JP2006005836A - 携帯情報端末 - Google Patents
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Abstract
【課題】 端末本体に収納されている金属構成体の影響を回避してアンテナモジュールの安定した通信特性を確保することができる携帯情報端末を提供する。
【解決手段】 端末本体2の内部において、アンテナモジュール10に隣接して配置される金属構成体(バッテリーパック)4のうち、少なくとも、アンテナモジュール10の通信面に臨む表面領域を非導電性の磁性シート20で覆う。これにより、アンテナモジュール10の通信時において外部磁場と金属構成体4との間を磁気的に遮蔽するとともに、金属構成体4の表面に生じる渦電流に起因して発生する逆磁場を当該磁性シート20で吸収し、アンテナモジュール10の通信特性の劣化を抑制する。
【選択図】 図2
【解決手段】 端末本体2の内部において、アンテナモジュール10に隣接して配置される金属構成体(バッテリーパック)4のうち、少なくとも、アンテナモジュール10の通信面に臨む表面領域を非導電性の磁性シート20で覆う。これにより、アンテナモジュール10の通信時において外部磁場と金属構成体4との間を磁気的に遮蔽するとともに、金属構成体4の表面に生じる渦電流に起因して発生する逆磁場を当該磁性シート20で吸収し、アンテナモジュール10の通信特性の劣化を抑制する。
【選択図】 図2
Description
本発明は、RFID(無線周波数識別:Radio Frequency Identification)技術を利用した非接触データ通信用のアンテナモジュールを内蔵した携帯情報端末に関する。
従来より、非接触ICカードシステムに代表されるRFID技術においては、ICカード等の識別用ICタグにアンテナコイルを内蔵させ、リーダーライタの送受信アンテナから発信される電波との誘導結合により非接触でデータ通信を行うようにしている。
現在、ICタグとリーダーライタとでデータ通信を行う形態の一例として、ICカードで電車運賃の支払いを行う利用形態がある。この例において、ICカードの利用状況を確認するためには、駅構内にある券売機や、ICカードの情報を読み込むことができる特別なビューアが必要になる。ICカードに課金するためにも、駅構内にある券売機か、リーダーライタを備えたパーソナルコンピュータ等により、ネット上からICカードに課金(サイバー課金)する必要がある。
さて、ICタグとリーダーライタとでデータ通信を行う形態は今後、多様化が進むことが予想されている。例えば、更に利便性を高めるため、携帯電話やPDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末にタグ機能とリーダーライタ機能とを持たせることが考えられる。
携帯電話にタグ機能を持たせることにより、例えば、携帯電話を改札にかざすことで電車運賃の支払いを行うことができるようになる。また、携帯電話の通信機能を利用してサイバー課金が可能になる。加えて、携帯電話の表示機能を利用して端末内のタグの残高確認が可能になる。
また、携帯電話にリーダーライタ機能をもたせるようにすれば、当該携帯電話が駅構内の券売機の代替機能を有するようになるので、例えば、他のICタグ(ICカード)の残高などの情報を確認することができるようになり、更にサイバー課金も可能となる。
なお、携帯電話等の携帯情報端末に非接触ICタグ機能とリーダーライタ機能とをもたせるためのアンテナモジュールを内蔵させた先行技術文献として、下記特許文献1に示すものがある。
近年、13.56MHzの周波数により動作するRFID技術の確実な動作環境が求められており、例えば通信特性においても、できるだけ長い通信距離や、リーダーライタとタグとが相対する場合の平面上の広い通信エリアが求められている。
一方、携帯情報端末は、小型で多機能を有する機器であるため、小型の本体内に高密度に金属部品が実装されている。例えば、携帯情報端末には、電源となるバッテリパックが収納され、このバッテリパックには、ケーシング等に金属部品が用いられている。
このため、携帯情報端末の本体内に非接触ICタグ用のアンテナモジュールやリーダーライタ用のアンテナモジュールを配設すると、バッテリパック等の端末本体に内蔵されている金属構成体の影響で、通信特性が劣化するという問題がある。即ち、アンテナモジュールの通信時に、外部磁界の影響で金属構成体の表面に渦電流が発生し、この渦電流により外部磁場を打ち消す方向の逆磁場が発生する。その結果、アンテナモジュールの通信距離が短くなったり、通信エリアが狭くなる等の問題が発生する。
本発明は上述の問題に鑑みてなされ、端末本体に収納されている金属構成体の影響を回避してアンテナモジュールの安定した通信特性を確保することができる携帯情報端末を提供することを課題とする。
以上の課題を解決するに当たり、本発明の携帯情報端末は、端末本体に、非接触データ通信用のアンテナモジュールが内蔵された携帯情報端末であって、アンテナモジュールに隣接して金属構成体が配置されており、この金属構成体の表面のうち、少なくともアンテナモジュールの通信面に臨む表面領域が非導電性の磁性シートで覆われている。
アンテナモジュールに隣接する金属構成体の通信面側表面領域を磁性シートで覆うことにより、非接触データ通信時において、外部磁場と金属構成体との間を磁気的にシールドするとともに、金属構成体の表面に生じる渦電流に起因して発生する逆磁場を当該磁性シートで吸収する。また、当該磁性シートにより、金属構成体が隣接して配置されることによるアンテナモジュールのインダクタンスの低下を抑えることができる。これにより、アンテナモジュールの通信特性の劣化を抑制することができる。
アンテナモジュールに隣接して配置される金属構成体には、携帯情報端末の電源となるバッテリパックが該当するが、これ以外にも、金属表面を備えた電気・電子部品や機構部品等も対象とすることができる。
非導電性の磁性シートとしては、絶縁性バインダー中に軟磁性粉末を含有させた複合材料や、軟磁性粉末のロール圧延体等が好適である。この磁性シートで金属構成体の全ての表面を覆うのが理想であるが、他の部品との電気的、機械的接続面以外の表面や、アンテナモジュールの通信面に臨む表面領域などが当該磁性シートで覆われていればよい。
本発明の携帯情報端末によれば、端末本体の内部においてアンテナモジュールに隣接して配置されている金属構成体に非導電性の磁性シートを貼着したので、アンテナモジュールの通信特性の劣化を抑えることが可能となる。これにより、携帯情報端末の安定した非接触ICタグ機能および/またはリーダーライタ機能を確保することができる。また、アンテナモジュールとバッテリ等の金属構成体との間の配置関係に制約をなくして、設計自由度の向上を図ることができる。
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図5は本発明の実施の形態を示している。ここで、図1は本実施の形態の携帯情報端末1の構成を示す全体斜視図、図2は携帯情報端末1の内部構成を示す側方側から見た模式図、図3はアンテナモジュール10の分解斜視図、図4はアンテナモジュール10の側断面図、図5はバッテリパック4の説明図である。
本実施の形態における携帯情報端末1は、端末本体2と、この端末本体2に対して回動可能に取り付けられたパネル部3とを備えた携帯型電話機として構成されている。
端末本体2は主として合成樹脂材料で形成され、一方の主面(操作面)にテンキー、通話ボタン、電源ボタン等の各種の押しボタンからなる入力部2aと、入力された音声を電気信号に変換するマイクロフォン2bとが設けられている。また、端末本体2は、その後端部に、当該携帯情報端末1の電源となるバッテリパック4が挿入されるバッテリ挿入口2dと、バッテリ挿入口2dに連続して端末本体2の内奥側に形成されバッテリパック4が装着されるバッテリ装着部2eとを備えている。
ここで、バッテリパック4は、例えばリチウムイオン電池であり、その端子面4aを端末本体2の奥側に向けて装着されている(図2)。このバッテリパック4は全体が直方形状をなし、外筐がアルミニウム等の金属材料で形成されている。そして後述するように、このバッテリパック4の表面には、磁性シート20が貼着されている(図5)。また、バッテリ装着部2eは、端末本体2の内部に設けられたプラスチック製の仕切部材5によって区画されている(図2)。
端末本体2には、更に、非接触データ通信用のアンテナモジュール10、CCD(Charge Coupled Device)個体撮像素子を含むカメラユニット11、多数の電気・電子部品が実装されたプリント配線板12等が内蔵されている。アンテナモジュール10は、バッテリパック4よりも端末本体2の前方側(図2において左方側)に、端末本体2の他方側の主面(背面)に面するようにしてバッテリパック4の端子面4aに隣接して配置されている。
一方、端末本体2に対して、図1中矢印R方向に回動可能に取り付けられるパネル部3は、その一方の主面にLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等で構成された表示部3aと、電子信号を再生音に変換するスピーカ3bとが設けられている。なお、図示しないが、このパネル部3の前端側には、基地局と通信を行うための通信アンテナが設けられている。
アンテナモジュール10は、図3に示すように、支持体としてのベース基板14と、磁芯部材18と、金属シールド板19との積層構造を有している。ベース基板14と磁芯部材18とは両面接着シート13Aを介して積層され、磁芯部材18と金属シールド板19との間は両面接着シート13Bを介して積層されている。なお、図4において両面接着シート13A,13Bの図示は省略している。
ベース基板14は、例えばポリイミドやポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のプラスチックフィルムでなる絶縁性フレキシブル基板、あるいは、ガラスエポキシ等のリジッド性基板で構成されている。
このベース基板14には、第1アンテナコイル15Aおよび第2アンテナコイル15Bが搭載されている。第1アンテナコイル15Aは、非接触ICタグ機能のためのアンテナコイルで、外部のリーダーライタのアンテナ部と誘導結合され通信を行う。第2アンテナコイルはリーダーライタ機能のためのアンテナコイルで、外部の非接触ICタグ(ICカード)のアンテナ部と誘導結合され通信を行う。
これら第1,第2アンテナコイル15A,15Bは、ベース基板14の上にパターニング形成された銅、アルミニウム等の金属パターンでなり、図4に示すように、第1アンテナコイル15Aはベース基板14の一方側の主面14Aにループ状に形成され、第2アンテナコイル15Bはベース基板14の他方側の主面14Bにループ状に形成されている。
また、ベース基板14の他方側の主面14B上であって、第2アンテナコイル15Bの内方側には、信号処理回路部16が搭載されている。この信号処理回路部16は、第1,第2アンテナコイル15A,15Bにそれぞれ電気的に接続されており、非接触データ通信に必要な信号処理回路および情報を格納したICチップ16aや同調用コンデンサ等の電気・電子部品で構成されている。なお、信号処理回路部16は、ベース基板14に取り付けられる外部接続部17を介して、プリント配線板12(図2)に接続されている。
次に、磁芯部材18は、合成樹脂材料やゴム等の絶縁性バインダー中に軟磁性粉末が混入あるいは充填されてシート状(板状)に成形されている。軟磁性粉末としては、センダスト(Fe−Al−Si系)、パーマロイ(Fe−Ni系)、アモルファス(Fe−Si−B系)、フェライト(Ni−Znフェライト、Mn−Znフェライト等)、焼結フェライト等が適用可能であり、目的とする通信性能や用途に応じて使い分けられる。
磁芯部材18は、第1,第2アンテナコイル15A,15Bの磁芯(コア)として配置されるとともに、ベース基板14と下層の金属シールド板19との間に介装されることによって、第1,第2アンテナコイル15A,15Bと金属シールド板19との間の電磁干渉を回避する。この磁芯部材18の中央部には、ベース基板14に実装された信号処理回路部16を収容するための開口18aが穿設されている。また、磁芯部材18の一側方には、ベース基板14との積層時に外部接続部17のニゲとなる凹所18bが形成されている。
金属シールド板19は、ステンレス板や銅板、アルミニウム板等で形成され、端末本体2の内部において、プリント配線板12上の金属部分(部品および配線)との電磁干渉から第1,第2アンテナコイル15A,15Bを保護するために設けられている。また、この金属シールド板19はアンテナモジュール10の共振周波数(例えば13.56MHz)の粗調整に用いられ、アンテナモジュール10の単体状態のときと、端末本体2の内部に組み込んだ状態のときとで、アンテナモジュール10の共振周波数に大きな変化を生じさせないようにしている。
以上のように構成されるアンテナモジュール10は、端末本体2の背面側を当該リーダーライタのアンテナ部にかざすことにより、第1アンテナコイル15Aを介してICチップ16aに格納された所定情報を読み出され、あるいはICチップ16aに所定情報が書き込まれる。これにより、この携帯情報端末1のタグ機能を利用して、例えば電車運賃の支払いを行うことができる。
また、このアンテナモジュール10で外部の非接触ICタグ(ICカード)と通信をする際には、端末本体2の背面側に当該非接触ICタグ(ICカード)を接触または近接させて、第2アンテナコイル15Bを介して当該非接触ICタグ(ICカード)に格納された所定情報を読み出す。これにより、この携帯情報端末1のリーダーライタ機能を利用して、例えば非接触ICタグ(ICカード)の残高などの情報を表示部3aを介して確認することができるようになる。
なお、アンテナモジュール10がタグ機能を行う際には、外部のリーダーライタとの通信時に第1アンテナコイル15Aに発生する誘導電圧を電力源として利用しているが、アンテナモジュール10がリーダーライタ機能を行う際には、電力源として、携帯情報端末1のバッテリパック4が利用される。
上述したように、バッテリパック4はアンテナモジュール10の近傍に隣接配置され、その金属面が露出していると、外部のリーダーライタまたは非接触ICタグとの通信時に形成される外部磁場の影響で、バッテリパック4の表面に渦電流が発生し、その渦電流の発生に起因して上記外部磁場を打ち消す方向の逆磁場が形成される。その結果、アンテナモジュール10と外部のリーダーライタまたは非接触ICタグとの間の通信磁場に乱れが生じ、アンテナモジュール10のタグ機能時には通信距離が短くなり、また、アンテナモジュール10のリーダーライタ機能時には通信エリアの狭小化あるいは偏在化が起こる。
そこで、本実施の形態では、図2および図5に示したように、バッテリパック4の表面を非導電性の磁性シート20で覆うようにしている。磁性シート20は、フレキシブル性を備えた電磁波吸収シートであり、絶縁バインダー中に軟磁性粉末を含有した複合磁性材や、軟磁性粉末の圧延ロール体として構成されている。
そして、扁平な直方形状でなるバッテリパック4の端子Tが形成された端子面4aを除く5側面が、この磁性シート20により覆われている。なお、これに限らず、アンテナモジュール10の通信面に臨むバッテリパック4の表面領域Q(図2参照)のみ上記磁性シートで覆うようにしてもよい。
バッテリパック4に対する磁性シート20の被覆形態は特に限定されないが、本実施の形態では、所定形状に加工した磁性シート20を、図5に示したように折り曲げてバッテリパック4の端子面4aを除く5側面に貼着するようにしている。なお、磁性シート20として本実施の形態では、大同特殊鋼社製フレキシブル電磁波吸収体「DPRシリーズ」が用いられている。
以上のように構成される本実施の形態の携帯情報端末1においては、バッテリパック4の表面を磁性シート20で覆ったので、アンテナモジュール10と外部リーダーライタあるいは外部ICタグとの通信時において、その通信磁場とバッテリパック4との間を磁気的にシールドするとともに、バッテリパック4の表面に生じた渦電流に起因して発生する逆磁場(通信磁場を打ち消す方向の磁場)を当該磁性シート20で吸収する作用が行われる。
これにより、アンテナモジュール10と外部ICタグあるいは外部リーダーライタとの間の通信磁場の乱れを抑制できるとともに、金属物(バッテリーパック4)の隣接配置によるアンテナモジュール10のインダクタンスの低下が抑えられるので、外部リーダーライタとの通信時においては第1アンテナコイル15Aに生起される誘導電圧の低下が抑えられ、通信距離の向上を図ることができる。また、外部ICタグとの通信時においては、通信エリアの狭小化、偏在化を抑制できるようになる。
したがって、本実施の形態によれば、携帯情報端末1の安定したICタグ機能あるいはリーダーライタ機能を確保することができる。また、アンテナモジュール10とバッテリパック4等の金属構成体との間の配置関係に制約をなくして、設計自由度の向上を図ることができる。
例えば図6に示した構成の携帯情報端末1’は、バッテリパック4に重ねるようにして端末本体2の背面側(図6において上面側)にアンテナモジュール10が隣接配置されているが、このような構成においてもバッテリパック4の端子面4aを除く外表面を磁性シート20で覆うことにより、上述と同様な効果を得ることができる。なお、図6において符号21は、例えばネットワーク経由で配信された音楽を再生するためのスピーカユニットである。
上述した構成の携帯情報端末1の最大通信距離(ICタグ機能時)と通信エリア(リーダーライタ機能時)を実際に測定して、本発明の効果を確認した。
通信距離の測定は、図7Aに示すように、リーダーライタ(ソニー社製RC−S440C)25を固定部23に設置するとともに、携帯情報端末1をその通信面(端末本体2の背面側)がリーダーライタ25に対向するように可動部24に設置し、リーダーライタ25のアンテナ部の中心と携帯情報端末1の第1アンテナコイル15Aの中心とを合わせた状態で、可動部24を矢印Aで示すように携帯情報端末1がリーダーライタ25に接近する方向へ移動させた。そして、リーダーライタ25と携帯情報端末1との間に通信が確認された位置における両者間の面間距離を測定し、これを最大通信距離とした。
実験の結果、バッテリパック4を磁性シート20で覆わない従来の構成では、最大通信距離は89.5mmであったのに対し、バッテリパック4の端子面4aを除く5側面を磁性シート20で覆った本発明の構成では、最大通信距離が91.5mmに達し、通信距離の向上が確認された(アンテナモジュールのインダクタンス:1.055μH)。
なお、図6に示した構成の携帯情報端末1’に対して同様な測定を行ったところ、最大通信距離は、110.5mmであった(アンテナモジュールのインダクタンス:3.39μH)。
一方、通信エリア(通信範囲)の測定は、図7Bに示すように、携帯情報端末1を固定部23に設置するとともに、非接触ICカード(ソニー社製RC−S860)26を携帯情報端末1の通信面と近接対向するように可動部24に設置し、携帯情報端末1の第2アンテナコイル15Bの中心と非接触ICカード26の中心とを合わせた後、面間距離を一定として、可動部24を上下左右方向(図7において紙面上下、垂直方向)にスライドさせて通信が確認できる範囲を測定した。
図8は、アンテナモジュール10が端末本体(筐体)に内蔵されていない単体状態のときの通信範囲であり、以下の各条件下での実験結果(図9〜図11)との対比の上で基準となるデータを示している。図において網掛け部分は通信が確認された領域である。
さて、バッテリパック4の表面を磁性シート20で覆っていない従来の構成では、図9に示すように、アンテナモジュール10の中心部(第2アンテナコイル15Bの中心部)を含め、その下方側(バッテリパック4側)の領域は、殆ど通信が行えなくなっている。これは、携帯情報端末1の通信面に臨むバッテリパック4の金属面において発生した渦電流に起因する逆磁場の影響を如実に示している。
これに対して、バッテリパック4の端子面4aおよびこれに対向する底面を除く4側面を磁性シート20で覆った本発明の構成では、図10に示すように、アンテナモジュール10の通信領域は図9に比べて大きく改善され、特にモジュール中心部における回復が顕著となっている。なお、モジュール下端部の通信不良領域は、磁性シート20で覆われていないバッテリパック4の底面において発生した渦電流に起因する逆磁場によるものと考えられる。
また、図11に示すように、バッテリパック4の端子面4aを除く5側面を磁性シート20で覆うことにより更なる通信エリアの改善を図ることができ、図8に示したアンテナモジュール10単体のときと同等の通信エリアを確保できることが認められた。
なお、図6に示した構成の携帯情報端末1’に対して同様な測定を行ったところ、バッテリパック4の端子面を除く5側面を磁性シート20で覆うことにより、図11に示した実験結果と同等な結果が得られることが確認されている。
以上、本発明の実施の形態について説明したが、勿論、本発明はこれに限定されることなく、本発明の技術的思想に基づいて種々の変形が可能である。
例えば以上の実施の形態では、携帯情報端末1に内蔵されるアンテナモジュール10として、ICタグ機能のための第1アンテナコイル15Aと、リーダーライタ機能のための第2アンテナコイル15Bの両方を備えた構成としたが、用途に応じて、何れか一方のアンテナコイルのみ備えた構成としてもよい。
また、以上の実施の形態では、バッテリパック4の金属面を磁性シート20で覆う構成としたが、これに加えて、カメラユニット11やスピーカユニット21等の他の金属部分に対しても同様な磁性シート20で覆うようにしてもよい。
1…携帯情報端末、2…端末本体、4…バッテリパック(金属構成体)、10…アンテナモジュール、14…ベース基板(支持体)、15A…第1アンテナコイル、15B…第2アンテナコイル、16…信号処理回路部、16a…ICチップ、18…磁芯部材、19…金属シールド板、20…磁性シート。
Claims (6)
- 端末本体に、非接触データ通信用のアンテナモジュールが内蔵された携帯情報端末であって、
前記アンテナモジュールに隣接して金属構成体が配置されており、
前記金属構成体の表面のうち、少なくとも前記アンテナモジュールの通信面に臨む表面領域が非導電性の磁性シートで覆われている
ことを特徴とする携帯情報端末。 - 前記金属構成体は、バッテリパックである
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。 - 前記バッテリパックの端子面を除く全ての表面が磁性シートで覆われている
ことを特徴とする請求項2に記載の携帯情報端末。 - 前記アンテナモジュールは、ループ状のアンテナコイルが形成された支持体と、この支持体に積層された磁芯部材と、この磁芯部材に積層された金属板とを備えている
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯情報端末。 - 前記アンテナコイルは、外部のリーダーライタとの通信用の第1アンテナコイルと、外部の非接触ICタグとの通信用の第2アンテナコイルのうち少なくとも1つを含んでなる
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末。 - 前記支持体上には、前記アンテナコイルに電気的に接続された信号処理回路部が搭載されている
ことを特徴とする請求項4に記載の携帯情報端末。
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