JP2004343419A - 方向性結合器 - Google Patents

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宏之 山口
Iwao Matsuura
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Abstract

【課題】無線通信機器におけるアイソレータと電力増幅器との間の高確度インピーダンス整合を簡易な構成で実現する。
【解決手段】送信系回路30に設けられる整合回路付きの方向性結合器3aは、主伝送路MS及び副伝送路SSを有してなる方向性結合器の後段に、電力増幅器2とアイソレータ7との間のインピーダンスを整合させるための整合回路(例えば、整合用キャパシタ5a及び整合用インダクタ6aで構成される2次1段のローパスフィルタ型整合回路)を接続する形態で一体化して構成される。この方向性結合器3aによって、方向性結合器をインピーダンス整合回路としても機能させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力増幅器とアイソレータとの間に設けられる方向性結合器に関する。
【0002】
【従来の技術】
携帯電話機のような無線通信機器の送信系において、図5に示すように、電力増幅器110で増幅された送信信号をデュプレクサ130及びアンテナ140を介して送信する場合に、途中に、アイソレータ120を介在させる場合がある。これは以下の理由による。
【0003】
すなわち、電力増幅器とアンテナとの間でインピーダンスが整合していれば、電力増幅器から出力される送信信号はすべてアンテナに送られる。しかし、例えば、アンテナが折れる等の非常事態が生じた場合、送信信号が全反射して電力増幅器に帰還し、大電流が流れて、最悪の場合、熱暴走による電力増幅器の破壊に至るおそれがある。
【0004】
そこで、デュプレクサの後段にアイソレータを設けることにより、反射波の電力増幅器への帰還を阻止することができる。これにより、無線通信機器を、常に安定して動作させることができる。このように送信系回路にアイソレータを設けた構成は、例えば、特許文献1に記載されている。
【0005】
また、無線通信機器のフロントエンドでは高周波信号を処理するため、フロントエンドを構成する各回路部品間のインピーダンス整合を実現することが重要である。送信系回路のアンテナ側モジュールとパワーアンプモジュールとの間のインピーダンス整合を実現する技術は、例えば、特許文献2に記載されている。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−320252号公報(図1、図3)
【特許文献2】
特開2001−308722号公報(図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
アイソレータの入力インピーダンスは、通常、50Ωに設定されている。これは、インピーダンスを測定する機器のインピーダンスが標準的に50Ωに設定されていることに起因している。
【0008】
一方、電力増幅器のロードプル特性から、歪み特性に対する負荷インピーダンスの最適点は50Ωから外れていることが知られている。したがって、単純に、電力増幅器とアイソレータを結合させると、不整合によって歪み特性を劣化させる原因になり、また、不要な消費電流の増加にもつながる。
【0009】
携帯電話機のような携帯通信機器において、低消費電力化は必須の条件であり、電力増幅器の電力効率の改善と共に、電力増幅器の低電力低歪み特性を引き出す整合技術の確立が望まれている。
【0010】
しかしながら、実際は、アイソレータの入力インピーダンスに合わせた高確度のインピーダンス整合は困難であり、しばしば、送信信号の周波数特性を劣化させ、隣接チャネル漏洩電力の増大等を招く原因となっている。
【0011】
つまり、アイソレータは、他の一般の受動部品と比較して大型の部品(ディスクリート部品)であり、また、かなり高価な部品であるため、小型化、低コストが厳しく要求される携帯通信機器に搭載すると、他の回路の設置スペースを奪い、また、コスト面でも不利となる。したがって、高価なインピーダンス整合器を搭載する等の対策も取りづらい。
【0012】
また、アイソレータは、電磁波を一方向にのみ通す特性をもつ特殊な素子であるため、他の素子との一体化(モジュール化)が困難である。つまり、単独で基板に搭載される外付けの部品であり、この点で、上記特許文献2に記載されるような、高周波回路部品を2つのモジュールに分け、各モジュール間でインピーダンスを整合させようとする技術を採用することは困難である。
【0013】
また、例えば、CDMA(Code Division Multiple Access )方式の携帯電話機では、送信電力制御を行うために、送信信号のレベルを検出し、その検出信号に基づいて電力増幅器の利得を制御する必要がある。この送信信号のレベルを検出するためには、送信信号を送信用伝送路から分岐させてレベル検出器に導く必要があり、このために方向性結合器が用いられる。
【0014】
このような方向性結合器は、必然的に、電力増幅器の後段(かつアイソレータの前段)に設けられるため、ますます、他の回路の設置スペースがなくなり、インピーダンス整合をとるための設計も難しくなる。
【0015】
また、回路基板に搭載する部品点数が増えることは組立上の負担となる。したがって高周波回路基板設計の自由度が、さらに制限される。
【0016】
このような状況下で、アイソレータと電力増幅器との間の高精度のインピーダンス整合を実現するのは困難である。
【0017】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、アイソレータと電力増幅器との間の高確度のインピーダンス整合を簡易な構成で実現することが可能な方向性結合器を提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の方向性結合器は、主伝送路と副伝送路とを有する方向性結合器であって、無線通信機器における電力増幅器とアイソレータとの間のインピーダンスを整合させるための、一体化された集中定数型整合回路を備えるものである。
【0019】
上記構成により、方向性結合器自体がインピーダンス整合回路を兼用することになり、部品点数の増加や組立上の問題を発生させることなく、アイソレータと電力増幅器との間の高確度インピーダンス整合を簡易な構成で実現することが可能となる。
【0020】
また、他の態様として、上記方向性結合器であって、前記集中定数型整合回路は、前記主伝送路の前段または後段に設けられた、前記主伝送路に並列に接続されるキャパシタと前記主伝送路に直列に接続されるインダクタとを有してなる2次1段ローパスフィルタ型整合回路であるものとする。
【0021】
上記構成は、最も簡単な構成の2次1段ローパスフィルタ型整合回路を方向性結合器と一体化したものであり、省スペース及びコスト上昇の抑制の点でより効果的である。また、方向性結合器として、例えば、主伝送路と副伝送路とを誘電体膜(絶縁体膜)を介して積層した構成をもつマイクロ波集積回路(MIC)型方向性結合器を用いる場合、その構造上、誘電体膜(絶縁体膜)を介在させたキャパシタを形成するのが容易であり、実現が容易である。
【0022】
また、他の態様として、上記方向性結合器であって、前記集中定数型整合回路は、前記主伝送路の前段または後段に設けられた、前記主伝送路に並列に接続されるキャパシタと前記主伝送路に直列に接続されるインダクタとを有してなる2次ローパスフィルタを2段組み合わせた4次2段ローパスフィルタ型整合回路であるものとする。
【0023】
上記構成では、方向性結合器と電力増幅器とのインピーダンス整合が取り易く、インピーダンス整合の精度を向上し易いため、方向性結合器において4次2段ローパスフィルタ型整合回路によってより高精度なインピーダンス整合を実現することが可能となる。
【0024】
また、本発明は、上記いずれかの方向性結合器を搭載した無線通信機器を提供する。
これにより、部品の特性のばらつきや、基板の特性のばらつきに起因する送信信号の周波数特性の変動、あるいは隣接チャネル漏洩電力の増大といった、無線通信機器において好ましくない事態の発生を防止することができる。したがって、無線通信機器の特性を改善することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
本実施形態では、無線通信機器の一例として携帯電話機を取り上げ、この携帯電話機に方向性結合器を適用した場合の構成例を説明する。
【0026】
(第1の実施形態)
図1は、本発明の第1の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図である。
【0027】
この送信系回路30は、送信信号入力端子1から入力される送信信号を増幅する高周波電力増幅器(単に電力増幅器という)2と、本発明に係る整合回路付きの方向性結合器3aと、アイソレータ7と、デュプレクサ9と、アンテナ10と、送信信号の利得制御のために用いられる、送信信号のレベルを検出するための検出器20及び利得制御回路21と、を備える。
【0028】
なお、アンテナ10で受信した信号を処理する場合には、デュプレクサ9(一種のスイッチである)は図1の状態から下側の回路に切り替えられ、受信信号は、受信信号端子8を介して受信回路(不図示)に送られる。
【0029】
整合回路付きの方向性結合器3aは、主伝送路MSと、副伝送路SSと、主伝送路に並列に設けられた整合用キャパシタ5aと、主伝送路に直列に設けられた整合用インダクタ6aと、を備える。副伝送路SSは、一端が終端抵抗Rで終端しており、他端に結合信号を出力ための結合信号出力端子4を有している。主伝送路MSと副伝送路SSとは、所定の結合度で結合している。
【0030】
これらの主伝送路MS及び副伝送路SSを有してなる方向性結合器と、整合用キャパシタ5a、整合用インダクタ6aを一体化した回路部品によって、整合回路付きの方向性結合器3aが構成される。整合用キャパシタ5a及び整合用インダクタ6aは、2次1段のローパスフィルタ型のインピーダンス整合回路、すなわちインダクタ(L)及びキャパシタ(C)によるLC回路からなる集中定数型の整合回路を構成し、方向性結合器の後段に設けられる。
【0031】
ここで、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器としては、例えば、主伝送路と副伝送路とを誘電体膜(絶縁体膜)を介して積層した構成をもつマイクロ波集積回路(MIC)を用いる。
【0032】
ここで、アイソレータ7の入力インピーダンスは50Ωであるから、方向性結合器3aの出力インピーダンスは50Ωであることが望ましく、また、方向性結合器3aの入力インピーダンスは、電力増幅器2の出力インピーダンス(50Ωから外れている)と整合していることが望ましい。このため、前記条件に極力近づけるように、整合用キャパシタ5aの容量及び整合用インダクタ6aのインダクタンスが選択される。
【0033】
次に、上記のように構成された送信系回路30の動作を説明する。
送信信号入力端子1に入力された送信信号は電力増幅器2によって増幅され、後段の方向性結合器3aに入力される。
【0034】
方向性結合器3aでは、副伝送路SSの結合信号出力端子4から結合信号が出力され、検出器20に送られる。利得制御回路21は、検出器20の検出結果に基づき、電力増幅器2の利得を制御する。このとき、方向性結合器3aの後段に設けられた、整合用キャパシタ5a及び整合用インダクタ6aによって、方向性結合器3aと電力増幅器2との間のインピーダンスが、整合条件を満たすように調整される。
【0035】
方向性結合器3aから出力される送信信号は、アイソレータ7、デュプレクサ9を介してアンテナに送られ、送信波として出力される。このとき、アイソレータ7により、不要な反射波が電力増幅器2に帰還されるのが防止される。
【0036】
このように、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器と整合回路用キャパシタ5、整合回路用インダクタ6を一体化した整合回路付きの方向性結合器3aを設けることにより、方向性結合器自体がインピーダンス整合回路を兼用することになり、部品点数の増加や組立上の問題を発生させることなく、アイソレータと電力増幅器との間の高確度インピーダンス整合を簡易に実現することができる。
【0037】
本実施形態では、アイソレータと電力増幅器との間にインピーダンス整合器を新たに追加するという考え方を排し、その代わりに、アイソレータと電力増幅器との間に必然的に存在する方向性結合器自体をインピーダンス整合器としても機能させる、という新規な考え方を導入する。
【0038】
そして、電力増幅器のロードプルデータを解析し、電力増幅器の理想負荷条件を求め、電力増幅器のロードプル特性とアイソレータの入力インピーダンス特性に対して最適化されたインピーダンス特性を有する集中定数型整合回路を方向性結合器に一体化させて設ける。
【0039】
集中定数型整合回路(例えば、主伝送路に並列に接続されるキャパシタ及び直列に接続されるインダクタとを備えるローパスフィルタ型の整合回路)は、実現が容易で調整も不要であり、しかも、方向性結合器と一体化されているため(つまり、方向性結合器自体がインピーダンス整合器としても機能するため)、部品点数の増加を招かず、組立上の問題も発生しない。これにより、アイソレータと電力増幅器との間の高確度インピーダンス整合を、簡易な構成で実現することができる。また、方向性結合器により送信波を分岐させてレベル検出器に導くことができるため、従来どおり、送信電力制御も問題なく行える。
【0040】
また、本実施形態では、最も簡単な構成の2次1段ローパスフィルタ型整合回路を方向性結合器と一体化しているため、省スペース及びコスト上昇の抑制の点で効果的である。
【0041】
また、方向性結合器として、主伝送路と副伝送路とを誘電体膜(絶縁体膜)を介して積層した構成をもつマイクロ波集積回路(MIC)を用いる場合、積層構造において誘電体を介するキャパシタが必然的に構成されるため、このキャパシタを主伝送路に対して並列に容易に接続することができ、フィルタを構成しやすい。また、MIC型方向性結合器は、小型化が可能であり、結合度の制御の精度も高い。したがって、方向性結合器の構造上、誘電体膜(絶縁体膜)を介在させたキャパシタを形成するのが容易であり、方向性結合器に整合回路を一体形成するのに適している。よって、無線通信機器のフロントエンドにおいて、効率的に、高精度のインピーダンス整合を実現することができる。
【0042】
したがって、本実施形態によれば整合回路を方向性結合器に効率的に一体化することができ、実現が容易である。このように、従来困難であった電力増幅器とアイソレータ間のインピーダンス整合を実現することにより、電力増幅器との不整合によって生じていた歪み特性の劣化、不要な電流消費の増大を抑制することができる。
【0043】
また、本実施形態の構成によれば、電力増幅器の電力効率を改善することができる。また、電力増幅器の低電力低歪み特性を実現することができる。
【0044】
また、図1の構成では、整合回路が方向性結合器の後段に配置されている関係で、電力増幅器2の直後に方向性結合器(MS及びSS)が設けられることになり、送信信号は減衰を受けないで方向性結合器に入力される。これにより、検出器20におけるレベル検出出力が高くなり、送信信号の利得制御を高精度に行える利点がある。
【0045】
(第2の実施形態)
図2は、本発明の第2の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図である。なお、図2では、図1に示されていた検出器20及び利得制御回路21は省略しているが、同様に方向性結合器3bの結合信号出力端子4と電力増幅器2の利得制御端子に接続されている。
【0046】
図2の送信系回路31の基本的な構成は、図1に示される送信系回路30の構成と同じである。ただし、第2の実施形態の方向性結合器3bでは、2次1段のローパスフィルタ型整合回路(整合用キャパシタ5a及び整合用インダクタ6a)を、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器の前段に設けた構成となっている。これに対し、第1の実施形態の方向性結合器3aでは、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器の後段に、2次1段のローパスフィルタ型整合回路を設けた構成であり、この点で異なる。
【0047】
この第2の実施形態の構成の場合、電力増幅器2の直後に整合回路(整合用キャパシタ5b、整合用インダクタ6b)が挿入されているため、第1の実施形態の構成に比べて、方向性結合器と電力増幅器とのインピーダンス整合が取り易く、インピーダンス整合の精度を向上し易いという利点がある。
【0048】
(第3の実施形態)
図3は、本発明の第3の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図である。なお、図3では、図1に示されていた検出器20及び利得制御回路21は省略しているが、同様に方向性結合器3cの結合信号出力端子4と電力増幅器2の利得制御端子に接続されている。
【0049】
図3の送信系回路32の基本的な構成は、図1に示される送信系回路30の構成と同じである。ただし、第3の実施形態の方向性結合器3cでは、整合回路として、2次ローパスフィルタ型整合回路を2段組み合わせてなる4次2段ローパスフィルタ型整合回路を設けた構成となっている。これに対し、第1の実施形態の方向性結合器3aでは、ローパスフィルタ型整合回路の段数が2段(2次1段構成)となっており、この点で異なる。
【0050】
すなわち、第3の実施形態の方向性結合器3cにおいて、整合回路が、方向性結合器の主伝送路MSに対して並列に接続される3つの整合用キャパシタ5c、5d、5eと、直列に接続される2つの整合用キャパシタ6c、6dとによって構成される。この整合回路は、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器の後段に設けられている。
【0051】
上記のような構成の第3の実施形態では、整合回路の段数を増やしたことにより、方向性結合器と電力増幅器との間の、より精度の高いインピーダンス整合が可能となる。
【0052】
また、整合回路が方向性結合器の後段に配置されている関係で、電力増幅器2の直後に方向性結合器(MS及びSS)が設けられることになり、送信信号は減衰を受けないで方向性結合器に入力される。これにより、方向性結合器から出力される結合信号を検出する検出器(図1に示したの検出器20)におけるレベル検出出力が高くなり、送信信号の利得制御を高精度に行える利点がある。
【0053】
(第4の実施形態)
図4は、本発明の第4の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図である。なお、図4では、図1に示されていた検出器20及び利得制御回路21は省略しているが、同様に方向性結合器3dの結合信号出力端子4と電力増幅器2の利得制御端子に接続されている。
【0054】
図4の送信系回路33の基本的な構成は、図3に示される送信系回路32の構成と同じである。ただし、第4の実施形態の方向性結合器3dでは、方向性結合器の主伝送路MSに対して並列に接続される3つの整合用キャパシタ5f、5g、5hと、直列に接続される2つの整合用キャパシタ6e、6fとで構成される4次2段のローパスフィルタ型整合回路を、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器の前段に設けた構成となっている。これに対し、第3の実施形態の方向性結合器3cでは、主伝送路MS及び副伝送路SSによる方向性結合器の後段に、4次2段のローパスフィルタ型整合回路を設けた構成であり、この点で異なる。
【0055】
この第4の実施形態の構成の場合、整合回路の段数が図2に示した第2の実施形態よりも増えているため、方向性結合器と電力増幅器との間のより精度の高いインピーダンス整合が可能となる。
【0056】
また、図4の構成では、電力増幅器2の直後に整合回路(整合用キャパシタ5f、5g、5h、整合用キャパシタ6e、6f)が挿入されているため、第3の実施形態の構成に比べて、方向性結合器と電力増幅器とのインピーダンス整合が取り易く、インピーダンス整合の精度を向上し易いという利点がある。
【0057】
上述したように、本実施形態のような整合回路付き方向性結合器を利用することにより、送信系回路において、きわめて効率的に、従来困難であった電力増幅器とアイソレータ間のインピーダンス整合が実現することができる。これにより、送信系回路における電力増幅器との不整合によって生じていた歪み特性の劣化、不要な電流消費の増大を抑制することができる。
【0058】
また、本実施形態の整合回路付き方向性結合器を送信系回路に採用することによって、電力増幅器の電力効率を改善することができる。さらに、電力増幅器の低電力低歪み特性を実現することも可能である。
【0059】
なお、上記実施形態では、方向性結合器に用いる整合回路として、集中定数型整合回路の一種であるローパスフィルタ型整合回路を用いているが、他の例として、状況に応じて、T型整合回路や格子型整合回路などを用いることも可能である。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、アイソレータと電力増幅器との間の高確度のインピーダンス整合を簡易な構成で実現することが可能な方向性結合器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図
【図2】本発明の第2の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図
【図3】本発明の第3の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図
【図4】本発明の第4の実施形態を説明するための、携帯電話機の送信系回路の主要な構成を示す図
【図5】伝送路にアイソレータを介在させた形態の送信系回路を示す従来例のブロック図
【符号の説明】
1 送信信号入力端子
2 電力増幅器
3a、3b、3c、3d 方向性結合器
4 結合信号出力端子
5a、5b、5c、5d、5e、5f、5g、5h 整合用キャパシタ
6a、6b、6c、6d、5e、5f 整合用インダクタ
7 アイソレータ
8 受信信号出力端子
9 デュプレクサ
10 アンテナ
20 検出器
21 利得制御回路
30、31、32、33 送信系回路
MS 主伝送路
SS 副伝送路

Claims (4)

  1. 主伝送路と副伝送路とを有する方向性結合器であって、無線通信機器における電力増幅器とアイソレータとの間のインピーダンスを整合させるための、一体化された集中定数型整合回路を備える方向性結合器。
  2. 請求項1記載の方向性結合器であって、
    前記集中定数型整合回路は、前記主伝送路の前段または後段に設けられた、前記主伝送路に並列に接続されるキャパシタと前記主伝送路に直列に接続されるインダクタとを有してなる2次1段ローパスフィルタ型整合回路である方向性結合器。
  3. 請求項1記載の方向性結合器であって、
    前記集中定数型整合回路は、前記主伝送路の前段または後段に設けられた、前記主伝送路に並列に接続されるキャパシタと前記主伝送路に直列に接続されるインダクタとを有してなる2次ローパスフィルタを2段組み合わせた4次2段ローパスフィルタ型整合回路である方向性結合器。
  4. 請求項1ないし3のいずれか一項に記載の方向性結合器を搭載した無線通信機器。
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