JP2004340483A - 熱媒循環式暖房装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供する。
【解決手段】暖房端末器2を通る暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段9と、暖房用熱媒循環路8を通流する熱媒を加熱する加熱部Hと、運転を制御する運転制御手段Cとが設けられ、加熱部Hが、排熱発生装置Bからの排熱が供給される暖房用熱交換器45と、加熱作動を制御自在な補助加熱器22とを備えて構成された熱媒循環式暖房装置であって、
運転制御手段Cは、暖房端末器2の暖房作動中は暖房用熱媒循環手段9を連続して熱媒循環作動させ、且つ、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成されている。
【選択図】 図1
【解決手段】暖房端末器2を通る暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段9と、暖房用熱媒循環路8を通流する熱媒を加熱する加熱部Hと、運転を制御する運転制御手段Cとが設けられ、加熱部Hが、排熱発生装置Bからの排熱が供給される暖房用熱交換器45と、加熱作動を制御自在な補助加熱器22とを備えて構成された熱媒循環式暖房装置であって、
運転制御手段Cは、暖房端末器2の暖房作動中は暖房用熱媒循環手段9を連続して熱媒循環作動させ、且つ、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成されている。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段と、
前記暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱する加熱部と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記加熱部が、排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成された熱媒循環式暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる熱媒循環式暖房装置は、床暖房パネル等の暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて暖房用熱媒循環手段にて熱媒を循環させ、その暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱部にて加熱して、熱媒の保有熱を暖房端末器を通じて放熱させて暖房対象部を暖房するものであり、加熱部として、発電手段等の排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、ガス燃焼式の瞬間湯沸し器等の加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成して、排熱発生装置の排熱を暖房用に利用するようにしたものである(例えば、特許文献1参照。)。
このような熱媒循環式暖房装置では、暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節するに、暖房用熱媒循環路に、暖房端末器への熱媒の供給を断続する熱動弁等の開閉弁を設けて、運転制御手段を以下のように制御動作するように構成していた。
即ち、暖房端末器の暖房作動中は、開閉弁を暖房端末器の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比、換言すれば、開弁時間と閉弁時間とを合わせたサイクル時間に対する開弁時間の比であるデューティにて間欠的に開弁し、その開閉弁の間欠的な開弁に合わせて、開閉弁を開弁している間は熱媒循環作動させ且つ開閉弁を閉弁している間は停止させる状態で、熱媒循環手段を間欠的に熱媒循環作動させ、その熱媒循環手段の熱媒循環作動に伴って熱媒が循環すると、補助加熱手段の加熱作動を開始すると共に熱媒の温度が設定温度になるように補助加熱手段の加熱量を調節するように構成していた。
【0003】
又、暖房端末器として、複数の暖房端末器を暖房用熱媒循環路に互いに並列に設ける場合があるが、その場合は、各暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節するに、前記暖房用熱媒循環路における各暖房端末器に熱媒を通流させる端末流路部分の夫々に開閉弁を設けて、運転制御手段を以下のように制御動作するように構成していた。
即ち、複数の暖房端末器が暖房作動中は、暖房作動中の各暖房端末器に対応する開閉弁を各暖房端末器の暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に開弁し、それら複数の開閉弁の間欠的な開弁に合わせて、少なくとも一つの開閉弁を開弁している間は熱媒循環作動させ且つ全ての開閉弁を閉弁している間は停止させる状態で、熱媒循環手段を間欠的に熱媒循環作動させ、その熱媒循環手段の熱媒循環作動に伴って熱媒が循環すると、補助加熱手段の加熱作動を開始すると共に熱媒の温度が設定温度になるように補助加熱手段の加熱量を調節するように構成していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−248908号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱媒循環式暖房装置では、上述のように熱媒循環手段を間欠的に熱媒循環作動させて、熱媒を間欠的に暖房用熱媒循環路に通流させるものであるので、熱媒の循環が停止している間は、暖房用熱交換器での熱媒への排熱の回収が行われないことになって、排熱発生装置からの排熱の回収が間欠的なものとなり、排熱発生装置からの排熱の回収率を向上して排熱を暖房用として有効に利用する上で、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の熱媒循環式暖房装置は、暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段と、
前記暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱する加熱部と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記加熱部が、排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成されたものであって、
前記運転制御手段は、前記暖房端末器の暖房作動中は前記暖房用熱媒循環手段を連続して熱媒循環作動させ、且つ、前記暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器の加熱作動を制御するように構成されている点を特徴構成とする。
即ち、暖房端末器の暖房作動中は暖房用熱媒循環手段が連続して熱媒循環作動して、暖房用熱媒循環路を熱媒が常時循環し、補助加熱手段により、暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われる。
つまり、暖房端末器の暖房作動中は、熱媒が暖房用熱媒循環路を常時循環するので、暖房用熱交換器では、排熱が常時熱媒に回収されるものとなり、又、補助加熱手段により、暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われるので、暖房端末器における放熱量を暖房負荷に応じて調節することが可能となる。
従って、暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供することができるようになった。
【0008】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2に記載の熱媒循環式暖房装置は、請求項1において、前記暖房端末器として、複数の暖房端末器が前記暖房用熱媒循環路に互いに並列に設けられ、
前記暖房用熱媒循環路における各暖房端末器に熱媒を通流させる端末流路部分の夫々に、開閉弁が設けられ、
前記複数の暖房端末器夫々の暖房負荷を指令する暖房負荷指令手段が設けられ、
前記運転制御手段は、前記暖房負荷指令手段の指令情報に基づいて、暖房作動中の複数の暖房端末器のうちの最大暖房負荷の暖房端末器に対応する開閉弁は連続して開弁し、且つ、他の暖房端末器に対応する開閉弁はその暖房端末器の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比にて開閉し、且つ、前記最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して前記暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器の加熱作動を制御するように構成されている点を特徴構成とする。
即ち、複数の暖房端末器が暖房作動中は、暖房用熱媒循環手段が連続して熱媒循環作動して、暖房用熱媒循環路を熱媒が常時循環する状態で、最大暖房負荷の暖房端末器に対応する開閉弁は連続して開弁されて、最大暖房負荷の暖房端末器には連続して熱媒が通流し、最大暖房負荷以外の暖房端末器に対応する開閉弁は、暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に開弁されて、最大暖房負荷以外の暖房端末器には暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に熱媒が通流し、補助加熱器により、最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われる。
つまり、複数の暖房端末器が暖房作動中は、熱媒が暖房用熱媒循環路を常時循環するので、暖房用熱交換器では、排熱が常時熱媒に回収されるものとなる。
そして、補助加熱器により、最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われながら、最大暖房負荷の暖房端末器には、連続して熱媒が通流し、最大暖房負荷以外の暖房端末器には、暖房負荷に応じた熱媒通流時間と熱媒通流停止時間との比、即ち、暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に熱媒が通流するので、暖房作動中の複数の暖房端末器夫々における放熱量を夫々の暖房負荷に応じて調節することが可能となる。
従って、複数の暖房端末器を設けた場合に、複数の暖房端末器夫々の放熱量を夫々の暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供することができるようになった。
【0009】
〔請求項3記載の発明〕
請求項3に記載の熱媒循環式暖房装置は、請求項1又は2において、貯湯タンクと貯湯用熱交換器とにわたる貯湯用湯水循環路を通じて湯水を循環させる貯湯用湯水循環手段が設けられ、
前記排熱発生装置からの排熱を導く排熱路が、前記暖房用熱交換器及び前記貯湯用熱交換器に排熱を導くように設けられている点を特徴構成とする。
即ち、貯湯用湯水循環手段により、湯水が貯湯用湯水循環路を通じて貯湯タンクと貯湯用熱交換器とにわたって循環され、排熱発生装置からの排熱が排熱路を通じて暖房用熱交換器及び貯湯用熱交換器を通って流れ、暖房用熱交換器においては、排熱発生装置からの排熱により暖房用熱媒循環路を通流する熱媒が加熱され、貯湯用熱交換器においては、排熱発生装置からの排熱により貯湯用湯水循環路を通流する湯水が加熱される。
つまり、排熱発生装置からの排熱を熱源として、暖房端末器により暖房対象部が暖房され、並びに、貯湯タンクの湯水が加熱される。
従って、排熱発生装置からの排熱を暖房用及び貯湯用として有効に利用可能な熱媒循環式暖房装置を提供することができるようになった。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明にかかる熱媒循環式暖房装置を貯湯暖房装置に適用した場合の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、この貯湯暖房装置Aは、排熱発生装置としての燃料電池発電装置Bからの排熱を用いて、貯湯タンク1内に温度成層を形成しながら貯湯したり、貯湯タンク1内に貯湯された湯水を給湯したり、暖房端末器としての床暖房パネル2にて暖房対象空間を暖房するように構成してある。
【0011】
前記貯湯暖房装置Aは、この貯湯暖房装置Aの運転を制御する運転制御手段としての貯湯暖房制御部C、貯湯タンク1、貯湯タンク1内の湯水を貯湯用湯水循環路3を通じて循環させる貯湯用湯水循環手段としての貯湯用ポンプ4、前記貯湯用湯水循環路3を通流する湯水を前記燃料電池発電装置Bからの冷却水を熱源として加熱する高温側貯湯用熱交換器5及び低温側貯湯用熱交換器6、貯湯タンク1内の湯水を風呂場や台所等の給湯箇所に給湯する給湯路7、床暖房パネル2を通る暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段としての暖房用ポンプ9、風呂用循環路10を通じて図外の浴槽の湯水を循環させる風呂用ポンプ11、及び、前記暖房用熱媒循環路8や前記風呂用循環路10を通流する湯水を加熱する加熱部H等を備えて構成してある。
【0012】
前記燃料電池発電装置Bは、周知であるので詳述はしないが、例えば、固体高分子膜を電解質層とするセルの複数を積層状態に設けた固体高分子型に構成し、各セルの燃料極に燃料ガスとして水素含有ガスを供給し、各セルの酸素極に空気を供給して、水素と酸素との電気化学的な反応により発電を行うように構成してあり、セルの積層体(セルスタック)等を冷却した冷却水が排熱として、排熱路としての冷却水循環路12を通じて前記貯湯暖房装置Aに循環供給されるようになっている。
【0013】
前記貯湯タンク1の上部には、上部接続路13を接続し、その上部接続路13を介して、前記給湯路7を貯湯タンク1の上部に接続し、水道圧により給水する給水路14を貯湯タンク1の底部に給水するように設けて、給湯路7を通じて給湯箇所に給湯されるのに伴って、その給湯量と同量の水が水道圧により貯湯タンク1に給水されるように構成してある。前記給水路14には、逆止弁15を設けてある。
又、貯湯タンク1内のエアーを抜くエアー放出路16を、上部接続路13を介して貯湯タンク1の上部に接続し、そのエアー放出路16には、エアー放出弁17を設けてある。
【0014】
前記給湯路7には、給水路14から分岐した混合用給水路18を接続し、その接続箇所に給湯路7からの湯水と混合用給水路18からの水との混合比を調整自在なミキシングバルブ19を設けてある。混合用給水路18にも、逆止弁20を設けてある。
【0015】
又、給湯路7におけるミキシングバルブ19よりも上流側には、逆止弁21と、バーナ22bの燃焼により湯水を加熱する補助加熱器22を上流側から順に設け、更に、その補助加熱器2に流入する湯水の温度を検出する補助加熱器流入サーミスタT7と、補助加熱器22から流出する湯水の温度を検出する出湯サーミスタT1を設けてある。給湯路7におけるミキシングバルブ19よりも下流側には、ミキシングバルブ19にて混合された湯水の温度を検出するミキシングサーミスタT2、給湯路7の湯水の流量を調整する給湯用水比例バルブ23、給湯路7を通流する湯水の流量、即ち、前記給湯箇所に供給される全湯水の流量を検出する全給湯流量センサ24を上流側から順に設けてある。前記補助加熱器22は、加熱対象の湯水を通流させる熱交換器22aと、その熱交換器22aを加熱する前記バーナ22bと、そのバーナ22bに燃焼用空気を供給する燃焼用ファン22cと、バーナ22bへのガス燃料の供給を断続する燃料用電磁弁22dと、バーナ22bへのガス燃料の供給量を調節する燃料用比例弁22e等を備えて構成してある。
そして、図示しない点火プラグを作動させて、燃料用電磁弁22dを開弁することによりバーナ22bを燃焼させ、燃料用比例弁22eにより、バーナ22bへのガス燃料の供給量を調節することにより、バーナ22bの燃焼量を調節することになる。
【0016】
又、給湯路7における前記補助加熱器22と前記ミキシングバルブ19との間の箇所に、連通路29を接続し、その連通路29を前記上部接続路13を介して貯湯タンク1の上部に接続し、その連通路29には、連通路電磁弁30を設けてある。
又、給湯路7における前記給湯用水比例バルブ23と前記全給湯流量センサ24との間の箇所と、前記混合用給水路18における前記ミキシングバルブ19と前記逆止弁20との間の箇所とを連通路31にて接続し、その連通路31に、手動バルブ32を設けてある。
【0017】
前記給湯路7は、前記全給湯流量センサ24よりも下流側を、前記給湯箇所のうちの台所や洗面所などの図外の給湯栓に給湯する一般給湯路7aと、前記給湯箇所のうちの浴槽に湯水を供給するための湯張り路7bとに分岐してあり、その湯張り路7bは、前記風呂用循環路10のうちの風呂戻り路10rに接続して、その風呂戻り路10r及び風呂往き路10fの両路を通して浴槽に湯水を供給するように構成してある。
前記湯張り路7bには、その湯張り路7bを通流する湯水の流量、即ち、前記給湯箇所のうちの浴槽に供給される湯水の流量を検出する湯張り流量センサ25、湯張り電磁弁26、バキュームブレーカ27、2個の湯張り路逆止弁28を上流側から順に設けてある。
前記風呂用ポンプ11は、風呂用循環路10の風呂戻り路10rに設け、その風呂戻り路10rにおける風呂用ポンプ11よりも下流側には、風呂水流スイッチ47を設け、上流側には浴槽から戻る湯水の温度を検出する戻り温度センサT5を設けてある。
【0018】
そして、給湯栓に給湯したり浴槽に湯張りするときには、貯湯暖房制御部Cにより、出湯サーミスタT1及びミキシングサーミスタT2の検出情報に基づいて、ミキシングバルブ19の開度を調整することにより、所望の温度の湯水を供給するようにしてある。
【0019】
前記貯湯用湯水循環路3について説明を加えると、貯湯用循環路形成流路3aを、前記貯湯タンク1の底部と前記給湯路7における前記逆止弁21よりも上流側箇所とに接続して、貯湯用湯水循環路3を、貯湯用循環路形成流路3a、前記給湯路7の一部及び前記上部接続路13とにより構成し、貯湯用循環路形成流路3aに、前記貯湯用ポンプ4を前記貯湯タンク1の底部に対して吸い込み作用するように設け、更に、貯湯用循環路形成流路3aに、低温側貯湯用熱交換器6、高温側貯湯用熱交換器5、その高温側貯湯用熱交換器5から流出して貯湯タンク1に供給される湯水の温度を検出する貯湯温度サーミスタT4を湯水通流方向の上流側から順に設けてある。そして、貯湯用ポンプ4を作動させて、貯湯タンク1の湯水を、貯湯タンク1の底部から取り出し、低温側貯湯用熱交換器6及び高温側貯湯用熱交換器5にて加熱した後、貯湯タンク1の上部に戻す形態で貯湯用湯水循環路3を通じて循環させて、貯湯タンク1内に温度成層を形成しながら貯湯するように構成してある。
【0020】
前記貯湯用循環路形成流路3aにおける貯湯用ポンプ設置箇所よりも貯湯タンク1の底部側に、その貯湯用循環路形成流路3aの一部を迂回するように放熱路33を設けると共に、その貯湯用循環路形成流路3aと放熱路33との接続部に、湯水を放熱路33に通流させる放熱状態と通流させない貯湯状態とに切り換え自在に放熱用三方弁34を設け、更に、放熱路33にラジエータ35を設けると共に、そのラジエータ35に通風するラジエータファン36を設けてある。
【0021】
貯湯タンク1内の底部付近の湯水の温度を検出するように、貯湯量上限検出サーミスタT3を設け、その貯湯量上限検出サーミスタT3が設定温度以上の温度を検出することに基づいて、貯湯タンク1内の貯湯量が上限に達した貯湯量上限状態を検出するように構成してある。
ちなみに、前記給水路14は、前記放熱路33におけるラジエータ設置箇所よりも貯湯タンク1の底部側に接続して、前記放熱路33の一部及び前記貯湯用循環路形成流路3aの一部を通じて、貯湯タンク1の底部に給水するように設けてある。
【0022】
前記加熱部Hについて説明を加える。
加熱用循環路形成流路37aを、その一端を前記給湯路7における前記補助加熱器22と前記ミキシングバルブ19との間の箇所に接続し、他端を前記給湯路7における逆止弁21と前記補助加熱器流入サーミスタT7との間の箇所に接続して設けて、加熱用循環路形成流路37aと前記給湯路7の一部とから加熱用熱媒循環路37を構成し、前記加熱用循環路形成流路37aに、加熱用ポンプ38を前記補助加熱器22の出口側に吸い込み作用するように設けてある。
【0023】
加熱用循環路形成流路37aにおける加熱用ポンプ38よりも上流側部分に、暖房用循環路部分37bと風呂用循環路部分37cとに分岐させた後、再び合流させる分岐部分と、加熱用循環路形成流路37aを通流する湯水から空気を分離するエアーセパレータ43とを上流側から順に設け、前記暖房用循環路部分37bには暖房放熱用熱交換器39と暖房用電磁弁40とを設け、前記風呂用循環路部分37cには風呂放熱用熱交換器41と風呂用電磁弁42とを設け、加熱用循環路形成流路37aにおける加熱用ポンプ38よりも下流側部分に、加熱用循環路形成流路37aを通流する湯水の流量を検出する加熱用湯水流量センサ44と、暖房用熱交換器45とを上流側から順に設けてある。
【0024】
前記燃料電池発電装置Bから排出される冷却水を燃料電池発電装置Bに戻すように冷却水を通流案内する前記冷却水循環路12を、冷却水が前記高温側貯湯用熱交換器5、前記暖房用熱交換器45、前記低温側貯湯用熱交換器6の順に流れるように配管してある。
詳細は後述するが、暖房用熱媒循環路8は、熱媒が前記床暖房パネル2と前記暖房放熱用熱交換器39とを通って流れるように配管し、又、前記風呂用循環路10は、浴槽の湯水が前記風呂放熱用熱交換器41を通って流れるように配管してある。
【0025】
そして、暖房用電磁弁40を開弁した状態で、加熱用ポンプ38を作動させると、暖房用熱交換器45にて燃料電池発電装置Bからの排熱としての冷却水にて加熱されたり、補助加熱器22にて加熱された湯水が暖房放熱用熱交換器39を通流して、その暖房放熱用熱交換器39にて、加熱用熱媒循環路37を通流する湯水により暖房用熱媒循環路8を通流する熱媒が加熱される。
又、風呂用電磁弁42を開弁した状態で、加熱用ポンプ38を作動させると、暖房用熱交換器45にて燃料電池発電装置Bからの冷却水にて加熱されたり、補助加熱器22にて加熱された湯水が風呂放熱用熱交換器41を通流して、その風呂放熱用熱交換器41にて、加熱用熱媒循環路37を通流する湯水により風呂用循環路10を通流する浴槽の湯水が加熱される。
【0026】
つまり、前記加熱部Hは、前記加熱用熱媒循環路37、加熱用ポンプ38、暖房用熱交換器45、補助加熱器22、暖房放熱用熱交換器39、暖房用電磁弁40、風呂放熱用熱交換器41及び風呂用電磁弁41を備えて構成してある。
【0027】
前記エアーセパレータ43の気相部分に接続したエアー抜き路46を、貯湯タンク1の底部に接続して、加熱用熱媒循環路37内のエアーをエアーセパレータ43にて分離して、エアー抜き路46を通じて貯湯タンク1内に導き、貯湯タンク1、上部接続路13及びエアー放出路16を通じて外部に放出するように構成してある。
【0028】
冷却水循環路12には、冷却水を前記高温側貯湯用熱交換器5を迂回させて通流させる高温側迂回路48、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5と高温側迂回路48とに分流させる分流比を調節自在な分流用三方弁49、冷却水を前記暖房用熱交換器45を迂回させて通流させる暖房用熱交換器迂回路50、冷却水の全量を暖房用熱交換器45に通流させる暖房用熱交換器非迂回状態と暖房用熱交換器迂回路50に通流させる暖房用熱交換器迂回状態とに換え自在な暖房用熱交換器迂回用三方弁51、冷却水を前記低温側貯湯用熱交換器6を迂回させて通流させる低温側迂回路52、及び、冷却水の全量を前記低温側貯湯用熱交換器6に通流させる低温側非迂回状態と低温側迂回路52に通流させる低温側迂回状態とに切り換え自在な低温側迂回用三方弁53を設けてある。
【0029】
そして、以下に説明するように、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53夫々を操作することにより、冷却水の通流状態を、分流通流状態、高温側迂回通流状態、暖房用熱交換器迂回通流状態及び両貯湯用熱交換器迂回通流状態に切り換え自在に構成してある。
【0030】
前記分流通流状態では、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え且つ低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えた状態で、分流用三方弁49により前記分流比を調節して、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5と高温側迂回路48とに分流させたのち合流させて、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6に順次通流させる。
前記高温側迂回通流状態では、分流用三方弁49を冷却水の全量が高温側迂回路48に通流する高温側迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えて、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5を迂回させる状態で、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6に順次通流させる。
暖房用熱交換器迂回通流状態では、分流用三方弁49を冷却水の全量が高温側貯湯用熱交換器5に通流する高温側非迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えて、冷却水を暖房用熱交換器45を迂回させる状態で、高温側貯湯用熱交換器5、低温側貯湯用熱交換器6に順次通流させる。
前記両貯湯用熱交換器迂回通流状態では、分流用三方弁49を前記高温側迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側迂回状態に切り換えて、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5及び低温側貯湯用熱交換器6の両方を迂回させる状態で、暖房用熱交換器45のみに通流させる。
【0031】
図1及び図2に基づいて、前記暖房用熱媒循環路8について説明を加える。
暖房用熱媒循環路8は、基端を前記暖房放熱用熱交換器39の出口に接続し且つ先端に供給ヘッダ54を接続した暖房往き路8f、基端に戻りヘッダ55を接続し且つ先端を暖房放熱用熱交換器39の入口に接続した暖房戻り路8r、供給ヘッダ54の複数の接続口夫々と戻りヘッダ55の複数の接続口夫々とを接続する複数の端末流路部分8t、及び、暖房戻り路8rと暖房往き路8fとを接続する暖房バイパス路8bから構成してある。
そして、各端末流路部分3tに、床暖房パネル2と開閉弁としての熱動弁57を設けてある。
つまり、複数の床暖房パネル2を暖房用熱媒循環路8に互いに並列に設けてある。
【0032】
前記暖房往き路8fには、床暖房パネル2に供給される熱媒の温度を検出する暖房往き温度サーミスタT6を設けてあり、前記暖房戻り路8rには、熱媒の通流方向の上流側から順に、補給水タンク58、前記暖房用ポンプ9を設けてある。前記補給水タンク58には、水位の上限を検出する上限センサ59と下限を検出する下限センサ60とを設けると共に、給水路14から分岐した補給水路61を接続し、その補給水路61には、補給水電磁弁62を設けてある。
【0033】
図1に示すように、貯湯暖房装置Aに各種制御指令を指令するメインリモコン63を設け、そのメインリモコン63には、貯湯暖房装置Aの運転開始、停止を指令するメイン運転スイッチ(図示省略)、給湯温度を設定する給湯温度設定部(図示省略)、浴槽への湯張りを指令する湯張りスイッチ(図示省略)、目標湯張り温度を設定する湯張り温度設定部(図示省略)、及び、浴槽の追焚を指令する追焚スイッチ63aを設けてある。
図2に示すように、複数の床暖房パネル2の夫々に対応させて、床暖房リモコン64を設け、各床暖房リモコン64には、床暖房運転の開始及び停止を指令する床暖房運転スイッチ64a、複数段階に設定された要求暖房能力のうちからいずれかを択一的に選択して指令する暖房能力指令部64b等を設けてある。
【0034】
以下、貯湯暖房制御部Cについて説明する。
貯湯暖房制御部Cは、燃料電池発電装置Bの運転を制御する燃料電池制御部65との間で各種制御信号を通信可能に構成すると共に、その燃料電池制御部65からの制御信号、並びに、メインリモコン63及び床暖房リモコン64からの制御指令に基づいて、後述する起動昇温運転、暖房優先並行運転、能力調整並行運転、貯湯単独運転等の各運転を実行するように構成してある。
【0035】
説明を加えると、燃料電池制御部65は、燃料電池発電装置Bの運転開始指令が指令されると、貯湯暖房制御部Cに起動昇温開始指令信号を送信し、燃料電池発電装置Cに供給される冷却水の温度が所定の温度に昇温すると、貯湯暖房制御部Cに燃料電池発電装置Bが通常運転を開始したことを示す通常運転開始信号を送信し、燃料電池発電装置Bの運転停止指令が指令されると、貯湯暖房制御部Cに燃料電池発電装置Bの運転が停止されたことを示す運転停止信号を送信する。
そして、前記起動昇温運転は、燃料電池制御部65から前記起動昇温開始指令信号が送信されると開始し、燃料電池制御部65から前記通常運転開始信号が送信されると停止し、前記暖房優先並行運転、能力調整並行運転及び貯湯単独運転は、燃料電池制御部65から前記通常運転開始信号が送信されてから前記運転停止信号が送信されるまでの間、各運転を開始する運転開始条件が満たされることも基づいて、いずれか一つを選択的に実行する。
【0036】
つまり、前記暖房優先並行運転を開始するための暖房優先並行運転開始条件は、複数の床暖房リモコン64のうちの少なくとも一つから床暖房運転開始指令が指令されることである。又、前記暖房優先並行運転を停止するための暖房優先並行運転停止条件は、全ての床暖房リモコン64が床暖房運転の停止を指令するオフ状態になることである。
前記能力調整並行運転を開始するための能力調整並行運転開始条件は、全ての床暖房リモコン64が前記オフ状態で且つメインリモコン63の追焚スイッチ63aにて浴槽の追焚が指令されることである。又、前記能力調整並行運転を停止するための能力調整並行運転停止条件は、戻り温度センサT5の検出温度が前記メインリモコン63の湯張り温度設定部にて設定された目標湯張り温度になるか、又は、前記追焚スイッチ63aにて追焚の停止が指令されることである。
前記貯湯単独運転を開始するための貯湯単独運転開始条件は、前記暖房優先並行運転停止条件及び能力調整並行運転停止条件の両方が満たされることである。
【0037】
予め、補助加熱器22の燃焼を開始する設定燃焼開始温度及び燃焼を停止する設定燃焼停止温度を、複数段階の要求暖房能力に対応させて要求暖房能力が大になるほど高くなるように設定し、並びに、熱動弁57の開弁時間及び閉弁時間を、複数段階の要求暖房能力に対応させ要求暖房能力が大になるほど開弁時間のデューティが大きくなるように設定し、それら設定燃焼開始温度/設定燃焼停止温度、及び、開弁時間/閉弁時間を、複数段階の要求暖房能力に対応させて貯湯暖房制御部Cに記憶させてある。
ちなみに、要求暖房能力が「1」〜「7」の7段階(数字が大きいほ要求暖房能力が大きい)に設定されているときは、要求暖房能力「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」に対応させて、設定燃焼開始温度/設定燃焼停止温度はそれぞれ、「65°C/60°C」、「63°C/58°C」、「61°C/56°C」、「59°C/54°C」、「57°C/52°C」、「55°C/50°C」、「53°C/48°C」に、並びに、開弁時間/閉弁時間はそれぞれ、「18分/2分」、「16分/4分」、「14分/6分」、「12分/8分」、「10分/10分」、「8分/12分」、「6分/14分」に設定してある。
【0038】
以下、上記の各運転について説明する。
先ず、前記暖房優先並行運転について説明する。
暖房優先並行運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記高温側迂回通流状態になるように切り換え、暖房用電磁弁40を開弁し、貯湯用ポンプ4、暖房用ポンプ9及び加熱用ポンプ38を作動させ、更に、1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときと、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときとに応じて、以下のように制御作動する。
【0039】
1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、その床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が床暖房リモコン64の暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、出湯サーミスタT1の検出温度が所定の設定出湯温度になるように燃焼量を調節する設定燃焼条件にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。尚、バーナ22bの燃焼の開始は、加熱用ポンプ38の作動により加熱用熱媒循環路37を湯水が通流することにより、加熱用湯水流量センサ44の検出流量が設定流量以上になっている状態で行うことになる。
【0040】
又、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、床暖房運転開始指令が指令された複数の床暖房パネル2のうち暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力が最大、即ち最大暖房負荷の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、他の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する開弁時間/閉弁時間にて間欠的に開弁し、且つ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、前記設定燃焼条件にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。
そして、前記暖房優先並行運転停止条件が満たされると、補助加熱器22のバーナ22bを消火し、暖房用ポンプ9を停止させ、暖房用電磁弁40を閉弁し、前記能力調整並行運転か貯湯単独運転のいずれかを開始することになる。
【0041】
暖房優先並行運転では、複数台の床暖房パネル2が暖房作動するときは、図1において太線にて示すように、燃料電池発電装置Bからの冷却水が冷却水循環路12を高温側貯湯用熱交換器5を迂回する状態で、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6の順に通流し、加熱用熱媒循環路37を湯水が循環し、暖房用熱媒循環路8を通じて、熱媒が最大暖房負荷の床暖房パネル2を常時循環し、その他の床暖房パネル2を指令要求暖房能力に応じたデューティにて間欠的に循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が、最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器22にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器22にて加熱される。具体的には、加熱用熱媒循環路37を循環する湯水が暖房用熱交換器45及び補助加熱器22にて加熱され、暖房放熱用熱交換器39にて、加熱用熱媒循環路37を循環する湯水により暖房用熱媒循環路8を通流する熱媒が加熱されることになる。
従って、貯湯タンク1には温度成層を形成する状態で貯湯され、各暖房端末器2により、各暖房端末器2について指令された要求暖房能力にて暖房されることになる。
【0042】
又、1台の床暖房パネル2が暖房作動するときは、燃料電池発電装置Bからの冷却水が冷却水循環路12を高温側貯湯用熱交換器5を迂回する状態で、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6の順に通流し、加熱用熱媒循環路37を湯水が循環し、暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒が床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2を常時循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器2にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器2にて加熱されることになる。
【0043】
上記のように暖房優先並行運転を実行しているときに、メインリモコン63の追焚スイッチ63aにて浴槽の追焚が指令されると、風呂用電磁弁42を開弁すると共に、風呂用ポンプ11を作動させて追焚を開始し、戻り温度センサT5の検出温度がメインリモコン63の湯張り温度設定部にて設定された目標湯張り温度になるか、又は、前記追焚スイッチ63aにて追焚の停止が指令されると、風呂用電磁弁42を閉弁すると共に、風呂用ポンプ11を停止させて追焚を停止する。
【0044】
つまり、貯湯運転制御部Cにて、運転を制御する運転制御手段Cを構成し、複数の床暖房リモコン64の暖房能力指令部64bにて、複数の暖房端末器2夫々の要求暖房能力を夫々の暖房負荷として指令する暖房負荷指令手段64bを構成し、暖房用ポンプ9にて暖房用熱媒循環手段9を構成してある。つまり、指令される要求暖房能力が大きいほど、指令される暖房負荷が大きいことになる。
【0045】
そして、前記運転制御手段Cは、暖房端末器2の暖房作動中は暖房用熱媒循環手段9を連続して熱媒循環作動させ、且つ、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成してある。
又、前記運転制御手段Cは、暖房負荷指令手段64bの指令情報に基づいて、暖房作動中の複数の暖房端末器2のうちの最大暖房負荷の暖房端末器2に対応する開閉弁57は連続して開弁し、且つ、他の暖房端末器2に対応する開閉弁57はその暖房端末器2の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比にて開閉し、且つ、前記最大暖房負荷の暖房端末器2の暖房負荷に対して暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成してある。
【0046】
前記能力調整並行運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記分流通流状態になるように切り換え、且つ、風呂用電磁弁42を開弁し、且つ、貯湯用ポンプ4、加熱用ポンプ38及び風呂用ポンプ11を作動させた状態で、貯湯温度サーミスタT4の検出温度が所定の設定貯湯温度になるように、分流用三方弁49を制御し、且つ、前記補助加熱器流入サーミスタT7の検出温度が前記設定出湯温度よりも低くなると、前記設定燃焼条件にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させる。
そして、前記能力調整並行運転停止条件が満たされると、補助加熱器22のバーナ22bを消火し、風呂用電磁弁42を閉弁し、風呂用ポンプ11を停止させて追焚を停止し、前記暖房優先並行運転か貯湯単独運転のいずれかを開始することになる。
【0047】
前記貯湯単独運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記暖房用熱交換器迂回通流状態になるように切り換え、且つ、貯湯用ポンプ4を作動させ、且つ、加熱用ポンプ38を停止させる。
【0048】
上述のように暖房優先並行運転、能力調整並行運転及び貯湯単独運転のいずれかを実行中は、貯湯暖房制御部Cは、貯湯量上限検出サーミスタT3の検出情報に基づいて、前記貯湯量上限状態でないときは前記放熱用三方弁34を前記貯湯状態に切り換え、貯湯量上限状態のときは前記放熱用三方弁34を前記放熱状態に切り換えると共に、前記ラジエータファン36を作動させる。
従って、貯湯タンク1内の貯湯量が上限に達すると、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をラジエータ35にて冷却した後、低温側貯湯用熱交換器6及び高温側貯湯用熱交換器5に通流させるようにして、それら低温側貯湯用熱交換器6及び高温側貯湯用熱交換器5にて燃料電池発電装置Bからの冷却水を所定通りに冷却するように構成してある。
【0049】
前記起動昇温運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記両貯湯用熱交換器迂回通流状態になるように切り換え、風呂用電磁弁42を開弁し、暖房用電磁弁40を閉弁し、加熱用ポンプ38を作動させ、貯湯用ポンプ4、暖房用ポンプ9及び風呂用ポンプ11を停止させた状態で、出湯サーミスタT1の検出温度が所定の起動昇温用の設定温度になるように、バーナ22bの燃焼量を調節する。
この起動昇温運転では、補助加熱器22にて加熱された湯水が加熱用熱媒循環路37を循環して、暖房用熱交換器45にて、加熱用熱媒循環路37を通流する湯水にて冷却水循環路12を通流する冷却水が加熱されるので、燃料電池発電装置Bの起動時間を短縮することが可能となる。
【0050】
〔第2実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明にかかる熱媒循環式暖房装置を貯湯暖房装置に適用した場合の第2実施形態を説明する。
図3に示すように、第2実施形態では、主として、加熱部Hの構成が異なる点、及び、浴槽の湯張り並びに追焚機能を省略した以外は、第1実施形態と同様に構成してあるので、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、加熱部Hについて説明する。
【0051】
補助加熱器22には、第1実施形態における熱交換器22aに代えて、給湯路7を通流する湯水を加熱す給湯加熱用熱交換器22f、後述する暖房用熱媒循環路8の暖房往き路8fを通流する熱媒を加熱する暖房加熱用熱交換器22gを設けてある以外は、第1実施形態と同様に構成してある。
【0052】
暖房用熱媒循環路8の暖房往き路8fを、その基端を暖房用熱交換器45の出口に接続し、補助加熱器22の暖房加熱用熱交換器22gを通過するように配管し、暖房戻り路8rは、その先端を暖房用熱交換器45の入口に接続するように配管してある。そして、暖房用熱媒循環路8を通じて、熱媒を暖房用熱交換器45、補助加熱器22、複数の床暖房パネル2を通って通流させるようにして、熱媒を暖房用熱交換器45や補助加熱器22にて加熱しながら、床暖房パネル2にて放熱させるように構成してある。
つまり、前記加熱部Hは、前記暖房用熱交換器45と補助加熱器22とを備えて構成してある。
床暖房パネル2に供給される熱媒の温度を検出する暖房往き温度サーミスタT6は、暖房往き路8fにおける補助加熱器22と供給ヘッダ54との間の箇所に設けてある。
【0053】
貯湯暖房制御部Cは、燃料電池制御部65から前記通常運転開始信号が送信されてから、燃料電池発電装置Bの運転が停止されることを示す運転停止信号が送信されるまでの間、床暖房リモコン64からの制御指令に基づいて、暖房優先並行運転及び貯湯単独運転のいずれか一つが選択的に実行するように構成してある。
前記暖房優先並行運転は、第1実施形態において説明した暖房優先並行運転開始条件が満たされると開始し、第1実施形態において説明した暖房優先並行運転停止条件が満たされると停止する。
又、貯湯単独運転は、前記暖房優先並行運転停止条件が満たされると実行する。
【0054】
暖房優先並行運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記高温側迂回通流状態になるように切り換え、貯湯用ポンプ4及び暖房用ポンプ9を作動させ、更に、1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときと、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときとに応じて、以下のように制御作動する。
1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、その床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が床暖房リモコン64の暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、所定の設定暖房用燃焼量にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。
【0055】
又、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、床暖房運転開始指令が指令された複数の床暖房パネル2のうち暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力が最大、即ち最大暖房負荷の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、他の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する開弁時間/閉弁時間にて間欠的に開弁し、且つ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、前記設定暖房用燃焼量にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。
【0056】
つまり、暖房優先並行運転では、複数台の床暖房パネル2が暖房作動するときは、図3に太線にて示す如く、第1実施形態と同様に、暖房用熱媒循環路8を通じて、熱媒が最大暖房負荷の床暖房パネル2を常時循環し、その他の床暖房パネル2を指令要求暖房能力に応じたデューティにて間欠的に循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が、最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器22にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器22にて加熱される。
又、1台の床暖房パネル2が暖房作動するときも、第1実施形態と同様に、暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒が床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2を常時循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器2にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器2にて加熱されることになる。
【0057】
又、前記貯湯単独運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記暖房用熱交換器迂回通流状態になるように切り換え、且つ、貯湯用ポンプ4を作動させ、且つ、暖房用ポンプ9を停止させる。
【0058】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 前記暖房用熱交換器45に供給する排熱としては、上記の実施形態において例示した燃料電池発電装置Bの排熱に限定されるものではない。
例えば、エンジンにて駆動される発電装置を設けた場合は、エンジンの冷却水を排熱として供給することになる。
又、空調用として、エンジンにて駆動されるヒートポンプを設けた場合も、エンジンの冷却水を排熱として供給することになる。この場合、前記加熱部Hは、前記暖房用熱交換器45及び前記補助加熱器22に加えて、前記ヒートポンプにて得られる熱を熱源とする熱交換器を備えて構成することも可能である。
【0059】
(ロ) 暖房負荷指令手段の具体例としては、上記の実施形態において例示したところの、複数の暖房負荷指令手段64bにて構成する場合に限定されるものではない。
例えば、複数の床暖房パネル2の夫々に対応して、目標暖房温度を設定する目標暖房温度設定部、及び、暖房対象部の温度を検出する暖房対象部温度センサにて構成しても良い。この場合、前記目標暖房温度設定部にて設定される暖房目標温度と前記暖房対象部温度センサの検出温度との偏差を暖房負荷として指令するように構成する。
【0060】
(ハ) 上記の各実施形態では、複数の床暖房リモコン64のうちの少なくとも一つから床暖房運転開始指令が指令された場合、冷却水の通流状態を前記高温側迂回通流状態にした状態で、暖房用電磁弁40(第2実施形態では不要)、貯湯用ポンプ4、暖房用ポンプ9、加熱用ポンプ38(第2実施形態では不要)、複数の熱動弁57及び補助加熱器22を上述のように制御して暖房運転を実行する場合について例示したが、暖房運転を実行するときの冷却水の通流状態は、前記高温側迂回通流状態に限定されるものではない。
例えば、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記分流通流状態になるように切り換えた状態で、暖房運転を実行するように構成しても良い。
あるいは、分流用三方弁49を前記高温側非迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えて、冷却水の全量を高温側貯湯用熱交換器5、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6の順に通流させる通常通流状態にした状態で、暖房運転を実行するように構成しても良い。
【0061】
(ニ) 暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成するに、上記の実施形態においては、暖房負荷に応じて設定された前記設定燃焼開始温度及び前記設定燃焼停止温度を用いて補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させるように構成した。
これに代えて、上記の第2実施形態の構成において、暖房負荷が高くなるほど高くなるよう、暖房負荷に応じて目標供給熱媒温度を設定して、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が暖房負荷に応じた目標供給熱媒温度になるように、補助加熱器22のバーナ22bの燃焼量を調節するようにしても良い。
【0062】
(ホ) 上記の実施形態で設けた高温側貯湯用熱交換器5及び低温側貯湯用熱交換器6のうちのいずれか一方のみを設けても良い。この場合、床暖房運転及び追焚のうちの少なくとも一方が指令されたときは、冷却水が1個の貯湯用熱交換器と暖房用熱交換器45を通流する状態にし、床暖房運転及び追焚のいずれも指令されないときは、冷却水が1個の貯湯用熱交換器のみを通流する状態にする。
【0063】
(ヘ) 上記の実施形態においては、前記暖房端末器として、複数の暖房端末器を前記暖房用熱媒循環路8に互いに並列に設ける場合について例示したが、1台の暖房端末器を設けても良い。
又、前記暖房端末器の具体例としては、上記の実施形態において例示した床暖房パネル2に限定されるものではなく、例えば、ファンコイルユニットでも良い。
又、前記暖房端末器として、複数の暖房端末器を前記暖房用熱媒循環路8に互いに並列に設ける場合において、上記の実施形態において例示したように同種のものを設ける場合に代えて、異種のものを混在させて設けても良い。
【0064】
(ト) 上記の実施形態においては、前記暖房用熱交換器45と前記貯湯用熱交換器としての前記高温側貯湯用熱交換器5及び前記低温側貯湯用熱交換器6とを前記冷却水循環路12に直列状に設ける場合について例示したが、これら暖房用熱交換器45と貯湯用熱交換器とを前記冷却水循環路12に並列状に設けても良い。この場合、冷却水を前記暖房用熱交換器45と前記貯湯用熱交換器とに分流させる分流弁を設けて、床暖房運転及び追焚のうちの少なくとも一方が指令されたときは、冷却水が前記暖房用熱交換器45及び前記貯湯用熱交換器の両方を通流する状態にし、床暖房運転及び追焚のいずれも指令されないときは、冷却水が前記貯湯用熱交換器のみを通流する状態にするように前記分流弁を操作する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかる貯湯暖房装置の全体構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態にかかる貯湯暖房装置の要部のブロック図
【図3】第2実施形態にかかる貯湯暖房装置の全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 貯湯タンク
2 暖房端末器
3 貯湯用湯水循環路
4 貯湯用循環手段
5,6 貯湯用熱交換器
8 暖房用熱媒循環路
8t 端末流路部分
9 暖房用熱媒循環手段
12 排熱路
22 補助加熱器
45 暖房用熱交換器
57 開閉弁
64b 暖房負荷指令手段
B 排熱発生装置
C 運転制御手段
H 加熱部
【発明の属する技術分野】
本発明は、暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段と、
前記暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱する加熱部と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記加熱部が、排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成された熱媒循環式暖房装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
かかる熱媒循環式暖房装置は、床暖房パネル等の暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて暖房用熱媒循環手段にて熱媒を循環させ、その暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱部にて加熱して、熱媒の保有熱を暖房端末器を通じて放熱させて暖房対象部を暖房するものであり、加熱部として、発電手段等の排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、ガス燃焼式の瞬間湯沸し器等の加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成して、排熱発生装置の排熱を暖房用に利用するようにしたものである(例えば、特許文献1参照。)。
このような熱媒循環式暖房装置では、暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節するに、暖房用熱媒循環路に、暖房端末器への熱媒の供給を断続する熱動弁等の開閉弁を設けて、運転制御手段を以下のように制御動作するように構成していた。
即ち、暖房端末器の暖房作動中は、開閉弁を暖房端末器の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比、換言すれば、開弁時間と閉弁時間とを合わせたサイクル時間に対する開弁時間の比であるデューティにて間欠的に開弁し、その開閉弁の間欠的な開弁に合わせて、開閉弁を開弁している間は熱媒循環作動させ且つ開閉弁を閉弁している間は停止させる状態で、熱媒循環手段を間欠的に熱媒循環作動させ、その熱媒循環手段の熱媒循環作動に伴って熱媒が循環すると、補助加熱手段の加熱作動を開始すると共に熱媒の温度が設定温度になるように補助加熱手段の加熱量を調節するように構成していた。
【0003】
又、暖房端末器として、複数の暖房端末器を暖房用熱媒循環路に互いに並列に設ける場合があるが、その場合は、各暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節するに、前記暖房用熱媒循環路における各暖房端末器に熱媒を通流させる端末流路部分の夫々に開閉弁を設けて、運転制御手段を以下のように制御動作するように構成していた。
即ち、複数の暖房端末器が暖房作動中は、暖房作動中の各暖房端末器に対応する開閉弁を各暖房端末器の暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に開弁し、それら複数の開閉弁の間欠的な開弁に合わせて、少なくとも一つの開閉弁を開弁している間は熱媒循環作動させ且つ全ての開閉弁を閉弁している間は停止させる状態で、熱媒循環手段を間欠的に熱媒循環作動させ、その熱媒循環手段の熱媒循環作動に伴って熱媒が循環すると、補助加熱手段の加熱作動を開始すると共に熱媒の温度が設定温度になるように補助加熱手段の加熱量を調節するように構成していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−248908号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の熱媒循環式暖房装置では、上述のように熱媒循環手段を間欠的に熱媒循環作動させて、熱媒を間欠的に暖房用熱媒循環路に通流させるものであるので、熱媒の循環が停止している間は、暖房用熱交換器での熱媒への排熱の回収が行われないことになって、排熱発生装置からの排熱の回収が間欠的なものとなり、排熱発生装置からの排熱の回収率を向上して排熱を暖房用として有効に利用する上で、改善の余地があった。
【0006】
本発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1記載の発明〕
請求項1に記載の熱媒循環式暖房装置は、暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段と、
前記暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱する加熱部と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記加熱部が、排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成されたものであって、
前記運転制御手段は、前記暖房端末器の暖房作動中は前記暖房用熱媒循環手段を連続して熱媒循環作動させ、且つ、前記暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器の加熱作動を制御するように構成されている点を特徴構成とする。
即ち、暖房端末器の暖房作動中は暖房用熱媒循環手段が連続して熱媒循環作動して、暖房用熱媒循環路を熱媒が常時循環し、補助加熱手段により、暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われる。
つまり、暖房端末器の暖房作動中は、熱媒が暖房用熱媒循環路を常時循環するので、暖房用熱交換器では、排熱が常時熱媒に回収されるものとなり、又、補助加熱手段により、暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われるので、暖房端末器における放熱量を暖房負荷に応じて調節することが可能となる。
従って、暖房端末器の放熱量を暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供することができるようになった。
【0008】
〔請求項2記載の発明〕
請求項2に記載の熱媒循環式暖房装置は、請求項1において、前記暖房端末器として、複数の暖房端末器が前記暖房用熱媒循環路に互いに並列に設けられ、
前記暖房用熱媒循環路における各暖房端末器に熱媒を通流させる端末流路部分の夫々に、開閉弁が設けられ、
前記複数の暖房端末器夫々の暖房負荷を指令する暖房負荷指令手段が設けられ、
前記運転制御手段は、前記暖房負荷指令手段の指令情報に基づいて、暖房作動中の複数の暖房端末器のうちの最大暖房負荷の暖房端末器に対応する開閉弁は連続して開弁し、且つ、他の暖房端末器に対応する開閉弁はその暖房端末器の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比にて開閉し、且つ、前記最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して前記暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器の加熱作動を制御するように構成されている点を特徴構成とする。
即ち、複数の暖房端末器が暖房作動中は、暖房用熱媒循環手段が連続して熱媒循環作動して、暖房用熱媒循環路を熱媒が常時循環する状態で、最大暖房負荷の暖房端末器に対応する開閉弁は連続して開弁されて、最大暖房負荷の暖房端末器には連続して熱媒が通流し、最大暖房負荷以外の暖房端末器に対応する開閉弁は、暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に開弁されて、最大暖房負荷以外の暖房端末器には暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に熱媒が通流し、補助加熱器により、最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われる。
つまり、複数の暖房端末器が暖房作動中は、熱媒が暖房用熱媒循環路を常時循環するので、暖房用熱交換器では、排熱が常時熱媒に回収されるものとなる。
そして、補助加熱器により、最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分が補われながら、最大暖房負荷の暖房端末器には、連続して熱媒が通流し、最大暖房負荷以外の暖房端末器には、暖房負荷に応じた熱媒通流時間と熱媒通流停止時間との比、即ち、暖房負荷に応じたデューティにて間欠的に熱媒が通流するので、暖房作動中の複数の暖房端末器夫々における放熱量を夫々の暖房負荷に応じて調節することが可能となる。
従って、複数の暖房端末器を設けた場合に、複数の暖房端末器夫々の放熱量を夫々の暖房負荷に応じて調節できながら、排熱回収率を向上し得る熱媒循環式暖房装置を提供することができるようになった。
【0009】
〔請求項3記載の発明〕
請求項3に記載の熱媒循環式暖房装置は、請求項1又は2において、貯湯タンクと貯湯用熱交換器とにわたる貯湯用湯水循環路を通じて湯水を循環させる貯湯用湯水循環手段が設けられ、
前記排熱発生装置からの排熱を導く排熱路が、前記暖房用熱交換器及び前記貯湯用熱交換器に排熱を導くように設けられている点を特徴構成とする。
即ち、貯湯用湯水循環手段により、湯水が貯湯用湯水循環路を通じて貯湯タンクと貯湯用熱交換器とにわたって循環され、排熱発生装置からの排熱が排熱路を通じて暖房用熱交換器及び貯湯用熱交換器を通って流れ、暖房用熱交換器においては、排熱発生装置からの排熱により暖房用熱媒循環路を通流する熱媒が加熱され、貯湯用熱交換器においては、排熱発生装置からの排熱により貯湯用湯水循環路を通流する湯水が加熱される。
つまり、排熱発生装置からの排熱を熱源として、暖房端末器により暖房対象部が暖房され、並びに、貯湯タンクの湯水が加熱される。
従って、排熱発生装置からの排熱を暖房用及び貯湯用として有効に利用可能な熱媒循環式暖房装置を提供することができるようになった。
【0010】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明にかかる熱媒循環式暖房装置を貯湯暖房装置に適用した場合の第1実施形態を説明する。
図1に示すように、この貯湯暖房装置Aは、排熱発生装置としての燃料電池発電装置Bからの排熱を用いて、貯湯タンク1内に温度成層を形成しながら貯湯したり、貯湯タンク1内に貯湯された湯水を給湯したり、暖房端末器としての床暖房パネル2にて暖房対象空間を暖房するように構成してある。
【0011】
前記貯湯暖房装置Aは、この貯湯暖房装置Aの運転を制御する運転制御手段としての貯湯暖房制御部C、貯湯タンク1、貯湯タンク1内の湯水を貯湯用湯水循環路3を通じて循環させる貯湯用湯水循環手段としての貯湯用ポンプ4、前記貯湯用湯水循環路3を通流する湯水を前記燃料電池発電装置Bからの冷却水を熱源として加熱する高温側貯湯用熱交換器5及び低温側貯湯用熱交換器6、貯湯タンク1内の湯水を風呂場や台所等の給湯箇所に給湯する給湯路7、床暖房パネル2を通る暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段としての暖房用ポンプ9、風呂用循環路10を通じて図外の浴槽の湯水を循環させる風呂用ポンプ11、及び、前記暖房用熱媒循環路8や前記風呂用循環路10を通流する湯水を加熱する加熱部H等を備えて構成してある。
【0012】
前記燃料電池発電装置Bは、周知であるので詳述はしないが、例えば、固体高分子膜を電解質層とするセルの複数を積層状態に設けた固体高分子型に構成し、各セルの燃料極に燃料ガスとして水素含有ガスを供給し、各セルの酸素極に空気を供給して、水素と酸素との電気化学的な反応により発電を行うように構成してあり、セルの積層体(セルスタック)等を冷却した冷却水が排熱として、排熱路としての冷却水循環路12を通じて前記貯湯暖房装置Aに循環供給されるようになっている。
【0013】
前記貯湯タンク1の上部には、上部接続路13を接続し、その上部接続路13を介して、前記給湯路7を貯湯タンク1の上部に接続し、水道圧により給水する給水路14を貯湯タンク1の底部に給水するように設けて、給湯路7を通じて給湯箇所に給湯されるのに伴って、その給湯量と同量の水が水道圧により貯湯タンク1に給水されるように構成してある。前記給水路14には、逆止弁15を設けてある。
又、貯湯タンク1内のエアーを抜くエアー放出路16を、上部接続路13を介して貯湯タンク1の上部に接続し、そのエアー放出路16には、エアー放出弁17を設けてある。
【0014】
前記給湯路7には、給水路14から分岐した混合用給水路18を接続し、その接続箇所に給湯路7からの湯水と混合用給水路18からの水との混合比を調整自在なミキシングバルブ19を設けてある。混合用給水路18にも、逆止弁20を設けてある。
【0015】
又、給湯路7におけるミキシングバルブ19よりも上流側には、逆止弁21と、バーナ22bの燃焼により湯水を加熱する補助加熱器22を上流側から順に設け、更に、その補助加熱器2に流入する湯水の温度を検出する補助加熱器流入サーミスタT7と、補助加熱器22から流出する湯水の温度を検出する出湯サーミスタT1を設けてある。給湯路7におけるミキシングバルブ19よりも下流側には、ミキシングバルブ19にて混合された湯水の温度を検出するミキシングサーミスタT2、給湯路7の湯水の流量を調整する給湯用水比例バルブ23、給湯路7を通流する湯水の流量、即ち、前記給湯箇所に供給される全湯水の流量を検出する全給湯流量センサ24を上流側から順に設けてある。前記補助加熱器22は、加熱対象の湯水を通流させる熱交換器22aと、その熱交換器22aを加熱する前記バーナ22bと、そのバーナ22bに燃焼用空気を供給する燃焼用ファン22cと、バーナ22bへのガス燃料の供給を断続する燃料用電磁弁22dと、バーナ22bへのガス燃料の供給量を調節する燃料用比例弁22e等を備えて構成してある。
そして、図示しない点火プラグを作動させて、燃料用電磁弁22dを開弁することによりバーナ22bを燃焼させ、燃料用比例弁22eにより、バーナ22bへのガス燃料の供給量を調節することにより、バーナ22bの燃焼量を調節することになる。
【0016】
又、給湯路7における前記補助加熱器22と前記ミキシングバルブ19との間の箇所に、連通路29を接続し、その連通路29を前記上部接続路13を介して貯湯タンク1の上部に接続し、その連通路29には、連通路電磁弁30を設けてある。
又、給湯路7における前記給湯用水比例バルブ23と前記全給湯流量センサ24との間の箇所と、前記混合用給水路18における前記ミキシングバルブ19と前記逆止弁20との間の箇所とを連通路31にて接続し、その連通路31に、手動バルブ32を設けてある。
【0017】
前記給湯路7は、前記全給湯流量センサ24よりも下流側を、前記給湯箇所のうちの台所や洗面所などの図外の給湯栓に給湯する一般給湯路7aと、前記給湯箇所のうちの浴槽に湯水を供給するための湯張り路7bとに分岐してあり、その湯張り路7bは、前記風呂用循環路10のうちの風呂戻り路10rに接続して、その風呂戻り路10r及び風呂往き路10fの両路を通して浴槽に湯水を供給するように構成してある。
前記湯張り路7bには、その湯張り路7bを通流する湯水の流量、即ち、前記給湯箇所のうちの浴槽に供給される湯水の流量を検出する湯張り流量センサ25、湯張り電磁弁26、バキュームブレーカ27、2個の湯張り路逆止弁28を上流側から順に設けてある。
前記風呂用ポンプ11は、風呂用循環路10の風呂戻り路10rに設け、その風呂戻り路10rにおける風呂用ポンプ11よりも下流側には、風呂水流スイッチ47を設け、上流側には浴槽から戻る湯水の温度を検出する戻り温度センサT5を設けてある。
【0018】
そして、給湯栓に給湯したり浴槽に湯張りするときには、貯湯暖房制御部Cにより、出湯サーミスタT1及びミキシングサーミスタT2の検出情報に基づいて、ミキシングバルブ19の開度を調整することにより、所望の温度の湯水を供給するようにしてある。
【0019】
前記貯湯用湯水循環路3について説明を加えると、貯湯用循環路形成流路3aを、前記貯湯タンク1の底部と前記給湯路7における前記逆止弁21よりも上流側箇所とに接続して、貯湯用湯水循環路3を、貯湯用循環路形成流路3a、前記給湯路7の一部及び前記上部接続路13とにより構成し、貯湯用循環路形成流路3aに、前記貯湯用ポンプ4を前記貯湯タンク1の底部に対して吸い込み作用するように設け、更に、貯湯用循環路形成流路3aに、低温側貯湯用熱交換器6、高温側貯湯用熱交換器5、その高温側貯湯用熱交換器5から流出して貯湯タンク1に供給される湯水の温度を検出する貯湯温度サーミスタT4を湯水通流方向の上流側から順に設けてある。そして、貯湯用ポンプ4を作動させて、貯湯タンク1の湯水を、貯湯タンク1の底部から取り出し、低温側貯湯用熱交換器6及び高温側貯湯用熱交換器5にて加熱した後、貯湯タンク1の上部に戻す形態で貯湯用湯水循環路3を通じて循環させて、貯湯タンク1内に温度成層を形成しながら貯湯するように構成してある。
【0020】
前記貯湯用循環路形成流路3aにおける貯湯用ポンプ設置箇所よりも貯湯タンク1の底部側に、その貯湯用循環路形成流路3aの一部を迂回するように放熱路33を設けると共に、その貯湯用循環路形成流路3aと放熱路33との接続部に、湯水を放熱路33に通流させる放熱状態と通流させない貯湯状態とに切り換え自在に放熱用三方弁34を設け、更に、放熱路33にラジエータ35を設けると共に、そのラジエータ35に通風するラジエータファン36を設けてある。
【0021】
貯湯タンク1内の底部付近の湯水の温度を検出するように、貯湯量上限検出サーミスタT3を設け、その貯湯量上限検出サーミスタT3が設定温度以上の温度を検出することに基づいて、貯湯タンク1内の貯湯量が上限に達した貯湯量上限状態を検出するように構成してある。
ちなみに、前記給水路14は、前記放熱路33におけるラジエータ設置箇所よりも貯湯タンク1の底部側に接続して、前記放熱路33の一部及び前記貯湯用循環路形成流路3aの一部を通じて、貯湯タンク1の底部に給水するように設けてある。
【0022】
前記加熱部Hについて説明を加える。
加熱用循環路形成流路37aを、その一端を前記給湯路7における前記補助加熱器22と前記ミキシングバルブ19との間の箇所に接続し、他端を前記給湯路7における逆止弁21と前記補助加熱器流入サーミスタT7との間の箇所に接続して設けて、加熱用循環路形成流路37aと前記給湯路7の一部とから加熱用熱媒循環路37を構成し、前記加熱用循環路形成流路37aに、加熱用ポンプ38を前記補助加熱器22の出口側に吸い込み作用するように設けてある。
【0023】
加熱用循環路形成流路37aにおける加熱用ポンプ38よりも上流側部分に、暖房用循環路部分37bと風呂用循環路部分37cとに分岐させた後、再び合流させる分岐部分と、加熱用循環路形成流路37aを通流する湯水から空気を分離するエアーセパレータ43とを上流側から順に設け、前記暖房用循環路部分37bには暖房放熱用熱交換器39と暖房用電磁弁40とを設け、前記風呂用循環路部分37cには風呂放熱用熱交換器41と風呂用電磁弁42とを設け、加熱用循環路形成流路37aにおける加熱用ポンプ38よりも下流側部分に、加熱用循環路形成流路37aを通流する湯水の流量を検出する加熱用湯水流量センサ44と、暖房用熱交換器45とを上流側から順に設けてある。
【0024】
前記燃料電池発電装置Bから排出される冷却水を燃料電池発電装置Bに戻すように冷却水を通流案内する前記冷却水循環路12を、冷却水が前記高温側貯湯用熱交換器5、前記暖房用熱交換器45、前記低温側貯湯用熱交換器6の順に流れるように配管してある。
詳細は後述するが、暖房用熱媒循環路8は、熱媒が前記床暖房パネル2と前記暖房放熱用熱交換器39とを通って流れるように配管し、又、前記風呂用循環路10は、浴槽の湯水が前記風呂放熱用熱交換器41を通って流れるように配管してある。
【0025】
そして、暖房用電磁弁40を開弁した状態で、加熱用ポンプ38を作動させると、暖房用熱交換器45にて燃料電池発電装置Bからの排熱としての冷却水にて加熱されたり、補助加熱器22にて加熱された湯水が暖房放熱用熱交換器39を通流して、その暖房放熱用熱交換器39にて、加熱用熱媒循環路37を通流する湯水により暖房用熱媒循環路8を通流する熱媒が加熱される。
又、風呂用電磁弁42を開弁した状態で、加熱用ポンプ38を作動させると、暖房用熱交換器45にて燃料電池発電装置Bからの冷却水にて加熱されたり、補助加熱器22にて加熱された湯水が風呂放熱用熱交換器41を通流して、その風呂放熱用熱交換器41にて、加熱用熱媒循環路37を通流する湯水により風呂用循環路10を通流する浴槽の湯水が加熱される。
【0026】
つまり、前記加熱部Hは、前記加熱用熱媒循環路37、加熱用ポンプ38、暖房用熱交換器45、補助加熱器22、暖房放熱用熱交換器39、暖房用電磁弁40、風呂放熱用熱交換器41及び風呂用電磁弁41を備えて構成してある。
【0027】
前記エアーセパレータ43の気相部分に接続したエアー抜き路46を、貯湯タンク1の底部に接続して、加熱用熱媒循環路37内のエアーをエアーセパレータ43にて分離して、エアー抜き路46を通じて貯湯タンク1内に導き、貯湯タンク1、上部接続路13及びエアー放出路16を通じて外部に放出するように構成してある。
【0028】
冷却水循環路12には、冷却水を前記高温側貯湯用熱交換器5を迂回させて通流させる高温側迂回路48、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5と高温側迂回路48とに分流させる分流比を調節自在な分流用三方弁49、冷却水を前記暖房用熱交換器45を迂回させて通流させる暖房用熱交換器迂回路50、冷却水の全量を暖房用熱交換器45に通流させる暖房用熱交換器非迂回状態と暖房用熱交換器迂回路50に通流させる暖房用熱交換器迂回状態とに換え自在な暖房用熱交換器迂回用三方弁51、冷却水を前記低温側貯湯用熱交換器6を迂回させて通流させる低温側迂回路52、及び、冷却水の全量を前記低温側貯湯用熱交換器6に通流させる低温側非迂回状態と低温側迂回路52に通流させる低温側迂回状態とに切り換え自在な低温側迂回用三方弁53を設けてある。
【0029】
そして、以下に説明するように、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53夫々を操作することにより、冷却水の通流状態を、分流通流状態、高温側迂回通流状態、暖房用熱交換器迂回通流状態及び両貯湯用熱交換器迂回通流状態に切り換え自在に構成してある。
【0030】
前記分流通流状態では、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え且つ低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えた状態で、分流用三方弁49により前記分流比を調節して、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5と高温側迂回路48とに分流させたのち合流させて、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6に順次通流させる。
前記高温側迂回通流状態では、分流用三方弁49を冷却水の全量が高温側迂回路48に通流する高温側迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えて、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5を迂回させる状態で、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6に順次通流させる。
暖房用熱交換器迂回通流状態では、分流用三方弁49を冷却水の全量が高温側貯湯用熱交換器5に通流する高温側非迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えて、冷却水を暖房用熱交換器45を迂回させる状態で、高温側貯湯用熱交換器5、低温側貯湯用熱交換器6に順次通流させる。
前記両貯湯用熱交換器迂回通流状態では、分流用三方弁49を前記高温側迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側迂回状態に切り換えて、冷却水を高温側貯湯用熱交換器5及び低温側貯湯用熱交換器6の両方を迂回させる状態で、暖房用熱交換器45のみに通流させる。
【0031】
図1及び図2に基づいて、前記暖房用熱媒循環路8について説明を加える。
暖房用熱媒循環路8は、基端を前記暖房放熱用熱交換器39の出口に接続し且つ先端に供給ヘッダ54を接続した暖房往き路8f、基端に戻りヘッダ55を接続し且つ先端を暖房放熱用熱交換器39の入口に接続した暖房戻り路8r、供給ヘッダ54の複数の接続口夫々と戻りヘッダ55の複数の接続口夫々とを接続する複数の端末流路部分8t、及び、暖房戻り路8rと暖房往き路8fとを接続する暖房バイパス路8bから構成してある。
そして、各端末流路部分3tに、床暖房パネル2と開閉弁としての熱動弁57を設けてある。
つまり、複数の床暖房パネル2を暖房用熱媒循環路8に互いに並列に設けてある。
【0032】
前記暖房往き路8fには、床暖房パネル2に供給される熱媒の温度を検出する暖房往き温度サーミスタT6を設けてあり、前記暖房戻り路8rには、熱媒の通流方向の上流側から順に、補給水タンク58、前記暖房用ポンプ9を設けてある。前記補給水タンク58には、水位の上限を検出する上限センサ59と下限を検出する下限センサ60とを設けると共に、給水路14から分岐した補給水路61を接続し、その補給水路61には、補給水電磁弁62を設けてある。
【0033】
図1に示すように、貯湯暖房装置Aに各種制御指令を指令するメインリモコン63を設け、そのメインリモコン63には、貯湯暖房装置Aの運転開始、停止を指令するメイン運転スイッチ(図示省略)、給湯温度を設定する給湯温度設定部(図示省略)、浴槽への湯張りを指令する湯張りスイッチ(図示省略)、目標湯張り温度を設定する湯張り温度設定部(図示省略)、及び、浴槽の追焚を指令する追焚スイッチ63aを設けてある。
図2に示すように、複数の床暖房パネル2の夫々に対応させて、床暖房リモコン64を設け、各床暖房リモコン64には、床暖房運転の開始及び停止を指令する床暖房運転スイッチ64a、複数段階に設定された要求暖房能力のうちからいずれかを択一的に選択して指令する暖房能力指令部64b等を設けてある。
【0034】
以下、貯湯暖房制御部Cについて説明する。
貯湯暖房制御部Cは、燃料電池発電装置Bの運転を制御する燃料電池制御部65との間で各種制御信号を通信可能に構成すると共に、その燃料電池制御部65からの制御信号、並びに、メインリモコン63及び床暖房リモコン64からの制御指令に基づいて、後述する起動昇温運転、暖房優先並行運転、能力調整並行運転、貯湯単独運転等の各運転を実行するように構成してある。
【0035】
説明を加えると、燃料電池制御部65は、燃料電池発電装置Bの運転開始指令が指令されると、貯湯暖房制御部Cに起動昇温開始指令信号を送信し、燃料電池発電装置Cに供給される冷却水の温度が所定の温度に昇温すると、貯湯暖房制御部Cに燃料電池発電装置Bが通常運転を開始したことを示す通常運転開始信号を送信し、燃料電池発電装置Bの運転停止指令が指令されると、貯湯暖房制御部Cに燃料電池発電装置Bの運転が停止されたことを示す運転停止信号を送信する。
そして、前記起動昇温運転は、燃料電池制御部65から前記起動昇温開始指令信号が送信されると開始し、燃料電池制御部65から前記通常運転開始信号が送信されると停止し、前記暖房優先並行運転、能力調整並行運転及び貯湯単独運転は、燃料電池制御部65から前記通常運転開始信号が送信されてから前記運転停止信号が送信されるまでの間、各運転を開始する運転開始条件が満たされることも基づいて、いずれか一つを選択的に実行する。
【0036】
つまり、前記暖房優先並行運転を開始するための暖房優先並行運転開始条件は、複数の床暖房リモコン64のうちの少なくとも一つから床暖房運転開始指令が指令されることである。又、前記暖房優先並行運転を停止するための暖房優先並行運転停止条件は、全ての床暖房リモコン64が床暖房運転の停止を指令するオフ状態になることである。
前記能力調整並行運転を開始するための能力調整並行運転開始条件は、全ての床暖房リモコン64が前記オフ状態で且つメインリモコン63の追焚スイッチ63aにて浴槽の追焚が指令されることである。又、前記能力調整並行運転を停止するための能力調整並行運転停止条件は、戻り温度センサT5の検出温度が前記メインリモコン63の湯張り温度設定部にて設定された目標湯張り温度になるか、又は、前記追焚スイッチ63aにて追焚の停止が指令されることである。
前記貯湯単独運転を開始するための貯湯単独運転開始条件は、前記暖房優先並行運転停止条件及び能力調整並行運転停止条件の両方が満たされることである。
【0037】
予め、補助加熱器22の燃焼を開始する設定燃焼開始温度及び燃焼を停止する設定燃焼停止温度を、複数段階の要求暖房能力に対応させて要求暖房能力が大になるほど高くなるように設定し、並びに、熱動弁57の開弁時間及び閉弁時間を、複数段階の要求暖房能力に対応させ要求暖房能力が大になるほど開弁時間のデューティが大きくなるように設定し、それら設定燃焼開始温度/設定燃焼停止温度、及び、開弁時間/閉弁時間を、複数段階の要求暖房能力に対応させて貯湯暖房制御部Cに記憶させてある。
ちなみに、要求暖房能力が「1」〜「7」の7段階(数字が大きいほ要求暖房能力が大きい)に設定されているときは、要求暖房能力「1」、「2」、「3」、「4」、「5」、「6」、「7」に対応させて、設定燃焼開始温度/設定燃焼停止温度はそれぞれ、「65°C/60°C」、「63°C/58°C」、「61°C/56°C」、「59°C/54°C」、「57°C/52°C」、「55°C/50°C」、「53°C/48°C」に、並びに、開弁時間/閉弁時間はそれぞれ、「18分/2分」、「16分/4分」、「14分/6分」、「12分/8分」、「10分/10分」、「8分/12分」、「6分/14分」に設定してある。
【0038】
以下、上記の各運転について説明する。
先ず、前記暖房優先並行運転について説明する。
暖房優先並行運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記高温側迂回通流状態になるように切り換え、暖房用電磁弁40を開弁し、貯湯用ポンプ4、暖房用ポンプ9及び加熱用ポンプ38を作動させ、更に、1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときと、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときとに応じて、以下のように制御作動する。
【0039】
1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、その床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が床暖房リモコン64の暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、出湯サーミスタT1の検出温度が所定の設定出湯温度になるように燃焼量を調節する設定燃焼条件にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。尚、バーナ22bの燃焼の開始は、加熱用ポンプ38の作動により加熱用熱媒循環路37を湯水が通流することにより、加熱用湯水流量センサ44の検出流量が設定流量以上になっている状態で行うことになる。
【0040】
又、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、床暖房運転開始指令が指令された複数の床暖房パネル2のうち暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力が最大、即ち最大暖房負荷の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、他の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する開弁時間/閉弁時間にて間欠的に開弁し、且つ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、前記設定燃焼条件にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。
そして、前記暖房優先並行運転停止条件が満たされると、補助加熱器22のバーナ22bを消火し、暖房用ポンプ9を停止させ、暖房用電磁弁40を閉弁し、前記能力調整並行運転か貯湯単独運転のいずれかを開始することになる。
【0041】
暖房優先並行運転では、複数台の床暖房パネル2が暖房作動するときは、図1において太線にて示すように、燃料電池発電装置Bからの冷却水が冷却水循環路12を高温側貯湯用熱交換器5を迂回する状態で、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6の順に通流し、加熱用熱媒循環路37を湯水が循環し、暖房用熱媒循環路8を通じて、熱媒が最大暖房負荷の床暖房パネル2を常時循環し、その他の床暖房パネル2を指令要求暖房能力に応じたデューティにて間欠的に循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が、最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器22にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器22にて加熱される。具体的には、加熱用熱媒循環路37を循環する湯水が暖房用熱交換器45及び補助加熱器22にて加熱され、暖房放熱用熱交換器39にて、加熱用熱媒循環路37を循環する湯水により暖房用熱媒循環路8を通流する熱媒が加熱されることになる。
従って、貯湯タンク1には温度成層を形成する状態で貯湯され、各暖房端末器2により、各暖房端末器2について指令された要求暖房能力にて暖房されることになる。
【0042】
又、1台の床暖房パネル2が暖房作動するときは、燃料電池発電装置Bからの冷却水が冷却水循環路12を高温側貯湯用熱交換器5を迂回する状態で、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6の順に通流し、加熱用熱媒循環路37を湯水が循環し、暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒が床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2を常時循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器2にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器2にて加熱されることになる。
【0043】
上記のように暖房優先並行運転を実行しているときに、メインリモコン63の追焚スイッチ63aにて浴槽の追焚が指令されると、風呂用電磁弁42を開弁すると共に、風呂用ポンプ11を作動させて追焚を開始し、戻り温度センサT5の検出温度がメインリモコン63の湯張り温度設定部にて設定された目標湯張り温度になるか、又は、前記追焚スイッチ63aにて追焚の停止が指令されると、風呂用電磁弁42を閉弁すると共に、風呂用ポンプ11を停止させて追焚を停止する。
【0044】
つまり、貯湯運転制御部Cにて、運転を制御する運転制御手段Cを構成し、複数の床暖房リモコン64の暖房能力指令部64bにて、複数の暖房端末器2夫々の要求暖房能力を夫々の暖房負荷として指令する暖房負荷指令手段64bを構成し、暖房用ポンプ9にて暖房用熱媒循環手段9を構成してある。つまり、指令される要求暖房能力が大きいほど、指令される暖房負荷が大きいことになる。
【0045】
そして、前記運転制御手段Cは、暖房端末器2の暖房作動中は暖房用熱媒循環手段9を連続して熱媒循環作動させ、且つ、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成してある。
又、前記運転制御手段Cは、暖房負荷指令手段64bの指令情報に基づいて、暖房作動中の複数の暖房端末器2のうちの最大暖房負荷の暖房端末器2に対応する開閉弁57は連続して開弁し、且つ、他の暖房端末器2に対応する開閉弁57はその暖房端末器2の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比にて開閉し、且つ、前記最大暖房負荷の暖房端末器2の暖房負荷に対して暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成してある。
【0046】
前記能力調整並行運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記分流通流状態になるように切り換え、且つ、風呂用電磁弁42を開弁し、且つ、貯湯用ポンプ4、加熱用ポンプ38及び風呂用ポンプ11を作動させた状態で、貯湯温度サーミスタT4の検出温度が所定の設定貯湯温度になるように、分流用三方弁49を制御し、且つ、前記補助加熱器流入サーミスタT7の検出温度が前記設定出湯温度よりも低くなると、前記設定燃焼条件にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させる。
そして、前記能力調整並行運転停止条件が満たされると、補助加熱器22のバーナ22bを消火し、風呂用電磁弁42を閉弁し、風呂用ポンプ11を停止させて追焚を停止し、前記暖房優先並行運転か貯湯単独運転のいずれかを開始することになる。
【0047】
前記貯湯単独運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記暖房用熱交換器迂回通流状態になるように切り換え、且つ、貯湯用ポンプ4を作動させ、且つ、加熱用ポンプ38を停止させる。
【0048】
上述のように暖房優先並行運転、能力調整並行運転及び貯湯単独運転のいずれかを実行中は、貯湯暖房制御部Cは、貯湯量上限検出サーミスタT3の検出情報に基づいて、前記貯湯量上限状態でないときは前記放熱用三方弁34を前記貯湯状態に切り換え、貯湯量上限状態のときは前記放熱用三方弁34を前記放熱状態に切り換えると共に、前記ラジエータファン36を作動させる。
従って、貯湯タンク1内の貯湯量が上限に達すると、貯湯タンク1の底部から取り出した湯水をラジエータ35にて冷却した後、低温側貯湯用熱交換器6及び高温側貯湯用熱交換器5に通流させるようにして、それら低温側貯湯用熱交換器6及び高温側貯湯用熱交換器5にて燃料電池発電装置Bからの冷却水を所定通りに冷却するように構成してある。
【0049】
前記起動昇温運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記両貯湯用熱交換器迂回通流状態になるように切り換え、風呂用電磁弁42を開弁し、暖房用電磁弁40を閉弁し、加熱用ポンプ38を作動させ、貯湯用ポンプ4、暖房用ポンプ9及び風呂用ポンプ11を停止させた状態で、出湯サーミスタT1の検出温度が所定の起動昇温用の設定温度になるように、バーナ22bの燃焼量を調節する。
この起動昇温運転では、補助加熱器22にて加熱された湯水が加熱用熱媒循環路37を循環して、暖房用熱交換器45にて、加熱用熱媒循環路37を通流する湯水にて冷却水循環路12を通流する冷却水が加熱されるので、燃料電池発電装置Bの起動時間を短縮することが可能となる。
【0050】
〔第2実施形態〕
以下、図面に基づいて、本発明にかかる熱媒循環式暖房装置を貯湯暖房装置に適用した場合の第2実施形態を説明する。
図3に示すように、第2実施形態では、主として、加熱部Hの構成が異なる点、及び、浴槽の湯張り並びに追焚機能を省略した以外は、第1実施形態と同様に構成してあるので、第1実施形態と同じ構成要素や同じ作用を有する構成要素については、重複説明を避けるために、同じ符号を付すことにより説明を省略し、主として、加熱部Hについて説明する。
【0051】
補助加熱器22には、第1実施形態における熱交換器22aに代えて、給湯路7を通流する湯水を加熱す給湯加熱用熱交換器22f、後述する暖房用熱媒循環路8の暖房往き路8fを通流する熱媒を加熱する暖房加熱用熱交換器22gを設けてある以外は、第1実施形態と同様に構成してある。
【0052】
暖房用熱媒循環路8の暖房往き路8fを、その基端を暖房用熱交換器45の出口に接続し、補助加熱器22の暖房加熱用熱交換器22gを通過するように配管し、暖房戻り路8rは、その先端を暖房用熱交換器45の入口に接続するように配管してある。そして、暖房用熱媒循環路8を通じて、熱媒を暖房用熱交換器45、補助加熱器22、複数の床暖房パネル2を通って通流させるようにして、熱媒を暖房用熱交換器45や補助加熱器22にて加熱しながら、床暖房パネル2にて放熱させるように構成してある。
つまり、前記加熱部Hは、前記暖房用熱交換器45と補助加熱器22とを備えて構成してある。
床暖房パネル2に供給される熱媒の温度を検出する暖房往き温度サーミスタT6は、暖房往き路8fにおける補助加熱器22と供給ヘッダ54との間の箇所に設けてある。
【0053】
貯湯暖房制御部Cは、燃料電池制御部65から前記通常運転開始信号が送信されてから、燃料電池発電装置Bの運転が停止されることを示す運転停止信号が送信されるまでの間、床暖房リモコン64からの制御指令に基づいて、暖房優先並行運転及び貯湯単独運転のいずれか一つが選択的に実行するように構成してある。
前記暖房優先並行運転は、第1実施形態において説明した暖房優先並行運転開始条件が満たされると開始し、第1実施形態において説明した暖房優先並行運転停止条件が満たされると停止する。
又、貯湯単独運転は、前記暖房優先並行運転停止条件が満たされると実行する。
【0054】
暖房優先並行運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記高温側迂回通流状態になるように切り換え、貯湯用ポンプ4及び暖房用ポンプ9を作動させ、更に、1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときと、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されるときとに応じて、以下のように制御作動する。
1台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、その床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が床暖房リモコン64の暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、所定の設定暖房用燃焼量にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。
【0055】
又、複数台の床暖房リモコン64から床暖房運転開始指令が指令されると、床暖房運転開始指令が指令された複数の床暖房パネル2のうち暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力が最大、即ち最大暖房負荷の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を連続して開弁する状態で、他の床暖房パネル2に対応する熱動弁57を暖房能力指令部64bにて指令された指令要求暖房能力に対応する開弁時間/閉弁時間にて間欠的に開弁し、且つ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に対応する設定燃焼開始温度以下になると、前記設定暖房用燃焼量にて補助加熱器22のバーナ22bを燃焼させ、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が前記指令要求暖房能力に対応する設定燃焼停止温度以上になるとバーナ22bを消火する形態で、補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させる。
【0056】
つまり、暖房優先並行運転では、複数台の床暖房パネル2が暖房作動するときは、図3に太線にて示す如く、第1実施形態と同様に、暖房用熱媒循環路8を通じて、熱媒が最大暖房負荷の床暖房パネル2を常時循環し、その他の床暖房パネル2を指令要求暖房能力に応じたデューティにて間欠的に循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が、最大暖房負荷の床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器22にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器22にて加熱される。
又、1台の床暖房パネル2が暖房作動するときも、第1実施形態と同様に、暖房用熱媒循環路8を通じて熱媒が床暖房運転開始指令が指令された床暖房パネル2を常時循環し、その暖房用熱媒循環路8を循環する熱媒の温度が床暖房パネル2の指令要求暖房能力に応じた温度範囲になるように、暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分が補助加熱器2にて補われる状態で、暖房用熱交換器45及び補助加熱器2にて加熱されることになる。
【0057】
又、前記貯湯単独運転では、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記暖房用熱交換器迂回通流状態になるように切り換え、且つ、貯湯用ポンプ4を作動させ、且つ、暖房用ポンプ9を停止させる。
【0058】
〔別実施形態〕
次に別実施形態を説明する。
(イ) 前記暖房用熱交換器45に供給する排熱としては、上記の実施形態において例示した燃料電池発電装置Bの排熱に限定されるものではない。
例えば、エンジンにて駆動される発電装置を設けた場合は、エンジンの冷却水を排熱として供給することになる。
又、空調用として、エンジンにて駆動されるヒートポンプを設けた場合も、エンジンの冷却水を排熱として供給することになる。この場合、前記加熱部Hは、前記暖房用熱交換器45及び前記補助加熱器22に加えて、前記ヒートポンプにて得られる熱を熱源とする熱交換器を備えて構成することも可能である。
【0059】
(ロ) 暖房負荷指令手段の具体例としては、上記の実施形態において例示したところの、複数の暖房負荷指令手段64bにて構成する場合に限定されるものではない。
例えば、複数の床暖房パネル2の夫々に対応して、目標暖房温度を設定する目標暖房温度設定部、及び、暖房対象部の温度を検出する暖房対象部温度センサにて構成しても良い。この場合、前記目標暖房温度設定部にて設定される暖房目標温度と前記暖房対象部温度センサの検出温度との偏差を暖房負荷として指令するように構成する。
【0060】
(ハ) 上記の各実施形態では、複数の床暖房リモコン64のうちの少なくとも一つから床暖房運転開始指令が指令された場合、冷却水の通流状態を前記高温側迂回通流状態にした状態で、暖房用電磁弁40(第2実施形態では不要)、貯湯用ポンプ4、暖房用ポンプ9、加熱用ポンプ38(第2実施形態では不要)、複数の熱動弁57及び補助加熱器22を上述のように制御して暖房運転を実行する場合について例示したが、暖房運転を実行するときの冷却水の通流状態は、前記高温側迂回通流状態に限定されるものではない。
例えば、分流用三方弁49、暖房用熱交換器迂回用三方弁51及び低温側迂回用三方弁53を冷却水の通流状態が前記分流通流状態になるように切り換えた状態で、暖房運転を実行するように構成しても良い。
あるいは、分流用三方弁49を前記高温側非迂回状態に切り換え、且つ、暖房用熱交換器迂回用三方弁51を前記暖房用熱交換器非迂回状態に切り換え、且つ、低温側迂回用三方弁53を前記低温側非迂回状態に切り換えて、冷却水の全量を高温側貯湯用熱交換器5、暖房用熱交換器45、低温側貯湯用熱交換器6の順に通流させる通常通流状態にした状態で、暖房運転を実行するように構成しても良い。
【0061】
(ニ) 暖房用熱交換器45による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器22の加熱作動を制御するように構成するに、上記の実施形態においては、暖房負荷に応じて設定された前記設定燃焼開始温度及び前記設定燃焼停止温度を用いて補助加熱器22のバーナ22bを間欠的に燃焼させるように構成した。
これに代えて、上記の第2実施形態の構成において、暖房負荷が高くなるほど高くなるよう、暖房負荷に応じて目標供給熱媒温度を設定して、暖房往き温度サーミスタT6の検出温度が暖房負荷に応じた目標供給熱媒温度になるように、補助加熱器22のバーナ22bの燃焼量を調節するようにしても良い。
【0062】
(ホ) 上記の実施形態で設けた高温側貯湯用熱交換器5及び低温側貯湯用熱交換器6のうちのいずれか一方のみを設けても良い。この場合、床暖房運転及び追焚のうちの少なくとも一方が指令されたときは、冷却水が1個の貯湯用熱交換器と暖房用熱交換器45を通流する状態にし、床暖房運転及び追焚のいずれも指令されないときは、冷却水が1個の貯湯用熱交換器のみを通流する状態にする。
【0063】
(ヘ) 上記の実施形態においては、前記暖房端末器として、複数の暖房端末器を前記暖房用熱媒循環路8に互いに並列に設ける場合について例示したが、1台の暖房端末器を設けても良い。
又、前記暖房端末器の具体例としては、上記の実施形態において例示した床暖房パネル2に限定されるものではなく、例えば、ファンコイルユニットでも良い。
又、前記暖房端末器として、複数の暖房端末器を前記暖房用熱媒循環路8に互いに並列に設ける場合において、上記の実施形態において例示したように同種のものを設ける場合に代えて、異種のものを混在させて設けても良い。
【0064】
(ト) 上記の実施形態においては、前記暖房用熱交換器45と前記貯湯用熱交換器としての前記高温側貯湯用熱交換器5及び前記低温側貯湯用熱交換器6とを前記冷却水循環路12に直列状に設ける場合について例示したが、これら暖房用熱交換器45と貯湯用熱交換器とを前記冷却水循環路12に並列状に設けても良い。この場合、冷却水を前記暖房用熱交換器45と前記貯湯用熱交換器とに分流させる分流弁を設けて、床暖房運転及び追焚のうちの少なくとも一方が指令されたときは、冷却水が前記暖房用熱交換器45及び前記貯湯用熱交換器の両方を通流する状態にし、床暖房運転及び追焚のいずれも指令されないときは、冷却水が前記貯湯用熱交換器のみを通流する状態にするように前記分流弁を操作する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態にかかる貯湯暖房装置の全体構成を示すブロック図
【図2】第1実施形態にかかる貯湯暖房装置の要部のブロック図
【図3】第2実施形態にかかる貯湯暖房装置の全体構成を示すブロック図
【符号の説明】
1 貯湯タンク
2 暖房端末器
3 貯湯用湯水循環路
4 貯湯用循環手段
5,6 貯湯用熱交換器
8 暖房用熱媒循環路
8t 端末流路部分
9 暖房用熱媒循環手段
12 排熱路
22 補助加熱器
45 暖房用熱交換器
57 開閉弁
64b 暖房負荷指令手段
B 排熱発生装置
C 運転制御手段
H 加熱部
Claims (3)
- 暖房端末器を通る暖房用熱媒循環路を通じて熱媒を循環させる暖房用熱媒循環手段と、
前記暖房用熱媒循環路を通流する熱媒を加熱する加熱部と、
運転を制御する運転制御手段とが設けられ、
前記加熱部が、排熱発生装置からの排熱が供給される暖房用熱交換器と、加熱作動を制御自在な補助加熱器とを備えて構成された熱媒循環式暖房装置であって、
前記運転制御手段は、前記暖房端末器の暖房作動中は前記暖房用熱媒循環手段を連続して熱媒循環作動させ、且つ、前記暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器の加熱作動を制御するように構成されている熱媒循環式暖房装置。 - 前記暖房端末器として、複数の暖房端末器が前記暖房用熱媒循環路に互いに並列に設けられ、
前記暖房用熱媒循環路における各暖房端末器に熱媒を通流させる端末流路部分の夫々に、開閉弁が設けられ、
前記複数の暖房端末器夫々の暖房負荷を指令する暖房負荷指令手段が設けられ、
前記運転制御手段は、前記暖房負荷指令手段の指令情報に基づいて、暖房作動中の複数の暖房端末器のうちの最大暖房負荷の暖房端末器に対応する開閉弁は連続して開弁し、且つ、他の暖房端末器に対応する開閉弁はその暖房端末器の暖房負荷に応じた開弁時間と閉弁時間との比にて開閉し、且つ、前記最大暖房負荷の暖房端末器の暖房負荷に対して前記暖房用熱交換器による加熱では不足する不足分を補うように前記補助加熱器の加熱作動を制御するように構成されている請求項1記載の熱媒循環式暖房装置。 - 貯湯タンクと貯湯用熱交換器とにわたる貯湯用湯水循環路を通じて湯水を循環させる貯湯用湯水循環手段が設けられ、
前記排熱発生装置からの排熱を導く排熱路が、前記暖房用熱交換器及び前記貯湯用熱交換器に排熱を導くように設けられている請求項1又は2記載の熱媒循環式暖房装置。
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2003
- 2003-05-15 JP JP2003137499A patent/JP2004340483A/ja active Pending
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