JP2004339969A - 内燃機関用温度センサの故障診断装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関が停止した時点からの経過時間である停止時間が所定時間を超えたとき、ラジエータ側冷却水温センサ6、機関側冷却水温センサ7及び吸気温センサ8の検出温度に基づいて、ラジエータ側冷却水温センサ6の故障が判定される。機関停止時点から前記所定時間が経過すると、各センサ近傍の温度が外気温とほぼ同等となるので、各センサの検出温度を相互に比較することにより、正確な判定を行うことができる。
【選択図】 図4
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関用温度センサの故障診断装置に関し、特に内燃機関の冷却系に設けられる温度センサの故障診断装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の冷却水の温度を検出する冷却水温センサの故障診断装置は、例えば特許文献1及び2に示されている。特許文献1に示された装置によれば、エアフローセンサにより検出される吸入空気量から機関の発熱量が推定され、該推定発熱量に基づいて冷間始動時に冷却水温が所定水温に達するまでの制限時間Tlmtが設定される。そして、この制限時間Tlmt内に検出冷却水温が前記所定水温に達しないとき、冷却水温センサが故障していると判定される。
【0003】
また特許文献2に示された装置によれば、内燃機関の吸気温TAが検出され、吸気温TAに応じて最小判定温度TWMINが決定される。そして、機関停止時点から次ぎに始動されるまでの停止時間に応じて補正係数KESTPが算出される。機関始動直後に、最小判定温度TWMINに補正係数KESTPを乗算することにより、判定温度TWREFが算出され、冷却水温センサの検出値TWが判定温度TWREFより高いとき、冷却水温センサが故障していると判定される。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−45851号公報
【特許文献2】
特開2000−230453号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
内燃機関の冷却系は、ラジエータ、内燃機関の冷却水をラジエータに循環させる冷却水通路、該冷却水通路に設けられ、該冷却水通路を開閉するサーモスタットなどによって構成される。さらに、冷却水通路内の冷却水温度であって、サーモスタットより機関側の冷却水温度を検出する機関側冷却水温センサ、及びサーモスタットよりラジエータ側の冷却水温度を検出するラジエータ側冷却水温センサが設けられ、冷却水温の監視が行われる。
【0006】
ところでラジエータ側冷却水温は、サーモスタットが開かない限り、ほとんど上昇しないので、機関が始動されサーモスタットが開く温度に達する前に停止した場合には、上述した従来の故障診断手法では、ラジエータ側冷却水温センサの正確な故障判定を行うことができないという課題があった。すなわち、このような場合には、ラジエータ側冷却水温センサが正常であっても検出温度はほとんど変化しないので、検出温度がほとんど変化しないことによって故障を判定する手法では、正しい判定ができない。
【0007】
本発明はこの点に着目してなされたものであり、機関作動中にラジエータ側冷却水温センサの検出温度がほとんど変化しなかった場合でも、正確な故障判定を行うことができる、内燃機関用温度センサの故障診断装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、ラジエータ(3)と、内燃機関の冷却水を前記ラジエータ(3)に循環させる冷却水通路(4)と、該冷却水通路(4)に設けられ、該冷却水通路(4)を開閉するサーモスタット(5)とを有する機関冷却系に装着され、前記冷却水通路(4)内の冷却水温度であって、前記サーモスタット(5)より前記ラジエータ(3)側の冷却水温度(TWR)を検出するラジエータ側冷却水温センサ(6)の故障を診断する、内燃機関用温度センサの故障診断装置において、前記冷却水通路(4)内の冷却水温度であって、前記サーモスタット(5)より前記機関(1)側の冷却水温度(TWE)を検出する機関側冷却水温センサ(7)と、前記機関の温度または前記機関の温度に関連する温度(TA)を検出する関連温度センサと、前記機関が停止した時点からの経過時間である停止時間(TS)を計測する停止時間計測手段と、前記停止時間(TS)が所定時間(TS0)を超えたとき、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)、前記機関側冷却水温センサ(7)、及び前記関連温度センサ(8)の検出温度に基づいて、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)の故障を判定する故障判定手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
ここで「所定時間」は、上記各センサの近傍の温度が外気温とほぼ同等となるのに必要な時間であり、例えば6〜8時間程度に設定される。
この構成によれば、機関が停止した時点からの経過時間である停止時間が所定時間を超えたとき、ラジエータ側冷却水温センサ、機関側冷却水温センサ、及び関連温度センサの検出温度に基づいて、ラジエータ側冷却水温センサの故障が判定される。機関停止時点から前記所定時間が経過すると、各センサ近傍の温度が外気温とほぼ同等となるので、機関の運転運転中にラジエータ側冷却水温センサの検出温度がほとんど変化しなかった場合でも、故障を正確に判定することができる。
【0010】
また前記故障判定手段は、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)の検出温度(TWR)と、前記機関側冷却水温センサ(7)及び前記関連温度センサ(8)の少なくとも一方により検出される温度(TWE,TA)との差の絶対値が判定閾値(DTF0)を越えるとき、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)または前記機関側冷却水温センサ(7)または前記関連温度センサ(8)が故障している判定し、該判定実行時における、前記機関側冷却水温センサ(7)及び前記関連温度センサ(8)の少なくとも一方により検出される温度(TWE,TA)に応じて前記判定閾値(DTF0)を設定することが望ましい。この場合、前記機関側冷却水温センサ及び前記関連温度センサの少なくとも一方により検出される温度(TWE,TA)が低下するほど、前記判定閾値(DTF0)を大きくすることが望ましい。
【0011】
また前記故障判定手段は、前記判定実行時における、前記機関側冷却水温センサ(7)及び前記関連温度センサ(8)の少なくとも一方により検出される温度(TWR,TA)が低温判定基準値(TLREF)より低い場合において、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)の検出温度(TWR)と、前記機関側冷却水温センサ(7)の検出温度(TWE)との差の絶対値が第1判定閾値(DTF1)を越えるとき、または前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)の検出温度(TWR)と、前記関連温度センサ(8)の検出温度(TA)との差の絶対値が前記第1判定閾値(DTF0)より小さい第2判定閾値(DTF2)を越えるとき、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)が故障していると判定することが望ましい。
【0012】
また前記故障判定手段は、前記機関側冷却水温センサ(7)及び前記関連温度センサ(8)の検出温度(TWE,TA)の差の絶対値が前記判定閾値(DTF0)以下である場合において、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)の検出温度(TWR)と、前記機関側冷却水温センサ(7)及び前記関連温度センサ(8)の少なくとも一方の検出温度(TWE,TA)との差の絶対値が前記判定閾値(DTF0)を越えるとき、前記ラジエータ側冷却水温センサ(6)が故障していると判定することが望ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の一実施形態にかかる車両用内燃機関(以下単に「エンジン」という)、及びその冷却系を示す図である。
【0014】
エンジン1の冷却系は、冷却水の熱を放熱させるラジエータ3と、エンジン1の冷却水をラジエータ3に循環させる冷却水通路4と、冷却水通路4内の冷却水温に応じて冷却水通路4を開閉するサーモスタット5と、エンジン1の本体に設けられた冷却水通路(図示せず)とを備えている。エンジン本体の冷却水通路は、冷却水通路4を介してラジエータ3に接続されており、水ポンプ(図示せず)によりエンジン本体とラジエータ3との間で冷却水が循環するように構成されている。サーモスタット5は、バイメタルを用いた温度感応型開閉弁であり、冷却水温が低いエンジン始動時は閉弁して冷却水がエンジン1とラジエータ3との間を循環しないようにする一方、冷却水温が上昇すると開弁して冷却水を循環させ、冷却水温を低下させるように動作する。
【0015】
冷却水通路4内の冷却水温であって、サーモスタット5よりラジエータ側の冷却水温度TWRを検出する冷却水温センサ(以下「TWRセンサ」という)6が設けられており、TWRセンサ6の検出信号は電子制御ユニット(以下「ECU」という)10に供給される。
【0016】
エンジン本体に設けられた冷却水通路内の冷却水温TWE、すなわちサーモスタット5よりエンジン側の冷却水温TWEを検出するエンジン側冷却水温センサ(以下「TWEセンサ」という)7がエンジン1の本体に装着されている。またエンジン1の吸気管2には、吸気温TAを検出する吸気温センサ(以下「TAセンサ」という)8が設けられている。TWEセンサ7及びTAセンサ8の検出信号は、ECU10に供給される。
【0017】
イグニッションスイッチ11がECU10に接続されており、イグニッションスイッチ11のオンオフ信号がECU10に供給される。
ECU10は、入力回路、中央演算処理回路(以下「CPU」という)、記憶回路、及び出力回路からなる。入力回路は、各種センサからの入力信号波形を整形し、電圧レベルを所定レベルに修正し、アナログ信号値をデジタル信号値に変換する等の機能を有する。記録回路は、CPUで実行される各種演算プログラム及び演算結果等を記憶する。出力回路は、図示しない燃料噴射弁や点火プラグに駆動信号を供給する。
【0018】
本実施形態では、イグニッションスイッチがオフされた後も、TWRセンサ6,TWEセンサ7、TAセンサ8、及びECU10に電源が供給される。ECU10のCPUは、以下に説明する故障診断処理を実行する。その故障診断処理では、TWRセンサ6,TWEセンサ7及びTAセンサ8の検出温度が相互に比較され、これらのセンサの故障判定が行われる。
【0019】
図2は、ラジエータ側冷却水温TWR、エンジン側冷却水温TWE、吸気温TA及び外気温TAEに推移の一例を示す図である。この図には、サーモスタット5が開く前に、時刻t1においてエンジン1が停止された例が示されている。したがって、ラジエータ側冷却水温TWRは、ほとんど上昇せず、外気温TAEとほぼ同様に変化している。エンジン側冷却水温TWE及び吸気温TAは、外気温TAEより高くなるが、エンジン停止後十分な時間(以下「所定時間TS0」という)が経過すれば、いずれも外気温TAEとほぼ同一となる。したがって、エンジン停止後の経過時間(エンジン停止時間)を計測し、エンジン停止時間が、エンジン側冷却水温TWEが外気温TAEをほぼ同一となるのに必要な時間(例えば6〜8時間)に達した時点で、TWRセンサ6,TWEセンサ7及びTAセンサ8の検出温度を相互に比較することにより、これらのセンサの故障を判定することができる。
【0020】
図3は、TWRセンサ6が故障している場合の各センサの検出温度及び外気温TAEの推移を示す。この例では、エンジン1が時刻t0に始動され、サーモスタット5が開く前の時刻t1にエンジン1が停止される。そして、時刻t1から所定時間TS0経過した時点で、TWRセンサ6の検出温度TWRが吸気温TA、あるいはエンジン側冷却水温TWEより判定閾値DTF0(例えば12℃)以上低いので、TWRセンサ6は故障していると判定される。
【0021】
図4及び図5は、ECU10のCPUで実行される故障診断処理のフローチャートである。この処理は、エンジン1のイグニッションスイッチがオフされた時点から所定時間(例えば1秒)毎に実行される。
ステップS11では、TAセンサ8、TWEセンサ7、及びTWRセンサ6の検出温度TA,TWE及びTWRを読み込み、次いでイグニッションスイッチがオフされた時点からの時間を計測するアップカウントタイマの値を、エンジン停止時間TSとして取得する(ステップS12)。ステップS13では、エンジン停止時間TSが所定時間TS0(例えば8時間)を超えたか否かを判別する。TS≦TS0である間は、直ちに本処理を終了する。
【0022】
エンジン停止時間TSが所定時間TS0を超えると、ステップS13からステップS14に進み、エンジン側冷却水温TWEと吸気温TAとの差の絶対値が、判定閾値DTF0より大きいか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは、TWEセンサ7及びTAセンサ9は正常と判定し、ステップS15に進んで、エンジン側冷却水温TWEとラジエータ側冷却水温TWRとの差の絶対値が、判定閾値DTF0より大きいか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは、3つのセンサ6,7,8はすべて正常と判定し、TAセンサNGフラグTASENSORNG,TWEセンサNGフラグTWESENSORNG,及びTWRセンサNGフラグTWRSENSORNGをすべて「0」に設定する(ステップS16)とともに、TAセンサOKフラグTASENSOROK,TWEセンサOKフラグTWESENSOROK,及びTWRセンサOKフラグTWRSENSOROKをすべて「1」に設定する(ステップS17)。
【0023】
ステップS15で|TWE−TWR|>DTF0であるときは、TWRセンサ6は故障していると判定し、TAセンサNGフラグTASENSORNG及びTWEセンサNGフラグTWESENSORNGを「0」に設定し、TWRセンサNGフラグTWRSENSORNGを「1」に設定する(ステップS18)。さらに、TAセンサOKフラグTASENSOROK及びTWEセンサOKフラグTWESENSOROKを「1」に設定し、TWRセンサOKフラグTWRSENSOROKを「0」に設定する(ステップS19)。
【0024】
ステップS14で|TWE−TA|>DTF0であるときは、TWEセンサ7またはTAセンサ8が故障していると判定し、ステップS20に進む。ステップS20では、前記ステップS15と同様に、エンジン側冷却水温TWEとラジエータ側冷却水温TWRとの差の絶対値が、判定閾値DTF0より大きいか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは、TWRセンサ6及びTWEセンサ7は正常で、TAセンサ8は故障していると判定し、TWRセンサNGフラグTWRSENSORNG及びTWEセンサNGフラグTWESENSORNGを「0」に設定し、TAセンサNGフラグTASENSORNGを「1」に設定する(ステップS21)。さらに、TWRセンサOKフラグTWRSENSOROK及びTWEセンサOKフラグTWESENSOROKを「1」に設定し、TAセンサOKフラグTASENSOROKを「0」に設定する(ステップS22)。
【0025】
ステップS20で|TWE−TWR|>DTF0であるときは、TWRセンサ6、TWEセンサ7またはTAセンサ8が故障していると判定し、ステップS23に進む。ステップS23では、ラジエータ側冷却水温TWRと吸気温TAとの差の絶対値が、判定閾値DTF0より大きいか否かを判別する。この答が否定(NO)であるときは、TWRセンサ6及びTAセンサ8は正常で、TWEセンサ8が故障していると判定し、TWRセンサNGフラグTWRSENSORNG及びTAセンサNGフラグTASENSORNGを「0」に設定し、TWEセンサNGフラグTWESENSORNGを「1」に設定する(ステップS24)。さらに、TWRセンサOKフラグTWRSENSOROK及びTAセンサOKフラグTASENSOROKを「1」に設定し、TWEセンサOKフラグTWESENSOROKを「0」に設定する(ステップS25)。
【0026】
ステップS23で|TWR−TA|>DTF0であるときは、正常なセンサが判定できないので、3つのセンサがすべて故障していると判定し、TAセンサNGフラグTASENSORNG,TWEセンサNGフラグTWESENSORNG,及びTWRセンサNGフラグTWRSENSORNGをすべて「1」に設定する(ステップS26)とともに、TAセンサOKフラグTASENSOROK,TWEセンサOKフラグTWESENSOROK,及びTWRセンサOKフラグTWRSENSOROKをすべて「0」に設定する(ステップS27)。
【0027】
このように図4の処理では、エンジン停止後所定時間TS0、すなわちTWRセンサ6、TWEセンサ7及びTAセンサ8の検出温度がいずれも外気温とほぼ同一となるのに必要な時間が経過した時点における各センサの検出温度に基づいて、TWRセンサ6の故障判定を行うようにしたので、エンジン作動中にサーモスタット5が開いたか否かに拘わらず、TWRセンサ6の故障を正確に判定することができる。
【0028】
本実施形態では、TWRセンサ6,TWEセンサ7,及びTAセンサ8が、それぞれラジエータ側冷却水温センサ、機関側冷却水温センサ、及び関連温度センサに対応する。またECU10が、停止時間計測手段及び故障判定手段を構成する。より具体的には、図4及び5に示す処理が故障判定手段に相当する。
【0029】
(第2の実施形態)
エンジンには、低温時におけるエンジンの始動を確実にするために、エンジン本体を加熱するブロックヒータが設けられる場合がある。ブロックヒータを備えたエンジンでは、エンジンの温度が、ブロックヒータが通電される可能性が高くなる温度(例えば−25℃程度であり、以下「ブロックヒータ通電温度」という)より低くなると、ブロックヒータが通電され、エンジン温度が上昇する。図6はブロックヒータが作動した場合の、各温度センサの検出温度の推移を示すタイムチャートである。この図ではすべてのセンサが正常である場合の温度推移が示されており、センサが正常であってもTWEセンサ7の検出温度TWEが、TWRセンサ6の検出温度TWRあるいはTAセンサ8の検出温度TAより高くなる傾向がある。そのため、第1の実施形態に示した故障判定手法では、ブロックヒータが作動するような低温時では、温度センサが故障していないのに故障していると誤判定することがあった。なお図6において、TMP1及びTMP2は、それぞれ例えば0℃及び−10℃である。
【0030】
そこで本実施形態では、判定閾値DTF0を吸気温TA及びエンジン側冷却水温TWEに応じて設定し、ブロックヒータが作動した場合でも正確な判定が行えるようにした。なお、以下に説明する点以外は第1の実施形態と同一である。
【0031】
図7は、本実施形態における故障診断処理の一部を示すフローチャートである。この処理は、第1の実施形態における図4の処理にステップS31〜S33を追加したものである。なお、ステップS14の答が肯定(YES)である場合の処理は、図5と同一である。
【0032】
ステップS31では、吸気温TA及びエンジン側冷却水温TWEが、ともに低温判定基準値TLREF(例えば0℃)より低いか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは、判定閾値DTF0を第1の設定値A(例えば10℃)に設定する(ステップS32)。またステップS31の答が肯定(YES)であるときは、判定閾値DTF0を第2の設定値B(例えば15℃)に設定する(ステップS33)。
【0033】
ステップS31〜S33の処理を追加し、エンジン温度がブロックヒータ通電温度より低いときは、判定閾値DTF0をブロックヒータ通電温度以上のときより大きな値に設定することにより、ブロックヒータが作動するような低温時においても、正確な故障診断が可能となる。
本実施形態では、ECU5のタイマが停止時間計測手段に相当し、図7及び図5の処理が故障判定手段に相当する。
【0034】
(第3の実施形態)
図8は、本発明の第3の実施形態にかかる故障診断処理のフローチャートである。本実施形態では、図4及び図5の処理に代えて図8の処理により、TWRセンサ6,TWEセンサ7,及びTAセンサ8の故障診断が行われる。以下に説明する点以外は、第1の実施形態と同一である。
【0035】
図8のステップS41〜S43は、図4のステップS11〜S13と同一である。
ステップS44では、吸気温TA及びエンジン側冷却水温TWEが、ともに低温判定基準値TLREFより低いか否かを判別し、その答が否定(NO)であるときは、第1判定閾値DTF1及び第2判定閾値DTF2をいずれも第1の設定値A(例えば10℃)に設定する(ステップS45)。またステップS44の答が肯定(YES)であるときは、第1判定閾値DTF1を第2の設定値B(例えば15℃)に設定し、第2判定閾値DTF2を第3の設定値C(例えば12℃)に設定する(ステップS46)。
【0036】
ステップS47では、エンジン側冷却水温TWEと、吸気温TAとの差の絶対値が第1判定閾値DTF1より大きいか否かを判別し、その答が肯定(YES)であるときは、TWEセンサ7またはTAセンサ8が故障しているので、TWRセンサ6の故障診断を行うことなく故障診断処理を終了する。
【0037】
ステップS47で|TWE−TA|≦DTF1であるときは、TWEセンサ7及びTAセンサ8は正常と判定し、ステップS48に進む。ステップS48では、エンジン側冷却水温TWEと、ラジエータ側冷却水温TWRとの差の絶対値が、第1判定閾値DTF2より大きいか否かを判別する。その答が肯定(YES)であるときは、TWRセンサ6が故障していると判定し、TWRセンサNGフラグTWRSENSORNGを「1」に設定する(ステップS50)。
【0038】
ステップS48で|TWE−TWR|≦DTF1であるときは、さらに吸気温TAと、ラジエータ側冷却水温TWRとの差の絶対値が、第2判定閾値DTF2より大きいか否かを判別する(ステップS49)。その答が肯定(YES)であるときは、TWRセンサ6が故障していると判定し、前記ステップS50に進む。一方、ステップS49の答が否定(NO)であるときは、TWRセンサ6は正常であると判定し、TWRセンサNGフラグTWRSENSORNGを「0」に設定する(ステップS51)。
【0039】
以上のように本実施形態では、ブロックヒータの作動時は、エンジン側冷却水温TWEと、ラジエータ側冷却水温TWRとの差の絶対値が、吸気温TAと、ラジエータ側冷却水温TWRとの差の絶対値より大きくなる傾向があることに着目し(図6参照)、ブロックヒータが作動するような低温時は、第1判定閾値DTF1を第2判定閾値DTF2より大きな値に設定するようにした。これにより、TWRセンサ6の故障をより正確に判定することができる。
本実施形態では、図8の処理が故障判定手段に相当に相当する。
【0040】
なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、関連温度センサとしては、吸気温センサに限らず、例えばエンジン1の潤滑油の温度を検出する油温センサ、あるいは排気系内温度を検出する排気系温度センサなどを用いてもよい。
【0041】
また上述した図7または図8の処理では、吸気温TA及びエンジン側冷却水温TWEがともに低温判定基準値TLREFより低いとき、判定閾値(DTF0,DTF1,DTF2)を変更するようにしたが、吸気温TAまたはエンジン側冷却水温TWEのいずれか一方が低温判定基準値TLREFより低いときに、判定閾値を変更するようにしてもよい。
【0042】
また本発明は、クランク軸を鉛直方向とした船外機などのような船舶推進機用エンジンなどに適用される温度センサの故障診断にも適用が可能である。
【0043】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、機関が停止した時点からの経過時間である停止時間が所定時間を超えたとき、ラジエータ側冷却水温センサ、機関側冷却水温センサ、及び関連温度センサの検出温度に基づいて、ラジエータ側冷却水温センサの故障が判定される。機関停止時点から前記所定時間が経過すると、各センサ近傍の温度が外気温とほぼ同等となるので、機関の運転時間に拘わらず、ラジエータ側冷却水温センサの故障を正確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態にかかる車両用内燃機関及びその冷却系の構成を示す図である。
【図2】内燃機関の冷却水温度センサ及び吸気温センサの検出温度の推移の一例を示すタイムチャートである。
【図3】内燃機関の冷却水温度センサ及び吸気温センサの検出温度の推移の一例を示すタイムチャートである。
【図4】内燃機関の冷却水温度センサ及び吸気温センサの故障診断処理のフローチャートである(第1の実施形態)。
【図5】内燃機関の冷却水温度センサ及び吸気温センサの故障診断処理のフローチャートである(第1の実施形態)。
【図6】内燃機関の冷却水温度センサ及び吸気温センサの検出温度の推移の一例を示すタイムチャートである。
【図7】内燃機関の冷却水温度センサ及び吸気温センサの故障診断処理のフローチャートである(第2の実施形態)。
【図8】ラジエータ側冷却水温度センサの故障診断処理のフローチャートである(第3の実施形態)。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 吸気管
3 ラジエータ
4 冷却水通路
5 サーモスタット
6 ラジエータ側冷却水温センサ
7 エンジン側冷却水温センサ
8 吸気温センサ
10 電子制御ユニット(停止時間計測手段、故障判定手段)
Claims (1)
- ラジエータと、内燃機関の冷却水を前記ラジエータに循環させる冷却水通路と、該冷却水通路に設けられ、該冷却水通路を開閉するサーモスタットとを有する機関冷却系に装着され、前記冷却水通路内の冷却水温度であって、前記サーモスタットより前記ラジエータ側の冷却水温度を検出するラジエータ側冷却水温センサの故障を診断する、内燃機関用温度センサの故障診断装置において、
前記冷却水通路内の冷却水温度であって、前記サーモスタットより前記機関側の冷却水温度を検出する機関側冷却水温センサと、
前記機関の温度または前記機関の温度に関連する温度を検出する関連温度センサと、
前記機関が停止した時点からの経過時間である停止時間を計測する停止時間計測手段と、
前記停止時間が所定時間を超えたとき、前記ラジエータ側冷却水温センサ、前記機関側冷却水温センサ、及び前記関連温度センサの検出温度に基づいて、前記ラジエータ側冷却水温センサの故障を判定する故障判定手段とを備えることを特徴とする内燃機関用温度センサの故障診断装置。
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