JP2004339040A - 誘電体材料およびその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、新規な誘電体材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】誘電体材料は、チタン酸バリウムからなる。チタン酸バリウムの平均粒子径は、59nm以上でかつ300nmより小さい。チタン酸バリウムの比誘電率は、3400より大きい。格子内水酸基の存在量は、赤外線吸収測定法または熱重量分析法の検出限界内にある。誘電体材料の製造方法は、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程と、第1の工程により得られた生成物を、減圧下で加熱する第2の工程よりなる。また、誘電体材料の製造方法は、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程と、第1の工程により得られた生成物を、空気中で加熱する第2の工程よりなる。
【選択図】 図10

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘電体材料およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子デバイスの急速な小型化、高性能化、高信頼化に伴い、これを構成する素子や、それらの出発原料の微細化が求められてきている。例えば、積層セラミックコンデンサ(MLCC)に現在使用されている誘電体の厚さは700〜800nm程度であり、その原料となるBaTiO微粒子の粒子径は300〜400nmであると報告されている。微細化技術はデバイス・機器の小型軽量化ばかりでなく、新材料、高機能材料創成さらには新しく生産方式まで一変させる可能性を有し、今後の大きなブレイクスルーテクノロジーとなる。
【0003】
近年セラミックスも様々な形態となってデバイス化されている。近い将来、微粒子をその状態で用いたデバイスも開発されるだろうと期待できる。高周波で利用が期待されている微粒子とポリマーのコンポジット誘電体がその一例である。
【0004】
従来の合成法の中で、不純物や欠陥のないチタン酸バリウム粒子を合成できる蓚酸バリウムチタニルの熱分解法を改良し更に発展させたチタン酸バリウム粒子を合成する方法が報告されている(例えば、特許文献1参照。)。
なお、発明者らにより本発明に関連した報告がされている(非特許文献1,2)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−26423号公報
【非特許文献1】
日本セラミックス協会2003年年会講演予稿集、
日本セラミックス協会2003年年会、3月22日−3月24日、
八王子、東京
【非特許文献2】
Annual Meeting Abstract, 105th Annual Meeting & Exposition, April 27 − April 30, 2003, Nashville, TN
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のチタン酸バリウム粒子を合成する方法においては、平均粒子径が17〜22nmのチタン酸バリウム粒子を合成したに過ぎなかった。平均粒子径の範囲が狭いものであった。
【0007】
そのため、不純物や欠陥のないチタン酸バリウム粒子を合成できる方法を改良し更に発展させ、広い範囲にわたる平均粒子径を持つチタン酸バリウム粒子を合成することが望まれる。
【0008】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、新規な誘電体材料およびその製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の誘電体材料は、チタン酸バリウムからなる誘電体材料において、チタン酸バリウムの平均粒子径が、59nm以上でかつ300nmより小さく、チタン酸バリウムの比誘電率が、3400より大きい。
【0010】
ここで、上述の誘電体材料は格子内水酸基の存在量が、赤外線吸収測定法または熱重量分析法の検出限界内にあることが好ましい。また、Ba/Ti原子比が、有効数字3桁で1.00であることが好ましい。また、相対密度が、97%以上の範囲にあることが好ましい。
【0011】
本発明の誘電体材料の製造方法は、次の工程よりなる。(イ)蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程。(ロ)第1の工程により得られた生成物を、減圧下で加熱する第2の工程。
【0012】
ここで、上述の誘電体材料の製造方法において、第1の工程の加熱温度は300〜550℃の範囲にあり、第2の工程の加熱温度は550〜1200℃の範囲にあることが好ましい。
【0013】
本発明の誘電体材料の製造方法は、次の工程よりなる。(イ)蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程。(ロ)第1の工程により得られた生成物を、空気中で加熱する第2の工程。
【0014】
ここで、上述の誘電体材料の製造方法において、第1の工程の加熱温度は300〜550℃の範囲にあり、第2の工程の加熱温度は700〜1000℃の範囲にあることが好ましい。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0016】
まず、誘電体材料にかかる発明の実施の形態について説明する。
誘電体材料は、チタン酸バリウムからなっている。
【0017】
チタン酸バリウムの平均粒子径は、59nm以上でかつ300nmより小さいことが好ましい。平均粒子径が59nm以上であると、チタン酸バリウム粒子における自発分極の大きさが、通常単結晶で報告されている自発分極に近い大きさを持つことができるという利点がある。平均粒子径が300nmより小さいと、チタン酸バリウム粒子における自発分極が、室温における熱振動により等価な6方位間を高速でフリッピング(熱揺らぎ)することができるという利点がある。
【0018】
チタン酸バリウムの比誘電率は、3400より大きいことが好ましい。比誘電率が3400より大きいと、通常の大きなチタン酸バリウムではできなかった高誘電率材料として広い範囲で利用できるという利点がある。
【0019】
チタン酸バリウムの格子内に含まれる不純物の濃度は、1質量%以下であることが好ましい。不純物の濃度が1質量%以下であると、チタン酸バリウムの誘電率の起源であるイオン分極(格子振動)において、その振動を妨げる抵抗成分が少なくなるという利点がある。
【0020】
チタン酸バリウムの格子内水酸基の存在量は、赤外線吸収測定法または熱重量分析法の検出限界内にあることが好ましい。水酸基の存在量が、赤外線吸収測定法または熱重量分析法の検出限界内であると、チタン酸バリウム結晶の格子内には不純物が存在しないことになり、格子振動を妨げる障害がなくなるという利点がある。
【0021】
赤外線吸収測定法の検出限界とは、具体的には0.1%程度であると考えられる。
熱重量分析法の検出限界とは、具体的には0.001%程度であると考えられる。
【0022】
チタン酸バリウムのBa/Ti原子比は、有効数字3桁で1.00であることが好ましい。具体的には、波長分散型X線蛍光分析の測定精度から、チタン酸バリウムの格子内のBa/Ti原子比は0.995〜1.004の範囲にあることが好ましい。チタン酸バリウムのBa/Ti原子比が、この範囲にあると、チタン酸バリウム結晶格子内において、バリウム欠損やチタン欠損という格子振動の伝搬を阻害する箇所が十分に少なく、正常な格子振動とほぼ同様な振動状態を得られるという利点がある。
【0023】
チタン酸バリウムの相対密度は、97%以上の範囲にあることが好ましい。相対密度が97%以上であると、チタン酸バリウム結晶内において格子振動の伝搬を阻害する空孔やボイドと呼ばれる空隙部分が少なく、正常な格子振動とほぼ同様な振動状態を得られるという利点がある。
【0024】
誘電体材料は、ペロブスカイト型強誘電体結晶であることが好ましい。上では、例示としてチタン酸バリウム結晶について説明した。ペロブスカイト型強誘電体結晶は、チタン酸バリウムBaTiOに限定されない。このほか、チタン酸バリウムストロンチウムBaSr1−xTiO、チタン酸ジルコニウム酸バリウムBaZrTi1−x、ニオブ酸カリウムKNbO、チタン酸鉛PbTiO、チタン酸ジルコニウム酸鉛PbZrTi1−xなどが採用できる。
【0025】
以上のことから、本実施の形態によれば、新規な誘電体材料を提供することができる。
【0026】
つぎに、誘電体材料の製造方法にかかる第1の発明の実施の形態について説明する。
【0027】
誘電体材料の製造方法は、次の工程よりなる。
【0028】
第1の工程は、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する工程である。
【0029】
第1の工程では、原料として蓚酸バリウムチタニル4水和物を用いる。原料は、蓚酸バリウムチタニル4水和物に限定されない。このほか、蓚酸ストロンチウムチタニル4水和物、蓚酸バリウムストロンチウムチタニル4水和物、蓚酸バリウムジルコニウム4水和物、蓚酸ストロンチウムジルコニウム4水和物、蓚酸バリウムストロンチウムジルコニウム4水和物などを採用することができる。
【0030】
第1の工程では、雰囲気が空気であることが好ましい。雰囲気が空気であると、純酸素の場合と比べて、雰囲気作りが容易である、製造コストを安く抑えることができる、可燃性などの事故を引き起こす要因を抑えられるという利点がある。
【0031】
第1の工程の雰囲気は空気に限定されない。このほか、酸素、合成空気などを採用することができる。
【0032】
第1の工程の加熱温度は300〜550℃の範囲にあることが好ましい。加熱温度が300℃以上であると、蓚酸バリウムチタニル4水和物の熱分解により、余分な水分や蓚酸を除去できるという利点がある。加熱温度が550℃以下であると、中間生成物が更に分解して、炭酸バリウムと酸化チタンという結晶材料に変換することを抑制できるという利点がある。
【0033】
第1の工程の加熱時間は0.5〜5時間の範囲にあることが好ましい。加熱時間が0.5時間以上であると、蓚酸バリウムチタニル4水和物の熱分解を行うことができるという利点がある。加熱時間が5時間以下であると、中間生成物が更に分解して、炭酸バリウムと酸化チタンという結晶材料に変換することを抑制できるという利点がある。
【0034】
第2の工程は、上記第1の工程により得られた生成物を、減圧下で加熱する工程である。
【0035】
第2の工程では、減圧下で加熱する。雰囲気は空気であり、圧力は10−1 〜10−3 Torrの範囲にあることが好ましい。圧力が10−3 Torr以上であると、高真空でないため、装置を簡略化できるという利点がある。圧力が10−1 Torr以下であると、通常の大気中よりも300℃以上低い温度でチタン酸バリウム粒子を合成できるという利点がある。
【0036】
第2の工程の加熱温度は550〜1200℃の範囲にあることが好ましい。加熱温度が550℃以上であると、チタン酸バリウムの生成が始まり、微細なナノ粒子を作製できるという利点がある。加熱温度が1200℃以下であると、比誘電率が3400以下で大きな粒子径を持つチタン酸バリウム粒子の生成を抑制できるという利点がある。
【0037】
第2の工程の加熱時間は0.5〜5時間の範囲にあることが好ましい。加熱時間が0.5時間以上であると、原料がすべてチタン酸バリウム粒子に変換できるという利点がある。加熱時間が5時間以下であると、比誘電率が3400以下で大きな粒子径を持つチタン酸バリウム粒子の生成を抑制できるという利点がある。
【0038】
以上のことから、本実施の形態によれば、誘電体材料の製造方法が、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程と第1の工程により得られた生成物を減圧下で加熱する第2の工程からなるので、新規な誘電体材料の製造方法を提供することができる。
【0039】
つぎに、誘電体材料の製造方法にかかる第2の発明の実施の形態について説明する。
【0040】
誘電体材料の製造方法は、次の工程よりなる。
【0041】
第1の工程は、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する工程である。
【0042】
第1の工程では、原料として蓚酸バリウムチタニル4水和物を用いる。原料は、蓚酸バリウムチタニル4水和物に限定されない。このほか、蓚酸ストロンチウムチタニル4水和物、蓚酸バリウムストロンチウムチタニル4水和物、蓚酸バリウムジルコニウム4水和物、蓚酸ストロンチウムジルコニウム4水和物、蓚酸バリウムストロンチウムジルコニウム4水和物などを採用することができる。
【0043】
第1の工程では、雰囲気が空気であることが好ましい。雰囲気が空気であると、純酸素の場合と比べて、雰囲気作りが容易である、製造コストを安く抑えることができる、可燃性などの事故を引き起こす要因を抑えられるという利点がある。
【0044】
第1の工程の雰囲気は空気に限定されない。このほか、酸素、合成空気などを採用することができる。
【0045】
第1の工程の加熱温度は300〜550℃の範囲にあることが好ましい。加熱温度が300℃以上であると、蓚酸バリウムチタニル4水和物の熱分解により、余分な水分や蓚酸を除去できるという利点がある。加熱温度が550℃以下であると、中間生成物が更に分解して、炭酸バリウムと酸化チタンという結晶材料に変換することを抑制できるという利点がある。
【0046】
第1の工程の加熱時間は0.5〜5時間の範囲にあることが好ましい。加熱時間が0.5時間以上であると、蓚酸バリウムチタニル4水和物の熱分解を行うことができるという利点がある。加熱時間が5時間以下であると、中間生成物が更に分解して、炭酸バリウムと酸化チタンという結晶材料に変換することを抑制できるという利点がある。
【0047】
第2の工程は、上記第1の工程により得られた生成物を、空気中で加熱する工程である。
【0048】
第2の工程では、雰囲気が空気であることが好ましい。雰囲気が空気であると、雰囲気作りが容易である、製造コストを安く抑えることができる、可燃性などの事故を引き起こす要因を抑えられるという利点がある。
【0049】
第2の工程の雰囲気は空気に限定されない。このほか、酸素、合成空気などを採用することができる。
【0050】
第2の工程の加熱温度は700〜1000℃の範囲にあることが好ましい。加熱温度が700℃以上であると、チタン酸バリウムの生成が始まり、チタン酸バリウム粒子を作製できるという利点がある。加熱温度が1000℃以下であると、比誘電率が3400以下で大きな粒子径を持つチタン酸バリウム粒子の生成を抑制できるという利点がある。
【0051】
第2の工程の加熱時間は0.5〜5時間の範囲にあることが好ましい。加熱時間が0.5時間以上であると、原料がすべてチタン酸バリウム粒子に変換できるという利点がある。加熱時間が5時間以下であると、比誘電率が3400以下で大きな粒子径を持つチタン酸バリウム粒子の生成を抑制できるという利点がある。
【0052】
以上のことから、本実施の形態によれば、誘電体材料の製造方法が、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程と第1の工程により得られた生成物を空気中で加熱する第2の工程からなるので、新規な誘電体材料の製造方法を提供することができる。
なお、本発明は上述の実施の形態に限らず本発明の要旨を逸脱することなくその他種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0053】
【実施例】
つぎに、本発明にかかる実施例について具体的に説明する。ただし、本発明はこれら実施例に限定されるものではないことはもちろんである。
【0054】
試料の作製
【0055】
本実施例で作製したチタン酸バリウム微粒子は以下の方法で合成された。まず、原料として、蓚酸バリウムチタニル4水和物(BaTiO(C・4HOを使用した。この原料は、Ba/Ti原子比が1.000であり、この中の不純物として考えられるSr、Si、Al、Na、Feがそれぞれ0.01%未満という非常に高純度の原料である。なお、原料粒子は、1次粒子が凝集した粒子で、その凝集粒子の大きさは約200μmである。この原料を用いて、蓚酸バリウムチタニルの2段階熱分解法を用いて、チタン酸バリウム粒子の合成を行った。
【0056】
蓚酸バリウムチタニル4水和物50gを図1の装置を用いて、空気中、昇温速度3℃/minで530℃まで反応管中にある原料を石英製の棒状のロッドを用いて手で撹拌しながら加熱した。このときの温度は図1に示される熱電対1を用いて測定した。そして530℃に達した後、その温度で3時間保持した。ここまでが第1段階加熱の条件である。
【0057】
その後、第2段階では、さらに真空排気(2×10−2Torr)しながら(図2参照)、4℃/minで660℃まで昇温後、1時間保持した。その後、電気炉の電源を切り、排気しながら室温まで徐令した。この操作により、25g近いチタン酸バリウム粒子を合成した。このときの温度もまた、図2中にある熱電対1を用いて測定した。なお、第1段階と第2段階での温度の測定位置は同じである。
【0058】
また、様々な粒子径を持つチタン酸バリウム粒子を作製するために、この第2段階での温度を760℃、840℃、860℃に変えて、微粒子を作製した。なお、860℃に関しては、温度条件、時間条件は全く同じであるが、真空排気をせずに空気中で第2段階を行った微粒子も作製した。
【0059】
以降、各微粒子の名称を簡単のため、A−1(真空中660℃処理)、A−2(真空中760℃処理)、A−3(真空中840℃処理)、A−4(真空中860℃処理)、A−5(空気中860℃処理)と呼ぶことにする。
【0060】
これ以外にも、蓚酸バリウムチタニルを空気中で高温で加熱することで、粒子径の大きなチタン酸バリウム微粒子を作製した。蓚酸バリウムチタニル50gを図1の装置を用いて、空気中、昇温速度3℃/minで850℃まで撹拌をしながら加熱した。このときの温度は図1に示される熱電対1を用いて測定した。そして850℃に達した後、その温度で3時間保持した。なお、同様な操作を、温度を1000℃、1100℃、1200℃に変えた場合についても行った。以降、各微粒子の名称を簡単のため、B−1(空気中850℃処理)、B−2(空気中1000℃処理)、B−3(空気中1100℃処理)、B−4(空気中1200℃処理)と呼ぶことにする。
【0061】
粒子径
【0062】
測定方法
本実施例で作製したチタン酸バリウム粒子の粒子径については、透過型電子顕微鏡観察を行うことにより、決定した。まず、各チタン酸バリウム微粒子を1−プロパノール10ml中に数十mgほど加え、超音波ホモジナイザーを用いて十分に撹拌した。この低濃度の懸濁液を試料ホルダーである銅メッシュに滴下し、乾燥したものを試料とした。この試料を透過型電子顕微鏡にセットし、その明視野像を試料ごとに10枚近く撮影した。代表的なA−1、A−2、A−3、A−4、A−5の電子顕微鏡写真を図3に示す。それぞれの写真から、各試料ごとに100個以上の粒子径を測定し、それを平均化したものを平均粒子径と定義した。
【0063】
測定結果
これらの測定結果をまとめたものが表1である。
【0064】
【表1】
Figure 2004339040
【0065】
2段階熱分解法を用いて作製したチタン酸バリウム微粒子において、その形状はほぼ球状で、最も粒子径の小さな試料A−1の平均粒子径は17nmであり、一方最も粒子径の大きな試料A−5の平均粒子径は102nmであった。このことから、第2段階での熱処理温度の増加とともに平均粒子径は単調に増加することがわかる。
【0066】
このことを確認するために、17nm〜102nmまでの大きさのチタン酸バリウム粒子の (111)面のX線回折ピークを測定した結果を図4に示す。表1の粒子径の増加とともに、図4のピークの半価幅が減少、すなわち結晶子径が単調に増大することが明らかとなった。
【0067】
また、B−1、B−2、B−3、B−4についても同様な測定を行った結果、B−1の平均粒子径は160nm、B−2の平均粒子径は300nm、B−3の平均粒子径は400nm、B−4の平均粒子径は500nmであることが明らかとなった。
【0068】
不純物
【0069】
測定方法
本実施例で作製したチタン酸バリウム粒子中に含まれる不純物については、赤外線吸収測定法、及び熱重量分析法を行うことにより、決定した。
【0070】
赤外線吸収法では、まず各試料を100℃の乾燥機で一晩乾燥させた後、KBr粉末で1質量%の濃度で試料を加え、瑪瑙乳鉢を用いて十分に混合した後、ハンドプレス成型器を用いて、測定用のペレットを作製した。一方、試料を加えないKBr粉末のみでもペレットを作製し、これを参照試料として、各試料の赤外線吸収スペクトルを測定した。
【0071】
また、熱重量分析法では、各試料を20mg正確に秤量した後、熱天秤の白金パンにセットし、室温から1000℃まで、昇温速度5℃/min、窒素中で測定を行った。
【0072】
測定結果
赤外線吸収スペクトルでは、特に水酸基が格子内に存在するかどうかについて詳細に検討した。比較のため、格子内水酸基を1質量%近く含んでいる水熱法で合成した粒子径約100nmのチタン酸バリウム粒子を用いた。本実施例ではこの試料をH−1と命名する。
【0073】
図5はA−1とH−1の全体的な赤外線吸収スペクトルを示す。両者とも不純物として、水酸基と炭酸基の2種類のみが存在し、それ以外には不純物は存在しない。チタン酸バリウムは大気中にさらすだけで、表面に水酸基や炭酸基が吸着することが知られており、表面吸着種と格子内不純物とを分離する必要がある。
【0074】
図6はA−1とH−1の水酸基に関する赤外線吸収スペクトルを示す。KAPPHANとWEBER(S. KAPPHAN and G. WEBER, Ferroelectrics 37 (1981) 673.)はチタン酸バリウム単結晶に水素ラジカルを打ち込み、格子内に意図的に水酸基を導入したときの赤外線吸収スペクトルを測定した結果、3510cm−1付近に鋭い吸収帯が現れることを報告した。
【0075】
図6では、A−1のスペクトルにおいて3440cm−1付近にピークを持つ非常にブロードな吸収帯のみが観察されるのに対し、H−1のスペクトルでは3440cm−1付近のブロードな吸収帯に加え、3510cm−1付近に鋭い吸収帯が存在する。3440cm−1付近のブロードな吸収帯は表面に吸着した水酸基によるものであることが知られており、表面の吸着サイトにおけるダングリングボンドの数により水酸基と表面の結合エネルギーが変わるため、このようなブロードな吸収帯を示す。従って、H−1には格子内水酸基が存在するのに対し、A−1ではその存在が観察されない。
【0076】
図7は本実施例で作製したチタン酸バリウム微粒子の水酸基に関する赤外線吸収スペクトルを示す。いずれの粒子においても、格子内水酸基は観察されない。従って、本実施例で合成したチタン酸バリウムには水熱法で観察される格子内水酸基は検出できないことが明らかとなった。
【0077】
また、熱重量分析では不純物の存在量とその存在場所を推定することができる。そこで、ほぼ同じ100nmの粒子径を持つH−1とA−5を用いて熱重量分析を行った結果を図8に示す。一般に、表面に吸着した化学種は、表面の吸着サイトにおけるダングリングボンドの数により表面との結合エネルギーが変わるため、広い温度範囲にわたって脱離することが知られている。そのため200℃付近までは物理吸着した化学種が急激に脱離した後、200℃から600℃まで、徐々に脱離が進行し、これにともない連続的な重量減少が起きる。これを考慮して図8を見ると、A−5では200℃から連続的な重量減少が起きており、特にある温度での急激な脱離は観察されない。これに対してH−1では260℃から400℃にかけて1%近い急激な重量減少が起こっており、このことはこの温度範囲で格子内の不純物が急激に脱離したことを示す。この温度前後での赤外線吸収スペクトルを測定すると、3510cm−1付近の吸収帯が消失していることから、この減少が格子内水酸基によるものであることが明らかとなった。また、炭酸基に関しては処理温度の増加とともに、赤外線吸収スペクトルの吸収帯の強度が単調に減少することから、炭酸基に関しては表面吸着種であることが明らかとなった。
【0078】
以上、2種類の測定方法を組み合わせることで、本実施例で作製したチタン酸バリウム微粒子において、その格子内には不純物が検出できないことを明らかにした。一方、水熱法で作製した試料には格子内水酸基が1質量%近く存在することがわかった。
【0079】
欠陥
【0080】
測定方法
本実施例では、不純物による欠陥とチタン酸バリウムが持つ物理的な欠陥とを分けて考えている。上述の不純物の説明で、不純物による欠陥はほぼ無視できることを明らかにした。ここでは、チタン酸バリウム自体が持つ欠陥について検討する。このため、2つの方法を用いて検討した。1つはX線蛍光分析測定であり、もう1つは密度測定である。
【0081】
X線蛍光分析測定では、試料粉末を両面テープに固定し、真空中におき、波長分散型X線蛍光分析により測定した。
【0082】
一方、比重瓶法(ピクノメータ)により密度測定を行った。この方法では測定精度を上げるために大型の比重瓶を(50ml)を使用した。なお試料粉末は、測定前に一晩100℃で乾燥させた。この方法により測定した絶対密度だけでは比較が困難であるため、以下の方法で理論密度を算出した。まず、XRD測定より、結晶系と格子定数を測定した。これにより、チタン酸バリウム単位格子の体積を計算する。また、チタン酸バリウム単位格子中にはチタン原子1個、バリウム原子1個、酸素原子3個が含まれているため、単位格子の重さを計算する。従って、単位格子の重さを単位格子体積で割ることで理論密度を計算できる。それぞれの絶対密度を理論密度で割り、100を掛けることで相対密度を計算した。これにより、空孔などの物理的欠陥を推測した。
【0083】
測定結果
波長分散型X線蛍光分析による測定は、3桁の有効数字を持っており、本実施例で作製したすべてのチタン酸バリウム微粒子(A−1、A−2、A−3、A−4、A−5、B−1、B−2、B−3、B−4)において1.00という値を得ることができた。従って、組成ずれについては考慮しないこととした。
ピクノメータにより、測定した各粒子の絶対密度、および理論密度を用いて計算した相対密度を表2に示す。
【0084】
【表2】
Figure 2004339040
【0085】
これよりA−1からA−3までは粒子径の増大とともに絶対密度、及び相対密度は増えているものの、A−3以上の粒子(A−3、A−4、A−5、B−1、B−2、B−3、B−4)ではほぼ一定値(5.91g/cm、及び98%強)を示した。また、A−1という17nmの粒子径のチタン酸バリウム粒子においても97.3%という高い相対密度を示した。1000℃以上の高温で作製したチタン酸バリウム粒子でもその相対密度は98.5±0.5%である。このことは17nmという微小な粒子でも空孔量は非常に少ないことを示す。一方、水熱法で作製したH−1は、その粒子径が100nmであったが、その相対密度は94.3%とA−1と比べても3%近く低い値を示した。
【0086】
以上の結果から、本実施例で作製したチタン酸バリウム粒子は、3桁の有効数字で組成的なずれを持たず、また59nm以上の粒子径において、1000℃以上の高温で作製したチタン酸バリウムと同等な相対密度を持っている。
【0087】
また、33nm以下の粒子径においても高温での相対密度より1%ほど低い値にとどまっており、他の方法で作成したチタン酸バリウムと比べても空孔は十分に少ないことを明らかにした。
【0088】
比誘電率の測定
【0089】
測定方法
粉体の比誘電率を正確に測定する技術はその困難さのため、これまで確立されなかった技術である。発明者は、この技術を開発し、公開した(S. WADA, T. HOSHINA, H. KAKEMOTO and T. TSURUMI, ”Preparation of nm−ordered Barium Titanate Fine Particles using the 2−step Thermal Decomposition of Barium Titanyl Oxalate and Their Dielectric Properties,” the Proceedings of the 12th IEEE International Symposium on Applications of Ferroelectrics, Nara, p. 263−p.266 (2002).)。
【0090】
本実施例では、この粉体誘電率測定方法において、以下に示す幾つかの改良を行った。まず、本方法においてチタン酸バリウムは有機溶媒と混合し、懸濁液(スラリー)を作製する。公開した方法では有機溶媒として、1−プロパノール(比誘電率:約20)を使用していたが、本実施例では有機溶媒として、プロピレンカーボネイト(比誘電率:約66)を使用した。これらのチタン酸バリウム粒子をプロピレンカーボネイト溶媒中に、ほぼ10vol%になるような容量比で混合し、24時間以上ボールミル混合をすることで、スラリーを作製した。更に、スラリーの測定は恒温槽を用い、20.0℃で常に行い、また測定する周波数として従来の5MHzから20MHzへとより高周波数側にシフトした。
【0091】
また、本方法で使用する有限要素法のモデルとして、公開した方法では立方体を要素として用い、1つのチタン酸バリウム粒子を1つの立方体で置き換えていたのに対し、本実施例では、四面体を要素として用い、1つのチタン酸バリウム粒状粒子を多数の四面体の組み合わせて球に非常に近い多面体構造として置き換えた。これら一連の改良により、測定精度、計算精度ともに二桁近く向上させることができた。
【0092】
この精度を検証するために以下の実験を行った。蓚酸バリウムチタニルを空気中で1,000℃以上で熱分解して得られた平均粒子径が400nmのチタン酸バリウム粒子(B−3)において、X線回折法を用いて測定した結晶構造は正方晶で、そのc/a比はほぼ1.01であり、また、示差熱分析法で測定した正方晶から立方晶への構造相転移温度が130℃付近にあり、ほぼチタン酸バリウム単結晶で得られた値と一致した。また、前記チタン酸バリウム粒子の相対密度はほぼ99%に近いことから、この粒子の比誘電率は単結晶で報告されているa軸方向の比誘電率4,400とc軸方向の比誘電率150との平均値(3,000〜(4,400x2+150)/3)に近いことを予想した。前記チタン酸バリウム粒子のスラリーを作製し、誘電率を測定し、有限要素法を用いて計算した400nmのチタン酸バリウム粒子の比誘電率はほぼ3,300であった。400nmのチタン酸バリウム粒子で推定された比誘電率3,300は、予測した3,000とほぼ等しいことから、スラリーを用いた誘電体粒子の比誘電率の測定方法の妥当性を確認した。
【0093】
粉体の比誘電率を測定する方法について具体的に説明する。
まず、分散媒の選択をする。スラリーを作製する際の分散媒は、ある程度誘電率の高いものを選ばなければならない。また、BaTiOと反応することのない良質な分散媒である必要がある。このことを踏まえ、分散媒はプロピレンカーボネート脱水(ACROS)(誘電率ε=66.6)にした。
【0094】
つぎに、スラリーを作製する。それぞれの微粒子を200℃で24h乾燥させた後、プロピレンカーボネート脱水を加え、体積分率を10vol%にしたものを24hボールミルにかけた。また、余ったスラリーを蒸発皿にとり正確な体積分率を求めた。このときに使用した微粒子の嵩密度は比重瓶法により求めたものである。
【0095】
つぎに、スラリーの誘電率を測定する。スラリーの誘電率測定装置は、Agilent4294Aインピーダンスアナライザー、Agilent16452リキッドテストフィクスチャー(測定セル)、同軸ケーブルから成り、四端子測定が可能である。測定セルは水分の付着を極力避けるため、十分に乾燥させた後使用した。この装置を用いて、20.0℃、40Hz〜110MHzにおけるスラリーのインピーダンスと位相を測定した。また、恒温槽と冷却装置を用いて温度制御を行った。
なお、測定セルの補正にはオープン、ショート補正を行い、測定値の確度を上げるための基準物質として誘電率の分かっているシクロヘキサン脱水(関東化学)を測定した。
【0096】
測定したインピーダンスと位相からスラリーのキャパシタンスを求め、周波数に対してプロットした。低周波と高周波において見かけの誘電率が変化している。低周波側の変化は電極分極現象、高周波側の変化は測定系の電気的共振によるものであり、どちらもスラリーの誘電率変化を表しているわけではない。スラリーの誘電率計算に用いた値は前後でそのような変化を受けない20MHzの値を用いた。なお、厳密な温度制御を行った今回の測定の精度は3桁目まで保証された。
【0097】
つぎに、有限要素法によるモデル計算について説明する。
まず、スラリーのモデル化をする。粒子を球として分散媒中に存在するモデルを考える。粒子同士は最近接距離=粒子半径、として分散しており、分散量10vol%が厳密に守られている。これらの配置はすべてプログラム上で行った。
【0098】
つぎに、有限要素法による計算を行う。有限要素法解析ソフト「ANSYS Emag ver6.1(サイバネットシステム)」を用い、静電場解析(要素タイプ:静電場、3D四面体)を行った。境界条件としてブロック上面をV、下面をVとして、解析を実行した。得られた解析結果から、要素に蓄えられた電気エネルギーの総和Wを求め、次式を用いて電気容量Cを計算、これを規格化して誘電率とした。
W=0.5C(V−V
【0099】
微粒子部分の誘電率を適当に変え、プロピレンカーボネート中にその粒子が分散している場合、スラリーの誘電率がどのような値になるのかというシミュレーションを行った。
【0100】
分散媒中に微粒子が120個分散させたモデルで計算を行った。メッシュを切るほどシミュレーションの値は小さくなるのだが(五回計算した平均値)、120個というのは十分にその平均値が飽和したため決定した個数である。なお、本実施例で使用したElementsは126530、Nodesは177127であった。
【0101】
このようにして行ったシミュレーション結果と測定したスラリーの誘電率から各チタン酸バリウム微粒子の誘電率を求めた。
【0102】
:測定結果
まず、チタン酸バリウムスラリーを用いた比誘電率の測定結果を、図9に示す。横軸に平均粒子径を、縦軸にスラリーの比誘電率を示す。比誘電率の値は、70.6(A−1)、79.8(A−2)、86.8(A−3)、89.3(A−4)、88.8(A−5)、88.2(B−2)、88.1(B−3)、88.0(B−4)である。なお、この値は実験値であり、計算値ではない。図9より、300nm以上の粒子径を持つチタン酸バリウム粒子スラリーの比誘電率は88付近でほぼ一定であるのに対し、300nm以下の領域では粒子径の減少とともにスラリーの比誘電率が上昇し、68nmの平均粒子径でその比誘電率は約89まで上昇する。68nm以下では、粒子径の減少とともに比誘電率は急激に減少し、17nmの粒子径でその比誘電率は約71まで減少する。これに対し、水熱法で作製した100nmの粒子径を持つH−1で、そのスラリーの比誘電率は79.7であった。本実施例で作製した同じ100nmの粒子径を持つチタン酸バリウムスラリーの比誘電率が約89であることから、この大きな違いは、粒子径ではなく、先に明らかにした不純物としての格子内水酸基の存在、また欠陥としての空孔の多さによることが明らかとなった。
【0103】
続いて、このスラリーの測定結果をもとに、有限要素法を用いて解析したチタン酸バリウム粒子の計算結果を図10に示す。横軸に平均粒子径を、縦軸に計算した粒子の比誘電率を示す。計算した比誘電率の値は、117(A−1)、380(A−2)、1800(A−3)、14900(A−4)、6240(A−5)、3400(B−2)、3350(B−3)、3300(B−4)である。図10より、平均粒子径が300nm(B−2)、400nm(B−3)、及び500nm(B−4)のチタン酸バリウム粒子の比誘電率は3,300〜3,400の間にある。チタン酸バリウムにおいて、セラミックスでの形態では最近の研究で330nmで比誘電率が最大になるという報告があるのに対し、300nm以上のチタン酸バリウム粒子では比誘電率はほぼ、十分に大きなチタン酸バリウム単結晶と同じ値を持つことを見いだした。500nmから粒子径の減少とともに粒子の比誘電率は僅かに増加する傾向を示すが300nm以下ぐらいから比誘電率が急激に増大し、68nmの平均粒子径でその比誘電率は約15,000まで上昇する。その後、68nm以下でその比誘電率は急激に減少し、17nmの平均粒子径でその比誘電率は100近くまで減少する。
【0104】
これに対し、水熱法で作製した100nmの粒子径を持つH−1で、その比誘電率は300であった。本実施例で作製した同じ100nmの粒子径を持つチタン酸バリウム微粒子の比誘電率が約6,200であることから、この巨大な違いは、粒子径ではなく、先に明らかにした不純物としての格子内水酸基の存在、また欠陥としての空孔の多さによることが明らかとなった。
【0105】
以上のことから、チタン酸バリウム格子に含まれる不純物が測定限界以下であり、かつ化学組成でBa/Ti原子比が有効数字3桁で1.00であり、相対密度が最低でも97%以上あるチタン酸バリウム粒子においては、大きな比誘電率を持つ高誘電体材料となることが明らかとなった。また、チタン酸バリウム粒子の比誘電率の温度依存性は、−50℃から200℃までほぼフラットであることが明らかとなった。
【0106】
本実施例では、巨大な誘電率を持つチタン酸バリウム粒子を作製できた。このようにある粒子径で比誘電率が極大を持つためには2つの因子が関与する。
【0107】
図11は、粒子径とXRD測定との関係をプロットしたものを示す。図11より、XRD測定により測定された結晶系は160nm以上の粒子径では正方晶構造に、また160nm以下の粒子径では立方晶構造に帰属される。平均粒子径が160nm以上のチタン酸バリウム粒子のX線回折測定による結晶構造は正方晶構造に帰属され、それらのc/a比は1.01であり、a軸長、c軸長ともに理想的なチタン酸バリウム単結晶の値と一致した。
【0108】
これに対し、160nm以下の粒子径を持つ立方晶に帰属されたチタン酸バリウム粒子では、a軸長は粒子径の減少とともに単調に増加し、17nmでは402.3pmと通常よりも約2pmほど膨張した値を示す。特に、102nmの平均粒子径を持つチタン酸バリウム粒子を立方晶構造に帰属したときの格子定数は、理想的なチタン酸バリウム単結晶でキュリー温度以上で安定な立方晶構造の格子定数を室温まで外挿した値に近い値を示した。最大の比誘電率を示す粒子径は68nmであり、立方晶で若干格子が膨張した構造を持っている。
【0109】
XRD測定では空間的・時間的にも平均的な結晶構造を測定するのに対し、空間的・時間的に局所的・瞬間的な結晶構造はラマン散乱法により測定することができる。図12は一連の本実施例で合成したチタン酸バリウム粒子のラマン散乱スペクトルを示す。すべての粒子径において観察されるラマン散乱スペクトルはすべて中心対称性のない正方晶構造であり、そのピーク位置はほとんど一致した。
【0110】
この結果、17nmから102nmまでのチタン酸バリウム粒子において、平均構造は立方晶でありながら、局所構造は正方晶に帰属され、結晶構造における揺らぎを示した。一方、160nm以上の平均粒子径を持つチタン酸バリウム粒子においては、平均構造、及び局所構造とも正方晶に帰属され、これは理想的なチタン酸バリウム単結晶の構造と一致した。まず、チタン酸バリウム粒子の自発分極は160nm以上では、c/a比がほぼ一定(1.01)であることから、同様にほぼ一定と思われる。これに対し、160nm以下ではc/a比が見かけ上1.0であることから、自発分極はなくなるはずである。しかしながら、局所構造は160nm以下の領域でも正方晶であることから、自発分極の大きさは0ではなく粒子径の減少とともに徐々に減少していくと考えられる。平均構造が立方晶であることは、熱振動によって自発分極が等価な方向を高速で移動していると考えると、2つの構造の違いを明確に説明することができる。
【0111】
従って、160nm以下の領域において、(1)自発分極量の減少による比誘電率の減少と、(2)熱振動により自発分極が反転する際に生じる大きな比誘電率の発生という2つの効果によって、ある粒子径範囲において比誘電率が極大を持つことを説明することができる。従って、この現象はチタン酸バリウムという物質に固有な現象ではなく、強誘電体粒子一般に成り立つ普遍的な現象であると言える。
【0112】
なお、水熱法により合成した100nmの粒子径のチタン酸バリウム粒子では、格子定数は17nmのものよりも大きく、はるかに膨張した値を示す。このことから、自発分極量は小さいことが予測され、その結果小さな比誘電率を示したと考えられる。そして、この大きな格子定数は格子内水酸基のような不純物の存在、及び低い密度のような粒子内空孔の存在により引き起こされたものである。従って、不純物や欠陥のないチタン酸バリウム粒子を作ることが極めて重要であると言える。
【0113】
【発明の効果】
本発明は、以下に記載されるような効果を奏する。
チタン酸バリウムの平均粒子径が、59nm以上でかつ300nmより小さく、チタン酸バリウムの比誘電率が、3400より大きいので、新規な誘電体材料を提供することができる。
【0114】
誘電体材料の製造方法が、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程と第1の工程により得られた生成物を減圧下で加熱する第2の工程からなるので、または、誘電体材料の製造方法が、蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程と第1の工程により得られた生成物を空気中で加熱する第2の工程からなるので、新規な誘電体材料の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】2段階熱分解法における第1段階システムを示す図である。
【図2】2段階熱分解法における第2段階システムを示す図である。
【図3】A−1からA−5までのTEM明視野像を示す写真である。
【図4】A−1からA−5まで、およびB−3の(111)面のXRDピークを示す図である。
【図5】A−1とH−1の赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図6】A−1とH−1の水酸基に関する赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図7】A−1からA−5までの水酸基に関する赤外線吸収スペクトルを示す図である。
【図8】A−5とH−1の熱重量分析測定結果を示す図である。
【図9】A−1からB−4までのスラリー比誘電率と粒子径との関係を示す図である。
【図10】A−1からB−4までの粒子の比誘電率と粒子径との関係を示す図である。
【図11】A−1からB−4までの結晶系及び格子定数と粒子径との関係を示す図である。
【図12】A−1からA−5までのラマン散乱スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1‥‥熱電対、2‥‥電気炉、3‥‥温度調節計、4‥‥ロータリーポンプ、5‥‥ピラニーゲージ

Claims (8)

  1. チタン酸バリウムからなる誘電体材料において、
    上記チタン酸バリウムの平均粒子径が、59nm以上でかつ300nmより小さく、
    上記チタン酸バリウムの比誘電率が、3400より大きい
    ことを特徴とする誘電体材料。
  2. 格子内水酸基の存在量が、赤外線吸収測定法または熱重量分析法の検出限界内である
    ことを特徴とする請求項1記載の誘電体材料。
  3. Ba/Ti原子比が、有効数字3桁で1.00である
    ことを特徴とする請求項1記載の誘電体材料。
  4. 相対密度が、97%以上の範囲にある
    ことを特徴とする請求項1記載の誘電体材料。
  5. 次の工程よりなる誘電体材料の製造方法。
    (イ)蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程。
    (ロ)上記第1の工程により得られた生成物を、減圧下で加熱する第2の工程。
  6. 請求項5記載の誘電体材料の製造方法において、
    第1の工程の加熱温度は300〜550℃の範囲にあり、
    第2の工程の加熱温度は550〜1200℃の範囲にある。
  7. 次の工程よりなる誘電体材料の製造方法。
    (イ)蓚酸バリウムチタニル4水和物を空気中で加熱する第1の工程。
    (ロ)上記第1の工程により得られた生成物を、空気中で加熱する第2の工程。
  8. 請求項7記載の誘電体材料の製造方法において、
    第1の工程の加熱温度は300〜550℃の範囲にあり、
    第2の工程の加熱温度は700〜1000℃の範囲にある。
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