JP2004339369A - 有機化層状粘土鉱物の製造方法及びゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴム中への均一な分散性を一層改良した有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法を提供する。
【解決手段】アンモニウム基又はアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を含むゴム用プロセスオイルで層状粘土鉱物を処理する有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】アンモニウム基又はアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を含むゴム用プロセスオイルで層状粘土鉱物を処理する有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法及びそれによって得られる有機化層状粘土鉱物を配合した、空気入りタイヤのトレッド、カーカス、インナーライナーなどに好適に使用することができるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化処理された層状粘土鉱物を製造した後、有機化処理粘土鉱物とゴム用プロセスオイルとを混合し、次にゴムと混練りすることによりゴム中に粘土を均一に分散させたゴム組成物が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−81785号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法に関し、更に詳しくはゴム組成物に配合するのに好適な有機化処理した層状粘土鉱物のゴム組成物中への分散性を更に改良することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、アンモニウム基又はアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を含むゴム用プロセスオイルで層状粘土鉱物を処理することを含む有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に従えば、層状粘土鉱物の有機化処理剤であるアルキルプロピレンジアミンのアンモニウム化合物をゴム用プロセスオイル中に予めこのアンモニウム塩が懸濁したオイルをクレイ分散水溶液に添加することにより一段階で層状粘土鉱物の層間中にプロセスオイルを取り込んだ有機化クレイが調製でき、しかもこの方法で得られた有機化クレイ複合体は、ゴムと混合することにより粘土鉱物の層状シートが微分散されたゴム・粘土ナノコンポジットが形成できることを見出した。
【0007】
本発明における1分子中にアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物がイオン結合することにより有機化処理された層状粘土鉱物は、例えば特開2001−164134号公報に記載の公知方法に従って層状粘土鉱物を処理することにより容易に得ることができる。ここで「アンモニウム基」とは以下の部分を有する基をいう。
【0008】
【化2】
【0009】
本発明で有機処理剤として用いられる、1分子中にアンモニウム基又はアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物は、特に、塩基性の異なる窒素原子を複数個有する化合物、好ましくは塩基性の異なる2個の窒素原子を有する化合物に、例えば塩酸を反応させることにより、比較的純度よく製造することができる。例えば、1級及び2級アミノ基、1級及び3級アミノ基、又は2級及び3級アミノ基のように2個又はそれ以上の塩基性の異なる窒素原子を有する有機化合物の一方のアミノ基だけアンモニウム化することにより、1分子中にアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を得ることができる。なお、アミノ基は有機化合物中に複数個存在していてもよい。
【0010】
本発明で使用される有機処理剤は、分子中にアンモニウム基及びアミノ基を有する化合物、好ましくは以下の式(I):
【0011】
【化3】
【0012】
で表わされる有機化合物に、例えば塩酸、硫酸、リン酸、過塩素酸などの無機酸又は酢酸などの有機酸を、有機化合物1モル当り、好ましくは0.8〜1.2モル、好ましくは室温〜110℃の温度でゴム用プロセスオイル中で反応させることにより得ることができる。
【0013】
前記式(I)において、R1 は炭素数2〜30の有機基であり、特に炭素数4〜18の炭化水素基が好ましい。具体的にはブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基が好適な基として例示される。式(I)において、R2 は、水素原子又は炭素数2〜30の有機基であり、具体的には水素原子、又はブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが例示される。特に、R1 ,R2 の少なくともどちらか一方は炭素数10〜18の飽和又は不飽和の炭化水素基であることが好ましい。そして、R3 は炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基で、具体的にはエチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基、メチレンビス(シクロヘキシレン)基、キシリレン基が好適な基として例示される。また、上記有機処理剤の他の例としては、アミノピリジンから誘導される1分子中にアンモニウム基としてのピリジニウム基及びアミノ基を有する有機化合物も用いることができる。
【0014】
本発明で有機化処理される前記層状粘土鉱物としては、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系や、バーミキュライト、ハロイサイト等があげられ、天然又は合成の層状粘土鉱物のいずれも使用することができる。また、本発明では、これらの層状粘土鉱物は単独又は任意の混合物として使用することもできる。これらの層状粘土鉱物は陽イオン交換量が10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。また、アスペクト比(即ち、粘土鉱物の長さ又は幅の厚さに対する比)は30以上であるのが好ましい。前記有機化処理剤は前記層状粘土鉱物に対し、好ましくは0.8〜1.2当量の量比で配合する。
【0015】
本発明に従えば、前記層状粘土鉱物を水中に浸漬して(例えば層状粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト100gを4リットルの水に添加することにより得られる層状粘土鉱物の水分散物)、層状粘土鉱物の層間を膨張させて、これにプロセスオイルに前記有機化処理剤を懸濁させた液を加え、層状粘土鉱物を有機化処理する。前記プロセスオイルとはゴム組成物中に一般に配合される任意汎用のプロセスオイルをいい、具体的的には、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル及びアロマ系オイル等が例示でき、これらのプロセスオイルなどを一種又はそれ以上併用してもよい。これらのプロセスオイルでパラフィン系オイル、アロマ系オイルを好ましく使用することができる。
【0016】
本発明に従って製造された有機化処理層状粘土鉱物は、耐磨耗性や耐空気透過性の改良のために、従来から空気入りタイヤその他のゴム用途に使用されるゴム組成物中に配合することができる。このようなゴム組成物に配合されるゴム成分としては例えばタイヤ用原料ゴムとして使用することができる任意のジエン系ゴムを含み、かかる代表的なジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)などをあげることができる。これらのゴムは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。上記汎用ゴム以外に、本発明のゴム組成物に使用できる他のゴムとしては、例えば臭素化されたイソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、エポキシ化天然ゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどをあげることができ、これらも単独又は任意のブレンドとして、更にこれらと上記汎用ジエン系ゴムとの任意のブレンドとして使用することができる。
【0017】
上記ゴム成分に対する有機化処理された層状粘土鉱物の配合量には特に限定はないが、ゴム100重量部当り0.5〜80重量部配合するのが好ましい。この配合量が少な過ぎるとゴム成分に対する補強性が十分でなく、所望の物性が得られにくいおそれがあり、逆に多過ぎるとゴム組成物の力学特性が低下するおそれがあると共に粘度の上昇により加工性が悪くなるおそれがあるので好ましくない。
【0018】
本発明に係るゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、カーボンブラックなどの補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑性剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は一般的な方法で混練、加硫して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0020】
有機化クレイ1(実施例1〜2)の製造
プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)490g中、アルキルプロピレンジアミン(日本油脂(株)製アスファゾール#10)160gと塩酸49.6gを80℃で反応させた懸濁液を、予め、水16リットルに分散させた層状粘土鉱物Na型モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製クニピアF)400gに、90℃で加え、同じ温度で12時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、温水で洗浄し、そして乾燥することによって1段階で層状粘土鉱物の層間中にゴム用プロセスオイルが取り込まれた有機化クレイ1を得た。
【0021】
有機化クレイ2(実施例3〜5)の製造
プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)のかわりにプロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスP200)を同量用いた以外は有機化クレイ1と同じ方法で有機化クレイ2を得た。
【0022】
有機化クレイ3(比較例1〜2)の製造
アルキルプロピレンジアミン(日本油脂(株)製アスファゾール#10)160gと塩酸49.6gをイソプロパノール250mL中、50℃で反応させた懸濁液を、予め、水16リットルに分散させた層状粘土鉱物Na型モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製クニピアF)400gに、90℃で加え、同じ温度で12時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、温水で洗浄し、そして乾燥することにより層状粘土鉱物の有機化処理を行った。この有機化処理された層状粘土鉱物をトルエン2.5リットルに分散させた後、プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)490gを加え、室温で12時間攪拌した。攪拌終了後、トルエンを真空留去した後、さらに60℃で真空乾燥を行うことにより、層状粘土鉱物の層間中にゴム用プロセスオイルが取り込まれた有機化クレイ3を得た。
【0023】
有機化クレイ4(比較例3〜5)の製造
プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)のかわりにプロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスP200)を同量用いた以外は有機化クレイ3と同じ方法で有機化クレイ4を得た。
【0024】
実施例1〜5及び比較例1〜5
表Iに示す配合比(重量部)で混合したゴム組成物を製造後、実施例1、3〜5及び比較例1、3〜5は148℃で20分間、実施例2及び比較例2は160℃で20分間の条件で、プレス加硫して目的とする試験片を調製し、以下のフィラー分散性及びフィラー分散度を評価した。結果を表Iに示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表Iの脚注
天然ゴム(RSS#1)
SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 1502)
ブチルゴム(エクソン化学(株)製Exxon Butyl 268)
ブロモブチルゴム(エクソン化学(株)製Exxon Bromobutyl 2255)
カーボンブラックN339(昭和キャボット(株)製ショウワブラックN339)
カーボンブラックN660(三菱化学(株)製ダイヤブラックG)
有機化クレイ1〜4(前記製造例参照)
無水マレイン酸変性ポリイソプレン((株)クラレ製クラプレンLIR403)
無水マレイン酸変性ポリブタジエン(日本石油化学(株)製M−1000−80)
無水マレイン酸変性ポリブテン(日本石油化学(株)製HV−100M)
亜鉛華(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3号)
ステアリン酸(日本油脂(株)製)
老化防止剤(N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)(FLEXSIS製SANTOFLEX 6PPD)
加硫促進剤1(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)(大内新興化学(株)製ノクセラーNSP)
加硫促進剤2(ジベンゾチアジルジスルフィド)(大内新興化学(株)製ノクセラーDM)
硫黄((株)鶴見化学製)
【0027】
物性評価は以下の方法で実施した。
フィラー分散性:加硫ゴムの約100μmの薄片シートを目視観察した際、フィラーの凝集塊が多く存在し不均一分散の場合を×、フィラーの凝集塊が存在しなく、均一分散の場合を〇とした。
フィラー分散度:OptiGrade社製DisperGrader1000を用いフィラー分散度を評価した。分散度は10グレードスケールで評価され、値が10の場合最も優れ、1の場合が最も悪い。
【0028】
【発明の効果】
有機化処理された層状粘土鉱物とゴム用プロセスオイルを混合した場合には、層状粘土鉱物とゴム用プロセスオイルとの相溶性又は混和性が悪く、層状粘土鉱物の層間にプロセスオイルが完全に取り込まれることは困難であり、層状粘土鉱物の層間の膨張は必ずしも十分ではないことを見出した。然るに本発明によれば水中で十分に膨張した状態の層状粘土鉱物を用いて、層状粘土鉱物の有機化処理と層間中へのプロセスオイルの取り込みとを同時に行うことができるため、層状粘土鉱物の層間中にオイルが取り込まれ、層間が十分に膨張された有機化処理粘土鉱物が一段階で製造できる。このように、本発明の有機化処理粘土鉱物は、層間中にオイルが取り込まれて粘土鉱物の層間が十分に膨張しているため、ゴム中に均一に分散することができる。さらに、本発明の好ましい態様の式(I)の有機化処理剤は、分子中にアミノ基を有するため、このアミノ基と反応することができる官能基(例えば酸無水物基、エポキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基、エステル基)を有する有機重合体と混合することにより粘土鉱物の層状シートが微分散されたゴム・粘土ナノコンポジットを形成することができるようになった。
【発明の属する技術分野】
本発明は有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法及びそれによって得られる有機化層状粘土鉱物を配合した、空気入りタイヤのトレッド、カーカス、インナーライナーなどに好適に使用することができるゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
有機化処理された層状粘土鉱物を製造した後、有機化処理粘土鉱物とゴム用プロセスオイルとを混合し、次にゴムと混練りすることによりゴム中に粘土を均一に分散させたゴム組成物が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−81785号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法に関し、更に詳しくはゴム組成物に配合するのに好適な有機化処理した層状粘土鉱物のゴム組成物中への分散性を更に改良することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明に従えば、アンモニウム基又はアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を含むゴム用プロセスオイルで層状粘土鉱物を処理することを含む有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法が提供される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明に従えば、層状粘土鉱物の有機化処理剤であるアルキルプロピレンジアミンのアンモニウム化合物をゴム用プロセスオイル中に予めこのアンモニウム塩が懸濁したオイルをクレイ分散水溶液に添加することにより一段階で層状粘土鉱物の層間中にプロセスオイルを取り込んだ有機化クレイが調製でき、しかもこの方法で得られた有機化クレイ複合体は、ゴムと混合することにより粘土鉱物の層状シートが微分散されたゴム・粘土ナノコンポジットが形成できることを見出した。
【0007】
本発明における1分子中にアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物がイオン結合することにより有機化処理された層状粘土鉱物は、例えば特開2001−164134号公報に記載の公知方法に従って層状粘土鉱物を処理することにより容易に得ることができる。ここで「アンモニウム基」とは以下の部分を有する基をいう。
【0008】
【化2】
【0009】
本発明で有機処理剤として用いられる、1分子中にアンモニウム基又はアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物は、特に、塩基性の異なる窒素原子を複数個有する化合物、好ましくは塩基性の異なる2個の窒素原子を有する化合物に、例えば塩酸を反応させることにより、比較的純度よく製造することができる。例えば、1級及び2級アミノ基、1級及び3級アミノ基、又は2級及び3級アミノ基のように2個又はそれ以上の塩基性の異なる窒素原子を有する有機化合物の一方のアミノ基だけアンモニウム化することにより、1分子中にアンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を得ることができる。なお、アミノ基は有機化合物中に複数個存在していてもよい。
【0010】
本発明で使用される有機処理剤は、分子中にアンモニウム基及びアミノ基を有する化合物、好ましくは以下の式(I):
【0011】
【化3】
【0012】
で表わされる有機化合物に、例えば塩酸、硫酸、リン酸、過塩素酸などの無機酸又は酢酸などの有機酸を、有機化合物1モル当り、好ましくは0.8〜1.2モル、好ましくは室温〜110℃の温度でゴム用プロセスオイル中で反応させることにより得ることができる。
【0013】
前記式(I)において、R1 は炭素数2〜30の有機基であり、特に炭素数4〜18の炭化水素基が好ましい。具体的にはブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、オレイル基が好適な基として例示される。式(I)において、R2 は、水素原子又は炭素数2〜30の有機基であり、具体的には水素原子、又はブチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基などが例示される。特に、R1 ,R2 の少なくともどちらか一方は炭素数10〜18の飽和又は不飽和の炭化水素基であることが好ましい。そして、R3 は炭素数2〜18のヘテロ原子を含んでもよいアルキレン基で、具体的にはエチレン基、プロピレン基、ヘキサメチレン基、デカメチレン基、メチレンビス(シクロヘキシレン)基、キシリレン基が好適な基として例示される。また、上記有機処理剤の他の例としては、アミノピリジンから誘導される1分子中にアンモニウム基としてのピリジニウム基及びアミノ基を有する有機化合物も用いることができる。
【0014】
本発明で有機化処理される前記層状粘土鉱物としては、モンモリロナイト、サポナイト、バイデライト、ノントロナイト、ヘクトライト、スティブンサイト等のスメクタイト系や、バーミキュライト、ハロイサイト等があげられ、天然又は合成の層状粘土鉱物のいずれも使用することができる。また、本発明では、これらの層状粘土鉱物は単独又は任意の混合物として使用することもできる。これらの層状粘土鉱物は陽イオン交換量が10〜300ミリ当量/100gのものが好ましい。また、アスペクト比(即ち、粘土鉱物の長さ又は幅の厚さに対する比)は30以上であるのが好ましい。前記有機化処理剤は前記層状粘土鉱物に対し、好ましくは0.8〜1.2当量の量比で配合する。
【0015】
本発明に従えば、前記層状粘土鉱物を水中に浸漬して(例えば層状粘土鉱物の一種であるモンモリロナイト100gを4リットルの水に添加することにより得られる層状粘土鉱物の水分散物)、層状粘土鉱物の層間を膨張させて、これにプロセスオイルに前記有機化処理剤を懸濁させた液を加え、層状粘土鉱物を有機化処理する。前記プロセスオイルとはゴム組成物中に一般に配合される任意汎用のプロセスオイルをいい、具体的的には、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル及びアロマ系オイル等が例示でき、これらのプロセスオイルなどを一種又はそれ以上併用してもよい。これらのプロセスオイルでパラフィン系オイル、アロマ系オイルを好ましく使用することができる。
【0016】
本発明に従って製造された有機化処理層状粘土鉱物は、耐磨耗性や耐空気透過性の改良のために、従来から空気入りタイヤその他のゴム用途に使用されるゴム組成物中に配合することができる。このようなゴム組成物に配合されるゴム成分としては例えばタイヤ用原料ゴムとして使用することができる任意のジエン系ゴムを含み、かかる代表的なジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム(SBR)、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体ゴム(EPDM)などをあげることができる。これらのゴムは単独又は任意のブレンドとして使用することができる。上記汎用ゴム以外に、本発明のゴム組成物に使用できる他のゴムとしては、例えば臭素化されたイソブチレン−p−メチルスチレン共重合体、エポキシ化天然ゴム、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンゴム、塩素化ポリエチレンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴムなどをあげることができ、これらも単独又は任意のブレンドとして、更にこれらと上記汎用ジエン系ゴムとの任意のブレンドとして使用することができる。
【0017】
上記ゴム成分に対する有機化処理された層状粘土鉱物の配合量には特に限定はないが、ゴム100重量部当り0.5〜80重量部配合するのが好ましい。この配合量が少な過ぎるとゴム成分に対する補強性が十分でなく、所望の物性が得られにくいおそれがあり、逆に多過ぎるとゴム組成物の力学特性が低下するおそれがあると共に粘度の上昇により加工性が悪くなるおそれがあるので好ましくない。
【0018】
本発明に係るゴム組成物には、前記した必須成分に加えて、カーボンブラックなどの補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑性剤などのタイヤ用、その他一般ゴム用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる配合物は一般的な方法で混練、加硫して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量も本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
【0019】
【実施例】
以下、実施例に従って本発明を具体的に説明するが、本発明をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
【0020】
有機化クレイ1(実施例1〜2)の製造
プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)490g中、アルキルプロピレンジアミン(日本油脂(株)製アスファゾール#10)160gと塩酸49.6gを80℃で反応させた懸濁液を、予め、水16リットルに分散させた層状粘土鉱物Na型モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製クニピアF)400gに、90℃で加え、同じ温度で12時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、温水で洗浄し、そして乾燥することによって1段階で層状粘土鉱物の層間中にゴム用プロセスオイルが取り込まれた有機化クレイ1を得た。
【0021】
有機化クレイ2(実施例3〜5)の製造
プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)のかわりにプロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスP200)を同量用いた以外は有機化クレイ1と同じ方法で有機化クレイ2を得た。
【0022】
有機化クレイ3(比較例1〜2)の製造
アルキルプロピレンジアミン(日本油脂(株)製アスファゾール#10)160gと塩酸49.6gをイソプロパノール250mL中、50℃で反応させた懸濁液を、予め、水16リットルに分散させた層状粘土鉱物Na型モンモリロナイト(クニミネ工業(株)製クニピアF)400gに、90℃で加え、同じ温度で12時間攪拌した。得られた沈殿物を濾過し、温水で洗浄し、そして乾燥することにより層状粘土鉱物の有機化処理を行った。この有機化処理された層状粘土鉱物をトルエン2.5リットルに分散させた後、プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)490gを加え、室温で12時間攪拌した。攪拌終了後、トルエンを真空留去した後、さらに60℃で真空乾燥を行うことにより、層状粘土鉱物の層間中にゴム用プロセスオイルが取り込まれた有機化クレイ3を得た。
【0023】
有機化クレイ4(比較例3〜5)の製造
プロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスX140)のかわりにプロセスオイル((株)ジャパンエナジー製プロセスP200)を同量用いた以外は有機化クレイ3と同じ方法で有機化クレイ4を得た。
【0024】
実施例1〜5及び比較例1〜5
表Iに示す配合比(重量部)で混合したゴム組成物を製造後、実施例1、3〜5及び比較例1、3〜5は148℃で20分間、実施例2及び比較例2は160℃で20分間の条件で、プレス加硫して目的とする試験片を調製し、以下のフィラー分散性及びフィラー分散度を評価した。結果を表Iに示す。
【0025】
【表1】
【0026】
表Iの脚注
天然ゴム(RSS#1)
SBR(日本ゼオン(株)製Nipol 1502)
ブチルゴム(エクソン化学(株)製Exxon Butyl 268)
ブロモブチルゴム(エクソン化学(株)製Exxon Bromobutyl 2255)
カーボンブラックN339(昭和キャボット(株)製ショウワブラックN339)
カーボンブラックN660(三菱化学(株)製ダイヤブラックG)
有機化クレイ1〜4(前記製造例参照)
無水マレイン酸変性ポリイソプレン((株)クラレ製クラプレンLIR403)
無水マレイン酸変性ポリブタジエン(日本石油化学(株)製M−1000−80)
無水マレイン酸変性ポリブテン(日本石油化学(株)製HV−100M)
亜鉛華(正同化学工業(株)製酸化亜鉛3号)
ステアリン酸(日本油脂(株)製)
老化防止剤(N−フェニル−N′−1,3−ジメチルブチル−p−フェニレンジアミン)(FLEXSIS製SANTOFLEX 6PPD)
加硫促進剤1(N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド)(大内新興化学(株)製ノクセラーNSP)
加硫促進剤2(ジベンゾチアジルジスルフィド)(大内新興化学(株)製ノクセラーDM)
硫黄((株)鶴見化学製)
【0027】
物性評価は以下の方法で実施した。
フィラー分散性:加硫ゴムの約100μmの薄片シートを目視観察した際、フィラーの凝集塊が多く存在し不均一分散の場合を×、フィラーの凝集塊が存在しなく、均一分散の場合を〇とした。
フィラー分散度:OptiGrade社製DisperGrader1000を用いフィラー分散度を評価した。分散度は10グレードスケールで評価され、値が10の場合最も優れ、1の場合が最も悪い。
【0028】
【発明の効果】
有機化処理された層状粘土鉱物とゴム用プロセスオイルを混合した場合には、層状粘土鉱物とゴム用プロセスオイルとの相溶性又は混和性が悪く、層状粘土鉱物の層間にプロセスオイルが完全に取り込まれることは困難であり、層状粘土鉱物の層間の膨張は必ずしも十分ではないことを見出した。然るに本発明によれば水中で十分に膨張した状態の層状粘土鉱物を用いて、層状粘土鉱物の有機化処理と層間中へのプロセスオイルの取り込みとを同時に行うことができるため、層状粘土鉱物の層間中にオイルが取り込まれ、層間が十分に膨張された有機化処理粘土鉱物が一段階で製造できる。このように、本発明の有機化処理粘土鉱物は、層間中にオイルが取り込まれて粘土鉱物の層間が十分に膨張しているため、ゴム中に均一に分散することができる。さらに、本発明の好ましい態様の式(I)の有機化処理剤は、分子中にアミノ基を有するため、このアミノ基と反応することができる官能基(例えば酸無水物基、エポキシ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アクリル基、メタクリル基、イソシアネート基、エステル基)を有する有機重合体と混合することにより粘土鉱物の層状シートが微分散されたゴム・粘土ナノコンポジットを形成することができるようになった。
Claims (4)
- アンモニウム基を有する有機化合物を含むゴム用プロセスオイルで層状粘土鉱物を処理することを特徴とする有機化処理された層状粘土鉱物の製造方法。
- アンモニウム基及びアミノ基を有する有機化合物を用いる請求項1に記載の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方法で製造された層状粘土鉱物及びアミノ基と反応性の官能基を有する有機重合体を含んでなる有機重合体組成物。
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JP2006306965A (ja) * | 2005-04-27 | 2006-11-09 | Sumitomo Rubber Ind Ltd | 澱粉の複合体およびそれを含むゴム組成物 |
JP2017002150A (ja) * | 2015-06-08 | 2017-01-05 | 東洋ゴム工業株式会社 | タイヤインナーライナー用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
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- 2003-05-15 JP JP2003137709A patent/JP2004339369A/ja active Pending
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