JP2004340679A - 液体分注装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】1つのデバイスで液体吸引機能と高精度の液体吐出機能とを具備する分注ヘッドを用いることにより、簡便な構成でありながら高精度の分注吐出機能を有する液体分注装置を提供する。
【解決手段】本発明の液体分注装置は、内部に試料流路45を備え先端部に吸引吐出用のノズル口10を有する流路部材11と、流路部材11を吐出方向に沿って移動させる駆動手段である圧電素子9とを備え、ノズル口10を試料液体に浸漬した状態で圧電素子9によって流路部材11を吐出方向に沿って連続的に進退移動させることによりノズル口10から試料流路45内に前記試料液体を吸引するとともに、圧電素子9によって流路部材11を吐出方向に沿って移動させることにより試料流路45内に保持された試料液体をノズル口10から吐出させるように構成されている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料液体を微少量に分注する液体分注装置、特に、DNAや蛋白、血液等の生体に由来する有機化合物を含む溶液や試薬を分注する液体分注装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
試薬や試料等の試料液体を微少量に分注する従来技術としては、微小流体処理装置において、圧電吐出ヘッドを利用した分注技術(例えば、特許文献1参照)が提案されている。
この従来技術は、図17に示す微量流体処理装置210を用いて、ガラス毛細管に取り付けられた圧電変換器を使用するマイクロディスペンサ216と、マイクロディスペンサ216に移送流体218を充填したり、マイクロディスペンサ216から移送流体218を吸引したり、システム流体220の圧力を制御したり、移送と移送との間にマイクロディスペンサ216を洗浄したりする容積式ポンプ212と、システム流体220の圧力を測定するとともに対応する電気信号を発する圧力センサ214とを具備して成る。
この微量流体処理装置210による液体の分注は、まず洗浄ステーションにてマイクロディスペンサ216の洗浄を行い、次に容積ポンプ212により移送流体218(本発明における吐出する試料液体に相当する)をマイクロディスペンサ216内に吸引し、その後、マイクロディスペンサ216により移送流体218を吐出するという手順で実行される。
【0003】
また、試薬や試料等の試料液体を微少量に分注する他の従来技術としては、1つのデバイスで試料液体の吸引と吐出とを行う分注技術(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
この従来技術は、図18の断面図に示す超音波ポンプ230によって試料液体の吸引と吐出とを行うものであり、この超音波ポンプ230は、超音波発生手段231により発生させた超音波によって収容容器232内の試料液体を軸体の液体吸込口233より吸引し、連通孔234を介して液体吐出口235から試料液体を噴霧状に吐出するように構成されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平10−114394号公報
【特許文献2】
特開平10−238500号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1記載の微量流体処理装置210は、マイクロディスペンサ216と容積式ポンプ212とを組み合わせて用いているので構成部品が多く、装置構成が複雑である。一方、特許文献2記載のものは、1つの超音波ポンプ230で液体の吸引と吐出との両方を行い得るように構成されているが、吐出形態が噴霧状に限定されるので微小量の液体を高精度に吐出することは困難であり、例えばDNAチップのスポッターのように試料液体をナノリットルオーダーで高精度に分注する用途には適していない。
【0006】
本発明は上記の問題に着目してなされたものであり、1つのデバイスで液体の吸引機能とナノリットルオーダーの液体吐出機能とを具備する分注ヘッドを用いることにより、簡便な構成でありながら高精度の分注吐出機能を有する液体分注装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の第1発明は、試料液体を微少量に分注する液体分注装置であって、内部に流路を備えるとともに先端部に吸引吐出用の開口を有する流路部材と、前記流路部材を吐出方向に沿って移動させる駆動手段とを備え、前記吸引吐出用の開口を試料液体に浸漬した状態で前記駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させることにより、前記吸引吐出用の開口から前記流路内に前記試料液体を吸引するとともに、前記駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って移動させることにより、前記流路内に保持された試料液体を前記吸引吐出用の開口から吐出させるようにしたことを特徴とする。
【0008】
第1発明では、流路部材の先端部の吸引吐出用の開口を試料液体に浸漬した状態で、駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させると、前記吸引吐出用の開口から前記流路内に試料液体が吸引され、前記駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って移動させると、前記流路部材の流路内に保持された試料液体が前記吸引吐出用の開口から吐出される。
第1発明によれば、1つの駆動手段で試料液体の吸引と吐出とを実現するようにしたので、吸引のためのポンプを別途設ける必要がなく、装置構成の簡便化が可能である。したがって、簡便な構成でありながら高精度の分注吐出機能を有する液体分注装置を提供することができる。
【0009】
請求項2に記載の第2発明は、前記駆動手段は、その内部に前記流路部材を挿入可能な略円筒形状に形成されており、かつ、前記駆動手段は、その半径方向に伸縮振動する固有振動モードの超音波振動によって前記流路部材を連続的に吐出方向に沿って進退移動させることを特徴とする。
【0010】
第2発明によれば、前記駆動手段の内部は、前記流路部材を挿入可能な略円筒形状に形成されており、かつ、前記駆動手段は、その半径方向に伸縮振動する固有振動モードの超音波振動によって前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させるように構成されているので、略円筒形状に形成された前記駆動部材内に前記流路部材を挿入することにより、前記流路部材および前記駆動部材によって構成される吐出ヘッドの全長を短くすることが可能になる。
【0011】
上記目的を達成するため、請求項3に記載の第3発明は、試料液体を微少量に分注する液体分注装置であって、内部に流路を備えるとともに先端部に吸引吐出用の開口を有する流路部材と、前記流路部材を複数個収容する収容部材と、前記吸引吐出用の開口を試料液体に浸漬した状態で前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させることにより前記吸引吐出用の開口から前記流路内に前記試料液体を吸引するとともに、前記流路部材を吐出方向に沿って移動させることにより前記流路内に保持された試料液体を前記吸引吐出用の開口から吐出させる駆動手段と、前記駆動手段と前記流路部材とを着脱自在に連結する連結手段と、前記連結手段によって連結した前記駆動手段と前記流路部材とを、前記収容部と、試料液体吸引位置と、試料液体吐出位置とに搬送する搬送手段とを備えることを特徴とする
【0012】
第3発明では、収容部において収容部材に収容された複数個の流路部材の何れか1つと駆動手段とを連結手段によって連結し、搬送手段によって試料液体吸引位置に搬送した後に、流路部材の先端部の吸引吐出用の開口を試料液体に浸漬した状態で、駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させると、前記吸引吐出用の開口から前記流路内に試料液体が吸引され、搬送手段によって試料液体吐出位置に搬送した後、前記駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って移動させると、前記流路部材の流路内に保持された試料液体が前記吸引吐出用の開口から吐出される。
第3発明によれば、上記第1発明と同様の作用効果が得られる上に、複数種類の試料液体を分注する際に、1種類目の試料液体を流路部材に吸引して吐出した後に、連結手段によって別の流路部材を駆動手段に連結した状態で2種類目の試料液体を流路部材に吸引して吐出すればよいので、流路部材の洗浄を行わない構成となるため洗浄ポンプや洗浄槽や配管等が不要となり、装置構成の更なる簡便化が可能になる。また、1つの流路部材では1種類の試料液体だけしか取り扱わないので、流路部材を介してキャリーオーバーが生じることもない。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は本発明の第1実施形態の液体分注装置の全体構成を概略的に示す図である。本実施形態の液体分注装置を構成する主要な構成要素は、図1に示すように、吐出ヘッド部1、送気ポンプ2、洗浄水タンク3および洗浄ポンプ4であり、吐出ヘッド部1は、共通配管部5c、送気配管5aおよび電磁弁6aを介して送気ポンプ2に接続されるとともに、共通配管部5c、送水配管5b、電磁弁6bおよび洗浄ポンプ4を介して洗浄水タンク3に接続されている。送気配管5a、送水配管5bおよび共通配管部5cとしては、例えばテフロン(登録商標)配管を用いるものとする。
【0014】
吐出ヘッド部1は、架台ブロック7と、架台ブロック7に固定された吐出ヘッド8とから成る。吐出ヘッド8は、中空円筒型の圧電素子9と、圧電素子9の内部空間に収容される流路部材11とから成り、流路部材11の一端(図示下端)にはノズル部19が形成されている。本実施形態では、圧電素子9は、外径φ3mm、内径φ2mm、長さ30mmであり、流路部材11は、内部に直径φ0.8mmの試料流路45を有しており、ノズル部19の先端にはφ0.2mmのノズル口10が設けられている。
【0015】
架台ブロック7は、内部に流路16を有しており、流路16は架台ブロック7内で図示上下および左の三方向に分岐されている。図示下方向に分岐した流路16は、Oリング21を介して流路部材11の試料流路45に接続されており、図示上方向に分岐した流路16は、大気開放電磁弁12に連通しており、図示左方向に分岐した流路16は、共通配管部5cに連通している。
【0016】
中空円筒型の圧電素子9は、一端(図示上端)が架台ブロック7の下端部に固定されており、圧電素子の他端(図示下端)には、継手20を介して流路部材11が固定されている。圧電素子9の内周面および外周面にはそれぞれ電極が設けられており、内周面をグラウンドにするようにして径方向に分極されており、図示しない駆動回路基板から駆動電圧を印加するように構成されている。
【0017】
吐出ヘッド部1は、さらに、図示しない移動手段に把持されている。吐出ヘッド部1は、移動手段によって、液体試料容器13が設けられた試料液体吸引位置と、液体吐出基板14が設けられた試料液体吐出位置と、洗浄槽15が設けられた洗浄位置との間で、所望の位置に移動させるように構成されている。
【0018】
次に、本実施形態の液体分注装置の各種工程を説明する。
[ノズル部の洗浄工程]
まず、図示しない移動手段により吐出ヘッド部1を洗浄槽15の上方まで移動させてから下降させ、ノズル部19を洗浄槽15内の洗浄液に浸漬する。その後、流路部材11の試料流路45およびノズル部19の外周面を以下のようにして洗浄する。すなわちまず、大気開放電磁弁12と送気配管5aに設けた電磁弁6aとを閉じておき、その状態で送水配管5bに設けた電磁弁6bを開放してから洗浄ポンプ4を作動させることにより、洗浄水タンク3内の洗浄水を架台ブロック7内の流路16に導入し、流路16内を流れる洗浄水によって流路部材11の試料流路45を洗浄する。このとき、洗浄槽15には、図示しない配管を経て外部から洗浄水が供給され、洗浄槽15の導入口17から排出口18へ向かう洗浄水の流れが形成されるので、この洗浄水の流水洗浄効果によって流路部材11のノズル部19の外周面を洗浄することができる。なお、上述した流路部材11の試料流路45およびノズル部19の外周面の洗浄動作は、一定時間継続して行うものとする。
【0019】
[試料液体の吸引工程]
上記洗浄工程の完了後、洗浄ポンプ4の作動を停止させて電磁弁6bを閉じてから、吐出ヘッド部1を洗浄槽15の上方に移動させる。その後、電磁弁6aを開放してから送気ポンプ2を作動させることにより、架台ブロック7内の流路16に空気を送り込み、流路16内の洗浄水をノズル口10から外部へ排出して、流路16および試料流路45の内部を空気で置換する。次に、吐出ヘッド部1を液体試料容器13の上方に移動させてから下降させ、図2に示すようにノズル部19のノズル口10を液体試料容器13内の試料液体に浸漬する。その後、大気開放電磁弁12を開放して流路16を外部大気に開放する。
【0020】
この状態で、円筒型の圧電素子9に、圧電素子9がその半径方向に伸縮振動する固有振動モードの超音波振動による連続正弦波電圧を駆動電圧として印加する。この固有振動モードは、いわゆる呼吸振動モードと呼ばれるものであり、円筒型の振動体が半径方向に伸縮振動するとともに軸方向にも伸縮する振動モードである。このような呼吸振動を利用することにより、円筒型の圧電素子9が軸方向に伸縮振動するので、圧電素子9に連結された流路部材11も軸方向(吐出方向;図1の場合、上下方向)に沿って振動(進退移動)することになる。
【0021】
このとき、ノズル部19の先端部では、端面から試料液体中に向かって超音波が伝達されるので、この超音波によってノズル口10からノズル部19内に液体(試料液体)を吸込むような対流が発生し、この対流によってノズル口10から試料液体が吸引され、圧電素子9は超音波ポンプとして機能することになる。また、超音波は空気の場合よりも液体の場合の方が伝達性が高く、かつ、試料流路45の上側は大気開放電磁弁12を介して大気に開放されているので、試料液体には上方へ向かう軸心流が作用し、この軸心流によって試料液体は上方へ押し上げられ、試料流路45内へ吸引されることになる。
【0022】
上記吸引工程により所望量の試料液体を吸引した時点で、連続正弦波電圧の印加を停止し、それと同時に大気開放電圧12を閉じる。これにより、試料流路45内に吸引された液体が保持されることになる。上記固有振動モードの超音波振動を用いた場合に吸引される液体の量は、ノズル口10の口径、駆動電圧値、電圧加時間等によって決定されるが、本実施形態では、口径φ0.2mmのノズル口10を有するノズル部19を用いて、60V、66KHzの正弦波を0.2秒間印加するように設定したので、10.0μLの試料液体が吸引されることになる。
【0023】
[試料液体の吐出工程]
上記試料液体の吸引工程の完了後、吐出ヘッド部1を液体吐出基板14の上方に移動させてから所定位置まで下降させ、その状態で試料液体の吐出を行う。この吐出動作時には、図3に示すような駆動電圧波形(正のパルス電圧)を圧電素子9に印加する。図3の正のパルス電圧の印加前には、吐出ヘッド8は、図4(a)に示す基底状態となっている。吐出動作時には、印加される図3の正のパルス電圧に応じて、圧電素子9は図4(b)に示すように軸方向に収縮し、流路部材11もそれに伴い図中上方向へ移動する。このとき、流路部材11の試料流路45内に保持された試料液体は流路部材11の急激な移動に追従できないため、試料液体には流路部材11の移動方向と逆方向の慣性力が作用する。その結果、試料流路45の先端部の圧力が上昇するので、ノズル口10から試料液体が吐出されることになる。
【0024】
上記吐出動作において吐出される液体の量は、試料液体の物性や駆動電圧値等によって決定されるが、本実施形態では、60V、100μsecの矩形波を印加するように設定したので、3nLの試料液体が吐出されることになる。
【0025】
上記のようにして液体吐出基板14の所望の位置に試料液体を吐出した後、吐出ヘッド部1を洗浄槽15へ移動させて、再び試料流路45およびノズル部19の外周面の洗浄を行う。以下同様にして、洗浄工程〜試料液体吸引工程〜試料液体吐出工程を繰り返すことにより、所望の種類の試料液体を液体吐出基板14上へ吐出することになる。
【0026】
本実施形態の液体分注装置によれば、1つの駆動手段である圧電素子9を備える吐出ヘッド8によって試料液体の吸引と吐出とを実現するようにしたので、吸引のためのポンプを別途設ける必要がなく、装置構成の簡便化が可能である。したがって、簡便な構成でありながら高精度の分注吐出機能を有する液体分注装置を提供することができる。また、圧電素子9を中空円筒型にしたため、圧電素子9の内部に流路部材45を挿入することにより、流路部材45および圧電素子9によって構成される吐出ヘッド8の全長を短くすることができる。
【0027】
図5は本発明の第1実施形態の液体分注装置の変形例の全体構成を概略的に示す図である。この変形例は、図5に示すように、図1に示す第1実施形態の液体分注装置から洗浄タンク3、洗浄水タンク4、送水配管5bおよび電磁弁6bを削除するとともに、吐出ヘッド部1に対し、流路16の経路変更および大気開放電磁弁12の設置位置変更を行ったものである。
【0028】
この変形例における試料液体の吸引工程および吐出工程は上記第1実施形態と同様であるが、洗浄工程は以下のように変更される。
[ノズル部の洗浄工程]
まず、図示しない移動手段により吐出ヘッド部1を洗浄槽15の上方まで移動させてから下降させ、ノズル口10を洗浄槽15内の洗浄液に浸漬する。次に、大気開放電磁弁12を閉じるとともに送気配管5aに設けた電磁弁6aを開き、その状態で送気ポンプ2を作動させることにより架台ブロック7内の流路16に空気を送気して、試料流路45内に残留している試料液体をノズル口10から外部に排出する。その後、上述した試料液体の吸引工程と同様にして圧電素子9に連続正弦波電圧を印加することにより、図6に示すようにノズル口10より流路部材11の内部に洗浄水を吸引する。このとき、流路部材11の内周面は、吸引される洗浄液の流水洗浄効果に加えて、流路部材11自体の超音波振動による洗浄現象が作用するので、単純に洗浄水を流す場合よりも洗浄効果を高めることが可能になる。このようにして一定量の洗浄水を吸引した後に、再度送気ポンプ2を作動させることにより流路16に空気を送気して試料流路45内の洗浄水をノズル口10から外部に排出して、流路16および流路部材11内の試料流路45の内部を空気で置換する。
【0029】
なお、図7に示すように、流路部材11のノズル部19の端面の直径を大きくした場合には、試料液体中に伝達する超音波が増大するので、試料液体中に発生する対流も大きくなり、ノズル口10から吸引される液体の量が増加する。ただし、発明者等は実験により、ノズル口径φ0.2mm、ノズル部19の端面直径φ1.6mmの場合には吸引現象が発生するが、ノズル口径φ0.8mm、端面直径φ1.6mmの場合には吸引現象が発生しないことを確認した。この実験結果に基づき、試料液体を確実に吸引するためには、ノズル部19の端面の直径Dを、ノズル口10の直径dの少なくとも2倍以上にする必要がある、と結論付けられる。
【0030】
また、図7において、ノズル部19の内部の流路の先端テーパ角度θは、なるべく大きい角度とすることが望ましい。ノズル部19のテーパ部が上下方向に超音波振動することによって試料流路45内に吸引された液体に超音波が伝達し、液体をさらに上方向に押し上げる作用が得られるため、先端テーパ角度θを大きくした場合、単位時間当たりの吸引量が増加する効果が得られる。
【0031】
また、高分子溶液を吸引する際には、吸引時間をなるべく短くすることが望ましい。その理由は、超音波の照射によって高分子の分子鎖が切断されることを避けるためである。一般的には、高分子溶液の分子鎖を完全に切断するためには数分から数十分間超音波を照射する必要があるので、本実施形態のように吸引時間が1秒以下であればほとんど問題になることはないが、上記本実施形態の場合よりも多量の液体を吸引する場合には、吸引時間に関する注意が必要である。
【0032】
また、本実施形態による固有振動モードの超音波振動を利用した液体の吸引方法では、超音波キャビテーションによって試料液体に気泡が発生する可能性があり、試料液体中に気泡が存在すると吐出量のばらつきの原因となるので好ましくない。気泡の発生を防止するためには、吸引中に発生した気泡が上昇して水面に達するまで一定時間待機してから吐出動作に行うことが効果的である。気泡の上昇速度は気泡の大きさや試料液体の粘性等によって異なるが、本実施形態では、試料として純水を用い、吸引後10秒間待機することによって、目視で確認できるような大きい気泡はほとんど水面まで上昇して消えることを確認した。また、予め試料液体を脱気しておくことにより、気泡の発生を抑制する方法も効果的である。
【0033】
なお、本実施形態では、圧電素子9の駆動電圧波形として、圧電素子9が半径方向に伸縮振動するとともに軸方向にも伸縮する呼吸振動モードの超音波振動を励起する波形(例えば連続正弦波)を用いたが、駆動電圧波形はこれに限定されるものではなく、流路部材11が軸方向に進退移動する振動を励起する波形であればどのようなものでもよい。例えば、圧電素子9が軸方向にのみ伸縮する縦振動モードの超音波振動を励起する波形でもよく、また、流路部材11が軸方向に伸縮する縦振動モードの超音波振動を励起する波形を駆動電圧波形として用いても、上記と同様に超音波ポンプによる吸引作用を発生することができる。
【0034】
図8は本発明の第2実施形態の液体分注装置の構成を示す正面図であり、図9は本発明の第2実施形態の液体分注装置の構成を示す平面図である。なお、図8および図9は、一部に断面を含んでいる。本実施形態の液体分注装置は、吐出ターゲットとしてのスライドガラス30を搭載するXYステージ31と、流路部材32を収容する流路部材収容部33と、XYZ3軸ロボットアーム34と、XYZ3軸ロボットアーム34に保持される吐出ヘッドユニット35と、液体試料容器36とを具備して成る。
【0035】
流路部材32は、図10に示すように、内部に流路37を有するとともに先端にφ0.2mmのノズル口38を備えている。流路部材収容部33には、縦4列×横4列=合計16本の流路部材32が収容されている。
【0036】
吐出ヘッドユニット35は、図8に示すように、流路部材32を着脱自在に把持する把持部39と、流路部材32を駆動する積層圧電素子40と、積層圧電素子40を固定する架台41とを具備して成る。把持部39は、図11に示すように、上端部を積層圧電素子40に固定されており、中央下部には穴部42が設けられている。また、把持部39の図11中左側面にはソレノイドピストン43が埋設されており、ソレノイドピストン43のピストン部46が穴部42に突出するようになっている。ピストン部46は、図11中左右方向に往復移動するように構成されている。このピストン46を流路部材32の上部に設けられたV溝32aに押圧することにより、流路部材32が穴部42に固定されるようになっている。
【0037】
積層圧電素子40は、図8に示すように上端を架台41に固定されており、図8中上下方向に伸縮可能であり、把持部39に把持された流路部材32を上下方向に移動するよう構成されている。液体試料容器36は、縦4列×横4列=合計16個(流路部材32と同数)の液体収容部44を有している。
【0038】
次に、本実施形態の液体分注装置の作用を図面に基づき説明する。まず、図8に示すように、XYZ3軸ロボットアーム34により吐出ヘッドユニット35を所望の流路部材32の上部位置に移動配置する。次に、把持部39を所望の流路部材32まで下降させ、把持部39によって所望の流路部材32を把持し、その後、把持部39を上昇させて流路部材収容部33から取り出す。次に、図12に示すように把持した流路部材32を液体試料容器36の上部位置に移動配置し、その後、流路部材32を下降させて所望の試料液体が収容されている液体収容部44にノズル口38を浸漬する。
【0039】
次に、積層圧電素子40に、吐出ヘッドユニット35の縦振動モードに対応する周波数の連続正弦波電圧を印加する。この電圧によって積層圧電素子40が伸縮振動するため、流路部材32は上下方向に振動する。このとき、上記第1実施形態と同様な液体吸引作用が生じることにより、流路部材32の流路37内に試料液体が吸引される。吸引された試料液体は、毛細管現象により流路37内に保持されることになる。
【0040】
その後、図13に示すように、XYZ3軸ロボットアーム34により吐出ヘッドユニット35をスライドガラス30の上部に移送してから、所望のスポット位置に流路部材32を移動させる。次に、そのスポット位置で、積層圧電素子40に駆動電圧を印加して、スライドガラス30上に試料液体を吐出する。
【0041】
その際、駆動電圧としては、例えば図14に示す「のこぎり形の波形」を用いるものとする。この駆動波形を積層圧電素子40に印加すると、図15(a)から図15(b)に示すように最初の緩やかな電圧の上昇に伴い積層圧電素子40は比較的ゆっくりと伸びていき、図15(c)に示すように最後の電圧減少時に急激に元の長さに戻るように収縮する。その間、流路部材32の流路37内部の液体試料には、電圧減少時の積層圧電素子40の収縮に伴い図中下方向の慣性力が作用するので、ノズル口38から試料液体が吐出されることになる。
以下、流路部材32およびスライドガラス30の相対位置関係を変えながら上述した方法を繰り返すことにより、所望の位置に試料液体を吐出していく。異なる試料液体を吐出する際には、把持している流路部材32を流路部材収容部33に戻した後に代わりの流路部材32を把持し、所望の液体試料を上記と同様な方法で吸引してから、スライドガラス30の所望の位置に試料液体を吐出する。
【0042】
本実施形態の液体分注装置によれば、1つの駆動手段である積層型圧電素子40を備える吐出ヘッドユニット35によって試料液体の吸引と吐出とを実現するようにしたので、吸引のためのポンプを別途設ける必要がなく、装置構成の簡便化が可能である。したがって、簡便な構成でありながら高精度の分注吐出機能を有する液体分注装置を提供することができる。また、複数種類の試料液体を分注する際に、1種類目の試料液体を流路部材32に吸引して吐出した後に、把持部39によって別の流路部材32を積層型圧電素子40に連結した状態で2種類目の試料液体を流路部材32に吸引して吐出すればよいので、流路部材32の洗浄を行わない構成となるため洗浄ポンプや洗浄タンクや配管チューブ等が不要となり、装置構成の更なる簡便化が可能になる。また、1つの流路部材では1種類の試料液体だけしか取り扱わないので、流路部材を介してキャリーオーバーが生じることもない。
【0043】
なお、上記においては本発明を液体分注装置に応用した例を示したが、これに限定されるものではなく、例えば図16に示すような流路部材32への液体充填装置としても応用することができる。図16に示す液体充填装置は、XYZ3軸ロボットアーム34と、XYZ3軸ロボットアーム34に搭載された4本の吐出ヘッドユニット35と、流路部材収容部33と、液体試料容器36とを具備して成る。この液体充填装置においては、上記と同様な方法によって、流路部材32を流路部材収容部33から取り出して把持した後に液体試料容器36の上部に搬送して下降させ、試料液体を流路部材32内に吸引して保持し、その後、試料液体を吸引した後の流路部材32を流路部材収容部33の元の位置へ戻すという工程を繰り返し行うことにより、複数の流路部材32に異なる試料液体を迅速に充填することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の液体分注装置の全体構成を概略的に示す図である。
【図2】第1実施形態の液体分注装置における試料液体の吸引工程を説明するための図である。
【図3】第1実施形態の液体分注装置の圧電素子に印加する駆動電圧波形を例示する図である。
【図4】(a),(b)は第1実施形態の液体分注装置における試料液体の吐出工程を説明するための図である。
【図5】第1実施形態の液体分注装置の変形例の全体構成を概略的に示す図である。
【図6】第1実施形態の液体分注装置の変形例におけるノズル部の洗浄工程を説明するための図である。
【図7】第1実施形態の液体分注装置における流路部材のノズル部の端面の直径およびノズル口径に関する好適条件を説明するための図である。
【図8】本発明の第2実施形態の液体分注装置の構成を示す正面図である。
【図9】本発明の第2実施形態の液体分注装置の構成を示す平面図である。
【図10】第2実施形態の液体分注装置の流路部材の詳細図である。
【図11】第2実施形態の液体分注装置の吐出ヘッドユニットにおける把持部の詳細図である。
【図12】第2実施形態の液体分注装置の吐出ヘッドユニットにおける把持部による流路部材の把持動作を説明するための図である。
【図13】第2実施形態の液体分注装置における試料液体の吐出工程を説明するための図である。
【図14】第2実施形態の液体分注装置における試料液体の吐出時の積層型圧電素子の駆動電圧波形を例示する図である。
【図15】(a)〜(c)は第2実施形態の液体分注装置における試料液体の吐出動作を説明するための図である。
【図16】本発明を液体充填装置に応用した場合の全体構成を概略的に示す図である。
【図17】従来技術を説明するための図である。
【図18】従来技術を説明するための図である。
【符号の説明】
1 吐出ヘッド部
2 送気ポンプ
3 洗浄水タンク
4 洗浄ポンプ
5a 送気配管
5b 送水配管
5c 共通配管部
6a,6b 電磁弁
7 架台ブロック
8 吐出ヘッド
9 圧電素子
10 ノズル口
11 流路部材
12 大気開放電磁弁
13 液体試料容器
14 液体吐出基板
15 洗浄槽
16 流路
17 導入口
18 排出口
19 ノズル部
20 継手
21 Oリング
30 スライドガラス
31 XYステージ
32 流路部材
33 流路部材収容部
34 XYZ3軸ロボットアーム
35 吐出ヘッドユニット
36 液体試料容器
37 流路
38 ノズル口
39 把持部
40 積層圧電素子
41 架台
42 穴部
43 ソレノイドピストン
44 液体収容部
45 試料流路

Claims (3)

  1. 試料液体を微少量に分注する液体分注装置であって、
    内部に流路を備えるとともに先端部に吸引吐出用の開口を有する流路部材と、
    前記流路部材を吐出方向に沿って移動させる駆動手段とを備え、
    前記吸引吐出用の開口を試料液体に浸漬した状態で前記駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させることにより、前記吸引吐出用の開口から前記流路内に前記試料液体を吸引するとともに、前記駆動手段によって前記流路部材を吐出方向に沿って移動させることにより、前記流路内に保持された試料液体を前記吸引吐出用の開口から吐出させるようにしたことを特徴とする液体分注装置。
  2. 前記駆動手段は、その内部に前記流路部材を挿入可能な略円筒形状に形成されており、かつ、前記駆動手段は、その半径方向に伸縮振動する固有振動モードの超音波振動によって前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させることを特徴とする請求項1記載の液体分注装置。
  3. 試料液体を微少量に分注する液体分注装置であって、
    内部に流路を備えるとともに先端部に吸引吐出用の開口を有する流路部材と、
    前記流路部材を複数個収容する収容部材と、
    前記吸引吐出用の開口を試料液体に浸漬した状態で前記流路部材を吐出方向に沿って連続的に進退移動させることにより前記吸引吐出用の開口から前記流路内に前記試料液体を吸引するとともに、前記流路部材を吐出方向に沿って移動させることにより前記流路内に保持された試料液体を前記吸引吐出用の開口から吐出させる駆動手段と、
    前記駆動手段と前記流路部材とを着脱自在に連結する連結手段と、
    前記連結手段によって連結した前記駆動手段と前記流路部材とを、前記収容部と、試料液体吸引位置と、試料液体吐出位置とに搬送する搬送手段とを備えることを特徴とする液体分注装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008134126A (ja) * 2006-11-28 2008-06-12 Matsushita Electric Ind Co Ltd マイクロチップ及びそれを用いた分析デバイス
JP2008185504A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Seiko Epson Corp 検査装置
JP2008185505A (ja) * 2007-01-31 2008-08-14 Seiko Epson Corp 検査装置およびその使用方法

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