JP2004340846A - センサ装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】センサチップと外部接続用端子とをワイヤを介して電気的に接続してなるセンサ装置において、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサチップ側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減する。
【解決手段】外部接続用端子は、センサチップ20からのセンサ信号を出力するための出力用端子12a、センサチップ20へ電源を供給するための電源用端子12b、および、接地用端子12dを有する複数の端子からなり、センサチップ20と電源用端子12bとの間、および、センサチップ20と接地用端子12dとの間の少なくとも一方は、複数本のワイヤ13b、13dによって電気的に接続されており、当該複数本のワイヤは、センサチップ20において同一のパッド22b、22dに接続されている。
【選択図】 図2
【解決手段】外部接続用端子は、センサチップ20からのセンサ信号を出力するための出力用端子12a、センサチップ20へ電源を供給するための電源用端子12b、および、接地用端子12dを有する複数の端子からなり、センサチップ20と電源用端子12bとの間、および、センサチップ20と接地用端子12dとの間の少なくとも一方は、複数本のワイヤ13b、13dによって電気的に接続されており、当該複数本のワイヤは、センサチップ20において同一のパッド22b、22dに接続されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ素子と外部接続用端子とをワイヤを介して電気的に接続してなるセンサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のセンサ装置としては、例えば、圧力検出用のセンサ素子と、センサ素子とワイヤを介して電気的に接続された外部接続用端子(コネクタピン)とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、一般に外部接続用端子は、センサ素子からのセンサ信号を出力するための出力用端子、センサ素子へ電源を供給するための電源用端子、および、接地用端子を有する複数の端子からなる。そして、これら各端子は、センサ素子側のパッドと、太さが数十〜数百μm程度の細いボンディングワイヤにて接続されている。
【0004】
また、この種のセンサ装置では、一般に、外部から受ける電磁波ノイズの影響を低減するため、センサ素子側の回路において電源用端子とつながる電源ラインや接地用端子とつながる接地ラインに、コンデンサ等の容量素子を介在させている。その場合の回路構成を図5に示す。
【0005】
図5において、センサ素子20側の回路であるセンサ回路200に対して、接地用端子GND、電源用端子Vcc、出力用端子Voutがワイヤによって接続されており、R1、R2、R3はそれぞれワイヤの抵抗値である。ここで、センサ素子20において、電源ラインと出力ラインとの間および接地ラインと出力ラインとの間にそれぞれ、容量素子C1、C2が設けられている。
【0006】
そして、電磁波ノイズNが、図5に示すように外部から加わったとき、容量素子C1、C2の作用によってセンサ信号(出力信号)に加わるノイズを除去するようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開7−243926号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記図5に示す回路構成においては、電磁波ノイズNを低減するためには、接地ラインにおけるワイヤの抵抗R1または電源ラインにおけるワイヤの抵抗R2が十分に小さい必要がある。
【0009】
しかしながら、上述したように、センサ素子20と各端子Vout、Vcc、GNDとの間は、1本の細いボンディングワイヤで接続されているため、接地ラインにおけるワイヤの抵抗R1、電源ラインにおけるワイヤの抵抗R2が大きく、出力信号に加わるノイズを除去する効果が十分に発揮されていないのが現状である。
【0010】
このような問題に対して、ワイヤの径太くすることが考えられるが、ワイヤの径が太くなると、ボンディング時の振動等によってセンサ素子に大きな応力が加わり、ワイヤの接合不良やワイヤの強度不足が生じてしまう。
【0011】
一方、外部接続用端子の側に容量素子を追加することも考えられるが、この場合、外部接続用端子の構成が複雑化し、大型化してしまう。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、センサ素子と外部接続用端子とをワイヤを介して電気的に接続してなるセンサ装置において、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサ素子側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、鋭意検討を行った。本発明者らは、ワイヤの径を太くするのではなく、ワイヤの本数を増加することにより、ワイヤの抵抗を下げることを考えた。
【0014】
しかしながら、単純にワイヤの本数を増加しようとすると、センサ素子における電源用端子との接続パッドや接地用端子との接続パッドの数を増加することになる。その場合、センサ素子側のパッド数の増加によってセンサ素子の面積が増加することになる。このことはひいては、コストアップにつながる。
【0015】
本発明は、電源ライン、接地ラインにおけるワイヤの本数を増やすとともに、このワイヤ本数の増加によるセンサ素子の面積増大を極力抑制することに着目して工夫を試みた結果、創出されたものである。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明では、センサ素子(20)と、センサ素子とワイヤ(13a、13b、13c、13d)を介して電気的に接続された外部接続用端子(12a、12b、12c、12d)とを備え、外部接続用端子は、センサ素子からのセンサ信号を出力するための出力用端子(12a)、センサ素子へ電源を供給するための電源用端子(12b)、および、接地用端子(12d)を有する複数の端子からなるセンサ装置において、センサ素子と電源用端子との間、および、センサ素子と接地用端子との間の少なくとも一方は、複数本のワイヤ(13b、13d)によって電気的に接続されており、複数本のワイヤは、センサ素子において同一のパッド(22b、22d)に接続されていることを特徴とする。
【0017】
それによれば、センサ素子(20)と電源用端子(12b)との間を接続するワイヤ(13b)、および、センサ素子(20)と接地用端子(12d)との間を接続するワイヤ(13d)の少なくとも一方のワイヤは、複数本であり、複数本のワイヤで接続されている端子(12b、12d)については、センサ素子(20)側における複数本のワイヤ(13b、13d)の接続が同一パッド(22b、22d)上にて行われた形となる。
【0018】
そのため、センサ素子(20)側の回路(200)における電源ラインおよび接地ラインの少なくとも一方のラインのうち複数本のワイヤ(13b、13d)を採用したラインにおいて、ワイヤの径を太くすることなくワイヤの抵抗を小さくすることができる。その結果、電磁波ノイズを低減することができる。
【0019】
また、複数本のワイヤ(13b、13d)で接続する端子(12b、12d)について、センサ素子(20)にはワイヤの数に対応して複数のパッドを設けるものではなく、同一のパッド(22b、22d)に複数本のワイヤを接続するようにしている。そのため、センサ素子(20)の面積増大を抑制することができる。
【0020】
よって、本発明によれば、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサ素子側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、センサ素子(20)と電源用端子(12b)との間、および、センサ素子と接地用端子(12d)との間の両方が、複数本のワイヤ(13b、13d)によって電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
このように、電源用端子(12b)側および接地用端子(12d)側の両方について、複数本のワイヤ(13b、13d)による接続構成を採用することにより、より効果的に電磁波ノイズの影響を低減することができることから、好ましい。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本実施形態に係るセンサ装置としての圧力センサS1の全体概略を示す断面図であり、この圧力センサS1は例えば、自動車に搭載され、エアコンの冷媒圧や自動車の燃料噴射系の燃料圧を検出するものに適用することができる。
【0025】
また、図2は、図1に示す圧力センサS1においてセンサチップ20及びその周辺部をセンサチップ20の受圧面(図1中、下方側の面)側から視た拡大平面図である。
【0026】
10はケース(コネクタケース)であり、本例では、このケース10は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を型成形することにより作られ、略円柱状をなしている。このケース10の一端面(図1中、下方側の端面)には凹部11が形成されている。
【0027】
この凹部11には、センサ素子として、圧力の印加に応じたレベルの電気信号を出力する圧力検出用のセンサチップ20が配設されている。本例のセンサチップ20は、受圧面としてのダイアフラム(図示せず)を有し、受けた圧力を電気信号に変換しこの電気信号をセンサ信号として出力する半導体ダイアフラム式のものである。
【0028】
また、センサチップ20内には、上記した圧力の印加に応じたレベルの電気信号(センサ信号)を出力するための図示しない集積回路(センサ回路)が形成されている。そして、センサチップ20は、ガラス等よりなる台座21に陽極接合等により一体化されて、台座21を凹部11の底面に接着することで、ケース10に搭載されている。
【0029】
また、凹部11内におけるセンサチップ20の周囲には、複数個の外部接続用端子(ターミナル)12a、12b、12c、12dが配設されている(図2参照、図1では12dは図示されていない)。
【0030】
これら外部接続用端子12a〜12dは、センサチップ20と外部の回路(車両のECU等)等とを電気的に接続するためのものであり、例えば、黄銅(真鍮)にメッキ処理(例えばNiメッキ)を施した金属よりなる。
【0031】
本例では、各外部接続用端子12a〜12dは棒状をなし、インサートモールドによりケース10と一体に成形されてケース10内に保持されている(図1参照)。そして、各外部接続用端子12a〜12dの一端側(図1中、下方端側)の部位が、凹部11内におけるセンサチップ20の周囲において凹部11の底面から突出している。
【0032】
また、図2に示す様に、センサチップ20の受圧面側には、上記集積回路における出力用および電源用を含む複数のパッド22a、22b、22c、22dが形成されており、上記外部接続用端子12a〜12dは、これら複数個のパッド22a〜22dに対応して複数個設けられている。
【0033】
本例では、図2に示す様に、センサチップ20に形成された各パッドは、センサ信号を出力するための出力用パッド22a、上記集積回路へ電源を供給するための電源用パッド22b、製造時にセンサ信号を調整する際に使用する調整用パッド22c、さらには、接地用パッド(GNDパッド)22dの4個により構成されている。
【0034】
これら出力用パッド22a、電源用パッド22b、調整用パッド22c、接地用パッド22dに対応して、外部接続用端子としては、出力用端子(Vout)12a、電源用端子(Vcc)12b、調整用端子(Vc)12c、接地用端子(GND)12dが設けられている。
【0035】
そして、各パッド22a〜22dは、それぞれ対応する外部接続用端子12a〜12dの一端側の端面に、金やアルミニウム等のワイヤボンディングにより形成されたワイヤ13a、13b、13c、13dを介して結線され電気的に接続されている。
【0036】
ここで、出力用のパッド22aおよび端子12a、電源用のパッド22bおよび端子12b、調整用のパッド22cおよび端子12c、接地用のパッド22dおよび端子12dに対応するワイヤを、それぞれ、出力用ワイヤ13a、電源用ワイヤ13b、調整用ワイヤ13c、接地用ワイヤ13dとする。
【0037】
ここで、本実施形態では、センサチップ20と電源用端子12bとの間、および、センサチップ20と接地用端子12dとの間の少なくとも一方が、複数本のワイヤ13b、13dによって電気的に接続され、複数本のワイヤが接続される端子13b、13dについてはは、センサチップ20において複数本のワイヤが同一のパッドに接続された構成を採用する。
【0038】
本例では、図2に示すように、1個の接地用パッド22dと接地用端子12dとの間が3本のワイヤ13dにより電気的に接続され、それ以外のパッドと外部接続用端子との間は1本のワイヤ13a、13b、13cにより電気的に接続されている。
【0039】
なお、本実施形態では、接地用端子12dについてのみ3本のワイヤ13dを用いる以外にも、図2中の破線にて示されるワイヤのように、電源用端子12bについてのみ3本のワイヤ13bを用いてもよいし、接地用端子12dおよび電源用端子12bの両方とも3本のワイヤ構成としてもよい。
【0040】
さらには、すべての外部接続用端子12a〜12dについて3本のワイヤ構成を採用してもよい。また、ワイヤを複数本とする場合には、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。
【0041】
また、図1に示す様に、各外部接続用端子12a〜12dの側面の周囲には、ケース10と外部接続用端子12a〜12dとの隙間を封止するためのシール剤14が設けられている。
【0042】
このシール剤14は例えばシリコン系樹脂よりなるもので、このシール剤14により、もし、外部接続用端子12a〜12dが突出する凹部11の底面部分に隙間があってもその隙間は封止される。
【0043】
一方、図1において、ケース10の他端側(図1中、上方端側)は、外部接続用端子12a〜12dの他端側を例えばワイヤハーネス等の外部配線部材(図示せず)を介して上記外部回路(車両のECU等)に電気的に接続するための接続部15となっている。
【0044】
こうして、センサチップ20と外部との間の信号の伝達は、ワイヤ13a〜13d及び外部接続用端子12a〜12dを介して行われるようになっている。
【0045】
次に、図1において、30はハウジングであり、例えばステンレス(SUS)等の金属材料よりなる本体部31を備える。この本体部31は、被測定媒体(上記したエアコンの冷媒や自動車の燃料等)が導入される圧力導入孔32と、圧力センサS1を被測定部材(エアコンの冷媒配管や自動車の燃料配管等)に固定するためのネジ部33とを有する。
【0046】
更に、ハウジング30は、薄い金属(例えばSUS等)製のメタルダイアフラム34と金属(例えばSUS等)製の押さえ部材(リングウェルド)35とが本体部31に全周溶接され、圧力導入孔32の一端に気密接合されたものとなっている。そして、メタルダイアフラム34はケース10の凹部11の開口部を覆うように設けられている。
【0047】
このハウジング30は、図1に示す様に、本体部31の端部36をケース10にかしめることによりケース10と固定され一体化されている。こうして組み合わせられたケース10とハウジング30において、ケース10の凹部11とハウジング30のメタルダイアフラム34との間で、圧力検出室40が構成されている。
【0048】
この圧力検出室40には圧力伝達媒体であるオイル(フッ素オイル等)41が封入されている。このオイル41は、センサチップ20、外部接続用端子12a〜12d及びワイヤ13a〜13d等の電気接続部分を覆うように、凹部11内に充填されている。そして、オイル41は、凹部11の開口部を覆うメタルダイアフラム34により、凹部11内に封止された形となる。
【0049】
また、圧力検出室40の外周囲には、環状の溝(Oリング溝)42が形成され、この溝42内には、圧力検出室40を気密封止するためのOリング43が配設されている。
【0050】
このOリング43は例えばシリコンゴム等の弾性材料よりなり、ケース10とハウジング30の押さえ部材35とにより挟まれて押圧されている。こうして、メタルダイアフラム34とOリング43とにより圧力検出室40が封止され閉塞されている。
【0051】
なお、本例では、上記溝42内には、Oリング43の外周にバックアップリング44が設けられている。このバックアップリング44は、例えば4フッ化エチレン樹脂等の樹脂材料よりなり、Oリング43が広がったときにOリング43がケース10と押さえ部材35との隙間に入り込んで損傷するのを防止する等の役割を担うものである。
【0052】
次に、上記構成を有する圧力センサS1の製造方法について述べる。各外部接続用端子12a〜12dがインサート成形されたケース10を用意する。シリコン系樹脂等よりなる接着剤を用いて、ケース10の凹部11内へセンサチップ20を台座21を介し接着固定する。
【0053】
そして、凹部11内へシール剤14を注入し、シール剤14を各外部接続用端子12a〜12dの側面の周囲へ行き渡らせた後、硬化させる。次に、ワイヤボンディングを行って、各外部接続用端子12a〜12dとセンサチップ20の各パッド22a〜22dとをワイヤ13a〜13dで結線する。
【0054】
そして、センサチップ20側を上にしてケース10を配置し、ケース10の上方から、ディスペンサ等によりフッ素オイル等よりなるオイル41を、凹部11へ一定量注入する。
【0055】
続いて、メタルダイアフラム34及び押さえ部材35が全周溶接され、圧力導入孔32の一端に気密接合されたハウジング30を用意し、このハウジング30を上から水平を保ったまま、ケース10に嵌合するように降ろす。この状態のものを真空室に入れて真空引きを行い圧力検出室40内の余分な空気を除去する。
【0056】
その後、ケース10とハウジング30の押さえ部材35とが十分接するまで押さえ、メタルダイアフラム34とOリング43によりシールされた圧力検出室40を形成する。
【0057】
次に、ハウジング30における本体部31の端部36をケース10にかしめることによりケース10と一体化する。こうして、ケース10とハウジング30との組合せ固定がなされ、図1に示す圧力センサS1が完成する。
【0058】
かかる圧力センサS1の基本的な圧力検出動作について述べる。圧力センサS1は、例えば、ハウジング30のネジ部33を介して、被測定部材(エアコンの冷媒配管や自動車の燃料配管等)の適所に取り付けられる。そして、この被測定部材内の被測定媒体(冷媒や燃料等)がハウジング30の圧力導入孔32より圧力センサS1内に導入される。
【0059】
すると、導入された被測定媒体による圧力がメタルダイアフラム34に印加され、メタルダイアフラム34には応力(歪み応力)が発生する。この応力は、圧力検出室40内のオイル41を介して、センサチップ20へ伝達され、センサチップ20の受圧面に印加される。
【0060】
そして、印加された圧力に応じたレベルの電気信号がセンサ信号として、センサチップ20から出力される。このセンサ信号は、センサチップ20の出力用パッド22aから出力用ワイヤ13a、出力用端子12aを介して、上記外部回路へ伝達される。以上が、圧力センサS1における基本的な圧力検出動作である。
【0061】
ところで、本実施形態では、センサチップ20と電源用端子12bとの間、および、センサチップ20と接地用端子12dとの間の少なくとも一方が、複数本のワイヤ13b、13dによって電気的に接続されており、複数本のワイヤ13b、13dは、センサチップ20において同一のパッド22b、22dに接続されていることを主たる特徴としている。
【0062】
それによれば、電源用ワイヤ13bおよび接地用ワイヤ13dの少なくとも一方のワイヤは、複数本であり、複数本のワイヤで接続されている端子12b、12dについては、センサチップ20側における複数本のワイヤ13b、13dの接続が同一パッド22b、22d上にて行われた形となる。
【0063】
そのため、センサチップ20側の回路における電源ラインおよび接地ラインの少なくとも一方のラインのうち複数本のワイヤ13b、13dを採用したラインにおいて、ワイヤの径を太くすることなくワイヤの抵抗を小さくすることができる。その結果、電磁波ノイズを低減することができる。
【0064】
ここで、図3は、接地用端子12dについてのみ3本のワイヤ13dを用いた場合についての回路構成を示す図である。この図3では、上記図5において、接地ラインのワイヤの抵抗構成が替わったものである。
【0065】
この図3に示すように、センサチップ20と接地用端子12dとの間を3本の接地用ワイヤ13dによって接続することにより、センサ回路200における接地ラインのワイヤ抵抗R1が、並列に接続された3個のR11、R12、R13から構成されている。
【0066】
その結果、接地ラインのワイヤ抵抗R1は、上記図5に示す従来のものよりも1/3に小さくできており、そのため、外部から電磁波ノイズが加わっても、、容量素子C1、C2の作用によって出力用端子Vccからのセンサ信号に加わるノイズを適切に除去することができる。
【0067】
具体的に、上記図3に示すようにセンサチップ20と接地用端子12dとの間を3本の接地用ワイヤ13dによって接続した回路構成を採用した場合のノイズ低減効果について図4(b)に示す。なお、図4(a)に、比較例として、上記図5に示した従来の回路構成の場合も示す。
【0068】
この図4に示すグラフは、圧力センサを金属製の容器に入れて電磁波を印加して試験した結果であり、印加する電磁波の周波数(単位:MHz)に対するセンサ信号の出力誤差(単位:%)を示している。ここでは、出力誤差の目標は±10%としている。
【0069】
図4(a)に示すように、従来の回路構成では、200MHz付近に高周波ノイズによる誤作動が生じている。それに対して、本実施形態では、図4(b)に示すように、広い周波数領域にわたって誤作動の発生を防止できている。
【0070】
また、上記したことから、電源用端子12b側および接地用端子12d側の両方について、複数本のワイヤ13b、13dによる接続構成を採用すれば、より効果的に電磁波ノイズの影響を低減することができることは明らかである。
【0071】
また、複数本のワイヤ13b、13dで接続する端子12b、12dについて、センサチップ20にはワイヤの数に対応して複数のパッドを設けるものではなく、同一のパッド22b、22dに複数本のワイヤを接続するようにしている。そのため、センサチップ20の面積増大を抑制することができる。
【0072】
よって、本実施形態によれば、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサ素子側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減することができる。
【0073】
なお、本発明のセンサ装置は、上記した圧力センサに限定されるものではなく、例えば温度検出用のセンサ素子を有する温度センサ等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサの全体概略断面図である。
【図2】図1の圧力センサにおけるセンサチップ及びその周辺部の拡大平面図である。
【図3】接地用端子に3本のワイヤを採用した例における回路構成図である。
【図4】実施形態の具体的な効果を示す図である。
【図5】従来のセンサ装置におけるセンサ回路の構成図である。
【符号の説明】
12a…外部接続用端子としての出力用端子、
12b…外部接続用端子としての電源用端子、
12c…外部接続用端子としての調整用端子、
12d…外部接続用端子としての接地用端子、
13a…ワイヤとしての出力用ワイヤ、
13b…ワイヤとしての電源用ワイヤ、
13c…ワイヤとしての調整用ワイヤ、
13d…ワイヤとしての接地用ワイヤ、
20…センサ素子としてのセンサチップ、22b…電源用パッド、
22d…接地用パッド。
【発明の属する技術分野】
本発明は、センサ素子と外部接続用端子とをワイヤを介して電気的に接続してなるセンサ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種のセンサ装置としては、例えば、圧力検出用のセンサ素子と、センサ素子とワイヤを介して電気的に接続された外部接続用端子(コネクタピン)とを備えたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ここで、一般に外部接続用端子は、センサ素子からのセンサ信号を出力するための出力用端子、センサ素子へ電源を供給するための電源用端子、および、接地用端子を有する複数の端子からなる。そして、これら各端子は、センサ素子側のパッドと、太さが数十〜数百μm程度の細いボンディングワイヤにて接続されている。
【0004】
また、この種のセンサ装置では、一般に、外部から受ける電磁波ノイズの影響を低減するため、センサ素子側の回路において電源用端子とつながる電源ラインや接地用端子とつながる接地ラインに、コンデンサ等の容量素子を介在させている。その場合の回路構成を図5に示す。
【0005】
図5において、センサ素子20側の回路であるセンサ回路200に対して、接地用端子GND、電源用端子Vcc、出力用端子Voutがワイヤによって接続されており、R1、R2、R3はそれぞれワイヤの抵抗値である。ここで、センサ素子20において、電源ラインと出力ラインとの間および接地ラインと出力ラインとの間にそれぞれ、容量素子C1、C2が設けられている。
【0006】
そして、電磁波ノイズNが、図5に示すように外部から加わったとき、容量素子C1、C2の作用によってセンサ信号(出力信号)に加わるノイズを除去するようにしている。
【0007】
【特許文献1】
特開7−243926号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記図5に示す回路構成においては、電磁波ノイズNを低減するためには、接地ラインにおけるワイヤの抵抗R1または電源ラインにおけるワイヤの抵抗R2が十分に小さい必要がある。
【0009】
しかしながら、上述したように、センサ素子20と各端子Vout、Vcc、GNDとの間は、1本の細いボンディングワイヤで接続されているため、接地ラインにおけるワイヤの抵抗R1、電源ラインにおけるワイヤの抵抗R2が大きく、出力信号に加わるノイズを除去する効果が十分に発揮されていないのが現状である。
【0010】
このような問題に対して、ワイヤの径太くすることが考えられるが、ワイヤの径が太くなると、ボンディング時の振動等によってセンサ素子に大きな応力が加わり、ワイヤの接合不良やワイヤの強度不足が生じてしまう。
【0011】
一方、外部接続用端子の側に容量素子を追加することも考えられるが、この場合、外部接続用端子の構成が複雑化し、大型化してしまう。
【0012】
そこで、本発明は上記問題に鑑み、センサ素子と外部接続用端子とをワイヤを介して電気的に接続してなるセンサ装置において、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサ素子側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、鋭意検討を行った。本発明者らは、ワイヤの径を太くするのではなく、ワイヤの本数を増加することにより、ワイヤの抵抗を下げることを考えた。
【0014】
しかしながら、単純にワイヤの本数を増加しようとすると、センサ素子における電源用端子との接続パッドや接地用端子との接続パッドの数を増加することになる。その場合、センサ素子側のパッド数の増加によってセンサ素子の面積が増加することになる。このことはひいては、コストアップにつながる。
【0015】
本発明は、電源ライン、接地ラインにおけるワイヤの本数を増やすとともに、このワイヤ本数の増加によるセンサ素子の面積増大を極力抑制することに着目して工夫を試みた結果、創出されたものである。
【0016】
すなわち、請求項1に記載の発明では、センサ素子(20)と、センサ素子とワイヤ(13a、13b、13c、13d)を介して電気的に接続された外部接続用端子(12a、12b、12c、12d)とを備え、外部接続用端子は、センサ素子からのセンサ信号を出力するための出力用端子(12a)、センサ素子へ電源を供給するための電源用端子(12b)、および、接地用端子(12d)を有する複数の端子からなるセンサ装置において、センサ素子と電源用端子との間、および、センサ素子と接地用端子との間の少なくとも一方は、複数本のワイヤ(13b、13d)によって電気的に接続されており、複数本のワイヤは、センサ素子において同一のパッド(22b、22d)に接続されていることを特徴とする。
【0017】
それによれば、センサ素子(20)と電源用端子(12b)との間を接続するワイヤ(13b)、および、センサ素子(20)と接地用端子(12d)との間を接続するワイヤ(13d)の少なくとも一方のワイヤは、複数本であり、複数本のワイヤで接続されている端子(12b、12d)については、センサ素子(20)側における複数本のワイヤ(13b、13d)の接続が同一パッド(22b、22d)上にて行われた形となる。
【0018】
そのため、センサ素子(20)側の回路(200)における電源ラインおよび接地ラインの少なくとも一方のラインのうち複数本のワイヤ(13b、13d)を採用したラインにおいて、ワイヤの径を太くすることなくワイヤの抵抗を小さくすることができる。その結果、電磁波ノイズを低減することができる。
【0019】
また、複数本のワイヤ(13b、13d)で接続する端子(12b、12d)について、センサ素子(20)にはワイヤの数に対応して複数のパッドを設けるものではなく、同一のパッド(22b、22d)に複数本のワイヤを接続するようにしている。そのため、センサ素子(20)の面積増大を抑制することができる。
【0020】
よって、本発明によれば、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサ素子側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減することができる。
【0021】
請求項2に記載の発明では、センサ素子(20)と電源用端子(12b)との間、および、センサ素子と接地用端子(12d)との間の両方が、複数本のワイヤ(13b、13d)によって電気的に接続されていることを特徴とする。
【0022】
このように、電源用端子(12b)側および接地用端子(12d)側の両方について、複数本のワイヤ(13b、13d)による接続構成を採用することにより、より効果的に電磁波ノイズの影響を低減することができることから、好ましい。
【0023】
なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1は本実施形態に係るセンサ装置としての圧力センサS1の全体概略を示す断面図であり、この圧力センサS1は例えば、自動車に搭載され、エアコンの冷媒圧や自動車の燃料噴射系の燃料圧を検出するものに適用することができる。
【0025】
また、図2は、図1に示す圧力センサS1においてセンサチップ20及びその周辺部をセンサチップ20の受圧面(図1中、下方側の面)側から視た拡大平面図である。
【0026】
10はケース(コネクタケース)であり、本例では、このケース10は、PPS(ポリフェニレンサルファイド)やPBT(ポリブチレンテレフタレート)等の樹脂を型成形することにより作られ、略円柱状をなしている。このケース10の一端面(図1中、下方側の端面)には凹部11が形成されている。
【0027】
この凹部11には、センサ素子として、圧力の印加に応じたレベルの電気信号を出力する圧力検出用のセンサチップ20が配設されている。本例のセンサチップ20は、受圧面としてのダイアフラム(図示せず)を有し、受けた圧力を電気信号に変換しこの電気信号をセンサ信号として出力する半導体ダイアフラム式のものである。
【0028】
また、センサチップ20内には、上記した圧力の印加に応じたレベルの電気信号(センサ信号)を出力するための図示しない集積回路(センサ回路)が形成されている。そして、センサチップ20は、ガラス等よりなる台座21に陽極接合等により一体化されて、台座21を凹部11の底面に接着することで、ケース10に搭載されている。
【0029】
また、凹部11内におけるセンサチップ20の周囲には、複数個の外部接続用端子(ターミナル)12a、12b、12c、12dが配設されている(図2参照、図1では12dは図示されていない)。
【0030】
これら外部接続用端子12a〜12dは、センサチップ20と外部の回路(車両のECU等)等とを電気的に接続するためのものであり、例えば、黄銅(真鍮)にメッキ処理(例えばNiメッキ)を施した金属よりなる。
【0031】
本例では、各外部接続用端子12a〜12dは棒状をなし、インサートモールドによりケース10と一体に成形されてケース10内に保持されている(図1参照)。そして、各外部接続用端子12a〜12dの一端側(図1中、下方端側)の部位が、凹部11内におけるセンサチップ20の周囲において凹部11の底面から突出している。
【0032】
また、図2に示す様に、センサチップ20の受圧面側には、上記集積回路における出力用および電源用を含む複数のパッド22a、22b、22c、22dが形成されており、上記外部接続用端子12a〜12dは、これら複数個のパッド22a〜22dに対応して複数個設けられている。
【0033】
本例では、図2に示す様に、センサチップ20に形成された各パッドは、センサ信号を出力するための出力用パッド22a、上記集積回路へ電源を供給するための電源用パッド22b、製造時にセンサ信号を調整する際に使用する調整用パッド22c、さらには、接地用パッド(GNDパッド)22dの4個により構成されている。
【0034】
これら出力用パッド22a、電源用パッド22b、調整用パッド22c、接地用パッド22dに対応して、外部接続用端子としては、出力用端子(Vout)12a、電源用端子(Vcc)12b、調整用端子(Vc)12c、接地用端子(GND)12dが設けられている。
【0035】
そして、各パッド22a〜22dは、それぞれ対応する外部接続用端子12a〜12dの一端側の端面に、金やアルミニウム等のワイヤボンディングにより形成されたワイヤ13a、13b、13c、13dを介して結線され電気的に接続されている。
【0036】
ここで、出力用のパッド22aおよび端子12a、電源用のパッド22bおよび端子12b、調整用のパッド22cおよび端子12c、接地用のパッド22dおよび端子12dに対応するワイヤを、それぞれ、出力用ワイヤ13a、電源用ワイヤ13b、調整用ワイヤ13c、接地用ワイヤ13dとする。
【0037】
ここで、本実施形態では、センサチップ20と電源用端子12bとの間、および、センサチップ20と接地用端子12dとの間の少なくとも一方が、複数本のワイヤ13b、13dによって電気的に接続され、複数本のワイヤが接続される端子13b、13dについてはは、センサチップ20において複数本のワイヤが同一のパッドに接続された構成を採用する。
【0038】
本例では、図2に示すように、1個の接地用パッド22dと接地用端子12dとの間が3本のワイヤ13dにより電気的に接続され、それ以外のパッドと外部接続用端子との間は1本のワイヤ13a、13b、13cにより電気的に接続されている。
【0039】
なお、本実施形態では、接地用端子12dについてのみ3本のワイヤ13dを用いる以外にも、図2中の破線にて示されるワイヤのように、電源用端子12bについてのみ3本のワイヤ13bを用いてもよいし、接地用端子12dおよび電源用端子12bの両方とも3本のワイヤ構成としてもよい。
【0040】
さらには、すべての外部接続用端子12a〜12dについて3本のワイヤ構成を採用してもよい。また、ワイヤを複数本とする場合には、2本であってもよいし、4本以上であってもよい。
【0041】
また、図1に示す様に、各外部接続用端子12a〜12dの側面の周囲には、ケース10と外部接続用端子12a〜12dとの隙間を封止するためのシール剤14が設けられている。
【0042】
このシール剤14は例えばシリコン系樹脂よりなるもので、このシール剤14により、もし、外部接続用端子12a〜12dが突出する凹部11の底面部分に隙間があってもその隙間は封止される。
【0043】
一方、図1において、ケース10の他端側(図1中、上方端側)は、外部接続用端子12a〜12dの他端側を例えばワイヤハーネス等の外部配線部材(図示せず)を介して上記外部回路(車両のECU等)に電気的に接続するための接続部15となっている。
【0044】
こうして、センサチップ20と外部との間の信号の伝達は、ワイヤ13a〜13d及び外部接続用端子12a〜12dを介して行われるようになっている。
【0045】
次に、図1において、30はハウジングであり、例えばステンレス(SUS)等の金属材料よりなる本体部31を備える。この本体部31は、被測定媒体(上記したエアコンの冷媒や自動車の燃料等)が導入される圧力導入孔32と、圧力センサS1を被測定部材(エアコンの冷媒配管や自動車の燃料配管等)に固定するためのネジ部33とを有する。
【0046】
更に、ハウジング30は、薄い金属(例えばSUS等)製のメタルダイアフラム34と金属(例えばSUS等)製の押さえ部材(リングウェルド)35とが本体部31に全周溶接され、圧力導入孔32の一端に気密接合されたものとなっている。そして、メタルダイアフラム34はケース10の凹部11の開口部を覆うように設けられている。
【0047】
このハウジング30は、図1に示す様に、本体部31の端部36をケース10にかしめることによりケース10と固定され一体化されている。こうして組み合わせられたケース10とハウジング30において、ケース10の凹部11とハウジング30のメタルダイアフラム34との間で、圧力検出室40が構成されている。
【0048】
この圧力検出室40には圧力伝達媒体であるオイル(フッ素オイル等)41が封入されている。このオイル41は、センサチップ20、外部接続用端子12a〜12d及びワイヤ13a〜13d等の電気接続部分を覆うように、凹部11内に充填されている。そして、オイル41は、凹部11の開口部を覆うメタルダイアフラム34により、凹部11内に封止された形となる。
【0049】
また、圧力検出室40の外周囲には、環状の溝(Oリング溝)42が形成され、この溝42内には、圧力検出室40を気密封止するためのOリング43が配設されている。
【0050】
このOリング43は例えばシリコンゴム等の弾性材料よりなり、ケース10とハウジング30の押さえ部材35とにより挟まれて押圧されている。こうして、メタルダイアフラム34とOリング43とにより圧力検出室40が封止され閉塞されている。
【0051】
なお、本例では、上記溝42内には、Oリング43の外周にバックアップリング44が設けられている。このバックアップリング44は、例えば4フッ化エチレン樹脂等の樹脂材料よりなり、Oリング43が広がったときにOリング43がケース10と押さえ部材35との隙間に入り込んで損傷するのを防止する等の役割を担うものである。
【0052】
次に、上記構成を有する圧力センサS1の製造方法について述べる。各外部接続用端子12a〜12dがインサート成形されたケース10を用意する。シリコン系樹脂等よりなる接着剤を用いて、ケース10の凹部11内へセンサチップ20を台座21を介し接着固定する。
【0053】
そして、凹部11内へシール剤14を注入し、シール剤14を各外部接続用端子12a〜12dの側面の周囲へ行き渡らせた後、硬化させる。次に、ワイヤボンディングを行って、各外部接続用端子12a〜12dとセンサチップ20の各パッド22a〜22dとをワイヤ13a〜13dで結線する。
【0054】
そして、センサチップ20側を上にしてケース10を配置し、ケース10の上方から、ディスペンサ等によりフッ素オイル等よりなるオイル41を、凹部11へ一定量注入する。
【0055】
続いて、メタルダイアフラム34及び押さえ部材35が全周溶接され、圧力導入孔32の一端に気密接合されたハウジング30を用意し、このハウジング30を上から水平を保ったまま、ケース10に嵌合するように降ろす。この状態のものを真空室に入れて真空引きを行い圧力検出室40内の余分な空気を除去する。
【0056】
その後、ケース10とハウジング30の押さえ部材35とが十分接するまで押さえ、メタルダイアフラム34とOリング43によりシールされた圧力検出室40を形成する。
【0057】
次に、ハウジング30における本体部31の端部36をケース10にかしめることによりケース10と一体化する。こうして、ケース10とハウジング30との組合せ固定がなされ、図1に示す圧力センサS1が完成する。
【0058】
かかる圧力センサS1の基本的な圧力検出動作について述べる。圧力センサS1は、例えば、ハウジング30のネジ部33を介して、被測定部材(エアコンの冷媒配管や自動車の燃料配管等)の適所に取り付けられる。そして、この被測定部材内の被測定媒体(冷媒や燃料等)がハウジング30の圧力導入孔32より圧力センサS1内に導入される。
【0059】
すると、導入された被測定媒体による圧力がメタルダイアフラム34に印加され、メタルダイアフラム34には応力(歪み応力)が発生する。この応力は、圧力検出室40内のオイル41を介して、センサチップ20へ伝達され、センサチップ20の受圧面に印加される。
【0060】
そして、印加された圧力に応じたレベルの電気信号がセンサ信号として、センサチップ20から出力される。このセンサ信号は、センサチップ20の出力用パッド22aから出力用ワイヤ13a、出力用端子12aを介して、上記外部回路へ伝達される。以上が、圧力センサS1における基本的な圧力検出動作である。
【0061】
ところで、本実施形態では、センサチップ20と電源用端子12bとの間、および、センサチップ20と接地用端子12dとの間の少なくとも一方が、複数本のワイヤ13b、13dによって電気的に接続されており、複数本のワイヤ13b、13dは、センサチップ20において同一のパッド22b、22dに接続されていることを主たる特徴としている。
【0062】
それによれば、電源用ワイヤ13bおよび接地用ワイヤ13dの少なくとも一方のワイヤは、複数本であり、複数本のワイヤで接続されている端子12b、12dについては、センサチップ20側における複数本のワイヤ13b、13dの接続が同一パッド22b、22d上にて行われた形となる。
【0063】
そのため、センサチップ20側の回路における電源ラインおよび接地ラインの少なくとも一方のラインのうち複数本のワイヤ13b、13dを採用したラインにおいて、ワイヤの径を太くすることなくワイヤの抵抗を小さくすることができる。その結果、電磁波ノイズを低減することができる。
【0064】
ここで、図3は、接地用端子12dについてのみ3本のワイヤ13dを用いた場合についての回路構成を示す図である。この図3では、上記図5において、接地ラインのワイヤの抵抗構成が替わったものである。
【0065】
この図3に示すように、センサチップ20と接地用端子12dとの間を3本の接地用ワイヤ13dによって接続することにより、センサ回路200における接地ラインのワイヤ抵抗R1が、並列に接続された3個のR11、R12、R13から構成されている。
【0066】
その結果、接地ラインのワイヤ抵抗R1は、上記図5に示す従来のものよりも1/3に小さくできており、そのため、外部から電磁波ノイズが加わっても、、容量素子C1、C2の作用によって出力用端子Vccからのセンサ信号に加わるノイズを適切に除去することができる。
【0067】
具体的に、上記図3に示すようにセンサチップ20と接地用端子12dとの間を3本の接地用ワイヤ13dによって接続した回路構成を採用した場合のノイズ低減効果について図4(b)に示す。なお、図4(a)に、比較例として、上記図5に示した従来の回路構成の場合も示す。
【0068】
この図4に示すグラフは、圧力センサを金属製の容器に入れて電磁波を印加して試験した結果であり、印加する電磁波の周波数(単位:MHz)に対するセンサ信号の出力誤差(単位:%)を示している。ここでは、出力誤差の目標は±10%としている。
【0069】
図4(a)に示すように、従来の回路構成では、200MHz付近に高周波ノイズによる誤作動が生じている。それに対して、本実施形態では、図4(b)に示すように、広い周波数領域にわたって誤作動の発生を防止できている。
【0070】
また、上記したことから、電源用端子12b側および接地用端子12d側の両方について、複数本のワイヤ13b、13dによる接続構成を採用すれば、より効果的に電磁波ノイズの影響を低減することができることは明らかである。
【0071】
また、複数本のワイヤ13b、13dで接続する端子12b、12dについて、センサチップ20にはワイヤの数に対応して複数のパッドを設けるものではなく、同一のパッド22b、22dに複数本のワイヤを接続するようにしている。そのため、センサチップ20の面積増大を抑制することができる。
【0072】
よって、本実施形態によれば、ワイヤ径を太くすることなく且つ小型化に適した構成とすることによって適切にセンサ素子側の回路に対する電磁波ノイズの影響を低減することができる。
【0073】
なお、本発明のセンサ装置は、上記した圧力センサに限定されるものではなく、例えば温度検出用のセンサ素子を有する温度センサ等にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る圧力センサの全体概略断面図である。
【図2】図1の圧力センサにおけるセンサチップ及びその周辺部の拡大平面図である。
【図3】接地用端子に3本のワイヤを採用した例における回路構成図である。
【図4】実施形態の具体的な効果を示す図である。
【図5】従来のセンサ装置におけるセンサ回路の構成図である。
【符号の説明】
12a…外部接続用端子としての出力用端子、
12b…外部接続用端子としての電源用端子、
12c…外部接続用端子としての調整用端子、
12d…外部接続用端子としての接地用端子、
13a…ワイヤとしての出力用ワイヤ、
13b…ワイヤとしての電源用ワイヤ、
13c…ワイヤとしての調整用ワイヤ、
13d…ワイヤとしての接地用ワイヤ、
20…センサ素子としてのセンサチップ、22b…電源用パッド、
22d…接地用パッド。
Claims (2)
- センサ素子(20)と、
前記センサ素子とワイヤ(13a、13b、13c、13d)を介して電気的に接続された外部接続用端子(12a、12b、12c、12d)とを備え、
前記外部接続用端子は、前記センサ素子からのセンサ信号を出力するための出力用端子(12a)、前記センサ素子へ電源を供給するための電源用端子(12b)、および、接地用端子(12d)を有する複数の端子からなるセンサ装置において、
前記センサ素子と前記電源用端子との間、および、前記センサ素子と前記接地用端子との間の少なくとも一方は、複数本の前記ワイヤ(13b、13d)によって電気的に接続されており、
前記複数本のワイヤは、前記センサ素子において同一のパッド(22b、22d)に接続されていることを特徴とするセンサ装置。 - 前記センサ素子(20)と前記電源用端子(12b)との間、および、前記センサ素子と前記接地用端子(12d)との間の両方が、複数本の前記ワイヤ(13b、13d)によって電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載のセンサ装置。
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- 2003-05-19 JP JP2003139897A patent/JP2004340846A/ja not_active Withdrawn
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