以下に、本発明にかかる局側装置および受動型光加入者ネットワークシステムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
実施の形態1.
図1〜図6を参照してこの発明の実施の形態1を説明する。図1は、この発明における受動型光加入者ネットワーク(PON:Passive Optical Network)システムの実施の形態1の構成の一例を示す図である。図1において、PONシステムは、1台の局側装置(OLT:Optical Line Terminal)1と、1〜複数の図示しない加入者端末(以下端末という)を収容するn(nは自然数)台の加入者側装置(ONU:Optional Network Unit)5(5−1〜5−nを示す)と、OLT1とONU5とを接続する光伝送媒体としての光ファイバ3と、光分波器7とから構成されている。
図1に示したPONシステムでは、OLT1からONU5への下り方向通信に使用する波長としては複数の波長(ここでは、m(1<m,mは自然数)個の波長λ1〜λm)が用いられ、同じ波長を複数のONU5が使用するものとする。すなわち、この発明におけるPONシステムでは、特定のONU5宛のフレーム転送においては、宛先ONU5が使用する波長にてフレームを送信し、複数のONU5宛のフレーム転送(マルチキャスト通信)においては、転送先の複数のONU5が使用する波長にてフレームを送信する。ここで転送先の複数のONU5で使用する波長が複数ある場合には、それらの波長全てにてフレーム送信する。また、ONU5からOLT1への上り方向通信においては、すべてのONU5が同一波長λuを使用するものとする。
OLT1は、割当波長管理テーブル19、マルチキャストグループ管理テーブル18、コピーテーブル生成部20、コピーテーブル21、放送スイッチ11(特許請求の範囲でいうところのマルチキャストデータコピー手段)、イーサネット(登録商標)スイッチ(以下、L2スイッチという)12、通信/放送多重化器13(13−1〜13−mを示す)、PON制御部14、電気/光変換部(以下、E/O部という)15(15−1〜15−mを示す)、およびWDM多重器16を備えている。
割当波長管理テーブル19には、ONU5と当該ONU5が下り方向で使用する波長との対応関係が登録される。図2は、割当波長管理テーブル19の構成の一例を示す図である。図2において、割当波長管理テーブル19の登録項目として、OLT1が収容するONU5を識別するためのONU識別子が登録されるONU情報191と、ONU情報191に登録されるONU識別子が示すONU5との下り方向通信に用いられる波長が登録される下り波長情報192とが挙げられている。
また、図2においては、ONU識別子「ONU#1」が付与されているONU5−1、およびONU識別子「ONU#3」が付与されているONU5−3が下り方向通信の波長として波長λ1を使用し、ONU識別子「ONU#2」が付与されているONU5−2、およびONU識別子「ONU#n」が付与されているONU5−nが下り方向通信の波長として波長λ2を使用し、ONU識別子「ONU#4」が付与されているONU5−4が下り方向通信の波長として波長λ3を使用することが登録されている。すなわち、異なるONU5が下り方向通信において同じ下り波長を使用する。そのため、基本的には、下り方向に使用する波長の数mと、OLT1が収容するONU5の台数nとの関係は、「m<n」が成り立つ。この割当波長管理テーブル19は、たとえば、装置運用のための各種パラメータ設定を行う管理装置から設定してもよいし、ONU5が接続された時点でONU5から下り波長情報が通知されることにより生成するようにしてもよい。いずれにしろ割当波長管理テーブル19の生成方法は本発明とは無関係である。
マルチキャストグループ管理テーブル18には、MPEG放送チャネルとマルチキャストグループと当該マルチキャストグループに属する複数のONU5との対応関係が登録される。図3は、マルチキャストグループ管理テーブル18の構成の一例を示す図である。図3において、マルチキャストグループ管理テーブル18の登録項目として、OLT1に入力されるMPEG放送のチャネル1〜Nが登録されるOLT側チャネル情報181と、OLT側チャネル情報に登録されるMPEG放送のチャネル1〜Nを受信するグループ、すなわちマルチキャストグループを識別するためのマルチキャストグループ識別子が登録されるグループ情報182と、グループ情報182に登録されたマルチキャストグループ識別子が示すマルチキャストグループに参加するONU5を識別するためのONU識別子が登録されるONU情報183とが挙げられている。
また、図3においては、MPEG放送のチャネル1はマルチキャストグループ「01:00:5e:00:01:01」であってONU5−1,5−3が参加しており、MPEG放送のチャネル2はマルチキャストグループ「01:00:5e:00:02:02」であってONU5−2,5−nが参加しており、MPEG放送のチャネル3はマルチキャストグループ「01:00:5e:00:01:3f」であってONU5−2,5−3が参加しており、MPEG放送のチャネル4はマルチキャストグループ「01:00:5e:02:03:04」であってONU5−3,5−4が参加しており、MPEG放送チャネルNはマルチキャストグループ「01:00:5e:01:02:03」であってONU5−2〜5−4が参加していることが登録されている。
なお、図3においては、マルチキャストグループ識別子としてマルチキャストMACアドレスを用いた場合を示しているが、マルチキャストグループ識別子はこれに限るものではなく、たとえば、マルチキャストIPアドレスなどマルチキャストグループを識別可能な情報であればよい。
図1に戻って、コピーテーブル生成部20は、割当波長管理テーブル19およびマルチキャストグループ管理テーブル18に基づいて、MPEG放送チャネルと下り方向通信に用いる波長との対応関係が登録されるコピーテーブル21を生成する。
図4は、コピーテーブル生成部20が生成するコピーテーブル21の構成の一例を示す図である。図4において、コピーテーブル21の登録項目として、OLT1に入力されるMPEG放送のチャネル1〜Nが登録されるOLT側チャネル情報211と、OLT側チャネル情報に登録されるMPEG放送のチャネル1〜Nのデジタル放送データをONU5に送信する際に使用する下り方向通信の下り波長212とが登録項目として挙げられている。下り波長212には、OLT1からONU5への下り方向通信に用いられる全ての下り波長(ここでは波長λ1〜λm)毎に、OLT側チャネル情報211に登録されているMPEG放送チャネルをコピーするか否かを示す情報(ここでは、「1」がコピーすることを示し、「0」がコピーしないことを示している)が登録される。
図1に戻って、放送スイッチ11は、コピーテーブル21に基づいて、MPEG放送のチャネル1〜Nを下り方向通信の波長λ1〜λmに対応する内部チャネルCH1〜CHmにコピーするスイッチングを行う。
L2スイッチ12は、IPネットワークのインタフェースを有し、IPネットワークから入力される通信データを下り方向通信の波長λ1〜λmに対応する内部チャネルC1〜Cmにコピーするスイッチングを行う。また、L2スイッチ12は、PON制御部14から入力されるO/E部17によってONU5から光ファイバ3を介して受信した上り方向通信の波長λuの光信号から電気信号に変換されたフレームを、IPネットワークに送信する。
通信/放送多重化器13−1〜13−mは、それぞれ下り方向通信の波長λ1〜λmに対応付けられており、波長λ1〜λmに対応付けられている内部チャネルCH1〜CHmおよび内部チャネルC1〜Cmを多重化する。すなわち、通信/放送多重化器13は、同じ波長にて送信されるマルチキャストデータおよび通信データを多重化する。
PON制御部14は、PON区間におけるアクセス制御を司るとともに、下り方向通信におけるフレーム、すなわち通信/放送多重化器13によって多重化されたマルチキャストデータおよび通信データを含むフレームに宛先情報を付加する。
E/O部15−1〜15−mは、それぞれ下り方向通信の波長λ1〜λmに対応付けられており、PON制御部14によって宛先情報が付加されたフレームを電気信号から波長λ1〜λmの光信号に変換する。WDM多重器16は、E/O部15によって変換された波長λ1〜λmの光信号を1つの光ファイバ3に多重化して出力する。
ONU5は、当該ONU5が下り方向通信で使用する波長以外をフィルタし、下り方向通信で使用する波長のみを抽出するブロッキングフィルタ51、下り方向通信の波長の光信号を電気信号に変換するO/E部52、上り方向通信の電気信号を波長λuの光信号に変換するE/O部53、OLT1側のPON制御部14と連携して上り方向通信のフレームの送信タイミングを調整し、下り方向通信のフレームの宛先情報に基づいて自装置が収容する端末宛のフレームのみを抽出するとともに、端末からのIPデータをE/O部53に出力するPON制御部54、およびマルチキャストデータと通信データとを分離して端末に送信する通信/放送分離器55を備えている。
つぎに、図1〜図6を参照して、この発明におけるPONシステムのマルチキャストデータの転送動作について説明する。割当波長管理テーブル19、またはマルチキャストグループ管理テーブル18が更新されると、コピーテーブル生成部20は、割当波長管理テーブル19およびマルチキャストグループ管理テーブル18に基づいてコピーテーブル21を生成するコピーテーブル生成処理を実行する。
図5のフローチャートを参照して、コピーテーブル生成処理の動作を詳細に説明する。コピーテーブル生成部20は、マルチキャストグループ管理テーブル18のOLT側チャネル情報181に登録されているチャネルj(ここでは、チャネル1)に対応付けてONU情報183に登録されているONU識別子を読み出す(ステップS101,S102)。ここでは、コピーテーブル生成部20は、チャネル1に対応付けられたONU識別子として「ONU#1」と「ONU#3」を読み出す。
コピーテーブル生成部20は、読み出したONU識別子に対応付けられて割当波長管理テーブル19に登録されている下り波長を抽出する(ステップS103)。ここでは、コピーテーブル生成部20は、ONU識別子「ONU#1」に対応付けられて割当波長管理テーブル19の下り波長情報192に登録されている波長λ1と、ONU識別子「ONU#3」に対応付けられて割当波長管理テーブル19の下り波長情報192に登録されている波長λ1を抽出する。
コピーテーブル生成部20は、OLT側チャネルj(この場合はチャネル1)に対応付けてコピーテーブル21の下り波長212に抽出した波長のみをコピーすることを登録する(ステップS104)。この場合、コピーテーブル生成部20は波長λ1を抽出している。したがって、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報211にチャネル1を登録し、このチャネル1に対応付けた下り波長212のλ1にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ2〜λmにはコピーしないことを示す「0」を登録する。
コピーテーブル生成部20は、マルチキャストグループ管理テーブル18のOLT側チャネル情報181に登録されている全てのチャネルに対して(この場合はチャネル1〜チャネルNまでであってj=Nまで)、当該チャネルに対応付けてマルチキャストグループ管理テーブル18のONU情報183に登録されているクループ識別子およびONU識別子を読み出し、読み出したONU識別子に対応付けて割当波長管理テーブル19の下り波長情報192に登録されている波長を抽出し、処理対象となっているチャネルに対応付けて抽出した波長には当該チャネルをコピーし、抽出した波長以外の波長には当該チャネルをコピーしないことをコピーテーブル21に登録する動作を繰り返す(ステップS102〜S106)。
先の図3に示したマルチキャストグループ管理テーブル18には、OLT側チャネル情報181のチャネル2に対応付けてONU情報183としてONU識別子「ONU#2」および「ONU#n」が登録されており、先の図2に示した割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#2」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録され、ONU識別子「ONU#n」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報211にチャネル2を登録し、チャネル2に対応付けた下り波長212の波長λ2にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ1,λ3〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、マルチキャストグループ管理テーブル18には、OLT側チャネル情報181のチャネル3に対応付けてONU情報183としてONU識別子「ONU#2」および「ONU#3」が登録されており、割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#2」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録され、ONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報211にチャネル3を登録し、チャネル3に対応付けた下り波長212の波長λ1,λ2にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ3〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、マルチキャストグループ管理テーブル18には、OLT側チャネル情報181のチャネル4に対応付けてONU情報183としてONU識別子「ONU#3」および「ONU#4」が登録されており、割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録され、ONU識別子「ONU#4」に対応付けた下り波長情報192として波長λ3が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報211にチャネル4を登録し、チャネル4に対応付けた下り波長212の波長λ1,λ3にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ2,λ4〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、マルチキャストグループ管理テーブル18には、OLT側チャネル情報181のチャネルNに対応付けてONU情報183としてONU識別子「ONU#2」、「ONU#3」および「ONU#4」が登録されており、割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#2」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録され、ONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録され、ONU識別子「ONU#4」に対応付けた下り波長情報192として波長λ3が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報211にチャネルNを登録し、チャネルNに対応付けた下り波長212の波長λ1〜λ3にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ4〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
コピーテーブル生成処理によってコピーテーブル21が生成された後、放送スイッチ11は、コピーテーブル21に基づいてMPEG放送のチャネル1〜Nを下り方向通信の波長λ1〜λmに対応する内部チャネルCH1〜CHmにコピーするスイッチングを行う。具体的には、放送スイッチ11は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報211に登録されているMPEG放送のチャネルを、当該チャネルに対応付けられている下り波長212に「1」が登録されている波長λ1〜λmに対応する内部チャネルCH1〜CHmに出力する。図4に示したコピーテーブル21を用いた場合、放送スイッチ11は、MPEG放送のチャネル1の信号を内部チャネルCH1に出力し、チャネル2の信号を内部チャネルCH2に出力し、チャネル3の信号を内部チャネルCH1,CH2に出力し、チャネル4の信号を内部チャネルCH1,CH3に出力し、チャネルNの信号を内部チャネルCH1〜CH3に出力する。
図6は、先の図4に示したコピーテーブル21に基づいて放送スイッチ11がマルチキャストデータ(MPEG放送のチャネル1〜Nのデータ)をスイッチングした場合のチャネルと下り方向通信の波長の関係を示している。図6に示すように、放送スイッチ11は、チャネル1,3,4,Nのデータを波長λ1にスイッチングし、チャネル2,3,Nのデータを波長λ2にスイッチングし、チャネル4,Nのデータを波長λ3にスイッチングする。
一方、IPネットワークから通信データを受信すると、L2スイッチ12は、受信した通信データ内の宛先アドレス(宛先MACアドレスや宛先IPアドレスなど)から通信データを送信すべきONU5を認識する。L2スイッチ12は、認識したONU5が使用する下り方向通信の波長λ1〜λmに対応する内部チャネルC1〜Cmに受信した通信データを出力する。
通信/放送多重化器13は、放送スイッチ11から入力される内部チャネルCH(CH1〜CHmを示す)と、L2スイッチ12から入力される内部チャネルC(C1〜Cm)とを多重化してPON制御部14に出力する。PON制御部14は、通信/放送多重化器13によって多重化されたマルチキャストデータ(内部チャネルCH)および通信データ(内部チャネルC)を含むフレームに当該フレームの宛先情報を付加する。PON制御部14は、宛先情報を付加したフレームをE/O部15に出力する。
E/O部15は、宛先情報を付加したフレームの電気信号を自身に割当てられている波長λ1〜λmの光信号に変換する。E/O部15は、変換した光信号をWDM多重器16に出力する。WDM多重器16は、E/O部15によって変換された波長λ1〜λmの光信号を1つの光ファイバ3に多重化して出力する。
光ファイバ3、および光分波器7を介して波長λ1〜λmの光信号はONU5に到達する。ONU5のブロッキングフィルタ51は、当該ONU5が下り方向通信で使用する波長以外をフィルタし、下り方向通信で使用する波長のみを抽出する。たとえば、ONU5−1が下り方向通信で使用する波長がλ1の場合、ONU5−1のブロッキングフィルタ51は、波長λ1のみを抽出する。ブロッキングフィルタ51は、抽出した波長をO/E部52に出力する。
O/E部52は、ブロッキングフィルタ51によって抽出された波長の光信号(ONU5−1の場合は波長λ1の光信号)を電気信号に変換し、変換した電気信号をPON制御部54に出力する。PON制御部54は、電気信号から下り方向通信のフレームを構築してフレームの宛先情報に基づいて自装置が収容する端末当てのフレームを抽出する。PON制御部54は、抽出したフレームを通信/放送分離器55に出力する。通信/放送分離器55は、フレームからマルチキャストデータ(MPEG放送のチャネルのデータ)および通信データを分離して端末に送信する。
以上説明したように、この実施の形態1においては、コピーテーブル生成部20が、ONU5に対応付けて当該ONUが下り方向通信で使用する波長が登録される割当波長管理テーブル19と、OLT1に入力される複数のマルチキャストデータであるMPEG放送のチャネル1〜Nそれぞれに対応付けてMPEG放送データをマルチキャストするグループ(マルチキャストグループ)および当該グループに参加するONU5が登録されるマルチキャストグループ管理テーブル18とに基づいて、MPEG放送のチャネル1〜N毎に当該MPEG放送データをコピーする下り方向通信に使用する波長の情報が登録されるコピーテーブル21を生成し、放送スイッチ11が、コピーテーブル21に基づいて各MPEG放送データを送信する際の波長λ1〜λmを選択し、選択した波長λ1〜λmに対応する内部チャネルCH1〜CHmに当該MPEG放送のチャネル1〜Nのデータをコピーして出力するようにしているため、下り方向通信においてOLT1に接続される複数のONU5毎に異なる波長λ1〜λmを割当る下り複数波長混在型のPONシステムのマルチキャスト通信においても、MPEG放送データが入力されるMPEG放送のチャネル1〜NとONU5側のチャネルとのスイッチングに必要なスイッチの容量を削減することが可能となり、装置のコストを低減することができる。
具体的には、OLTが転送可能な放送チャネル数をNとし、ONUが同時に要求する可能性のある放送チャネル最大数をkとし、PONを介してOLTに接続されるONUの台数をnとした場合、従来のOLTが具備する放送スイッチの容量は、「N×(k×n)」となる。これに対して、この発明のOLTが具備する放送スイッチの容量は、ONUが同時に要求する可能性のある放送チャネル最大数kに依存することなく、「N×m」となる。ここで、mは下り方向通信に用いる波長数であり、基本的には「m<n」の関係が成り立つ。OLTに接続されるONUにそれぞれ異なる波長を割当てたと仮定しても、下り方向通信に用いる波長数mと、PONを介してOLTに接続されるONUの台数nは、「m=n」の関係が成り立つ。したがって、本発明のOLTが具備する放送スイッチの容量の最大値は「N×n」となり、従来のOLTが部にする放送スイッチの容量を「1/k」以下にすることができる。
また、この実施の形態1においては、コピーテーブル生成部20が、ONU5に対応付けて当該ONUが下り方向通信で使用する波長が登録される割当波長管理テーブル19と、OLT1に入力される複数のマルチキャストデータであるMPEG放送のチャネル1〜Nそれぞれに対応付けてMPEG放送データをマルチキャストするグループ(マルチキャストグループ)および当該グループに参加するONU5が登録されるマルチキャストグループ管理テーブル18とに基づいて、MPEG放送のチャネル1〜N毎に当該MPEG放送データをコピーする下り方向通信に使用する波長の情報が登録されるコピーテーブル21を生成するようにしているため、マルチキャストグループ管理テーブル18にONU5側チャネルを登録する必要がなくなり、マルチキャストグループ管理テーブル18の容量、すなわちメモリ容量を削減することが可能となり、装置のコストを低減することができる。
実施の形態2.
図7および図8(図8−1,図8−2を示す)を参照してこの発明の実施の形態2を説明する。図7は、この発明におけるPONシステムの実施の形態2の構成の一例を示す図である。図7に示したこの実施の形態2のPONシステムは、先の図1に示した実施の形態1のPONシステムのOLT1の代わりに、OTL1にマルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22を追加したOLT1aを備えている。図1に示したPONシステムと同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、IGMP(Internet Group Management Protocol)やMLD(Multicast Listener Discovery)などのマルチキャスト制御用のIPプロトコルメッセージをスヌープすることにより、マルチキャストグループへのONU5の参入および離脱を認識し、この認識結果に基づいてマルチキャストグループ管理テーブル18を更新する。すなわち、マルチキャストグループに参入したONU5の情報をマルチキャストグループ管理テーブル18に追加登録し、マルチキャストグループから離脱したONU5の情報をマルチキャストグループ管理テーブル18から登録削除する。
つぎに、図8のフローチャート、および図7を参照してこの実施の形態2のPONシステムの動作を説明する。なお、この実施の形態2のPONシステムの下り方向通信の動作、すなわちマルチキャストデータを転送する動作は先の実施の形態1とほぼ同じであり、相違点は、L2スイッチ12が出力する内部チャネルC1〜Cmは、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22を介して通信/放送多重化器13に出力されることのみであるので、ここではその説明を省略し、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22がマルチキャストグループ管理テーブル18を更新する動作のみを説明する。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、L2スイッチ12から入力される内部チャネルC、およびPON制御部14から入力されるONU5からのフレームをスヌープする。L2スイッチから入力される内部チャネルCにおいて、すなわちIPネットワークからのフレームから、Membership Queryメッセージを検出すると、このMembership Queryメッセージに対する応答の監視時間の計測を開始する(図8−1のステップS200,S201)。監視時間の計測は、OLT1aが有する計時機能を用いてもよいし、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22内に計時機能を備えて計測するようにしてもよい。
監視時間の計測を開始した後、PON制御部14から入力されるフレームとしてMembership Reportメッセージを検出すると、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、Membership Reportメッセージからマルチキャストグループアドレスを抽出するとともに、Membership Reportメッセージの送信元ONUを認識する(図8−1のステップS202,S203)。なお、Membership Reportメッセージの送信元ONUの認識方法としては、たとえばメッセージに付与されている論理リンク識別子をPON制御部14において識別することで可能であり、PON制御部で識別した送信元ONU情報をMembership Reportメッセージとともにマルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22に転送することにより、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22においてもMembership Reportメッセージの送信元ONUが識別できる。なお、Membership Reportメッセージの送信元ONUの認識方法は本発明とは無関係である。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループアドレスがマルチキャストグループ管理テーブル18のグループ情報182(図3参照)に登録されているか否かを判定する(図8−1のステップS204)。抽出したマルチキャストグループアドレスがマルチキャストグループ管理テーブル18のグループ情報182に登録されている場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、Membership Reportメッセージを送信したONU5のONU識別子を認識する。マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、認識したONU識別子が抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に登録されているか否かを判定する(図8−1のステップS205)。
認識したONU識別子が抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に登録されていない場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に、認識したONU識別子を登録する。すなわち、Membership Reportメッセージを送信したONU5をマルチキャストグループ管理テーブル18に登録する(図8−1のステップS206)。認識したONU識別子が抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に登録されている場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、マルチキャストグループ管理テーブル18の登録を行わない。すなわち、マルチキャストグループ管理テーブル18の更新を行わない。
一方、抽出したマルチキャストグループアドレスがマルチキャストグループ管理テーブル18のグループ情報182に登録されていない場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループに未使用のOLT側チャネルのチャネル番号の1つを割当てて、マルチキャストグループ管理テーブル18に新規登録を追加する(図8−1のステップS207)。具体的には、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、割当てたチャネル番号をマルチキャスト管理テーブルのOLT側チャネル情報181に登録し、登録したOLT側チャネル情報181に対応付けられたグループ情報182に抽出したマルチキャストグループアドレスを登録するとともに、ONU情報183にONU5のONU識別子を登録する。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、監視時間の計測が終了するまで、Membership Reportメッセージを検出し、検出したMembership Reportメッセージの送信元ONUおよびマルチキャストグループアドレスと、マルチキャストグループ管理テーブル18の登録内容とに基づいてマルチキャストグループ管理テーブル18を更新する動作を繰り返す(図8−1のステップS202〜S208)。また、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、監視時間内に検出したMembership Reportメッセージの送信元ONUのONU識別子、およびマルチキャストグループアドレスを記憶しておく。
監視時間の計測が終了すると、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、監視時間内に記憶したONU識別子およびマルチキャストグループアドレスに基づいて、マルチキャストグループ管理テーブル18の登録削除処理を行なう(図8−1のステップS209)。具体的には、マルチキャストグループ管理テーブル18のグループ情報182に記憶したマルチキャストグループ以外のマルチキャストグループアドレスが登録されている場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、記憶したマルチキャストグループ以外のマルチキャストグループアドレスをグループ情報182から削除し、削除したグループ情報182に対応付けられてマルチキャストグループ管理テーブル18のONU情報183に登録されているONU識別子、およびOLT側チャネル情報181に登録されているチャネル番号を削除する。その際、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、OLT側チャネル情報181から削除したチャネル番号を未使用のチャネルとして解放する。
また、記憶したマルチキャストグループが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に登録されているONU識別子の中に当該マルチキャストグループへのMembership Reportメッセージを検出しなかったONU5のONU識別子が登録されている場合、そのONU識別子を削除する。すなわち、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、監視時間内にMembership Reportメッセージを送信したONU5を対象とした情報に基づいてマルチキャストグループ管理テーブル18を更新する。
一方、PON制御部14から入力されるフレームとしてLeave Groupメッセージを検出すると(図8−1のステップS210)、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、Leave Groupメッセージからマルチキャストグループアドレスを抽出するとともに、Leave Groupメッセージの送信元ONUを認識する(図8−2のステップS211)。なお、Leave Groupメッセージの送信元ONUの認識方法は、Membership Reportメッセージの送信元ONUの認識方法と同様で、本発明とは無関係である。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループがマルチキャストグループ管理テーブル18のグループ情報182に登録されているか否かを判定する(図8−2のステップS212)。抽出したマルチキャストグループアドレスがマルチキャストグループ管理テーブル18のグループ情報182に登録されている場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、Leave Groupメッセージを送信したONU5のONU識別子を認識する。マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、認識したONU識別子が抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に登録されているか否かを判定する(図8−2のステップS213)。
認識したONU識別子が抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に登録されている場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183から認識したONU識別子を削除する(図8−2のステップS214)。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に他のONU識別子が登録されているか否かを判定する(図8−2のステップS215)。抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたONU情報183に他のONU識別子が登録されていない場合、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22は、抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182からマルチキャストグループアドレスを削除するとともに、抽出したマルチキャストグループアドレスが登録されているグループ情報182に対応付けられたOLT側チャネル情報181に登録されているチャネル番号を削除し、削除したチャネル番号を未使用のチャネルとして解放する(図8−2のステップS216)。
マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22によって、マルチキャストグループ管理テーブル18が更新されると、先の実施の形態1で説明したように、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21を生成(更新)する。したがって、OLT1は、常に最新のマルチキャストグループの構成に基づいてマルチキャストの転送を行うことが可能となる。
以上説明したように、この実施の形態2においては、マルチキャストデータであるMPEG放送データをマルチキャストするグループを、IPプロトコルのマルチキャストグループで管理し、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22が、ONU5から受信したマルチキャスト制御用のIPプロトコルのメッセージをスヌープして、該メッセージがマルチキャストグループへの参加を示すメッセージ(Membership Reportメッセージ)の場合、Membership Reportメッセージに含まれるマルチキャストグループに対応付けてマルチキャストグループ管理テーブルにMembership Reportメッセージを送信したONU5を登録し、メッセージがマルチキャストグループからの離脱を示すメッセージ(Leave Groupメッセージ)の場合、Leave Groupメッセージに含まれるマルチキャストグループに対応付けてマルチキャストグループ管理テーブルに登録されているONU5を削除するようにしているため、マルチキャスト制御用のIPプロトコルと連携して常に最新のマルチキャストグループの構成に基づいてマルチキャストデータの転送を行うことができる。
なお、この実施の形態2においては、同じ下り方向通信の波長を使用する複数のONU5のうち1つでもマルチキャストグループに参入した場合、OLT1は、同じ波長を使用するすべてのONU5に対してマルチキャストデータを送信することとなり、同じ波長を使用するすべてのONU5、すなわち実際にはマルチキャストグループへの参入を要求していないONU5もマルチキャストデータを受信してしまう。一般的に、ONU5が具備するPON制御部54は、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ機能を具備したLSIにて実現される場合が多い。このPON制御部54のマルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ機能を用いて、実際にマルチキャストグループに参入したONU5にのみマルチキャストデータを加入者端末に転送することができる。ただしマルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ機能が具備されていない場合でも、OLT1から、どのグループのマルチキャストデータを転送すべきかを示すフィルタ条件(転送すべきマルチキャストグループアドレスのリスト)をONU5に設定することで、不要なマルチキャストデータの転送を防ぐことができる。
また、この実施の形態2においては、OLT1のマルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22と、PON制御部14とを独立した構成としたが、マルチキャスト制御用IPプロトコルスヌープ部22はPON制御部14に組み込まれていてもかまわない。
実施の形態3.
図9および図10を参照してこの発明の実施の形態3を説明する。図9は、この発明におけるPONシステムの実施の形態3の構成の一例を示す図である。図9に示したPONシステムは、先の図1に示した実施の形態1のOLT1の代わりにOLT1bを備え、装置運用のための各種パラメータ設定を行う管理装置9が追加されている。図1に示したPONシステムと同じ機能を持つ構成部分には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
OLT1bは、先の実施の形態1のOLT1のマルチキャストグループ管理テーブル18の代わりにマルチキャストグループ管理テーブル18aを備え、管理装置インタフェース23が追加されている。
管理装置インタフェース23は、管理装置9とのインタフェース機能を有し、管理装置9からの指示によってマルチキャストグループ管理テーブル18aを更新する。すなわち、この実施の形態3のPONシステムは、一般的にOLT1bの各種設定に用いられる管理装置9およびOLT1b内の管理装置インタフェース23を用いて、マルチキャストグループ管理テーブル18aの更新を可能とするものである。
図10は、この実施の形態3のPONシステムのOLT1bのマルチキャストグループ管理テーブル18aの構成の一例を示す図である。図10に示したマルチキャストグループ管理テーブル18aは、マルチキャストグループをVLAN(Virtual Local Area Network)によって識別する場合の構成例であり、登録項目として、OLT1に入力されるMPEG放送のチャネル1〜Nが登録されるOLT側チャネル情報181aと、OLT側チャネル情報に登録されるMPEG放送のチャネル1〜Nを受信するグループ、すなわちマルチキャストグループを識別するためのVLAN識別子が登録されるグループ情報182aと、グループ情報182aに登録されたVLAN識別子が示すマルチキャストグループに属するONU5を識別するためのONU識別子が登録されるONU情報183aとが挙げられている。
図10においては、MPEG放送のチャネル1はVLAN「2048」であってONU5−1,5−3が属しており、MPEG放送のチャネル2はVLAN「2049」であってONU5−2,5−nが属しており、MPEG放送のチャネル3はVLAN「2050」であってONU5−2,5−3が属しており、MPEG放送のチャネル4はVLAN「2051」であってONU5−3,5−4が属しており、MPEG放送チャネルNはVLAN「2047+N」であってONU5−2〜5−4が属していることが登録されている。
なお、図10においては、グループ情報182aとして、IEEE802.1Qで規定されているVLAN識別子(VLAN Identifier)を用いており、12ビットのVLAN識別子の最上位ビットが「1」のVLAN識別子をマルチキャストグループ識別用とした場合を示している。
つぎに、この実施の形態3のPONシステムの動作を説明する。なお、先の実施の形態1のPONシステムと同じ動作に付いては、詳細な説明は省略する。まず、管理者は、管理装置9を用いて、マルチキャストグループ管理テーブル18aを作成する。具体的には、管理者は、管理装置9の入力手段を用いて、MPEG放送のチャネル1〜Nのチャネル番号に対応付けてVLAN識別子と、当該VLAN識別子が示すVLANに属するONU5のONU識別子を含む設定情報を入力する。管理装置9は、入力された設定情報をOLT1に送信する。
設定情報を受信すると、OLT1の管理装置インタフェース23は、設定情報に含まれるチャネル番号をマルチキャストグループ管理テーブル18aのOLT側チャネル情報181aに登録し、VLAN識別子をマルチキャストグループ管理テーブル18aのグループ情報182aに登録し、ONU識別子をマルチキャストグループ管理テーブル18aのONU情報183aに登録する。これにより、先の図10に示したマルチキャストグループとしてVLAN識別子を用いたマルチキャストグループ管理テーブル18aが生成される。
マルチキャストグループ管理テーブル18aが生成されると、コピーテーブル生成部20は、割当波長管理テーブル19およびマルチキャストグループ管理テーブル18aに基づいてコピーテーブル21を生成するコピーテーブル生成処理を実行する。コピーテーブル生成処理は、先の図5のフローチャートを参照して説明した動作と同じであるので、ここではその詳細な説明を省略する。
先の図10に示したマルチキャストグループ管理テーブル18には、OLT側チャネル情報181aのチャネル1に対応付けられたONU情報183aに、VLAN識別子「2048」に属するONU5−1,5−3のONU識別子「ONU#1」および「ONU#3」が登録されており、先の図2に示した割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#1」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録され、ONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報にチャネル1を登録し、チャネル1に対応付けた下り波長212の波長λ1にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ2〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、OLT側チャネル情報181aのチャネル2に対応付けられたONU情報183aに、VLAN識別子「2049」に属するONU5−2,5−nのONU識別子「ONU#2」および「ONU#n」が登録されており、先の図2に示した割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#2」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録され、ONU識別子「ONU#n」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報にチャネル2を登録し、チャネル1に対応付けた下り波長212の波長λ2にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ1,λ3〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、OLT側チャネル情報181aのチャネル3に対応付けられたONU情報183aに、VLAN識別子「2050」に属するONU5−2,5−3のONU識別子「ONU#2」および「ONU#3」が登録されており、先の図2に示した割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#2」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録され、ONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報にチャネル3を登録し、チャネル3に対応付けた下り波長212の波長λ1,λ2にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ3〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、OLT側チャネル情報181aのチャネル4に対応付けられたONU情報183aに、VLAN識別子「2051」に属するONU5−2,5−3のONU識別子「ONU#3」および「ONU#4」が登録されており、先の図2に示した割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録され、ONU識別子「ONU#4」に対応付けた下り波長情報192として波長λ3が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報にチャネル4を登録し、チャネル4に対応付けた下り波長212の波長λ1,λ3にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ2,λ4〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
また、OLT側チャネル情報181aのチャネルNに対応付けられたONU情報183aに、VLAN識別子「2051」に属するONU5−1〜5−3のONU識別子「ONU#1」、「ONU#2」、および「ONU#3」が登録されており、先の図2に示した割当波長管理テーブル19には、ONU情報191に登録されているONU識別子「ONU#1」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録され、ONU識別子「ONU#2」に対応付けた下り波長情報192として波長λ2が登録され、ONU識別子「ONU#3」に対応付けた下り波長情報192として波長λ1が登録されている。したがって、コピーテーブル生成部20は、コピーテーブル21のOLT側チャネル情報にチャネルNを登録し、チャネルNに対応付けた下り波長212の波長λ1,λ2にコピーすることを示す「1」を登録し、他の波長λ3〜λmにコピーしないことを示す「0」を登録する。
コピーテーブル生成処理によってコピーテーブル21が生成された後、放送スイッチ11は、MPEG放送データに含まれるVLAN識別子およびコピーテーブル21に基づいてMPEG放送のチャネル1〜Nを下り方向通信の波長λ1〜λmに対応する内部チャネルCH1〜CHmにコピーするスイッチングを行う。
一方、IPネットワークから通信データを受信すると、L2スイッチ12は、受信した通信データ内の宛先アドレスから通信データを送信すべきONU5を認識してONU5が使用する下り方向通信の波長λ1〜λmに対応する内部チャネルC1〜Cmに受信した通信データを出力する。
通信/放送多重化器13は、放送スイッチ11から入力される内部チャネルCHと、L2スイッチ12から入力される内部チャネルCとを多重化したフレームをPON制御部14に出力し、PON制御部14はフレームに宛先情報を付加してE/O部15に出力する。E/O部15は、宛先情報を付加したフレームの電気信号を自身に割当てられている波長λ1〜λmの光信号に変換し、WDM多重器16は、E/O部15によって変換された波長λ1〜λmの光信号を1つの光ファイバ3に多重化して出力する。
光ファイバ3、および光分波器7を介して波長λ1〜λmの光信号はONU5に到達する。ONU5のブロッキングフィルタ51は、当該ONU5が下り方向通信で使用する波長以外をフィルタし、下り方向通信で使用する波長のみを抽出し、抽出した波長をO/E部52に出力する。O/E部52は、ブロッキングフィルタ51によって抽出された波長の光信号を電気信号に変換してPON制御部54に出力する。PON制御部54は、電気信号から下り方向通信のフレームを構築してフレームの宛先情報に基づいて自装置が収容する端末当てのフレームを抽出して通信/放送分離器55に出力する。通信/放送分離器55は、フレームからマルチキャストデータ(MPEG放送のチャネルのデータ)および通信データを分離して端末に送信する。
以上説明したように、この実施の形態3においては、マルチキャストデータであるMPEG放送データをマルチキャストするグループをVLAN識別子によって管理し、管理装置インタフェース23が、管理装置が送信するマルチキャストデータに対応付けたVLAN識別子および加入者側装置識別子を含む設定情報を受信し、受信した設定情報に含まれるマルチキャストデータのチャネル番号に対応付けてVLAN識別子およびONU識別子をマルチキャストグループ管理テーブル18に登録するようにしているため、マルチキャストグループを外部から任意に設定することができ、管理者のオペレーションに応じたマルチキャスト通信を行うことができる。
なお、この実施の形態3においては、同じ下り方向通信の波長を使用する複数のONU5のうち1つがVLANに属した場合、OLT1は、同じ波長を使用するすべてのONU5に対してマルチキャストデータを送信することとなり、同じ波長を使用するすべてのONU5、すなわち実際にはVLANに属していないONU5もマルチキャストデータを受信してしまう。この場合、OLT1から、どのグループのマルチキャストデータを転送すべきかを示すフィルタ条件(当該ONU5が属しているVLANのリスト)をONU5に設定することで、不要なマルチキャストデータの転送を防ぐことができる。