JP2004342954A - レーザアニール方法及び装置 - Google Patents

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健一郎 西田
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幹人 石井
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みゆき 正木
Atsushi Yoshinouchi
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Abstract

【課題】固体レーザーにより基板上のシリコン膜を溶融し、かつ溶融シリコンの急冷を抑制して、内部欠陥の少ない結晶粒を成長させることができるレーザアニール方法及び装置を提供する。
【解決手段】パルスレーザー2と連続レーザー4を同一の光軸上に合成するビーム合成光学系20と、合成したレーザービーム6を集光する集光光学系16とを備え、合成したレーザービーム6を基板1の表面のシリコン膜の同一部分に照射して溶融させ結晶粒を成長させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー照射により基板上のシリコン膜を溶融させて結晶粒を成長させるレーザアニール方法及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エキシマレーザーは、紫外線域で使用される高出力パルスレーザである。かかるエキシマレーザーの1つの応用として、液晶ディスプレイ(LCD)に用いられる薄膜トランジスター(Thin Film Transistor:TFT)のアニールが注目を集めている。
【0003】
図3は、エキシマレーザーでアニールする低温ポリシリコンTFTの断面構造図である。一般に、シリコンの膜厚は25〜100nm、絶縁膜は二酸化シリコンや窒化シリコンで膜厚は50〜300nm、ゲート電極はアルミやタングステン、その他が用いられる。
【0004】
エキシマレーザアニールが用いられるのは、ポリシリコン膜の形成とコンタクト層の活性化である。レーザー照射によりシリコン膜が溶融、結晶化してポリシリコンとなる。1度溶融過程を経るため高品質の膜が形成される。エキシマレーザーは紫外光パルスレーザーであるため、レーザーエネルギーは膜表面で吸収される。しかもパルス幅が数10ns程度であるためシリコンの溶融時間は数100ns程度となり下地のガラス基板への影響がほとんどない。また他の低温形成法ではポリシリコン形成や活性化に600℃前後の高温で長時間アニールが必要となり、ガラス基板が歪んだり不純物の拡散が問題となったりするが、エキシマレーザアニールによれば最高温度400℃台での形成が可能であり、このような問題がない。
【0005】
TFTの動作速度は移動度(単位cm/V・s)で表される。ポリシリコンTFTの移動度は、10〜600cm/V・sである。この移動度に幅があるのはそれが粒径と粒界の両方に依存するためである。高い移動度を得るためには、粒内欠陥が少なく単結晶に近いこと、低欠陥な粒界を形成することが必要である。一般に粒径が大きく、粒界の欠陥が少ないほど高移動度が得られる。
【0006】
図4は、従来のエキシマレーザアニール装置の構成図である。使用されるエキシマレーザーはXeCl,ArF,KrF,XeF等である。レーザービームはビームホモジナイザーを中心とした光学系を通してチャンバーへ導入される。チャンバー内はポンプ系、ガス系により真空又はガス雰囲気にコントロールされる。ビームの走査はステージか光学系の移動により行う。レーザーとして、繰り返し周波数約300Hz、パルス幅20〜160ns、出力約200Wのものが実用化され、基板サイズも370mm×470mmに達している。
【0007】
上述したように、半導体・液晶の分野で、ガラス基板上に成膜したアモルファスSiを多結晶化する手段として、従来からレーザアニール法が用いられ、このレーザアニール装置のレーザー光として、主にエキシマレーザーが用いられている。しかし、近年、YAG,YLF,YVO等の固体レーザーの波長変換光を利用したレーザアニール装置が注目されている。
なお、従来のレーザアニール手段は、特許文献1〜特許文献4、等に開示されている。
【0008】
【特許文献1】
特開2001−144027号公報
【特許文献2】
特開2002−198377号公報
【特許文献3】
特開2002−231654号公報
【特許文献4】
特開2002−252173号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
固体レーザーを用いたレーザアニール装置の特徴として、そのレーザーが持つガウシアン形状のエネルギー分布を利用して、アモルファスSiを横方向へ結晶成長させる技術(ラテラル成長)が挙げられる。また、固体レーザーはその発振形態から、パルス発振レーザー(以下、単にパルスレーザーという)と連続発振レーザー(以下、単に連続レーザーという)の2種類に分けられる。
【0010】
従来、多結晶化にはSiを溶融させる必要があるため、一般的にレーザアニール装置では、高い尖頭値が得られるパルスレーザーが用いられている。また、波長変換の原理上の問題から、連続レーザーはパルスレーザーと比較して高出力が得られない欠点を有する。
しかし、パルスレーザーを用いたレーザアニール装置では、パルスレーザーの照射後、次のショット(照射)までエネルギーが入らないため、溶融したSiはほぼ急冷状態で固化する。そのため、結晶成長が途中で止まったり、結晶内部に欠陥が生じたりする問題があった。
また、この問題に対応するため、基板加熱システムを付加した装置があるが、大規模なヒーターが必要であったり、基板加熱に時間を有するため、処理時間が極端に長くなる問題があった。
言い換えれば、パルスレーザーを用いたレーザアニール装置では、パルスレーザーの照射後、シリコンの溶融時間が数100ns程度と極めて短いので、ガラス基板への影響がほとんどない利点があるものの、結晶粒が大きく成長しない問題点があった。
【0011】
本発明はかかる問題点を解決するために創案されたものである。すなわち、本発明の目的は、レーザーにより基板上のシリコン膜を溶融し、かつ溶融シリコンの急冷を抑制して、内部欠陥の少ない結晶粒を成長させることができるレーザアニール方法及び装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、パルスレーザーと連続レーザーを同一の光軸上に合成し、基板表面のシリコン膜の同一部分に照射して溶融させ結晶粒を成長させる、ことを特徴とするレーザアニール方法が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、パルスレーザーと連続レーザーを同一の光軸上に合成するビーム合成光学系と、合成したレーザービームを集光する集光光学系とを備え、合成したレーザービームを基板表面のシリコン膜の同一部分に照射して溶融させ結晶粒を成長させる、ことを特徴とするレーザアニール装置が提供される。
【0014】
上記本発明の方法及び装置によれば、パルスレーザーと連続レーザーを合成し、同時に同部分に照射するので、パルスレーザーの入射後も連続レーザーによりエネルギーが入るため、溶融Siの急冷状態は緩和される。この効果により、結晶成長距離を長くでき、欠陥発生も抑えることができるため、高品質の多結晶Siを得ることができる。また、基板加熱のシステムの必要がなくなり、処理時間も格段に短くなる。
【0015】
本発明の好ましい実施形態によれば、前記合成したレーザービームを線状に集光してシリコン膜の表面に照射し、かつ該線状のレーザービームまたは基板をレーザービームの幅方向に移動する。
この構成により、線状に集光したレーザービームをその幅方向に移動して、基板表面の全面に均一に照射でき、広い面積の基板表面に高品質の多結晶Siを得ることができる。
【0016】
前記ビーム合成光学系は、パルスレーザーと連続レーザーのうち一方の光軸上に位置する薄膜偏光子と、他方のレーザービームの偏光角度を90度回転させる偏光回転素子と、該偏光回転素子を出た偏光ビームを前記薄膜偏光子に向けて反射する反射ミラーとを有し、前記薄膜偏光子は一方の偏光ビームを透過させ、かつ他方の偏光ビームを同一の光軸上に反射して合成する。
【0017】
この構成により、薄膜偏光子を透過した一方の偏光ビームの光軸上に、薄膜偏光子で反射した他方の偏光ビームを正確に重ね合わせて同一の光軸上に合成することができ、同一部分に正確に照射できるので、溶融Siの急冷状態を効果的に緩和できる。
【0018】
前記ビーム合成光学系は、パルスレーザーと連続レーザーの両方を分割して重ね合わせる互いに直交した複数のシリンドリカルレンズアレイと、該シリンドリカルレンズアレイを通過したレーザービームを同一位置に集光するコンデンサーレンズとからなる。
【0019】
この構成により、互いに直交した複数のシリンドリカルレンズアレイにより、パルスレーザーと連続レーザーの両方を分割して重ね合わせることができる。またコンデンサーレンズによりシリンドリカルレンズアレイを通過したレーザービームを同一位置に集光するので、パルスレーザーと連続レーザーの両方を実質的に同一部分に照射でき、溶融Siの急冷状態を効果的に緩和できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0021】
図1は本発明のレーザアニール装置の第1実施形態を示す図であり、図2はその第2実施形態を示す図である。図1及び図2において、本発明のレーザアニール装置10は、周期的にパルスレーザー2を発振するパルスレーザー装置12と、連続的に連続レーザー4を発振する連続レーザー装置14を備える。
パルスレーザー装置12と連続レーザー装置14は、直線偏光を有するレーザ装置であり、パルスレーザー2及び連続レーザー4は、例えば、波長532nmのYAGレーザ、波長527nmのYLFレーザ、波長488nm又は514.2nmのArレーザ、波長532nmのYVOレーザ、又は波長543.5nmのHeNeレーザである。なお、本発明はこれに限定されず、例えば、その他のレーザービームであってもよい。
【0022】
本発明のレーザアニール装置10は、更にビーム合成光学系20と集光光学系16を備える。ビーム合成光学系20は、パルスレーザー2と連続レーザー4を同一の光軸上に合成する機能を有する。また、集光光学系16は、ビーム合成光学系20で合成したレーザービーム6を基板表面のシリコン膜の同一部分に集光する機能を有する。
【0023】
図1において、ビーム合成光学系20は、薄膜偏光子21a,偏光回転素子21b,及び反射ミラー21cを備える。薄膜偏光子21aは、パルスレーザー2と連続レーザー4のうち一方(この例では連続レーザー4)の光軸上に位置する。偏光回転素子21bは、例えば、λ/2板であり、他方のレーザービーム(この例ではパルスレーザー2)の偏光角度を90度回転させる。反射ミラー21cは、偏光回転素子21bを出た偏光ビーム(この例ではパルスレーザー2)を薄膜偏光子21aに向けて反射する。
また、薄膜偏光子21aは、例えばTFTであり、一方の偏光ビーム(この例では連続レーザー4)を透過させ、かつ他方の偏光ビーム(この例ではパルスレーザー2)を同一の光軸上に反射して合成するように、ブルースター角が設定されている。ブルースター角とは、光が表面で反射するとき、一方向の偏光成分の反射率が0になる入射角をいう。
【0024】
図1の構成により、薄膜偏光子21aを透過した一方の偏光ビーム(連続レーザー4)の光軸上に、薄膜偏光子21aで反射した他方の偏光ビーム(パルスレーザー2)を正確に重ね合わせて同一の光軸上に合成することができ、同一部分に正確に照射できるので、基板1上の溶融Siの急冷状態を効果的に緩和できる。
【0025】
図2において、ビーム合成光学系20は、反射ミラー22a,22b,22c,22d、シリンドリカルレンズアレイ23a,23b、コンデンサーレンズ24a,24bを備える。
反射ミラー22a、22bは、パルスレーザー2を反射してシリンドリカルレンズアレイ23aの一部(例えば図で右半分)に入射させるようになっている。同様に反射ミラー22c、22dは、連続レーザー4を反射してシリンドリカルレンズアレイ23aの一部(例えば図で左半分)に入射させるようになっている。
シリンドリカルレンズアレイ23a,23bは、互いに直交して配置され、入射したパルスレーザー2と連続レーザー4の両方を分割して重ね合わせるようになっている。コンデンサーレンズ24a,24bが、シリンドリカルレンズアレイ23a,23bを通過したレーザービーム6を同一位置に集光する機能を有する。
【0026】
図2の構成により、互いに直交した複数のシリンドリカルレンズアレイ23a,23bにより、パルスレーザー2と連続レーザー4の両方を分割して重ね合わせることができる。またコンデンサーレンズ24a,24bによりシリンドリカルレンズアレイ23a,23bを通過したレーザービーム6を同一位置に集光するので、パルスレーザー2と連続レーザー4の両方を実質的に同一部分に照射でき、溶融Siの急冷状態を効果的に緩和できる。
【0027】
集光光学系16は、好ましくはシリンドリカルレンズであり、合成したレーザービーム6を線状に集光してシリコン膜の表面に照射する。また、この線状のレーザービームまたは基板をレーザービームの幅方向に移動し、基板表面の全面に均一に照射するようになっている。
なおレーザービーム6の走査は、図示しないミラーの揺動で行ってもよく、或いは、基板1の移動で行ってもよい。
また、基板1を収容する図示しないチャンバーを備える。このチャンバーは、レーザービーム6が通過する窓を有する気密容器であり、図示しないポンプ系及びガス系により真空又は必要なガス雰囲気にコントロールされる。
【0028】
上述した構成の装置を用い、本発明のレーザアニール方法では、パルスレーザー2と連続レーザー4を同一の光軸上に合成し、基板表面のシリコン膜の同一部分に照射して溶融させ結晶粒を成長させる。
【0029】
上述した本発明の方法及び装置によれば、パルスレーザー2と連続レーザー4を合成し、同時に同部分に照射するので、パルスレーザー2の入射後も連続レーザー4によりエネルギーが入るため、溶融Siの急冷状態は緩和される。この効果により、結晶成長距離を長くでき、欠陥発生も抑えることができるため、高品質の多結晶Siを得ることができる。また、基板加熱のシステムの必要がなくなり、処理時間も格段に短くなる。
従って、通常のレーザー照射のみでは、溶融時間は約100ns前後であるが、msオーダーまで、溶融時間を制御することが可能となり、結晶シリコンの結晶粒を大きくすることができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施例及び実施形態に限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更できることは勿論である。
【0031】
【発明の効果】
上述した本発明により、以下の効果が得られる。
(1) パルスレーザーを用いたレーザアニール装置で問題だったパルス波入射後のSiの急冷状態を緩和でき、高品質の多結晶を得ることができる。
(2) 大規模な基板加熱システムがなくなり、また基板加熱時間を省けるので、処理時間を大幅に短縮できる。
【0032】
従って、本発明のレーザアニール方法及び装置は、レーザーにより基板上のシリコン膜を溶融し、かつ溶融シリコンの急冷を抑制して、内部欠陥の少ない結晶粒を成長させることができる、等の優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のレーザアニール装置の第1実施形態図である。
【図2】本発明のレーザアニール装置の第2実施形態図である。
【図3】エキシマレーザーでアニールする低温ポリシリコンTFTの断面構造図である。
【図4】従来のエキシマレーザアニール装置の構成図である。
【符号の説明】
1 基板、2 パルスレーザー、4 連続レーザー、6 レーザービーム、
10 レーザアニール装置、12 パルスレーザー装置、
14 連続レーザー装置、16 集光光学系、
20 ビーム合成光学系、
21a 薄膜偏光子(TFT)、
21b偏光回転素子(λ/2板)、21c 反射ミラー、
22a,22b,22c,22d 反射ミラー、
23a,23b シリンドリカルレンズアレイ、
24a,24b コンデンサーレンズ

Claims (5)

  1. パルスレーザと連続レーザを同一の光軸上に合成し、基板表面のシリコン膜の同一部分に照射して溶融させ結晶粒を成長させる、ことを特徴とするレーザアニール方法。
  2. 前記合成したレーザビームを線状に集光してシリコン膜の表面に照射し、かつ該線状のレーザビームまたは基板をレーザビームの幅方向に移動する、ことを特徴とする請求項1に記載のレーザアニール方法。
  3. パルスレーザーと連続レーザーを同一の光軸上に合成するビーム合成光学系と、合成したレーザービームを集光する集光光学系とを備え、合成したレーザービームを基板表面のシリコン膜の同一部分に照射して溶融させ結晶粒を成長させる、ことを特徴とするレーザアニール装置。
  4. 前記ビーム合成光学系は、パルスレーザーと連続レーザーのうち一方の光軸上に位置する薄膜偏光子と、他方のレーザービームの偏光角度を90度回転させる偏光回転素子と、該偏光回転素子を出た偏光ビームを前記薄膜偏光子に向けて反射する反射ミラーとを有し、
    前記薄膜偏光子は一方の偏光ビームを透過させ、かつ他方の偏光ビームを同一の光軸上に反射して合成する、ことを特徴とする請求項3に記載のレーザアニール装置。
  5. 前記ビーム合成光学系は、パルスレーザーと連続レーザーの両方を分割して重ね合わせる互いに直交した複数のシリンドリカルレンズアレイと、該シリンドリカルレンズアレイを通過したレーザービームを同一位置に集光するコンデンサーレンズとからなる、ことを特徴とする請求項3に記載のレーザアニール装置。
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