JP2004343830A - ハイブリッド車両の制御装置 - Google Patents
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- Y02T10/7072—Electromobility specific charging systems or methods for batteries, ultracapacitors, supercapacitors or double-layer capacitors
Abstract
【課題】電動機へ与える目標出力軸トルクおよび発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に施すフィルタ時定数によるトルクショックを改善する。
【解決手段】車両の走行状態に基づいて求められる電動機4の第1の目標出力軸トルクtTo0と発電機2の第1の目標入力軸回転数tNi0との双方に施すフィルタ処理B3、B17のフィルタ時定数を、シフトポジションにより適切に変更し、電動機4へ与える第2の目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2の目標入力軸回転数tNiを演算する。
【選択図】 図3
【解決手段】車両の走行状態に基づいて求められる電動機4の第1の目標出力軸トルクtTo0と発電機2の第1の目標入力軸回転数tNi0との双方に施すフィルタ処理B3、B17のフィルタ時定数を、シフトポジションにより適切に変更し、電動機4へ与える第2の目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2の目標入力軸回転数tNiを演算する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からエンジンと発電/電動機を組合せて搭載したハイブリッド車両(HEV)が、シリーズ式、パラレル式として知られている。シリーズ式ではエンジンの出力軸から取出される仕事率(軸出力)は全て発電機によって回生され、また一部のパラレル式でも、エンジンから駆動系への機械的接続を切離して一時的にシリーズ式の発電モードを選択でき、この場合もエンジンの軸出力は全て発電機により回生される。その際、モータで消費するエネルギを、過不足なく発電機から供給することができれば、バッテリにおける充放電の際の損失を大幅に低減することができ、効率の向上が望める。しかし、一般には、発電機とエンジンに同時に指令値を与えても、発電機の指令値に対する応答は、エンジンの場合と比べて非常に速いため、発電を増大させるために回転数を上昇させようとしても、応答の速い発電機が駆動トルクを発生して回転数を上昇させることになり、結果として発電電力が減少してしまうこともある。
【0003】
この問題に対して、発電機の応答を、発電機への指令値にフィルタ処理を施すことで見かけ上遅くして安定して発電制御が行えるようにしたハイブリッド車両の制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、車両走行状態の変化に伴いモータの出力は時々刻々変化するが、その出力に対して過不足なく電力をリアルタイムに発電機から供給するために、電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に、適切に設計された同一の構成からなる少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施し、発電電力と消費電力を一致するように制御するハイブリッド車両の制御装置が提案されている(特許文献2、3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−122710号公報
【特許文献2】
特開平11−146503号公報
【特許文献3】
特開2000−236602号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、車両走行状態およびシフトポジションにかかわらず常時電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に、少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施し発電電力と消費電力を一致するように制御しているので、車両停止後もフィルタ時定数によりフィルタ処理後の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方がフィルタ処理前の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数に収束せず有効値として残っている状態が生ずる。
【0007】
この状態でDレンジ→Nレンジ→Rレンジとシフトポジションを変更すると、フィルタ処理前の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数はシフトポジションにより適切に変化するが、フィルタ処理後の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方がフィルタ時定数により遅れるため、フィルタ時定数に基づき収束するまでの時間、Rレンジに入れているにも関わらず前進トルクが発生したり、Dレンジを選択しているにも関わらず後退トルクが発生し、その現象がトルクショックとなり違和感を伴う不具合を生ずる。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電動機へ与える目標出力軸トルクおよび発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に施すフィルタ時定数をシフトポジションに応じて適切に算出し、違和感となるトルクショックを改善するハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両の走行状態に基づいて電動機の第1の目標出力軸トルクを演算する第1目標出力軸トルク演算手段と、目標発電出力演算手段により車両の走行状態に基づいて演算された目標発電出力に基づいて発電機の第1の目標入力軸回転数を演算する第1目標入力軸回転数演算手段と、前記目標発電出力と入力軸回転数とに基づいてエンジンの目標エンジントルクを演算する目標エンジントルク演算手段および前記目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを制御するエンジン制御手段と、前記第1の目標出力軸トルクに対し少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施して電動機の第2の目標出力軸トルクを演算する第2目標出力軸トルク演算手段と、前記第1の目標入力軸回転数に対し前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるものと等しい構成からなるフィルタ処理を施して発電機への第2の目標入力軸回転数を演算する第2目標入力軸回転数演算手段と、前記第2目標出力軸トルクおよび前記第2目標入力軸回転数に基づいて電動機の出力軸トルクおよび発電機の入力軸回転数を夫々制御する電動機制御手段および発電機制御手段と、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションに基づいて前記第2目標出力軸トルク演算手段および前記第2目標入力軸回転数演算手段の各フィルタ時定数を変更する手段を備える。
【0010】
【発明の効果】
したがって、本発明では、車両の走行状態に基づいて求められる電動機の第1の目標出力軸トルクと発電機の第1の目標入力軸回転数との双方に施すフィルタ処理のフィルタ時定数を、シフトポジションにより適切に変更し、電動機へ与える第2の目標出力軸トルクおよび発電機へ与える第2の目標入力軸回転数を演算することとしたため、電動機へ与える第2の目標出力軸トルクおよび発電機へ与える第2の目標入力軸回転数をシフトポジションにより適切な応答に制御することが可能になり、シフトポジション変更時にも違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を一実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明を適用したハイブリッド車両の制御装置の第1実施形態を示すシステム構成図である。この車両では、従来の機械式変速機に代えて、無段変速機として機能する電機パワートレイン5がエンジン1に接続されている。電機パワートレイン5は、主に発電機として使用される第1の回転電機(以下、発電機)2と主に電動機として使用される第2の回転電機(以下、電動機)4とで構成され、発電機2のロータ軸がエンジン1のクランク軸に連結される一方、電動機4のロータ軸(以下、出力軸)6は、図示しない変速装置、動力伝達装置、差動装置等の減速機を介して駆動軸(駆動輪が取付けられる回転軸)に連結される。
【0013】
発電機2および電動機4は永久磁石式交流同期電動機等の交流機であり、それぞれインバータ8に接続されている。インバータ8にはさらにバッテリ9(リチウムバッテリあるいはニッケル水素バッテリ等)が接続されている。
【0014】
発電機2と電動機4の間にはクラッチ3が介装されており、クラッチ3が締結されるとエンジン1と出力軸6が直結状態となってエンジン1で直接出力軸6を駆動することができる。クラッチ3は、駆動力をエンジン1のみ、電動機4のみ、またはエンジン1と電動機4両方に切換えるためのものであり、HEVの種類や構造によっては当該クラッチ3を備えないものもある。図1では、第1の回転電機(発電機)2はエンジン1の出力軸上に配置されているが、ギアやプーリなどで連結する方式もある。
【0015】
また、電機パワートレイン5には、発電機2のロータ回転速度(以下、入力軸回転速度)Niを検出する入力軸回転速度センサ24と、電動機4のロータ回転速度(以下、出力軸回転速度)Noを検出する出力軸回転速度センサ21とが取付けられている。電気パワートレイン5コントロールユニット12には、発電機2の回転子の回転数(入力軸回転数Ni)を検出する入力軸回転センサ24の検出信号と電動機4の回転子の回転数(出力軸回転数No)を検出する出力軸回転数センサ21の検出信号とが入力される他、統合コントロールユニット10が演算した目標入力軸回転数tNiと目標出力軸トルクtToとが入力される。電気パワートレイン5コントロールユニット12は、これらの値に基づいて発電機2、電動機4に対する電流指令値を演算し、この指令値をインバータ8へ送って発電機2、電動機4を制御する。なお、エンジン1と発電機2は直結されているため、入力軸回転数Niはエンジン回転数と等価となる。
【0016】
一方、エンジン1の吸気管には電子制御式スロットル弁14が設けられており、スロットル弁14は必要とされる発電電力に応じて設定される目標エンジントルクが実現されるようエンジンコントロールユニット11により運転者のアクセル操作とは独立して開閉制御される。エンジン1を制御するエンジンコントロールユニット11は、統合コントロールユニット10が演算した目標エンジントルクtTeに応じて電子制御スロットル14の開度を決定する他、エアフローメータ13が検出した吸入空気量と、クランク角センサ23が検出したエンジン回転数に基づいて燃料噴射制御や点火時期制御を行う。
【0017】
統合コントロールユニット10は、出力軸回転数センサ21が検出した出力軸回転数No、入力軸回転センサ24が検出した入力軸回転数Ni、アクセル開度センサ22からのアクセルペダル踏み込み量APSをそれぞれ読み込んで、これらの運転状態を示す情報から、目標出力軸トルクtTo、目標入力軸回転数tNi、目標エンジントルクtTeを演算する。なお、統合コントロールユニット10は、バッテリ9の入出力電力を監視しており、この入出力電力情報に基づいてバッテリ9の充電状態SOCを演算する。
【0018】
図2は統合コントロールユニット10の制御ブロック構成図を示し、目標駆動トルク(第1目標駆動トルクtTo0)生成部101およびバッテリSOC演算部102と、第1目標駆動トルクtTo0およびバッテリSOC信号に基づき運転モードを判定する運転モード判定部103と、バッテリSOC信号に基づき目標充放電量tPcを演算する目標充放電量演算部104と、第1目標駆動トルクtTo0、運転モード信号および目標充放電量tPc等に基づき目標駆動トルクtTo、目標入力回転数tNi、目標エンジントルクtTeを演算する協調指令値生成部105とから構成している(図中破線で囲んだ部分)。各制御ブロックの上記および下記する機能は、統合コントロールユニット10によりソフトウェア的に達成される。
【0019】
前記目標駆動トルク生成部101は、アクセル開度AP0と車速VSPに基づき、所定のマップを参照して目標駆動力tFd[Nm]を求め、目標駆動力tFdに定数(タイヤ有効半径)/(ファイナルギア比)を乗じて電動機4の第1目標出力軸トルクtTo0を求める。なお、第1目標駆動トルクtTo0は、電動機4を力行させるとき正の値を取り、回生(発電)させるときは負の値を取る。
【0020】
前記バッテリSOC演算部102は、バッテリ9の入出力電力情報に基づいてバッテリ9の充電状態SOCを演算する。
【0021】
前記運転モード判定部103は、目標駆動トルク生成部101で演算された第1目標出力軸トルクtTo0とバッテリSOC演算部102で演算された充電状態SOCとに基づいてエンジン1と電気パワートレイン5の運転モードを決定する。運転モードは、具体的には、エンジン1の運転を停止するモードのとき運転モード判定フラグFMODEの値を0に設定し、エンジン1の運転により発電機2で発電するモードのとき運転モード判定フラグFMODEの値を1に設定し、発電機2に電力を供給してエンジン1をモータリングするモードのとき運転モード判定フラグFMODEの値を2に設定する。また、電動機4による回生制動を禁止させるときに減速回生禁止判定フラグfDCREGを1に設定する。
【0022】
前記目標充放電量演算部104は、バッテリ9の実SOC(SOC演算部102で演算される)を目標値(例えば60%)へ近づけるための目標充放電量tPoを演算する。なお、目標充放電量tPoは、バッテリ9を充電するとき正の値を取り、放電させるときは負の値を取る。
【0023】
前記協調指令値生成部105は、目標駆動トルク生成部101で演算された第1目標出力軸トルクtTo0、運転モード判定部103で設定された運転モード判定フラグFMODEおよび減速回生禁止判定フラグfDCREG、目標充放電量演算部104で演算された目標充放電量tPoに加えて、出力軸回転数センサ21が検出した出力軸回転数No、入力軸回転センサ24が検出した入力軸回転数Ni、インヒビタSW情報vINHBswに基づいて第2目標出力軸トルクtTo、目標入力軸回転数tNi、目標エンジントルクtTeを演算する。また、エンジン1の運転を停止させるときに燃料カット要求フラグfFCRQを1に設定する。協調指令値生成部105の具体的構成については、図3に基づき後述する。
【0024】
電動機トルク制御部106は、前記協調指令値生成部105で演算された第2目標出力軸トルク(目標モータトルク)tToに基づいて電動機4のトルクを制御する。発電機回転数制御部107は、協調指令値生成部105で演算された第2目標入力軸回転数tNiに入力軸回転数Ni(電動機2の実回転数)を一致させるためのトルクを演算し、このトルクに基づいて発電機2のトルクを制御する。電動機トルク制御部106および発電機回転数制御部107の機能は、電気パワートレイン5のトランスミッションコントロールユニット12がソフトウェア的に達成する。
【0025】
エンジントルク制御部108は、協調指令値生成部105で演算された第2目標エンジントルクtTeに基づいてエンジン1のスロットル開度TVOを制御する。また、協調指令値生成部105で設定された燃料カット要求フラグfFCRQに応じて燃料噴射の実行/非実行を制御する。この制御ブロックの機能はエンジンコントロールユニット11がソフトウェア的に達成する。
【0026】
図3に示すブロック図に基づき前記協調指令値生成部105の構成を詳細に説明する。図3において、ブロックB1〜B6は第2目標出力軸トルクtToの演算に利用され、ブロックB7〜B13は目標エンジン出力tPo3の演算に利用され、ブロックB14〜B17は目標エンジン出力tPo3に基づく第2目標入力軸回転数tNiの演算に利用され、ブロックB19〜B21は目標エンジン出力tPo3に基づく目標エンジントルクtTeの演算に利用される。
【0027】
先ず、第2目標出力軸トルクtToの演算するブロックB1〜B6について説明する。ブロックB1では、減速回生禁止判定フラグfDCREGに応じて、第1目標出力軸トルクtTo0[Nm]か、0[Nm]のいずれかを選択し、選択した値をtTo1として出力する。即ち、減速回生禁止判定フラグfDCREG=1(減速回生禁止)のときは0[Nm]を選択出力し、減速回生禁止判定フラグfDCREG=0(減速回生禁止でない)のときは第1目標出力軸トルクtTo0[Nm]を選択出力する。
【0028】
ブロックB2では、ブロックB1のトルク出力tTo1に後述するブロックB6からの出力軸回転速度(電動機の回転速度)No[rad/s]を乗じて電動機4の第1目標モータ出力tPo0[W]を算出する。
【0029】
ブロックB3では、第1目標モータ出力tPo0にフィルタ処理を施して第2目標モータ出力tPo[W]を出力する。このフィルタ処理は、図4に示すように、インヒビタSW情報vINHBswに応じて変更される。この処理は本発明の特徴部を構成するが、図4と共に後述する。
【0030】
ブロックB4では、第2目標モータ出力tPo[W]をブロックB6からの出力軸回転速度No[rad/s]で除して第2目標出力軸トルクtTo[Nm]を算出する。
【0031】
なお、ブロックB5では、出力軸回転数センサ21で検出した出力軸回転速度No[rpm]に下限処理を施す。この処理は前記ブロックB2およびB4での乗算および除算において、0(回転)による乗算および除算を防止するためである。ブロックB6では、下限処理された出力軸回転速度Noに定数G1(単位変換係数)を乗じて出力軸回転速度Noの単位を[rad/s]に変換する。
【0032】
次に、目標エンジン出力tPo3の演算に関わるブロックB7〜B13について説明する。ブロックB7では、出力軸回転速度(モータ回転速度)No[rpm]とブロックB4から出力される第2目標出力軸トルクtToとに基づき、所定のマップを参照して電動機4で発生するモータ損失LOSSm[W]を算出する。
【0033】
ブロックB8では、ブロックB2から出力される第1目標モータ出力tPo0にモータ損失LOSSm[W]を加算して発電機2の目標発電電力基本値tPo1[W]を算出する。
【0034】
ブロックB9では、目標発電電力基本値tPo1に、後述するブロックB13で算出された発電モータ損失LOSSgを加算して目標エンジン出力基本値tPo2[W]を算出する。
【0035】
ブロックB10では、目標エンジン出力基本値tPo2に、目標充放電量tPo[W]を加算して目標エンジン出力tPo3[W]を算出する。この目標エンジン出力tPo3は、電動機4が出力する駆動トルクに相当する分の電力(第1目標モータ出力tPo0)にモータ損失LOSSmおよび発電モータ損失LOSSgと、目標充放電量tPoとを加算したものであり、発電機2で発生させるべき発電量であり、それを得るためのエンジン1の駆動出力を意味する。
【0036】
前記発電モータ損失LOSSgは、ブロックB11〜B13により算出される。ブロックB11では、入力軸回転センサ24で検出した入力軸回転速度Ni[rpm]に基づき、所定のマップを参照してテーブル設定された回生制動時におけるエンジンブレーキトルクTembr[Nm]を算出する。
【0037】
ブロックB12では、運転モード判定フラグFMODEに応じて、0[Nm]、後述する目標エンジントルクtTeの前回値、エンジンブレーキトルクTembrのいずれかを選択出力する。この場合、運転モード判定フラグFMODE=0(エンジン停止モード)のときは、0[Nm]を選択出力し、運転モード判定フラグFMODE=1(発電モード)のときは、目標エンジントルクtTeの前回値を選択出力し、運転モード判定フラグFMODE=2(モータリングモード)のときエンジンブレーキトルクTembrを選択出力する。
【0038】
ブロックB13では、ブロックB12で選択出力したトルク値と入力軸回転速度Ni[rpm]に基づき、所定のマップを参照して発電機2で発生する発電モータ損失LOSSgを算出する。
【0039】
次に、第2目標入力軸回転数tNiの演算に関わるブロックB14〜B17について説明する。ブロックB14では、ブロックB10からの目標エンジン出力tPo3に基づき、所定のマップテーブルを参照して第1目標入力軸回転速度基本値tNi1[rpm]を算出する。
【0040】
ブロックB15では、目標エンジン出力tPo3に基づき、所定のマップテーブルを参照して第2目標入力軸回転速度基本値tNi2[rpm]を算出する。ただし、この場合、目標エンジン出力tPo3が負値である場合に限り有効な値が算出される。
【0041】
ブロックB16では、運転モード判定フラグFMODEに応じて、0[rpm]、第1目標入力軸回転速度基本値tNi1若しくは第2目標入力軸回転速度基本値tNi2のいずれかを選択し、選択した値を第1目標入力軸回転速度tNi0[rpm]として出力する。この場合、運転モード判定フラグFMODE=0(エンジン停止モード)のときに0[rpm]を選択し、運転モード判定フラグFMODE=1(発電モード)のとき第1目標入力軸回転速度基本値tNi1を選択し、運転モード判定フラグFMODE=2(モータリングモード)のとき第2目標入力軸回転速度基本値tNi2を選択する。
【0042】
ブロックB17では、前記第1目標入力回転速度tNi0にフィルタ処理を施して第2目標入力軸回転速度tNi[rpm]を算出する。このフィルタ処理は発電機2の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行われる。このフィルタ処理はブロックB3のフィルタ処理と同じものであり、このフィルタ処理もインヒビタSW情報vINHBswに応じて変更される。
【0043】
次に、第2目標エンジントルクtTeの演算に関わるブロックB19〜B21について説明する。ブロックB20では、入力回転速度Ni[rpm]に定数G3(単位変換係数)を乗じて単位を[rad/s]に変換する。そして、ブロックB19では、ブロックB10から出力される目標エンジン出力tPo3を入力回転速度Ni[rad/s]で除して目標エンジントルクtTe[Nm]を算出する。なお、ブロックB21では、前記した目標エンジントルクtTeの前回値をブロックB15に出力している。
【0044】
また、ブロックB18では、運転モード判定フラグFMODEに応じて燃料カット要求フラグfFCRQの値を決定する。この場合、運転モード判定フラグFMODE=0(エンジン停止モード)のとき燃料カット要求フラグfFCRQ=1(燃料カット要求)であり、運転モード判定フラグFMODE=1(発電モード)のとき燃料カット要求フラグfFCRQ=0(燃料カット要求なし)であり、さらに運転モード判定フラグFMODE=2(モータリングモード)のとき燃料カット要求フラグfFCRQ=1(燃料カット要求)となるようにそれぞれ決定される。
【0045】
次に、図3のブロックB3およびB17における処理内容について説明する。
【0046】
ブロックB3およびB17は、「目標エンジントルクtTeの変化量」と「目標入力軸回転速度tNi0の変化量」の比を時々刻々求めることができれば、常にフィルタの時定数Tを最適値に制御することができることに着目したものであり、このフィルタ時定数Tをインヒビタスイッチ情報によってポジション毎に予め定めた固定値とするようにしたものである。ここで、
T:時定数
ζ:ダンピング係数
Δt:演算周期
tPo:第2目標モータ出力
tPon−1:前回の第2目標モータ出力
tPon−2:前々回の第2目標モータ出力
tPo0:第1目標モータ出力
として、ディジタル制御で使用できるように離散時間系で記述すると、第2目標モータ出力tPoは、下記(1)式、
tPo=[(Δt)2/(T2+2ζT+(Δt)2)]×tPo0+[2(T2+ζT・Δt)/(T2+2ζT+(Δt)2)]×tPon−1+[(−T2)/(T2+2ζT+(Δt)2)]×tPon−2 ・・・(1)
となる。
【0047】
但し、上記時定数Tおよびダンピング係数ζは、下記(2)式および(3)式、
T=(1/CR)×(TE・TG/(KI・KG・KP・TE+1))1/2 ・・・(2)
ζ=(TE+TG)/2(TE・TG・(KI・KG・KP・TE+1))1/2 ・・・(3)
となる。但し、
CR:時定数調整係数、フィルタの時定数を調整するための定数
KI:エンジン1及び発電機2の回転モーメントの和の逆数
KG:発電機2の応答ゲイン(=1)
KP:発電機2の回転速度フィードバック制御の比例ゲイン
TE:エンジン1の応答時定数
TG:発電機2の応答時定数
である(以上は、本出願人の特開2001−200741号公報の(12)〜(14)式から引用した)。
【0048】
図4において、基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03は、上記(1)式の右辺第1項〜第3項の括弧[]で囲んだ項目に設定され、各基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03はブロックB31〜B33で、第1目標モータ出力tPo0、ブロックB34で記憶された前回値の第2目標モータ出力tPon−1、さらにブロックB35で記憶された前々回の第2目標モータ出力tPon−2と夫々乗算され、ブロックB36で加算されて、第2目標モータ出力tPoとして出力される。
【0049】
ブロックB37は、インヒビタSW情報vINHBswに基づいて位相補正フィルタ時定数トリミングテーブルmINHCRTRMを検索し、シフトポジションに応じたフィルタ時定数トリミング定数tINHCRtrmを設定する。このフィルタ時定数トリミング定数tINHCRtrmは、ブロックB38〜B40により基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03に乗算され、フィルタ時定数CRv1〜CRv3を算出するようにしている。従って、上記のように、電動機4の第1目標モータ出力tPo0にフィルタ時定数CRv1〜CRv3を乗じることによりフィルタ処理された電動機4の第2目標モータ出力tPoを算出することができる。なお、第1目標入力軸回転数tNi0が入力されるブロックB17においても、ブロックB3と同様の構成としている。
【0050】
ここで、ブロックB37により得られるフィルタ時定数トリミング定数tINHCRtrmは、例えば、シフトポジションが、N(ニュウトラル)レンジおよびP(パーキング)レンジである場合には、0値を含む1以下の数値に設定すれば、シフトポジションがドライブレンジ(Dレンジ)若しくはリバースレンジ(Rレンジ)からNレンジ(Pレンジ)にシフトチェンジした際には、速やかに第2目標モータ出力tPoを第1目標モータ出力tPo0に収束するようフィルタ時定数を調整できることとなる。従って、Nレンジ(Pレンジ)では電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、その後のシフトポジション変更に即座に備える事ができるため、違和感の無い良好な運転性を確保する事ができる。
【0051】
なお、シフトポジションがSレンジ(スポーツ走行モード)にシフトされた際にも、通常走行のシフトポジションであるDレンジ(前進段)もしくはRレンジ(後進段)に対して早くすることにより、電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、通常走行のDレンジに対して運転性(動力性能)を変更する事が可能となり、ハイブリッド車両の付加価値を提供することができる。
【0052】
図5は、本実施形態を適用した車両において、車両をDレンジで加速から減速し、車両停止後シフトポジションをNレンジを経由させてRレンジに変更し、クリープトルクにより車両をバックさせるという場合の各値の応答を、レンジ毎に同じフィルタ時定数を備える比較例(図6)と対比して示したものである。図5、6の(A)〜(D)は、アクセル開度の時間的変化(A)、車速の時間的変化(B)、第1目標出力軸トルクtTo0の時間的変化(C)、目標出力軸トルクtToの時間的変化(D)を夫々示す。
【0053】
図6に示す比較例においては、減速後停止しNレンジを選択しているにもかかわらず、フィルタ処理後の電動機4の第2目標出力軸トルクtToが電動機4の第1目標出力軸トルクtTo0に収束せず、回生トルクを発生した状態で推移している(矢印A参照)。この状態でRレンジに変更すると、ステップ状にtToを電動機制御装置へ送信し駆動することとなるため、予期せぬトルク段差が発生しトルクショック(矢印B参照)として現れる。
【0054】
本実施形態においては、図5に示すように、同様の運転条件においてシフトポジションをNレンジにした際、即座にフィルタ時定数を適切な値とするため、電動機4の第2目標出力軸トルクtToは第1目標出力軸トルクtTo0に即座に収束し(矢印C参照)、Rレンジに変更しバックする際にはその時の第1目標出力軸トルクtTo0を出発点としてフィルタ処理を施すため、トルク段差無く(矢印D参照)制御することができる。
【0055】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0056】
(ア)車両の走行状態に基づいて電動機4の第1の目標出力軸トルクtTo0を演算する第1目標出力軸トルク演算手段101と、目標発電出力演算手段(B7〜B13)により車両の走行状態に基づいて演算された目標発電出力tPo3に基づいて、発電機2の第1の目標入力軸回転数tNi0を演算する第1目標入力軸回転数演算手段(B14〜N16)と、前記目標発電出力tPo3と入力軸回転数Niとに基づいてエンジン1の目標エンジントルクtTeを演算する目標エンジントルク演算手段(B19、B20)および前記目標エンジントルクtTeに基づきエンジントルクを制御するエンジン制御手段(11、108)と、前記第1の目標出力軸トルクtTo0に対し少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施して電動機4の第2の目標出力軸トルクtToを演算する第2目標出力軸トルク演算手段(B3)と、前記第1の目標入力軸回転数tNi0に対し前記第2目標出力軸トルク演算手段(B3)におけるものと等しい構成からなるフィルタ処理を施して発電機2への第2の目標入力軸回転数tNiを演算する第2目標入力軸回転数演算手段(B17)と、前記第2目標出力軸トルクtToおよび前記第2目標入力軸回転数tNiに基づき電動機4の出力軸トルクおよび発電機2の入力軸回転数を夫々制御する電動機制御手段(106、12)および発電機制御手段(107、12)と、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、シフトポジション検出手段としてのインヒビタスイッチ情報vINHBswにより検出したシフトポジションに基づいて前記第2目標出力軸トルク演算手段B3および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数を変更する手段を備える。このため、車両の走行状態に基づいて求められる電動機4の第1の目標出力軸トルクtTo0と発電機2の第1の目標入力軸回転数tNi0との双方に施すフィルタ処理のフィルタ時定数を、シフトポジションにより適切に変更し、電動機4へ与える第2の目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2の目標入力軸回転数tNiを演算することとしたため、電動機4へ与える第2の目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2の目標入力軸回転数tNiをシフトポジションにより適切な応答に制御することが可能になり、シフトポジション変更時にも違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0057】
(イ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがNレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くするため、Nレンジでは電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、その後のシフトポジション変更に即座に備える事ができるため、違和感の無い良好な運転性を確保する事ができる。
【0058】
(ウ)特に、第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数を、シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがNレンジである場合においては0とすることにより、電動機4の第2目標出力軸トルクtToおよび第2目標出力軸トルク演算過程における中間変数CRv1〜CRv3と、発電機2の第2目標入力軸回転数tNiおよび該第2目標入力軸回転数演算過程における中間変数CRv1〜CRv3を即座に0にすることが可能となり、Nレンジから、Dレンジ(前進段)もしくはRレンジ(後進段)に変更し再発進をする際のトルクショックを防止し、違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0059】
(エ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがPレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ(前進段)若しくはRレンジ(後進段)に対して早くするため、Pレンジでは電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、その後のシフトポジション変更に即座に備える事ができ、違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0060】
(オ)特に、第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがPレンジである場合においては0とするため、電動機4の第2目標出力軸トルクtToおよび該第2目標出力軸トルク演算過程における中間変数CRv1〜CRv3と、前記発電機2の第2目標入力軸回転数tNiおよび第2目標入力軸回転数演算過程における中間変数CRv1〜CRv3を即座に0にすることが可能となり、Pレンジから、Dレンジ(前進段)もしくはRレンジ(後進段)に変更し再発進をする際のトルクショックを防止し、違和感の無い良好な運転性を確保する事ができる。
【0061】
(カ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数を、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがスポーツ走行モードに相当するシフトレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くする場合には、スポーツ走行モードに相当するレンジ(Sレンジ等)では電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、通常走行のDレンジに対して運転性(動力性能)を変更する事が可能となり、ハイブリッド車両の付加価値を提供することができる。
【0062】
(キ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記目標エンジントルクtTeの単位時間当たりの変化量と、前記第1目標入力軸回転数tNi0の単位時間当たりの変化量との比に基づいてフィルタ時定数演算手段B37により演算され、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションによっては予め定めた固定値のフィルタ時定数を使用するため、シフトポジションに基づき変更するフィルタ時定数をシフトポジション毎に任意に設定することが可能となり、各シフトポジションにより適切なフィルタ時定数を設定することができる。
【0063】
(ク)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記目標エンジントルクtTeの単位時間当たりの変化量と前記第1目標入力軸回転数tNiの単位時間当たりの変化量との比に基づいて演算した基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03と、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジション毎に予め定めた固定値tINHCRtrmとに基き演算するため、シフトポジションに基づき変更するフィルタ時定数をシフトポジション毎に任意に設定することが可能となり、各シフトポジションにより適切なフィルタ時定数を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すハイブリッド車両の制御装置のシステム構成図。
【図2】統合コントロールユニットの制御内容を示したブロック図。
【図3】協調指令値生成部の制御内容を示したブロック図。
【図4】フィルタ時定数変更手段の制御内容を示したブロック図。
【図5】本実施形態の制御装置の動作状態をアクセル開度の時間的変化(A)、車速の時間的変化(B)、第1目標出力軸トルクtTo0の時間的変化(C)、目標出力軸トルクtToの時間的変化(D)により示すタイムチャート。
【図6】比較例の動作状態をアクセル開度の時間的変化(A)、車速の時間的変化(B)、第1目標出力軸トルクtTo0の時間的変化(C)、目標出力軸トルクtToの時間的変化(D)により示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
3 クラッチ
4 電動機
5 電気パワートレイン
6 駆動軸
10 統合コントロールユニット
11 エンジンコントロールユニット
12 トランスミッションコントロールユニット
13 エアフローメータ
14 電子制御スロットル
21 出力軸回転速度センサ
22 アクセル操作量センサ
23 クランク角センサ
24 入力軸回転速度センサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、ハイブリッド車両の制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来からエンジンと発電/電動機を組合せて搭載したハイブリッド車両(HEV)が、シリーズ式、パラレル式として知られている。シリーズ式ではエンジンの出力軸から取出される仕事率(軸出力)は全て発電機によって回生され、また一部のパラレル式でも、エンジンから駆動系への機械的接続を切離して一時的にシリーズ式の発電モードを選択でき、この場合もエンジンの軸出力は全て発電機により回生される。その際、モータで消費するエネルギを、過不足なく発電機から供給することができれば、バッテリにおける充放電の際の損失を大幅に低減することができ、効率の向上が望める。しかし、一般には、発電機とエンジンに同時に指令値を与えても、発電機の指令値に対する応答は、エンジンの場合と比べて非常に速いため、発電を増大させるために回転数を上昇させようとしても、応答の速い発電機が駆動トルクを発生して回転数を上昇させることになり、結果として発電電力が減少してしまうこともある。
【0003】
この問題に対して、発電機の応答を、発電機への指令値にフィルタ処理を施すことで見かけ上遅くして安定して発電制御が行えるようにしたハイブリッド車両の制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、車両走行状態の変化に伴いモータの出力は時々刻々変化するが、その出力に対して過不足なく電力をリアルタイムに発電機から供給するために、電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に、適切に設計された同一の構成からなる少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施し、発電電力と消費電力を一致するように制御するハイブリッド車両の制御装置が提案されている(特許文献2、3参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−122710号公報
【特許文献2】
特開平11−146503号公報
【特許文献3】
特開2000−236602号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、車両走行状態およびシフトポジションにかかわらず常時電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に、少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施し発電電力と消費電力を一致するように制御しているので、車両停止後もフィルタ時定数によりフィルタ処理後の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方がフィルタ処理前の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数に収束せず有効値として残っている状態が生ずる。
【0007】
この状態でDレンジ→Nレンジ→Rレンジとシフトポジションを変更すると、フィルタ処理前の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数はシフトポジションにより適切に変化するが、フィルタ処理後の電動機へ与える目標出力軸トルク、および発電機へ与える目標入力軸回転数の双方がフィルタ時定数により遅れるため、フィルタ時定数に基づき収束するまでの時間、Rレンジに入れているにも関わらず前進トルクが発生したり、Dレンジを選択しているにも関わらず後退トルクが発生し、その現象がトルクショックとなり違和感を伴う不具合を生ずる。
【0008】
そこで本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、電動機へ与える目標出力軸トルクおよび発電機へ与える目標入力軸回転数の双方に施すフィルタ時定数をシフトポジションに応じて適切に算出し、違和感となるトルクショックを改善するハイブリッド車両の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両の走行状態に基づいて電動機の第1の目標出力軸トルクを演算する第1目標出力軸トルク演算手段と、目標発電出力演算手段により車両の走行状態に基づいて演算された目標発電出力に基づいて発電機の第1の目標入力軸回転数を演算する第1目標入力軸回転数演算手段と、前記目標発電出力と入力軸回転数とに基づいてエンジンの目標エンジントルクを演算する目標エンジントルク演算手段および前記目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを制御するエンジン制御手段と、前記第1の目標出力軸トルクに対し少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施して電動機の第2の目標出力軸トルクを演算する第2目標出力軸トルク演算手段と、前記第1の目標入力軸回転数に対し前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるものと等しい構成からなるフィルタ処理を施して発電機への第2の目標入力軸回転数を演算する第2目標入力軸回転数演算手段と、前記第2目標出力軸トルクおよび前記第2目標入力軸回転数に基づいて電動機の出力軸トルクおよび発電機の入力軸回転数を夫々制御する電動機制御手段および発電機制御手段と、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションに基づいて前記第2目標出力軸トルク演算手段および前記第2目標入力軸回転数演算手段の各フィルタ時定数を変更する手段を備える。
【0010】
【発明の効果】
したがって、本発明では、車両の走行状態に基づいて求められる電動機の第1の目標出力軸トルクと発電機の第1の目標入力軸回転数との双方に施すフィルタ処理のフィルタ時定数を、シフトポジションにより適切に変更し、電動機へ与える第2の目標出力軸トルクおよび発電機へ与える第2の目標入力軸回転数を演算することとしたため、電動機へ与える第2の目標出力軸トルクおよび発電機へ与える第2の目標入力軸回転数をシフトポジションにより適切な応答に制御することが可能になり、シフトポジション変更時にも違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のハイブリッド車両の制御装置を一実施形態に基づいて説明する。
【0012】
図1は、本発明を適用したハイブリッド車両の制御装置の第1実施形態を示すシステム構成図である。この車両では、従来の機械式変速機に代えて、無段変速機として機能する電機パワートレイン5がエンジン1に接続されている。電機パワートレイン5は、主に発電機として使用される第1の回転電機(以下、発電機)2と主に電動機として使用される第2の回転電機(以下、電動機)4とで構成され、発電機2のロータ軸がエンジン1のクランク軸に連結される一方、電動機4のロータ軸(以下、出力軸)6は、図示しない変速装置、動力伝達装置、差動装置等の減速機を介して駆動軸(駆動輪が取付けられる回転軸)に連結される。
【0013】
発電機2および電動機4は永久磁石式交流同期電動機等の交流機であり、それぞれインバータ8に接続されている。インバータ8にはさらにバッテリ9(リチウムバッテリあるいはニッケル水素バッテリ等)が接続されている。
【0014】
発電機2と電動機4の間にはクラッチ3が介装されており、クラッチ3が締結されるとエンジン1と出力軸6が直結状態となってエンジン1で直接出力軸6を駆動することができる。クラッチ3は、駆動力をエンジン1のみ、電動機4のみ、またはエンジン1と電動機4両方に切換えるためのものであり、HEVの種類や構造によっては当該クラッチ3を備えないものもある。図1では、第1の回転電機(発電機)2はエンジン1の出力軸上に配置されているが、ギアやプーリなどで連結する方式もある。
【0015】
また、電機パワートレイン5には、発電機2のロータ回転速度(以下、入力軸回転速度)Niを検出する入力軸回転速度センサ24と、電動機4のロータ回転速度(以下、出力軸回転速度)Noを検出する出力軸回転速度センサ21とが取付けられている。電気パワートレイン5コントロールユニット12には、発電機2の回転子の回転数(入力軸回転数Ni)を検出する入力軸回転センサ24の検出信号と電動機4の回転子の回転数(出力軸回転数No)を検出する出力軸回転数センサ21の検出信号とが入力される他、統合コントロールユニット10が演算した目標入力軸回転数tNiと目標出力軸トルクtToとが入力される。電気パワートレイン5コントロールユニット12は、これらの値に基づいて発電機2、電動機4に対する電流指令値を演算し、この指令値をインバータ8へ送って発電機2、電動機4を制御する。なお、エンジン1と発電機2は直結されているため、入力軸回転数Niはエンジン回転数と等価となる。
【0016】
一方、エンジン1の吸気管には電子制御式スロットル弁14が設けられており、スロットル弁14は必要とされる発電電力に応じて設定される目標エンジントルクが実現されるようエンジンコントロールユニット11により運転者のアクセル操作とは独立して開閉制御される。エンジン1を制御するエンジンコントロールユニット11は、統合コントロールユニット10が演算した目標エンジントルクtTeに応じて電子制御スロットル14の開度を決定する他、エアフローメータ13が検出した吸入空気量と、クランク角センサ23が検出したエンジン回転数に基づいて燃料噴射制御や点火時期制御を行う。
【0017】
統合コントロールユニット10は、出力軸回転数センサ21が検出した出力軸回転数No、入力軸回転センサ24が検出した入力軸回転数Ni、アクセル開度センサ22からのアクセルペダル踏み込み量APSをそれぞれ読み込んで、これらの運転状態を示す情報から、目標出力軸トルクtTo、目標入力軸回転数tNi、目標エンジントルクtTeを演算する。なお、統合コントロールユニット10は、バッテリ9の入出力電力を監視しており、この入出力電力情報に基づいてバッテリ9の充電状態SOCを演算する。
【0018】
図2は統合コントロールユニット10の制御ブロック構成図を示し、目標駆動トルク(第1目標駆動トルクtTo0)生成部101およびバッテリSOC演算部102と、第1目標駆動トルクtTo0およびバッテリSOC信号に基づき運転モードを判定する運転モード判定部103と、バッテリSOC信号に基づき目標充放電量tPcを演算する目標充放電量演算部104と、第1目標駆動トルクtTo0、運転モード信号および目標充放電量tPc等に基づき目標駆動トルクtTo、目標入力回転数tNi、目標エンジントルクtTeを演算する協調指令値生成部105とから構成している(図中破線で囲んだ部分)。各制御ブロックの上記および下記する機能は、統合コントロールユニット10によりソフトウェア的に達成される。
【0019】
前記目標駆動トルク生成部101は、アクセル開度AP0と車速VSPに基づき、所定のマップを参照して目標駆動力tFd[Nm]を求め、目標駆動力tFdに定数(タイヤ有効半径)/(ファイナルギア比)を乗じて電動機4の第1目標出力軸トルクtTo0を求める。なお、第1目標駆動トルクtTo0は、電動機4を力行させるとき正の値を取り、回生(発電)させるときは負の値を取る。
【0020】
前記バッテリSOC演算部102は、バッテリ9の入出力電力情報に基づいてバッテリ9の充電状態SOCを演算する。
【0021】
前記運転モード判定部103は、目標駆動トルク生成部101で演算された第1目標出力軸トルクtTo0とバッテリSOC演算部102で演算された充電状態SOCとに基づいてエンジン1と電気パワートレイン5の運転モードを決定する。運転モードは、具体的には、エンジン1の運転を停止するモードのとき運転モード判定フラグFMODEの値を0に設定し、エンジン1の運転により発電機2で発電するモードのとき運転モード判定フラグFMODEの値を1に設定し、発電機2に電力を供給してエンジン1をモータリングするモードのとき運転モード判定フラグFMODEの値を2に設定する。また、電動機4による回生制動を禁止させるときに減速回生禁止判定フラグfDCREGを1に設定する。
【0022】
前記目標充放電量演算部104は、バッテリ9の実SOC(SOC演算部102で演算される)を目標値(例えば60%)へ近づけるための目標充放電量tPoを演算する。なお、目標充放電量tPoは、バッテリ9を充電するとき正の値を取り、放電させるときは負の値を取る。
【0023】
前記協調指令値生成部105は、目標駆動トルク生成部101で演算された第1目標出力軸トルクtTo0、運転モード判定部103で設定された運転モード判定フラグFMODEおよび減速回生禁止判定フラグfDCREG、目標充放電量演算部104で演算された目標充放電量tPoに加えて、出力軸回転数センサ21が検出した出力軸回転数No、入力軸回転センサ24が検出した入力軸回転数Ni、インヒビタSW情報vINHBswに基づいて第2目標出力軸トルクtTo、目標入力軸回転数tNi、目標エンジントルクtTeを演算する。また、エンジン1の運転を停止させるときに燃料カット要求フラグfFCRQを1に設定する。協調指令値生成部105の具体的構成については、図3に基づき後述する。
【0024】
電動機トルク制御部106は、前記協調指令値生成部105で演算された第2目標出力軸トルク(目標モータトルク)tToに基づいて電動機4のトルクを制御する。発電機回転数制御部107は、協調指令値生成部105で演算された第2目標入力軸回転数tNiに入力軸回転数Ni(電動機2の実回転数)を一致させるためのトルクを演算し、このトルクに基づいて発電機2のトルクを制御する。電動機トルク制御部106および発電機回転数制御部107の機能は、電気パワートレイン5のトランスミッションコントロールユニット12がソフトウェア的に達成する。
【0025】
エンジントルク制御部108は、協調指令値生成部105で演算された第2目標エンジントルクtTeに基づいてエンジン1のスロットル開度TVOを制御する。また、協調指令値生成部105で設定された燃料カット要求フラグfFCRQに応じて燃料噴射の実行/非実行を制御する。この制御ブロックの機能はエンジンコントロールユニット11がソフトウェア的に達成する。
【0026】
図3に示すブロック図に基づき前記協調指令値生成部105の構成を詳細に説明する。図3において、ブロックB1〜B6は第2目標出力軸トルクtToの演算に利用され、ブロックB7〜B13は目標エンジン出力tPo3の演算に利用され、ブロックB14〜B17は目標エンジン出力tPo3に基づく第2目標入力軸回転数tNiの演算に利用され、ブロックB19〜B21は目標エンジン出力tPo3に基づく目標エンジントルクtTeの演算に利用される。
【0027】
先ず、第2目標出力軸トルクtToの演算するブロックB1〜B6について説明する。ブロックB1では、減速回生禁止判定フラグfDCREGに応じて、第1目標出力軸トルクtTo0[Nm]か、0[Nm]のいずれかを選択し、選択した値をtTo1として出力する。即ち、減速回生禁止判定フラグfDCREG=1(減速回生禁止)のときは0[Nm]を選択出力し、減速回生禁止判定フラグfDCREG=0(減速回生禁止でない)のときは第1目標出力軸トルクtTo0[Nm]を選択出力する。
【0028】
ブロックB2では、ブロックB1のトルク出力tTo1に後述するブロックB6からの出力軸回転速度(電動機の回転速度)No[rad/s]を乗じて電動機4の第1目標モータ出力tPo0[W]を算出する。
【0029】
ブロックB3では、第1目標モータ出力tPo0にフィルタ処理を施して第2目標モータ出力tPo[W]を出力する。このフィルタ処理は、図4に示すように、インヒビタSW情報vINHBswに応じて変更される。この処理は本発明の特徴部を構成するが、図4と共に後述する。
【0030】
ブロックB4では、第2目標モータ出力tPo[W]をブロックB6からの出力軸回転速度No[rad/s]で除して第2目標出力軸トルクtTo[Nm]を算出する。
【0031】
なお、ブロックB5では、出力軸回転数センサ21で検出した出力軸回転速度No[rpm]に下限処理を施す。この処理は前記ブロックB2およびB4での乗算および除算において、0(回転)による乗算および除算を防止するためである。ブロックB6では、下限処理された出力軸回転速度Noに定数G1(単位変換係数)を乗じて出力軸回転速度Noの単位を[rad/s]に変換する。
【0032】
次に、目標エンジン出力tPo3の演算に関わるブロックB7〜B13について説明する。ブロックB7では、出力軸回転速度(モータ回転速度)No[rpm]とブロックB4から出力される第2目標出力軸トルクtToとに基づき、所定のマップを参照して電動機4で発生するモータ損失LOSSm[W]を算出する。
【0033】
ブロックB8では、ブロックB2から出力される第1目標モータ出力tPo0にモータ損失LOSSm[W]を加算して発電機2の目標発電電力基本値tPo1[W]を算出する。
【0034】
ブロックB9では、目標発電電力基本値tPo1に、後述するブロックB13で算出された発電モータ損失LOSSgを加算して目標エンジン出力基本値tPo2[W]を算出する。
【0035】
ブロックB10では、目標エンジン出力基本値tPo2に、目標充放電量tPo[W]を加算して目標エンジン出力tPo3[W]を算出する。この目標エンジン出力tPo3は、電動機4が出力する駆動トルクに相当する分の電力(第1目標モータ出力tPo0)にモータ損失LOSSmおよび発電モータ損失LOSSgと、目標充放電量tPoとを加算したものであり、発電機2で発生させるべき発電量であり、それを得るためのエンジン1の駆動出力を意味する。
【0036】
前記発電モータ損失LOSSgは、ブロックB11〜B13により算出される。ブロックB11では、入力軸回転センサ24で検出した入力軸回転速度Ni[rpm]に基づき、所定のマップを参照してテーブル設定された回生制動時におけるエンジンブレーキトルクTembr[Nm]を算出する。
【0037】
ブロックB12では、運転モード判定フラグFMODEに応じて、0[Nm]、後述する目標エンジントルクtTeの前回値、エンジンブレーキトルクTembrのいずれかを選択出力する。この場合、運転モード判定フラグFMODE=0(エンジン停止モード)のときは、0[Nm]を選択出力し、運転モード判定フラグFMODE=1(発電モード)のときは、目標エンジントルクtTeの前回値を選択出力し、運転モード判定フラグFMODE=2(モータリングモード)のときエンジンブレーキトルクTembrを選択出力する。
【0038】
ブロックB13では、ブロックB12で選択出力したトルク値と入力軸回転速度Ni[rpm]に基づき、所定のマップを参照して発電機2で発生する発電モータ損失LOSSgを算出する。
【0039】
次に、第2目標入力軸回転数tNiの演算に関わるブロックB14〜B17について説明する。ブロックB14では、ブロックB10からの目標エンジン出力tPo3に基づき、所定のマップテーブルを参照して第1目標入力軸回転速度基本値tNi1[rpm]を算出する。
【0040】
ブロックB15では、目標エンジン出力tPo3に基づき、所定のマップテーブルを参照して第2目標入力軸回転速度基本値tNi2[rpm]を算出する。ただし、この場合、目標エンジン出力tPo3が負値である場合に限り有効な値が算出される。
【0041】
ブロックB16では、運転モード判定フラグFMODEに応じて、0[rpm]、第1目標入力軸回転速度基本値tNi1若しくは第2目標入力軸回転速度基本値tNi2のいずれかを選択し、選択した値を第1目標入力軸回転速度tNi0[rpm]として出力する。この場合、運転モード判定フラグFMODE=0(エンジン停止モード)のときに0[rpm]を選択し、運転モード判定フラグFMODE=1(発電モード)のとき第1目標入力軸回転速度基本値tNi1を選択し、運転モード判定フラグFMODE=2(モータリングモード)のとき第2目標入力軸回転速度基本値tNi2を選択する。
【0042】
ブロックB17では、前記第1目標入力回転速度tNi0にフィルタ処理を施して第2目標入力軸回転速度tNi[rpm]を算出する。このフィルタ処理は発電機2の見かけ上の制御応答速度を小さくするために行われる。このフィルタ処理はブロックB3のフィルタ処理と同じものであり、このフィルタ処理もインヒビタSW情報vINHBswに応じて変更される。
【0043】
次に、第2目標エンジントルクtTeの演算に関わるブロックB19〜B21について説明する。ブロックB20では、入力回転速度Ni[rpm]に定数G3(単位変換係数)を乗じて単位を[rad/s]に変換する。そして、ブロックB19では、ブロックB10から出力される目標エンジン出力tPo3を入力回転速度Ni[rad/s]で除して目標エンジントルクtTe[Nm]を算出する。なお、ブロックB21では、前記した目標エンジントルクtTeの前回値をブロックB15に出力している。
【0044】
また、ブロックB18では、運転モード判定フラグFMODEに応じて燃料カット要求フラグfFCRQの値を決定する。この場合、運転モード判定フラグFMODE=0(エンジン停止モード)のとき燃料カット要求フラグfFCRQ=1(燃料カット要求)であり、運転モード判定フラグFMODE=1(発電モード)のとき燃料カット要求フラグfFCRQ=0(燃料カット要求なし)であり、さらに運転モード判定フラグFMODE=2(モータリングモード)のとき燃料カット要求フラグfFCRQ=1(燃料カット要求)となるようにそれぞれ決定される。
【0045】
次に、図3のブロックB3およびB17における処理内容について説明する。
【0046】
ブロックB3およびB17は、「目標エンジントルクtTeの変化量」と「目標入力軸回転速度tNi0の変化量」の比を時々刻々求めることができれば、常にフィルタの時定数Tを最適値に制御することができることに着目したものであり、このフィルタ時定数Tをインヒビタスイッチ情報によってポジション毎に予め定めた固定値とするようにしたものである。ここで、
T:時定数
ζ:ダンピング係数
Δt:演算周期
tPo:第2目標モータ出力
tPon−1:前回の第2目標モータ出力
tPon−2:前々回の第2目標モータ出力
tPo0:第1目標モータ出力
として、ディジタル制御で使用できるように離散時間系で記述すると、第2目標モータ出力tPoは、下記(1)式、
tPo=[(Δt)2/(T2+2ζT+(Δt)2)]×tPo0+[2(T2+ζT・Δt)/(T2+2ζT+(Δt)2)]×tPon−1+[(−T2)/(T2+2ζT+(Δt)2)]×tPon−2 ・・・(1)
となる。
【0047】
但し、上記時定数Tおよびダンピング係数ζは、下記(2)式および(3)式、
T=(1/CR)×(TE・TG/(KI・KG・KP・TE+1))1/2 ・・・(2)
ζ=(TE+TG)/2(TE・TG・(KI・KG・KP・TE+1))1/2 ・・・(3)
となる。但し、
CR:時定数調整係数、フィルタの時定数を調整するための定数
KI:エンジン1及び発電機2の回転モーメントの和の逆数
KG:発電機2の応答ゲイン(=1)
KP:発電機2の回転速度フィードバック制御の比例ゲイン
TE:エンジン1の応答時定数
TG:発電機2の応答時定数
である(以上は、本出願人の特開2001−200741号公報の(12)〜(14)式から引用した)。
【0048】
図4において、基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03は、上記(1)式の右辺第1項〜第3項の括弧[]で囲んだ項目に設定され、各基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03はブロックB31〜B33で、第1目標モータ出力tPo0、ブロックB34で記憶された前回値の第2目標モータ出力tPon−1、さらにブロックB35で記憶された前々回の第2目標モータ出力tPon−2と夫々乗算され、ブロックB36で加算されて、第2目標モータ出力tPoとして出力される。
【0049】
ブロックB37は、インヒビタSW情報vINHBswに基づいて位相補正フィルタ時定数トリミングテーブルmINHCRTRMを検索し、シフトポジションに応じたフィルタ時定数トリミング定数tINHCRtrmを設定する。このフィルタ時定数トリミング定数tINHCRtrmは、ブロックB38〜B40により基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03に乗算され、フィルタ時定数CRv1〜CRv3を算出するようにしている。従って、上記のように、電動機4の第1目標モータ出力tPo0にフィルタ時定数CRv1〜CRv3を乗じることによりフィルタ処理された電動機4の第2目標モータ出力tPoを算出することができる。なお、第1目標入力軸回転数tNi0が入力されるブロックB17においても、ブロックB3と同様の構成としている。
【0050】
ここで、ブロックB37により得られるフィルタ時定数トリミング定数tINHCRtrmは、例えば、シフトポジションが、N(ニュウトラル)レンジおよびP(パーキング)レンジである場合には、0値を含む1以下の数値に設定すれば、シフトポジションがドライブレンジ(Dレンジ)若しくはリバースレンジ(Rレンジ)からNレンジ(Pレンジ)にシフトチェンジした際には、速やかに第2目標モータ出力tPoを第1目標モータ出力tPo0に収束するようフィルタ時定数を調整できることとなる。従って、Nレンジ(Pレンジ)では電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、その後のシフトポジション変更に即座に備える事ができるため、違和感の無い良好な運転性を確保する事ができる。
【0051】
なお、シフトポジションがSレンジ(スポーツ走行モード)にシフトされた際にも、通常走行のシフトポジションであるDレンジ(前進段)もしくはRレンジ(後進段)に対して早くすることにより、電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、通常走行のDレンジに対して運転性(動力性能)を変更する事が可能となり、ハイブリッド車両の付加価値を提供することができる。
【0052】
図5は、本実施形態を適用した車両において、車両をDレンジで加速から減速し、車両停止後シフトポジションをNレンジを経由させてRレンジに変更し、クリープトルクにより車両をバックさせるという場合の各値の応答を、レンジ毎に同じフィルタ時定数を備える比較例(図6)と対比して示したものである。図5、6の(A)〜(D)は、アクセル開度の時間的変化(A)、車速の時間的変化(B)、第1目標出力軸トルクtTo0の時間的変化(C)、目標出力軸トルクtToの時間的変化(D)を夫々示す。
【0053】
図6に示す比較例においては、減速後停止しNレンジを選択しているにもかかわらず、フィルタ処理後の電動機4の第2目標出力軸トルクtToが電動機4の第1目標出力軸トルクtTo0に収束せず、回生トルクを発生した状態で推移している(矢印A参照)。この状態でRレンジに変更すると、ステップ状にtToを電動機制御装置へ送信し駆動することとなるため、予期せぬトルク段差が発生しトルクショック(矢印B参照)として現れる。
【0054】
本実施形態においては、図5に示すように、同様の運転条件においてシフトポジションをNレンジにした際、即座にフィルタ時定数を適切な値とするため、電動機4の第2目標出力軸トルクtToは第1目標出力軸トルクtTo0に即座に収束し(矢印C参照)、Rレンジに変更しバックする際にはその時の第1目標出力軸トルクtTo0を出発点としてフィルタ処理を施すため、トルク段差無く(矢印D参照)制御することができる。
【0055】
本実施形態においては、以下に記載する効果を奏することができる。
【0056】
(ア)車両の走行状態に基づいて電動機4の第1の目標出力軸トルクtTo0を演算する第1目標出力軸トルク演算手段101と、目標発電出力演算手段(B7〜B13)により車両の走行状態に基づいて演算された目標発電出力tPo3に基づいて、発電機2の第1の目標入力軸回転数tNi0を演算する第1目標入力軸回転数演算手段(B14〜N16)と、前記目標発電出力tPo3と入力軸回転数Niとに基づいてエンジン1の目標エンジントルクtTeを演算する目標エンジントルク演算手段(B19、B20)および前記目標エンジントルクtTeに基づきエンジントルクを制御するエンジン制御手段(11、108)と、前記第1の目標出力軸トルクtTo0に対し少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施して電動機4の第2の目標出力軸トルクtToを演算する第2目標出力軸トルク演算手段(B3)と、前記第1の目標入力軸回転数tNi0に対し前記第2目標出力軸トルク演算手段(B3)におけるものと等しい構成からなるフィルタ処理を施して発電機2への第2の目標入力軸回転数tNiを演算する第2目標入力軸回転数演算手段(B17)と、前記第2目標出力軸トルクtToおよび前記第2目標入力軸回転数tNiに基づき電動機4の出力軸トルクおよび発電機2の入力軸回転数を夫々制御する電動機制御手段(106、12)および発電機制御手段(107、12)と、を備えるハイブリッド車両の制御装置であって、シフトポジション検出手段としてのインヒビタスイッチ情報vINHBswにより検出したシフトポジションに基づいて前記第2目標出力軸トルク演算手段B3および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数を変更する手段を備える。このため、車両の走行状態に基づいて求められる電動機4の第1の目標出力軸トルクtTo0と発電機2の第1の目標入力軸回転数tNi0との双方に施すフィルタ処理のフィルタ時定数を、シフトポジションにより適切に変更し、電動機4へ与える第2の目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2の目標入力軸回転数tNiを演算することとしたため、電動機4へ与える第2の目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2の目標入力軸回転数tNiをシフトポジションにより適切な応答に制御することが可能になり、シフトポジション変更時にも違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0057】
(イ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがNレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くするため、Nレンジでは電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、その後のシフトポジション変更に即座に備える事ができるため、違和感の無い良好な運転性を確保する事ができる。
【0058】
(ウ)特に、第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数を、シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがNレンジである場合においては0とすることにより、電動機4の第2目標出力軸トルクtToおよび第2目標出力軸トルク演算過程における中間変数CRv1〜CRv3と、発電機2の第2目標入力軸回転数tNiおよび該第2目標入力軸回転数演算過程における中間変数CRv1〜CRv3を即座に0にすることが可能となり、Nレンジから、Dレンジ(前進段)もしくはRレンジ(後進段)に変更し再発進をする際のトルクショックを防止し、違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0059】
(エ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがPレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ(前進段)若しくはRレンジ(後進段)に対して早くするため、Pレンジでは電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、その後のシフトポジション変更に即座に備える事ができ、違和感の無い良好な運転性を確保することができる。
【0060】
(オ)特に、第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがPレンジである場合においては0とするため、電動機4の第2目標出力軸トルクtToおよび該第2目標出力軸トルク演算過程における中間変数CRv1〜CRv3と、前記発電機2の第2目標入力軸回転数tNiおよび第2目標入力軸回転数演算過程における中間変数CRv1〜CRv3を即座に0にすることが可能となり、Pレンジから、Dレンジ(前進段)もしくはRレンジ(後進段)に変更し再発進をする際のトルクショックを防止し、違和感の無い良好な運転性を確保する事ができる。
【0061】
(カ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数を、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがスポーツ走行モードに相当するシフトレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くする場合には、スポーツ走行モードに相当するレンジ(Sレンジ等)では電動機4へ与える第2目標出力軸トルクtToおよび発電機2へ与える第2目標入力軸回転数tNiがそれぞれの第1目標値に収束する時間を格段に早くすることが可能となり、通常走行のDレンジに対して運転性(動力性能)を変更する事が可能となり、ハイブリッド車両の付加価値を提供することができる。
【0062】
(キ)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記目標エンジントルクtTeの単位時間当たりの変化量と、前記第1目標入力軸回転数tNi0の単位時間当たりの変化量との比に基づいてフィルタ時定数演算手段B37により演算され、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションによっては予め定めた固定値のフィルタ時定数を使用するため、シフトポジションに基づき変更するフィルタ時定数をシフトポジション毎に任意に設定することが可能となり、各シフトポジションにより適切なフィルタ時定数を設定することができる。
【0063】
(ク)第2目標出力軸トルク演算手段B3におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段B17におけるフィルタ時定数は、前記目標エンジントルクtTeの単位時間当たりの変化量と前記第1目標入力軸回転数tNiの単位時間当たりの変化量との比に基づいて演算した基本フィルタ時定数CRv01〜CRv03と、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジション毎に予め定めた固定値tINHCRtrmとに基き演算するため、シフトポジションに基づき変更するフィルタ時定数をシフトポジション毎に任意に設定することが可能となり、各シフトポジションにより適切なフィルタ時定数を設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すハイブリッド車両の制御装置のシステム構成図。
【図2】統合コントロールユニットの制御内容を示したブロック図。
【図3】協調指令値生成部の制御内容を示したブロック図。
【図4】フィルタ時定数変更手段の制御内容を示したブロック図。
【図5】本実施形態の制御装置の動作状態をアクセル開度の時間的変化(A)、車速の時間的変化(B)、第1目標出力軸トルクtTo0の時間的変化(C)、目標出力軸トルクtToの時間的変化(D)により示すタイムチャート。
【図6】比較例の動作状態をアクセル開度の時間的変化(A)、車速の時間的変化(B)、第1目標出力軸トルクtTo0の時間的変化(C)、目標出力軸トルクtToの時間的変化(D)により示すタイムチャート。
【符号の説明】
1 エンジン
2 発電機
3 クラッチ
4 電動機
5 電気パワートレイン
6 駆動軸
10 統合コントロールユニット
11 エンジンコントロールユニット
12 トランスミッションコントロールユニット
13 エアフローメータ
14 電子制御スロットル
21 出力軸回転速度センサ
22 アクセル操作量センサ
23 クランク角センサ
24 入力軸回転速度センサ
Claims (8)
- エンジンと、エンジンに連結されてエンジンの出力を回生する発電機と、発電機の発電電力の供給を受けて駆動輪を駆動可能な電動機と、電動機への供給電力が不足するときに電動機に電力を供給し、供給電力が余るとき余剰電力を蓄電するバッテリと、車両の走行状態検出手段と、シフトポジション検出手段と、前記エンジンの運転状態検出手段と、前記発電機の運転状態検出手段と、前記電動機の運転状態検出手段と、を備え、
車両の走行状態に基づいて前記電動機の第1の目標出力軸トルクを演算する第1目標出力軸トルク演算手段と、
車両の走行状態に基づいて目標発電出力を演算する目標発電出力演算手段と、
前記目標発電出力に基づいて前記発電機の第1の目標入力軸回転数を演算する第1目標入力軸回転数演算手段と、
前記目標発電出力と入力軸回転数とに基づいて前記エンジンの目標エンジントルクを演算する目標エンジントルク演算手段と、
前記目標エンジントルクに基づいてエンジントルクを制御するエンジン制御手段と、
前記第1の目標出力軸トルクに対し少なくとも2次以上の次数で構成されたフィルタ処理を施して前記電動機の第2の目標出力軸トルクを演算する第2目標出力軸トルク演算手段と、
前記第1の目標入力軸回転数に対し前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるものと同等のフィルタ処理を施して前記発電機への第2の目標入力軸回転数を演算する第2目標入力軸回転数演算手段と、
前記第2目標出力軸トルクに基づいて前記電動機の出力軸トルクを制御する電動機制御手段と、
前記第2目標入力軸回転数に基づいて前記発電機の入力軸回転数を制御する発電機制御手段と、を備えるハイブリッド車両の制御装置において、
前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションに基づいて前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数を変更する手段を備えることを特徴とするハイブリッド車両の制御装置。 - 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがNレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがPレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがスポーツ走行モードに相当するシフトレンジにおいては、通常走行時のシフトポジションであるDレンジ若しくはRレンジに対して早くすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがNレンジである場合においては、0とすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションがPレンジである場合においては、0とすることを特徴とする請求項1に記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記目標エンジントルクの単位時間当たりの変化量と、前記第1目標入力軸回転数の単位時間当たりの変化量との比に基づいてフィルタ時定数演算手段により演算され、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジションによっては予め定めた固定値のフィルタ時定数を使用することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置。
- 前記第2目標出力軸トルク演算手段におけるフィルタ時定数および前記第2目標入力軸回転数演算手段におけるフィルタ時定数は、前記目標エンジントルクの単位時間当たりの変化量と前記第1目標入力軸回転数の単位時間当たりの変化量との比に基づいて演算した基本フィルタ時定数と、前記シフトポジション検出手段により検出したシフトポジション毎に予め定めた固定値とに基づき演算することを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一つに記載のハイブリッド車両の制御装置。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102963252A (zh) * | 2012-11-26 | 2013-03-13 | 北京智行鸿远汽车技术有限公司 | 一种纯电动汽车的急松油门扭矩滤波控制方法 |
CN110228460A (zh) * | 2011-01-13 | 2019-09-13 | 卡明斯公司 | 用于控制混合动力传动系中的功率输出分布的系统、方法和装置 |
-
2003
- 2003-05-13 JP JP2003134415A patent/JP2004343830A/ja active Pending
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CN102963252A (zh) * | 2012-11-26 | 2013-03-13 | 北京智行鸿远汽车技术有限公司 | 一种纯电动汽车的急松油门扭矩滤波控制方法 |
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