JP2004343243A - Ponシステムにおけるマルチキャスト通信方法および局側装置 - Google Patents

Ponシステムにおけるマルチキャスト通信方法および局側装置 Download PDF

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Hironori Terauchi
弘典 寺内
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嘉宏 森木
Tetsuya Yokoya
哲也 横谷
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Abstract

【課題】ルーティング機能ブロックを加入者側に配備することなく効率の良いマルチキャスト通信をIPマルチキャストプロトコルと連携した形で提供でき、かつセキュリティも確保することができるPONシステムを提供すること。
【解決手段】ONUとOLT10とを光伝送媒体で接続し、MACフレームによりONUとOLT10との間でデータ送受信を行い、論理リンクを用いた通信を行うPONシステムにおいて、OLT10は、IGMPのメッセージをスヌープし、スヌープした結果に応じてマルチキャスト用論理リンクの設定制御を行うとともに、マルチキャスト通信のための暗号鍵配布を行う。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、局側装置、加入者側装置、およびそれらを接続する伝送媒体を有し、MAC(Media Access Control)フレームによりデータ送受信を行い、論理リンクと呼ばれる仮想的な通信コネクションを用いた通信を行うPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法および局側装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
イーサネット(登録商標)PONシステムは、局側装置(OLT:Optical Line Terminal)と複数の加入者側装置(ONU:Optional Network Unit)を光伝送媒体で接続し、MACフレームによりデータ送受信を行うことにより、PONシステムにイーサネット(登録商標)サービスを透過的に収容するものである。OLTは通信網事業者局に設置され、ONUは加入者の宅内や屋外に設置される。ONUは1〜複数の加入者端末を収容する。
【0003】
一方、広く普及しているIP通信におけるマルチキャストの実現方法として、IGMP(Internet Group Management Protocol)を用いる方法がある。IGMPは、IPマルチキャストグループの管理に使用されるプロトコルであり、マルチキャストをサポートするマルチキャストルータとマルチキャストパケットを受信するホストによって使用される。その動作は次の通りである。
【0004】
マルチキャストルータは、定期的に照会メッセージ(Queryメッセージ)をマルチキャストし、各ホストからのレポートメッセージ(Reportメッセージ)の有無でメンバーを把握する。ホストは、グループに参加するとき、または照会メッセージに対し、レポートメッセージを返信する。ホストがグループから離脱するとき、離脱メッセージ(Leaveメッセージ)を通知する。なお、IGMPにはV.1とV.2があり、V.1では、上記Leaveメッセージは存在しない。加入者端末がマルチキャスト通信から離脱する場合は、レポートメッセージを返送しないだけである。
【0005】
このようなIGMPを用いたマルチキャスト通信をPON上で提供する方法が、特許文献1に示されている。特許文献1では、PON上でIGMPを用いたマルチキャスト通信を提供する場合のネットワーク構成として、加入者側装置(ONU)にルーティング機能ブロック(いわゆるマルチキャストルータ)を収容するとともに、データ配信装置側にもルーティング機能ブロックを設け、これら2つのルーティング機能ブロックの識別結果に従ってONUからのデータ配信要求およびデータ配信停止要求をデータ配信装置にルーティングする。またONU側のルーティング機能ブロックでは、加入者端末からレポートメッセージを受信すると、データ配信装置からのマルチキャストデータを加入者端末に配信し、加入者端末からの離脱メッセージを受信すると、マルチキャストデータの配信を停止する。
【0006】
また、特許文献2では、ATM−PONにおけるマルチキャスト通信提供方法が示されている。この特許文献2では、マルチキャストグループに属するONUに対してATMセルのマルチキャストを行う場合、OLTは、当該グループを特定するエミュレーテッドLAN識別子(ELAN)をATMセルに付加した後、当該グループに対応した暗号鍵により暗号処理を施し、マルチキャストである旨の識別情報をONU識別情報として付加し、送信することとしている。
【0007】
ところで、ギガビットの伝送速度を持つEPONシステム(GE−PON)の標準化が、IEEE802.3ahタスクフォース(通称EFM:Ethernet(R) in the First Mile)で進められ、一般家庭を対象とするFTTH(Fiber to The Home)用のシステムとして期待されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−232476号公報
【特許文献2】
特開平11−215146号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1の発明では、PON上でIGMPを用いたマルチキャスト通信を提供する場合のネットワーク構成として、ONUにルーティング機能ブロックを収容すること、あるいはONUがルーティング機能を具備することが前提となっている。しかしながら、特に一般家庭を対象とするFTTH(Fiber to The Home)では、加入者宅内にルータを設置することは考えにくく、また仮にONUにルーティング機能を具備するとしても、ONUの価格が高くなるという問題点がある。
【0010】
特許文献2の発明では、ATM−PONにおいてマルチキャスト通信を提供する場合に、マルチキャストグループごとに特別な識別子を設け、グループごとの暗号処理を行うこととなっていた。しかしながら、この特許文献2の発明では、IGMPのようなIPマルチキャストプロトコルとの連携は考えられておらず、論理リンクを通信単位とするGE−PONへの適用も困難であるという問題点がある。
【0011】
この発明は上記に鑑みてなされたもので、論理リンクを通信単位とするPONシステム上で、加入者側や加入者側装置(ONU)にルーティング機能を必要とせず、かつセキュリティが確保されるマルチキャスト通信をIPマルチキャストプロトコルと連携した形で実現することができるPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法および局側装置を得ることを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明にかかるPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法は、1〜複数の加入者端末を収容する加入者側装置と、1〜複数の前記加入者側装置を収容するとともにIP網に接続される局側装置とを光伝送媒体で接続し、MACフレームにより加入者側装置と局側装置との間でデータ送受信を行い、論理リンクを用いた通信を行うPONシステムにおいて、前記局側装置は、マルチキャスト用IPプロトコルのメッセージをスヌープし、スヌープした結果に応じてマルチキャスト用論理リンクの設定制御を行うとともに、マルチキャスト通信のための暗号鍵配布を行うことを特徴とする。
【0013】
この発明によれば、PONシステムの局側装置においてIGMPメッセージをスヌープし、スヌープした結果と論理リンク制御を連動させ、さらにマルチキャストデータに対して暗号処理を行うようにしており、これによりルーティング機能ブロックを加入者側に配備することなく効率の良いマルチキャスト通信をIPマルチキャストプロトコルと連携した形で提供でき、かつセキュリティも確保することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。
【0015】
この発明の実施の形態を説明する前に、本発明が適用されるEFMによるギガビットEPONシステム(GE−PON)について、図8〜図10を用いて説明する。
【0016】
GE−PONシステムでは、図8(b)に示すように、基本的にOLTにブリッジ機能を実装し、ブリッジポートとして論理ポートを適用する。一般的なブリッジは、図8(a)に示すように、物理ポートを単位としたスイッチングを行うが、複数のONUで1つの伝送路を共有するPONシステムにおいて、ONU間通信を行うためには、ブリッジにおいて、ONUごとのポートを意識させる必要がある。さらにONUが複数のUNI(ユーザ網インタフェース,User Network Interface)を収容する場合、ONUのUNI間通信を行うためには、ブリッジにおいて、UNIごとのポートを意識させる必要がある。このようなONUごとあるいはUNIごとのポートのことを論理ポート101と呼ぶ。論理ポート101はOLT102とONU103に存在し、その間を論理リンク104で接続する。
【0017】
論理リンク104は、OLT102とONU103の間で行われる自動ディスカバリー手順(Auto Discovery手順)により設定される。Auto Discoveryにおけるメッセージフローを図9に示す。設定する論理リンクに付与するLLID値(論理リンク識別子、Logical Link Identifier)は、REGISTERメッセージ110によって通知し、正しくREGISTERメッセージ110を受信したことを確認するためのメッセージがREGISTER_ACKメッセージ111である。
【0018】
論理リンクは、PONでユニークな識別子であるLLID値により識別される。LLIDはOLTで選択されONUに通知される。LLIDは、MACフレームのプリアンブルに定義されており、図10に示すようにモードビットを含む16ビット構成である。図10に示すように、LLID120はポイント・ポイント用とマルチキャスト用が規定されているが、違いはモードビット121のみで、LLID値122そのものは兼用する。またブロードキャスト用がただ1つ定義されており、モードビット121、LLID値122ともオール1である。なお、図9に示したメッセージフローは、ポイント・ポイント用論理リンク設定時のものである。EFMでの議論によれば、マルチキャスト用論理リンクの設定手順は特に必要ないことになっている。
【0019】
実施の形態1.
図1はこの発明にかかるPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法を実現するためのOLT(局側装置)10の構成例を示すものである。
【0020】
OLT10は、スプリッタを介して1つ以上のONU(加入者側装置)を収容するPONインタフェース11と、IP網への接続を行うサービスノードインタフェース(以下SNI:Service Node Interface)12と、MACフレームのスイッチングを行うレイヤ2スイッチ13と、CPU14とを備えている。なお、1つのOLT10がPONインタフェース11の1つの物理ポートに複数の加入者側装置を収容する場合には、分波器が用いられる。
【0021】
レイヤ2スイッチ13は、ユニキャストフレームだけでなく、マルチキャストフレームのスイッチングを行うためのマルチキャストテーブル15を具備する。マルチキャストテーブル15は、図2に示すように、例えば、あて先MACアドレス(マルチキャストアドレス)28と、転送先PONポート29の組を管理する。図2に示した例では、転送先PONポート29をビットマップで表している。つまり、OLT10が収容するPONポートごとに1ビットを用意し、0の場合は当該PONポートへはマルチキャストフレームを転送せず、1の場合は当該PONポートへマルチキャストフレームを転送することとする。レイヤ2スイッチ13はこのビットマップにしたがって、転送先PONポートを識別する。
【0022】
またレイヤ2スイッチ13は、PONからのマルチキャスト用IPプロトコルとしてのIGMPのReportメッセージ(以下、レポートメッセージという)やLeaveメッセージ(以下、離脱メッセージという)、およびSNI12を介したデータ配信サーバ(後述する)からのIGMP Queryメッセージ(以下、照会メッセージという)をスヌープするためのIGMPフィルタ部16を具備する。これらのメッセージをスヌープするためのフィルタリング条件は後述する。
【0023】
PONインタフェース11は、マルチキャストデータを暗号化する暗号処理部17を具備する。SNI12は、マルチキャストデータの受信監視を行うマルチキャスト監視部18を具備する。
【0024】
CPU14は、マルチキャストアドレス/参入ポート(レポートメッセージが到着した物理ポート)/ONU(LLID)/マルチキャスト用LLID/暗号キーの組み合わせを記憶するマルチキャスト管理テーブル19を管理するとともに、PONからのレポートメッセージ受信を監視するレポート監視部20を具備する。また、CPU14はPON上の論理リンクを制御する論理リンク制御部21を具備し、PONポートごとのLLID値の使用状況を管理するLLID管理テーブル22を管理する。
【0025】
図3はマルチキャスト管理テーブル19の一例を示すものである。この場合は、あて先IPアドレスがyyy.yyy.yyy.yyyのマルチキャスト通信について、参入ポートが2つ(ポート2とポート4)あり、ポート2の2つのONU(ポイント・ポイント用論理リンクがそれぞれ1と3)とポート4の2つのONU(ポイント・ポイント用論理リンクがそれぞれ2と5)の合計4つのONUが参入しており、ポート2については、マルチキャスト用論理リンクのLLIDが100で暗号鍵が#1、ポート4については、マルチキャスト用論理リンクのLLIDが110で暗号鍵が#3であることを示している。ここで管理している暗号鍵はインデックスであり、実際の暗号鍵は、PONインタフェース11の暗号処理部17において管理している。なお、レイヤ2スイッチ13は市販のレイヤ2スイッチで実現できる。なお、図1に示した機能分割はあくまで一例であり、PONインタフェース11およびSNI12の詳細は省略している。
【0026】
図4に、上記したOLT10が配されるネットワークの構成例を示す。PONシステムは1つのOLT10と複数のONU40から構成される。OLT10は1つ以上のPONインタフェース11を収容し(図4では1つのPONインタフェースのみ示している)、1つのPONインタフェース11には複数のONU40が収容され、各ONU40には、ポイント・ポイント用論理リンク41が設定されている。このポイント・ポイント用論理リンク41には、別途暗号処理部があり、下り(OLT→ONU)方向のデータ転送においては、フレームの暗号化が行われる。OLT10のSNI12には、IP網43のマルチキャストルータ42が接続される。IP網43内にあるデータ配信サーバ44からのマルチキャストデータ45は、OLT10に接続されたマルチキャストルータ42まで届いているとする。
【0027】
次に動作について説明する。OLT10では、PONインタフェース11から受信したレポートメッセージをIGMPフィルタ部16においてスヌープする。具体的には、
(1)MACフレームのあて先アドレスがマルチキャストアドレスで、かつ
(2)IPパケットにカプセル化されたIGMPメッセージ内Typeフィールドが0x12または0x16
のメッセージをレポートメッセージとして取り込む。IGMPにはV.1とV.2があり、V.1ではTypeフィールドは0x12、V.2では0x16である。IGMPフィルタ部16ではこの両方に対応する。このレポートメッセージには、マルチキャスト通信で使用するIPグループアドレスが格納されている。
【0028】
図5にIGMP V.2のメッセージフォーマットを示す。IGMP V.2のメッセージフォーマットは、マルチキャストルータ42からの照会メッセージかONUからのメッセージ(レポートメッセージまたは離脱メッセージ)であるかを識別させるタイプフィールドと、照会メッセージのみが使用するフィールドであって、レポートメッセージを受け取るまでの最大待ち時間を指定する最大応答時間フィールドと、チェックサムのためのチェックサムフィールドと、IPグループアドレスが指定されるIPグループアドレスフィールドを有している。
【0029】
OLT10では、IPグループアドレスをキーに図3に示したマルチキャスト管理テーブル19を検索する。一致するIPマルチキャストアドレスが見つからなかった場合は、最初の参入と認識し、マルチキャスト管理テーブル19の未使用エントリに、IPマルチキャストアドレス、参入ポート、ONU(LLID)を記憶する。一致するIPマルチキャストアドレスが見つかった場合の処理は後述する。ここで参入ポートはどのPONインタフェースからレポートメッセージを受信したかを示し、ONU(LLID)はレポートメッセージを含むMACプリアンブル内に格納されているLLID値を示す。
【0030】
また、OLT10は、データ配信サーバ44がIP網43内に存在するという前提で、取り込んだレポートメッセージをSNIインタフェース12へのみ送信する。次にOLT10は、参入したONUに対してマルチキャスト用論理リンクを設定する。具体的には、論理リンク制御部21がLLID管理テーブル22を参照し、参入ポートにおいて未使用のLLIDの1つを選択し、これを含むREGISTERメッセージ110(図9参照)を、当該ONUのポイント・ポイント用論理リンク41に送信する(ポイント・ポイント論理リンクは各ONUに1つ設定されている)。
【0031】
当該ONUでは、REGISTERメッセージ110を受信すると、メッセージ110内に格納されたLLIDをマルチキャスト用論理リンクのLLIDとして使用するとともに、REGISTER_ACKメッセージ111を、やはりポイント・ポイント用論理リンク41に送信する。OLT10は、この手順により割り当てたLLIDの値は、マルチキャスト管理テーブル19に記憶しておく。さらにOLT10は、このマルチキャスト通信に使用する新たな暗号鍵を生成し、やはりポイント・ポイント用論理リンク41に送信する。
【0032】
ところでこの暗号鍵は、REGISTERメッセージ110に含めてもかまわない。ポイント・ポイント用論理リンク41上での下り(OLT→ONU)方向のデータ転送においては、暗号処理が施されるため、結果的にREGISTERメッセージ41も暗号化され、格納された暗号鍵を他のONUにより盗聴されることはなくなる。この暗号鍵の通知が完了して初めてOLT10は、通知した暗号鍵(実際には暗号鍵のインデックス)をマルチキャスト管理テーブル19に記憶しておくとともに、マルチキャストテーブル15に参入ポートを加える。この場合には最初の参入ポートであるため、マルチキャストテーブル15に新たなエントリを作ることになる。
【0033】
なお、マルチキャストテーブル15には、あて先アドレス28と参入ポート(転送先ポート)29の組がエントリとして保持されている。OLT10がレイヤ2スイッチを搭載している場合には、MACフレームのあて先アドレスに基づいてフレーム転送を行う。IGMPでは、IPマルチキャストアドレスとMACアドレスの下位23ビットは同じになるので、この場合、IPマルチキャストアドレスの下位23ビットと“0x01005E000000”との論理和を、マルチキャストテーブル15のあて先アドレス28として登録する。
【0034】
以降、SNIインタフェース12から到着するマルチキャストデータは、マルチキャストテーブル15の内容に基づいて、参入ポートに転送され、当該マルチキャスト通信に対応する暗号鍵(マルチキャストデータのあて先IPアドレスがマルチキャスト管理テーブルのIPマルチキャストアドレスに一致するエントリの暗号鍵インデックスに対応した暗号鍵)を用いて暗号化された後、PONインタフェース11に送信される。
【0035】
つぎに、レポートメッセージに含まれるIPグループアドレスと一致するIPマルチキャストアドレスがマルチキャスト管理テーブル19のエントリから見つかった場合の処理について説明する。
【0036】
OLT10においては、レポートメッセージを取り込んだ後にIPグループアドレスをキーにマルチキャスト管理テーブル19を検索するが、ここで一致するIPマルチキャストアドレスが見つかった場合は、2番目以降の参入と認識し、マルチキャスト管理テーブル19の一致エントリに、新たなONU(LLID)を記憶する。
【0037】
また、OLT10は、データ配信サーバ44がIP網43内に存在するという前提で、取り込んだレポートメッセージをSNIインタフェース12へのみ送信する。次にOLT10は、参入したONUに対してマルチキャスト用論理リンクを設定する。具体的には、論理リンク制御部21がLLID管理テーブル22を参照し、新たなONUがすでに参入しているONUと同じPONポートに収容されている場合には、すでに使用しているLLIDを含むREGISTERメッセージ110を、新たなONUがすでに参入しているONUとは別のPONポートに収容されている場合には、そのPONポートにおいて未使用のLLIDの1つを選択し、これを含むREGISTERメッセージ110を、当該ONUのポイント・ポイント用論理リンク41に送信する。
【0038】
当該ONUでは、REGISTERメッセージ110を受信すると、このREGISTERメッセージ110に格納されたLLIDをマルチキャスト用論理リンクのLLIDとして使用するとともに、REGISTER_ACKメッセージ111を、やはりポイント・ポイント用論理リンク41に送信する。
【0039】
OLT10は、後者の場合すなわち新たなONUがすでに参入しているONUとは別のPONポートに収容されている場合には、この手順により割り当てたLLIDの値は、マルチキャスト管理テーブル19に記憶しておく。さらにOLT10は、後者の場合にはこのマルチキャスト通信に使用する新たな暗号鍵を生成し、前者の場合にはすでに使用している暗号鍵を、やはりポイント・ポイント用論理リンク41に送信する。
【0040】
ところでこの暗号鍵は、REGISTERメッセージ110に含めてもかまわない。ポイント・ポイント用論理リンク41上での下り(OLT→ONU)方向のデータ転送においては、暗号処理が施されるため、結果的にREGISTERメッセージ110も暗号化され、格納された暗号鍵を他のONUにより盗聴されることはなくなる。この暗号鍵の通知が完了して初めてOLT10は、通知した暗号鍵(実際には暗号鍵のインデックス)をマルチキャスト管理テーブル19に記憶しておくとともに、マルチキャストテーブル15に参入ポートを加える。この場合には2番目以降の参入ポートであるため、マルチキャストテーブル15にすでにあるエントリを更新することになる。以降、最初の参入の場合と同じ動作となる。
【0041】
このように実施の形態1によれば、EPONシステムのOLT10がIGMPメッセージをスヌープし、スヌープした結果と論理リンク制御を連動させ、さらにマルチキャストデータに対して暗号処理を行うようにしているので、ルーティング機能ブロックを加入者側に配備することなく効率の良いマルチキャスト通信を提供でき、かつセキュリティも確保することができる。
【0042】
実施の形態2.
ところでIGMPを行うマルチキャストルータ42では、あるポートから1つでもレポートメッセージを受信したら、そのポートにデータ配信を行う。このため、OLT10で取り込んだレポートメッセージをSNI12に送信する際、全てのレポートメッセージを送信しても、2つめ以降のレポートメッセージは、SNI12の帯域を無駄に消費してしまうため、無駄なメッセージとなる。
【0043】
このため、この実施の形態2では、OLT10で、複数のレポートメッセージを受信した場合には、最初に受信したレポートメッセージのみをSNI12に送信し、残りはOLT10から送信しないこととしている。
【0044】
まずOLT10では、SNI12を介して受信する照会メッセージをスヌープする。照会メッセージには
(1)General Queryメッセージ
(2)Group Specific Queryメッセージ(V.2のみ)
がある。したがって、これらのメッセージを受信した後の最初のレポートメッセージのみをSNI12に送信し、以降に受信するレポートメッセージは送信しないこととする。そして、この場合には、図6に示すように、マルチキャスト管理テーブル19に、別途、レポート送信フラグを設ける。このレポート送信フラグはエントリごとに用意し、レポートメッセージをSNI12に送信した時点で1を設定(送信済み)し、照会メッセージを受信した時点で0にクリア(未送信)する。なお照会メッセージのスヌープ方法は後述する。
【0045】
実施の形態3.
実施の形態3では、マルチキャスト通信からの離脱について説明する。OLT10では、レポートメッセージのスヌープに加えて、照会メッセージもスヌープする。SNI12から受信した照会メッセージをIGMPフィルタ部16においてスヌープする。
【0046】
具体的には、
(1)IPパケットのあて先アドレスが224.0.0.1、またはマルチキャストアドレスであって、かつ
(2)IPパケットにカプセル化されたIGMPメッセージ内Typeフィールドが0x11
のメッセージを照会メッセージとして取り込む。
【0047】
照会メッセージには、前述したように、General QueryメッセージとGroup Specific Queryメッセージとがあり、IGMPフィルタ部16ではこの両方に対応する。これらのメッセージのいずれかをOLT10が受信すると、General Queryメッセージの場合には全加入者へ、Group Specific Queryメッセージの場合には参入している加入者へメッセージを転送する。
【0048】
その後、OLT10は、加入者からのレポートメッセージをレポート監視部20にて監視する。次の照会メッセージ受信までにレポートメッセージを送信しなかった加入者は、マルチキャスト通信から離脱したと判断し、そのONUに対して設定していたマルチキャスト用論理リンクを解放するとともに、マルチキャストテーブル15およびマルチキャスト管理テーブル19からその参入ポートを削除する。
【0049】
論理リンクの解放は、まずOLT10が、FlagsフィールドにDeregisterを設定し、マルチキャスト用論理リンクのLLIDを格納したREGISTERメッセージ110を、そのONUへのポイント・ポイント用論理リンク41に対して送信する。これを受信したONUは、REGISTERメッセージ110で指定されたLLID(マルチキャスト用論理リンク)を解放するとともに、REGISTER_ACKメッセージ111を、やはりポイント・ポイント用論理リンク41に対して送信する。
【0050】
もし全てのONUがマルチキャスト通信から離脱した場合には、マルチキャストテーブル15およびマルチキャスト管理テーブル19から、そのマルチキャスト通信についてのエントリを削除する。
【0051】
実施の形態4.
一般にマルチキャストルータ42では、あるポートからレポートメッセージが返ってこなくなっても、しばらくの間はマルチキャストデータを送信し続ける。実施の形態3の方法によれば、1回の照会周期(Query周期:ある照会メッセージから次の照会メッセージまでの時間)において、レポートメッセージが返ってこなかった場合は、OLT10ではすぐにエントリを削除する。
【0052】
ここで、削除したエントリのマルチキャストデータが到着すると、OLT10ではこれをブロードキャストしてしまう。すなわち、マルチキャストテーブル15に登録されていないマルチキャストアドレスのフレームを廃棄してしまうと、General Queryメッセージを転送することができなくなるため、未登録マルチキャストアドレスの場合はブロードキャストすることになる。その結果、本来は転送すべきではないマルチキャストデータを転送してしまい、PONの帯域を無駄に消費してしまう。したがって、このような場合、OLT10では、マルチキャストルータ42がデータ転送している間は、エントリを削除せず、加入者側へのデータ転送をとめるのが望ましい。
【0053】
このため実施の形態4においては、OLT10のマルチキャスト監視部18において、参入ポートがいなくなったマルチキャスト通信について、マルチキャストフレームを監視することとし、マルチキャストフレームが到着しなくなってからエントリを削除する。また、マルチキャスト用論理リンクの解放や、マルチキャスト管理テーブル19からのエントリ削除も、マルチキャストフレームが到着しなくなってから行うようにする。すなわち、IP網側から受信するマルチキャストフレームを監視し、ある一定期間の間、マルチキャストフレームを受信しなかった場合には、当該マルチキャスト通信に参入している全ての加入者側装置に対するマルチキャスト用論理リンクを解放する。
【0054】
実施の形態5.
IGMP V.2では、前述したように、加入者が離脱を示す離脱メッセージを送信する。OLT10ではこの離脱メッセージをIGMPフィルタ部16においてスヌープする。具体的には、
(1)IPパケットのあて先アドレスが224.0.0.2であって、かつ
(2)IPパケットにカプセル化されたIGMPメッセージ内Typeフィールドが0x17
のメッセージを離脱メッセージとして取り込む。
【0055】
OLT10では、離脱メッセージを送信した加入者は、マルチキャスト通信から離脱したと判断し、そのONUに対して設定していたマルチキャスト用論理リンクを解放するとともに、マルチキャストテーブル15およびマルチキャスト管理テーブル19からその参入ポートを削除する。論理リンクの解放は、まずOLT10が、FlagsフィールドにDeregisterを設定し、マルチキャスト用論理リンクのLLIDを格納したREGISTERメッセージ110を、そのONUへのポイント・ポイント用論理リンク41に対して送信する。
【0056】
これを受信したONUは、REGISTERメッセージ110で指定されたLLID(マルチキャスト用論理リンク)を解放するとともに、REGISTER_ACKメッセージ111を、やはりポイント・ポイント用論理リンク41に対して送信する。もし全てのONUがマルチキャスト通信から離脱した場合には、マルチキャストテーブル15およびマルチキャスト管理テーブル19から、そのマルチキャスト通信についてのエントリを削除する。
【0057】
実施の形態6.
ONU40が複数のUNIすなわち加入者ポートを収容している場合、図7に示すように、あらかじめUNI70ごとにポイント・ポイント用論理リンク41を設定しておく。また、少なくとも1つのUNIがマルチキャスト通信に参入している場合には、OLT10は当該ONUに対するマルチキャスト通信用論理リンクを設定することとする。
【0058】
ONUはあるUNIからレポートメッセージを受信したら、そのUNIに対応したポイント・ポイント用論理リンク41でレポートメッセージをOLT10に通知する。ONU40では、どのUNIからレポートメッセージを受信したかを記憶しておき、この記憶データに基づきマルチキャスト用論理リンク71から受信するマルチキャストデータを、レポートメッセージを受信したUNI、すなわち実際に参入しているUNIにのみ転送する。
【0059】
これにより、実施の形態6によれば、複数のUNIを収容するONUにおいても、実際にマルチキャスト通信に参入しているUNIに対してのみ、データ配信できる。
【0060】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、PONシステムの局側装置がIGMPメッセージをスヌープし、スヌープした結果と論理リンク制御を連動させ、さらにマルチキャストデータに対して暗号処理を行うようにしているので、ルーティング機能ブロックを加入者側に配備することなく効率の良いマルチキャスト通信をIPマルチキャストプロトコルと連携した形で提供でき、かつセキュリティも確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明を適用する局側装置(OLT)の構成例を示すブロック図である。
【図2】マルチキャストテーブルの記憶内容を示す図である。
【図3】マルチキャスト管理テーブルの記憶内容を示す図である。
【図4】この発明を適用するネットワーク構成を示す図である。
【図5】IGMPメッセージフォーマットを示す図である。
【図6】マルチキャスト管理テーブルの別の記憶内容を示す図である。
【図7】ONUにおけるマルチキャストデータ転送を示す図である。
【図8】GE−PONシステムを示す図である。
【図9】GE−PONシステムにおける論理リンク設定手順を示す図である。
【図10】GE−PONシステムにおけるLLIDフォーマットを示す図である。
【符号の説明】
10 OLT、11 PONインタフェース、12 SNI、13 レイヤ2スイッチ、14 CPU、15 マルチキャストテーブル、16 IGMPスヌープ部、17 暗号処理部、18 マルチキャスト監視部、19 マルチキャスト管理テーブル、20 レポート監視部、21 論理リンク制御部、22 LLID管理テーブル、40 ONU、41 ポイント・ポイント用論理リンク、42 マルチキャストルータ、43 IP網、44 データ配信サーバ、45 マルチキャストデータ、70 UNI、71 マルチキャスト用論理リンク。

Claims (12)

  1. 1〜複数の加入者端末を収容する加入者側装置と、1〜複数の前記加入者側装置を収容するとともにIP網に接続される局側装置とを光伝送媒体で接続し、MACフレームにより加入者側装置と局側装置との間でデータ送受信を行い、論理リンクを用いた通信を行うPONシステムにおいて、
    前記局側装置は、マルチキャスト用IPプロトコルのメッセージをスヌープし、スヌープした結果に応じてマルチキャスト用論理リンクの設定制御を行うとともに、マルチキャスト通信のための暗号鍵配布を行うことを特徴とするPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  2. 前記局側装置は、前記マルチキャスト用IPプロトコルのレポートメッセージをスヌープし、前記レポートメッセージに含まれるマルチキャストアドレスと、前記レポートメッセージが到着した物理ポートと、前記レポートメッセージを送信してきた加入者側装置とを記憶するとともに、前記レポートメッセージをIP網側にのみ転送することを特徴とする請求項1に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  3. 前記局側装置は、レポートメッセージをIP網側に転送する際、複数のレポートメッセージを受信した場合には、そのうちの1つのみをIP網側に転送することを特徴とする請求項2に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  4. 前記局側装置は、レポートメッセージに含まれるマルチキャストアドレスが、すでに記憶しているマルチキャストアドレスのいずれとも一致しない場合、新たなマルチキャスト用論理リンクを、前記レポートメッセージを送信してきた加入者側装置に対して設定するとともに、マルチキャストアドレスとマルチキャスト用論理リンクとの対応関係を記憶することを特徴とする請求項2に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  5. 前記局側装置は、マルチキャスト用論理リンクを設定した後、前記加入者側装置に対して予め設定されているポイント・ポイント用論理リンクを用いて、前記マルチキャスト用論理リンクで用いる暗号鍵の配布を行うとともに、マルチキャスト用論理リンクと配布した前記暗号鍵との対応関係を記憶することを特徴とする請求項2または4に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  6. 前記局側装置は、レポートメッセージに含まれるマルチキャストアドレスが、すでに記憶しているマルチキャストアドレスのいずれかと一致したが、前記レポートメッセージを送信してきた加入者側装置が当該マルチキャストアドレスに対応付けられた加入者側装置のいずれとも一致しない場合は、前記マルチキャストアドレスに対応付けられたマルチキャスト用論理リンクを、前記レポートメッセージを送信してきた加入者側装置に対して設定するとともに、この設定手順の中でマルチキャスト用論理リンクに対応付けられた暗号鍵の配布を行うことを特徴とする請求項2または5に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  7. 前記局側装置は、IP網側から受信するフレームのあて先アドレスを検査し、検査したあて先アドレスがマルチキャストアドレスであってかつ、その下位の所定数ビットが、記憶しておいたいずれかのマルチキャストアドレスの下位の所定数ビットと一致した場合には、前記マルチキャストアドレスに対応付けられた暗号鍵を用いて、前記受信したフレームを暗号化した後、前記マルチキャストアドレスに対応付けられたマルチキャスト用論理リンクを用いて、暗号化されたフレームを送信することを特徴とする請求項2に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  8. 前記局側装置では、前記マルチキャスト用IPプロトコルのレポートメッセージおよび照会メッセージをスヌープし、前記照会メッセージを全ての加入者側装置または、現在マルチキャスト通信に参入している加入者側装置に送信することとし、前記照会メッセージを送信してからある一定時間の間、レポートメッセージを返送しなかった加入者側装置を、マルチキャスト通信から削除するとともに、レポートメッセージを返送してこなかった加入者側装置に対するマルチキャスト用論理リンクを解放することを特徴とする請求項1または2に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  9. 前記局側装置は、IP網側から受信するマルチキャストフレームを監視し、ある一定期間の間、マルチキャストフレームを受信しなかった場合には、当該マルチキャスト通信に参入している全ての加入者側装置に対するマルチキャスト用論理リンクを解放することを特徴とする請求項1に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  10. 前記局側装置は、前記マルチキャスト用IPプロトコルの離脱メッセージをスヌープし、前記離脱メッセージを送信してきた加入者側装置に対するマルチキャスト用論理リンクを解放することを特徴とする請求項1に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  11. 加入者側装置が複数の加入者ポートを収容している場合、あらかじめポイント・ポイント用論理リンクを加入者ポートごとに設定しておき、少なくとも1つの加入者ポートがマルチキャスト通信に参入している場合には、前記局側装置は当該加入者側装置に対するマルチキャスト通信用論理リンクを設定することとし、加入者側装置では、実際にどの加入者ポートがマルチキャスト通信に参入しているかを記憶しておくとともに、この記憶データに基づきマルチキャスト通信用論理リンクから受信するマルチキャストフレームを実際に参入している加入者ポートに対してのみ送信することを特徴とする請求項1に記載のPONシステムにおけるマルチキャスト通信方法。
  12. 1〜複数の加入者端末を収容する加入者側装置と光伝送媒体で接続され、1〜複数の前記加入者側装置を収容するとともにIP網に接続される局側装置であって、
    MACフレームにより加入者側装置との間でデータ送受信を行い、論理リンクを用いた通信を行うPONシステムにおける局側装置において、
    マルチキャスト用IPプロトコルのメッセージをスヌープするスヌープ手段と、
    前記スヌープした結果に応じてマルチキャスト用論理リンクの設定制御を行うとともに、マルチキャスト通信のための暗号鍵配布を行う制御手段と、
    を備えることを特徴とするPONシステムにおける局側装置。
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