JP2004340173A - 油圧緩衝器 - Google Patents

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Abstract

【課題】油圧緩衝器を車両のサスペンションに適用可能なものとする。
【解決手段】隔壁部材1で区画された第1室R1と第2室R2とを連通するバイパス路B1の途中に当該バイパス路B1を開閉可能であって開ける方向に附勢されたバルブV1と、一定周波数以上の振動の入力時にバイパス路B1を閉じる方向に上記バルブV1を押圧する押圧手段18,19を設けた。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、油圧緩衝器に関し、特に振動周波数に依存して発生減衰力を調整するいわゆる周波数感応型の油圧緩衝器の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種油圧緩衝器としては、たとえば、オリフィスを介して油圧緩衝器の伸縮時に高まるロッド側室もしくはピストン側室の油圧をいわゆる一次遅れに圧力室に導き、この一次遅れの油圧を油圧緩衝器のピストン部もしくはベースバルブ部に設けられたリーフバルブに内側ディスク(プッシュバルブ)を介して負荷して、当該リーフバルブの初期撓み量を変化させて、振動周波数に依存する減衰力調整を行っており(たとえば、特許文献1,2,3参照)、特に、一定周波数以上の振動入力時にはリーフバルブに油圧による撓みを生じさせないようにして、発生減衰力を低下させて車両における乗り心地の向上を図っている。
【0003】
具体的には、従来の油圧緩衝器にあってはリーフバルブの撓み量を制御する内側ディスクは、リーフスプリングにより中立位置を保っており、リーフスプリングとバルブボディとで区画された圧力室に一次遅れの油圧が導かれると、リーフスプリングが撓んで、内側ディスクが下降し、リーフバルブを下方に撓ませる。そして、リーフバルブが下方に撓むと、撓み量に応じてリーフバルブの反力が高まることになる。すなわち、クラッキング圧が高まると同時に、リーフバルブの反力が高まって、流路の開口面積も小さくなるので、発生減衰力が高まる。ここで、圧力室に油圧を導く際にオリフィスを介しているので、油圧緩衝器に入力される振動の周波数が高くなると、圧力室内に油圧が導かれなくなるので、高周波数の振動の入力に対しては、リーフバルブを内側ディスクが撓ませることはなく、その発生減衰力を低下させることができるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2−142940号公報(第3頁左上欄第20行目から第4頁左下欄第6行目まで、図1)
【0005】
【特許文献2】
特開平2−142941号公報(第3頁左上欄第17行目から第5頁右上欄第15行目まで、図1)
【0006】
【特許文献3】
特開平3−168435号公報(第3頁左上欄第19行目から第4頁左下欄第18行目まで、図1)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
さて、上述の従来のいわゆる周波数感応型の油圧緩衝器にあっては、車両の乗り心地を向上でき使用上特に問題はないが、以下の不具合を将来すると指摘される恐れがある。
【0008】
すなわち、従来の油圧緩衝器によれば、一定の周波数以上の振動の入力時には、その発生減衰力を低下させることができるが、減衰力の低下量が小さいので乗り心地を向上する効果も小さくなってしまう。
【0009】
なぜならば、内側ディスクの下降量を大きくするためには、リーフスプリングのバネ定数を小さくするほうがよいが、低い周波数の振動が入力されて圧力室内の油圧が高まりバルブボディの下方の圧力室内とバルブボディの上方の油圧が同圧になる場合、バルブボディはその上下で同圧になるので浮いた状態となってリーフスプリングとバルブボディとの接触面圧はリーフスプリングのバネ力による反力のみに依存し、バネ定数を小さくするとリーフスプリングとバルブボディとの接触面圧が小さくなるので、リーフスプリングとバルブボディとの間に隙間を生じて圧力室内から作動油が漏れてしまい、圧力室内の油圧をさほど上昇し得ない状態となってしまう。すると、減衰力をさほど高めることができなくなってしまい、低周波数域の振動の入力時の発生減衰力が小さくなるので、車両の振動を充分抑制できなくなってしまう。
【0010】
したがって、リーフバルブのバネ定数を、上記弊害を生じない程度に設定しておく必要があるが、そうすると、一定の周波数以上の振動入力時の発生減衰力の低下量が小さくなってしまうので、車両における乗り心地を向上する効果が小さくなってしまうのである。
【0011】
そこで、本発明は、上記弊害を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、一定の周波数以上の振動入力時の発生減衰力の低下量を自在に設定可能として車両における乗り心地を向上する油圧緩衝器を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の課題解決手段の油圧緩衝器は、隔壁部材で区画された第1室と第2室と、第1室と第2室とを連通する流路と、流路の途中に設けた減衰力発生要素とを備え、車両の車体と車軸との間に介装される油圧緩衝器において、第1室と第2室とを連通するバイパス路と、バイパス路の途中に当該バイパス路を開閉可能であって開ける方向に附勢されたバルブと、一定周波数以下の振動の入力時にバイパス路を閉じる方向に上記バルブを押圧する押圧手段を設けたこと特徴とする。
【0013】
本発明の第2の課題解決手段は、区画部材で区画された補償室と作動室と、作動室を隔壁部材で隔成した第1室と第2室と、補償室と第1室あるいは第2室とを連通する流路と、第1室と第2室とを連通する流路と、各流路の途中に設けた減衰力発生要素とを備え、車両の車体と車軸との間に介装される油圧緩衝器において、補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路と、第1室と第2室とを連通するバイパス路と、各バイパス路の途中に当該バイパス路を開閉可能であって開ける方向に附勢されたバルブと、一定周波数以下の振動の入力時に各バイパス路を閉じる方向に上記バルブを押圧する押圧手段を設けたこと特徴とする。
【0014】
第1および第2の課題解決手段によれば、油圧緩衝器の伸縮時の振動周波数が一定の周波数以下の場合には、少なくとも1つのバイパス路が遮断され、振動周波数が一定の周波数以上の場合にはバイパス路は連通される。すなわち、油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以下の時には、作動油の流路面積が減少し、反対に油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以上の時には流路面積が増大する。したがって、油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以上の時には流路面積が増大するから、一定の周波数以上の振動領域の発生減衰力を低下させることが可能である。
【0015】
すると、この油圧緩衝器にあっては、油圧緩衝器の振動周波数が一定周波数以上時には振動の伝達率を低下させることができ、車両における乗り心地を向上することができる。
【0016】
また、従来の油圧緩衝器においては、1枚のリーフバルブの撓み量を調整することにより油圧緩衝器の振動周波数が一定周波数以上時の発生減衰力を低下させていたが、本発明では減衰力発生要素とは別に減衰力を変化させる機構、すなわち、バルブと押圧手段を設けているので、減衰力発生要素と減衰力を変化させる機構とは相関関係がなく、従来の油圧緩衝器に比較して減衰力の変化幅を自在に設定できるだけでなく、その設定調整も容易となり、従来に比較して車両における乗り心地が向上する。
【0017】
さらに、本発明では減衰力発生要素とは別に減衰力を変化させる機構を設けているので、減衰力発生要素が1枚のリーフバルブに限定されることはなく、種々の減衰力発生要素を幅広く適用可能であるから、車種に応じて減衰力発生要素を選ぶことが可能であり、より一層車両における乗り心地を向上することができる。
【0018】
またさらに、従来の油圧緩衝器ではプッシュバルブやバルブボディ等の質量のある部材がバネで押圧される構成であるので、振動周波数が高いときには応答遅れを招来する危惧があるが、本発明では、減衰力発生要素と周波数に応答する減衰力を変化させる機構とは別であるので、減衰力発生要素が応答遅れを生じることはない。
【0019】
また、本発明の第3の課題解決手段は、第1の課題解決手段において、押圧手段が、上記バルブに第1室もしくは第2室から油圧を導く通路と、当該通路の途中に設けたオリフィスとで構成され、当該通路に導かれる油圧によりバルブを押圧することを特徴とする。
【0020】
さらに、本発明の第4の課題解決手段は、第2の課題解決手段において、押圧手段が、一方のバルブに第1室から油圧を導く通路と、他方のバルブに第2室から油圧を導く通路と、各通路の途中にそれぞれ設けたオリフィスとで構成され、当該各通路に導かれる油圧によりそれぞれのバルブを押圧することを特徴とする。
【0021】
第3および第4の課題解決手段によれば、、通路とオリフィスという簡単かつスペースを取らない構成で押圧手段を形成しているので、油圧緩衝器の大型化が避けられ、さらに、外部に電源や油圧源を設けなくて済み、車両のパワーソースを消費しなくてよいので経済的である。
【0022】
さらに、オリフィスの口径による任意の一定周波数以上時の発生減衰力を低下させることができるので、オリフィスの設定により、油圧緩衝器が適用される車種に応じて周波数を特定してその発生減衰力を低下させることが可能であり、その設定調整も容易である。
【0023】
また、本発明の第5の課題解決手段は、第3の課題解決手段において、第1室と第2室がシリンダとシリンダ内に摺動自在に挿入したピストンにより隔成されるとともに、ピストンの一端側にシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドの先端を連結してなり、バイパス路がピストンロッドの先端の軸芯部に穿設した中空部とピストンロッドの側部から中空部に連通する孔とで構成され、上記バルブを上記中空部内に摺動自在に挿入されるスプールとし、当該スプールは、有底筒状であって、その側部にスプール内外を連通するポートを備え、ピストンロッド内方へ向けて附勢されピストンロッドの孔に当該ポートを常時対向させてバイパス路を連通するとともに、油圧の負荷により中空部内を摺動してピストンロッドの孔にスプールの側壁面を対向させてバイパス路を遮断することを特徴とする。
【0024】
さらに、本発明の第6の課題解決手段は、第4の課題解決手段において、第1室と第2室がシリンダとシリンダ内に摺動自在に挿入したピストンにより隔成され、補償室がシリンダ内もしくはシリンダ端部に設けられたバルブボディによりシリンダ内もしくはシリンダ外方に隔成されるとともいに、ピストンの一端側にシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドの先端を連結してなり、第1室と第2室とを連通するバイパス路がピストンロッドの先端から開口する中空部とピストンロッドの側部から中空部に連通する孔とで構成され、補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路がバルブボディの補償室側から開口する中空部と第1室もしくは第2室と当該中空部とを連通する孔とで構成され、上記各バルブを上記各中空部内に摺動自在に挿入されるスプールとし、一方のスプールは、有底筒状であって、その側部にスプール内外を連通するポートを備え、ピストンロッド内方へ向けて附勢されピストンロッドの孔に一方のスプールのポートを常時対向させて第1室と第2室とを連通するバイパス路を常時連通するとともに、油圧の負荷により中空部内を摺動してピストンロッドの孔に一方のスプールの側壁面を対向させて第1室と第2室とを連通するバイパス路を遮断し、他方のスプールは、有底筒状であって、その側部にスプール内外を連通するポートを備え、バルブボディ内方へ向けて附勢されバルブボディの孔に他方のスプールのポートを対向させて補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路を常時連通するとともに、油圧の負荷により中空部内を摺動してバルブボディの孔に他方のスプールの側壁面を対向させて補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路を遮断することを特徴とする。
【0025】
第5および第6の課題解決手段によれば、バルブをスプール弁としているので、通路内の作動油の漏洩が防止でき、通路内の圧力上昇が充分得られるので、バルブが連通ポジションとなる一定の振動周波数以上の時と遮断ポジションとなる一定の振動周波数以下の時の圧力差を大きくすることができ、これにより、圧力に相関する減衰力、すなわち、作動油がバルブを通過する時に発生する減衰力を周波数域によって大きく変化させることも可能である。
【0026】
そして、上記形状のスプール弁を使用しているので、通路に導かれる油圧の大きさにより、すなわち、ピストンのシリンダに対する速度に応じてバイパス路の流路面積を変化可能であるので、ピストンのシリンダに対する速度が変化した場合に、この油圧緩衝器の発生する減衰力の減衰特性を急激に変化させることはない。すなわち、急激に減衰特性が変化することによる衝撃の発生を防止することができるので、この点でも車両における乗り心地が向上する。
【0027】
また、スプール弁を使用しているので、振動の過渡的入力、たとえば、車両が路面上の突起を乗り越えたときに生じる高周波振動に等価のステップ入力が油圧緩衝器に作用した場合には、バルブへの油圧供給が一次遅れとなるから、通路内の圧力はその振動入力以前の状態を維持するので、徐々に通路内の圧力が高まることとなり、スプール弁がバイパス路を徐々に流路面積を小さくしながら遮断することとなる。すると、この場合に油圧緩衝器が発生する減衰力は緩やかに上昇することとなり、このため、減衰力が変化することによる衝撃や外乱が生じることはなく、この減衰力の上昇によりピストンのシリンダに対する変位量を減少していわゆる底付きを防止することができる。すなわち、吸収エネルギの増大により、底付きの衝撃を回避できるので、この点でも車両における乗り心地が向上する。
【0028】
さらに、ピストンロッドにバルブを設ける場合にバイパス路の方向切り換えができ、かつ、バイパス路から負荷される油圧によりバイパス路が連通してしまうことを確実に防止できるのでバイパス路の開閉制御が容易となる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の油圧緩衝器を図1および図2に基づいて説明する。図1は、第1の実施の形態における油圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。図2は、第1の実施の形態における油圧緩衝器のピストン部の概略断面図である。
【0030】
以下、詳細に説明すると、本実施の形態における油圧緩衝器Kは、図1に示すように、円筒状のシリンダ3と、シリンダ3の外側にシリンダ3に同芯に設けた外筒4と、シリンダ3と外筒4との間の隙間で形成した補償室たるリザーバRと、作動室たるロッド側R1およびピストン側R2と、に区画する区画部材たるバルブボディ5と、作動室をロッド側室R1とピストン側室R2とに区画するピストン1と、シリンダ3内にピストン1を介して移動自在に挿入されたピストンロッド2と、上記ピストン側室R1とロッド側室R2とを連通するバイパス路B1と、リザーバRとピストン側室R2とを連通するバイパス路B2と、各バイパス路の途中にそれぞれ設けたバルブV1,V2と、ピストン1に設けた流路L1,L2と、バルブボディ5に設けた流路L3,L4と、各流路L1,L2,L3,L4の途中にそれぞれ設けた減衰力発生要素11,12,13と吸入弁要素14とで構成され、シリンダ3内およびリザーバR内には作動油が封入されている。
【0031】
以下、各部材について詳細に説明すると、シリンダ3内には、摺動自在にピストン1が挿入され、ピストン1の図1中上端には、ピストンロッド2の先端が接続されている。そして、ピストン1には各流路L1,L2およびバイパス路B1が設けられ、流路L1,L2にはそれぞれ減衰力発生要素11,12が設けられるとともに、バイパス路B1の途中にはバルブV1が設けられている。
【0032】
そして、上記バルブV1は、遮断ポジション17および連通ポジション16に切り換え可能に設定されているとともに、附勢バネ15のバネ力でバイパス路B1を連通する常開型に設定されている。さらに、ピストン1には、このバルブV1を遮断ポジション17に切り換えるための押圧手段が設けられており、本実施の形態では、この押圧手段を、第1室たるロッド側室R1から油圧を導く通路18と、当該通路18の途中に設けたオリフィス19とで構成され、当該通路18に導かれる油圧により附勢バネ15のバネ力に抗してバルブV1を押圧することで、バルブV1を遮断ポジション17に切り換えてバイパス路B1を遮断することができるようになっている。したがって、本実施の形態においては、上記油圧をパイロット信号として利用し、ロッド側室R1から供給されるパイロット信号の入力時にバイパス路B1が遮断されると共にパイロット信号の解消時にバイパス路B1が連通される。また、このバルブV1は、パイロット信号の強弱によりバイパス路B1の流路面積を変化させるように設定されてもよい。こうすることにより、バルブV1で発生する圧力損失に変化を持たせて減衰力を変化させることができる。なお、オリフィス19は、油圧緩衝器Kの振動周波数が一定の周波数以上となるときには、作動油が通過しえなくなるように設定されている。すなわち、上記バルブV1は押圧手段により、振動周波数が一定の周波数以上の時には、バイパス路B1を連通し、一定の周波数以下の時にはバイパス路B1を遮断するようになっている。また、オリフィス19の口径により、このオリフィス19を作動油が通過しえない一定の振動周波数を設定するが、オリフィス19の口径は、この油圧緩衝器Kが適用される車種や使用環境に応じて任意に設定すればよい。そして、その設定調整も口径を変更するのみでよいので容易である。
【0033】
ちなみに、このバルブV1は、具体的な実施の形態にあっては、図2に示すように、ピストン1に配在されるのではなく、このピストン1に連設されるピストンロッド2に、特に、ピストン1を連設させるピストンロッド2における先端部あるいは先端近傍部に配在されてもよい。
【0034】
この図2に示すように、バルブV1は、スプール弁として形成されており、少々説明すると、ピストンロッド2には、その先端側から開口する中空部2aが穿設されており、この中空部2a内にスプール弁30が摺動自在に挿入されている。すなわち、中空部2aはピストン側室R2と連通している。そして、このスプール弁30は、有底筒状に形成されるとともに、その底部近傍の側部にスプール弁30内外を連通するポート30aが穿設されている。さらに、このスプール弁30は、ピストンロッド2の中空部2aの下方に設けた軸心部に孔31aを設けたストッパ部材31に担持された附勢バネ15によりピストンロッド2内方に向けて付勢されている。また、ピストンロッド2の側部には中空部2aに連通する孔2b,2bが穿設されており、この孔2b,2bはロッド側室R1に連通している。したがって、この場合、バイパス路B1は、この孔2bと中空部2aとで構成されていることとなる。そして、スプール弁30のポート30aは、スプール弁30がピストンロッド2の内方に附勢された状態で、ピストンロッド2の孔2b,2bに対向するような位置に穿設されており、すなわち、バルブV1は連通ポジション16を採ることとなり、これにより、上記の孔2bと中空部2aで構成されるバイパス路B1は常時連通状態とされている。さらに、ピストンロッド2には、中空部2aの図2中上端に連なる圧力室2cが設けられており、この圧力室2cとロッド側室R1とを連通する通路18が設けられ、この通路18の途中にはオリフィス19が設けられている。したがって、この通路18から圧力室2cに油圧が供給されると、スプール弁30が附勢バネ15のバネ力に抗して図2中下方に押圧され、スプール弁30が図2中下方に移動し、ピストンロッド2の孔2b,2bにスプール弁30のポート30aが対向しえない位置に移動すると、バルブV1は遮断ポジション17を採ることとなりバイパス路B1が遮断状態となり、他方、この通路18から圧力室2cに油圧が供給されないと、スプール弁30が附勢バネ15のバネで図2中中空部2aの上端に当接した状態のままとなり、ピストンロッド2の孔2b,2bにスプール弁30のポート30a,30aは対向することとなるので、バイパス路B1は連通されることとなる。また、連通状態下では、孔2b,2bとポート30a,30aの重なり度合いにより流路面積が変化するようになっており、作動油が孔2b,2bとポート30a,30aとを通過するときの圧力損失により減衰力を発生可能になっている。すなわち、圧力室2cおよび通路18に導かれる油圧の大きさに応じて流路面積を変化することができる。また、図示したところでは、スプール弁を使用しているが、ポペット型弁体を使用し中空部に弁座とを設けて附勢バネでポペット型弁体の弁頭を弁座に着座させるとしてもよいが、スプール弁としたほうが上述のようにピストンロッド2にバルブV1を設ける場合にバイパス路の方向切り換えができ、かつ、バイパス路から負荷される油圧によりバイパス路が連通してしまうことを確実に防止できるのでバイパス路B1の開閉制御が容易となる。
【0035】
なお、圧力室2cは必ずしも設ける必要はないが、通路18から導かれる油圧によるスプール弁30を押す力を高めることができるので、ピストン1のシリンダ3に対して図2中上方への移動速度が極めて低いときでも、スプール弁30を移動させることができる。
【0036】
また、図2中ピストン1には、それぞれ油圧緩衝器の圧縮行程時に作動油が通過する流路L1と伸長行程時に作動油が通過する流路L2が設けられ、この各流路L1,L2にはそれぞれ減衰力発生要素としてのリーフバルブ32,33が設けられている。このように、減衰力発生要素をリーフバルブとしてもよいし、他に公知の減衰力発生要素を適用してもよい。なお、上述したところでは、各流路を隔壁部材たるピストン1に、バイパス路を隔壁部材たるピストン1もしくはピストンロッド2の先端に設けるとしているが、シリンダ3の外方に各流路およびバイパス路を設けてもよい。
【0037】
なお、上述したところでは、押圧手段を通路とオリフィスとしているが、図示はしないが、たとえば、押圧手段を所定のピストン速度になったときに励磁されるソレノイドとして、このソレノイドによりスプールを押圧してもよく、他に慣用される手段を用いてもよいが、通路とオリフィスという簡単かつスペースを取らない構成で押圧手段を形成しているので、油圧緩衝器の大型化が避けられ、さらに、外部に電源や油圧源を設けなくて済み、車両のパワーソースを消費しなくてよいので経済的である。
【0038】
さらに、シリンダ3の図1中上方開口端にはピストンロッド2を挿入可能なように軸心部に孔6dを設けたロッドガイド6が設けられている。ロッドガイド6は、円筒状の本体6aと、拡径部6bとで構成され、拡径部6bには切欠6cが設けられている。また、シリンダ3の図1中下方開口端にはバルブボディ5が嵌合されており、このバルブボディ5は、円筒状の本体5aと、本体5aの図1中下方に段部5bを備えた拡径部5cとで構成され、拡径部5cには切欠5dが設けられている。そして、バルブボディ5の本体5aには各流路L3,L4およびバイパス路B2が設けられ、流路L3,L4には減衰力発生要素13と吸入弁要素14が設けられるとともに、バイパス路B2の途中にはバルブV2が設けられている。また、バルブボディ5の拡径部5cの外周には有底筒状のキャップ9が嵌合し、このキャップ9の外周が外筒4の内周に嵌合している。他方、シリンダ3の図1中上端に嵌合しているロッドガイド6の拡径部6bの外周にはピストンロッド2が挿入可能なように孔(付示せず)を設けた有底筒状のキャップ8が嵌合し、このキャップ8の外周が外筒4の内周に嵌合している。すなわち、シリンダ3内および外筒4内はキャップ8およびキャップ9により密封状態下に封止されている。
【0039】
そして、上記バルブV2は、遮断ポジション23および連通ポジション22に切り換え可能に設定されているとともに、附勢バネ21のバネ力でバイパス路B2を連通する常開型に設定されている。さらに、バルブボディ5には、このバルブV2を遮断ポジション23に切り換えるための押圧手段が設けられており、本実施の形態では、この押圧手段を、第2室たるピストン側室R2から油圧を導く通路24と、当該通路24の途中に設けたオリフィス25とで構成され、当該通路24に導かれる油圧により附勢バネ21のバネ力に抗してバルブV2を押圧することで、バルブV2を遮断ポジション23に切り換えてバイパス路B2を遮断することができるようになっている。したがって、本実施の形態においては、上記油圧をパイロット信号として利用し、ピストン側室R2から供給されるパイロット信号の入力時にバイパス路B2が遮断されると共にパイロット信号の解消時にバイパス路B2が連通される。なお、オリフィス25は、油圧緩衝器Kの振動周波数が一定の周波数以上となったときには、作動油が通過しえなくなるように設定されている。すなわち、バルブV2にあっても押圧手段により、振動周波数が一定の周波数以上の時には、バイパス路B2を連通し、一定の周波数以下の時にはバイパス路B2を遮断するようになっており、その構成も上述のバルブV1と同様の構成となっており、図示はしないが、その具体的構成についても、バルブV1同様の構成とすればよく、また、この場合には、バルブボディ5にピストンロッド2内に構成した通路18、オリフィス19、中空部2a、スプール弁30と同様のものをそれぞれ設ければよい。なお、上述したところでは、各流路およびバイパス路を区画部材たるバルブボディ5に設けるとしているが、区画部材を単に補償室たるリザーバと作動室とを区画する部材としてシリンダ3の外方に各流路およびバイパス路を設けてもよい。また、オリフィス19と同様に、オリフィス25の口径により、このオリフィス25を作動油が通過しえない一定の振動周波数を設定するが、オリフィス25の口径は、この油圧緩衝器Kが適用される車種や使用環境に応じて任意に設定すればよい。
【0040】
さて、上述のように構成された油圧緩衝器Kの作用について説明する。ピストンロッド2がシリンダ3内から退出する、すなわち、油圧緩衝器Kが伸長する場合には、ロッド側室R1が収縮するのでロッド側室R1内の油圧が高まり、ロッド側室R1内の作動油はピストン1に設けた流路L1およびバイパス路B1を通過してピストン側室R2に流入しようとする。さらに、ピストン側室R2内では、ピストンロッド2がシリンダ3から退出する体積分の作動油が不足するので、リザーバR内の作動油がバルブボディ5に設けた流路L4およびバイパス路B2を通過してピストン側室R2内に流入しようとする。そして、流路L1に設けた減衰力発生要素11で減衰力が発生されるが、このとき、ピストン1のシリンダ3に対する移動速度が遅い場合、すなわち、油圧緩衝器Kの振動周波数が低い場合には、オリフィス19による圧力損失がさほど発生しないので、通路18を介して油圧がバルブV1に負荷されることになる。そして、バルブV1は、押圧されて遮断ポジション17をとることとなる。他方、バイパス路B2のバルブV2は、ピストン側室R2の油圧は減圧されるので、押圧されずに連通ポジション22を維持することとなり、バイパス路B2は連通され、作動油はバイパス路B2を通過できることとなる。そして、バイパス路B2は連通状態となるので、吸入弁要素14を通過する作動油量が減少し、吸入弁要素14の圧力損失も減少して、ピストン側室R2への作動油の流入を容易とする。
【0041】
さらに、ピストン1のシリンダ3に対する移動速度が速くなってくると、すなわち、油圧緩衝器Kの伸長時の振動周波数が高くなってくると、通路18のオリフィス19が設けられ位置よりバルブV1側はロッド側室R1の圧力変動に対して一次遅れの圧力変動となり、作動油がオリフィス19を通過できなくなってくる。すなわち、圧力損失が大きくなってくるので、通路18油圧がバルブV1に供給されにくくなる。そしてさらに、ピストン1のシリンダ3に対する移動速度が速く、油圧緩衝器Kの伸長時の振動周波数がオリフィス19の任意の設定に起因する一定の周波数を超えるような高い場合には、作動油がオリフィス19を通過できなくなり、バルブV1は、油圧によって押圧されず附勢バネ15により附勢されるのみとなるので連通ポジション16をとることとなる。すると、バイパス路B1も連通状態となり、バイパス路B1のバルブV1を作動油が通過するので、油圧緩衝器Kは、減衰力発生要素11のみならず、バルブV1によって減衰力を発生することとなる。したがって、油圧緩衝器Kの伸長時の振動周波数が上記任意の一定周波数以上に高くなるとそれに伴い徐々にバイパス路B1を連通することとなる。
【0042】
逆に、ピストンロッド2がシリンダ3内に侵入する、すなわち、油圧緩衝器Kが収縮する場合には、ピストン側室R2が収縮するのでピストン側室R2内の油圧が高まり、ピストン側室R2内の作動油はピストン1に設けた流路L2およびバイパス路B1を通過してロッド側室R1に流入しようとする。さらに、ピストン側室R2内では、ピストンロッド2がシリンダ3に侵入する体積分の作動油が余剰となるので、ピストン側室R2内の作動油がバルブボディ5に設けた流路L3およびバイパス路B2を通過してリザーバR内に流入しようとする。そして、各流路L2,L3に設けた減衰力発生要素12,13で減衰力が発生されるが、このとき、ピストン1のシリンダ3に対する移動速度が遅い場合、すなわち、油圧緩衝器Kの振動周波数が低い場合には、オリフィス25による圧力損失がさほど発生しないので、通路24を介して油圧がバルブV2に負荷されることになる。そして、バルブV2は、押圧されて遮断ポジション23をとることとなる。他方、バイパス路B1のバルブV1は、ロッド側室R1の油圧は減圧されるので、押圧されずに連通ポジション16を維持することとなり、バイパス路B1は連通され、作動油はバイパス路B1を通過することとなる。そして、バイパス路B1は連通状態となり、バイパス路B1のバルブV1を作動油が通過するときの圧力損失によっても油圧緩衝器Kは減衰力を発生することとなる。
【0043】
さらに、ピストン1のシリンダ3に対する移動速度が速くなってくると、すなわち、油圧緩衝器Kの収縮時の振動周波数が高くなってくると、通路24のオリフィス25が設けられ位置よりバルブV2側はピストン側室R2の圧力変動に対して一次遅れの圧力変動となり、作動油がオリフィス25を通過できなくなってくる。すなわち、圧力損失が大きくなってくるので、通路24を介して油圧がバルブV2に供給されにくくなる。そしてさらに、ピストン1のシリンダ3に対する移動速度が速く、油圧緩衝器Kの収縮時の振動周波数がオリフィス25の任意の設定に起因する一定の周波数を超えるような高い場合には、作動油がオリフィス25を通過できなくなり、バルブV2は、油圧によって押圧されず附勢バネ21により附勢されるのみとなるので連通ポジション23をとることとなる。すると、バイパス路B2も連通状態となり、バイパス路B2のバルブV2を作動油が通過し、油圧緩衝器Kは、減衰力発生要素12,13およびバルブV1のみならずバルブV2によっても減衰力を発生することとなる。したがって、油圧緩衝器Kの収縮時の振動周波数が上記任意の一定周波数以上に高くなるとそれに伴い徐々にバイパス路B2を連通することとなる。
【0044】
上記したように、油圧緩衝器Kの伸縮時の振動周波数が一定の周波数以下の場合には、バイパス路B1もしくはバイパス路B2のいずれか一方が遮断され、振動周波数が一定の周波数以上の場合にはいずれのバイパス路B1,B2も連通される。すなわち、油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以下の時には、作動油の流路面積が減少し、反対に油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以上の時には流路面積が増大する。したがって、油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以上の時には流路面積が増大するから、一定の周波数以上の振動領域の発生減衰力を低下させることが可能である。
【0045】
すると、この油圧緩衝器にあっては、オリフィスの口径による任意の一定周波数以上時の発生減衰力を低下させることができるので、油圧緩衝器の振動周波数が一定周波数以上時には振動の伝達率を低下させることができ、車両における乗り心地を向上することができる。
【0046】
また、従来の油圧緩衝器においては、1枚のリーフバルブの撓み量を調整することにより油圧緩衝器の振動周波数が一定周波数以上時の発生減衰力を低下させていたが、本発明では減衰力発生要素とは別に減衰力を変化させる機構、すなわち、バルブと押圧手段を設けているので、減衰力発生要素と減衰力を変化させる機構とは相関関係がなく、従来の油圧緩衝器に比較して減衰力の変化幅を自在に設定できるだけでなく、その設定調整も容易となり、従来に比較して車両における乗り心地が向上する。
【0047】
さらに、本発明では減衰力発生要素とは別に減衰力を変化させる機構を設けているので、減衰力発生要素が1枚のリーフバルブに限定されることはなく、種々の減衰力発生要素を幅広く適用可能であるから、車種に応じて減衰力発生要素を選ぶことが可能であり、より一層車両における乗り心地を向上することができる。
【0048】
またさらに、従来の油圧緩衝器ではプッシュバルブやバルブボディ等の質量のある部材がバネで押圧される構成であるので、振動周波数が高いときには応答遅れを招来する危惧があるが、本発明では、減衰力発生要素と周波数に応答する減衰力を変化させる機構とは別であるので、減衰力発生要素が応答遅れを生じることはない。
【0049】
さらに、本実施の形態では、バルブをスプール弁としているので、通路内の作動油の漏洩が防止でき、通路内の圧力上昇が充分得られるので、バルブが連通ポジションとなる一定の振動周波数以上の時と遮断ポジションとなる一定の振動周波数以下の時の圧力差を大きくすることができ、これにより、圧力に相関する減衰力、すなわち、作動油がバルブを通過する時に発生する減衰力を周波数域によって大きく変化させることも可能である。
【0050】
そして、上記形状のスプール弁を使用しているので、通路に導かれる油圧の大きさにより、すなわち、ピストンのシリンダに対する速度に応じてバイパス路の流路面積を変化可能であるので、ピストンのシリンダに対する速度が変化した場合に、この油圧緩衝器の発生する減衰力の減衰特性を急激に変化させることはない。すなわち、急激に減衰特性が変化することによる衝撃の発生を防止することができるので、この点でも車両における乗り心地が向上する。
【0051】
また、スプール弁を使用しているので、振動の過渡的入力、たとえば、車両が路面上の突起を乗り越えたときに生じる高周波振動に等価のステップ入力が油圧緩衝器に作用した場合には、バルブへの油圧供給が一次遅れとなるから、通路内の圧力はその振動入力以前の状態を維持するので、徐々に通路内の圧力が高まることとなり、スプール弁がバイパス路を徐々に流路面積を小さくしながら遮断することとなる。すると、この場合に油圧緩衝器が発生する減衰力は緩やかに上昇することとなり、このため、減衰力が変化することによる衝撃や外乱が生じることはなく、この減衰力の上昇によりピストンのシリンダに対する変位量を減少していわゆる底付きを防止することができる。すなわち、吸収エネルギの増大により、底付きの衝撃を回避できるので、この点でも車両における乗り心地が向上する。
【0052】
なお、本実施の形態においては、油圧緩衝器をいわゆる複筒型緩衝器として説明してきたが、いわゆる単筒型とし、または、いわゆる両ロッド型としてもよく、さらに、本実施の形態においては、バイパス路、バルブおよび押圧手段を油圧緩衝器の2箇所に設けているが、1ヶ所のみの設けて油圧緩衝器の伸長時もしくは収縮時の一方のみの減衰力を低下させてもよい。ちなみにこの場合には、隔壁部材をバルブケースとして第1室を作動室とし第2室を補償室とするか、隔壁部材をピストンとして第1室をロッド側室とし第2室をピストン側室とすればよい。
【0053】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【0054】
【発明の効果】
各請求項の発明によれば、油圧緩衝器の伸縮時の振動周波数が一定の周波数以下の場合には、少なくとも1つのバイパス路が遮断され、振動周波数が一定の周波数以上の場合にはバイパス路は連通される。すなわち、油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以下の時には、作動油の流路面積が減少し、反対に油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以上の時には流路面積が増大する。したがって、油圧緩衝器の振動周波数が一定の周波数以上の時には流路面積が増大するから、一定の周波数以上の振動領域の発生減衰力を低下させることが可能である。
【0055】
すると、この油圧緩衝器にあっては、油圧緩衝器の振動周波数が一定周波数以上時には振動の伝達率を低下させることができ、車両における乗り心地を向上することができる。
【0056】
また、従来の油圧緩衝器においては、1枚のリーフバルブの撓み量を調整することにより油圧緩衝器の振動周波数が一定周波数以上時の発生減衰力を低下させていたが、本発明では減衰力発生要素とは別に減衰力を変化させる機構、すなわち、バルブと押圧手段を設けているので、減衰力発生要素と減衰力を変化させる機構とは相関関係がなく、従来の油圧緩衝器に比較して減衰力の変化幅を自在に設定できるだけでなく、その設定調整も容易となり、従来に比較して車両における乗り心地が向上する。
【0057】
さらに、本発明では減衰力発生要素とは別に減衰力を変化させる機構を設けているので、減衰力発生要素が1枚のリーフバルブに限定されることはなく、種々の減衰力発生要素を幅広く適用可能であるから、車種に応じて減衰力発生要素を選ぶことが可能であり、より一層車両における乗り心地を向上することができる。
【0058】
またさらに、従来の油圧緩衝器ではプッシュバルブやバルブボディ等の質量のある部材がバネで押圧される構成であるので、振動周波数が高いときには応答遅れを招来する危惧があるが、本発明では、減衰力発生要素と周波数に応答する減衰力を変化させる機構とは別であるので、減衰力発生要素が応答遅れを生じることはない。
【0059】
また、請求項3および請求項4の発明によれば、通路とオリフィスという簡単かつスペースを取らない構成で押圧手段を形成しているので、油圧緩衝器の大型化が避けられ、さらに、外部に電源や油圧源を設けなくて済み、車両のパワーソースを消費しなくてよいので経済的である。
【0060】
さらに、オリフィスの口径による任意の一定周波数以上時の発生減衰力を低下させることができるので、オリフィスの設定により、油圧緩衝器が適用される車種に応じて周波数を特定してその発生減衰力を低下させることが可能であり、その設定調整も容易である。
【0061】
そして、請求項5および請求項6の発明によれば、バルブをスプール弁としているので、通路内の作動油の漏洩が防止でき、通路内の圧力上昇が充分得られるので、バルブが連通ポジションとなる一定の振動周波数以上の時と遮断ポジションとなる一定の振動周波数以下の時の圧力差を大きくすることができ、これにより、圧力に相関する減衰力、すなわち、作動油がバルブを通過する時に発生する減衰力を周波数域によって大きく変化させることも可能である。
【0062】
そして、上記形状のスプール弁を使用しているので、通路に導かれる油圧の大きさにより、すなわち、ピストンのシリンダに対する速度に応じてバイパス路の流路面積を変化可能であるので、ピストンのシリンダに対する速度が変化した場合に、この油圧緩衝器の発生する減衰力の減衰特性を急激に変化させることはない。すなわち、急激に減衰特性が変化することによる衝撃の発生を防止することができるので、この点でも車両における乗り心地が向上する。
【0063】
また、スプール弁を使用しているので、振動の過渡的入力、たとえば、車両が路面上の突起を乗り越えたときに生じる高周波振動に等価のステップ入力が油圧緩衝器に作用した場合には、バルブへの油圧供給が一次遅れとなるから、通路内の圧力はその振動入力以前の状態を維持するので、徐々に通路内の圧力が高まることとなり、スプール弁がバイパス路を徐々に流路面積を小さくしながら遮断することとなる。すると、この場合に油圧緩衝器が発生する減衰力は緩やかに上昇することとなり、このため、減衰力が変化することによる衝撃や外乱が生じることはなく、この減衰力の上昇によりピストンのシリンダに対する変位量を減少していわゆる底付きを防止することができる。すなわち、吸収エネルギの増大により、底付きの衝撃を回避できるので、この点でも車両における乗り心地が向上する。
【0064】
さらに、ピストンロッドにバルブを設ける場合にバイパス路の方向切り換えができ、かつ、バイパス路から負荷される油圧によりバイパス路が連通してしまうことを確実に防止できるのでバイパス路の開閉制御が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態における油圧緩衝器を原理的に示す概略断面図である。
【図2】第1の実施の形態における油圧緩衝器のピストン部の概略断面図である。
【符号の説明】
1 ピストン
2 ピストンロッド
2a 中空部
2b 孔
2c 圧力室
3 シリンダ
4 外筒
5 区画部材たるバルブボディ
5a バルブボディ本体
6 ロッドガイド
11,12,13 減衰力発生要素
14 吸入弁要素
15,21 附勢バネ
16,22 遮断ポジション
17,23 連通ポジション
18,24 通路
19,25 オリフィス
30 スプール弁
30a ポート
32,33 減衰力発生要素たるリーフバルブ
B1、B2 バイパス路
K 油圧緩衝器
L1,L2,L3,L4 流路
R 補償室たるリザーバ
R1 第1室たるロッド側室
R2 第2室たるピストン側室
V1,V2 バルブ

Claims (6)

  1. 隔壁部材で区画された第1室と第2室と、第1室と第2室とを連通する流路と、流路の途中に設けた減衰力発生要素とを備え、車両の車体と車軸との間に介装される油圧緩衝器において、第1室と第2室とを連通するバイパス路と、バイパス路の途中に当該バイパス路を開閉可能であって開ける方向に附勢されたバルブと、一定周波数以下の振動の入力時にバイパス路を閉じる方向に上記バルブを押圧する押圧手段を設けたこと特徴とする油圧緩衝器。
  2. 区画部材で区画された補償室と作動室と、作動室を隔壁部材で隔成した第1室と第2室と、補償室と第1室あるいは第2室とを連通する流路と、第1室と第2室とを連通する流路と、各流路の途中に設けた減衰力発生要素とを備え、車両の車体と車軸との間に介装される油圧緩衝器において、補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路と、第1室と第2室とを連通するバイパス路と、各バイパス路の途中に当該バイパス路を開閉可能であって開ける方向に附勢されたバルブと、一定周波数以下の振動の入力時に各バイパス路を閉じる方向に上記バルブを押圧する押圧手段を設けたこと特徴とする油圧緩衝器。
  3. 押圧手段が、上記バルブに第1室もしくは第2室から油圧を導く通路と、当該通路の途中に設けたオリフィスとで構成され、当該通路に導かれる油圧によりバルブを押圧することを特徴とする請求項1に記載の油圧緩衝器。
  4. 押圧手段が、一方のバルブに第1室から油圧を導く通路と、他方のバルブに第2室から油圧を導く通路と、各通路の途中にそれぞれ設けたオリフィスとで構成され、当該各通路に導かれる油圧によりそれぞれのバルブを押圧することを特徴とする請求項2に記載の油圧緩衝器。
  5. 第1室と第2室がシリンダとシリンダ内に摺動自在に挿入したピストンにより隔成されるとともに、ピストンの一端側にシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドの先端を連結してなり、バイパス路がピストンロッドの先端の軸芯部に穿設した中空部とピストンロッドの側部から中空部に連通する孔とで構成され、上記バルブを上記中空部内に摺動自在に挿入されるスプールとし、当該スプールは、有底筒状であって、その側部にスプール内外を連通するポートを備え、ピストンロッド内方へ向けて附勢されピストンロッドの孔に当該ポートを常時対向させてバイパス路を連通するとともに、油圧の負荷により中空部内を摺動してピストンロッドの孔にスプールの側壁面を対向させてバイパス路を遮断することを特徴とする請求項3に記載の油圧緩衝器。
  6. 第1室と第2室がシリンダとシリンダ内に摺動自在に挿入したピストンにより隔成され、補償室がシリンダ内もしくはシリンダ端部に設けられたバルブボディによりシリンダ内もしくはシリンダ外方に隔成されるとともいに、ピストンの一端側にシリンダ内に移動自在に挿入されるピストンロッドの先端を連結してなり、第1室と第2室とを連通するバイパス路がピストンロッドの先端から開口する中空部とピストンロッドの側部から中空部に連通する孔とで構成され、補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路がバルブボディの補償室側から開口する中空部と第1室もしくは第2室と当該中空部とを連通する孔とで構成され、上記各バルブを上記各中空部内に摺動自在に挿入されるスプールとし、一方のスプールは、有底筒状であって、その側部にスプール内外を連通するポートを備え、ピストンロッド内方へ向けて附勢されピストンロッドの孔に一方のスプールのポートを常時対向させて第1室と第2室とを連通するバイパス路を常時連通するとともに、油圧の負荷により中空部内を摺動してピストンロッドの孔に一方のスプールの側壁面を対向させて第1室と第2室とを連通するバイパス路を遮断し、他方のスプールは、有底筒状であって、その側部にスプール内外を連通するポートを備え、バルブボディ内方へ向けて附勢されバルブボディの孔に他方のスプールのポートを対向させて補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路を常時連通するとともに、油圧の負荷により中空部内を摺動してバルブボディの孔に他方のスプールの側壁面を対向させて補償室と第1室あるいは第2室とを連通するバイパス路を遮断することを特徴とする請求項4に記載の油圧緩衝器。
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