える発音切換手段をさらに備える。この場合には、発音可能状態と発音不能状態とに切り換えできるので、発音不能状態にすることにより発音による回転抵抗の増加を抑えて釣り糸を素早く繰り出すことができる。
【0016】
発明11に係る片軸受リールは、発明8から10のいずれかに記載のリールにおいて、発音手段は、スプールの回転に抵抗を付与する抵抗付与手段を有する。この場合には、発音機能と抵抗付与機能とをひとつの機構で実現できるとともに、釣り糸の無駄な繰り出しを防止できる。
発明12に係る片軸受リールは、発明1から8のいずれかに記載のリールにおいて、スプールとリール本体との間に設けられ、スプールの糸繰り出し方向の回転に抵抗を付与する抵抗付与手段をさらに備える。この場合には、仕掛けに魚がかかって設定された抵抗以上の力が釣り糸に作用するとスプールが糸繰り出し方向に回転するので、釣り糸が切れにくくなる。
【0017】
発明13に係る片軸受リールは、発明1から12のいずれかに記載のリールにおいて、スプールをスプール軸からワンタッチで着脱可能なスプール着脱手段をさらに備える。この場合には、スプールをワンタッチで着脱できるので、釣り糸の変更やスプールの変更が容易である。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明の一実施形態を採用した片軸受リールは、図1及び図2に示すように、リール本体1と、リール本体1に片持ち支持されたスプール軸2と、スプール軸2に対して相対回転自在に配置され外周に釣り糸が巻かれるスプール3と、スプール3の一方向の回転を制動するドラグ機構(抵抗付与手段の一例)4、スプール3をスプール軸2からワンタッチで着脱可能なワンタッチ着脱機構5を備えている。
【0019】
リール本体1は、一方側(図2左側)に円板状の側板10を有し、他方側は開放されている。側板10の外周には、軸方向に延びる上下1対の保護部11a,11bが形成されている。図2における上側の保護部11aには、この片軸受リールを釣竿に取り付けるための取付部12が設けられている。下側の保護部11bには、スプール3に巻き付けられる釣り糸の端を係止するための釣り糸係止部13が設けられている。
【0020】
スプール軸2は、両端が開口するパイプ形状の金属製の軸であり、その一端(図2左端)がリール本体1の側板10の中心部を貫通して側板10に片持ち固定されている。スプール軸2の一端外周にはリール本体1の側板10の中心にねじ込まれる雄ネジ部2aが形成されている。この雄ネジ部2aは、リール本体1の側板10の中心部から外方に突出している。また、スプール軸2の雄ねじ部2aに近接する位置には環状の突出部2bが形成されている。この突出部2bが側板10の内面に接触してスプール軸2が位置決めされている。スプール軸2の先端には、ワンタッチ着脱機構5を構成する環状の係合溝2cが形成されている。スプール軸2の開口径(スプール軸の内径)は、後述するスプール3の第1フランジ16の外径の30%から70%の範囲である。スプール軸2の開口径が第1フランジ部16の外径の30%未満であると、糸巻き量は多くなるが軽量化を図りにくくなる。また、70%を超えると、軽量化を図れるが糸巻き量が極端に少なくなる。
【0021】
スプール3は、たとえば合成樹脂又は軽合金製の部材であり、図2に示すように、内部空間3aを有する筒状の糸巻胴部15と、糸巻胴部15の内側部に糸巻胴部15と一体で形成された円板状の第1フランジ16と、糸巻胴部15の外側部に糸巻胴部15と一体で形成された円板状の第2フランジ17と、内部空間を塞ぐ端面部材18とを有している。
【0022】
糸巻胴部15は、スプール軸2の外径が糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲となるような大きさに設定されている。このように設定すると、スプール軸2の大径化を図りつつスプール3の軽量化を図ることができる。第1フランジ16はリール本体1の側板10と対向するように形成されている。第2フランジ17は、第1フランジ16と対向して外側に配置されている。第2フランジ17は、リール本体1の保護部11a.11bを覆うような大きさで形成されており、外側面には装飾及び軽量化のための孔部17aが多数形成されている。
【0023】
端面部材18は、スプール3の内部空間3aのうち、スプール軸2の先端側を塞いでいる。端面部材18は、スプール軸2の内周面と略同径の中心孔18aを有している。端面部材18はたとえば6本のボルト20により第2フランジ17に装着されている。第2フランジ17の外面で外周近くにはハンドル48が取り付けられている。ハンドル48は、第2フランジ17に立設されたハンドル軸50に回転自在に支持されており、ハンドル48をつかんだままでのスプール3の回転操作を容易にしている。
【0024】
スプール3の内部空間3a内には、スプール3をスプール軸2に対して回転自在に支持する1対の玉軸受21a,21bと、スプール3の釣り糸繰り出し方向の回転時に連結されるローラクラッチ23が設けられている。また、ドラグ機構4が、側板10のスプール軸2の周囲に設けられている。
玉軸受21a,21bは、糸巻胴部15の内周面とスプール軸2の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置されている。玉軸受21aはローラクラッチ23と後述するドラグ機構4の回転円板40に挟まれて配置されている。玉軸受21bは、スプール軸2の外周面に装着され端面部材18により押圧されたカラー19aによりスプール3に保持されている。スプール3の着脱時には、玉軸受21aは、ローラクラッチ23とともにスプール軸2上に残り、玉軸受21bは、スプール3とともにスプール軸2から外される。
【0025】
ローラクラッチ23は、スプール3に着脱自在に装着され、ドラグ機構4が糸繰り出し方向でのみ作動するように設けられている。ローラクラッチ23は、スプール3の内部空間3aに回転不能に装着された外輪25と、スプール軸2に回転自在に装着された内輪26と、両輪25、26の間に両者に接触可能に配置された、たとえば6つのローラ27とを有する内輪遊転形のものである。内輪26は、スプール軸2の外周面にはめられた止め輪19bにより軸方向外方(図2右方)への移動が規制されている。
【0026】
両輪25、26の間には、ローラ27を周方向に間隔を隔てて保持するための合成樹脂製のリテーナ(図示せず)が装着されている。リテーナには、ローラ27を周方向に所定距離移動可能に保持するための保持空間が形成されている。保持空間の周方向の一側には、糸繰り出し方向(ローラ27が両輪25、26に食い込む方向)に付勢するためのバネ部材(図示せず)が一体で形成されている。
【0027】
ドラグ機構4は、内輪に回転不能に係止される回転円板40と、リール本体1にスプール軸2に沿う軸方向に移動自在かつ回転不能に装着された押圧円板41及び回転円板40に圧接可能な制動円板42と、リール本体1に軸方向に移動可能に設けられ制動円板42を回転円板40側に圧接するための圧接機構43とを有している。
【0028】
回転円板40は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、内周部に内輪26の係止突起26aに係止される1対の係止溝40aを有している。
押圧円板41は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、径方向の中間部には、周方向に等間隔に配置されたたとえば3つの丸孔41aが形成されている。制動円板42は、たとえばナイロン66等の合成樹脂製の部材である。
【0029】
圧接機構43は、操作つまみ51と、操作つまみ51により押圧されるコイルばね52と、コイルばね52により押圧されるワッシャ53と、ワッシャ53により押圧される、たとえば3本の押圧ピン54(図2では2本のみ図示)とを有している。
操作つまみ51は、縁付き皿状のつまみ部51aと、つまみ部51aの中心に一体形成されたボス部51bとを有している。ボス部51bは、スプール軸2の先端に形成された雄ネジ部2aに螺合している。
【0030】
コイルばね52は、ボス部51bの外周側に装着されており、操作つまみ51の回転により伸縮してドラグ力を細かく調整するために設けられている。ワッシャ53は、コイルばね52の付勢力を押圧ピン54に伝達するために設けられている。押圧ピン54は、先端側が小径の段付きピンであり、側板10に周方向に等間隔に3箇所に形成された貫通孔10aに大径部分が軸方向移動自在に装着されている。押圧ピン54の先端は、押圧円板41に形成された丸孔41aに挿通されており、押圧円板41をリール本体1に対して回転不能に係止している。押圧ピン54の段差部分は押圧円板41に当接している。これにより押圧円板41は押圧ピン54により押圧される。コイルばね52のバネ力を操作つまみ51の回動操作により調整することで、制動円板42と回転円板40との摩擦力が変化しドラグ力を調整できる。
【0031】
ワンタッチ着脱機構5は、スプール軸2に形成された環状の係合溝2cと、概略L字形の板状をなし一端が支持ピン70に旋回自在に支持された係脱部材71と、係脱部材71の他端に固定された突起状の着脱つまみ72とを有している。支持ピン70は端面部材18に装着されている。係脱部材71は、係合溝2cに係合可能な係合位置と、係合溝2cから離脱した係合解除位置とを取り得る。
【0032】
係脱部材71は、その側部に配置されたリターンばね(図示せず)によって常に係合位置に向けて付勢されている。リターンばねは、たとえばヘアピン状に屈曲した帯状の板ばね材料からなり、拡がろうとする弾発力が係脱部材71を係合位置へと付勢する力を生じさせる。着脱つまみ72を操作しない限り、係脱部材71は常にスプール軸2の係合溝2cに係止し、スプール軸2からスプール3が抜け出るのを阻止する。
【0033】
図1にも示すように、着脱つまみ72は、スプール3の端面部材18に貫通する円弧状の長孔からなる遊動孔18dに挿通されて端面部材18の外部に露出している。遊動孔18dに沿って着脱つまみ72が移動すると、係脱部材71も着脱つまみ72とともに移動するが、着脱つまみ72の移動位置がいずれの位置であっても、係脱部材71が遊動孔18dの内面側を塞ぐ。具体的には、L字形をなす係脱部材71の短辺部分の面積が、遊動孔18dの幅及び長さに比べて十分に広く設定されていて、遊動孔18dを塞ぐ遮蔽面71aとなる。このような遮蔽面71aを備えていることで、遊動孔18dを通じて外部から内部空間3aへと水や塵埃その他の異物が浸入するのを防ぐことができる。
【0034】
次にリールの動作について説明する。
図示していないが、スプール3の糸巻胴部15の外周には釣り糸が巻かれる。釣り糸を巻き取る際には、ハンドル48を操作してスプール3を回転させる。スプール3はスプール軸2に対して相対回転する。このとき、ローラクラッチ23は遮断されるので、外輪25は自由に回転してスプール3の巻き取り方向の回転は許容される。このため、スプール3はスムーズに回転する。
【0035】
スプール3から釣り糸を繰り出す際には、スプール3は前記とは逆方向に回転する。このとき、ローラクラッチ23は、連結されるので、内輪26も外輪25とともに回転しようとする。しかし、内輪26は、回転円板40を介して制動円板42により制動されているので、回転力に対してコイルばね52により設定された抵抗力(ドラグ力)が作用している。このため、スプール3が必要以上に回転して釣り糸が過剰に引き出されるのを防止でき、糸からみを避けることができる。
【0036】
次に、この片軸受リールは、スプール3をリール本体1及びスプール軸2からワンタッチで取り外すことができる。
着脱つまみ72をリターンばね73の付勢力に対向して操作し、係脱部材71をスプール軸2の係合溝2cから離脱させる。着脱つまみ72を離脱位置に維持したままで、スプール3をスプール軸2から抜き出す。スプール軸2には、ローラクラッチ23や玉軸受21aが装着されたままで、スプール3はスプール軸2から取り外される。
【0037】
このように構成された片軸受リールでは、両端が開口するスプール軸2がパイプ形状であるので、重量の増加を抑えてスプール軸2を太くすることができる。このため、糸巻胴部15の径を大きくすることができ、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることができる。また、両端が開口したスプール軸2がリール本体1に一端が開口された状態で固定されているので、スプール軸2の中心部が素通しとなり従来の片軸受リールと異なる新規な意匠を提供できる。
【0038】
なお、前記実施形態では、ドラグ作動時に発音する発音機構や操作つまみ51の操作に発音する発音機構を開示していないが、特開2000−201600号公報に開示されたように、それらの発音機構を設けることもできる。
〔第2実施形態〕
図3〜図5に示すように、ドラグ機構を設けずに抵抗付与機能を有する発音機構80を設けてもよい。
【0039】
片軸受リールは、リール本体101と、リール本体101に片持ち支持されたスプール軸102と、スプール軸102に対して相対回転自在に配置され外周に釣り糸が巻かれるスプール103と、スプール103の回転により発音する発音機構80とを備えている。リール本体101は、おおむね第1実施形態は同様な構造であり、側板110と第1及び第2保護部111a,111bとを有している。また、取付部112及び釣り糸係止部113を有している。
【0040】
スプール軸102は、両端が開口するパイプ形状の金属製の軸であり、その一端(図2左端)がリール本体1の側板10の中心部を貫通して側板10に片持ち固定されている。リール本体101の側板110の中心部を貫通して外部に延びる雄ねじ部102aを有しており、雄ねじ部102aに螺合するナット114によりリール本体101の側板110に片持ち固定されている。また、スプール軸102の雄ねじ部102aに近接する位置には環状の突出部102bが形成されている。この突出部102bが側板110の内面に接触してスプール軸102が位置決めされている。スプール軸102の先端には、ワンタッチ着脱機構105を構成する環状の係合溝102cが形成されている。
【0041】
スプール103は、たとえば合成樹脂又は軽合金製の部材であり、図3に示すように、内部空間103aを有する筒状の糸巻胴部115と、糸巻胴部115の内側部に糸巻胴部115と一体で形成された円板状の第1フランジ116と、糸巻胴部115の外側部に糸巻胴部115と一体で形成された円板状の第2フランジ117と、内部空間を塞ぐ端面部材118とを有している。
【0042】
糸巻胴部115は、第1実施形態と同様にスプール軸2の外径が糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲となるような大きさに設定されている。第1フランジ116はリール本体101の側板110と対向するように形成されている。第2フランジ117は、第1フランジ116と対向して外側に配置されている。第2フランジ117は、リール本体1の保護部111a.111bを覆うような大きさで形成されている。
【0043】
端面部材118は、スプール103の内部空間103aのうち、スプール軸102の先端側を塞いでいる。端面部材118は、スプール軸102の外周側に配置される中心孔118aを有している。端面部材118はたとえば6本のボルト120により第2フランジ117に装着されている。第2フランジ117の外面で外周近くにはハンドル148が取り付けられている。ハンドル148は、第2フランジ117にねじ止めされたハンドル軸150に回転自在に支持されており、ハンドル148をつかんだままでのスプール103の回転操作を容易にしている。
【0044】
スプール103の内部空間103a内には、スプール103をスプール軸102に対して回転自在に支持する1対の玉軸受121a,121bと、スプール103をスプール軸102に着脱自在に係止するためのワンタッチ着脱機構105とが設けられている。また、発音機構80がスプール103と側板110との間に設けてられている。
【0045】
玉軸受121a,121bは、糸巻胴部115の内周面とスプール軸2の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置されている。玉軸受121aは突出部102bとスプール軸102の外周に装着された止め輪119aとに挟まれて配置されている。玉軸受121bは、スプール軸102の外周面に装着され端面部材118により押圧されてスプール103に保持されている。スプール103の着脱時には、玉軸受121aは、スプール軸102上に残り、玉軸受121bは、スプール103とともにスプール軸102から外される。
【0046】
発音機構80は、図4〜図6に示すように、スプール103の第1フランジ117に設けられた歯付きリング81と、歯付きリング81に先端が接触可能に側板110に揺動自在に設けられた爪部材82と、爪部材82に接触する発音可能状態(図6)と歯付きリング81から離反する発音不能状態(図5)とに切り換える切換機構83とを有している。
【0047】
歯付きリング81は、スプール軸102と同芯に配置されており、第1フランジ116の背面にたとえば皿ねじ84などの適宜の締結手段により固定されている。歯付きリング81の外周部には、多数の歯部81aが周方向に並べて形成されている。歯部81aの矢印Aで示す釣り糸巻き取り方向の上流側の傾斜は下流側の傾斜よりきつくなっている。これにより、釣り糸巻き取り時と釣り糸繰り出し持とで異なる音が発生するようになっている。また、釣り糸巻き取り時より釣り糸繰り出し時の方が抵抗が強くなるようになっている。
【0048】
爪部材82は、側板110の内面に揺動自在に装着されている。側板110に内方に向けて突出して立設された揺動軸86に揺動自在に装着される円筒状の装着部82aと、装着部82aから径方向外方に延び歯付きリング81の歯部81aに先端が接触する爪部82bと、装着部82aから爪部82bと異なる方向に延び切換機構83が接触する係合凸部82cとを有している。爪部82bの先端は発音可能状態のとき歯部81aの間にある接触位置に配置され、スプール103の回転により歯部81aへの衝突を繰り返す。また、発音不能状態のとき、歯部81aから離反する位置に離反配置される。爪部材82は、一端がリール本体101に係止された捩じりコイルばね85により、図6に示す接触位置に向けて付勢されている。
【0049】
切換機構83は、発音位置(図6)と発音解除位置(図5)とに揺動自在な切換レバー88と、切換レバー88を発音位置と発音解除位置とに振り分けて付勢するトグルばね89とを有している。切換レバー88は、側板110に内外を貫通して回動自在に装着された円筒状の装着部88aと、装着部88aの側板110の外側から放射状に延びる操作レバー部88bと、装着部88aの側板110の内側から操作レバー部88と異なる方向に放射状に延びる押圧レバー部88cと、両レバー部88b,88cの間で側板110の内側で放射状に延びるばねレバー部88dとを有している。操作レバー部88bは、側板110の外方に突出する長さで形成されている(図4)。押圧レバー部88cは、先端に係合凸部82cに接触する押圧突起88eを有している。この押圧突起83eは、切換レバー88が発音解除位置にあるとき、係合凸部82cに接触して、爪部材82を離反位置に配置し発音不能状態にする。また、発音位置にあるとき、爪部材82の係合凸部82cから離反する。この結果、爪部材82は、捩じりコイルばね85により接触位置に配置され発音可能状態になる。ばねレバー部88dの先端には、トグルばね89が係止されている。
【0050】
ワンタッチ着脱機構105は、第1実施形態と略同様な構成であり、係合溝102cと、一端が支持ピン170に旋回自在に支持された係脱部材171と、係脱部材171の他端に固定された突起状の着脱つまみ172とを有している。
このような構成の片軸受リールでは、切換レバー88を図6に示すように発音位置にすると、押圧突起83eが係合凸部82cから離反する。押圧突起83eが離反すると、捩じりコイルばね85により、発音機構80の爪部材82が接触位置に配置され発音可能状態になる。この結果、スプール103が回転すると爪部材82が振動して音が発生する。このとき、スプール103の回転方向に応じて異なる音が発生する。また、スプールの回転に対する抵抗力が糸巻取方向の方が軽くなる。また、切換レバー88を図5に示すように、発音解除位置にすると、押圧突起83eが係合凸部82cに接触して、爪部材82を離反位置に配置して発音不能状態にする。この結果、スプール103が回転しても発音しない。その代わり、スプール103に対する回転抵抗が減少して釣り糸を素早く繰り出せる。
【0051】
〔第3実施形態〕
前記第1及び第2実施形態では、軸受をスプール軸の外周に間隔を隔てて配置したが、図7に示すように、玉軸受221a及び玉軸受221bをスプール軸103の外周及び内周に間隔を隔てて配置してもよい。なお、第2実施形態と異なる構成を中心に以下に説明し、発音機構80等の第2実施形態と構成が同じものについての説明は省略する。
【0052】
第2フランジ217に装着された端面部材218は、第2フランジ217から径方向内方に延びる内フランジ218bと、内フランジ218bの内周端からスプール軸202の内周面と間隔を隔てて配置される内筒部218cとを有している。内フランジ218bは、たとえば6本のボルト220により第2フランジ217に装着されている。
【0053】
第1軸受221aは、第2実施形態と同様に糸巻胴部215の第1フランジ216側内周部とスプール軸202の外周面との間に配置され、第2玉軸受221bは、内筒部218cの外周面とスプール軸202の内周面との間に配置されている。
〔第4実施形態〕
前記3つの実施形態では、スプールを同一材料で一体形成したが、スプールの外側面に配置され外部から常に見えるる第2フランジは、少なくとも糸巻胴部及び第1フランジのうちいずれか一方と異なる材料により形成されていてもよい。なお、第2実施形態と異なる構成を中心に以下に説明し、発音機構80等の第2実施形態と構成が同じものについての説明は省略する。
【0054】
図8に示すように、第4実施形態では、外から見える第2フランジ317が、たとえばアルミニウム合金やマグネシウム合金やステンレス合金などの金属製であり、外側からは見えにくい糸巻胴部315及び第1フランジ316が合成樹脂製で一体形成されている。なお、第2フランジ317は、アルミニウム合金をプレス成形して形成するのが好ましい。
【0055】
また、第4実施形態では、スプール303は、第3実施形態と同様に内フランジ318bと内筒部318cとを有する端面部材318を有している。内筒部318cは、第3実施形態と異なりスプール303の糸巻胴部315の全長にわたる長さで延びている。そして、内筒部318cの両端外周面とスプール軸302の内周面との間に第1及び第2玉軸受321a,321bが間隔を隔てて配置されている。
【0056】
端面部材318は、第2フランジ317とともにたとえば6本のボルト320により糸巻胴部315に装着されている。なお、端面部材318を装着するボルトと第2フランジ317を装着するボルトを共用せずに別にしてもよい。
このような片軸受リールでは、スプール303は、合成樹脂により一体成形された糸巻胴部315及び第1フランジ316と、アルミニウム合金製の第2フランジ317とで構成されている。ここでは、糸巻胴部315及び第1フランジ316と第2フランジ317とを別体で形成可能であるので、スプール303を一体成形する場合と比べて、容易に形成することができる。
【0057】
また、スプール303が異なる材料で形成可能であるので、外観に現れる第2フランジ317を高級感のある金属製にすることで美観を向上するとともに表面の穴あけ等の加工が容易になる。一方、糸巻胴部315及び第1フランジ316を低コストの合成樹脂で形成して軽量化を図ることができる。
〔他の実施形態〕
(a)前記第2から第4実施形態では、発音機構80をリール本体に設けた爪部材とスプールに設けた歯付きリングとで構成したが、爪部材をスプールに設け歯付きリングをリール本体に設けてもよい。また、発音機構はスプールの回転により発音するものであれば、爪部材と歯付きリングに限定されずどのような形態でもよい。さらに切換機構を設けなくてもよい。
【0058】
(b)前記第4実施形態において、第2フランジ317等の金属製部材はプレス加工により形成されていたがこれに限定されるものではない。たとえば、ダイカスト成形や鍛造等の方法を用いて形成してもよい。
(c)前記実施形態では、軸受として玉軸受を用いたが、軸受としては針状コロ軸受などの他の形式の転がり軸受を用いてもよく、また転がり軸受ではなくブッシュなどのすべり軸受を用いてもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、両端が開口するスプール軸がパイプ形状であるので、重量の増加を抑えてスプール軸を太くすることができる。このため、糸巻胴部の径を大きくすることができ、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることができる。また、両端が開口したスプール軸がリール本体に一端が開口された状態で固定されているので、スプール軸の中心部が素通しとなり従来の片軸受リールと異なる新規な意匠を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による片軸受リールの左側面図。
【図2】前記片軸受リールの断面図。
【図3】第2実施形態の図2に相当する図。
【図4】第2実施形態の片軸受リールの右側面一部破断図。
【図5】発音機構の爪部材の発音不能状態を示す図。
【図6】発音機構の爪部材の発音可能状態を示す図。
【図7】第3実施形態の図2に相当する図。
【図8】第4実施形態の図2に相当する図。
【符号の説明】
1,101 リール本体
2,102,202,302 スプール軸
3,102,202,302 スプール
4 ドラグ機構
5 ワンタッチ着脱機構
15、115,215,315 糸巻胴部
16,116,216,316 第1フランジ
17,117,217,317 第2フランジ
18,118,218,318 端面部材
21a,121a,221a,321a 第1軸受
21b,121b,221b,321b 第2軸受
80 発音機構
218b,318b 内フランジ
218c,318c 内筒部
【発明の属する技術分野】
本発明は、釣り用リール、特に、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取る片軸受リールに関する。
【0002】
【従来の技術】
片軸受リールは、一般に、フライを使用する渓流釣りや筏や波止場や船から比較的浅場の魚を釣るのに使用される。片軸受リールは、リール本体と、リール本体に片持ち支持されたスプール軸と、スプール軸に回転自在に装着された糸巻用のスプールとを有している(たとえば、特許文献1参照)。リール本体は円板状の側板を有している。側板の外周には、軸方向に延びる上下1対のスプール保護部が形成されている。一方のスプール保護部には、釣り竿に取り付けるための竿装着部が形成されている。また、他方の保護部には、釣り糸を係止するための釣り糸係止部が設けられている。
【0003】
この種の片軸受リールでは、スプール軸は比較的小径の軸であり、本体部の中心にねじ込み固定されている。スプールはスプール軸に軸受を介して回転自在に装着されており、スプール軸に対して着脱自在になっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−253083号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
前記従来の構成では、スプール軸が小径な軸であるため、スプールやスプール軸やリール本体等の部品の形状がスプール軸によって制限されて片軸受リールに対して新規な意匠を提供しにくい。また、スプールの糸巻胴部の直径が小径になり、細い釣り糸を巻くときにスペーサを装着するなどの手間が必要になる。そこで、スプール軸の直径を太くして糸巻胴部の直径を大きくすることが考えられる。しかし、スプール軸を太くすると重量が増加して軽量化を図りにくい。
【0006】
本発明の課題は、片軸受リールにおいて、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることにある。
本発明の別の課題は、片軸受リールに対して新規な意匠を提供できるようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
発明1に係る片軸受リールは、釣り竿に装着され、釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、釣り竿に装着されるリール本体と、スプール軸と、スプールとを備えている。スプール軸は、両端が開口するパイプ形状であり、リール本体に一端が開口された状態で片持ち固定されている。スプールは、スプール軸に回転自在に装着され、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部、糸巻胴部の軸方向内側に設けられ糸巻胴部より大径の第1フランジ、及び糸巻胴部の軸方向外側に第1フランジと対向して設けられた第2フランジを有している。
【0008】
この片軸受リールでは、スプール軸がパイプ形状で両端が開口している。また、スプール軸は、一端が開口された状態でリール本体に片持ち支持されている。このスプール軸にスプールが回転自在に装着されている。ここでは、両端が開口するスプール軸がパイプ形状であるので、重量の増加を抑えてスプール軸を太くすることができる。このため、糸巻胴部の径を大きくすることができ、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることができる。また、両端が開口したスプール軸がリール本体に一端が開口された状態で固定されているので、スプール軸の中心部が素通しとなり従来の片軸受リールと異なる新規な意匠を提供できる。
【0009】
発明2に係る片軸受リールは、発明1に記載のリールにおいて、スプール軸の開口径は、第1フランジ部の外径の30〜70%の範囲である。スプール軸の開口径が第1フランジ部の外径の30%未満であると、糸巻き量は多くなるが軽量化を図りにくくなる。また、70%を超えると、軽量化を図れるが糸巻き量が極端に少なくなる。
【0010】
発明3に係る片軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールは、糸巻胴部の内周面とスプール軸の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置された第1及び第2軸受によりスプール軸に回転自在に支持されている。この場合には、スプール軸の外側外周面の2箇所に第1及び第2軸受が配置されているので、スプール軸の支持構造が簡素になる。
【0011】
発明4に係る片軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールは、第2フランジから径方向内方に延びる内フランジと、内フランジの内周端からスプール軸と間隔を隔てて配置された内筒部とをさらに有し、糸巻胴部の第1フランジ側内周部とスプール軸の外周面との間に配置された第1軸受及び内筒部の外周面とスプール軸の軸方向外側内周面との間に配置された第2軸受により、スプール軸に回転自在に支持されている。この場合には、スプール軸の内側外周面と外側内周面の2箇所でスプールが支持されている。
【0012】
発明5に係る片軸受リールは、発明1又は2に記載のリールにおいて、スプールは、第2フランジから径方向内方に延びる内フランジと、内フランジの内周端からスプール軸と間隔を隔てて配置されされ前記糸巻き胴部に対向して配置された内筒部とをさらに有し、内筒部の外周面とスプール軸の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置された第1及び第2軸受によりスプール軸に回転自在に支持されている。この場合には、スプール軸の内周面の2箇所でスプールが支持されている。
【0013】
発明6に係る片軸受リールは、発明1から5のいずれかに記載のリールにおいて、第2フランジは少なくとも糸巻胴部及び前記第1フランジのうちいずれか一方と異なる材料により形成されている。この場合には、スプールが異なる材料で形成可能であるので、外観に現れる第2フランジを高級感のある金属製にすることで美観を向上するとともに表面の穴あけ等の加工が容易になる。一方、外観に現れにくい糸巻胴部及び第1フランジを低コストの合成樹脂で形成して軽量化を図ることができる。
【0014】
発明7に係る片軸受リールは、発明1から6のいずれかに記載のリールにおいて、スプール軸の外径は、糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲にある。この場合には、糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲にスプール軸の外径があるので、スプール軸の大径化を図りつつスプールの軽量化を図ることができる。発明8に係る片軸受リールは、発明1から7のいずれかに記載のリールにおいて、スプールとリール本体との間に設けられ、スプールの回転により発音する発音手段をさらに備える。この場合には、スプールが回転すると発音するので、魚の当たりをとりやすい。
【0015】
発明9に係る片軸受リールは、発明8に記載のリールにおいて、発音手段は、スプールの糸繰り出し方向の回転と糸巻取方向の回転とで異なる音を発音する。この場合には、糸巻取方向と糸繰り出し方向とで異なる音を発生するので、音により回転方向を識別できる。
発明10に係る片軸受リールは、発明8又は9に記載のリールにおいて、発音手段を、発音可能状態と発音不能状態とに切り換える発音切換手段をさらに備える。この場合には、発音可能状態と発音不能状態とに切り換えできるので、発音不能状態にすることにより発音による回転抵抗の増加を抑えて釣り糸を素早く繰り出すことができる。
【0016】
発明11に係る片軸受リールは、発明8から10のいずれかに記載のリールにおいて、発音手段は、スプールの回転に抵抗を付与する抵抗付与手段を有する。この場合には、発音機能と抵抗付与機能とをひとつの機構で実現できるとともに、釣り糸の無駄な繰り出しを防止できる。
発明12に係る片軸受リールは、発明1から8のいずれかに記載のリールにおいて、スプールとリール本体との間に設けられ、スプールの糸繰り出し方向の回転に抵抗を付与する抵抗付与手段をさらに備える。この場合には、仕掛けに魚がかかって設定された抵抗以上の力が釣り糸に作用するとスプールが糸繰り出し方向に回転するので、釣り糸が切れにくくなる。
【0017】
発明13に係る片軸受リールは、発明1から12のいずれかに記載のリールにおいて、スプールをスプール軸からワンタッチで着脱可能なスプール着脱手段をさらに備える。この場合には、スプールをワンタッチで着脱できるので、釣り糸の変更やスプールの変更が容易である。
【0018】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
本発明の一実施形態を採用した片軸受リールは、図1及び図2に示すように、リール本体1と、リール本体1に片持ち支持されたスプール軸2と、スプール軸2に対して相対回転自在に配置され外周に釣り糸が巻かれるスプール3と、スプール3の一方向の回転を制動するドラグ機構(抵抗付与手段の一例)4、スプール3をスプール軸2からワンタッチで着脱可能なワンタッチ着脱機構5を備えている。
【0019】
リール本体1は、一方側(図2左側)に円板状の側板10を有し、他方側は開放されている。側板10の外周には、軸方向に延びる上下1対の保護部11a,11bが形成されている。図2における上側の保護部11aには、この片軸受リールを釣竿に取り付けるための取付部12が設けられている。下側の保護部11bには、スプール3に巻き付けられる釣り糸の端を係止するための釣り糸係止部13が設けられている。
【0020】
スプール軸2は、両端が開口するパイプ形状の金属製の軸であり、その一端(図2左端)がリール本体1の側板10の中心部を貫通して側板10に片持ち固定されている。スプール軸2の一端外周にはリール本体1の側板10の中心にねじ込まれる雄ネジ部2aが形成されている。この雄ネジ部2aは、リール本体1の側板10の中心部から外方に突出している。また、スプール軸2の雄ねじ部2aに近接する位置には環状の突出部2bが形成されている。この突出部2bが側板10の内面に接触してスプール軸2が位置決めされている。スプール軸2の先端には、ワンタッチ着脱機構5を構成する環状の係合溝2cが形成されている。スプール軸2の開口径(スプール軸の内径)は、後述するスプール3の第1フランジ16の外径の30%から70%の範囲である。スプール軸2の開口径が第1フランジ部16の外径の30%未満であると、糸巻き量は多くなるが軽量化を図りにくくなる。また、70%を超えると、軽量化を図れるが糸巻き量が極端に少なくなる。
【0021】
スプール3は、たとえば合成樹脂又は軽合金製の部材であり、図2に示すように、内部空間3aを有する筒状の糸巻胴部15と、糸巻胴部15の内側部に糸巻胴部15と一体で形成された円板状の第1フランジ16と、糸巻胴部15の外側部に糸巻胴部15と一体で形成された円板状の第2フランジ17と、内部空間を塞ぐ端面部材18とを有している。
【0022】
糸巻胴部15は、スプール軸2の外径が糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲となるような大きさに設定されている。このように設定すると、スプール軸2の大径化を図りつつスプール3の軽量化を図ることができる。第1フランジ16はリール本体1の側板10と対向するように形成されている。第2フランジ17は、第1フランジ16と対向して外側に配置されている。第2フランジ17は、リール本体1の保護部11a.11bを覆うような大きさで形成されており、外側面には装飾及び軽量化のための孔部17aが多数形成されている。
【0023】
端面部材18は、スプール3の内部空間3aのうち、スプール軸2の先端側を塞いでいる。端面部材18は、スプール軸2の内周面と略同径の中心孔18aを有している。端面部材18はたとえば6本のボルト20により第2フランジ17に装着されている。第2フランジ17の外面で外周近くにはハンドル48が取り付けられている。ハンドル48は、第2フランジ17に立設されたハンドル軸50に回転自在に支持されており、ハンドル48をつかんだままでのスプール3の回転操作を容易にしている。
【0024】
スプール3の内部空間3a内には、スプール3をスプール軸2に対して回転自在に支持する1対の玉軸受21a,21bと、スプール3の釣り糸繰り出し方向の回転時に連結されるローラクラッチ23が設けられている。また、ドラグ機構4が、側板10のスプール軸2の周囲に設けられている。
玉軸受21a,21bは、糸巻胴部15の内周面とスプール軸2の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置されている。玉軸受21aはローラクラッチ23と後述するドラグ機構4の回転円板40に挟まれて配置されている。玉軸受21bは、スプール軸2の外周面に装着され端面部材18により押圧されたカラー19aによりスプール3に保持されている。スプール3の着脱時には、玉軸受21aは、ローラクラッチ23とともにスプール軸2上に残り、玉軸受21bは、スプール3とともにスプール軸2から外される。
【0025】
ローラクラッチ23は、スプール3に着脱自在に装着され、ドラグ機構4が糸繰り出し方向でのみ作動するように設けられている。ローラクラッチ23は、スプール3の内部空間3aに回転不能に装着された外輪25と、スプール軸2に回転自在に装着された内輪26と、両輪25、26の間に両者に接触可能に配置された、たとえば6つのローラ27とを有する内輪遊転形のものである。内輪26は、スプール軸2の外周面にはめられた止め輪19bにより軸方向外方(図2右方)への移動が規制されている。
【0026】
両輪25、26の間には、ローラ27を周方向に間隔を隔てて保持するための合成樹脂製のリテーナ(図示せず)が装着されている。リテーナには、ローラ27を周方向に所定距離移動可能に保持するための保持空間が形成されている。保持空間の周方向の一側には、糸繰り出し方向(ローラ27が両輪25、26に食い込む方向)に付勢するためのバネ部材(図示せず)が一体で形成されている。
【0027】
ドラグ機構4は、内輪に回転不能に係止される回転円板40と、リール本体1にスプール軸2に沿う軸方向に移動自在かつ回転不能に装着された押圧円板41及び回転円板40に圧接可能な制動円板42と、リール本体1に軸方向に移動可能に設けられ制動円板42を回転円板40側に圧接するための圧接機構43とを有している。
【0028】
回転円板40は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、内周部に内輪26の係止突起26aに係止される1対の係止溝40aを有している。
押圧円板41は、たとえばステンレス等の金属製の部材であり、径方向の中間部には、周方向に等間隔に配置されたたとえば3つの丸孔41aが形成されている。制動円板42は、たとえばナイロン66等の合成樹脂製の部材である。
【0029】
圧接機構43は、操作つまみ51と、操作つまみ51により押圧されるコイルばね52と、コイルばね52により押圧されるワッシャ53と、ワッシャ53により押圧される、たとえば3本の押圧ピン54(図2では2本のみ図示)とを有している。
操作つまみ51は、縁付き皿状のつまみ部51aと、つまみ部51aの中心に一体形成されたボス部51bとを有している。ボス部51bは、スプール軸2の先端に形成された雄ネジ部2aに螺合している。
【0030】
コイルばね52は、ボス部51bの外周側に装着されており、操作つまみ51の回転により伸縮してドラグ力を細かく調整するために設けられている。ワッシャ53は、コイルばね52の付勢力を押圧ピン54に伝達するために設けられている。押圧ピン54は、先端側が小径の段付きピンであり、側板10に周方向に等間隔に3箇所に形成された貫通孔10aに大径部分が軸方向移動自在に装着されている。押圧ピン54の先端は、押圧円板41に形成された丸孔41aに挿通されており、押圧円板41をリール本体1に対して回転不能に係止している。押圧ピン54の段差部分は押圧円板41に当接している。これにより押圧円板41は押圧ピン54により押圧される。コイルばね52のバネ力を操作つまみ51の回動操作により調整することで、制動円板42と回転円板40との摩擦力が変化しドラグ力を調整できる。
【0031】
ワンタッチ着脱機構5は、スプール軸2に形成された環状の係合溝2cと、概略L字形の板状をなし一端が支持ピン70に旋回自在に支持された係脱部材71と、係脱部材71の他端に固定された突起状の着脱つまみ72とを有している。支持ピン70は端面部材18に装着されている。係脱部材71は、係合溝2cに係合可能な係合位置と、係合溝2cから離脱した係合解除位置とを取り得る。
【0032】
係脱部材71は、その側部に配置されたリターンばね(図示せず)によって常に係合位置に向けて付勢されている。リターンばねは、たとえばヘアピン状に屈曲した帯状の板ばね材料からなり、拡がろうとする弾発力が係脱部材71を係合位置へと付勢する力を生じさせる。着脱つまみ72を操作しない限り、係脱部材71は常にスプール軸2の係合溝2cに係止し、スプール軸2からスプール3が抜け出るのを阻止する。
【0033】
図1にも示すように、着脱つまみ72は、スプール3の端面部材18に貫通する円弧状の長孔からなる遊動孔18dに挿通されて端面部材18の外部に露出している。遊動孔18dに沿って着脱つまみ72が移動すると、係脱部材71も着脱つまみ72とともに移動するが、着脱つまみ72の移動位置がいずれの位置であっても、係脱部材71が遊動孔18dの内面側を塞ぐ。具体的には、L字形をなす係脱部材71の短辺部分の面積が、遊動孔18dの幅及び長さに比べて十分に広く設定されていて、遊動孔18dを塞ぐ遮蔽面71aとなる。このような遮蔽面71aを備えていることで、遊動孔18dを通じて外部から内部空間3aへと水や塵埃その他の異物が浸入するのを防ぐことができる。
【0034】
次にリールの動作について説明する。
図示していないが、スプール3の糸巻胴部15の外周には釣り糸が巻かれる。釣り糸を巻き取る際には、ハンドル48を操作してスプール3を回転させる。スプール3はスプール軸2に対して相対回転する。このとき、ローラクラッチ23は遮断されるので、外輪25は自由に回転してスプール3の巻き取り方向の回転は許容される。このため、スプール3はスムーズに回転する。
【0035】
スプール3から釣り糸を繰り出す際には、スプール3は前記とは逆方向に回転する。このとき、ローラクラッチ23は、連結されるので、内輪26も外輪25とともに回転しようとする。しかし、内輪26は、回転円板40を介して制動円板42により制動されているので、回転力に対してコイルばね52により設定された抵抗力(ドラグ力)が作用している。このため、スプール3が必要以上に回転して釣り糸が過剰に引き出されるのを防止でき、糸からみを避けることができる。
【0036】
次に、この片軸受リールは、スプール3をリール本体1及びスプール軸2からワンタッチで取り外すことができる。
着脱つまみ72をリターンばね73の付勢力に対向して操作し、係脱部材71をスプール軸2の係合溝2cから離脱させる。着脱つまみ72を離脱位置に維持したままで、スプール3をスプール軸2から抜き出す。スプール軸2には、ローラクラッチ23や玉軸受21aが装着されたままで、スプール3はスプール軸2から取り外される。
【0037】
このように構成された片軸受リールでは、両端が開口するスプール軸2がパイプ形状であるので、重量の増加を抑えてスプール軸2を太くすることができる。このため、糸巻胴部15の径を大きくすることができ、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることができる。また、両端が開口したスプール軸2がリール本体1に一端が開口された状態で固定されているので、スプール軸2の中心部が素通しとなり従来の片軸受リールと異なる新規な意匠を提供できる。
【0038】
なお、前記実施形態では、ドラグ作動時に発音する発音機構や操作つまみ51の操作に発音する発音機構を開示していないが、特開2000−201600号公報に開示されたように、それらの発音機構を設けることもできる。
〔第2実施形態〕
図3〜図5に示すように、ドラグ機構を設けずに抵抗付与機能を有する発音機構80を設けてもよい。
【0039】
片軸受リールは、リール本体101と、リール本体101に片持ち支持されたスプール軸102と、スプール軸102に対して相対回転自在に配置され外周に釣り糸が巻かれるスプール103と、スプール103の回転により発音する発音機構80とを備えている。リール本体101は、おおむね第1実施形態は同様な構造であり、側板110と第1及び第2保護部111a,111bとを有している。また、取付部112及び釣り糸係止部113を有している。
【0040】
スプール軸102は、両端が開口するパイプ形状の金属製の軸であり、その一端(図2左端)がリール本体1の側板10の中心部を貫通して側板10に片持ち固定されている。リール本体101の側板110の中心部を貫通して外部に延びる雄ねじ部102aを有しており、雄ねじ部102aに螺合するナット114によりリール本体101の側板110に片持ち固定されている。また、スプール軸102の雄ねじ部102aに近接する位置には環状の突出部102bが形成されている。この突出部102bが側板110の内面に接触してスプール軸102が位置決めされている。スプール軸102の先端には、ワンタッチ着脱機構105を構成する環状の係合溝102cが形成されている。
【0041】
スプール103は、たとえば合成樹脂又は軽合金製の部材であり、図3に示すように、内部空間103aを有する筒状の糸巻胴部115と、糸巻胴部115の内側部に糸巻胴部115と一体で形成された円板状の第1フランジ116と、糸巻胴部115の外側部に糸巻胴部115と一体で形成された円板状の第2フランジ117と、内部空間を塞ぐ端面部材118とを有している。
【0042】
糸巻胴部115は、第1実施形態と同様にスプール軸2の外径が糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲となるような大きさに設定されている。第1フランジ116はリール本体101の側板110と対向するように形成されている。第2フランジ117は、第1フランジ116と対向して外側に配置されている。第2フランジ117は、リール本体1の保護部111a.111bを覆うような大きさで形成されている。
【0043】
端面部材118は、スプール103の内部空間103aのうち、スプール軸102の先端側を塞いでいる。端面部材118は、スプール軸102の外周側に配置される中心孔118aを有している。端面部材118はたとえば6本のボルト120により第2フランジ117に装着されている。第2フランジ117の外面で外周近くにはハンドル148が取り付けられている。ハンドル148は、第2フランジ117にねじ止めされたハンドル軸150に回転自在に支持されており、ハンドル148をつかんだままでのスプール103の回転操作を容易にしている。
【0044】
スプール103の内部空間103a内には、スプール103をスプール軸102に対して回転自在に支持する1対の玉軸受121a,121bと、スプール103をスプール軸102に着脱自在に係止するためのワンタッチ着脱機構105とが設けられている。また、発音機構80がスプール103と側板110との間に設けてられている。
【0045】
玉軸受121a,121bは、糸巻胴部115の内周面とスプール軸2の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置されている。玉軸受121aは突出部102bとスプール軸102の外周に装着された止め輪119aとに挟まれて配置されている。玉軸受121bは、スプール軸102の外周面に装着され端面部材118により押圧されてスプール103に保持されている。スプール103の着脱時には、玉軸受121aは、スプール軸102上に残り、玉軸受121bは、スプール103とともにスプール軸102から外される。
【0046】
発音機構80は、図4〜図6に示すように、スプール103の第1フランジ117に設けられた歯付きリング81と、歯付きリング81に先端が接触可能に側板110に揺動自在に設けられた爪部材82と、爪部材82に接触する発音可能状態(図6)と歯付きリング81から離反する発音不能状態(図5)とに切り換える切換機構83とを有している。
【0047】
歯付きリング81は、スプール軸102と同芯に配置されており、第1フランジ116の背面にたとえば皿ねじ84などの適宜の締結手段により固定されている。歯付きリング81の外周部には、多数の歯部81aが周方向に並べて形成されている。歯部81aの矢印Aで示す釣り糸巻き取り方向の上流側の傾斜は下流側の傾斜よりきつくなっている。これにより、釣り糸巻き取り時と釣り糸繰り出し持とで異なる音が発生するようになっている。また、釣り糸巻き取り時より釣り糸繰り出し時の方が抵抗が強くなるようになっている。
【0048】
爪部材82は、側板110の内面に揺動自在に装着されている。側板110に内方に向けて突出して立設された揺動軸86に揺動自在に装着される円筒状の装着部82aと、装着部82aから径方向外方に延び歯付きリング81の歯部81aに先端が接触する爪部82bと、装着部82aから爪部82bと異なる方向に延び切換機構83が接触する係合凸部82cとを有している。爪部82bの先端は発音可能状態のとき歯部81aの間にある接触位置に配置され、スプール103の回転により歯部81aへの衝突を繰り返す。また、発音不能状態のとき、歯部81aから離反する位置に離反配置される。爪部材82は、一端がリール本体101に係止された捩じりコイルばね85により、図6に示す接触位置に向けて付勢されている。
【0049】
切換機構83は、発音位置(図6)と発音解除位置(図5)とに揺動自在な切換レバー88と、切換レバー88を発音位置と発音解除位置とに振り分けて付勢するトグルばね89とを有している。切換レバー88は、側板110に内外を貫通して回動自在に装着された円筒状の装着部88aと、装着部88aの側板110の外側から放射状に延びる操作レバー部88bと、装着部88aの側板110の内側から操作レバー部88と異なる方向に放射状に延びる押圧レバー部88cと、両レバー部88b,88cの間で側板110の内側で放射状に延びるばねレバー部88dとを有している。操作レバー部88bは、側板110の外方に突出する長さで形成されている(図4)。押圧レバー部88cは、先端に係合凸部82cに接触する押圧突起88eを有している。この押圧突起83eは、切換レバー88が発音解除位置にあるとき、係合凸部82cに接触して、爪部材82を離反位置に配置し発音不能状態にする。また、発音位置にあるとき、爪部材82の係合凸部82cから離反する。この結果、爪部材82は、捩じりコイルばね85により接触位置に配置され発音可能状態になる。ばねレバー部88dの先端には、トグルばね89が係止されている。
【0050】
ワンタッチ着脱機構105は、第1実施形態と略同様な構成であり、係合溝102cと、一端が支持ピン170に旋回自在に支持された係脱部材171と、係脱部材171の他端に固定された突起状の着脱つまみ172とを有している。
このような構成の片軸受リールでは、切換レバー88を図6に示すように発音位置にすると、押圧突起83eが係合凸部82cから離反する。押圧突起83eが離反すると、捩じりコイルばね85により、発音機構80の爪部材82が接触位置に配置され発音可能状態になる。この結果、スプール103が回転すると爪部材82が振動して音が発生する。このとき、スプール103の回転方向に応じて異なる音が発生する。また、スプールの回転に対する抵抗力が糸巻取方向の方が軽くなる。また、切換レバー88を図5に示すように、発音解除位置にすると、押圧突起83eが係合凸部82cに接触して、爪部材82を離反位置に配置して発音不能状態にする。この結果、スプール103が回転しても発音しない。その代わり、スプール103に対する回転抵抗が減少して釣り糸を素早く繰り出せる。
【0051】
〔第3実施形態〕
前記第1及び第2実施形態では、軸受をスプール軸の外周に間隔を隔てて配置したが、図7に示すように、玉軸受221a及び玉軸受221bをスプール軸103の外周及び内周に間隔を隔てて配置してもよい。なお、第2実施形態と異なる構成を中心に以下に説明し、発音機構80等の第2実施形態と構成が同じものについての説明は省略する。
【0052】
第2フランジ217に装着された端面部材218は、第2フランジ217から径方向内方に延びる内フランジ218bと、内フランジ218bの内周端からスプール軸202の内周面と間隔を隔てて配置される内筒部218cとを有している。内フランジ218bは、たとえば6本のボルト220により第2フランジ217に装着されている。
【0053】
第1軸受221aは、第2実施形態と同様に糸巻胴部215の第1フランジ216側内周部とスプール軸202の外周面との間に配置され、第2玉軸受221bは、内筒部218cの外周面とスプール軸202の内周面との間に配置されている。
〔第4実施形態〕
前記3つの実施形態では、スプールを同一材料で一体形成したが、スプールの外側面に配置され外部から常に見えるる第2フランジは、少なくとも糸巻胴部及び第1フランジのうちいずれか一方と異なる材料により形成されていてもよい。なお、第2実施形態と異なる構成を中心に以下に説明し、発音機構80等の第2実施形態と構成が同じものについての説明は省略する。
【0054】
図8に示すように、第4実施形態では、外から見える第2フランジ317が、たとえばアルミニウム合金やマグネシウム合金やステンレス合金などの金属製であり、外側からは見えにくい糸巻胴部315及び第1フランジ316が合成樹脂製で一体形成されている。なお、第2フランジ317は、アルミニウム合金をプレス成形して形成するのが好ましい。
【0055】
また、第4実施形態では、スプール303は、第3実施形態と同様に内フランジ318bと内筒部318cとを有する端面部材318を有している。内筒部318cは、第3実施形態と異なりスプール303の糸巻胴部315の全長にわたる長さで延びている。そして、内筒部318cの両端外周面とスプール軸302の内周面との間に第1及び第2玉軸受321a,321bが間隔を隔てて配置されている。
【0056】
端面部材318は、第2フランジ317とともにたとえば6本のボルト320により糸巻胴部315に装着されている。なお、端面部材318を装着するボルトと第2フランジ317を装着するボルトを共用せずに別にしてもよい。
このような片軸受リールでは、スプール303は、合成樹脂により一体成形された糸巻胴部315及び第1フランジ316と、アルミニウム合金製の第2フランジ317とで構成されている。ここでは、糸巻胴部315及び第1フランジ316と第2フランジ317とを別体で形成可能であるので、スプール303を一体成形する場合と比べて、容易に形成することができる。
【0057】
また、スプール303が異なる材料で形成可能であるので、外観に現れる第2フランジ317を高級感のある金属製にすることで美観を向上するとともに表面の穴あけ等の加工が容易になる。一方、糸巻胴部315及び第1フランジ316を低コストの合成樹脂で形成して軽量化を図ることができる。
〔他の実施形態〕
(a)前記第2から第4実施形態では、発音機構80をリール本体に設けた爪部材とスプールに設けた歯付きリングとで構成したが、爪部材をスプールに設け歯付きリングをリール本体に設けてもよい。また、発音機構はスプールの回転により発音するものであれば、爪部材と歯付きリングに限定されずどのような形態でもよい。さらに切換機構を設けなくてもよい。
【0058】
(b)前記第4実施形態において、第2フランジ317等の金属製部材はプレス加工により形成されていたがこれに限定されるものではない。たとえば、ダイカスト成形や鍛造等の方法を用いて形成してもよい。
(c)前記実施形態では、軸受として玉軸受を用いたが、軸受としては針状コロ軸受などの他の形式の転がり軸受を用いてもよく、また転がり軸受ではなくブッシュなどのすべり軸受を用いてもよい。
【0059】
【発明の効果】
本発明によれば、両端が開口するスプール軸がパイプ形状であるので、重量の増加を抑えてスプール軸を太くすることができる。このため、糸巻胴部の径を大きくすることができ、重量の増加を抑えて細い釣り糸を巻きやすくすることができる。また、両端が開口したスプール軸がリール本体に一端が開口された状態で固定されているので、スプール軸の中心部が素通しとなり従来の片軸受リールと異なる新規な意匠を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による片軸受リールの左側面図。
【図2】前記片軸受リールの断面図。
【図3】第2実施形態の図2に相当する図。
【図4】第2実施形態の片軸受リールの右側面一部破断図。
【図5】発音機構の爪部材の発音不能状態を示す図。
【図6】発音機構の爪部材の発音可能状態を示す図。
【図7】第3実施形態の図2に相当する図。
【図8】第4実施形態の図2に相当する図。
【符号の説明】
1,101 リール本体
2,102,202,302 スプール軸
3,102,202,302 スプール
4 ドラグ機構
5 ワンタッチ着脱機構
15、115,215,315 糸巻胴部
16,116,216,316 第1フランジ
17,117,217,317 第2フランジ
18,118,218,318 端面部材
21a,121a,221a,321a 第1軸受
21b,121b,221b,321b 第2軸受
80 発音機構
218b,318b 内フランジ
218c,318c 内筒部
Claims (13)
- 釣り竿に装着され、前記釣り竿の長手方向と食い違う軸回りに釣り糸を巻き取る片軸受リールであって、
前記釣り竿に装着されるリール本体と、
両端が開口するパイプ形状であり、前記リール本体に一端が開口された状態で片持ち固定されスプール軸と、
前記スプール軸に回転自在に装着され、外周に釣り糸が巻かれる糸巻胴部、前記糸巻胴部の軸方向内側に設けられ前記糸巻胴部より大径の第1フランジ、及び前記糸巻胴部の軸方向外側に前記第1フランジと対向して設けられた第2フランジを有するスプールと、
を備えた片軸受リール。 - 前記スプール軸の開口径は、前記第1フランジ部の外径の30〜70%の範囲である、請求項1に記載の片軸受リール。
- 前記スプールは、前記糸巻胴部の内周面と前記スプール軸の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置された第1及び第2軸受により前記スプール軸に回転自在に支持されている、請求項1又は2に記載の片軸受リール。
- 前記スプールは、
前記第2フランジから径方向内方に延びる内フランジと、前記内フランジの内周端から前記スプール軸の内周面と間隔を隔てて配置される内筒部とをさらに有し、
前記糸巻胴部の前記第1フランジ側内周部と前記スプール軸の外周面との間に配置された第1軸受及び前記内筒部の外周面と前記スプール軸の軸方向外側内周面との間に配置された第2軸受により、前記スプール軸に回転自在に支持されている、請求項1又は2に記載の片軸受リール。 - 前記スプールは、
前記第2フランジから径方向内方に延びる内フランジと、前記内フランジの内周端から前記スプール軸と間隔を隔てて配置され前記糸巻き胴部の内周側に対向して配置された内筒部とをさらに有し、
前記内筒部の外周面と前記スプール軸の外周面との間に軸方向に間隔を隔てて配置された第1及び第2軸受により前記スプール軸に回転自在に支持されている、請求項1又は2に記載の片軸受リール。 - 前記第2フランジは、少なくとも前記糸巻胴部及び前記第1フランジのうちいずれか一方と異なる材料により形成されている、請求項1から5のいずれかに記載の片軸受リール。
- 前記スプール軸の外径は、前記糸巻胴部の外径の60%から90%の範囲にある、請求項1から6のいずれかに記載の片軸受リール。
- 前記スプールとリール本体との間に設けられ、前記スプールの回転により発音する発音手段をさらに備える、請求項1から7のいずれかに記載の片軸受リール。
- 前記発音手段は、前記スプールの糸繰り出し方向の回転と糸巻取方向の回転とで異なる音を発音する、請求項8に記載の片軸受リール。
- 前記発音手段を、発音可能状態と発音不能状態とに切り換える発音切換手段をさらに備える、請求項8又は9に記載の片軸受リール。
- 前記発音手段は、前記スプールの回転に抵抗を付与する抵抗付与手段を有する、請求項8から10のいずれかに記載の片軸受リール。
- 前記スプールと前記リール本体との間に設けられ、前記スプールの糸繰り出し方向の回転に抵抗を付与する抵抗付与手段をさらに備える、請求項1から8のいずれかに記載の片軸受リール。
- 前記スプールを前記スプール軸からワンタッチで着脱可能なスプール着脱手段をさらに備える、請求項1から12のいずれかに記載の片軸受リール。
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JP2003146711A JP2004344106A (ja) | 2003-05-23 | 2003-05-23 | 片軸受リール |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2017212956A (ja) * | 2016-06-01 | 2017-12-07 | 株式会社シマノ | 片軸受リール |
-
2003
- 2003-05-23 JP JP2003146711A patent/JP2004344106A/ja active Pending
Cited By (1)
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