JP2004338988A - Ito粉末とその製造方法 - Google Patents

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浩之 朝長
Kazuo Sunahara
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Abstract

【課題】耐熱性に優れたITO粉末およびその製造方法の提供。
【解決手段】フッ素が、(ITO+フッ素)に対して0.1〜10質量%含まれているフッ素含有ITO粉末、および大気中にて700℃で10分間焼成した後の分光反射率の極大波長が550nm以下であるフッ素含有ITO粉末、およびITO粉末の分散液にフッ素化合物を混合し、得られた混合液から液媒を除去し、得られた粉末を非酸化性雰囲気中にて300〜800℃で30分間〜24時間焼成することを特徴とするフッ素含有ITO粉末の製造方法。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特に、自動車用の赤外線遮蔽ガラス板の膜材料として有用なフッ素含有ITO粉末とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、開口部を通して自動車の室内に流入する太陽エネルギーを遮断して室内の温度上昇を抑え、冷房負担を軽減するために赤外線遮蔽ガラスが用いられている(例えば、特許文献1参照。)。従来の赤外線遮蔽ガラス板としては、1)スパッタリング法、CVD(化学蒸着)法、または浸漬法などで酸化チタン、酸化スズなどの酸化物薄膜をガラスの表面上に数十nm形成したガラス板、2)各種の金属または金属酸化物の薄膜をガラスの表面上に積層したガラス板を用いた合わせガラス、3)導電性の酸化物微粒子を分散させた樹脂フィルムを2枚のガラス板で挟んだ合わせガラス、がある。
【0003】
また、運転者横の窓(フロントサイド窓)は、運転者に近い場所にあり、この窓からの日射が運転者に直接あたりやすいため、運転手の体感温度の上昇をできるだけ防ぐような赤外線遮蔽機能の付与の要望が強い。フロントサイド窓ガラス板には、合わせガラスと比較して、軽量、低コストの観点から単板の赤外線遮蔽ガラス板が望まれている。
【0004】
近年は、赤外線遮蔽粉末を含む塗布液を形成し、その塗布液をガラス基板上に塗布し成膜することにより赤外線遮蔽膜付きガラス板を製造する試みがなされている。前記赤外線遮蔽粉末としては、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)、スズドープ酸化インジウム(ITO)などが例示できる。このうち、ATOは可視光領域に若干吸収があり、フロントサイドガラスなどの高透過率が要求される部位には使用しにくいため、ITOを含有する赤外線遮蔽膜が提案されている(例えば、特許文献2および3参照。)。
【0005】
一方、開口部などに単板の赤外線遮蔽膜付きガラス板を使用する場合、空気中に被膜が露出しているため、被膜の耐久性の要求が厳しい。そのためには、赤外線遮蔽粉末を無機質マトリックスとともに混合して塗布液を形成し、その塗布液をガラス板上に塗布した後、高温で焼成して硬質の被膜を形成する必要がある。しかし、ITOは酸素欠損型であり、特に高い赤外線遮蔽性を有するITOでは、結晶格子中の酸素欠損の程度が高く、ITOを塗布したガラス板を空気中で高温の焼成を行った場合ITOの酸化が進行し酸素欠損が失われる結果、赤外線遮蔽性が消失してしまう問題があった。そのため、赤外線遮蔽性を消失させないためには、空気が存在しない雰囲気、つまり不活性雰囲気や還元性雰囲気での膜の高温焼成が必要となるため、経済性、生産性に劣っていた。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−279329号公報
【特許文献2】
特開平7−70481号公報
【特許文献3】
特開平8−41441号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性が良好、つまり大気中にて高温で焼成を行っても赤外線遮蔽性が低下しないITO粉末およびその製造方法を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フッ素が、(ITO+フッ素)に対して0.1〜10質量%含まれるフッ素含有ITO粉末、および大気中にて700℃で10分間焼成した後の分光反射率の極大波長が550nm以下である前記フッ素含有ITO粉末を提供する。
【0009】
さらに、本発明は、ITO粉末の分散液にフッ素化合物を混合し、得られた混合液から液媒を除去し、得られた粉末を非酸化性雰囲気中にて300〜800℃で30分間〜24時間焼成することを特徴とするフッ素含有ITO粉末の製造方法、および前記非酸化性雰囲気が、水素を1〜5体積%含む非酸化性雰囲気である前記フッ素含有ITO粉末の製造方法を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明のフッ素含有ITO粉末は、例えば、以下に述べる方法で作成できる。
まず、インジウムの水溶性塩とスズの水溶性塩とを含む水溶液をアルカリ性溶液と混合して、インジウムの水酸化物とスズの水酸化物とを共沈させる。この共沈物を大気中で加熱焼成して酸化物に変換させることによりITO粉末が形成される。水酸化物のみならず、インジウムの水酸化物および/または酸化物とスズの水酸化物および/または酸化物との混合物を使用することもできる。本発明においては、このような方法で作成されたITO粉末を利用することもできるし、導電性粉末として市販されているITO粉末をそのまま利用することもできる。上記ITO粉末中のスズとインジウムとの比率は、スズ/(インジウム+スズ)のモル比で0.01〜0.15であることが赤外線遮蔽性の点で好ましい。
【0011】
上記ITO粉末を分散媒に分散させることにより、ITO微粒子を含有する分散液を作成する。前記分散媒としては、水でもよく、有機溶媒でもよく、水と有機溶媒との混合溶媒でもよく、ITO粉末を分散性よく分散させ得る分散媒が採用される。前記有機溶媒としては、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類など適宜選択して使用できる。この際、分散液に分散剤を添加して分散液の分散性を高めることもできる。分散剤としては、アクリルポリマー系分散剤が例示できる。溶媒として水を用いる場合は、分散性の点で、pHを2〜6としておくことが好ましい。分散液を作成後、より分散性を高めるために、超音波照射、ホモジナイザー、ビーズミル、サンドミル、ジェットミル、ナノマイザー等の装置を用いて分散処理を行ってもよい。
【0012】
上記分散液中のITO粉末の濃度(固形分濃度)は、1〜50質量%であることが好ましい。1質量%未満であると効率の点で好ましくなく、50質量%超であると分散が困難となるため好ましくない。
【0013】
上記分散液に、フッ素化合物を添加してITO微粒子にフッ素化合物を吸着(含浸)させる。フッ素化合物としては、フッ化水素酸、フッ化アンモニウム、フッ化アルカリ(フッ化リチウム、フッ化ナトリウム等)、フッ化第1スズ、フッ化第2スズ、フッ化インジウム、フッ化水素アンモニウム、ケイフッ化水素酸、ケイフッ化アンモニウム、ホウフッ化水素酸、ホウフッ化アンモニウム、リンフッ化水素酸、リンフッ化アンモニウムなどの無機フッ素化合物や、フッ素含有樹脂などの有機フッ素化合物が挙げられるが、後述するような焼成による分解によってフッ素を放出できる化合物であれば特に限定はされない。これらのフッ素化合物のうち、取扱い性や含浸効率などを考慮すると、フッ化アンモニウム、フッ化第1スズ、フッ化インジウム、ケイフッ化アンモニウムが好ましく用いられる。
【0014】
フッ素化合物は、そのまま分散液に添加してもよいが、別の溶媒中にフッ素化合物を溶解させて分散液に加えることが、ITO微粒子に均質にフッ素化合物を吸着させることができる点で好ましい。フッ素化合物を溶解させるための溶媒としては、水、アルコール類、エーテル類、ケトン類、エステル類、脂肪族炭化水素類、芳香族炭化水素類など、適宜選択して使用できるが、分散液と均一に混合が可能な溶媒である必要がある。分散液中のフッ素化合物の添加量は、フッ素化合物の種類やその後の処理条件によって適切な量が異なるが、ITOに対して1〜100質量%であることが好ましい。1質量%未満では、吸着されるフッ素の量が不足するおそれがあり、100質量%超では、フッ素が過剰になるおそれがある。
【0015】
フッ素化合物を分散液に添加した後、必要に応じて、混合液に対して撹拌や加熱処理などを行う。その後、減圧下の大気中にて200℃以下での加熱、濾別、遠心分離などの公知の手法を用いて混合液中の液媒を除去し、フッ素化合物が吸着されたITO粉末が得られる。
【0016】
上記方法で得られたフッ素化合物が吸着されたITO粉末を、非酸化性雰囲気で焼成してフッ素含有ITO粉末を形成する。非酸化性雰囲気とは、酸素や炭酸ガスといった酸化性ガスを実質的に含まない雰囲気であり、具体的には酸素濃度が1.0体積%以下、特に0.1体積%以下であることが焼成中のITOの酸化抑制という点で好ましい。導入とは、ITO結晶格子中にフッ素が格納されていることと考えており、フッ素化合物が吸着されたITO粉末の焼成を非酸化性雰囲気中で行うことにより、ITOの結晶格子中にフッ素を導入すると同時にITO中に酸素欠損を形成し、ITO粉末に高い赤外線遮蔽性を付与できる。非酸化性雰囲気中には、窒素、アルゴン、アンモニアなどの非酸化性ガスを含む。焼成後のフッ素含有ITO粉末の赤外線遮蔽性を良好とするために、非酸化性雰囲気は水素を含むことが好ましく、水素の含有量は非酸化性雰囲気中に1〜5体積%、特に1〜4体積%含まれていることが好ましい。
【0017】
上記焼成の温度は、添加したフッ素化合物の種類によって最適な温度が異なるが、300〜800℃とされる。300℃未満では吸着したフッ素化合物の分解が進みにくいためにITO粉末にフッ素が導入されにくく、800℃超ではこれ以上フッ素の導入効果は向上しないため、エネルギー効率的に好ましくない。上記焼成の時間は30分間〜24時間とされ、焼成後は室温付近まで同じ非酸化性雰囲気中で冷却されることが好ましい。
【0018】
上記方法によって製造されたフッ素含有ITO粉末は、耐熱性に優れ、特に自動車用の赤外線遮蔽膜付きガラス板の膜材料として有用である。
【0019】
本発明のフッ素含有ITO粉末は、フッ素が(ITO+フッ素)に対して0.1〜10質量%、特には1〜10質量%、さらには1〜5質量%含まれていることが好ましい。0.1質量%未満では、耐熱性向上の効果が低く、10質量%超では、赤外線遮蔽性そのものを低下させるおそれがある。含まれているとは、混合している場合、吸着されている場合、結晶格子に導入されている場合いずれの場合も含むが、結晶格子に導入されていることが、耐熱性の点で好ましい。
【0020】
また、本発明のフッ素含有ITO粉末の平均一次粒子径は100nm未満であることが好ましい。100nm以上では、ITO粉末を含む塗布液を用いて赤外線遮蔽膜を形成した場合、可視光線の散乱が強くなり、透明性が低下する。ただし、透明性が必要でない用途においては、フッ素含有ITO粉末の平均一次粒子径が100nm未満である必要はない。
【0021】
フッ素含有ITO粉末中のスズの含有量は、スズ/(インジウム+スズ)のモル比が0.01〜0.15、特に0.04〜0.12であることが赤外線遮蔽性の点で好ましい。
【0022】
本発明のフッ素含有ITO粉末の耐熱性は、フッ素含有ITO粉末の分光反射率により見積もることができる。前記分光反射率の測定方法は以下のとおりである。
【0023】
すなわち、ITO粉末をセルに充填し、充填したITO粉末の表面をJIS−Z8722(2000年)に従い積分球付きの分光光度計を用いて全拡散反射を測定することにより分光反射率を測定できる。この分光反射率の極大波長は、測定されたITO粉末の赤外線遮蔽性と密接に関連しており、この分光反射率の極大波長が短波長側にあるほど、つまり赤外線の領域における反射率が低く吸収が大きいほど、赤外線遮蔽性が優れていることを意味する。つまり、焼成後であっても、分光反射率の極大波長が焼成前と同様に短波長側にあれば、耐熱性に優れているといえる。焼成後の分光反射率の極大波長が500nmであることが好ましく、460nm以下であることが特に好ましい。
【0024】
本発明のフッ素含有ITO粉末は、フッ素が含まれていないITO粉末と比較して高い耐熱性を有する。例えば、板ガラス上に形成された被膜にフッ素含有ITO粉末を含有させることにより、被膜を高温の大気中で熱処理しても赤外線遮蔽性が劣化することがない。特に、本発明のフッ素含有ITO粉末を含む被膜が自動車用の単板の窓ガラス板上に形成されている場合には、前記窓ガラス板を強化処理するために、大気中にて700℃で3〜4分間の熱処理工程に前記窓ガラス板を通す必要がある。このため、粉末の状態で大気中にて700℃で10分間の焼成を行っても粉末の分光反射率の極大が550nm以下、好ましくは500nm以下、さらに好ましくは460nm以下であれば、この粉末を含む被膜は、強化処理を行っても充分な赤外線遮蔽性が保持されると考えられる。
【0025】
フッ素がITOに含まれることで、なぜ耐熱性が向上するかについては、明確にはわかっていない。しかし、フッ素はITO結晶格子中の酸素欠損サイトにトラップされてこのサイトを占有していると考えられ、大気中で高温にさらされた際、酸素欠損サイトへ酸素が入るのを抑制していることから、耐熱性が優れるのではないかと推測される。
【0026】
本発明のフッ素含有ITO粉末は、赤外線遮蔽性に優れるため、赤外線遮蔽ガラス板の被膜の材料として好適に用いられる。特に、高い耐久性を得るために高温かつ大気中での焼成が必要な、自動車用の単板の赤外線遮蔽ガラス板の膜材料として好適に用いられる。
【0027】
【実施例】
以下実施例を用いて、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されない。なお、調製されたフッ素含有ITO粉末は、以下のとおり評価した。
1)フッ素含有量
フッ素含有ITO粉末中のフッ素含有量を、イオン電極を用いて測定した。
まず、フッ素含有ITO微粒子が融解するまで固形の水酸化ナトリウムを加え、冷却後、完全に溶解するまで純水中に溶解した。得られた溶液に塩酸を加えて中和し、その後クエン酸ナトリウム水溶液を塩酸でpH=6に調製したクエン酸イオン強度緩衝液を加えて測定液とし、フッ素イオン電極を用いてITOに対するフッ素濃度を測定した。
2)焼成前の分光反射率の極大波長
フッ素含有ITO粉末1.0gを乳鉢で粉砕し、セルに充填し、60mmφ積分球つき分光光度計(日立製作所:U−3500)を用いて300nm〜2100nmの分光反射率を測定した。この分光反射率曲線から、焼成前の分光反射率の極大波長を測定した。
3)焼成後の分光反射率の極大波長
フッ素含有ITO粉末1.0gをアルミナ製るつぼ(外径46mm、高さ36mm)に充填し、このるつぼを700℃に保った電気炉に入れ、大気中で10分間加熱した。炉からるつぼを取り出し、大気中で室温まで冷却した後、粉末を乳鉢で粉砕し、セルに充填し、60mmφ積分球つき分光光度計(日立製作所:U−3500)を用いて300nm〜2100nmの分光反射率を測定した。この分光反射率曲線から、焼成後の分光反射率の極大波長を測定した。
【0028】
(例1)
スズ/(インジウム+スズ)のモル比が0.05となるように塩化スズと塩化インジウムとを溶解させた水溶液(金属濃度として0.3モル/リットル)中に、1質量%のアンモニア水溶液を滴下して、インジウムの水酸化物とスズの水酸化物とを共沈させ、遊離した塩化物イオン、アンモニウムイオンおよび水を遠心分離によって除去した後、大気中にて600℃で2時間焼成し、平均一次粒子径30nmのITO粉末を得た。
【0029】
得られたITO粉末120gを、硝酸によってpH=3に調整したイオン交換水280g中に添加し、湿式ジェットミルを用いて分散処理を行い、ITO微粒子が分散した分散液を得た。得られた分散液中のITO微粒子の平均分散粒子径は100nmであり、得られた分散液の固形分濃度は26質量%であった。
【0030】
この分散液100gを内容量500mlのポリプロピレン樹脂製蓋つき容器に入れ、フッ素化合物として10質量%フッ化アンモニウム水溶液25.3g((ITO+フッ素)に対してフッ素5質量%に相当。)を添加して40℃で30分間、温浴中で撹拌を行った。この後、70℃で12時間の乾燥により水分を除去して得られた粉末を、アルミナ製の角型こう鉢に入れ、3体積%の水素を含む窒素雰囲気中にて400℃で2時間の焼成を行い、同じ3体積%の水素を含む窒素雰囲気中で炉冷した。この後、粉末の体積に対して100倍の体積を有する純水中に得られた粉末を投入し、ろ過洗浄を行い、余剰の吸着フッ化アンモニウムを取り除いた。得られた粉末を乳鉢で粗粉砕してフッ素含有ITO粉末を得た。
【0031】
(例2)
10質量%フッ化アンモニウム水溶液の量を25.3gから19.5g(ITO+フッ素)に対してフッ素3質量%に相当。)に変更する以外は、例1と同様に処理してフッ素含有ITO粉末を得た。
【0032】
(例3)
焼成の温度を400℃から550℃に変更する以外は、例1と同様に処理してフッ素含有ITO粉末を得た。
【0033】
(例4)
10質量%フッ化アンモニウム水溶液25.3gのかわりに、10質量%フッ化第1スズ溶液53.6g((ITO+フッ素)に対してフッ素5質量%に相当。)を添加する以外は、例1と同様に処理してフッ素含有ITO粉末を得た。
【0034】
(例5)
10質量%フッ化アンモニウム水溶液25.3gのかわりに、10質量%ケイフッ化ナトリウム溶液20.3g((ITO+フッ素)に対してフッ素5質量%に相当。)を添加する以外は、例1と同様に処理してフッ素含有ITO粉末を得た。
【0035】
(例6)(比較例)
フッ化アンモニウム水溶液を添加しない以外は、例1と同様に処理してフッ素を含有しないITO粉末を得た。
【0036】
例1〜6における、ITO粉末に対するフッ素添加量、および得られたフッ素含有ITO粉末のフッ素含有量、焼成前および焼成後の分光反射率の評価結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004338988
【0038】
表1より明らかなように、例1〜5のフッ素含有ITO粉末は、大気中にて700℃で10分間焼成した後でも分光反射率の極大波長は550nm以下となっており、高い耐熱性を有している。
【0039】
また、比較例である例6のフッ素を含まないITO粉末は、大気中にて700℃で10分間焼成した後の分光反射率の極大波長が550nmを超えており、赤外線遮蔽性の低下が著しいことがわかる。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、ITO粉末にフッ素を(ITO+フッ素)に対して0.1〜10質量%含有させることにより、高い耐熱性を有するフッ素含有ITO粉末を作成できる。
【0041】
特に、自動車用の赤外線遮蔽ガラス板は、経済性、生産性のため、空気中で高温の焼成を行う必要がある。本発明のフッ素含有ITO粉末は、そのようなきわめて過酷な環境下の処理を行っても赤外線遮蔽性が消失しないため、自動車用の赤外線遮蔽膜付きガラス板の膜材料として有用である。

Claims (4)

  1. フッ素が、(ITO+フッ素)に対して0.1〜10質量%含まれるフッ素含有ITO粉末。
  2. 大気中にて700℃で10分間焼成した後の分光反射率の極大波長が550nm以下である請求項1に記載のフッ素含有ITO粉末。
  3. ITO粉末の分散液にフッ素化合物を混合し、得られた混合液から液媒を除去し、得られた粉末を非酸化性雰囲気中にて300〜800℃で30分間〜24時間焼成することを特徴とするフッ素含有ITO粉末の製造方法。
  4. 前記非酸化性雰囲気が、水素を1〜5体積%含む非酸化性雰囲気である請求項3に記載のフッ素含有ITO粉末の製造方法。
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