JP2004341895A - Icカード - Google Patents
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Abstract
【課題】携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成された、優れたICカードを提供する。
【解決手段】ICカード内で発生した13.56MHzの高調波を、外部に放出しないようにするために、ICカードに電波吸収体やフェライトシートなどにてシールドをする。13.56MHzには影響がない素材を用いることで、ICカードの特性は維持することができる。またICカードをシールドすることによって、携帯無線機器のキャリア周波数がICカードに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も合わせて防ぐことができる。
【選択図】 図6
【解決手段】ICカード内で発生した13.56MHzの高調波を、外部に放出しないようにするために、ICカードに電波吸収体やフェライトシートなどにてシールドをする。13.56MHzには影響がない素材を用いることで、ICカードの特性は維持することができる。またICカードをシールドすることによって、携帯無線機器のキャリア周波数がICカードに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も合わせて防ぐことができる。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、1次コイルを備えたカード読取装置側から送出される電磁波からなる質問信号に応答して、2次コイルを備えたICカードが負荷変動によって応答信号を送出する非接触型のICカードに係り、特に、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの携帯無線機器に内蔵されたカード読取装置と通信可能なICカードに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成されたICカードに係り、特に、携帯無線機器に内蔵されたカード読取装置に対して通信を行なう際に不要輻射や送信スプリアスを減衰させるICカードに関する。
【0003】
【従来の技術】
局所でのみ適用可能な無線通信手段の一例として、非接触ICカードを挙げることができる。
【0004】
この種の無線通信には、一般に、電磁誘導の原理に基づいて実現される。すなわち、メモリ機能を有するICカードと、ICカードのメモリに対して読み書きアクセスをするカード・リーダ/ライタで構成され、1次コイルとしてのICカード側のループ・コイルと2次コイルとしてのカード・リーダ/ライタ側のアンテナが系として1個のトランスを形成している。そして、カード・リーダ/ライタ側からICカードに対して、電力と情報を同じく電磁誘導作用により伝送し、ICカード側では供給された電力によって駆動してカード・リーダ/ライタ側からの質問信号に対して応答することができる。
【0005】
カード・リーダ/ライタ側では、アンテナに流す電流を変調することで、ICカード上のループ・コイルの誘起電圧が変調を受けるという作用により、カード・リーダ/ライタからICカードへのデータ送信を行なうことができる。また、ICカードは、ループ・コイルの端子間の負荷変動により、ICカード・リーダ/ライタ側のアンテナ端子間のインピーダンスが変化してアンテナの通過電流や電圧が変動するという作用により、カード・リーダ/ライタへの返信を行なう。
【0006】
ICカードに代表される非接触・近接通信システムは、操作上の手軽さから、広範に普及している。例えば、暗証コードやその他の個人認証情報、電子チケットなどの価値情報などをICカードに格納しておくことにより、キャッシュ・ディスペンサやコンサート会場の出入口、駅の改札口などに設置されたカード・リーダ/ライタは、利用者がかざしたICカードに非接触でアクセスして、認証処理を行なうことができる。
【0007】
最近では、微細化技術の向上とも相俟って、比較的大容量のメモリ空間を持つICカードが出現している。大容量メモリ付きのICカードによれば、複数のアプリケーションを同時に格納しておくことができるので、1枚のICカードを複数の用途に利用することができる。例えば、1枚のICカード上に、電子決済を行なうための電子マネーや、特定のコンサート会場に入場するための電子チケットなど、多数のサービスを格納しておくことにより、1枚のICカードをさまざまな用途に適用させることができる。
【0008】
さらに、ICカードやカード用リーダ/ライタ(カード読み書き装置)が無線・非接触インターフェースの他に、外部機器と接続するための有線インターフェースを備えることにより、ICカードやリーダ/ライタ機能のいずれか一方又は双方を携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)やパーソナル・コンピュータなどの機器に内蔵することができる。
【0009】
このような場合、ICカード技術を汎用性のある双方向の近接通信インターフェースとして利用することができる。例えば、コンピュータや情報家電機器のような機器同士で近接通信システムが構成される場合には、通信は一対一で行われる。また、ある機器が非接触ICカードのような機器以外の相手デバイスと通信することも可能であり、この場合においては、1つの機器と複数のカードにおける一対多の通信を行なうアプリケーションも考えられる。
【0010】
また、電子決済を始めとする外部との電子的な価値情報のやり取りなど、ICカードを利用したさまざまなアプリケーション・サービスを、情報処理端末上で実行することができる。例えば、情報処理端末上のキーボードやディスプレイなどのユーザ・インターフェースを用いてICカードに対するユーザ・インタラクションを情報処理端末上で行なうことができる。また、リーダ/ライタ機能が携帯電話機と接続されていることにより、ICカード内に記憶された個人認証情報を電話網経由でやり取りすることもできる。さらに、携帯電話機からインターネット接続して利用したサービスの代金をICカードで支払うことができる。あるいは、ICカード上に電子マネーや電子チケットなどの価値情報を格納している場合には、電子決済などの価値情報の処理や、その他のさまざまなサービスを実現することができる。
【0011】
例えば、携帯電話やPHSなどのような携帯無線機器にICカードあるいはリーダ/ライタ機能を内蔵して、その携帯無線機器自体の無線通信機能を利用して、ICカードを利用した個人認証サービスやICカードに記録されている価値情報を利用した課金処理サービスなどが考えられる。
【0012】
リーダ/ライタを携帯機器に内蔵するためには小型化が必要であり、このためこれら回路モジュールをMOS(Metal Oxide Semiconductor)プロセスを用いて実装することが一般的である。これらの回路モジュールをMOSゲートで構成した場合、ゲートが矩形波により動作することから回路モジュールの出力端子からは矩形波が出力されることになる。矩形波には基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要な輻射の原因となる。
【0013】
例えば、携帯無線機器にリーダ/ライタが内蔵される場合、リーダ/ライタから放出される不要な輻射により携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受けるという問題がある(図1を参照のこと)。同様に、携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとICカードを通信させる場合、ICカードがリーダ/ライタからの電磁波により駆動し質問信号に対して応答信号を送出する際に不要輻射が発生し、携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受けるという問題がある(図2を参照のこと)。携帯電話やPHSは小信号でも受信可能となるように比較的高感度となるように設計されているため、機器に内蔵されているリーダ/ライタやICカードから放出される微小の高調波でも受信感度の劣化を引き起こしてしまう。
【0014】
携帯無線機器にリーダ/ライタが内蔵される場合のリーダ/ライタから放出される不要輻射の問題は、例えば、電波法で定められたレベルに不要輻射を抑えるためのローパス・フィルタに加え、特定周波数の高調波を遮るためのフィルタをリーダ/ライタ送信用端子とリーダ/ライタ送信用アンテナの間に直列的に挿入することによって、電波法で定められたレベルに不要輻射を抑制することができる。さらに、特定周波数を遮るフィルタを直列接続することによって、特定周波数の高調波に限定して減衰することができる(例えば、非特許文献1を参照のこと)。ところが、現状のICカード設計・製造技術においては、ICカードの内部回路にフィルタを設けたりアンテナ形状を変更したりすることは困難である。
すなわち、ICカードに関しては高調波の輻射の問題は依然として残っている。
【0015】
ICカードやリーダ/ライタと携帯無線機器との相互干渉を解決するためには、携帯無線機器のアンテナと、これに組み込まれるリーダ/ライタのアンテナを、影響がないくらいに離間して配置すればよい。しかしながら、携帯機器は一般に小型に構成されているため、携帯無線機器が基地局と通信を行なうためのアンテナと、機器に組み込まれたリーダ/ライタのアンテナは近接して実装されることになる。よって、リーダ/ライタと通信を行なう外部ICカードも、携帯無線機器が基地局と通信を行なうためのアンテナと近接して使用されることになる。
【0016】
また、機器に組み込まれたリーダ/ライタから放出される高調波及び外部ICカードから放出される高調波を、電波法に従ったレベルにまで減衰させたとしても、携帯無線機器は高感度に設計されているために、微小な高調波でも感度抑圧を引き起こしてしまう。
【0017】
非接触ICカードでは、通常、13.56MHz帯を使用するが、これは言い換えれば13.56MHzの整数倍の雑音源になることを意味する。一方、携帯電話機で800MHz帯を使用しているとすると、13.56MHzの60〜66倍の高調波が携帯電話機と基地局間の通信を干渉することになり、携帯電話機の受信感度を劣化させてしまう(図3を参照のこと)。この結果、例えばオンラインでICカードにバリューチャージなどのサービスを行なおうとした場合、携帯電話機の通信が途中で遮断されてしまう可能性がある。
【0018】
他方、携帯電話機においては、周囲への雑音が所定レベル以下(例えばキャリアに対して−60dBc以下)であることを規定した送信スプリアス規格がある。ところが、携帯無線機で用いるキャリア周波数が、携帯無線機に内蔵されたリーダ/ライタと電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう外部ICカードに入り込み(図4を参照のこと)、ICカード内部でミキシングされてしまい、携帯無線機器で用いるキャリア周波数±13.56MHzの整数倍の雑音源レベルが上昇する。この結果、携帯無線機器で用いたキャリア周波数に対して送信スプリアスを発生させてしまう(図5を参照のこと)。
【0019】
携帯無線機器の通信方式によっては、送信スプリアスによって受信感度が劣化してしまうことも考えられる。
【0020】
現状のICカード設計・製造技術においては、ICカードの内部回路にフィルタを設けたりアンテナ形状を変更したりすることは困難である。
【0021】
【非特許文献1】
特願2002−307175号明細書
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、携帯電話機やPHSなどの携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとの間で電磁誘導作用に基づく非接触通信を好適に行なうことができる、優れたICカードを提供することにある。
【0023】
本発明のさらなる目的は、携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成された、優れたICカードを提供することにある。
【0024】
本発明のさらなる目的は、ICカードの内部回路やアンテナ形状を変更することなく、ICカードから放出される不要な高調波を減衰し、さらに携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタと電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう際の携帯無線通信機器側から入り込むキャリア周波数による送信スプリアスを減衰することができる、優れたICカードを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、特定の周波数帯を利用して外部の無線機器と通信を行なう携帯無線機器に組み込まれたリーダ/ライタと通信可能なICカードであって、
電磁誘導作用により伝送される質問信号によって駆動するとともに該質問信号に対する応答信号を返すカードICチップと、
質問信号を受信するとともに応答信号を送信するアンテナと、
前記カードICチップが質問信号によって駆動するとともに該質問信号に対する応答信号を出力する動作において発生する高調波を抑止する不要輻射対策手段と、を具備することを特徴とするICカードである。
【0026】
ここで、前記不要輻射対策手段は、高調波を発生する部位を被覆するシールド材からなる。また、前記不要輻射対策手段は、ICカードから発生する高調波を遮るだけでなく、前記携帯無線機器において利用される周波数の電磁波が前記ICカードへ到達しないようにすることが好ましい。
【0027】
前記シールド材は、例えば、電波吸収体又は強磁性体で構成され、前記カードICチップが動作する周波数帯域に影響しないことが好ましい。
【0028】
カードICチップ内部では、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。
【0029】
また、ICカード動作時に、ICカードに携帯電話無線機器のキャリア周波数が入り込むと、その携帯電話無線機器のキャリア周波数と、ICカードのキャリア周波数13.56MHzがIC内部でミキシングされて、携帯無線機器のキャリア周波数±(13.56MHz×N倍波)といった送信スプリアスが発生する。この送信スプリアスは、チップ表面及びチップに繋がったアンテナから、外部に放出されてしまう。
【0030】
本発明によれば、前記シールド材が前記カードICチップの表面又は裏面の少なくとも一方を被覆するので、ICカード内で発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにするために、ICカードに電波吸収体やフェライトシートなどにてシールドをする。13.56MHzには影響がない素材を用いることで、ICカードの特性は維持することができる。また、ICカードをシールドすることによって、携帯無線機器のキャリア周波数がICカードに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0031】
前記カードICチップの入出力端子には、同調用コンデンサ・パターンがアンテナと並列的に接続されていることがある。同調用コンデンサ・パターンは、リーダ/ライタからの電磁波に同調して非接触通信性能を向上させる反面、高調波の送信アンテナとしても作用してしまい、不要輻射の原因にもなる。
【0032】
そこで、カードICチップとともに同調用コンデンサ・パターンをもシールド材でシールドすることによって、カードICチップや同調用コンデンサ・パターンにおいて発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにする。
【0033】
また、アンテナも高調波の送信アンテナとしても作用し、不要輻射の原因になる。そこで、さらにアンテナもシールド材でシールドすることによって、カードICチップやアンテナにおいて発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにする。
【0034】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0036】
ICカードは、電磁誘導の原理に基づく非接触通信インターフェースを備えている。この種の非接触通信システムは、メモリ機能を有するICカードと、ICカードのメモリに対して読み書きアクセスをするカード・リーダ/ライタで構成され、1次コイルとしてのICカード側のループ・コイルと2次コイルとしてのカード・リーダ/ライタ側のアンテナが系として1個のトランスを形成している。そして、カード・リーダ/ライタ側からICカードに対して、電力と情報を同じく電磁誘導作用により伝送し、ICカード側では供給された電力によって駆動してカード・リーダ/ライタ側からの質問信号に対して応答することができる。
【0037】
本実施形態では、携帯電話やPHSなどの携帯無線機器にリーダ/ライタを搭載し、その携帯無線機器が基地局と通信している状態で外部の非接触ICカードと機器内部のリーダ/ライタが電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なうものとする。例えば、携帯無線機器自体の無線通信機能を利用して、ICカードに記憶されている価値情報に対する課金処理サービスを行なうことができる。
【0038】
携帯機器は一般に小型に構成されているため、携帯無線機器が基地局と通信を行なうためのアンテナと、機器に組み込まれたリーダ/ライタのアンテナは近接して実装されることになる。
【0039】
一方、ICカードは、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックは13.56MHzの整数倍の雑音源になる。携帯電話機で800MHz帯を使用しているとすると、13.56MHzの60〜66倍の高調波が携帯電話機と基地局間の通信を干渉し、携帯電話機の受信感度を劣化させてしまう。
【0040】
また、ICカード動作時に、ICカードに携帯電話無線機器のキャリア周波数が入り込むと、その携帯電話無線機器のキャリア周波数と、ICカードのキャリア周波数13.56MHzがIC内部でミキシングされて、携帯無線機器のキャリア周波数±(13.56MHz×N倍波)といった送信スプリアスが発生する。この送信スプリアスは、チップ表面及びチップに繋がったアンテナから、外部に放出されてしまう。
【0041】
そこで、本実施形態では、ICカード内で発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにするために、ICカードに電波吸収体やフェライト・シートなどにてシールドをする。13.56MHzには影響がない素材を用いることで、ICカードの特性は維持することができる。また、ICカードをシールドすることによって、携帯無線機器のキャリア周波数がICカードに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0042】
図6には、本発明の一実施形態に係るICカードの構成を模式的に示している。図示の例では、ICカード10は、薄型で略矩形状の基板11の1つの隅部にカードICチップ12が搭載され、さらにカードICチップ12の入出力端子に接続されているループ状のアンテナ13が基板11の周縁に沿って敷設されている。
【0043】
カードICチップ12は、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。
【0044】
図6に示す実施形態では、基板11上に、カードICチップ12を覆うように電波吸収体やフェライトなどの強磁性体で構成されるシールド材14を配設している。このシールド材14は、カードICチップ12において発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにしている。他方、非接触ICカード・インターフェースにおいて使用される13.56MHz帯には影響が内容に構成され、非接触ICカード通信本来の特性は維持される。また、シールド材14でカードICチップ12を外界からシールドすることによって、リーダ/ライタが内蔵された携帯無線機器(図示しない)のキャリア周波数がカードICチップに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0045】
なお、シールド材14は、基板11の表面又は裏面のいずれか一方に配設するだけでも効果はあるが、基板11の表裏双方に設けて、カードICチップ12をほぼ完全にシールドすることがより好ましい。
【0046】
また、図7には、本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示している。ICカード10は、例えば、図示しない携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとの間で電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう。
【0047】
図示の例では、ICカード10は、薄型で略矩形状の基板11の1つの隅部にカードICチップ12が搭載され、さらにカードICチップ12の入出力端子に接続されているループ状のアンテナ13が基板11の周縁に沿って敷設されている。また、カードICチップ12の入出力端子には、同調用コンデンサ・パターン15がアンテナ13と並列的に接続されている。
【0048】
同調用コンデンサ・パターン15は、ループ・アンテナ13の共振周波数を決定する作用を持つ。このような場合、ICカード10側で共振器が構成され、アンテナ13で効率よく磁界を受信させることができる。
【0049】
カードICチップ12は、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。さらに、同調用コンデンサ・パターン15は、リーダ/ライタ(図示しない)からの電磁波に同調して非接触通信性能を向上させる反面、高調波の送信アンテナとしても作用してしまい、不要輻射の原因にもなる。
【0050】
そこで、図7に示す実施形態では、基板11上に、カードICチップ12並びに同調用コンデンサ・パターン15を覆うように電波吸収体やフェライトなどの強磁性体で構成されるシールド材14を配設している。このシールド材14は、カードICチップ12あるいは同調用コンデンサ・パターン15において発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにしている。他方、非接触ICカード・インターフェースにおいて使用される13.56MHz帯には影響がないように構成され、非接触ICカード通信本来の特性は維持される。また、シールド材14でカードICチップ12を外界からシールドすることによって、リーダ/ライタを内蔵する携帯無線機器(図示しない)のキャリア周波数がカードICチップ12に入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0051】
なお、シールド材14は、基板11の表面又は裏面のいずれか一方に配設するだけでも効果はあるが、基板11の表裏双方に設けて、カードICチップ12並びに同調用コンデンサ・パターン15をほぼ完全にシールドすることがより好ましい。
【0052】
また、図8には、本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示している。図示の例では、ICカード10は、薄型で略矩形状の基板11の1つの隅部にカードICチップ12が搭載され、さらにカードICチップ12の入出力端子に接続されているループ状のアンテナ13が基板11の周縁に沿って敷設されている。また、カードICチップ12の入出力端子には、同調用のコンデンサ・パターン15がアンテナ13と並列的に接続されている。そして、ICカード10は、例えば、図示しない携帯無線機器に内蔵して用いられる。
【0053】
カードICチップ12は、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。また、同調用コンデンサ・パターン15は、リーダ/ライタ(図示しない)電磁波に同調して非接触通信性能を向上させる反面、高調波の送信アンテナとしても作用してしまい、不要輻射の原因にもなる。さらに、アンテナ13も、高調波の送信アンテナとしても作用し、不要輻射の原因になる。
【0054】
そこで、図8に示す実施形態では、基板11前面を覆うように電波吸収体やフェライトなどの強磁性体で構成されるシールド材14を配設している。このシールド材14は、カードICチップ12や同調用コンデンサ・パターン15、アンテナ13において発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにしている。他方、非接触ICカード・インターフェースにおいて使用される13.56MHz帯には影響がないように構成され、非接触ICカード通信本来の特性は維持される。また、シールド材14でカードICチップ12を外界からシールドすることによって、リーダ/ライタを内蔵する携帯無線機器(図示しない)のキャリア周波数がカードICチップ12に入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0055】
なお、シールド材14は、基板11の表面又は裏面のいずれか一方に配設するだけでも効果はあるが、基板11の表裏双方に設けて、カードICチップ12、同調用コンデンサ・パターン15、並びにアンテナ13をほぼ完全にシールドすることがより好ましい。
【0056】
図9には、高調波を発生する部位にシールド材14を配設したICカード10の断面構成を示している。
【0057】
同図に示すように、ICカード10自体は、ポリイミド・フィルムからなる基板11の上面に、カードICチップ12が搭載されるとともに、アンテナ13のパターンが実装されている。また、基板11の両面には銅泊が成膜されている。そして、これらの両側はステンレス製の2枚の強化板31A及び31Bによって保護され、また、強化材31A〜31B内はフィラー入りエポキシ樹脂などの封止樹脂33が充填されている。さらにこれらの外側は、外装32A及び32Bによって被覆され、美観が整えられている。
【0058】
シールド材14は、図示の通り、例えば樹脂封止後の強化材31と外装32の間に挿設することができる。図示の例では、一方の強化材31A及び外装32Aの間にのみシールド材14が挿入されているが、他方の強化材31B及び外装32Bの間にもシールド材14を挿入することにより、高調波の遮断並びに携帯無線機器からのキャリア周波数の入り込み防止の効果がよりいっそう高まる。
【0059】
また、図9に示す例では、樹脂封止後の強化材31と外装32の間にシールド材14が挿設されているが、強化材31内にシールド材14を積層するようにしてもよい。あるいは、外装32の表面にシールド材14を貼設するようにしてもよい。
【0060】
現状のICカード設計・製造技術においては、ICカードの内部回路にフィルタを設けることは困難であると既に説明したが、勿論、ICカードの内部回路にフィルタを設けることによっても、不要輻射の問題を解決することができる。図10には、カードICチップに不要輻射対策用のフィルタを配設したICカードの構成例を模式的に示している。
【0061】
カードICモジュール12は、MOSプロセスを利用して構成される。そして、カードICモジュール12の各端子12A及び12Bには、不要輻射を抑えるためのローパス・フィルタ22A及び22Bと、特定周波数の高調波を遮るためのフィルタ23A及び23Bが直列接続され、これらフィルタ22、23を介してループ・アンテナ13が接続されている。また、アンテナ13には、同調用コンデンサ・パターン15が並列接続されている。
【0062】
ここで、特定周波数の高調波を遮るためのフィルタ23は、図示の通り、コイルLとコンデンサCの並列回路で構成される。そして、コイルのリアクタンスLとコンデンサの静電容量Cという定数を変えることにより、特定の周波数帯に含まれるカードICチップ12からの高調波のみを減衰させることができる。
【0063】
減衰させるべき周波数とリアクタンスL及び静電容量Cの関係を以下に示す。
【0064】
【数1】
【0065】
例えば、電磁誘導作用に基づく非接触通信によりICカード10にアクセスするリーダ/ライタ機能を搭載する携帯電話機が800MHz帯を使用して基地局と通信を行なっている場合には、850MHzあたりを中心に高調波を減衰させる必要がある。この場合、L=18[nH]、C=2[pF]に設定すればよい。
【0066】
あるいは、電磁誘導作用に基づく非接触通信によりICカード10にアクセスするリーダ/ライタ機能を搭載するPHSが1.9GHz帯を使用して基地局と通信を行なっている場合には、1.95GHzあたりを中心に高調波を減衰させる必要がある。この場合、L=3.3[nH]、C=2[pF]に設定すればよい。
【0067】
図11には、ローパス・フィルタ22と特定周波数を遮るフィルタ23の総合特性を示している。同図からも判るように、ローパス・フィルタ22をアンテナ13に直列接続することによって、電波法で定められたレベルに不要輻射を抑制することができる。さらに、特定周波数を遮るフィルタ23を直列接続することによって、特定周波数の高調波に限定して減衰することができる。
【0068】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0069】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、携帯電話機やPHSなどの携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタと電磁誘導作用に基づく非接触通信を好適に行なうことができる、優れたICカードを提供することができる。
【0070】
また、本発明によれば、携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成された、優れたICカードを提供することができる。
【0071】
また、本発明によれば、ICカードの内部回路やアンテナ形状を変更することなく、ICカードから放出される不要な高調波を減衰し、さらに携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとの間で電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう際の携帯無線通信機器側から入り込むキャリア周波数による送信スプリアスを減衰することができる、優れたICカードを提供することができる。
【0072】
本発明によれば、ICカードから放出される不要輻射を抑えることによって、オンラインでのリーダライタ機能の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リーダ/ライタが放出する不要な輻射により携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受ける様子を示した図である。
【図2】ICカードが放出する不要な輻射により携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受ける様子を示した図である。
【図3】非接触ICカードが使用する13.56MHz帯の整数倍の雑音が発生する様子を示した図である。
【図4】携帯無線機で用いるキャリア周波数が内蔵ICカードに入り込む様子を示した図である。
【図5】携帯無線機で用いるキャリア周波数が内蔵ICカードに入り込み、ICカード内部でミキシングされ.結果、携帯無線機器で用いたキャリア周波数に対して送信スプリアスを発生させてしまう様子を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るICカードの構成を模式的に示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示した図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示した図である。
【図9】ICカード上の高調波を発生する部位にシールド材を配設した様子を示した図である。
【図10】カードICチップに不要輻射対策用のフィルタを配設したICカード構成例を模式的に示した図である。
【図11】ローパス・フィルタ22と特定周波数を遮るフィルタ23の総合特性を示した図である。
【符号の説明】
10…ICカード
11…基板
12…カードICチップ
13…アンテナ
14…シールド材
15…同調用コンデンサ・パターン
22…ローパス・フィルタ
23…特定周波数の高調波を遮るためのフィルタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、1次コイルを備えたカード読取装置側から送出される電磁波からなる質問信号に応答して、2次コイルを備えたICカードが負荷変動によって応答信号を送出する非接触型のICカードに係り、特に、携帯電話機やPHS(Personal Handyphone System)などの携帯無線機器に内蔵されたカード読取装置と通信可能なICカードに関する。
【0002】
さらに詳しくは、本発明は、携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成されたICカードに係り、特に、携帯無線機器に内蔵されたカード読取装置に対して通信を行なう際に不要輻射や送信スプリアスを減衰させるICカードに関する。
【0003】
【従来の技術】
局所でのみ適用可能な無線通信手段の一例として、非接触ICカードを挙げることができる。
【0004】
この種の無線通信には、一般に、電磁誘導の原理に基づいて実現される。すなわち、メモリ機能を有するICカードと、ICカードのメモリに対して読み書きアクセスをするカード・リーダ/ライタで構成され、1次コイルとしてのICカード側のループ・コイルと2次コイルとしてのカード・リーダ/ライタ側のアンテナが系として1個のトランスを形成している。そして、カード・リーダ/ライタ側からICカードに対して、電力と情報を同じく電磁誘導作用により伝送し、ICカード側では供給された電力によって駆動してカード・リーダ/ライタ側からの質問信号に対して応答することができる。
【0005】
カード・リーダ/ライタ側では、アンテナに流す電流を変調することで、ICカード上のループ・コイルの誘起電圧が変調を受けるという作用により、カード・リーダ/ライタからICカードへのデータ送信を行なうことができる。また、ICカードは、ループ・コイルの端子間の負荷変動により、ICカード・リーダ/ライタ側のアンテナ端子間のインピーダンスが変化してアンテナの通過電流や電圧が変動するという作用により、カード・リーダ/ライタへの返信を行なう。
【0006】
ICカードに代表される非接触・近接通信システムは、操作上の手軽さから、広範に普及している。例えば、暗証コードやその他の個人認証情報、電子チケットなどの価値情報などをICカードに格納しておくことにより、キャッシュ・ディスペンサやコンサート会場の出入口、駅の改札口などに設置されたカード・リーダ/ライタは、利用者がかざしたICカードに非接触でアクセスして、認証処理を行なうことができる。
【0007】
最近では、微細化技術の向上とも相俟って、比較的大容量のメモリ空間を持つICカードが出現している。大容量メモリ付きのICカードによれば、複数のアプリケーションを同時に格納しておくことができるので、1枚のICカードを複数の用途に利用することができる。例えば、1枚のICカード上に、電子決済を行なうための電子マネーや、特定のコンサート会場に入場するための電子チケットなど、多数のサービスを格納しておくことにより、1枚のICカードをさまざまな用途に適用させることができる。
【0008】
さらに、ICカードやカード用リーダ/ライタ(カード読み書き装置)が無線・非接触インターフェースの他に、外部機器と接続するための有線インターフェースを備えることにより、ICカードやリーダ/ライタ機能のいずれか一方又は双方を携帯電話機、PDA(Personal Digital Assistant)やパーソナル・コンピュータなどの機器に内蔵することができる。
【0009】
このような場合、ICカード技術を汎用性のある双方向の近接通信インターフェースとして利用することができる。例えば、コンピュータや情報家電機器のような機器同士で近接通信システムが構成される場合には、通信は一対一で行われる。また、ある機器が非接触ICカードのような機器以外の相手デバイスと通信することも可能であり、この場合においては、1つの機器と複数のカードにおける一対多の通信を行なうアプリケーションも考えられる。
【0010】
また、電子決済を始めとする外部との電子的な価値情報のやり取りなど、ICカードを利用したさまざまなアプリケーション・サービスを、情報処理端末上で実行することができる。例えば、情報処理端末上のキーボードやディスプレイなどのユーザ・インターフェースを用いてICカードに対するユーザ・インタラクションを情報処理端末上で行なうことができる。また、リーダ/ライタ機能が携帯電話機と接続されていることにより、ICカード内に記憶された個人認証情報を電話網経由でやり取りすることもできる。さらに、携帯電話機からインターネット接続して利用したサービスの代金をICカードで支払うことができる。あるいは、ICカード上に電子マネーや電子チケットなどの価値情報を格納している場合には、電子決済などの価値情報の処理や、その他のさまざまなサービスを実現することができる。
【0011】
例えば、携帯電話やPHSなどのような携帯無線機器にICカードあるいはリーダ/ライタ機能を内蔵して、その携帯無線機器自体の無線通信機能を利用して、ICカードを利用した個人認証サービスやICカードに記録されている価値情報を利用した課金処理サービスなどが考えられる。
【0012】
リーダ/ライタを携帯機器に内蔵するためには小型化が必要であり、このためこれら回路モジュールをMOS(Metal Oxide Semiconductor)プロセスを用いて実装することが一般的である。これらの回路モジュールをMOSゲートで構成した場合、ゲートが矩形波により動作することから回路モジュールの出力端子からは矩形波が出力されることになる。矩形波には基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要な輻射の原因となる。
【0013】
例えば、携帯無線機器にリーダ/ライタが内蔵される場合、リーダ/ライタから放出される不要な輻射により携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受けるという問題がある(図1を参照のこと)。同様に、携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとICカードを通信させる場合、ICカードがリーダ/ライタからの電磁波により駆動し質問信号に対して応答信号を送出する際に不要輻射が発生し、携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受けるという問題がある(図2を参照のこと)。携帯電話やPHSは小信号でも受信可能となるように比較的高感度となるように設計されているため、機器に内蔵されているリーダ/ライタやICカードから放出される微小の高調波でも受信感度の劣化を引き起こしてしまう。
【0014】
携帯無線機器にリーダ/ライタが内蔵される場合のリーダ/ライタから放出される不要輻射の問題は、例えば、電波法で定められたレベルに不要輻射を抑えるためのローパス・フィルタに加え、特定周波数の高調波を遮るためのフィルタをリーダ/ライタ送信用端子とリーダ/ライタ送信用アンテナの間に直列的に挿入することによって、電波法で定められたレベルに不要輻射を抑制することができる。さらに、特定周波数を遮るフィルタを直列接続することによって、特定周波数の高調波に限定して減衰することができる(例えば、非特許文献1を参照のこと)。ところが、現状のICカード設計・製造技術においては、ICカードの内部回路にフィルタを設けたりアンテナ形状を変更したりすることは困難である。
すなわち、ICカードに関しては高調波の輻射の問題は依然として残っている。
【0015】
ICカードやリーダ/ライタと携帯無線機器との相互干渉を解決するためには、携帯無線機器のアンテナと、これに組み込まれるリーダ/ライタのアンテナを、影響がないくらいに離間して配置すればよい。しかしながら、携帯機器は一般に小型に構成されているため、携帯無線機器が基地局と通信を行なうためのアンテナと、機器に組み込まれたリーダ/ライタのアンテナは近接して実装されることになる。よって、リーダ/ライタと通信を行なう外部ICカードも、携帯無線機器が基地局と通信を行なうためのアンテナと近接して使用されることになる。
【0016】
また、機器に組み込まれたリーダ/ライタから放出される高調波及び外部ICカードから放出される高調波を、電波法に従ったレベルにまで減衰させたとしても、携帯無線機器は高感度に設計されているために、微小な高調波でも感度抑圧を引き起こしてしまう。
【0017】
非接触ICカードでは、通常、13.56MHz帯を使用するが、これは言い換えれば13.56MHzの整数倍の雑音源になることを意味する。一方、携帯電話機で800MHz帯を使用しているとすると、13.56MHzの60〜66倍の高調波が携帯電話機と基地局間の通信を干渉することになり、携帯電話機の受信感度を劣化させてしまう(図3を参照のこと)。この結果、例えばオンラインでICカードにバリューチャージなどのサービスを行なおうとした場合、携帯電話機の通信が途中で遮断されてしまう可能性がある。
【0018】
他方、携帯電話機においては、周囲への雑音が所定レベル以下(例えばキャリアに対して−60dBc以下)であることを規定した送信スプリアス規格がある。ところが、携帯無線機で用いるキャリア周波数が、携帯無線機に内蔵されたリーダ/ライタと電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう外部ICカードに入り込み(図4を参照のこと)、ICカード内部でミキシングされてしまい、携帯無線機器で用いるキャリア周波数±13.56MHzの整数倍の雑音源レベルが上昇する。この結果、携帯無線機器で用いたキャリア周波数に対して送信スプリアスを発生させてしまう(図5を参照のこと)。
【0019】
携帯無線機器の通信方式によっては、送信スプリアスによって受信感度が劣化してしまうことも考えられる。
【0020】
現状のICカード設計・製造技術においては、ICカードの内部回路にフィルタを設けたりアンテナ形状を変更したりすることは困難である。
【0021】
【非特許文献1】
特願2002−307175号明細書
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、携帯電話機やPHSなどの携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとの間で電磁誘導作用に基づく非接触通信を好適に行なうことができる、優れたICカードを提供することにある。
【0023】
本発明のさらなる目的は、携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成された、優れたICカードを提供することにある。
【0024】
本発明のさらなる目的は、ICカードの内部回路やアンテナ形状を変更することなく、ICカードから放出される不要な高調波を減衰し、さらに携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタと電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう際の携帯無線通信機器側から入り込むキャリア周波数による送信スプリアスを減衰することができる、優れたICカードを提供することにある。
【0025】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明は、上記課題を参酌してなされたものであり、特定の周波数帯を利用して外部の無線機器と通信を行なう携帯無線機器に組み込まれたリーダ/ライタと通信可能なICカードであって、
電磁誘導作用により伝送される質問信号によって駆動するとともに該質問信号に対する応答信号を返すカードICチップと、
質問信号を受信するとともに応答信号を送信するアンテナと、
前記カードICチップが質問信号によって駆動するとともに該質問信号に対する応答信号を出力する動作において発生する高調波を抑止する不要輻射対策手段と、を具備することを特徴とするICカードである。
【0026】
ここで、前記不要輻射対策手段は、高調波を発生する部位を被覆するシールド材からなる。また、前記不要輻射対策手段は、ICカードから発生する高調波を遮るだけでなく、前記携帯無線機器において利用される周波数の電磁波が前記ICカードへ到達しないようにすることが好ましい。
【0027】
前記シールド材は、例えば、電波吸収体又は強磁性体で構成され、前記カードICチップが動作する周波数帯域に影響しないことが好ましい。
【0028】
カードICチップ内部では、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。
【0029】
また、ICカード動作時に、ICカードに携帯電話無線機器のキャリア周波数が入り込むと、その携帯電話無線機器のキャリア周波数と、ICカードのキャリア周波数13.56MHzがIC内部でミキシングされて、携帯無線機器のキャリア周波数±(13.56MHz×N倍波)といった送信スプリアスが発生する。この送信スプリアスは、チップ表面及びチップに繋がったアンテナから、外部に放出されてしまう。
【0030】
本発明によれば、前記シールド材が前記カードICチップの表面又は裏面の少なくとも一方を被覆するので、ICカード内で発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにするために、ICカードに電波吸収体やフェライトシートなどにてシールドをする。13.56MHzには影響がない素材を用いることで、ICカードの特性は維持することができる。また、ICカードをシールドすることによって、携帯無線機器のキャリア周波数がICカードに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0031】
前記カードICチップの入出力端子には、同調用コンデンサ・パターンがアンテナと並列的に接続されていることがある。同調用コンデンサ・パターンは、リーダ/ライタからの電磁波に同調して非接触通信性能を向上させる反面、高調波の送信アンテナとしても作用してしまい、不要輻射の原因にもなる。
【0032】
そこで、カードICチップとともに同調用コンデンサ・パターンをもシールド材でシールドすることによって、カードICチップや同調用コンデンサ・パターンにおいて発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにする。
【0033】
また、アンテナも高調波の送信アンテナとしても作用し、不要輻射の原因になる。そこで、さらにアンテナもシールド材でシールドすることによって、カードICチップやアンテナにおいて発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにする。
【0034】
本発明のさらに他の目的、特徴や利点は、後述する本発明の実施形態や添付する図面に基づくより詳細な説明によって明らかになるであろう。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳解する。
【0036】
ICカードは、電磁誘導の原理に基づく非接触通信インターフェースを備えている。この種の非接触通信システムは、メモリ機能を有するICカードと、ICカードのメモリに対して読み書きアクセスをするカード・リーダ/ライタで構成され、1次コイルとしてのICカード側のループ・コイルと2次コイルとしてのカード・リーダ/ライタ側のアンテナが系として1個のトランスを形成している。そして、カード・リーダ/ライタ側からICカードに対して、電力と情報を同じく電磁誘導作用により伝送し、ICカード側では供給された電力によって駆動してカード・リーダ/ライタ側からの質問信号に対して応答することができる。
【0037】
本実施形態では、携帯電話やPHSなどの携帯無線機器にリーダ/ライタを搭載し、その携帯無線機器が基地局と通信している状態で外部の非接触ICカードと機器内部のリーダ/ライタが電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なうものとする。例えば、携帯無線機器自体の無線通信機能を利用して、ICカードに記憶されている価値情報に対する課金処理サービスを行なうことができる。
【0038】
携帯機器は一般に小型に構成されているため、携帯無線機器が基地局と通信を行なうためのアンテナと、機器に組み込まれたリーダ/ライタのアンテナは近接して実装されることになる。
【0039】
一方、ICカードは、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックは13.56MHzの整数倍の雑音源になる。携帯電話機で800MHz帯を使用しているとすると、13.56MHzの60〜66倍の高調波が携帯電話機と基地局間の通信を干渉し、携帯電話機の受信感度を劣化させてしまう。
【0040】
また、ICカード動作時に、ICカードに携帯電話無線機器のキャリア周波数が入り込むと、その携帯電話無線機器のキャリア周波数と、ICカードのキャリア周波数13.56MHzがIC内部でミキシングされて、携帯無線機器のキャリア周波数±(13.56MHz×N倍波)といった送信スプリアスが発生する。この送信スプリアスは、チップ表面及びチップに繋がったアンテナから、外部に放出されてしまう。
【0041】
そこで、本実施形態では、ICカード内で発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにするために、ICカードに電波吸収体やフェライト・シートなどにてシールドをする。13.56MHzには影響がない素材を用いることで、ICカードの特性は維持することができる。また、ICカードをシールドすることによって、携帯無線機器のキャリア周波数がICカードに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0042】
図6には、本発明の一実施形態に係るICカードの構成を模式的に示している。図示の例では、ICカード10は、薄型で略矩形状の基板11の1つの隅部にカードICチップ12が搭載され、さらにカードICチップ12の入出力端子に接続されているループ状のアンテナ13が基板11の周縁に沿って敷設されている。
【0043】
カードICチップ12は、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。
【0044】
図6に示す実施形態では、基板11上に、カードICチップ12を覆うように電波吸収体やフェライトなどの強磁性体で構成されるシールド材14を配設している。このシールド材14は、カードICチップ12において発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにしている。他方、非接触ICカード・インターフェースにおいて使用される13.56MHz帯には影響が内容に構成され、非接触ICカード通信本来の特性は維持される。また、シールド材14でカードICチップ12を外界からシールドすることによって、リーダ/ライタが内蔵された携帯無線機器(図示しない)のキャリア周波数がカードICチップに入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0045】
なお、シールド材14は、基板11の表面又は裏面のいずれか一方に配設するだけでも効果はあるが、基板11の表裏双方に設けて、カードICチップ12をほぼ完全にシールドすることがより好ましい。
【0046】
また、図7には、本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示している。ICカード10は、例えば、図示しない携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとの間で電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう。
【0047】
図示の例では、ICカード10は、薄型で略矩形状の基板11の1つの隅部にカードICチップ12が搭載され、さらにカードICチップ12の入出力端子に接続されているループ状のアンテナ13が基板11の周縁に沿って敷設されている。また、カードICチップ12の入出力端子には、同調用コンデンサ・パターン15がアンテナ13と並列的に接続されている。
【0048】
同調用コンデンサ・パターン15は、ループ・アンテナ13の共振周波数を決定する作用を持つ。このような場合、ICカード10側で共振器が構成され、アンテナ13で効率よく磁界を受信させることができる。
【0049】
カードICチップ12は、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。さらに、同調用コンデンサ・パターン15は、リーダ/ライタ(図示しない)からの電磁波に同調して非接触通信性能を向上させる反面、高調波の送信アンテナとしても作用してしまい、不要輻射の原因にもなる。
【0050】
そこで、図7に示す実施形態では、基板11上に、カードICチップ12並びに同調用コンデンサ・パターン15を覆うように電波吸収体やフェライトなどの強磁性体で構成されるシールド材14を配設している。このシールド材14は、カードICチップ12あるいは同調用コンデンサ・パターン15において発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにしている。他方、非接触ICカード・インターフェースにおいて使用される13.56MHz帯には影響がないように構成され、非接触ICカード通信本来の特性は維持される。また、シールド材14でカードICチップ12を外界からシールドすることによって、リーダ/ライタを内蔵する携帯無線機器(図示しない)のキャリア周波数がカードICチップ12に入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0051】
なお、シールド材14は、基板11の表面又は裏面のいずれか一方に配設するだけでも効果はあるが、基板11の表裏双方に設けて、カードICチップ12並びに同調用コンデンサ・パターン15をほぼ完全にシールドすることがより好ましい。
【0052】
また、図8には、本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示している。図示の例では、ICカード10は、薄型で略矩形状の基板11の1つの隅部にカードICチップ12が搭載され、さらにカードICチップ12の入出力端子に接続されているループ状のアンテナ13が基板11の周縁に沿って敷設されている。また、カードICチップ12の入出力端子には、同調用のコンデンサ・パターン15がアンテナ13と並列的に接続されている。そして、ICカード10は、例えば、図示しない携帯無線機器に内蔵して用いられる。
【0053】
カードICチップ12は、リーダ/ライタから受けた13.56MHzの信号によって、クロックを生成して内部回路を動作させている。この内部回路を動作させるためのクロックには基本周波数の整数倍の高調波が含まれ、不要輻射の主要な原因となる。また、同調用コンデンサ・パターン15は、リーダ/ライタ(図示しない)電磁波に同調して非接触通信性能を向上させる反面、高調波の送信アンテナとしても作用してしまい、不要輻射の原因にもなる。さらに、アンテナ13も、高調波の送信アンテナとしても作用し、不要輻射の原因になる。
【0054】
そこで、図8に示す実施形態では、基板11前面を覆うように電波吸収体やフェライトなどの強磁性体で構成されるシールド材14を配設している。このシールド材14は、カードICチップ12や同調用コンデンサ・パターン15、アンテナ13において発生した13.56MHzの高調波を外部に放出しないようにしている。他方、非接触ICカード・インターフェースにおいて使用される13.56MHz帯には影響がないように構成され、非接触ICカード通信本来の特性は維持される。また、シールド材14でカードICチップ12を外界からシールドすることによって、リーダ/ライタを内蔵する携帯無線機器(図示しない)のキャリア周波数がカードICチップ12に入り込むのを防ぐことができるので、送信スプリアスの発生も併せて防ぐことができる。
【0055】
なお、シールド材14は、基板11の表面又は裏面のいずれか一方に配設するだけでも効果はあるが、基板11の表裏双方に設けて、カードICチップ12、同調用コンデンサ・パターン15、並びにアンテナ13をほぼ完全にシールドすることがより好ましい。
【0056】
図9には、高調波を発生する部位にシールド材14を配設したICカード10の断面構成を示している。
【0057】
同図に示すように、ICカード10自体は、ポリイミド・フィルムからなる基板11の上面に、カードICチップ12が搭載されるとともに、アンテナ13のパターンが実装されている。また、基板11の両面には銅泊が成膜されている。そして、これらの両側はステンレス製の2枚の強化板31A及び31Bによって保護され、また、強化材31A〜31B内はフィラー入りエポキシ樹脂などの封止樹脂33が充填されている。さらにこれらの外側は、外装32A及び32Bによって被覆され、美観が整えられている。
【0058】
シールド材14は、図示の通り、例えば樹脂封止後の強化材31と外装32の間に挿設することができる。図示の例では、一方の強化材31A及び外装32Aの間にのみシールド材14が挿入されているが、他方の強化材31B及び外装32Bの間にもシールド材14を挿入することにより、高調波の遮断並びに携帯無線機器からのキャリア周波数の入り込み防止の効果がよりいっそう高まる。
【0059】
また、図9に示す例では、樹脂封止後の強化材31と外装32の間にシールド材14が挿設されているが、強化材31内にシールド材14を積層するようにしてもよい。あるいは、外装32の表面にシールド材14を貼設するようにしてもよい。
【0060】
現状のICカード設計・製造技術においては、ICカードの内部回路にフィルタを設けることは困難であると既に説明したが、勿論、ICカードの内部回路にフィルタを設けることによっても、不要輻射の問題を解決することができる。図10には、カードICチップに不要輻射対策用のフィルタを配設したICカードの構成例を模式的に示している。
【0061】
カードICモジュール12は、MOSプロセスを利用して構成される。そして、カードICモジュール12の各端子12A及び12Bには、不要輻射を抑えるためのローパス・フィルタ22A及び22Bと、特定周波数の高調波を遮るためのフィルタ23A及び23Bが直列接続され、これらフィルタ22、23を介してループ・アンテナ13が接続されている。また、アンテナ13には、同調用コンデンサ・パターン15が並列接続されている。
【0062】
ここで、特定周波数の高調波を遮るためのフィルタ23は、図示の通り、コイルLとコンデンサCの並列回路で構成される。そして、コイルのリアクタンスLとコンデンサの静電容量Cという定数を変えることにより、特定の周波数帯に含まれるカードICチップ12からの高調波のみを減衰させることができる。
【0063】
減衰させるべき周波数とリアクタンスL及び静電容量Cの関係を以下に示す。
【0064】
【数1】
【0065】
例えば、電磁誘導作用に基づく非接触通信によりICカード10にアクセスするリーダ/ライタ機能を搭載する携帯電話機が800MHz帯を使用して基地局と通信を行なっている場合には、850MHzあたりを中心に高調波を減衰させる必要がある。この場合、L=18[nH]、C=2[pF]に設定すればよい。
【0066】
あるいは、電磁誘導作用に基づく非接触通信によりICカード10にアクセスするリーダ/ライタ機能を搭載するPHSが1.9GHz帯を使用して基地局と通信を行なっている場合には、1.95GHzあたりを中心に高調波を減衰させる必要がある。この場合、L=3.3[nH]、C=2[pF]に設定すればよい。
【0067】
図11には、ローパス・フィルタ22と特定周波数を遮るフィルタ23の総合特性を示している。同図からも判るように、ローパス・フィルタ22をアンテナ13に直列接続することによって、電波法で定められたレベルに不要輻射を抑制することができる。さらに、特定周波数を遮るフィルタ23を直列接続することによって、特定周波数の高調波に限定して減衰することができる。
【0068】
[追補]
以上、特定の実施形態を参照しながら、本発明について詳解してきた。しかしながら、本発明の要旨を逸脱しない範囲で当業者が該実施形態の修正や代用を成し得ることは自明である。すなわち、例示という形態で本発明を開示してきたのであり、本明細書の記載内容を限定的に解釈するべきではない。本発明の要旨を判断するためには、冒頭に記載した特許請求の範囲の欄を参酌すべきである。
【0069】
【発明の効果】
以上詳記したように、本発明によれば、携帯電話機やPHSなどの携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタと電磁誘導作用に基づく非接触通信を好適に行なうことができる、優れたICカードを提供することができる。
【0070】
また、本発明によれば、携帯電話やPHSなどの無線通信機能の受信感度の劣化を引き起こすことのないように構成された、優れたICカードを提供することができる。
【0071】
また、本発明によれば、ICカードの内部回路やアンテナ形状を変更することなく、ICカードから放出される不要な高調波を減衰し、さらに携帯無線機器に内蔵されたリーダ/ライタとの間で電磁誘導作用に基づく非接触通信を行なう際の携帯無線通信機器側から入り込むキャリア周波数による送信スプリアスを減衰することができる、優れたICカードを提供することができる。
【0072】
本発明によれば、ICカードから放出される不要輻射を抑えることによって、オンラインでのリーダライタ機能の実現が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リーダ/ライタが放出する不要な輻射により携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受ける様子を示した図である。
【図2】ICカードが放出する不要な輻射により携帯無線機器が基地局と通信するためのアンテナが干渉を受ける様子を示した図である。
【図3】非接触ICカードが使用する13.56MHz帯の整数倍の雑音が発生する様子を示した図である。
【図4】携帯無線機で用いるキャリア周波数が内蔵ICカードに入り込む様子を示した図である。
【図5】携帯無線機で用いるキャリア周波数が内蔵ICカードに入り込み、ICカード内部でミキシングされ.結果、携帯無線機器で用いたキャリア周波数に対して送信スプリアスを発生させてしまう様子を示した図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るICカードの構成を模式的に示した図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示した図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るICカードの構成を模式的に示した図である。
【図9】ICカード上の高調波を発生する部位にシールド材を配設した様子を示した図である。
【図10】カードICチップに不要輻射対策用のフィルタを配設したICカード構成例を模式的に示した図である。
【図11】ローパス・フィルタ22と特定周波数を遮るフィルタ23の総合特性を示した図である。
【符号の説明】
10…ICカード
11…基板
12…カードICチップ
13…アンテナ
14…シールド材
15…同調用コンデンサ・パターン
22…ローパス・フィルタ
23…特定周波数の高調波を遮るためのフィルタ
Claims (9)
- 特定の周波数帯を利用して外部の無線機器と通信を行なう携帯無線機器に組み込まれたカード読取装置と通信可能なICカードであって、
電磁誘導作用により伝送される質問信号によって駆動するとともに該質問信号に対する応答信号を返すカードICチップと、
質問信号を受信するとともに応答信号を送信するアンテナと、
前記カードICチップが質問信号によって駆動するとともに該質問信号に対する応答信号を出力する動作において発生する高調波を抑止する不要輻射対策手段と、を具備することを特徴とするICカード。 - 前記不要輻射対策手段は、高調波を発生する部位を被覆するシールド材からなる、ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
- 前記不要輻射対策手段は、前記携帯無線機器において利用される周波数の電磁波が前記ICカードへ到達しないようにする、ことを特徴とする請求項1に記載のICカード。
- 前記シールド材は電波吸収体又は強磁性体で構成される、ことを特徴とする請求項2に記載のICカード。
- 前記シールド材は、前記カードICチップが動作する周波数帯域に影響しない、ことを特徴とする請求項2に記載のICカード。
- 前記シールド材は前記カードICチップの表面又は裏面の少なくとも一方を被覆する、ことを特徴とする請求項2に記載のICカード。
- 前記カードICチップの入出力端子には同調用コンデンサ・パターンがアンテナと並列的に接続されている、ことを特徴とする請求項2に記載のICカード。
- 前記シールド材は前記カードICチップ及び前記同調用コンデンサ・パターンの表面又は裏面の少なくとも一方を被覆する、ことを特徴とする請求項7に記載のICカード。
- 前記シールド材は前記カードICチップ及び前記アンテナの表面又は裏面の少なくとも一方を被覆する、ことを特徴とする請求項2に記載のICカード。
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