JP2004339233A - 拮抗的特性を有する血管内皮細胞増殖因子の変異体 - Google Patents

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Abstract

【課題】 新規な内皮細胞増殖阻害剤及び血管形成阻害剤を提供する。
【解決手段】変異体血管内皮増殖因子ポリペプチドを含むVEGFアンタゴニスト分子であって、天然VEGFアミノ酸配列の第51位及び/又は第61位の少なくとも1つのシステイン残基のアミノ酸置換(ただし、セリン残基への置換は除く)を含み、該アミノ酸置換が別の血管内皮増殖因子ポリペプチドモノマーと適切に二量体化する能力を阻害し、該アンタゴニスト分子が血管内皮増殖因子応答を有意に誘導することなく血管内皮増殖因子レセプターと結合することができるアンタゴニスト分子を、内皮細胞増殖阻害剤又は血管形成阻害剤として使用する。
【選択図】なし

Description

発明の分野
本発明は、血管内皮細胞増殖因子(以下、時にVEGFと称する)の特定の変異体であって、VEGFレセプターの細胞表面にVEGF応答を誘導することなく結合しそして占拠し、それにより天然のVEGFタンパク質の生物学的活性を拮抗する変異体に向けられる。本発明はさらに、そのような変異体VEGFアンタゴニストの製造法および天然のVEGFタンパク質と異なった治療的および薬学的特性を有する薬学的に活性な物質を製造するための、そのような変異体を使用する方法、組成物およびアッセイにも向けられる。
発明の背景
哺乳類血管系の二つの主要細胞成分は内皮細胞と平滑筋細胞である。内皮細胞は哺乳動物の全血管の内面の裏打ちを形成し、血液と組織の間に非血栓形成性界面を構成している。したがって内皮細胞の増殖は新しい毛細管と血管の発達にとって重要な成分であり、そしてまたそのような発達は哺乳類組織の成長および/または再生にとって必須の過程である。
内皮細胞増殖と血管新生の促進に極めて重要な役割を果たすことが示されている─タンパク質は、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)である。VEGFはもともとはウシ下垂体濾胞細胞または濾胞星(folliculostellate;FS)細胞の培養培地から同定精製されたヘパリン結合性内皮細胞特異的増殖因子である。FerraraおよびHenzel,Biochem.Biophys.Res.Comm.161:851-858(1989)。天然のVEGFは見かけ上の分子量が約46kDaの二量体で、各サブユニットはそれぞれ約23kDaの見かけ上の分子量をもっている。個々の天然のVEGFモノマー間の正常な二量体化は、もう1つのモノマー単位のアミノ酸番号60のシステイン残基に結合した1つのモノマー単位のアミノ酸番号51に位置するシステイン残基間のそしてその逆のジスルフィド結合の形成によって起こる。ヒトVEGFは様々な組織で、それぞれが単一のRNA転写物の選択的スプライシングの結果として生じる複数のホモ二量体型(モノマーあたり121、165、189および206アミノ酸)として発現する。例えば、VEGF121はヘパリンを結合しない可溶性分裂促進因子であるが、これより長いVEGFは長いものほどより強い親和力でヘパリンを結合する。
生化学的分析から、天然VEGF二量体が血管内皮細胞に強い分裂促進特異性を示すことがわかっている。例えばヒトVEGF cDNAによってトランスフェクトされた細胞の培養培地は毛細管内皮細胞の増殖を促進したが、対照細胞の培養培地はこれを促進しなかった。Leungら,Science 246:1306(1989)。このように天然VEGF二量体は血管内皮細胞増殖と、既存の内皮からの新しい血管の形成を伴う過程である血管新生を促進することが知られている。したがって天然VEGF二量体は、血管内皮細胞に対する増殖促進活性が重要な数多くの状態、例えば潰瘍、血管損傷および心筋梗塞などの治療に役立ちうる。
VEGF二量体の内皮細胞増殖活性は、血管内皮細胞の表面だけに存在する2つの高親和性チロシンキナーゼレセプターflt-1(FMS様チロシンキナーゼ)
とKDR(キナーゼドメイン領域)によって媒介されることが知られている。DeVriesら,Science 225:989-991(1992)およびTermanら,Oncogene 6:1677-1683(1991)。外傷などにより細胞が酸素欠乏状態になると、それらの細胞内でVEGF生産が増大し、それらがそれぞれのレセプターに結合することにより、最終的な生物学的効果のシグナルとなる。次に、このシグナルは血管透過性を増大させ、細胞が分裂、拡張して新しい血管経路を形成する。このように、天然のVEGFは、血管内皮細胞へ結合することによって機能し血管増殖を誘導する。
しかしVEGF誘導血管内皮細胞増殖は一定の状況では望ましいのだが、血管内皮細胞増殖と血管新生は、種々の疾患と障害の重要な要素でもある。そのような疾患および障害には、腫瘍の増殖と転移、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化、糖尿病性網膜症、水晶体後部線維増殖症、血管新生緑内障、加齢性黄斑変性、血管腫、移植された角膜その他の組織の免疫拒絶反応、および慢性炎症が含まれる。これらいずれかの障害に冒された個体において、天然VEGF二量体タンパク質の内皮細胞増殖活性を阻害する、もしくは少なくともこれを実質的に低下させる手段を有することが望まれるのは明らかである。
天然のVEGF活性を阻害するための利用可能な手段を有することが、多くの理由により重要である。例えば、具体的に腫瘍細胞増殖の場合について述べると、血管新生は過形成から新形成への移行と、増殖する充実性腫瘍への栄養の提供にとって、極めて重要であると思われる。Folkmanら,Nature 339:58(1989)。また血管新生は腫瘍が宿主の血管床と接触することを可能にし、その宿主の血管床は腫瘍細胞の転移経路になりうる。腫瘍転移における血管新生の役割は、例えばヒト浸潤性乳がんの組織切片中の微小血管の数および密度と、実際に遠隔転移が存在することとの相関を示す研究によって立証されている。Weidnerら,New Engl.J.Med.324:1(1991)。したがって新形成性腫瘍の効果的治療法として考えうる一つの方法は、天然二量体VEGFタンパク質の内皮増殖および血管新生活性を阻害または実質的に低下させることである。
したがって、VEGF誘発血管内皮細胞増殖および血管新生が多くの疾患および障害において作用しているという役割の見地から、天然VEGFタンパク質の1またはそれ以上の生物学的作用、例えばその分裂誘発性または血管新生作用を減少または実質的に阻害するための手段を有することは望ましい。このように、本発明は、天然のVEGFの1またはそれ以上の生物学的な活性を阻害することが可能な新規のVEGF変異体ポリペプチドを同定しようとする研究に基づいている。具体的には、本発明は、典型的なVEGF応答を誘導することなく、細胞表面VEGFレセプターに結合して占拠し、それにより天然VEGFの作用を効果的に減少または実質的に阻害することが可能なVEGF変異体の同定に基づく。そのようなVEGF変異体を製造することができたなら、腫瘍を飢餓状態にして退行させるために、そのような変異体を腫瘍の処置において使用することができるであろう。
システイン−システインジスルフィド共有結合の形成による適切に二量体化する能力を失っているVEGF変異体を製造することは、この研究の更なる目的であった。そのような変異体には、システイン−システインジスルフィド結合の形成による二量体化する能力を失っている変異体VEGFモノマー、および少なくとも1つのシステイン−システインジスルフィド結合の形成により二量体化し得るが、少なくとも1つのジスルフィド結合が天然VEGF二量体において存在しているものとは異なる変異体VEGFモノマーが含まれる。そのような変異体は、細胞表面VEGFレセプターにVEGF応答を誘導することなく結合しそして占拠し、それによりレセプターへの結合について天然のVEGFと拮抗し、拮抗的に天然のVEGF二量体の生物学的活性を阻害する能力を有する。
更なる目的として、本発明のVEGF変異を分析系において使用し、意図した治療的使用のための小分子アゴニストおよびアンタゴニストを発見することもできるであろう。
上記の研究の成果が本発明の主題である。我々はここに、天然VEGFアミノ酸配列のアミノ酸第51位および/または第60位のシステイン残基の突然変異または修飾が機能して、適切に二量体化する能力を失っているVEGF変異体を生じることをここに示す。具体的には、別のアミノ酸の第51位および/または第60位のシステインの置換またはその部位のシステインの修飾は、ジスルフィド結合の形成にあずかるアミノ酸の能力を阻止する。しかし、これらの変異体は、細胞表面VEGFレセプターにVEGF応答を誘導することなしに結合しそして占拠し、それにより天然VEGF二量体の生物学的活性を効果的に阻害する能力を保持している。
発明の概要
本発明は、血管内皮細胞のVEGFレセプターに結合することが可能であり、それによってそれらの結合部位を占拠し、分裂誘発性、血管新生または他の天然VEGFタンパク質の生物学的活性を阻害することが可能な、天然VEGFの変異体を提供する。したがって、本発明の新規アンタゴニスト分子は、望ましくない過剰な血管新生によって特徴付けられる、例えば腫瘍、および特に充実性悪性腫瘍、慢性関節リウマチ、乾癬、アテローム硬化、糖尿病性のおよびその他の網膜症、水晶体後部線維増殖症、加齢性黄斑変性、血管新生緑内障、血管腫、甲状腺増殖症(グレーヴス病を含む)、角膜およびその他の組織移植、および慢性炎症が含まれる疾患または障害の処置に有用である。本発明のアンタゴニストはさらに、脳腫瘍に関連する水腫、悪性のメイグス症候群に関連する腹水、肺炎症、ネフローゼ症候群、心膜液(心膜炎に関連するもの)および胸水などの望ましくない血管透過性によって特徴付けられる疾患または障害の処置についても有用である。
好ましい態様では、本発明のアンタゴニスト分子の変異体VEGFポリペプチドは、天然のVEGFアミノ酸配列に存在する、そのシステイン残基の修飾によってもうひとつのVEGFポリペプチドと適切に二量体化することができないポリペプチドを生じる、少なくとも1つのシステイン残基のアミノ酸修飾を含む。
特に好ましい態様では、修飾される天然VEGFアミノ酸配列のシステイン残基は、天然VEGFアミノ酸配列のアミノ酸第51位および/または第60位である。
本発明の新規VEGF変異体ポリペプチドは、適切に二量体化することができないように天然のVEGFアミノ酸配列内のシステイン残基における少なくとも1つのアミノ酸突然変異を作出することにより、組換え的に生じさせることができる。典型的な突然変異には、例えば、置換、挿入、および/または欠失が含まれる。目的のシステイン残基を、ジスルフィド結合にあずかることができないように化学的に修飾することもできる。
その他の態様では、本発明は、本発明の新規VEGFアンタゴニスト分子をコードする単離された核酸配列およびその核酸配列を含む複製可能な発現ベクターに向けられる。
その他の更なる態様では、本発明は、本発明の複製可能な発現ベクターでトランスフェクトされ、それらベクターを発現することが可能な宿主細胞に向けられる。
更なる別の態様では、本発明は、腫瘍の増殖の抑制など、抗血管新生が望まれる適応症を処置するための、薬学的に許容し得る担体と混合した治療上有効量の本発明のアンタゴニスト分子を含む組成物に向けられる。本発明の別の態様は、治療上有効量の上記組成物を投与することを含む処置の方法に向けられる。
天然VEGFポリペプチドの発見と変異体VEGFポリペプチドを製造するための突然変異誘発というこの基本の前提に基づいて、本発明は、そこから派生するすべての関連した態様に関し、それらには、組換えDNA材料およびそのような変異体の製造方法、そのような変異体を薬学的に仕上げた形態に混ぜ合わせるための材料と情報、およびそのような変異体を使用し、天然VEGFポリペプチドに関してアゴニストまたはアンタゴニスト特性を有する候補をスクリーニングするためのアッセイが含まれる。
発明の詳細な説明
本明細書で使用する、「血管内皮細胞増殖因子」または「VEGF」とは、米国特許5,332,671に定義される天然の哺乳類増殖因子をいい、第1図のヒトアミノ酸配列、およびそのような増殖因子の、天然に存在するアレル形態および処理を施された形態を含む。VEGFタンパク質は、モノマー形態またはマルチマー(例えば二量体)形態のいずれかで存在し得る。「適切な二量体化」は、天然VEGFモノマー間で普通に起こる二量体化である。
VEGFタンパク質に関して、「天然」なる語は、開始メチオニンを有するまたは有しない、いずれかのヒトまたはヒトでない動物種の天然に存在するVEGFタンパク質を意味し、天然の供給源から精製された、合成された、組換えDNA技術によって、またはこれらおよび/または他の方法との組み合わせのいずれかによって製造されたものである。天然のVEGFタンパク質は二量体分子として天然に存在し、そこにおいてそのモノマー単位がシステイン−システインジスルフィド結合の形成により共有結合している。天然VEGFには、具体的には、第1図に示したアミノ酸配列を有する天然ヒトVEGFタンパク質が含まれ、in vivoで血管内非細胞の増殖を誘導する能力を持っている。
VEGFタンパク質に関して「変異体」なる語は、天然VEGFタンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸突然変異または修飾(即ち、変更)を有するVEGFタンパク質を意味し、天然のVEGFタンパク質の生物学的活性の1つまたはそれ以上を欠いていてもよいかまたは欠いていてはならない。「アミノ酸修飾」によって生じた変異体VEGFタンパク質は、例えば、天然のVEGFアミノ酸配列における少なくとも1つのアミノ酸を置換、欠失、挿入および/または化学的に修飾することによって製造することができる。このようなVEGF変異体を作出する方法を以下に記載する。
「モノマー変異体」、「モノマーアンタゴニスト」、またはその文法的に等価な用語は、該アミノ酸変更がモノマー単位間の二量体形成を阻止するように作用する、天然VEGFモノマーと比較して少なくとも1つのアミノ酸変更を有する変異体VEGFタンパク質を意味する。このように、本発明の「モノマー変異体」または「モノマーアンタゴニスト」は、システイン−システインジスルフィド結合の形成による二量体化が不可能なVEGF変異体である。しかし、天然VEGFタンパク質のモノマー変異体は、有糸分裂誘発性および/または血管新生的VEGF応答を誘導することなく、細胞表面VEGFレセプターに結合しそして占拠する能力を有するであろう。それらレセプターでのモノマー変異体の結合親和性は天然VEGFタンパク質の親和性と異なっているかもしれないけれども。
「スタガー二量体」、「スタガーアンタゴニスト」またはその文法的に等価な用語は、天然VEGFタンパク質と比較して少なくとも1つのアミノ酸変更を有し、少なくとも1つのシステイン−システインジスルフィド結合の形成による二量体化する能力は保持しているが、形成したジスルフィド結合のうちの少なくとも1つが天然VEGF二量体タンパク質に存在するものと異なっている、変異体VEGFタンパク質を意味する。
ポリペプチドの「機能的誘導体」は、別のポリペプチドと共通して質的な生物学的活性を有するまたはそれを欠く化合物である。即ち、例えば本発明のVEGFアンタゴニスト化合物の機能的誘導体は、もとのポリペプチドアンタゴニストと共通する質的な生物的活性を有する化合物であり、例えば細胞表面VEGFレセプターにVEGF応答を誘導することなく結合することが可能であり、それによってそれらレセプターを占拠し天然VEGF活性を阻害するようなものである。「機能的誘導体」には、本発明の変異体VEGFタンパク質のアミノ酸配列変異体、いずれかの動物種(ヒトを含む)に由来するポリペプチドの断片、ヒトおよびヒトでないポリペプチドおよびその断片の誘導体、および天然のポリペプチドのペプチドアナログが含まれるがこれに限られないが、但し、それぞれの変異体VEGFタンパク質と共通して生物学的活性を有するまたはそれを欠いているものである。「断片」は、成熟ポリペプチドの配列内の領域を含む。「誘導体」なる語は、アミノ酸配列変異体、およびポリペプチドの化学的修飾物を定義するために使用される。
本明細書においてポリペプチドおよび/またはその機能的誘導体に関する「同一性」または「相同性」は、いかなる保存的置換も配列同一性の一部とはみなさずに、最大相同性パーセントを達成するため配列の位置を調整し、必要ならば間隙を導入した後の対応するポリペプチドの残基と同一な候補配列中のアミノ酸残基のパーセンテージと定義する。N−またはC−末端の伸長と挿入はいずれも同一性や相同性を低下させないものと解釈される。位置を調整するための方法とコンピュータープログラムは当該分野でよく知られている。
機能的誘導体の定義の文脈において用語「生物学的活性」は、定量的に別のポリペプチドと共通した少なくとも1つの機能を持つことと定義する。本発明のポリペプチドアンタゴニストの機能的誘導体は、VEGF反応を誘導することなくVEGFレセプターとの結合し、その部位に天然のVEGFが結合するのを抑制することにより天然VEGFタンパク質の生物学的活性を阻害する定量的能力により統合される。
用語「アンタゴニスト」は、天然VEGFタンパク質の生物活性を阻害する分子を表すのに用いる。好ましくは、本明細書において、VEGFアンタゴニスト化合物はVEGFの血管内皮細胞増殖誘発能を阻害する。好ましいアンタゴニストは血管内皮細胞増殖を本質的に完全に阻害する。
通常、用語「アミノ酸」および「アミノ酸(複数)」はすべての天然のL−α−アミノ酸を表す。しかしながら、いくつかの態様では、構造的限定を促すために、D−アミノ酸または非天然の置換アミノ酸のいずれかが本発明のポリペプチドまたはペプチド中に存在してよい。例えば、ジスルフィド結合の形成と安定性を促すため、天然VEGFタンパク質のペプチドの機能的誘導体またはペプチドアンタゴニストの1または両末端にD−アミノ酸システインを与えることができる。アミノ酸は1文字または3文字表基で示す。

Asp D アスパラギン酸 Ile I イソロイシン
Thr T スレオニン Leu L ロイシン
Ser S セリン Tyr Y チロシン
Glu E グルタミン酸 Phe F フェニルアラニン
Pro P プロリン His H ヒスチジン
Gly G グリシン Lys K リジン
Ala A アラニン Arg R アルギニン
Cys C システイン Trp W トリプトファン
Val V バリン Gln Q グルタミン
Met M メチオニン Asn N アスパラギン
これらアミノ酸はその側鎖の化学的組成と特性に従って分類することができよう。アミノ酸は、荷電および非荷電の、大きく2つのグループに分類される。これら各グループはアミノ酸をより正確に分類するためサブグループに分類される。
I.荷電アミノ酸
酸性残基:アスパラギン酸、グルタミン酸
塩基性残基:リジン、アルギニン、ヒスチジン
II.非荷電アミノ酸
親水性残基:セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン
脂肪族残基:グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン
非極性残基:システイン、メチオニン、プロリン
芳香族残基:フェニルアラニン、チロシン、トリプトファン
用語「アミノ酸配列変異体」または「アミノ酸改変体」は、別のアミノ酸配列、通常天然アミノ酸配列と比べてそのアミノ酸配列に少なくとも1つの違いがある分子を表す。
「置換(的)」変異体は、対応する配列中の少なくとも1つのアミノ酸残基が除去され、その代わりに同じ位置に異なるアミノ酸が挿入されているものをいう。
置換はただ一つ(分子中のただ1個のアミノ酸が置換されている)でもよく、複数(同じ分子中の2またはそれ以上のアミノ酸が置換されている)でもよい。
「挿入(的)」変異体は、対応する配列中の特定の位置のアミノ酸の直近に1またはそれ以上のアミノ酸が挿入されているものをいう。アミノ酸の直近とはそのアミノ酸のα−カルボキシまたはα−アミノ官能基のいずれかと結合していることを意味する。
「欠失(的)」変異体は、対応するアミノ酸配列中の1またはそれ以上のアミノ酸が除去されているものをいう。通常、欠失変異体では分子の特定領域中の1または2個のアミノ酸が欠失しているだろう。
用語「単離された」は、核酸またはポリペプチドを同定し、動物またはヒトの核酸またはポリペプチド供給源中に存在する夾雑核酸またはポリペプチドから分離することを表す。
ハイブリダイゼーションは、(1)洗浄に低イオン強度と高温、例えば、50℃の、0.015塩化ナトリウム/0.0015Mクエン酸ナトリウム/0.1%ドデシル硫酸ナトリウムを用いるか、または(2)ハイブリダイゼーション時に、42℃の、0.1%ウシ血清アルブミン/0.1%フィコール/0.1%ポリビニルピロリドン/750mM塩化ナトリウム、75mMクエン酸ナトリウムを含む50nMリン酸ナトリウム緩衝液(pH6.5)を含有するホルムアミド、例えば50%(vol/vol)ホルムアミドのような変性剤を用いることを意味する「ストリンジェント条件」下で行なうのが好ましい。別の例では、42℃の、50%ホルムアミド、5xSSC(0.75M NaCl、0.075Mクエン酸ナトリウム)、50mMリン酸ナトリウム(pH6/8)、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5x Denhardt溶液、超音波処理サケ精子DNA(50μg/mL)、0.1%SDS、および10%デキストラン硫酸を用い、42℃の0.2x SSCおよび0.1%SDSで洗浄する。さらに別の例では、55℃の、10%デキストラン硫酸、2x SSC(塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム)および50%ホルムアミドの緩衝液を用いてハイブリダイゼーションを行ない、次いで55℃の、EDTAを含む0.1xSSCからなる高ストリンジェンシー洗浄を行なう。
「形質転換」とは、DNAを、ある生物にそのDNAが染色体外要素としてまたは染色体成分として複製できるように導入することをいう。形質転換は、使用する宿主細胞に応じて、その細胞に適した一般的技術を用いて行われる。Cohen,S.N.Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 69,2110(1972)やMandelら,J.Mol.Biol. 53,154(1970)に記述されているような塩化カルシウムを用いるカルシウム処理は、原核生物または堅固な細胞壁境界を持つ他の細胞に広く使用されている。そのような細胞壁を持たない哺乳類細胞には、Graham,Fおよびvan der Eb,A.,Virology,52,456-457(1978)のリン酸カルシウム沈澱法が好ましい。哺乳類細胞宿主系形質転換の一般的側面については、Axelが米国特許第4,399,216号(1983年8月16日発行)に記述している。酵母への形質転換は、通常、Van Solingen,P.ら,J.Bact.,130,946(1977)とHsiao,C.L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA)76,3829(1979)の方法に従って行われる。ただし、DNAを細胞に導入する他の方法、例えば核注入やプロトプラスト融合などによる方法なども使用できる。
「部位特異的突然変異誘発法」は、当技術分野で広く知られる技術であり、突然変異させようとする一本鎖ファージDNAに対して相補的(限定されたミスマッチ部分を除く)な合成オリゴヌクレオチドプライマーを用いて行われる。簡単に述べると、合成オリゴヌクレオチドをプライマーとして、一本鎖ファージDNAに相補的な鎖の合成を行い、得られた二本鎖DNAをファージ維持宿主細菌に形質転換する。形質転換した細菌の培養を上層寒天に撒き、ファージを保持する単一の細胞からプラークを形成させる。理論的には、新しいプラークの50%が突然変異型を一本鎖として持つファージを含有し、50%が元の配列を持つだろう。目的ののプラークを、キナーゼ処理した合成プライマーと、正確な対合のハイブリッド形成が可能であり、かつ、元の鎖とのミスマッチによってハイブリッド形成が妨害されうるような温度でハイブリッド形成させることにより選択する。次に、そのプローブとハイブリッド形成するプラークを選択し、培養して、そのDNAを回収する。
「機能的に連結した(operably liked)」とは、構成要素の通常の機能が行われうるような並置をいう。したがって、制御配列に機能的に連結したコード配列とは、そのコード配列がそれら配列の制御下に発現できるような、また連結されたDNA配列が連続的であるような(分泌リーダーの場合は連続的かつ解読相が一致するような)配置をいう。例えば、プレ配列または分泌リーダーの遺伝子は、それがあるポリペプチドの分泌に関与するプレタンパク質として発現されるのであれば、そのポリペプチドのDNAに機能的に連結している。プロモーターまたはエンハンサーは、それがあるコード配列の転写に影響を与えるのであれば、そのコード配列に機能的に連結している。また、リボソーム結合部位は、それが翻訳を促進するような位置にあるのであれば、コード配列に機能的に連結している。連結は都合の良い制限部位での連結(ライゲーション)によって達成される。そのような部位が存在しない場合は、慣例に従って合成オリゴヌクレオチドアダプターまたはリンカーを使用する。
「制御配列」とは、特定の宿主生物中で機能的に連結したコード配列の発現に必要なDNA配列をいう。原核生物に適した制御配列には、例えばプロモーター、任意にオペレーター配列、リボソーム結合部位、あるいは他のまだよくわかっていない配列が含まれる。真核細胞はプロモーター、ポリアデニル化シグナルおよびエンハンサーを利用することがわかっている。
「発現系」とは、所望のコード配列と制御配列を含むDNA配列であって、そのコード配列と制御配列が、それらの配列で形質転換された宿主がコードされているそのタンパク質を生産することができるような機能的関係にあるものをいう。形質転換を達成するために、発現系をベクターに含めることができるが、関連するDNAが続いて宿主染色体に組込まれてもよい。
本明細書において「細胞」「細胞系」および「細胞培養」という用語は相互交換可能に使用され、これらはいずれも子孫を包含する。したがって「形質転換体」または「形質転換細胞」という用語は、最初の対象細胞とそこから派生する培養を、その継代数にかかわらず包含する。また、すべての子孫は、意図的な突然変異または偶然の突然変異により、そのDNAの内容が正確には同一でない場合もあると解される。元の形質転換細胞中で選択の対象としたものと同じ機能を持つ突然変異体子孫が含まれる。明確な指定を意図する場合は、その文脈から明らかになるだろう。
「プラスミド」は、小文字pとその前後に添えた大文字および/または数字によって指定される。本明細書に記載の出発プラスミドは市販されているか、公けに無制限に入手できるか、もしくはそれらの入手可能なプラスミドから公表された方法に従って構築することができる。また、他の等価なプラスミドも当技術分野で知られており、それらは通常の当業者には明らかだろう。
DNAの「消化」とは、そのDNAの特定の位置でのみ作用する酵素によるDNAの触媒的切断をいう。そのような酵素は制限酵素と呼ばれており、それぞれの制限酵素が特異性を示す部位は制限部位と呼ばれる。本明細書で使用される種々の制限酵素は市販されており、それらの反応条件、補因子その他の必要条件は、その酵素の供給者によって確立されたものを使用する。制限酵素は通常、その制限酵素を最初に得た起源の微生物を表わす大文字とそれに続く他の文字、さらにその酵素を指定する数字からなる略号によって指定される。一般的には、約1mgのファージミドまたはDNA断片を約1〜2単位の酵素と共に約20μLの緩衝液中で使用する。特定の制限酵素に適した緩衝液と基質量は、その製造者によって指定される。通常は、37℃で約1時間の保温を使用するが、これは供給者の指示に従って変更することができる。保温後、フェノールとクロロホルムを用いる抽出によってタンパク質を除去し、消化された核酸をエタノール沈澱によって水相から回収する。まれに、制限酵素による消化の後、その末端5'リン酸基を細菌アルカリ性ホスファターゼで加水分解することにより、DNA断片の2つの制限切断末端が「環化」または閉環を形成してその制限部位への別のDNA断片の挿入を妨害するのを防止することもある。特に明記しない限り、プラスミドの消化後に5'末端脱リン酸化を行なわない。脱リン酸化の方法と試薬は従来通りである(T.Maniatisら,1982,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(ニューヨーク:コールドプスリングハーバー研究所,1982)133-134ページ)。
与えられたDNA断片の制限消化物からの「回収」または「単離」とは、その消化物のポリアクリルアミドまたはアガロースゲルにおける電気泳動による分離、既知の分子量を持つマーカーDNA断片と移動度を比較することによる目的断片の同定、所望の断片を含有するゲル切片の切り出し、およびDNAとゲルの分離を意味する。この手法は広く知られている。例えば、R.Lawnら,Nucleic Acids Res.96103-6114(1981)やD.Goeddelら,Nucleic Acids Res. 8,4057(1980)を参照のこと。
「連結(ライゲーション)」とは、2つの二本鎖核酸断片間にリン酸ジエステル結合を形成する過程をいう(T.Maniatisら,1982,前掲,146頁)。特に断わらない限り、連結は、ほぼ等量の連結しようとするDNA断片0.5mgあたり10単位のT4 DNAリガーゼ(「リガーゼ」)を用いて、既知の緩衝液と条件で行なうことができる。
形質転換体からのDNAの「調製」とは、微生物培養からプラスミドDNAを単離することを意味する。特に断わらない限り、Maniatisら,1982,前掲,90頁のアルカリ/SDS法を使用することができる。
「オリゴヌクレオチド」は、既知の方法(例えばEP特許公開番号266,032(1988年5月4日公開)に記載されているような固相法を用いるリン酸トリエステル法、ホスファイト法またはホスホルアミダイト法、もしくはFroehlerら,Nucl.Acids Res. 14,5399-5407[1986]に記載されているようなデオキシヌクレオシドH-ホスホネート中間体による方法など)によって化学的に合成される短い一本鎖または二本鎖ポリデオキシヌクレオチドである。これらは合成に続いてポリアクリルアミドゲルで精製される。
「KDR」という略号は、天然のVEGF分子でもその変異体でもよい、VEGF分子のキナーゼドメイン領域を表わす。キナーゼドメイン領域レセプターに結合することがわかっているのは、この領域である。
「FLT-1」という略号は、対応するFLT-1レセプターに結合することがわかっているFMS様チロシンキナーゼ結合ドメインを表わす。これらのレセプターは内皮細胞の表面に存在する。
一般的方法論
1.グリコシル化
本発明のVEGF変異体は、N結合を介してグリコシル化される可能性を持ち、しかも天然VEGF分子では通常はグリコシル化されていないアミノ酸配列を少なくとも1つは持ちうる。
変異体中にN結合型グリコシル化郁位を導入するには、アスパラギン-X-セリンまたはアスパラギン-X-スレオニンという式(ここにアスパラギンは受容部位であり、Xは20種類の遺伝的にコードされるアミノ酸のいずれか(ただしグリコシル化を妨害するプロリンを除く)を表わす)で示されるトリペプチド配列が必要である。D.K.StruckおよびW.J.Lennarz,The Biochemistry of Glycoproteins and Proteoglycans(W.J.Lennarz編,Plenum Press,1980)の35頁、R.D.Marshall,Biochem.Soc.Symp.,40,17(1974)およびWinzler,R.J.,Hormonal Proteins and Peptides(Li,C.I.編,Academic Press,ニューヨーク,1973)の1〜15頁を参照のこと。本明細書に記載のアミノ酸配列変異体は、適当な部位にあるアミノ酸を適当なアミノ酸で置換してグリコシル化を果たすことにより、修飾される。
O結合型グリコシル化を使用する場合、動物細胞中では、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトースまたはキシロースと、数種類のヒドロキシアミノ酸のいずれか(最も一般的にはセリンまたはスレオニンであるが、その分子の適当な領域に5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジン残基がある場合もある)の間でO-グリコシド結合が起こる。
哺乳動物によって生産されたタンパク質のグリコシル化様式は、The Plasma Proteins:Structure,Function and Genetic Control,F.W.Putnam編,第2版,第4巻(Academic Press,ニューヨーク,1984)の271〜315頁に詳述されており、その開示はすべて参考文献として本明細書の一部を構成する。この章では、アスパラギン結合型オリゴ糖が、複合構造、高マンノース構造およびハイブリッド構造と呼ばれる少なくとも3つのグループへの細別を含めて議論されており、またO-グリコシド結合したオリゴ糖についても議論されている。
タンパク質に対するグリコシドの化学的および/または酵素的カップリングは、例えばAplinおよびWristonがCRC Crit.Rev.Biochem. (1981)の259〜306頁(その内容は参考文献として本明細書の一部を構成する)に記述しているような種々の活性基を用いて行なうことができる。化学的カップリング技術の利点は、それらが比較的簡単で、天然のO-結合型およびN-結合型グリコシル化に必要な複雑な酵素機構を必要としないということである。使用するカップリング法によって、(a)アルギニンまたはヒスチジン、(b)グルタミン酸やアスパラギン酸などの遊離カルボキシル基、(c)システインなどの遊離スルフヒドリル基、(d)セリン、スレオニンまたはヒドロキシプロリンなどの遊離ヒドロキシル基、(e)フェニルアラニン、チロシンまたはトリプトファンなどの芳香族残基、あるいは(f)グルタミンのアミド基に糖を結合させることができる。これらの方法はPCT WO 87/05330(1987年9月11日公開)により詳しく記述されており、その開示は参考文献として本明細書の一部を構成する。
酵母によって生産されたタンパク質のグリコシル化様式は、TannerおよびLehle,Biochim.Biophys.Acta,906(1),81-99(1987)とKukuruzinskaら,Annu.Rev.Biochem.,56,915-944(1987)に詳述されており、それらの開示は参考文献として本明細書の一部を構成する。
2. アミノ酸配列変異体
a. 付加的な突然変異
本明細書に記載のVEGF変異体を簡略化して呼ぶ場合、番号は第1Aおよび1B図に示した推定成熟VEGFタンパク質のアミノ酸配列に沿ってアミノ酸残基/位置を表わすことを注記しておく。
本発明は、VEGFモノマー単位が適切に二量体化する能力に影響するアミノ酸配列の修飾を有する、VEGFの変異体に向けらる。これら変異体は、血管内皮増殖および血管新生を実質的に活性化することなく細胞表面VEGF受容体に結合しそして占拠し、それにより天然VEGFの生物学的活性を阻害する能力を有している。具体的には、アミノ酸修飾は、変異体VEGFモノマーが適切に二量体化する能力にそのそれぞれが影響しているアミノ酸第51位および/または第60位で行うことができる。さらに、これらもともとの変異体に基づいた更なる変異体は、本発明の精神からそれることなく一般に当分野でよく知られた手段によって作ることができる。
本発明のVEGF変異体に関しては、例えば、様々なアミノ酸残基に対して化学的修飾を行うことができる。
b. DNA突然変異
VEGFのアミノ酸配列変異体およびその変異体は、DNAの突然変異によって調製することもできる。そのような変異体には、例えば、図1に示すアミノ酸配列内の残基の欠失、挿入または置換がある。最終構築物が所望の活性を持つ限り、欠失、挿入および置換を任意に組み合せて施すことにより、最終構築物を得ることもできる。明らかに、変異体をコードするDNAに施される突然変異は、その配列を読み枠外に置いてはならず、また二次mRNA構造を形成しうる相補領域を生み出さないことが好ましい(EP 75,444A参照)。
遺伝子レベルでは、これらの変異体は通常、VEGFをコードするDNA中のヌクレオチドの部位特異的突然変異によって変異体をコードするDNAを作成し、次にそのDNAを組換え細胞培養中で発現させることによって調製される。
アミノ酸配列変異体を導入する部位は予め決定されるが、突然変異そのものを決定しておく必要はない。例えば、与えられた部位における突然変異の効果を最適化するために、標的コドンまたは標的領域で無作為突然変異誘発を行い、発現したVEGF変異体を所望の活性の最適な組み合わせについてスクリーニングすることができる。既知の配列を持つDNA中の予定の部位に置換突然変異を作成する部位特異的突然変異誘発法などの技術は、よく知られている。
本発明のVEGF変異体の調製は、前もって調製した変異体または非変異体型タンパク質をコードするDNAの部位特異的突然変異誘発によって行なうことが好ましい。部位特異的突然変異誘発法によれば、所望の突然変異のDNA配列と、横切られる欠失接合部の両側に安定な二本鎖を形成しうるサイズと配列とを持つプライマー配列を与えるに足る数の隣接ヌクレオチドとをコードする、特定のオリゴヌクレオチド配列を使用することにより、VEGF変異体を生産することができる。通常、20〜25ヌクレオチド長で、変化させる配列の接合部の両側に約5〜10残基を持つプライマーが好ましい。Adelmanら,DNA 2,183(1983)(その開示は参考文献として本明細書の一部を構成する)などの刊行物によって示されるように、一般に、部位特異的突然変異誘発技術は当技術分野でよく知られている。
一般的に、部位特異的突然変異誘発技術が、一本鎖型と二本鎖型の両方で存在するファージベクターを使用することは理解されるだろう。部位特異的突然変異誘発法に有用な典型的ベクターには、例えばMessingら,Third Cleveland Symposium on Macromolecules and RecombinantDNA,A.Walton編,Elsevier,アムステルダム(1981)(その開示は参考文献として本明細書の一部を構成する)に開示されているようなM13ファージなどのベクターが含まれる。これらのファージは市販されており、それらの使用法は一般に当業者にはよく知られている。別法として、一本鎖ファージ複製起点を含有するプラスミドベクター(Veiraら,Meth.Enzymol.,153,3[1987])を使用して、一本鎖DNAを得ることもできる。
一般に、ここでの部位特異的突然変異誘発は、まず関連するタンパク質をコードするDNA配列をその配列内に含む一本鎖ベクターを得ることによって行われる。所望の変異配列を保持するオリゴヌクレオチドプライマーは、通常、合成的に、例えばCreaら,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),75,5765(1978)の方法によって調製される。次に、そのプライマーを一本鎖タンパク質配列含有ベクターとアニールさせ、大腸菌ポリメラーゼIクレノウ断片のようなDNA重合酵素にさらして、突然変異保持鎖の合成を完了する。したがって、一方の鎖が元の非突然変異配列をコードし、もう1つの鎖が所望の突然変異を保持するヘテロ二本鎖が形成される。次に、このヘテロ二本鎖ベクターを用いて、JM101細胞のような適当な細胞を形質転換し、突然変異した配列を持つ組換えベクターを含むクローンを選択する。
そのようなクローンを選択した後、突然変異したタンパク質領域を取り出し、タンパク質生産に適したベクター(一般的には、適当な宿主の形質転換に使用しうるタイプの発現ベクター)に入れる。
c. 突然変異のタイプ
アミノ酸配列欠失は、通常、約1〜30残基、より好ましくは1〜10残基の範囲であり、一般的には連続的である。
アミノ酸配列挿入には、1残基から本質的に任意の長さのポリペプチドまでのアミノ末端融合および/またはカルボキシル末端融合、ならびに1または複数のアミノ酸残基の配列内挿入がある。配列内挿入(すなわち成熟VEGF配列内の挿入)は一般的には約1〜10残基、より好ましくは1〜5残基の範囲にわたりうる。末端挿入の例には、変異VEGFの組換え宿主からの分泌を促進するために行なう、宿主細胞と同種もしくは異種のシグナル配列の、変異VEGF分子のN末端への融合がある。
変異体の第3のグループは、VEGF分子中のアミノ酸残基が少なくとも1つ(好ましくは1つだけ)除去され、そこに異なる残基が挿入されているものである。VEGF分子またはその変異体の特徴を細かく調節したい場合は、このような置換を次の表1に従って行なうことが好ましい。
表1
元の残基 典型的置換
Ala(A) gly;ser
Arg(R) lys
Asn(N) gln;his
Asp(D) glu
Cys(c) ser
Gln(Q) asn
Glu(E) asp
Gly(G) ala;pro
His(H) asn;gln
Ile(I) leu;val
Leu(L) ile;val
Lys(K) arg;gln;glu
Met(M) leu;tyr;ile
Phe(F) met;leu;tyr
Ser(S) thr
Thr(T) ser
Trp(W) tyr
Tyr(Y) trp;phe
Val(V) ile;leu
機能的または免疫学的性質の本質的な変化は、表Iのよりも保存性の低い置換を選択することによって、すなわち(a)置換領域のポリペプチド骨格の構造(例えばシートまたはらせんコンフォメーション)、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、または(c)側鎖の嵩高さ、を維持する効果がより有意に異なる残基を選択することによって行われる。生物学的特性に最も大きな変化をもたらすと一般的に予想される置換は、(a)グリシンおよび/またはプロリンを別のアミノ酸で置換するか、これらの残基を欠失または挿入したもの、(b)親水性残基(例えばセリルまたはスレオニル)で(を)疎水性残基(例えばロイシル、イソロイシル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニルを(で)置換したもの、(c)システイン残基で(を)他の任意の残基を(で)置換したもの、(d)電気陽性側鎖を持つ残基(例えばリジル、アルギニルまたはヒスチジル)で(を)負電荷を持つ残基(例えばグルタミルまたはアスパルチル)を(で)置換したもの、(e)電気陰性側鎖を持つ残基で(を)正電荷を持つ残基を(で)置換したもの、または(f)嵩高い側鎖を持つ残基(例えばフェニルアラニン)で(を)そのような側鎖を持たない残基(例えばグリシン)を(で)置換したものであろう。
ほとんどの欠失と挿入、そして特に置換は、VEGF分子またはその変異体の特性に著しい変化をもたらさないと予想される。しかし、置換、欠失または挿入の正確な効果を前もって予測することが困難な場合、その効果を一般的なスクリーニング検定法で評価することは、当業者には理解されるだろう。例えば、変異体は通例、天然のVEGFコード核酸の部位特異的突然変異誘発、その変異体核酸の組換え細胞培養における発現、および任意に、例えばウサギポリクローナル抗VEGFカラムへの免疫アフィニティー吸着(残存する免疫エピトープの少なくとも1つにそれを結合させることにより変異体を吸収するため)などによるその細胞培養からの精製によって作成される。
VEGFは二量体に会合する傾向があるので、一方のサブユニットまたは両方のサブユニットが変異体であるヘテロ二量体およびホモ二量体を提供することも本発明の範囲に包含される。両方のサブユニットが変異体である場合、アミノ酸配列中の変化は各サブユニット鎖について同じであってもよいし、異なってもよい。ヘテロ二量体は、両方のサブユニットをコードするDNAで宿主細胞を同時形質転換し、必要であれば所望のヘテロ二量体を精製するか、もしくは各サブユニットを別個に合成し、それらサブユニットを(例えば、尿素、グアニジン塩酸塩などのカオトロピック試薬による処理で)解離し、解離したサブユニットを混合した後、カオトロピック試薬を透析除去してサブユニットを再会合させることにより、容易に製造できる。
いわゆるグリコスキャン(glyco-scan)突然変異体も、本明細書でいう突然変異体の範囲に含まれる。この態様では、NX(S/T)という配列によって同定されるいわゆるグリコシル化部位の知識を利用する(ここにNはアミノ酸アスパラギンを表わし、Xはプロリンを除く任意のアミノ酸を表わし、3番目の位置はアミノ酸セリンまたはスレオニンのいずれが占めてもよい)。したがって、適宜そのようなグリコシル化部位を導入して、その位置にグリコシル化部分を持つ種を作成することができる。また、突然変異によって現存するグリコシル化部位を除去して、その部位でグリコシル化されない種を作ることもできる。本発明の基本的前提に従って天然VEGFアミノ酸配列のアミノ酸第51位および/または第60位で導入される、本発明に包含される他の突然変異と同様に、この場合も、最終産物がもとのVEGF変異体の特性と総合的に異ならない限り、同分子の全範囲でこれらアミノ酸部分外にある他の位置に、グリコシル化部位を導入できることは理解されるだろう。
次に、細胞溶解物または精製VEGF変異体の活性を、所望の特徴に適したスクリーニング検定法でスクリーニングする。例えば、細胞表面VEGFへの結合を、以下の実施例に記載するようなよく知られたVEGF結合アッセイを使用することにより常套的にアッセイすることができる。VEGF分子の免疫学的特徴、例えば与えられた抗体に対する親和性など、の変化は、競合型イムノアッセイで測定される。候補変異体による血管内皮細胞増殖の促進または抑制の変化は、適当な検定法で測定される(以下実施例参照)。酸化還元安定性や熱安定性、疎水性、タンパク質分解に対する感受性、担体との会合傾向、多量体への会合傾向などといったタンパク質特性の変化は、通常の当業者によく知られる方法で検定される。
3.組換え発現
望ましい変異VEGF分子は、組換え法を含む任意の技術で調製することができる。また本明細書において、単離されたDNAとは、3'-および/または5'-隣接領域を伴うもしくは伴わない化学合成されたDNA、cDNA、染色体DNAまたは染色体外DNAを意味するものと解される。本明細書に記載の望ましいVEGFは、組換え細胞培養での合成によって作成されることが好ましい。
そのような合成には、まず、VEGF分子をコードする核酸の確保が必要である。VEGF分子をコードするDNAは、ウシ下垂体濾胞細胞から、(a)それらの細胞からcDNAライブラリーを調製し、(b)VEGFまたはその断片(100塩基対長まで、またはそれ以上)をコードする標識DNAを用いてハイブリッド形成分析を行って、相同な配列を含有するライブラリー中のクローンを検出し、(c)そのクローンを制限酵素分析と核酸配列決定で分析して完全長クローンを同定することにより、得ることができる。ウシ以外の哺乳類に由来するVEGF分子をコードするDNAも、内皮または白血病細胞ライブラリーをスクリーニングすることによって同様の形式で得ることができる。低ストリンジェンシー条件下でVEGFコードDNAにハイブリッド形成することができるDNAは、VEGFをコードするDNAの同定に役立つ。高および低ストリンジェンシー条件については下に定義する。完全長クローンがcDNAライブラリー中に存在しない場合は、本明細書に初めて開示される核酸配列情報を用いて種々のクローンから適当な断片を回収し、それらのクローンに共通する制限部位で連結してVEGF分子をコードする完全長クローンを組み立てることができる。別法として、ゲノムライブラリーから所望のDNAを得る。
このDNAをライブラリーから同定し、単離したら、それをさらなるクローニングまたは発現のために複製可能なベクターに連結する。
組換え発現系の一例として、VEGFをコードするDNAを含む発現ベクターを用いる形質転換により、VEGFコード遺伝子を哺乳類細胞中で発現させる。培養培地中または宿主細胞の周辺腔中にVEGF(すなわち分泌分子)が得られるようなプロセシングを行ないうる宿主細胞を形質転換することが好ましい。
a.有用な宿主細胞とベクター
本明細書に開示するベクターと方法は、広範囲にわたる原核生物および真核性物を宿主細胞とする使用に適している。
通常、DNA配列の最初のクローニングと本発明で有用なベクターの構築には、当然ながら、原核生物が好ましい。例えば、大腸菌K12 MM294株(ATCC番号31,446)は特に有用である。使用しうるその他の微生物株には、大腸菌Bや大腸菌X1776(ATCC番号31,537)のような大腸菌株がある。これらの例はもちろん限定ではなく例示である。
原核生物は発現にも使用できる。上述の株に加えて、大腸菌W3110(F-、ラムダ-、原栄様株、ATCC番号27,325)、K5772(ATCC番号53,635)およびSR101、枯草菌などのバチルス属、ネズミチフス菌や霊菌(セラチア=マルセサンス)などといったその他の腸内細菌、および種々のシュードモナス種も使用できる。
一般にこれらの宿主には、その宿主細胞と適合する種に由来するレプリコンと制御配列を含有するプラスミドベクターが使用される。これらのベクターは通常、複製部位と、形質転換された細胞の表現型による選択を可能にする標識配列とを保持する。例えば、大腸菌は通例、大腸菌種に由来するベクターpBR322を用いて形質転換される(例えばBolivaraら,Gene 2,95[1977]を参照)。pBR322はアンピシリン耐性遺伝子とテトラサイクリン耐性遺伝子を含有するので、簡単な形質転換細胞同定手段を与える。pBR322プラスミドや他の微生物プラスミドまたはファージは、その微生物がそれ自身のタンパク質の発現に使用しうるプロモーターをも含有するか、もしくはそれを含有するように修飾されなければならない。
組換えDNA構築に最も一般的に使用されるプロモーターには、b-ラクタマーゼ(ペニシリナーゼ)およびラクトースプロモーター系(Changら,Nature,375,615[1978];Itakuraら,Science,198,1056[1977];Goeddelら,Nature,281,544[1979])と、トリプトファン(trp)プロモーター系(Goeddelら,Nucleic Acids Res.,8,4057[1980];EPO出願公開番号0036,776)がある。最も一般的に使用されるプロモーターはこれらであるが、他の微生物プロモーターも発見され、使用されている。また、それらのヌクレオチド配列に関する詳細は公表されているので、当業者はそれらをプラスミドベクターと機能的に連結することができる(例えばSiebenlistら,Cell,20,269[1980]を参照のこと)。
原核宿主細胞に加えて、酵母培養などの真核微生物も使用できる。一般的なパン酵母サッカロミセス・セレビシェは、なかでも最も広く使用されている真核微生物である(ただし、その他にもいくつかの株が広く使用されている)。サッカロミセスでの発現には、例えばプラスミドYRp7などがよく使用される(Stinchcombら,Nature 282,39[1979];Kingsmanら,Cene 7,141[1979];Tschemperら,Gene 10,157[1980])。このプラスミドは既にtrp1遺伝子を含有しており、それがトリプトファン中で生育する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC番号44,076やPEP4-1(Jones,Genetics 85,12[1977])に選択マーカーを与える。酵母宿主細胞ゲノムの特徴としてtrp1損傷が存在することは、トリプトファン不在下での生育によって形質転換を検出するのに有効な環境となる。
酵母ベクター中の好適な促進配列には、3-ホスホグリセリン酸キナーゼ(Hitzemanら,J.Biol.Chem.255,2073[1980])その他の解糖系酵素(Hessら,JAdv.Enzyme Reg.7,149[1968];Hollandら,Biochemistry17,4900[1978])、例えばエノラーゼ、グリヤルアルデヒド-3−リン酸デヒドロゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルビン酸脱炭酸酵素、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース-6-リン酸イソメラーゼ、3-ホスホグリセリン酸ムターゼ、ピルビン酸キナーゼ、トリオースリン酸イソメラーゼ、ホスホグルコースイソメラーゼおよびグルコキナーゼなどのプロモーターがある。また、好適な発現プラスミドを構築するには、これらの遺伝子に付随する終結配列を、その発現ベクター中の発現させようとする配列の3'側に連結することにより、mRNAのポリアデニル化と終結に備える。生育条件によって転写を制御できるという利点をも持つその他のプロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ2、イソチトクロームC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝に関係する分解酵素、上述のグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ、およびマルトースとガラクトースの資化に寄与する酵素群のプロモーター領域である。酵母に適合するプロモーター、複製起点および終結配列を含有するプラスミドベクターはいずれも好適である。
微生物に加えて、多細胞生物に由来する細胞の培養も宿主として使用できる。原則的には、脊椎動物培養であるか無脊椎動物培養であるかにかかわらず、それらの細胞はいずれも使用できる。しかし、最大の関心は脊椎動物細胞にあり、培養された脊椎動物細胞(組織培養)の増殖は近年、日常的な手法になっている[Tissue Culture,Academic Press社,KruseおよびPatterson編(1973)]。それら有用な宿主細胞系の例はVERO細胞、ヒーラ細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系、W138、BHK、COS-7、293および即CK細胞系である。これらの細胞用の発現ベクターは通常、(必要であれば)複製起点と、発現させる遺伝子の前に位置するプロモーターを、必要なリボソーム結合部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位および転写終結配列と共に含む。
哺乳類細胞で使用する場合、発現ベクター上の制御機能はウイルス物質から得られることが多い。例えば広く使用されているプロモーターは、ポリオーマ、アデノウイルス2、そして最も多くの場合シミアンウイルス40(SV40)に由来する。SV40ウイルスの初期および後期プロモーターは、それらが共にSV40ウイルス複製起点をも含む断片としてウイルスから容易に得られるので、とりわけ有用である[Fiersら,Nature,273,113(1978)]。より小さいSV40断片やより大きいSV40断片も、HindIII部位からウイルス複製起点に位置するBglI部位に向かって伸びる約250bpの配列が含まれている限り使用できる。さらに、所望の遺伝子配列に通常付随するプロモーターまたは制御配列がその宿主細胞系に適合するのであれば、それらを使用することもでき、またそうすることがしばしば望ましい。
複製起点は、SV40その他のウイルス(例えばポリオーマ、アデノ、VSV、BPV)供給源から得られるような外来の起点を含むようにベクターを構築することによって、あるいは宿主細胞染色体複製機構によって提供されうる。
満足できる量のタンパク質が細胞培養によって生産されるが、二次コード配列を用いる改良は、生産レベルをさらに向上させるのに役立つ。二次コード配列の一つはジヒドロ葉酸レダクターゼ(DHFR)を含む。これはメトトレキセート(MTX)などの外部から制御されるパラメーターによる影響を受けるので、メトトレキセート濃度の制御によって発現を制御することが可能になる。
VEGFおよびDHFRタンパク質の両方をコードするDNA配列を含む本発明のベクターによるトランスフェクションに好ましい宿主細胞を選択する際には、使用するDHFRタンパク質のタイプに応じて宿主を選択することが妥当である。野生型DHFRタンパク質を使用する場合は、DHFR欠損性の宿主細胞を選択して、ヒポキサンチン、グリシンおよびチミジンを欠く選択培地中で成功したトランスフェクションのマーカーとしてそのDHFRコード配列を使用できるようにすることが好ましい。この場合に適当な宿主細胞は、UrlaubおよびChasin,Proc.Natl.Acad.Sci.(USA),77,4216(1980)に記述されているように調製、増殖されるDHFR活性欠乏性チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞系である。
これに対し、MTXに対する結合親和性が低いDHFRタンパク質を制御配列として使用する場合は、DHFR欠損細胞を使用する必要はない。この突然変異型DHFRはメトトレキセートに対して耐性を示すので、宿主細胞自体がメトトレキセート感受性であれば、MTX含有培地を選択手段として使用することができる。MTXを吸収できるほとんどの真核細胞はメトトレキセート感受性であると思われる。そのような有用な細胞系の一つはCHO細胞系CHO-Kl(ATCC番号CCL61)である。
b.使用できる代表的方法論
所望のコード配列と制御配列を含有する好適なベクターの構築には、一般的な連結技術が使用される。単離されたプラスミドまたはDNA断片を切断し、加工処理し、望ましい形態に再連結することにより、必要なプラスミドを調製する。
平滑末端が必要な場合は、10単位のポリメラーゼI(クレノウ)を用いて15℃で15分間処理し、フェノール-クロロホルム抽出し、エタノール沈澱すればよい。
切断した断片のサイズ分離は、Goeddelら,Nuleic Acids Res.8,4057(1980)に記載の6%ポリアクリルアミドゲルを用いて行なうことができる。
構築したプラスミド中の正しい配列を確認するための分析には、通例、連結混合物を用いて大腸菌K12 294株(ATCC31,446)その他の適当な大腸菌株を形質転換し、成功した形質転換体を適宜アンピシリンまたはテトラサイクリン耐性によって選択する。それらの形質転換体からプラスミドを調製し、制限マッピングおよび/またはMessingら,Mucleic Acids Res.9,309(1981)の方法もしくはMaxamら,Mthods of Enzymology 765,499(1980)の方法によるDNA配列決定によって分析する。
そのDNAを哺乳類細胞宿主に導入し、適当なトランスフェクタントを培地中で選択した後、約20,000-500,000nM濃度のメトトレキセート(DHFR活性の競合阻害剤)の存在下に宿主細胞培養を生育することにより、DHFRタンパク質コード配列の増幅を達成する。当然、有効濃度範囲はDHFR遺伝子の性質と宿主の特徴に強く依存する。普遍的な上限と下限を明確にできないことは明らかである。DHFRを阻害する他の葉酸類縁体やその他の化合物も適当な濃度で使用できるだろう。しかし、MTX自体は便利で、容易に入手でき、効果的である。
使用しうるその他の技術については実施例の前の節に記述する。
4. 有用性と製剤
本発明のVEGFアンタゴニストには、血管内皮に関係する数多くの治療的用途がある。このような用途には、例えば、内皮細胞増殖および血管新生の調節に使用することができる形成された物品への組み込みが含まれる。さらに、これら物品によって腫瘍の侵入と転移を調節することができる。本発明のポリペプチドがそれに対して使用し得る、その他の障害については上に記載している。
上述の適応症に対して、治療すべき特定の疾患または障害、個々の患者の状態、VEGFアンタゴニストの送達部位、投与法、およびその他実施者の知る因子を考慮して、良好な医療行為に合致する方法で変異VEGFアンタゴニスト分子を製剤化し、投与する。したがって、本明細書においてVEGFの「治療上有効な量」とは、処置される状態の緩和または治癒、もしくはその悪化の予防または軽減に有効な量であり、具体的には、血管内皮の増殖をin vivoで実質的に阻害するに足る量である。
天然VEGFに対して生じた抗体と免疫学的に交差反応するVEGFアミノ酸配列変種および誘導体は、VEGFの免疫検定において標品として、また標識した場合は競争試薬として有用である。
VEGFは、望ましい純度を持つVEGFアンタゴニストを生理学的に許容できる担体、賦形剤または安定化剤と混合することにより、貯蔵または投与のために調剤される。このような物質は使用する用量および濃度で受容者に対して非毒性である。VEGFが水溶性である場合は、リン酸塩や他の有機酸塩などの緩衝液(好ましくはpH約7〜8)中に製剤化することができる。VEGF変種が水に部分的にしか溶解しない場合は、それをTween、PluronicsまたはPEG(例えばTween 80)などの非イオン界面活性剤と0.04〜0.05%(w/v)の量で調合してその溶解性を増大させることにより、マイクロエマルジョンとして調製することができる。
任意に、抗酸化剤(例えばアスコルビン酸);低分子量(約10残基未満の)ポリペプチド(例えばポリアルギニンまたはトリペプチド);血清アルブミン、ゼラチン、免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン酸、アスパラギン酸またはアルギニンなどのアミノ酸;セルロースまたはその誘導体、グルコース、マンノースまたはデキストリンを含む単糖類、二糖類その他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;マンニトールやソルビトールなどの糖アルコールなどといった他の成分を加えてもよい。
治療的投与に使用されるVEGFアンタゴニストは滅菌状態でなければならない。滅菌状態は滅菌濾過膜(例えば0.2ミクロン膜)による濾過で容易に達成される。VEGFは通常、凍結乾燥型で保存されるか、熱的変性と酸化的変性に対して高度に安定な場合は水溶液として保存されるだろう。VEGFアンタゴニスト調製物のpHは通例、約6〜8であろう。ただし、より高いもしくはより低いpH値が適当である場合もありうる。上述の賦形剤、担体または安定化剤のいくつかを使用することにより、VEGFアンタゴニストの塩が生成することは理解されるだろう。
VEGFアンタゴニストを非経口的に使用する場合は、一般的には、VEGFアンタゴニストを含有する治療組成物を滅菌注入口を持つ容器(例えば静脈内用溶液バッグや皮下注射針で突き刺せる栓が付いたバイアル)に入れる。
一般に、その障害が許す場合は、VEGFを部位特異的送達用に製剤化し、投与すべきである。これは部位特異的充実性腫瘍の場合に便利である。
徐放性製剤も調製することができ、これにはマイクロカプセル粒子と移植可能物の形成が含まれる。徐放性VEGF組成物を調製するには、VEGFを生物分解性の基盤またはマイクロカプセルに封入することが好ましい。この目的に適した素材はポリラクチドであるが、ポリ-D-(-)-3-ヒドロキシ酪酸(EP133,988 A)のような他のポリー(a-ヒドロキシカルボン酸)ポリマーも使用できる。他の生物分解性ポリマーには、ポリ(ラクトン)、ポリ(アセタール)、ポリ(オルトエステル)またはポリ(オルトカーボネート)がある。ここでまず考慮しなければならないことは、その担体そのものまたはその分解産物が標的組識内で非毒性であることと、その状態をさらに悪化させないことである。これは、標的とする障害の動物モデル(そのようなモデルが利用できない場合は正常な動物)における日常的なスクリーニングによって決定することができる。このような動物モデルは、数多くの科学刊行物に詳述されている。
徐放性組成物の例については、米国特許第3,773,919号、EP 58,481A、米国特許第3,887,699号、EP 158,277A、カナダ特許第1176565号、U.Sidmanら,Biopolymers 22,547[1983]、およびR.Langerら,Chem.Tech. 12,98[1982]を参照のこと。
局所的に投与する場合は、VEGFアンタゴニストを担体および/またはアジュバントなどの他の成分と混合することが好ましい。そのような他の成分の性質については、それらが医薬的に許容でき、意図する投与に有効でなければならないこと、およびその組成物中の活性成分の活性を分解できないこと以外の制限はない。好適な賦形剤の例には、精製コラーゲンを含むまたは含むない軟膏、クリーム、ゲルまたは懸濁剤がある。これらの組成物は、好ましくは液状または半液状で、経皮用のパッチ、プラスターおよび包帯に染み込ませることもできる。
ゲル製剤を得るには、液体組成物中に調合したVEGFを有効量の水溶性多糖または合成ポリマー(ポリエチレングリコールなど)と混合して、局所投与に適した粘度のゲルを形成させればよい。使用できる多糖には、例えば、アルキルセルロース、ヒドロキシアルキルセルロースおよびアルキルヒドロキシアルキルセルロース(メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースおよびヒドロキシプロピルセルロースなど)を含むエーテル化セルロース誘導体などのセルロース誘導体;澱粉と分別澱粉(fractionated starch);寒天;アルギン酸とアルギナート;アラビアゴム;プルラン;アガロース;カラギーナン;デキストラン;デキストリン;フルクタン;イヌリン;マンナン;キシラン;アラビナン;キトサン;グリコーゲン;グルカン;合成生体高分子;キサンタンゴム、グアーゴム、ローカストビーンゴム、アラビアゴム、トラガカントゴム、カラヤゴムなどのゴム;およびそれらの誘導体と混合物がある。ここで好ましいゲル化剤は、生物系に対して不活性、非毒性であり、調製が簡単で、流動性が高すぎたり粘度が高すぎたりせず、その中に保持されたVEGFアンタゴニストを不安定化しないものである。
上記多糖はエーテル化セルロース誘導体であることが好ましく、十分に明確な精製されたUSPに挙げられているもの(例えばメチルセルロースや、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのヒドロキシアルキルセルロース誘導体)がより好ましい。ここで最も好ましいものはメチルセルロースである。
ゲル化に有用なポリエチレングリコールは、一般に、適当な粘度を持つように混合された低分子量および高分子量ポリエチレングリコールの混合物である。例えば、分子量400〜600のポリエチレングリコールと分子量1500のものとの混合物は、ペーストが得られるように適当な比率で混合すると、この目的に有効である。
多糖類とポリエチレングリコールに適用される「水溶性」という用語は、コロイド溶液と分散液を包含するものとする。一般に、セルロース誘導体の溶解性はエーテル基の置換の程度によって決定され、ここで有用な安定化誘導体は、その誘導体を水溶性にするに足る量のエーテル基をセルロース鎖の1無水グルコース単位あたりに持つべきである。一般的には1無水グルコース単位あたり0.35エーテル基以上のエーテル置換度であればよい。またセルロース誘導体は、Li、Na、KまたはCs塩などのアルカリ金属塩の形態であってもよい。
ゲル中にメチルセルロースを使用する場合は、それがゲルの約2〜5%(より好ましくは約3%)を占めることが好ましく、VEGFアンタゴニストはゲル1mlあたり約300〜1000mgの量で存在することが好ましい。
使用すべき用量は上述の因子に依存する。一般的な案として、VEGFアンタゴニストを製剤化し、約0.1ng/cc以上、かつ、効きめはあるが不当に毒性でない最大用量までのVEGFアンタゴニストレベルを組織内に樹立できる投与量で、標的部位または組識に送達する。この組織内濃度は、可能であれば連続的注入、徐放性剤、局所適用または実験的に決定した頻度での注射によって維持されるベきである。
5. 医薬組成物
本発明の化合物は、医薬的に有用な組成物を製造するための既知の方法に従って、本発明のVEGFアンタゴニストを医薬的に許容できる担体賦形剤と混合することにより、製剤化することができる。好ましい担体賦形剤とそれらの製剤は、ヒト血清アルブミンなどの他のヒトタンパク質を含めて、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences,16版,1980,Mack Publishing Co.,Osloら編(その開示は参考文献とし本明細書の一部を構成する)などに記述されている。本明細書に記載のVEGFアンタゴニストは非経口的に、あるいは有効な形態で血流にそれを確実に送達する他の方法によって投与することができる。
本発明の実施に使用される本発明のVEGFアンタゴニストの臨床的投与にとりわけ適した組成物には、例えば滅菌水溶液、または凍結乾燥タンパク質などの滅菌された水和可能な粉末がある。一般に製剤は、さらに適当量の医薬的に許容できる塩を、一般的にはその製剤を等張性にするに足る量で含むことが望ましい。アルギニン塩基やリン酸などのpH調節剤も通例、適当なpH(一般的には5.5〜7.5)を維持するに足る量で含まれる。さらに、貯蔵寿命や水性製剤の安定性を改善するために、グリコールなどの薬剤をさらに含むことも望ましいだろう。この方法で、変異体t-PA製剤は非経口投与、特に静脈内投与に適した薬剤となる。
本発明の医薬組成物の用量と望ましい薬物濃度は、意図するその用途によって変化するだろう。例えば、一般に「ボーラス」投与を行うことができ、その後の投与で、好ましくは約3μg/ml程度のほぼ一定の血中レベルを維持することが好ましい。
しかし、一般に注入法が利用できず、また根底にある疾患が一般に重篤であるため、緊急医療施設に関係する用途では、静脈内ボーラスのように多少大きい初期投与量を与えることが一般に望ましいだろう。
本発明の化合物に関して言及した種々の治療適応症には、治療すべき特定の障害、個々の患者の状態、送達部位、投与法その他、各分野の実施者が知る因子を考慮して、よい医療に合致する方法でVEGF分子を製剤化し、投与する。
したがって、本明細書において本発明VEGF分子の「治療有効量」とは、処置される状態の緩和または治癒、もしくはその悪化の予防または軽減に有効な量であり、具体的には、血管内皮の増殖をin vivoで実質的に減少または阻害するに足る量である。一般的には、処置される治療適応症の標的であるところの組識中で、約0.1ng/cm3以上、かつ、効きはあるが不当に毒性でない最大用量までの本発明VEGFアンタゴニストレベルを樹立できる投与量を使用する。本発明化合物の治療適応症のいくつかには、組織内投与を選択できると考えられる。
以下の実施例は、単に、現在わかっている本発明の最良の実施形態を例示するために過ぎず、本発明がこれら実施例の詳細に限定されると見なすべきではない。
材料−Muta-geneファージミド・インビトロ突然変異誘発キット、ネズミIgGに特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギIgG、染色済低範囲MW標品およびTrans-Blot Transfer Medium(純粋なニトロセルロース膜)はBioRad Laboratories(カリフォルニア州リッチモンド)から購入した。QiagenプラスミドTip100キットとSequenaseバージョン2.0は、それぞれQiagen(カリフォルニア州チャッツワース)およびUnited States Biochemical(オハイオ州クリーブランド)から入手した。SDSゲル(4-20%勾配ポリアクリルアミド)と切断済ブロッティング紙は、Integrated Separations Systems(マサチューセッツ州ネーティック)から入手した。SDS試料緩衝液(×濃縮)と種々の制限酵素はNew England Biolabs(マサチューセッツ州ベバリー)から入手した。O-フェニレンジアミン、クエン酸リン酸緩衝液、ドデシル硫酸ナトリウムおよびH2O2基質錠剤はSigma(ミズーリ州セントルイス)から購入した。BufferEZEフォーミュラ1(転写緩衝液)とX-OMat AR X線フィルムはEastman Kodak Co.(ニューヨーク州ロチェスター)から入手した。MaxosorbおよびImmunlon-1マイクロタイタープレートはそれぞれNunc(デンマーク・カンストルップ)とDynatech(バージニア州シャンティイ)から購入した。細胞培養プレート(12ウェル)と培養培地(ウシ血清入り)は、それぞれCostar(マサチューセッツ州ケンブリッジ)とGibco(ニューヨーク州グランドアイランド)から入手した。ポリエチレン-20−ソルビタンモノラウレート(Tween-20)は、Fisher Biotech(ニュージャージー州フェアローン)
から入手した。G25セファデックスカラム(PD−10)と125I標識プロテインAはそれぞれPharmacia(ニュージャージー州ピスカタウェイ)とAmersham(イリノイ州アーリントンハイツ)から入手した。ウシ血清アルブミン(BSA)とウサギIgG抗ヒトIgG(Fc特異的)は、それぞれCappel(ノースカロライナ州ダーラム)とCalbiochem(カリフォルニア州ラジョラ)から購入した。プラスミドベクター(pRK5)、コンピテント大腸菌細胞(DH5aとCJ236)、合成オリゴヌクレオチド、細胞培養培地、精製されたCHO由来のVEGF165、VEGF165に対するモノクローナル抗体(Mate A4.6.1、2E3、4D7、SC3およびSF8)とポリクローナル抗体は、Genentech,Inc:(カリフォルニア州サウスサンフランシスコ)で調製された。FLT-1、flkIおよびKDRレセプター-IgGキメラの構築、発現および精製は、Parkら,J.Biol.Chem. 269,25646-25654(1994)に記述されている通りとした。
部位特異的突然変異誘発とVEGF変種の発現―部位特異的突然変異誘発は、Proc.Natl.Acad.Sci. 82,488−492(1985)とKunkelら,Methods Enzymol. 154,367-382(1987)の方法に従い、Muta-Geneファージミド・インビトロ突然変異誘発キットを用いて行なった。VEGF165イソ型のcDNAを含有するプラスミドベクターpRK5を突然変異誘発と一過性発現に使用した。pRK5ベクターは改良型pUC118ベクターであり、CMVエンハンサーおよびプロモーターを含有する[Nakamayeら,NucleicAcidsRes. 14,9679-9698(1986)およびVieiraら,Methods Enzymol. 155,3-11(1987)]。突然変異したDNAはQiagen Plasmid Midi Kit Tip100を用いて精製し、突然変異の配列をSequenase Version 2.0キットを用いて確認した。突然変異DNAを、Sambrookら,Molecular Cloning:A Laboratory Manual part I,C5.28-5.31(Cold Spring Harbor Laboratory Press,ニューヨーク州コールドスプリングハーバー(1989))に記述されているような制限酵素消化によって分析した。
ヒト胚腎臓「293細胞」の一過性トランスフェクションは、過去に記述されたような改良リン酸カルシウム沈澱法を用いて6ウェルプレート中で行なった[Jordanら,Bio/Technology(原稿準備中)(1994);Chenら,Mol.Cell Biol. 7,2745-2752(1987);Gormanら,DNA and Protein Engineering Techniques 2,3-10(1990);Grahamら,Virology 52,456-467(1973)]。簡単に述べると、約1.2×106細胞を、15μgの沈降DNAの存在下に37℃で終夜培養した。細胞培養上清を無血清培地で置換し、細胞単層を37℃で72時間培養した。ならし培地(3ml)を収集し、遠心分離し、等分して、使用するまで−70℃で保存した。
VEGF165変種のELISAによる定量−過去に記述された放射免疫測定法[Aielloら,N.Engl.J.Med. 331,1480−1487(1994)]を、以下の手法によるVEGF突然変異体の定量に適合させた。96ウェルマイクロタイタープレートの各ウェルを、50mM炭酸ナトリウム緩衝液(pH9.6)中、3μg/ml濃度の抗VEGF165ポリクローナル抗体溶液100μlを用いて、4℃で終夜コーティングした。上清を捨て、ウェルを0.03%Tween 80を含むPBSで4回洗浄した。そのプレートを検定緩衝液(PBS中、0.5%BSA,0.03%Tween 80,0.01%チメロサール)中、周囲温度で1時間(300μl/ウェル)遮断した後、ウェルを洗浄した。希釈した試料(100μl)とVEGF165標品(0.1〜10ng/ml)を各ウェルに加え、穏やかに攪拌しながら周囲温度で1時間保温した。上清を捨て、ウェルを洗浄した。抗VEGFネズミモノクローナル抗体5F8溶液(1μg/mlで100μl)を加え、そのマイクロタイタープレートを穏やかに攪拌しながら周囲温度で1時間保温した。上清を捨てた後、プレートを洗浄し、直ちに、ネズミIgGに特異的な西洋ワサビペルオキシダーゼ結合ヤギIgGの1:25000希釈液(100μl)を各ウェルに加えた。そのプレートを穏やかに攪拌しながら周囲温度で1時間保温した後、上清を捨て、ウェルを洗浄し、50mMクエン酸リン酸緩衝液pH5(100μl)中のオルトフェニレンジアミン(0-04%)、H202(0.012%)を加えて呈色させ、周囲温度暗所で10分間保温した。50μlの4.5N H2SO4を各ウェルに加えることにより反応を停止し、492nmの吸光度をマイクロプレートリーダー(SLT Labs)で測定した。VEGF165変種の濃度は、非線型回帰分析を用いた標準曲線の内挿法によって定量した。比較のために、二重モノクローナル形式を用いる第2のELISAを開発した。この検定法は、マイクロタイタープレートのコーティングに中和モノクローナル抗体(Mab A4.6.1)を使用する点以外は、上述のELISAに似ている[Kimら,Growth Factor 7,53-64(1992)]。
VEGF突然変異体の免疫ブロッティング−VEGFまたはVEGF突然変異体(約10ng)を含むならし細胞培地(16μl)を×SDS試料緩衝液(4μl)に加え、90℃で3分間加熱してからSDSポリアクリルアミド(4-20%アクリルアミド)ゲルに載せた。染色済MW標品(10μl)をそのSDSゲルの外側のレーンに載せた。ゲルを4℃、25mAで90分間泳動した。0.1%SDSを含むBufferEZEが入ったBio-Radタンクブロッター中、25℃、250mAで90分間、ゲルをニトロセルロース紙に転写した。ニトロセルロースは使用する前に、0.1%SDSを含む転写緩衝液で10分間湿らせた。転写した免疫ブロットを、PBS中、4℃で、1.0%BSAと0.1%Tween 20(遮断緩衝液)で終夜遮断した。5種類のネズミ抗VEGF Mab(A.4.6.1、5C3、5F8、4D7および2E3)を含有する溶液を、各2μg/mlのMabを用いて遮断緩衝液中に調製し、一次抗体として使用した。その一次抗体溶液を上記免疫ブロットと共に穏やかに攪拌しながら25℃で4時間保温した後、25℃の遮断緩衝液中10分間の洗浄を3回行なった。125I標識プロテインAを遮断緩衝液で104cpm/ml(最終濃度)に希釈し、上記免疫ブロットと共に穏やかに攪拌しながら25℃で60分間保温した。免疫ブロットを25℃の遮断緩衝液中で10分間、3回洗浄した後、ろ紙上で乾燥し、2枚の増幅スクリーンと共にKodak X-Omatフィルム上に−70℃で3日間おいた。
125I標識VEGF165の調製−CHO由来のVEGF165の放射線標識は、クロラミンT触媒ヨウ素化法の改良法を用いて行なった[Hunterら,Nature 194,495-496(1962)]。典型的な反応では、10μlの1M Tris-HCl,0.01%Tween 20(pH7.5)を、ふた付反応容器中の5μlのヨウ素125(0.5ミリキュリー、0.24nmol)に加えた。この反応液に、10μlのCHO由来VEGF165(10μg、0.26nmol)を加えた。0.1Mリン酸ナトリウムpH7.4中の1mg/mlクロラミンT10μlを加えることにより、ヨウ素化を開始した。60秒後、0.1Mリン酸ナトリウムpH7.5中のメタ重亜硫酸ナトリウム(20μl、1mg/ml)の添加によって、ヨウ素化を停止した。各添加後に反応溶液をボルテックスにかけた。この反応混合物を、PBS中の0.5%BSA、0.01%Tween 20で予備平衡させたPD-10カラム(G25セファデックス)にかけた。フラクションを集め、ガンマシンチレーションカウンター(LKBモデル1277)で放射活性をカウントした。通例、ヨウ素化VEGFの比放射活性は26±2.5μCi/μgで、これはVEGF165二量体2分子につき125I1つに相当する。
VEGF165レセプター結合検定−この検定は96ウェル・イムノプレート(Immulon-1)で行なった。各ウェルを、50mM炭酸ナトリウム緩衝液pH9.6中の10μg/m1ウサギIgG抗ヒトIgG(Fc特異的)で、4℃で終夜コーティングした。上清を捨てた後、ウェルを洗浄緩衝液(PBS中0.01%Tween 80)で3回洗浄した。そのプレートを検定緩衝液(PBS中0.5%BSA、0.03%Tween 80、0.01%チメロサール)中で1時間遮断した(300μl/ウェル)。上清を捨て、ウェルを洗浄した。様々な濃度のVEGF165突然変異体を含むならし細胞培地(100μl)、VEGFレセプターIgGキメラタンパク質、FLT-1 IgG、flk-1 IgGまたはKDR-IgG(最終濃度3〜15ng/m1、50μl)とマイクロチューブ(micronic tube)中で混合した125I放射標識VEGF165(50μl中に約5×103cpm)を用いて混合物を調製した。この溶液の一部(100μ)をコーティング済のマイクロタイタープレートに加え、穏やかに攪拌しながら周囲温度で4時間保温した。上清を捨て、プレートを洗浄し、各マイクロタイターウェルをガンマシンチグラフィー(LKBモデル1277)でカウントした。FLT−1、Flk−1またはKDRレセプターに対する非標識VEGF165(またはVEGF165突然変異体)と125I放射標識VEGF165の競争的結合をプロットし、4変数フィッティングプログラム(Kaleidagraph,Adelbeck Software)を用いて分析した。各VEGF突然変異体について、50%阻害を達成するのに必要な濃度(IC50)から見かけ上の解離定数を見積もった。
内皮血管細胞増殖に関する検定−過去に記述されているようにウシ副腎皮質内皮(ACE)細胞を標的細胞として使用することにより、VEGF変種の有糸分裂誘発活性を測定した[Ferraraら,Biochem.Biophys.Res.Comm. 161,851-859(1989)]。簡単に述べると、12ウェルプレートに細胞をまばらに(7000細胞/ウェル)接種し、10%ウシ血清、2mMグルタミンおよび抗生物質を補足したダルベッコ改良イーグル培地中で終夜培養した。翌日、その培地を交換し、培養培地で100ng/ml〜10pg/mlの濃度に希釈したVEGFまたはVEGF突然変異体を、接種した細胞上に正副1対づつ重層した。37℃で5日間培養した後、細胞をトリプシンで解離し、Coulterカウンターを用いて定量した。
VEGF cDNAの単離
ウシ下垂体濾胞細胞[Ferraraら,Meth.Enzymol.(前掲)とFerraraら,Am.J.Physiol.(前掲)に記述されているようにして得た]から全RNAを抽出し[Ullrichら,Science 196,1313−1317(1977)]、そのポリアデニル化mRNA画分をオリゴ(dT)-セルロースクロマトグラフィーによって単離した。Avivら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 69,1408-1412(1971)。dT12−18またはランダムヘキサマーdN6でプライミングすることにより、cDNAを調製した[Wickensら,J.Biol.Chem. 253,2483-2495(1978)]。AmershamのcDNAキットを用いて二本鎖cDNAを合成し、非対象EcoRIリンカー[Norrisら,Gene 7,355-362(1979)]を用いてEkoRIメチラーゼ処理の必要を避けた点以外は既述のようにして[Huynhら,DNA Cloning Techniques,A Practical Approach,Glover編(IRL,オックスフォード,1985)]、得られたcDNAをEcoRIで切断したlgt10にサブクリーニングした。
その組換えファージを大腸菌C600Hfl[Huynhら,前掲]に接種し、ニトロセルロースフィルター上に複製をとった。Bentonら,Science 196,180−182(1977)。これらのレプリカを、32Pで標識した[Taylorら,Biochim.Biophys.Acta, 442,324-330(1976)]配列:
5'-CCTATGGCTGAAGGCGGCCAGAAGCCTCACGAAGTGGTGAAGTTCATGGACGTGTATCA-3'
の合成オリゴヌクレオチドプローブと、20%ホルムアミド、5×SSC、50mMリン酸ナトリウムpH6.8、0.1%ピロリン酸ナトリウム、5×デンハルト溶液および50mg/mlサケ精子DNA中、42℃でハイブリッド形成させ、2×SSC、0.1%SDS中42℃で洗浄した。
I.vegf.6と名づけた1つの陽性クローンを同定した。32Pで標識したこのクローンをプローブとして、オリゴdTでプライミングしたヒト胎盤cDNAライブラリーをスクリーニングし、陽性クローンを観察した。ヒト下垂体cDNAライブラリーを同じ標識クローンでスクリーニングしたところ、陽性クローンは検出されなかった。 pRK5ベクターにサブクローニングした後、クローンI.vegf.6の完全なヌクレオチド配列をジデオキシオリゴヌクレオチド連鎖終結法[Sangerら,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 74,5463-5467(1977)]で決定した。配列を、シグナル配列含むそのアミノ酸配列と共に得た。
哺乳類細胞におけるVEGFコード遺伝子の発現
最終発現ベクターpRK5.vegf.6を、I.vegf.6とpRK5から構築した。pRK5とpRK5.vegf.6の構築について以下に詳述する。
A. pRK5の構築
A.1. pF8CISの構築
出発プラスミドpF8CISの最初の三要素構築を以下に説明する。
1) 最終ベクターのアンピシリン耐性マーカーと複製起点は、プラスミドpML(Lusky,M.およびBotchen,M.,Nature,293,79[1981])の変種である出発プラスミドpUC13pMLから得た。pUC13pMLは、pUC13(Vieira,J.およびMessing,J.,Gene,19,259(1981))のポリリンカーをpMLのEcoRIおよびHindIII部位に移植することによって構築した。もう1つの出発プラスミドpUC8-CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の供給源である。pUC8-CMVは、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与配列の約800ヌクレオチドをpUC8の平滑末端化したPstIおよびSphI部位に挿入することによって構築した。Vieira,J.およびMessing,J.,前掲。合成BamHI-HindIIIリンカー(New England Biolabsから市販されている)をBamI付着末端に連結してHindIII部位を作成した。この連結の後、HindIII-HincII消化を行なった。この消化により、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含有する約800bpの断片が得られた。ゲル単離の後、この800bp断片をpUC13pMLの2900bp断片に連結した。pF8CISの構築に必要な断片は、上記中間体プラスミドをSalIとHindIIIで消化することによって得た。この3123bp断片は、pUC13pML由来の複製起点、アンピシリン耐性マーカーと、エンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含むCMVの制御配列とを含有する。
2) Ig可変領域イントロンおよびスプライス受容配列を合成オリゴマーを用いて構築した。次に示すIgGイントロンおよびスプライス受容部位の配列(Bothwellら,Nature,290,65-67[1981])を持つ99マーと30マーを化学合成した:
1 5' AGTAGCAAGCTTGACGTGTGGCAGGCTTGA...
31 GATCTGGCCATACACTTGAGTGACAATGA...
60 CATCCACTTTGCCTTTCTCTCCACAGGT...
88 GTCCACTCCCAG 3'
1 3' CAGGTGAGGGTGCAGCTTGACGTCGTCGGA 5'
DNAポリメラーゼI(クレノー断片)で合成断片を補充し、二本鎖断片を作成した。Wartell,R.M.およびW.S.Reznikoff,Gene,9,307(1980)。次に、PstIとHindIIIの二重消化を行なった。この合成リンカーをpUC13(VeiraおよびMessing,前掲)のPstIおよびHindIII部位にクローニングした。上記合成オリゴヌクレオチドを含有するクローン、標識pUCIg.10を、PstIで消化した。この断片に、PstI-ClaIリンカーを使用してClaI部位を加えた。HindIIIによる消化の後、Ig可変領域スプライス受容部位とIgイントロンの一部を含む118bp断片をゲル単離した。
3) この構築法の第3部分では、肝炎表面抗原3'末端をSV40の初期領域のポリアデニル化部位と転写終結部位で置換した。SV40配列を含有するベクターpUC.SV40を、VieiraおよびMessing(前掲)に記載のpUC8のBamHI部位に挿入した。次に、pUC.SV40をEcoRIIとHpaIで消化した。SV40ポリアデニル化配列を含む143bp断片を、この消化物からゲル単離した。pSVE.8c1D(欧州特許公開番号160,457)の消化後、さらに二つの断片をゲル単離した。EcoRIとClal消化によって生成した4.8kb断片は、SV40-DHFR転写単位、pMLの複製起点およびアンピシリン耐性マーカーを含有する。ClaIとHpaIによる消化で生成する7.5kb断片は、因子VIIIのcDNAを含有する。3要素連結により、pSVE.8c24Dを得た。この中間体プラスミドをClaIとSalIで消化して、因子VIIIのcDNAとSV40ポリA部位およびそれに続くSV40 DHFR転写単位を含有する9611bp断片を得た。
pF8CISを得るための最終的な3要素連結には、a)複製起点、アンピシリン耐性マーカー、CMVエンハンサー、プロモーターおよびスプライス供与部位を含む3123bpのSalI-HindIII断片、b)Igイントロンおよびスプライス受容部位を含む118bpのHindIII-ClaI断片、およびc)因子VIIIのcDNA、SV40ポリアデニル化部位およびSV40 DHFR転写単位を含む9611bpのClaI-SalI断片を用いた。
A.2. pCIS2.8c28Dの構築
pCIS2.8c28Dは、因子VIIIの73kdサブユニットに結合した因子VIIIの90kdサブユニットからなる。この90kdはアミノ酸1〜740、73kdサブユニットはアミノ酸1690〜2332を含む。この構築物は、次に挙げる断片の3要素連結によって調製した:a)pF8CISの12617bp ClaI-SstII断片(dam-株から単離し、BAP処理したもの)、b)pF8CISの216bp SstII-PstI断片、およびc)キナーゼ処理した短いPstI-ClaI合成オリゴヌクレオチド。
2つの異なる断片AとBを同じpUC118 BamHI-PstI BAPベクターにクローニングした。A断片はpUC408BHの408bp BamHI-HindIII断片であり、B断片はHindIII-PstIオリゴヌクレオチドである。このオリゴヌクレオチドは、連結中の重合を防止するためのキナーゼ処理を行なわずに使用した。
ベクター中にA断片とB断片を連結した後、予想される接合部の配列を、そのヌクレオチドを含む領域のDNA配列決定によって確認した。
得られたプラスミドpCIS2.8c28Dは、4要素連結によって構築した。融合プラスミドをBamIとPstIで切断し、443bp断片を単離した。4要素連結の残りの3断片は、1)pSVEFVIII(欧州特許公開番号160,457)の1944bp ClaI-BamHI、2)pSVEFVIIIの2202bp BamI-XbaI断片をさらにPstIで部分的消化し、1786bpPstI-XbaI断片を単離したもの、および3)pCIS2.8c24Dの5828bp XbaI-ClaI BAP断片である。pCIS2.8c28Dの正確な融合接合領域中に生じる変異の翻訳されたDNA配列を決定した。これは相関する。
A.3. pRK5の構築
pRK5を構築する際の出発プラスミドはpCIS2.8c28Dとした。第1節から第6節までの塩基番号はpCIS2.8c28Dを指し、CMVプロモーターの前にあるEcoRI部位の最初のTを塩基1とする。サイトメガロウイルスの初期プロモーターとイントロンおよびSV40起点とポリAシグナルを別々のプラスミドにのせた。
1. サイトメガロウイルスプロモーターを、pCIS2.8c28Dから得たEcoRI断片(9999-1201)として、上記pUC118のEcoRI部位にクローニングした。12個のコロニーを拾い、pUC118から調製した一本鎖DNAが1201のEcoRI部位から9999のEcoRI部位までの配列決定を可能にするような配向をスクリーニングした。このクローンをpCMVE/Pと名づけた。
2. 部位特異的突然変異誘発法によってSP6(Green,MRら,Cell 32,681-694[1983])プロモーターを挿入するために、pCMVE/Pから一本鎖DNAを調製した。SP6プロモーターの-69から+5までの配列を含有する合成110マー(Nucleic Acids Res.,12,7041[1984]参照)を、CMVE/P配列に対応するオリゴマーの両側の18bp断片と共に使用した。突然変異誘発を一般的な技術で行い、標識110マーを用いて、高および低ストリンジェンシーでスクリーニングした。6つの候補クローンを選択し、配列決定した。陽性クローンを同定し、pCMVE/PSP6と名づけた。
3. 例えばSP6 RNAポリメラーゼを加え、適当なサイズのRNAを調べることによってSP6プロモーターを調べたところ、活性であることがわかった。
4. pCMVE/P(第1段階)とpCMVE/PSP6(第2段階)中のpUC118のClal部位(912)からSmaI部位までの位置を包含するように、Cla-NotI-Smaアダプターを合成した。このアダプターをpUC118のClaI-SmaI部位に連結し、正しいクローンをスクリーニングした。このリンカーを両方配列決定し、クローンをpCMVE/PSP6-LおよびpCMVE/P-Lと名づけた。
5. pCMVE/PSP6-LをSmaI(リンカー/pUC118接合部にある)とHindIII(pUC118中)で切断した。下記pSVORAADRI 11のHpaI(5573)-HindIII(6136)断片をpCMVE/PSP6-LのSmaI-HindIIIに挿入した。この連結物をスクリーニングし、クローンを単離して、pCMVE/PSP6-L-SVORAADRIと名づけた。
a)SV40起点とポリAシグナルをpCIS2.8c28DからXmnI(5475)-HindIII(6136)断片として単離し、pUC119(VieiraおよびMessing,前掲に記載)のHindIII部位からSmaI部位までにクローニングした。このクローンをpSVORAAと名づけた。
b)EcoRIによる部分消化とクレノーによる充填により、5716のEcoRI部位を除去した。充填後の自己連結によって得たコロニーをスクリーニングし、正しいクローンを単離して、pSVORAADRI 11と名づけた。EcoRI部位の欠失を配列決定で調べたところ、正しいことがわかった。
c)pSVORAADRI 11のHpaI(5573)-HindIII(6136)断片を単離し、pCMVE/PSP6-L(上記4参照)に挿入した。
6. pCMVE/PSP6-L-SVOrAADRI(第5段階)を9999のEcoRIで切断し、平滑末端化し、自己連結させた。EcoRI部位を持たないクローンを同定し、pRKと名づけた。
7. pRKをSmaIとBamIで切断した。これをクレノーで充填し、再連結した。コロニーをスクリーニングした。陽性クローンを同定し、pRKDBam/Sma3と名づけた。
8. pRKDBam/Sma3のHindIII部位を、コンバーターを用いてHpaI部位に変換した。(コンバーターとは、ある制限部位を他の制限部位に変えるために使用されるDNAの断片をいう。この場合は、一端がHindIII付着末端に相補的で、他端がHpaIの認識部位を持つ。)陽性クローンを同定し、pRKDBam/Sma,HIII-HapI 1と名づけた。
9. pRKBam/Sma,HIII-HpaI 1をPstIとNotIで切断し、そこにEcoRI-HindIIIおよびHindIII-EcoRIリンカーを連結した。各リンカーについてクローンを発見した。しかし、沢山のHpaIコンバーターが入り過ぎていることもわかった(2以上のコンバーターPvuI 1部位を生む)。したがって、これらのクローンをHpaIで切断し、自己連結させる必要があった。
10. RI-HIIIクローン3とHIII-RIクローン5をHpaIで切断し、希釈し、自己連結させた。陽性体を同定した。そのRI-HIIIクローンをpRK5と名づけた。
B. pRK5.vegf.6の構築
クローンI.vegf.6をEcoRIで処理し、そのEcoRI挿入物を単離し、EcoRIによるpRK5の消化とその大断片の単離によって得たpRK5のベクター断片に連結した。これら断片の2要素連結により、発現ベクターpRK5.vegf.6を得て、VEGFコード配列がプロモーターに対して正しい向きにあるものをスクリーニングした。
基本pRK5ベクターの構築に関するさらなる詳細は、1994年7月26日に発行された米国特許5,332,671から得ることができ、この特許は、参考のため本明細書の一部を特別に構成する。
次の実施例では、本発明が包含する種々のVEGF突然変異体を調製するために一般に使用される方法論を詳述する。基本的な発現ベクターは次のように調製した。
VEGF165のcDNAを含有するベクターSDVF165を得た。VEGF165のcDNAを、Hind IIIとEco RIによる制限消化によってSDVF165から単離した。この単離された挿入物を、pRK5プラスミド中にEco RI部位とHind III部位が存在することを利用して、pRK5プラスミドに連結した。得られたプラスミドをコンピテントCJ236大腸菌細胞に形質転換して、部位特異的突然変異用の鋳型を作成した。次に、これに対応する突然変異部位を含むオリゴヌクレオチドを調製し(下記参照)、Bio-Rad Muta-Gene突然変異誘発キットを用いて、試験管内部位特異的突然変異誘発操作を既知の手法に従って行なった。配列決定によって突然変異部位が最終発現ベクターに組込まれたこと確認した後、一過性発現のために、得られたベクターを293ヒト腎臓細胞にトランスフェクションした。
最終突然変異産物を作成するために、以下のオリゴヌクレオチドを調製した。
Figure 2004339233
こうして前記表1の左列に示したオリゴヌクレオチドによる挿入体を製造し、「突然変異」と題する左列の下に示した表示に従ってVEGF分子の対応する突然変異体を製造した。化合物の命名は慣例的命名法に従ったものである。そこで最初の化合物についてはその突然変異体は「C51D」と記する。これはVEGF分子で第51位のアミノ酸のシステイン(C)残基が第51位にアスパラギン酸(D)を挿入するように突然変異したことを意味する。
第2図は本発明の天然VEGF二量体およびある変異体VEGFポリペプチドを示すダイアグラムである。第2図に示すように、天然VEGF分子は一方のモノマー上の第51位アミノ酸のシステインともう一方のモノマー上の第60位アミノ酸のシステイン(その逆もある)の間にジスルフィド結合が形成されることにより二量体化する。第51位または第60位アミノ酸のシステイン残基のアスパラギン酸への置換(それぞれC51DまたはC60D)は、正確な二量体化とスタガー二量体分子の形成を妨げる。第51位および第60位アミノ酸の両システイン残基の置換(C51D、C60D)は二量体の形成を完全に妨げる。
VEGF変異体のVEGFレセプターへの結合−第2図に示す天然VEGF二量体およびVEGF変異体ポリペプチドの、KDRおよびFLT−1レセプターとの結合能を試験した。レセプター結合アッセイは前記のごとく行なった。KDRレセプターとの結合について得られた結果を第3および第4図に示す。
第3図に示すように、試験した3つのVEGF変異体ポリペプチドは、天然のVEGF二量体タンパク質と同じ強さの結合親和性は示さなかったものの、すべてがKDRレセプターとの結合能を保持していた。第3図に示す結果は、モノマー変異体ポリペプチドC51D、C60DはKDRレセプターとの結合能を保持するが、試験した天然の二量体または2つのスタガー二量体に比べて結合親和性が低下していた。
第4図は、C51D、C60Dモノマー変異体のKDRレセプターとの結合親和性が天然の二量体VEGFタンパク質より約500倍低いことを示している。すなわち、この結果は、結合親和性は低いものの、試験した各VEGF変異体ポリペプチドがKDRレセプターとの結合能を保持することを示している。
第5図および第6図は、第2図のポリペプチドのFLT−1レセプターとの結合を測定して得られた結果を示す。第5図に示す結果は、天然のVEGF二量体に比べて結合親和性は低いものの、試験した変異体すべてがFLT−1レセプターとの結合能を保持することを示している。第6図は、C51D、C60Dモノマー変異体のFLT−1レセプターに対する結合親和性が天然のVEGF二量体より約140倍低いことを示す。すなわち、この結果は、試験したVEGF変異体ポリペプチドそれぞれが、結合親和性は低いものの、FLT−1レセプターに対する結合能を有することを示している。
VEGFおよびその変異体による有糸分裂誘発刺激−上記の通り、第2図に示したVEGF変異体はKDRおよびFLT−1両レセプターとの結合能があることが示されたので、これら変異体の内皮細胞に対する有糸分裂誘発能について試験した。細胞分裂促進アッセイは上記のごとく行なった。このアッセイの結果を第7図に示す。
第7図に示すように、天然VEGF二量体分子は内皮細胞における有糸分裂誘発を効率的に刺激することができるが、試験したVEGF変異体(スタガー二量体C51DならびにC60D、およびモノマー変異体C51D,C60D)は、内皮細胞の有糸分裂誘発刺激に対する阻害効果を示す。この結果は、内皮細胞における効率的な有糸分裂誘発刺激には、天然VEGFDポリペプチドの第51位アミノ酸と第60位アミノ酸のシステイン残基間の適切な二量体化が必須であることを示す。したがって、これらのデータはVEGFモノマー単位の適切に二量体化する能力を崩壊させるアミノ酸修飾は該分子の有糸分促進能を阻害するように作用することを示す。これら変異体分子が「天然のVEGF様」有糸分裂誘発反応を誘導することなくVEGFレセプターと結合し、占拠することができると仮定すれば、そのような変異体分子はVEGF活性の有効なアンタゴニスト(拮抗物質)として役立つかもしれない。
C51D、C60DモノマーのVEGF誘発内皮細胞増殖阻害能−該モノマーの、内皮細胞のVEGF誘発増殖阻害能を測定するために計画されたアッセイにはC51D、C60Dモノマーポリペプチドを用いた。簡単には、内皮細胞を3ng/mL VEGFと、異なる量のA461抗VEGFモノクローナル抗体またはC51D、C60Dモノマーポリペプチドいずれかの存在下で培養した。各インヒビターの上皮細胞増殖阻害効果を示す結果を第8図に示す。
第8図に示す結果は、A461抗VEGFモノクローナル抗体とC51D、C60DモノマーポリペプチドがいずれもVEGF誘導内皮細胞増殖に対する実質的な阻害効果を示すことを示している。この阻害効果はVEGFに対するインヒビターの比が増加するにつれて増加する。したがって、C51D、C60DモノマーポリペプチドはVEGFの内皮細胞増殖活性化を阻害するように機能する。
結び
上記の説明は本発明の実施に使用できる具体的方法を詳述したものである。これらの具体的方法を詳述しおえたので、当業者には、本発明の成果を利用して同じ知見を得るのに確実な代替法を案出する方法が十分にわかるだろう。しかし上述の詳細は、その全範囲を限定するものではなく、本発明の範囲は添付の請求の範囲の適法な解釈によってのみ決定されるべきである。ここに引用した文書はすべて特に参考文献として本明細書の一部を構成するものとする。
165アミノ酸を有する天然VEGFタンパク質のアミノ酸およびDNA配列を示す。タンパク質の推定アミノ酸をDNA配列の下に示し、タンパク質配列のN末端の最初の残基から番号を付す。負のアミノ酸番号は、推定のリーダーシグナル配列またはプレタンパク質を意味し、一方、正の番号は推定の成熟タンパク質を意味する。 図1Aと同様の図である。 モノマー単位の、それぞれアミノ酸第51位と第60位および第60位と第51位のシステイン残基の間でジスルフィド結合を有する天然VEGF二量体分子、アミノ酸第51位のシステイン残基がアスパラギン酸残基で置換された結果スタガー(staggered)二量体の形成を生じる変異ポリペプチドC51D、アミノ酸第60位のシステイン残基がアスパラギン酸で置換された結果スタガー(staggered)二量体を生じる変異ポリペプチドC60D、およびアミノ酸第51位と第60位の両方がアスパラギン酸残基で置換され、それによりジスルフィド結合の形成と二量体化を阻止している変異ポリペプチドC51D、C60Dを示す概略図である。 天然VEGF二量体(“●”)、C60D変異体VEGFポリペプチドから形成されたスタガー二量体(“□”)、C51D変異体VEGFポリペプチドから形成されたスタガー二量体(“〇”)、およびモノマーVEGF変異ポリペプチドC51D、C60D(“△”)の、KDRレセプターに対する結合プロファイルを示すグラフである。データは、非標識競争剤のピコモーラー(pM)濃度に対して、遊離に対する結合したポリペプチドの割合として示した。 天然のVEGF二量体(“●”)およびモノマーVEGF変異ポリペプチドC51D、C60D(“▲”)の、KDRレセプターに対する結合プロファイルを示すグラフである。データは、非標識競争剤のナノモーラー(nM)濃度に対して、遊離に対する結合したポリペプチドの割合として示した。 天然VEGF二量体(“●”)、C60D変異体VEGFポリペプチドから形成されたスタガー二量体(“■”)、C51D変異体VEGFポリペプチドから形成されたスタガー二量体(“○”)、およびモノマーVEGF変異ポリペプチドC51D、C60D(“▲”)の、FLT−1レセプターに対する結合プロファイルを示すグラフである。データは、非標識VEGF競争剤のナノモーラー(nM)濃度に対して、遊離に対する結合したポリペプチドの割合として示した。 天然VEGF二量体(“●”)、およびモノマーVEGF変異ポリペプチドC51D、C60D(“■”)の、FLT−1レセプターに対する結合プロファイルを示すグラフである。データは、ナノモーラー(nM)濃度の非標識VEGF競争剤に対して、遊離に対する結合ポリペプチドの割合として示した。 天然VEGF二量体(“●”)、C60D変異体VEGFポリペプチドから形成されたスタガー二量体(“○”)C51D変異体VEGFポリペプチドから形成されたスタガー二量体(“△”)、およびモノマーVEGF変異ポリペプチドC51D、C60D(“□”)の、内皮細胞における有糸分裂誘発を刺激する能力を示すグラフである。データは、使用したポリペプチドのピコモーラー(pM)濃度に対する内皮細胞の総数で示す。 抗VEGFモノクローナル抗体A461(“■”)およびモノマーVEGF変異ポリペプチドC51D、C60D(“●”)の、内皮細胞のVEGF誘発性増殖を阻害する能力を示すグラフである。データは、使用したVEGFに対する抗体またはモノマーインヒビターの割合に対して、内皮細胞の総数として示す。

Claims (4)

  1. 変異体血管内皮増殖因子ポリペプチドを含むVEGFアンタゴニスト分子であって、天然VEGFアミノ酸配列の第51位及び/又は第60位の少なくとも1つのシステイン残基のアミノ酸置換(ただし、セリン残基への置換は除く)を含み、該アミノ酸置換が別の血管内皮増殖因子ポリペプチドモノマーと適切に二量体化する該変異体ポリペプチドの能力を阻害し、該アンタゴニスト分子が血管内皮増殖因子応答を有意に誘導することなく血管内皮増殖因子レセプターと結合することができるアンタゴニスト分子を含んでなる、内皮細胞増殖阻害剤。
  2. 変異体血管内皮増殖因子ポリペプチドを含むVEGFアンタゴニスト分子であって、天然VEGFアミノ酸配列の第51位及び/又は第60位の少なくとも1つのシステイン残基のアミノ酸修飾(ただし、セリン残基への置換は除く)を含み、該アミノ酸修飾が別の血管内皮増殖因子ポリペプチドモノマーと適切に二量体化する該変異体ポリペプチドの能力を阻害し、該アンタゴニスト分子が血管内皮増殖因子応答を有意に誘導することなく血管内皮増殖因子レセプターと結合することができるアンタゴニスト分子を含んでなる、内皮細胞増殖阻害剤。
  3. 変異体血管内皮増殖因子ポリペプチドを含むVEGFアンタゴニスト分子であって、天然VEGFアミノ酸配列の第51位及び/又は第60位の少なくとも1つのシステイン残基のアミノ酸置換(ただし、セリン残基への置換は除く)を含み、該アミノ酸置換が別の血管内皮増殖因子ポリペプチドモノマーと適切に二量体化する該変異体ポリペプチドの能力を阻害し、該アンタゴニスト分子が血管内皮増殖因子応答を有意に誘導することなく血管内皮増殖因子レセプターと結合することができるアンタゴニスト分子を含んでなる、血管形成阻害剤。
  4. 変異体血管内皮増殖因子ポリペプチドを含むVEGFアンタゴニスト分子であって、天然VEGFアミノ酸配列の第51位及び/又は第60位の少なくとも1つのシステイン残基のアミノ酸修飾(ただし、セリン残基への置換は除く)を含み、該アミノ酸修飾が別の血管内皮増殖因子ポリペプチドモノマーと適切に二量体化する該変異体ポリペプチドの能力を阻害し、該アンタゴニスト分子が血管内皮増殖因子応答を有意に誘導することなく血管内皮増殖因子レセプターと結合することができるアンタゴニスト分子を含んでなる、血管形成阻害剤。
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