JP2004339074A - 新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、幾つか知られている。例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを原料とし、これをパラジウム等の触媒の存在下に水素還元して、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを得ることが知られている(特許文献1及び2参照)。また、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−t−ブチルエステルも知られている(特許文献3参照)。しかし、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のエーテル化合物とのジエステル類とその製造方法は、従来、知られていない。
【0003】
他方、近年においては、感光性レジスト組成物における感光剤や酸分解溶解抑制剤、ポリエステル樹脂等の樹脂改質剤等に要求される性能は益々高度化、多様化してきている。ここに、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、そのような目的に適う化合物である。
【0004】
【特許文献1】特開昭48−52752号公報
【特許文献2】特開平8−27067号公報
【特許文献3】特開平11−29529号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、感光性レジスト組成物における感光剤や酸分解溶解抑制剤、ポリエステル樹脂等の樹脂改質剤等の用途に有用であることが期待できる新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類とその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一般式(I)
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、Xは一般式(II)
【0009】
【化7】
【0010】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表されるテトラヒドロピラニル基又は一般式(III)
【0011】
【化8】
【0012】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるアルコキシアルキル基を示す。)
で表される2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類が提供される。
【0013】
このような2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、本発明に従って、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に酸触媒の存在下に一般式(IV)
【0014】
【化9】
【0015】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表される3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又は一般式(V)
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるビニルアルキルエーテル類を反応させることによって得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明による新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、一般式(I)
【0019】
【化11】
【0020】
(式中、Xは一般式(II)
【0021】
【化12】
【0022】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表されるテトラヒドロピラニル基又は一般式(III)
【0023】
【化13】
【0024】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるアルコキシアルキル基を示す。)
で表される。
【0025】
上記一般式(II)で表されるテトラヒドロピラニル基において、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基である。従って、アルキル基、アルコキシル基又はフェノキシ基を置換基として有する2−置換テトラヒドロピラニル基の具体例として、例えば、2−メチルテトラヒドロピラニル基、2−エチルテトラヒドロピラニル基、2−メトキシテトラヒドロピラニル基、2−エトキシテトラヒドロピラニル基、2−ブトキシテトラヒドロピラニル基、2−フェノキシテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
【0026】
他方、上記一般式(III) で表されるアルコキシアルキル基において、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基であり、R3 は水素原子又はメチル基である。具体的には、R2 として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。炭素原子数3以上のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0027】
従って、上記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、イソプロポキシエチル基、t−ブトキシエチル基、シクロペンチロキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシ−2−メチルエチル基、エトキシ−2−メチルエチル基、ブトキシ−2−メチルエチル基、シクロヘキシロキシ−2−メチルエチル基等を挙げることができる。
【0028】
従って、本発明による2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類としては、具体的には、例えば、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−メチルテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−エチルテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−メトキシテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−ブトキシテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−フェノキシテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメトキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエトキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジイソプロポキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−t−ブトキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシロキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメトキシ−2−メチルエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジプロポキシ−2−メチルエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシロキシ−2−メチルエチルエステル
等を挙げることができる。
【0029】
本発明による2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、本発明に従って、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に酸触媒の存在下に一般式(IV)
【0030】
【化14】
【0031】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表される3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又は一般式(V)
【0032】
【化15】
【0033】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるビニルアルキルエーテル類を反応させることによって得ることができる。
【0034】
上記一般式(IV)で表される3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類は、前述したテトラヒドロピラニル基に対応するから、その具体例として、例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−エトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−ブトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−フェノキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等を挙げることができる。
【0035】
また、上記一般式(V)で表されるビニルアルキルエーテル類は、前述したアルコキシアルキル基に対応するから、その具体例として、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニルシクロペンチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、2−メチルビニルメチルエーテル、2−メチルビニルエチルエーテル、2−メチルビニルプロピルエーテル、2−メチルビニルブチルエーテル、2−メチルビニルシクロペンチルエーテル、2−メチルビニルシクロヘキシルエーテル等を挙げることができる。
【0036】
上記3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又はビニルアルキルエーテル類は、原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のカルボキシル基当量に対して、通常、1〜10モル倍、好ましくは 2〜8モル倍の範囲で用いられる。
【0037】
また、酸触媒としては、塩化水素ガス、無水硫酸等の無水無機酸のほか、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が用いられるが、好ましくは、有機酸が用いられ、特に、p−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。このような酸触媒は、原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対して、通常、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0038】
本発明によれば、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸を3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又はビニルアルキルエーテル類にてエステル化するに際しては、反応溶媒を用いるのが好ましい。この反応溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒 酢酸エチル等のエステル溶媒が好ましく、なかでも、テトラヒドロフランが好ましく用いられる。このような溶媒は、通常、原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対して、1〜10重量倍、好ましくは、2〜5重量倍の範囲で用いられる。
【0039】
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のエステル化反応は、通常、大気圧下に、温度0〜50℃の範囲、好ましくは、20〜40℃の範囲で進行し、このような条件下において、反応は、通常、1〜100時間程度で完結する。
【0040】
反応終了後、例えば、得られた反応混合物にアルカリ水溶液を加えて、用いた酸触媒を中和し、水層を分液等により分離した後、得られた目的物を含む油層を、必要に応じて、水洗し、その後、減圧蒸留等によって、反応溶媒を除去すれば、目的とする2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類を固形物として得ることができる。このようにして得られた2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、必要に応じて、再結晶等の適宜手段によって、精製することができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0042】
実施例1
(2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジテトラヒドロピラニルエステルの合成)
温度計、滴下漏斗、逆流コンデンサー及び攪拌装置を備えた500mL容量の四つ口フラスコに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸9.0g(0.04モル)、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩0.45g及びテトラヒドロフラン27gを仕込み、容器内を窒素ガス置換した後、室温で攪拌下に3,4−ジヒドロ−2H−ピラン26.9g(0.32モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を30℃に保ち、更に、24時間、攪拌下に反応を行った。
【0043】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液5gを加え、用いた酸触媒を中和した後、洗浄し、次いで、水層を分液除去した。このようにして得られた目的物を含む油層を適量の水で3回水洗した後、この油層を減圧濃縮した。残留物にn−ヘプタン15gを加えて、冷却し、析出した結晶を濾別して、目的物8.0gを白色固体として得た。原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対する収率は50.8%であり、高速液体クロマトグラフィー分析による純度は100%であった。
【0044】
融点(示差熱分析法):162℃
プロトンNMR分析(溶媒CDCl3、400MHz)
【0045】
【化16】
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2
(2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメトキシエチルエステルの合成)
温度計、滴下漏斗、還流コンデンサー及び攪拌装置を備えた1L容量の四つ口フラスコに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸45.2g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩2.3g及びテトラヒドロフラン135.6gを仕込み、容器内を窒素ガス置換した後、室温で攪拌下にエチルビニルエーテル115.2g(1.6モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、温度を30℃に保ち、更に、24時間、攪拌下に反応を行った。
【0048】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液25gを加え、用いた酸触媒を中和した後、洗浄し、次いで、水層を分液除去した。このようにして得られた目的物を含む油層を適量の水で3回水洗した後、この油層から溶媒を減圧下に留去して、目的物68.9gを黄色液体として得た。原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対する収率は93.1%であり、高速液体クロマトグラフィー分析による純度は99.4%であった。
【0049】
プロトンNMR分析(溶媒CDCl3、400MHz)
【0050】
【化17】
【0051】
【表2】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、幾つか知られている。例えば、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを原料とし、これをパラジウム等の触媒の存在下に水素還元して、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメチルエステルを得ることが知られている(特許文献1及び2参照)。また、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−t−ブチルエステルも知られている(特許文献3参照)。しかし、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のエーテル化合物とのジエステル類とその製造方法は、従来、知られていない。
【0003】
他方、近年においては、感光性レジスト組成物における感光剤や酸分解溶解抑制剤、ポリエステル樹脂等の樹脂改質剤等に要求される性能は益々高度化、多様化してきている。ここに、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、そのような目的に適う化合物である。
【0004】
【特許文献1】特開昭48−52752号公報
【特許文献2】特開平8−27067号公報
【特許文献3】特開平11−29529号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、感光性レジスト組成物における感光剤や酸分解溶解抑制剤、ポリエステル樹脂等の樹脂改質剤等の用途に有用であることが期待できる新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類とその製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、一般式(I)
【0007】
【化6】
【0008】
(式中、Xは一般式(II)
【0009】
【化7】
【0010】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表されるテトラヒドロピラニル基又は一般式(III)
【0011】
【化8】
【0012】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるアルコキシアルキル基を示す。)
で表される2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類が提供される。
【0013】
このような2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、本発明に従って、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に酸触媒の存在下に一般式(IV)
【0014】
【化9】
【0015】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表される3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又は一般式(V)
【0016】
【化10】
【0017】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるビニルアルキルエーテル類を反応させることによって得ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明による新規な2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、一般式(I)
【0019】
【化11】
【0020】
(式中、Xは一般式(II)
【0021】
【化12】
【0022】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表されるテトラヒドロピラニル基又は一般式(III)
【0023】
【化13】
【0024】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるアルコキシアルキル基を示す。)
で表される。
【0025】
上記一般式(II)で表されるテトラヒドロピラニル基において、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基である。従って、アルキル基、アルコキシル基又はフェノキシ基を置換基として有する2−置換テトラヒドロピラニル基の具体例として、例えば、2−メチルテトラヒドロピラニル基、2−エチルテトラヒドロピラニル基、2−メトキシテトラヒドロピラニル基、2−エトキシテトラヒドロピラニル基、2−ブトキシテトラヒドロピラニル基、2−フェノキシテトラヒドロピラニル基等を挙げることができる。
【0026】
他方、上記一般式(III) で表されるアルコキシアルキル基において、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基であり、R3 は水素原子又はメチル基である。具体的には、R2 として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等を挙げることができる。炭素原子数3以上のアルキル基は、直鎖状でも分岐鎖状でもよい。
【0027】
従って、上記アルコキシアルキル基としては、例えば、メトキシエチル基、エトキシエチル基、イソプロポキシエチル基、t−ブトキシエチル基、シクロペンチロキシエチル基、シクロヘキシロキシエチル基、メトキシ−2−メチルエチル基、エトキシ−2−メチルエチル基、ブトキシ−2−メチルエチル基、シクロヘキシロキシ−2−メチルエチル基等を挙げることができる。
【0028】
従って、本発明による2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類としては、具体的には、例えば、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−メチルテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−エチルテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−メトキシテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−ブトキシテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−2−フェノキシテトラヒドロピラニルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメトキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエトキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジイソプロポキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジ−t−ブトキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシロキシエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメトキシ−2−メチルエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジプロポキシ−2−メチルエチルエステル、
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジシクロヘキシロキシ−2−メチルエチルエステル
等を挙げることができる。
【0029】
本発明による2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、本発明に従って、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に酸触媒の存在下に一般式(IV)
【0030】
【化14】
【0031】
(式中、R1 は水素原子、炭素原子数1〜4のアルキル基、炭素原子数1〜4のアルコキシル基又はフェノキシ基を示す。)
で表される3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又は一般式(V)
【0032】
【化15】
【0033】
(式中、R2 は炭素原子数1〜4のアルキル基又は炭素原子数3〜6のシクロアルキル基を示し、R3 は水素原子又はメチル基を示す。)
で表されるビニルアルキルエーテル類を反応させることによって得ることができる。
【0034】
上記一般式(IV)で表される3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類は、前述したテトラヒドロピラニル基に対応するから、その具体例として、例えば、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メチル−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−メトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−エトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−ブトキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、2−フェノキシ−3,4−ジヒドロ−2H−ピラン等を挙げることができる。
【0035】
また、上記一般式(V)で表されるビニルアルキルエーテル類は、前述したアルコキシアルキル基に対応するから、その具体例として、例えば、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソプロピルエーテル、ビニル−t−ブチルエーテル、ビニルシクロペンチルエーテル、ビニルシクロヘキシルエーテル、2−メチルビニルメチルエーテル、2−メチルビニルエチルエーテル、2−メチルビニルプロピルエーテル、2−メチルビニルブチルエーテル、2−メチルビニルシクロペンチルエーテル、2−メチルビニルシクロヘキシルエーテル等を挙げることができる。
【0036】
上記3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又はビニルアルキルエーテル類は、原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のカルボキシル基当量に対して、通常、1〜10モル倍、好ましくは 2〜8モル倍の範囲で用いられる。
【0037】
また、酸触媒としては、塩化水素ガス、無水硫酸等の無水無機酸のほか、酢酸、プロピオン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸が用いられるが、好ましくは、有機酸が用いられ、特に、p−トルエンスルホン酸が好ましく用いられる。このような酸触媒は、原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対して、通常、0.1〜10重量%、好ましくは、0.5〜5重量%の範囲で用いられる。
【0038】
本発明によれば、2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸を3,4−ジヒドロ−2H−ピラン類又はビニルアルキルエーテル類にてエステル化するに際しては、反応溶媒を用いるのが好ましい。この反応溶媒としては、例えば、メチルイソブチルケトン等のケトン溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル溶媒 酢酸エチル等のエステル溶媒が好ましく、なかでも、テトラヒドロフランが好ましく用いられる。このような溶媒は、通常、原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対して、1〜10重量倍、好ましくは、2〜5重量倍の範囲で用いられる。
【0039】
2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸のエステル化反応は、通常、大気圧下に、温度0〜50℃の範囲、好ましくは、20〜40℃の範囲で進行し、このような条件下において、反応は、通常、1〜100時間程度で完結する。
【0040】
反応終了後、例えば、得られた反応混合物にアルカリ水溶液を加えて、用いた酸触媒を中和し、水層を分液等により分離した後、得られた目的物を含む油層を、必要に応じて、水洗し、その後、減圧蒸留等によって、反応溶媒を除去すれば、目的とする2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類を固形物として得ることができる。このようにして得られた2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジエステル類は、必要に応じて、再結晶等の適宜手段によって、精製することができる。
【0041】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0042】
実施例1
(2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジテトラヒドロピラニルエステルの合成)
温度計、滴下漏斗、逆流コンデンサー及び攪拌装置を備えた500mL容量の四つ口フラスコに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸9.0g(0.04モル)、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩0.45g及びテトラヒドロフラン27gを仕込み、容器内を窒素ガス置換した後、室温で攪拌下に3,4−ジヒドロ−2H−ピラン26.9g(0.32モル)を1時間かけて滴下した。滴下終了後、温度を30℃に保ち、更に、24時間、攪拌下に反応を行った。
【0043】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液5gを加え、用いた酸触媒を中和した後、洗浄し、次いで、水層を分液除去した。このようにして得られた目的物を含む油層を適量の水で3回水洗した後、この油層を減圧濃縮した。残留物にn−ヘプタン15gを加えて、冷却し、析出した結晶を濾別して、目的物8.0gを白色固体として得た。原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対する収率は50.8%であり、高速液体クロマトグラフィー分析による純度は100%であった。
【0044】
融点(示差熱分析法):162℃
プロトンNMR分析(溶媒CDCl3、400MHz)
【0045】
【化16】
【0046】
【表1】
【0047】
実施例2
(2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸ジメトキシエチルエステルの合成)
温度計、滴下漏斗、還流コンデンサー及び攪拌装置を備えた1L容量の四つ口フラスコに2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸45.2g(0.2モル)、p−トルエンスルホン酸ピリジン塩2.3g及びテトラヒドロフラン135.6gを仕込み、容器内を窒素ガス置換した後、室温で攪拌下にエチルビニルエーテル115.2g(1.6モル)を30分かけて滴下した。滴下終了後、温度を30℃に保ち、更に、24時間、攪拌下に反応を行った。
【0048】
反応終了後、得られた反応混合物に16%水酸化ナトリウム水溶液25gを加え、用いた酸触媒を中和した後、洗浄し、次いで、水層を分液除去した。このようにして得られた目的物を含む油層を適量の水で3回水洗した後、この油層から溶媒を減圧下に留去して、目的物68.9gを黄色液体として得た。原料2,6−デカヒドロナフタレンジカルボン酸に対する収率は93.1%であり、高速液体クロマトグラフィー分析による純度は99.4%であった。
【0049】
プロトンNMR分析(溶媒CDCl3、400MHz)
【0050】
【化17】
【0051】
【表2】
Claims (2)
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