以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線機100の閉じた状態の側面図である。また、図2は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線機100の開いた状態の側面図である。また、図3は、本発明の実施の形態1に係る携帯無線機100の開いた状態の平面図である。
携帯無線機100は、第1の筐体101と、第2の筐体102と、回路基板103と、回路基板104と、グランド部105と、グランド部106と、無線回路107と、整合回路108と、ヒンジ部109と、磁性体110とから主に構成される。以下に、各構成について、詳細に説明する。
第1の筐体101は、平面視矩形状であり、ヒンジ部109により図1及び図2のY方向に回動自在に第2の筐体102に連結される。また、第1の筐体101は、グランド部105と、無線回路107と、整合回路108とを設けた回路基板103を有する。また、第1の筐体101は、磁性体110を有する。
第2の筐体102は、平面視矩形状であり、ヒンジ部109により図1及び図2のY方向に回動自在に第1の筐体101に連結される。また、第2の筐体102は、グランド部106を設けた回路基板104を有する。また、第2の筐体102は、閉じた状態において第1の筐体101と対向する底面側に、図示しないLCD等の表示部が設けられる。
回路基板103は、第1の筐体101内に設けられ、グランド部105を有する。また、回路基板103は、無線回路107及び整合回路108を有する。
回路基板104は、第2の筐体102内に設けられ、グランド部106を有する。
グランド部105は、回路基板103の底面側(図1の下側)の略全面に渡って設けられる。また、グランド部105は、無線回路107と電気的に接続するとともに、整合回路108と電気的に接続する。グランド部105は、例えば、回路基板103の底面側に印刷形成される。なお、グランド部105は、回路基板103に印刷形成する場合に限らず、回路基板103と別体に設けても良い。
グランド部106は、回路基板104の上面側(図1の上側)の略全面に渡って設けられる。また、グランド部106は、ヒンジ部109と電気的に接続する。グランド部106は、例えば、回路基板104の上面側に印刷形成される。なお、グランド部106は、回路基板104に印刷形成する場合に限らず、回路基板104と別体に設けても良い。
無線回路107は、第1の筐体101の回路基板103に設けられる。また、無線回路107は、回路基板103のグランド部105と電気的に接続する。また、無線回路107は、整合回路108と電気的に接続する。
整合回路108は、無線回路107とヒンジ部109との間に直列に接続され、無線回路107と電気的に接続するとともに、給電部111を介してヒンジ部109と電気的に接続する。また、整合回路108は、回路基板103のグランド部105と電気的に接続する。
ヒンジ部109は、導電性を有する材料により形成される。また、ヒンジ部109は、第1の筐体101と第2の筐体102とを、図1及び図2のY方向に回動可能に連結する。また、ヒンジ部109は、給電部111を介して整合回路108と電気的に接続する。また、ヒンジ部109は、第2の筐体102の回路基板104に設けたグランド部106と電気的に接続する。
磁性体110は、板状であり、例えばメタマテリアル(Meta-material)材料により形成される。また、磁性体110は、第1の筐体101の回路基板103の近傍に設けられ、回路基板103の上方において、回路基板103と上下方向で対向するように回路基板103の全面に渡って配置される。これにより、磁性体110は、閉じた状態において、回路基板103のグランド部105と回路基板104のグランド部106との間に配置される。
給電部111は、整合回路108とヒンジ部109との間に配置され、整合回路108及びヒンジ部109と電気的に接続する。また、給電部111は、整合回路108及び無線回路107を介して回路基板103のグランド部105と電気的に接続する。また、給電部111は、ヒンジ部109を介して回路基板104のグランド部106に給電する。
上記の構成を有する携帯無線機100において、回路基板104のグランド部106がヒンジ部109を介して無線回路107と電気的に接続することにより、グランド部105とグランド部106とがダイポールアンテナを構成する。
次に、携帯無線機100のアンテナ電流の流れについて、図1〜図3を用いて説明する。
最初に、携帯無線機100の閉じた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図1を用いて説明する。
図1において、回路基板103のグランド部105には、給電部111に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板104のグランド部106には、ヒンジ部109と回路基板104のグランド部106との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは逆相になるので、従来では、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに弱め合い、グランド部105とグランド部106により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能が劣化する。
これに対して、本実施の形態では、閉じた状態において、回路基板103のグランド部105と回路基板104のグランド部106との間に磁性体110を設けることにより、逆相のアンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに影響を及ぼさない。即ち、磁性体110を設けることにより、磁性体110を設けない場合に比べて、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2との互いの距離を遠くしたのと同様の効果を得ることができる。従って、本実施の形態では、携帯無線機100の閉じた状態において、グランド部105とグランド部106により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。
次に、携帯無線機100の開いた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図2及び図3を用いて説明する。
図2及び図3において、回路基板103のグランド部105には、給電部111に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板104のグランド部106には、ヒンジ部109と回路基板104のグランド部106との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは同相であるので、互いに打ち消し合うことはない。従って、携帯無線機100の開いた状態において、グランド部105とグランド部106により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能を良好にすることができる。このダイポールアンテナは、例えばディジタルテレビ放送受信用のアンテナとして用いられる。
このように、本実施の形態によれば、折り畳み自在な2つの筐体を有する携帯無線機の筐体を閉じた状態において、アンテナ性能の劣化を防ぐことができ、筐体を閉じた状態及び筐体を開いた状態の双方において、良好なアンテナ性能を得ることができる。また、本実施の形態によれば、閉じた状態の際に、ダイポールアンテナの代わりに使用するアンテナ素子を別途設ける必要がないので、既存部品によりアンテナを構成でき、製造コストを抑制することができる。また、本実施の形態によれば、セルラー通信用にアンテナを使用する場合において、磁性体を設けたことにより、アンテナに対する人体の影響を抑制することができ、アンテナ性能の劣化を防ぐことができるとともに、高い通話性能を実現することができる。
(実施の形態2)
図4は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線機400の閉じた状態の側面図である。また、図5は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線機400の開いた状態の側面図である。また、図6は、本発明の実施の形態2に係る携帯無線機400の開いた状態の平面図である。
携帯無線機400は、第1の筐体401と、第2の筐体402と、第3の筐体403と、回路基板404と、回路基板405と、回路基板406と、グランド部407と、グランド部408と、無線回路409と、整合回路410と、第1のヒンジ部411と、磁性体412と、第2のヒンジ部413とから主に構成される。以下に、各構成について、詳細に説明する。
第1の筐体401は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部411により図4〜図6のY方向に回動自在に第2の筐体402に連結される。また、第1の筐体401は、グランド部407と無線回路409と整合回路410とを設けた回路基板404を有する。
第2の筐体402は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部411により図4〜図6のY方向に回動自在に第1の筐体401に連結される。また、第2の筐体402は、回路基板405及び磁性体412を有する。また、第2の筐体402は、閉じた状態において第1の筐体401と対向する底面側に、図示しないLCD等の表示部が設けられる。
第3の筐体403は、平面視矩形状であり、第2のヒンジ部413(図6参照)により図6のX方向(第2の筐体402の底面と第3の筐体403の底面とが対向する方向及び離れる方向)に回動自在に第2の筐体402に連結される。また、第3の筐体403は、グランド部408を設けた回路基板406を有する。また、第3の筐体403は、閉じた状態において、平面側に図示しないLCD等の表示部が設けられる。これにより、閉じた状態において、表示部に表示されるディジタルテレビ放送等を視聴することができる。
回路基板404は、第1の筐体401に設けられ、グランド部407を有する。また、回路基板404は、無線回路409及び整合回路410を有する。
回路基板405は、第2の筐体402に設けられる。
回路基板406は、第3の筐体403に設けられ、グランド部408を有する。
グランド部407は、回路基板404の底面側(図4の下側)の略全面に渡って設けられる。また、グランド部407は、無線回路409と電気的に接続するとともに、整合回路410と電気的に接続する。グランド部407は、例えば、回路基板404の底面側に印刷形成される。なお、グランド部407は、回路基板404に印刷形成する場合に限らず、回路基板404と別体に設けても良い。
グランド部408は、回路基板406の下面側(図4の下側)の略全面に渡って設けられる。また、グランド部408は、第1のヒンジ部411と電気的に接続する。グランド部408は、例えば、回路基板406の下面側に印刷形成される。なお、グランド部408は、回路基板406に印刷形成する場合に限らず、回路基板406と別体に設けても良い。
無線回路409は、第1の筐体401の回路基板404に設けられる。また、無線回路409は、回路基板404のグランド部407と電気的に接続する。また、無線回路409は、整合回路410と電気的に接続する。
整合回路410は、無線回路409と第1のヒンジ部411との間に直列に接続され、無線回路409と電気的に接続するとともに、給電部414を介して第1のヒンジ部411と電気的に接続する。また、整合回路410は、回路基板404のグランド部407と電気的に接続する。
第1のヒンジ部411は、導電性を有する材料により形成される。また、第1のヒンジ部411は、第1の筐体401と第2の筐体402とを、図6の回動軸P1を中心に、図4〜図6のY方向に回動可能に連結する。また、第1のヒンジ部411は、給電部414を介して整合回路410と電気的に接続する。また、第1のヒンジ部411は、第3の筐体403の回路基板406に設けたグランド部408と電気的に接続する。
磁性体412は、板状であり、例えばメタマテリアル材料により形成される。また、磁性体412は、第2の筐体402の回路基板405の近傍に設けられ、回路基板405の上方において、回路基板405と上下方向で対向するように回路基板405の全面に渡って配置される。これにより、磁性体412は、閉じた状態において、回路基板404のグランド部407と回路基板406のグランド部408との間に配置される。
第2のヒンジ部413は、第2の筐体402と第3の筐体403とを、図6の回動軸P2を中心に、図6のX方向に回動可能に連結する。ここで、回動軸P2は、回動軸P1と直交する。
給電部414は、整合回路410と第1のヒンジ部411との間に配置され、整合回路410及び第1のヒンジ部411と電気的に接続する。また、給電部414は、整合回路410及び無線回路409を介して回路基板404のグランド部407と電気的に接続する。また、給電部414は、第1のヒンジ部411を介して回路基板406のグランド部408に給電する。
上記の構成を有する携帯無線機400において、回路基板406のグランド部408が第1のヒンジ部411を介して無線回路409と電気的に接続することにより、グランド部407とグランド部408とがダイポールアンテナを構成する。
次に、携帯無線機400の開閉動作について、図4〜図6を用いて説明する。
第1の筐体401と第2の筐体402と第3の筐体403とが上下に重なり合った図4の閉じた状態において、回動軸P1を中心にして第2の筐体402を図6のY2方向へ回動させ、続けて回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図6のX1方向へ回動させることにより図5及び図6の開いた状態になる。
また、図5及び図6の開いた状態において、回動軸P2を中心にして第3の筐体403を図6のX2方向に回動させ、続けて回動軸P1を中心にして第2の筐体402を図6のY1方向に回動させることにより閉じた状態になる。
次に、携帯無線機400のアンテナ電流の流れについて、図4〜図6を用いて説明する。
最初に、携帯無線機400の閉じた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図4を用いて説明する。
図4において、回路基板404のグランド部407には、給電部414に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板406のグランド部408には、第1のヒンジ部411と回路基板406のグランド部408との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは逆相になるので、従来では、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに弱め合い、グランド部407とグランド部408により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能が劣化する。
これに対して、本実施の形態では、閉じた状態において、回路基板404のグランド部407と回路基板406のグランド部408との間に磁性体412を設けることにより、逆相のアンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに影響を及ぼさない。即ち、磁性体412を設けることにより、磁性体412を設けない場合に比べて、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2との互いの距離を遠くしたのと同様の効果を得ることができる。また、回路基板404のグランド部407と回路基板406のグランド部408の間に第2の筐体402が挿入されていることで、さらにアンテナ電流e1とアンテナ電流e2との互いの距離を大きくとることができる。従って、本実施の形態では、携帯無線機400の閉じた状態において、グランド部407とグランド部408により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。
次に、携帯無線機400の開いた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図5及び図6を用いて説明する。
図5及び図6において、回路基板404のグランド部407には、給電部414に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板406のグランド部408(図5及び図6において省略)には、第1のヒンジ部411と回路基板406のグランド部408との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは同相であり、互いに打ち消し合うことはない。従って、携帯無線機400の開いた状態において、グランド部407とグランド部408により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能を良好にすることができる。
なお、第2の筐体402の回路基板405にはアンテナ電流は流れない。
図7は、本実施の形態に係る携帯無線機の他の構成例を示す図である。なお、図7において、グランド部407と、グランド部408と、無線回路409と、整合回路410の記載を省略している。図7に示すように、第2の筐体402に磁性体412を設ける代わりに、第1の筐体401の回路基板404の上方に磁性体412を設けても良い。この場合においても、回路基板404のグランド部407と回路基板406のグランド部408との間に磁性体412を配置するので、携帯無線機400の閉じた状態において、グランド部407とグランド部408により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。このダイポールアンテナは、例えばディジタルテレビ放送受信用のアンテナとして用いられる。
このように、本実施の形態によれば、折り畳み自在な3つの筐体を有する携帯無線機の筐体を閉じた状態において、アンテナ性能の劣化を防ぐことができ、筐体を閉じた状態及び筐体を開いた状態の双方において、良好なアンテナ性能を得ることができる。また、本実施の形態によれば、閉じた状態の際に、ダイポールアンテナの代わりに使用するアンテナ素子を別途設ける必要がないので、既存部品によりアンテナを構成でき、製造コストを抑制することができる。また、本実施の形態によれば、セルラー通信用にアンテナを使用する場合において、磁性体を設けたことにより、アンテナに対する人体の影響を抑制することができ、アンテナ性能の劣化を防ぐことができるとともに、高い通話性能を実現することができる。また、本実施の形態によれば、閉じた状態において、上下方向の距離が離れている第1の筐体の回路基板のグランド部と第3の筐体の回路基板のグランド部とによりダイポールアンテナを構成したので、2つの筐体を折り畳む携帯無線機に磁性体を設ける場合に比べて、アンテナ性能の改善効果を大きくすることができる。
(実施の形態3)
図8は、本発明の実施の形態3に係る携帯無線機800の閉じた状態の側面図である。また、図9は、本発明の実施の形態3に係る携帯無線機800の開いた状態の側面図である。また、図10は、本発明の実施の形態3に係る携帯無線機800の開いた状態の平面図である。
携帯無線機800は、第1の筐体801と、第2の筐体802と、第3の筐体803と、回路基板804と、回路基板805と、回路基板806と、グランド部807と、グランド部808と、無線回路809と、整合回路810と、第1のヒンジ部811と、磁性体812と、第2のヒンジ部813とから主に構成される。以下に、各構成について、詳細に説明する。
第1の筐体801は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部811により図8〜図10のY方向に回動自在に第2の筐体802に連結される。また、第1の筐体801は、グランド部807と無線回路809と整合回路810とを設けた回路基板804を有する。
第2の筐体802は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部811により図8〜図10のY方向に回動自在に第1の筐体801に連結される。また、第2の筐体802は、グランド部808を設けた回路基板805を有する。
第3の筐体803は、平面視矩形状であり、第2のヒンジ部813(図10参照)により図10のX方向(第2の筐体802の平面と第3の筐体803の平面とが対向する方向及び離れる方向)に回動自在に第2の筐体802に連結される。また、第3の筐体803は、回路基板806及び磁性体812を有する。
回路基板804は、第1の筐体801に設けられ、グランド部807を有する。また、回路基板804は、無線回路809及び整合回路810を有する。
回路基板805は、第2の筐体802に設けられ、グランド部808を有する。
回路基板806は、第3の筐体803に設けられる。
グランド部807は、回路基板804の底面側(図8の下側)の略全面に渡って設けられる。また、グランド部807は、無線回路809と電気的に接続するとともに、整合回路810と電気的に接続する。グランド部807は、例えば、回路基板804の底面側に印刷形成される。なお、グランド部807は、回路基板804に印刷形成する場合に限らず、回路基板804と別体に設けても良い。
グランド部808は、回路基板805の上面側(図8の上側)の略全面に渡って設けられる。また、グランド部808は、第1のヒンジ部811と電気的に接続する。グランド部808は、例えば、回路基板805の上面側に印刷形成される。なお、グランド部808は、回路基板805に印刷形成する場合に限らず、回路基板805と別体に設けても良い。
無線回路809は、第1の筐体801の回路基板804に設けられる。また、無線回路809は、回路基板804のグランド部807と電気的に接続する。また、無線回路809は、整合回路810と電気的に接続する。
整合回路810は、無線回路809と第1のヒンジ部811との間に直列に接続され、無線回路809と電気的に接続されるとともに、給電部814を介して第1のヒンジ部811と電気的に接続する。また、整合回路810は、回路基板804のグランド部807と電気的に接続する。
第1のヒンジ部811は、導電性を有する材料により形成される。また、第1のヒンジ部811は、第1の筐体801と第2の筐体802とを、図10の回動軸P1を中心に、図8〜図10のY方向に回動可能に連結する。また、第1のヒンジ部811は、給電部814を介して整合回路810と電気的に接続する。また、第1のヒンジ部811は、第2の筐体802の回路基板805に設けたグランド部808と電気的に接続する。
磁性体812は、板状であり、例えばメタマテリアル材料により形成される。また、磁性体812は、第3の筐体803の回路基板806の近傍に設けられ、回路基板806の下方(図8の下方)において、回路基板806と上下方向で対向するように回路基板806の全面に渡って配置される。これにより、磁性体812は、閉じた状態において、回路基板804のグランド部807と回路基板805のグランド部808との間に配置される。
第2のヒンジ部813は、第2の筐体802と第3の筐体803とを、図10の回動軸P2を中心に、図10のX方向に回動可能に連結する。ここで、回動軸P2は、回動軸P1と直交する。
給電部814は、整合回路810と第1のヒンジ部811との間に配置され、整合回路810及び第1のヒンジ部811と電気的に接続する。また、給電部814は、整合回路810及び無線回路809を介して回路基板804のグランド部807と電気的に接続する。また、給電部814は、第1のヒンジ部811を介して回路基板805のグランド部808に給電する。
上記の構成を有する携帯無線機800において、回路基板805のグランド部808がヒンジ部811を介して無線回路809と電気的に接続することにより、グランド部807とグランド部808とがダイポールアンテナを構成する。
次に、携帯無線機800の開閉動作について、図8〜図10を用いて説明する。
第1の筐体801と第2の筐体802と第3の筐体803とが上下に重なり合った図8の閉じた状態において、回動軸P1を中心にして第2の筐体802を図10のY2方向へ回動させ、続けて回動軸P2を中心にして第3の筐体803を図10のX1方向へ回動させることにより図9及び図10の開いた状態になる。
また、図9及び図10の開いた状態において、回動軸P2を中心にして第3の筐体803を図10のX2方向に回動させ、続けて回動軸P1を中心にして第2の筐体802を図10のY1方向に回動させることにより閉じた状態になる。
次に、携帯無線機800のアンテナ電流の流れについて、図8〜図10を用いて説明する。
最初に、携帯無線機800の閉じた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図8を用いて説明する。
図8において、回路基板804のグランド部807には、給電部814に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板805のグランド部808には、第1のヒンジ部811と回路基板805のグランド部808との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは逆相になるので、従来では、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに弱め合い、グランド部807とグランド部808により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能が劣化する。
これに対して、本実施の形態では、閉じた状態において、回路基板804のグランド部807と回路基板805のグランド部808との間に磁性体812を設けることにより、逆相のアンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに影響を及ぼさない。即ち、磁性体812を設けることにより、磁性体812を設けない場合に比べて、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2との互いの距離を遠くしたのと同様の効果を得ることができる。従って、本実施の形態では、携帯無線機800の閉じた状態において、グランド部807とグランド部808により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。
次に、携帯無線機800の開いた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図9及び図10を用いて説明する。
図9及び図10において、回路基板804のグランド部807には、給電部814に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板805のグランド部808(図9及び図10において省略)には、第1のヒンジ部811と回路基板805のグランド部808との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは同相であるので、互いに打ち消し合わない。従って、携帯無線機800の開いた状態において、グランド部807とグランド部808により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能を良好にすることができる。
なお、第3の筐体803の回路基板806にはアンテナ電流は流れない。
図11は、本実施の形態に係る携帯無線機の他の構成例を示す図である。なお、図11において、グランド部807と、グランド部808と、無線回路809と、整合回路810の記載を省略している。図11に示すように、第3の筐体803に磁性体812を設ける代わりに、第1の筐体801の回路基板804の上方に磁性体812を設けても良い。この場合においても、回路基板804のグランド部807と回路基板805のグランド部808との間に磁性体812を配置するので、携帯無線機800の閉じた状態において、グランド部807とグランド部808により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。このダイポールアンテナは、例えばディジタルテレビ放送受信用のアンテナとして用いられる。
このように、本実施の形態によれば、折り畳み自在な3つの筐体を有する携帯無線機の筐体を閉じた状態において、アンテナ性能の劣化を防ぐことができ、筐体を閉じた状態及び筐体を開いた状態の双方において、良好なアンテナ性能を得ることができる。また、本実施の形態によれば、閉じた状態の際に、ダイポールアンテナの代わりに使用するアンテナ素子を別途設ける必要がないので、既存部品によりアンテナを構成でき、製造コストを抑制することができる。また、本実施の形態によれば、セルラー通信用にアンテナを使用する場合において、磁性体を設けたことにより、アンテナに対する人体の影響を抑制することができ、アンテナ性能の劣化を防ぐことができるとともに、高い通話性能を実現することができる。また、本実施の形態によれば、閉じた状態において、上下方向の距離が離れている第1の筐体の回路基板のグランド部と第3の筐体の回路基板のグランド部とによりダイポールアンテナを構成したので、2つの筐体を折り畳む携帯無線機に磁性体を設ける場合に比べて、アンテナ性能の改善効果を大きくすることができる。
なお、本実施の形態において、第1の筐体801の回路基板804のグランド部と第2の筐体802の回路基板805のグランド部とによりアンテナを構成したが、本実施の形態はこれに限らず、第1の筐体801の回路基板804のグランド部と第3の筐体803の回路基板806のグランド部とによりダイポールアンテナを構成しても良い。
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4に係る携帯無線機1200の閉じた状態の側面図である。また、図13は、本発明の実施の形態4に係る携帯無線機1200の開いた状態の平面図である。
図12及び図13に示す携帯無線機1200は、図1〜図3に示す実施の形態1に係る携帯無線機100に対して、磁性体110の代わりに磁性体1201を有する。なお、図12及び図13において、図1〜図3と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
携帯無線機1200は、第1の筐体101と、第2の筐体102と、回路基板103と、回路基板104と、グランド部105と、グランド部106と、無線回路107と、整合回路108と、ヒンジ部109と、磁性体1201とから主に構成される。
第1の筐体101は、平面視矩形状であり、ヒンジ部109により図12及び図13のY方向に回動自在に第2の筐体102に連結される。また、第1の筐体101は、グランド部105と無線回路107と整合回路108とを設けた回路基板103を有する。また、第1の筐体101は、磁性体1201を有する。
磁性体1201は、板状であり、例えばメタマテリアル材料により形成される。また、磁性体1201は、第1の筐体101の回路基板103の近傍に設けられ、無線回路107を設けた給電側(図12の左側)の回路基板103の上方において、回路基板103と上下方向で対向するように配置される。この際、磁性体1201は、閉じた状態において、給電部111と上下方向において重なり合う。また、磁性体1201は、グランド部105の磁性体1201と重なり合う面(図12の上側の面)における磁性体1201と重なり合う部分の面積(図13の斜線部分の面積)が、グランド部105の磁性体1201と重なり合う面の全面積の半分の大きさになるように形成され、配置される。
次に、携帯無線機1200の閉じた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図12を用いて説明する。
図12において、回路基板103のグランド部105には、給電部111に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板104のグランド部106には、ヒンジ部109と回路基板104のグランド部106との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは逆相になるので、従来では、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに弱め合い、グランド部105とグランド部106により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能が劣化する。
これに対して、本実施の形態では、閉じた状態の場合に、回路基板103のグランド部105と回路基板104のグランド部106との間において、回路基板103の無線回路107を設けた側と対向するように磁性体1201を設けることにより、逆相のアンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに影響を及ぼさない。従って、本実施の形態では、携帯無線機1200の閉じた状態において、グランド部105とグランド部106により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。なお、携帯無線機1200を開いた状態におけるアンテナ電流の流れは、上記の実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
図14は、携帯無線機1200のアンテナ効率(Antenna efficiency)を示す図である。なお、図14に示すアンテナ効率は、磁性体1201と回路基板103との上下方向の間隔を0.2mmにするとともに、回路基板103と回路基板104との距離を3.5mmにして測定したものである。
図14において、モデル(1)は回路基板103の全面に渡って磁性体110を配置した実施の形態1のアンテナ効率を示すものであり、モデル(2)は本実施の形態のアンテナ効率を示す。図14に示すように、本実施の形態において、磁性体1201を設けない従来に比べてアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。これより、本実施の形態の磁性体1201でも、閉じた状態において、従来に比べてアンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
このように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1の効果に加えて、磁性体の大きさを小さくできるので、製造コストの増大を防ぐことができるとともに、薄型化することができる。
なお、本実施の形態において、グランド部105の磁性体1201と重なり合う面における磁性体1201と重なり合う部分の面積が、グランド部105の磁性体1201と重なり合う面の全面積の半分の大きさにしたが、本実施の形態はこれに限らず、上記の実施の形態1の磁性体の大きさと本実施の形態の磁性体の大きさとの範囲において、磁性体を任意の大きさにすることができる。
(実施の形態5)
図15は、本発明の実施の形態5に係る携帯無線機1500の閉じた状態の側面図である。また、図16は、本発明の実施の形態5に係る携帯無線機1500の開いた状態の平面図である。
図15及び図16に示す携帯無線機1500は、図4〜図6に示す実施の形態2に係る携帯無線機400に対して、磁性体412の代わりに磁性体1501を有する。なお、図15及び図16において、図4〜図6と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。
携帯無線機1500は、第1の筐体401と、第2の筐体402と、第3の筐体403と、回路基板404と、回路基板405と、回路基板406と、グランド部407と、グランド部408と、無線回路409と、整合回路410と、第1のヒンジ部411と、第2のヒンジ部413と、磁性体1501とから主に構成される。
第2の筐体402は、平面視矩形状であり、第1のヒンジ部411により図15及び図16のY方向に回動自在に第1の筐体401に連結される。また、第2の筐体402は、回路基板405及び磁性体1501を有する。
磁性体1501は、板状であり、例えばメタマテリアル材料により形成される。また、磁性体1501は、第2の筐体402の回路基板405の近傍に設けられ、無線回路409を設けた給電側(図15の左側)の回路基板405の上方において、回路基板405と上下方向で対向するように配置される。この際、磁性体1501は、閉じた状態において、給電部414と上下方向において重なり合う。また、磁性体1501は、グランド部407の磁性体1501と重なり合う面(図15の上側の面)における磁性体1501と重なり合う部分の面積(図16の斜線部分の面積)が、グランド部407の磁性体1501と重なり合う面の全面積の半分の大きさになるように形成され、配置される。
なお、本実施の形態における携帯無線機1500の開閉動作は、上記の実施の形態2と同一であるので、その説明を省略する。
次に、携帯無線機1500の閉じた状態におけるアンテナ電流の流れについて、図15を用いて説明する。
図15において、回路基板404のグランド部407には、給電部414に向かってアンテナ電流e1が流れる。一方、回路基板406のグランド部408には、第1のヒンジ部411と回路基板406のグランド部408との接続部を中心に放射状のアンテナ電流e2が流れる。アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは逆相になるので、従来では、アンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに弱め合い、グランド部407とグランド部408により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能が劣化する。
これに対して、本実施の形態では、グランド部407とグランド部408との間に磁性体1501を設けることにより、逆相のアンテナ電流e1とアンテナ電流e2とは互いに影響を及ぼさない。従って、本実施の形態では、携帯無線機1500の閉じた状態において、グランド部407とグランド部408により構成したダイポールアンテナのアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。なお、携帯無線機1500を開いた状態におけるアンテナ電流の流れは、上記の実施の形態2と同一であるので、その説明を省略する。
図17は、携帯無線機1500のアンテナ効率を示す図である。なお、図17に示すアンテナ効率は、磁性体1501と回路基板405との上下方向の間隔を0.2mmにして測定したものである。
図17において、モデル(1)は回路基板405の全面に渡って磁性体412を配置した実施の形態2のアンテナ効率を示すものであり、モデル(2)は本実施の形態のアンテナ効率を示す。図17に示すように、本実施の形態において、磁性体を設けない従来に比べてアンテナ性能の劣化を防ぐことができる。これより、本実施の形態の磁性体1501でも、閉じた状態において、従来に比べてアンテナ特性の劣化を防ぐことができる。
このように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態2の効果に加えて、磁性体の大きさを小さくできるので、製造コストの増大を防ぐことができるとともに、筐体内の部品の配置の自由度を向上させることができる。
なお、本実施の形態において、グランド部407の磁性体1501と重なり合う面における磁性体1501と重なり合う部分の面積が、グランド部407の磁性体1501と重なり合う面の全面積の半分の大きさになるようにしたが、本実施の形態はこれに限らず、上記の実施の形態2の磁性体の大きさと本実施の形態の磁性体の大きさとの範囲において、磁性体を任意の大きさにすることができる。
(実施の形態6)
図18は、本発明の実施の形態6に係る携帯無線機1800の開いた状態の要部の側面図である。
図18に示す携帯無線機1800は、図1に示す実施の形態1に係る携帯無線機100に対して、スイッチ接点シート1801及び操作キー部1803を追加し、磁性体110の代わりに磁性体1802を有する。なお、図18において、図1〜図3と同一構成である部分には同一の符号を付してその説明を省略する。また、図18において、携帯無線機1800の記載されていない部分は、図1〜図3と同一構成であるので、その説明を省略する。
第1の筐体101は、回路基板103と、スイッチ接点シート1801と、磁性体1802と、操作キー部1803とを有する。
スイッチ接点シート1801は、回路基板103上に設けられ、接点部1810が押圧されることにより、図示しないスイッチ接点部を短絡して所定の信号を発生する。また、スイッチ接点シート1801は、接点部1810の押圧が解除されることにより、スイッチ接点部の短絡を解除する。即ち、スイッチ接点シート1801は、スイッチ接点部を切り替える。
磁性体1802は、板状であり、例えばメタマテリアル材料により形成される。また、磁性体1802は、第1の筐体101に設けられ、回路基板103の上方において、回路基板103と上下方向で対向するように回路基板103の全面に渡って配置される。これにより、磁性体1802は、閉じた状態において、回路基板103のグランド部105と回路基板104のグランド部106との間に配置される。また、磁性体1802は、キーシートであり、可動部1811を有する。ここで、キーシートとは、例えばスイッチを開閉する際のアクチュエータである。具体的には、磁性体1802は、弾性材で形成され、操作キー部1803により押圧されることにより、可動部1811が可動して接点部1810を押圧する。また、磁性体1802は、押圧が解除された際に、元の状態に復帰して可動部1811による接点部1810への押圧を解除する。
操作キー部1803は、第1の筐体101の外部に露出する複数のキートップ1812を有する。また、操作キー部1803は、キートップ1812が押圧された際に、押圧されたキートップ1812に対応する磁性体1802の可動部1811を押圧する。また、操作キー部1803は、キートップ1812への押圧が解除された際に、磁性体1802の復帰力により元の位置に復帰する。
なお、携帯無線機1800の開閉動作及びアンテナ電流の流れについては、上記の実施の形態1と同一であるので、その説明を省略する。
このように、本実施の形態によれば、上記の実施の形態1の効果に加えて、磁性体をキーシートと兼用することができるので、磁性体専用の部品を筐体内に配置する必要がなく、携帯無線機を小型化及び薄型化することができる。
なお、本実施の形態において、回路基板103の上方の略全面に渡って磁性体1802を配置したが、本実施の形態はこれに限らず、給電部111を設けた側において、グランド部105の磁性体1802と重なり合う面における磁性体1802と重なり合う部分の面積が、グランド部105の磁性体1802と重なり合う面の全面積の半分以上であれば、磁性体を任意の大きさにすることができる。また、本実施の形態において、1方向にのみ開閉する携帯無線機について説明したが、本実施の形態はこれに限らず、上記の実施の形態2または実施の形態3のように、3つの筐体を異なる方向に開閉する携帯無線機に適用することができる。