JP2004338656A - 車両用操舵装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ある電圧調整手段が故障等により正常な電位(変換電位)を出力できなくなった場合でも、他の電圧調整手段により制御ユニットへの電力供給が行なえ、安定した操舵制御を可能とした車両用操舵装置を提供する。
【解決手段】電圧調整ユニット28では、制御ユニット200の使用電位に等しく設定された2個の電圧調整器、すなわち第一電圧調整器28aと第二電圧調整器28bとが並列接続されている。また、制御ユニット200と各電圧調整器28a,28bとの間には、制御ユニット200側から各電圧調整器28a,28b側へ電流が逆流するのを防止するダイオード28c,28dが各々介装されている。
【選択図】 図2
【解決手段】電圧調整ユニット28では、制御ユニット200の使用電位に等しく設定された2個の電圧調整器、すなわち第一電圧調整器28aと第二電圧調整器28bとが並列接続されている。また、制御ユニット200と各電圧調整器28a,28bとの間には、制御ユニット200側から各電圧調整器28a,28b側へ電流が逆流するのを防止するダイオード28c,28dが各々介装されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用操舵装置、特に自動車の操舵装置において、パワーステアリング装置が広く一般に普及している(特許文献1,2参照)。また、車両用操舵装置の他の例として、ハンドル軸と車輪転舵軸とが機械的に連結されず操舵制御部を介して電気的に接続されたステアバイワイヤ(Steer By Wire)方式が知られている(特許文献3参照)。これら車両用操舵装置の操舵制御部においては、操舵用のハンドル軸に与えられる操舵トルクや操舵角といった操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべきアシストトルクや転舵角といった転舵出力を決定し、その転舵出力が車輪転舵軸に与えられるように転舵軸駆動モータの回転を制御する方式が採用されている。
【0003】
ところで、上記したような車両用操舵装置において、従来では、転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットには、1個の電圧調整器(電圧調整手段)を介して、常時モータ制御用電力を供給する電源が接続されていた。つまり、単一の電圧調整手段によって、例えば車載バッテリの定格電圧であるDC12Vを制御ユニットでの使用電圧であるDC5Vに変換して供給していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−168597号公報
【特許文献2】
特開2001−341656号公報
【特許文献3】
特開2001−88727号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、電圧調整手段が故障等により正常な電位(変換電位)を出力できなくなった場合に、制御ユニットへの電力供給が一時的にでも途絶えると、操舵制御が不安定になるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、ある電圧調整手段が故障等により正常な電位(変換電位)を出力できなくなった場合でも、他の電圧調整手段により制御ユニットへの電力供給が行なえ、安定した操舵制御を可能とした車両用操舵装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用操舵装置は、
操舵用のハンドル軸に与えられる操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべき転舵出力を決定し、その転舵出力が得られるように転舵軸駆動モータの回転を制御して前記車輪転舵軸を移動させる操舵制御部を有する車両用操舵装置において、
前記転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットに常時モータ制御用電力を供給する電源が接続されるとともに、
前記電源と前記制御ユニットとの間に、該電源の有する電位を該制御ユニットで使用される電位に調整してモータ制御用電力を供給する複数の電圧調整手段が並列接続されることを特徴とする。
【0008】
この車両用操舵装置によれば、並列接続された複数の電圧調整手段のうちある電圧調整手段が故障等により正常な電位(調整電位;変換電位)を出力できなくなった場合でも、他の電圧調整手段により制御ユニットへの電力供給がなされるので、操舵制御が安定して行なわれる。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る車両用操舵装置は、制御ユニットにモータ制御用電力を供給する複数の電源を有する場合の一態様として、
操舵用のハンドル軸に与えられる操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべき転舵出力を決定し、その転舵出力が得られるように転舵軸駆動モータの回転を制御して前記車輪転舵軸を移動させる操舵制御部を有する車両用操舵装置において、
前記転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットには、複数の電源が常時モータ制御用電力を供給できるように並列接続されるとともに、
その電源並列接続部と前記制御ユニットとの間に、該電源並列接続部の有する電位を該制御ユニットで使用される電位に調整してモータ制御用電力を供給する複数の電圧調整手段が並列接続されることを特徴とする。
【0010】
この車両用操舵装置によれば、並列接続された複数の電源と、並列接続された複数の電圧調整手段とにより、制御ユニットへの電力供給が二重に保障され、操舵制御の安定性が一層高められる。したがって、ステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置においても、操舵不能状態を回避することができる。
【0011】
ここで、電圧調整手段で調整(変換)された電位をすべて制御ユニットで使用される電位(例えばDC5V)に等しくなるように設定するのが望ましく、これにより電圧調整手段相互間での電位差の発生に伴う出力電流の逆流現象を防止し、電圧調整手段を保護することができる。
【0012】
また、制御ユニットと電圧調整手段との間には、制御ユニット側から電圧調整手段側へ電流が逆流するのを防止するダイオードを各々介装するのが望ましく、これにより電圧調整手段相互間での電位差の発生に伴う出力電流の逆流現象を防止し、電圧調整手段を保護することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
(実施例)
図1は、本発明が適用される車両用操舵装置の一例としてのステアバイワイヤ方式操舵装置の全体構成を模式的に示したものである(なお、本実施形態において「車両」は自動車とするが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない)。この車両用操舵装置1は、操舵用ハンドル2に直結されたハンドル軸3と、車輪転舵軸11とが機械的に分離されたステアバイワイヤ方式に構成されている。車輪転舵軸11には、転舵軸駆動モータ(以下、単にモータともいう)6及び減速機構12が同軸状に組み付けられている。これにより、モータ6の回転が減速機構12を介して車輪転舵軸11に伝達され、車輪転舵軸11が軸線方向に往復動し、車輪13,13の転舵角が変化する。
【0014】
ハンドル軸3の角度位置φは、ロータリエンコーダ等の周知の角度検出部からなるハンドル軸角度検出部14により操舵角(操舵入力)として検出される。一方、同じくロータリエンコーダ等からなるモータ角度位置検出部15によりモータ6の回転角度位置θが転舵角(転舵出力)として検出される。そして、操舵制御部20が、検出されたハンドル軸3の角度位置φに基づいて、モータ6の目標回転角度位置θ’を決定し、モータ6の回転角度位置θが目標回転角度位置θ’に近づくように、モータ6の動作を制御する。
【0015】
図2は、車両用操舵装置1のブロック図である。車両(車両用操舵装置1)には複数の電源を有する電源部40が備えられている。この実施例では、電源部40は、モータ6にモータ駆動用電力を供給する操舵装置用電源41(電源)と、モータ6を除く車両用電装品(例えばランプ、メータ類等)に電力を供給する車両用電源42(電源)とを有している。操舵制御部20において、操舵装置用電源41とバックアップ用電源としての車両用電源42とは、モータ6を回転駆動するモータ駆動回路18に対して択一的にモータ駆動用電力を供給できるように並列配置されている。
【0016】
具体的には、操舵装置用電源41と車両用電源42とは、操舵制御部20の切換回路5(切換手段)、第一電圧モニタ51(第一の電圧監視手段)、電源フィルタ22を介してモータ6のモータ駆動回路18に択一的に接続されている。切換回路5は、モータ駆動回路18に接続された操舵装置用電源41(接続電源)が所定値(下限閾値)を下回って電圧降下したとき、操舵装置用電源41をモータ駆動回路18と切断し、車両用電源42(非接続電源)が地絡及び電圧降下していないことを確認した後に、モータ駆動回路18の電源を操舵装置用電源41から車両用電源42に切り換えるものである。
【0017】
同様に、操舵装置用電源41と車両用電源42とは車両用供給部30の切換回路5’(切換手段)、電源フィルタ32を介してランプ、メータ類等の車両用電装品の駆動回路(図示せず)に択一的に接続されている。切換回路5’は、駆動回路に接続された車両用電源42が所定値(下限閾値)を下回って電圧降下したとき、車両用電源42を、駆動回路と切断し、操舵装置用電源41が地絡及び電圧降下していないことを確認した後に、駆動回路の電源を車両用電源42から操舵装置用電源41に切り換えるものである。
【0018】
この他、操舵制御部20には、CPU23、RAM24、ROM25、入出力インターフェース26等を有し、これらをバス27により送受信可能に接続した制御ユニット200(マイクロコンピュータ)を備えている。また、操舵装置用電源41と車両用電源42とは各々常閉スイッチ29,29及び逆流防止用ダイオード21,21を介して電源接続点A(電源並列接続部)で接続され、第二電圧モニタ52(第二の電圧監視手段)を介して電圧調整ユニット28に入力される。その後、電圧調整ユニット28によって電圧コントロール(例えば、DC+12V→DC+5Vに変換)された電圧が制御ユニット200の入出力インターフェース26等に入力される。このように、操舵装置用電源41と車両用電源42とは、操舵軸駆動モータ6の回転を制御する制御ユニット200に対して常時モータ制御用電力を供給できるように並列接続(電源接続点A)されている。
【0019】
そして、電源接続点Aと制御ユニット200との間の電圧調整ユニット28において、電源接続点Aの有する電位(例えばDC+12V)を制御ユニット200で使用される電位(例えばDC+5V)に調整(変換)してモータ制御用電力を供給するために、複数の電圧調整器(電圧調整手段)が並列接続されている。図2の電圧調整ユニット28では、制御ユニット200の使用電位(DC+5V)のモータ制御用電力を供給するように等しく設定された2個の電圧調整器、すなわち第一電圧調整器28a(電圧調整手段)と第二電圧調整器28b(電圧調整手段)とが並列接続されている。また、制御ユニット200と各電圧調整器28a,28bとの間には、制御ユニット200側から各電圧調整器28a,28b側へ電流が逆流するのを防止するダイオード28c,28dが各々介装されている。
【0020】
なお、入出力インターフェース26には、ハンドル軸角度検出部14の角度位置φ、モータ角度位置検出部15の回転角度位置θ、第一電圧モニタ51及び第二電圧モニタ52で検出された各々の電圧モニタ値等が入力される。一方、入出力インターフェース26からは、モータ駆動回路18に対するモータ6の回転制御指令、切換回路5に対する切換制御指令(後述)等が出力される。制御ユニット200のCPU23は、ROM25に格納された電源異常判定プログラムを読み込み、RAM24をワークエリアとして用いつつ、このプログラムを実行して電源異常の有無を判定する判定手段としての機能を有する。
【0021】
図3及び図4により、切換回路5によるモータ駆動回路18に接続する電源回路の切換方法について詳述する。第一電圧モニタ51は、モータ駆動回路18に接続された操舵装置用電源41からモータ駆動回路18への供給電圧を検出(常時監視)し、第二電圧モニタ52は、操舵装置用電源41及び車両用電源42から制御ユニット200への供給電圧を検出(常時監視)している(図2参照)。そして、第一電圧モニタ51の電圧モニタ値が所定値(下限閾値;図4(b)参照;例えばDC+10V)を下回り、かつ第二電圧モニタ52の電圧モニタ値が所定値(下限閾値;図4(b)参照;例えばDC+10V)を上回っているとき、操舵装置用電源41に異常(電圧降下、断線等)が発生していると判断し、制御ユニット200(CPU23)は切換回路5に対して次のような切換制御指令を発する。つまり、切換回路5は、操舵装置用電源41をモータ駆動回路18と切断し、その所定時間(遅延時間;図4(b)参照;例えば50ms)経過後に、モータ駆動回路18の電源を操舵装置用電源41から車両用電源42に切り換える。
【0022】
具体的には図3に示すように、切換回路5は、第一電磁リレー5b(R1;リレー)と第一電磁リレードライバ5xとの直列回路及び第二電磁リレー5c(R2;リレー)と第二電磁リレードライバ5yとの直列回路とを有している。第一電磁リレー5b(R1)及び第二電磁リレー5c(R2)には、制御ユニット200への供給電圧調整前の電位(例えばDC+12V)が上記した電源接続点A(電源並列接続部;図2参照)より与えられている。第一電磁リレー5b(R1)に連動する常閉接点5d(R1−b)が操舵装置用電源41に接続された回路に設けられる。一方、第二電磁リレー5c(R2)に連動する常開接点5e(R2−a)が車両用電源42に接続された回路に設けられる。
【0023】
これによって、モータ駆動回路18(図2参照)に接続された操舵装置用電源41が所定値以下に電圧降下したとき、第一電磁リレー5b(R1)の常閉接点5d(R1−b)が開状態に切り換えられて、操舵装置用電源41はモータ駆動回路18と切断される。その所定時間(予め設定され、CPU23からのクロック信号に基づく遅延時間)経過後に、第二電磁リレー5c(R2)の常開接点5e(R2−a)が閉状態に切り換えられて、モータ駆動回路18の電源が操舵装置用電源41から車両用電源42に切り換えられる。
【0024】
このように、切換回路5は、制御ユニット200からの制御信号(切換制御指令)に基づき、第二電圧モニタ52が監視する制御ユニット200への供給電圧を駆動源として、モータ駆動回路18の電源を切換作動することになる。この制御ユニット200への供給電圧は、操舵装置用電源41及び車両用電源42から常時モータ制御用電力として供給され、しかも第二電圧モニタ52によって常時監視され、かつ2個の電圧調整器28a,28bが設けられているから、モータ駆動回路18の電源切換が安定して行なわれ、操舵制御の安定性が向上する。つまり、操舵装置用電源41によるモータ駆動回路18への供給電圧が第一電圧モニタ51の下限閾値を下回った場合であっても、制御ユニット200への供給電圧が第二電圧モニタ52の下限閾値を下回らない限り、モータ駆動回路18の電源を操舵装置用電源41から車両用電源42へ切り換えることができる。
【0025】
ところで、図4(c)に示すように、第一電圧モニタ51の電圧モニタ値が所定値(下限閾値)を下回り、かつ第二電圧モニタ52の電圧モニタ値も所定値(下限閾値)を下回っているときには、操舵装置用電源41及び車両用電源42に異常(電圧降下、断線等)が発生していると判断し、制御ユニット200(CPU23)は警報出力(警告表示、警告音声等)を行なう。
【0026】
なお、図2に示す車両用供給部30の切換手段5’では、図3(a)の常閉接点5d(R1−b)と常開接点5e(R2−a)との接続位置を入れ換えて使用される。
【0027】
このように、並列接続された2個の電圧調整器28a,28bのうち、例えば第一電圧調整器28aが故障等により正常な電位(調整電位;変換電位)を出力できなくなった場合でも、第二電圧調整器28bにより制御ユニット200への電力供給がなされるので、操舵制御が安定して行なわれる。しかも、並列接続された2個の電源41,42と、並列接続された2個の電圧調整器28a,28bとにより、制御ユニット200への電力供給が二重に保障され、操舵制御の安定性が一層高められる。したがって、本実施例のようなステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置1においても、操舵不能状態を回避することが容易になる。
【0028】
以上の説明は、ステアバイワイヤ方式操舵装置についてのみ行なったが、パワーステアリング装置にも適用できる。また、バックアップ用電源として車両用電源を使用する例を示したが、バックアップ用電源は車両用電源に接続されない純粋な(専用の)バックアップ用電源でも構わない。なお、これらの車両用操舵装置には、電動式、電動油圧式、速度感応型・回転数感応型等の転舵出力可変式等、種々のタイプが含まれる。なお、電源部40に設ける電源は単数でもよく、操舵制御部及びモータの数は、1又は複数のいずれでもよい。また、これらの数は適宜組合せることができる。例えば、2基の操舵制御部と1個のモータ、1基の操舵制御部と2個のモータ等の組合せを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される車両用操舵装置の一例としてのステアバイワイヤ方式操舵装置の全体構成を示す模式図。
【図2】図1の車両用操舵装置のブロック図。
【図3】切換回路の回路構成図。
【図4】(a)は切換回路のタイミングチャート、(b)と(c)は第一及び第二の電圧モニタによる電圧モニタ値の変化を表わすグラフ。
【符号の説明】
1 車両用操舵装置(ステアバイワイヤ方式操舵装置)
3 ハンドル軸
6 モータ(転舵軸駆動モータ)
11 車輪転舵軸
20 操舵制御部
200 制御ユニット
28 電圧調整ユニット
28a 第一電圧調整器(電圧調整手段)
28b 第二電圧調整器(電圧調整手段)
40 電源部
41 操舵装置用電源(電源)
42 車両用電源(電源)
A 電源接続点(電源並列接続部)
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車等の車両用操舵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両用操舵装置、特に自動車の操舵装置において、パワーステアリング装置が広く一般に普及している(特許文献1,2参照)。また、車両用操舵装置の他の例として、ハンドル軸と車輪転舵軸とが機械的に連結されず操舵制御部を介して電気的に接続されたステアバイワイヤ(Steer By Wire)方式が知られている(特許文献3参照)。これら車両用操舵装置の操舵制御部においては、操舵用のハンドル軸に与えられる操舵トルクや操舵角といった操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべきアシストトルクや転舵角といった転舵出力を決定し、その転舵出力が車輪転舵軸に与えられるように転舵軸駆動モータの回転を制御する方式が採用されている。
【0003】
ところで、上記したような車両用操舵装置において、従来では、転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットには、1個の電圧調整器(電圧調整手段)を介して、常時モータ制御用電力を供給する電源が接続されていた。つまり、単一の電圧調整手段によって、例えば車載バッテリの定格電圧であるDC12Vを制御ユニットでの使用電圧であるDC5Vに変換して供給していた。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−168597号公報
【特許文献2】
特開2001−341656号公報
【特許文献3】
特開2001−88727号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、電圧調整手段が故障等により正常な電位(変換電位)を出力できなくなった場合に、制御ユニットへの電力供給が一時的にでも途絶えると、操舵制御が不安定になるおそれがある。
【0006】
本発明の課題は、ある電圧調整手段が故障等により正常な電位(変換電位)を出力できなくなった場合でも、他の電圧調整手段により制御ユニットへの電力供給が行なえ、安定した操舵制御を可能とした車両用操舵装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記の課題を解決するために、本発明の車両用操舵装置は、
操舵用のハンドル軸に与えられる操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべき転舵出力を決定し、その転舵出力が得られるように転舵軸駆動モータの回転を制御して前記車輪転舵軸を移動させる操舵制御部を有する車両用操舵装置において、
前記転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットに常時モータ制御用電力を供給する電源が接続されるとともに、
前記電源と前記制御ユニットとの間に、該電源の有する電位を該制御ユニットで使用される電位に調整してモータ制御用電力を供給する複数の電圧調整手段が並列接続されることを特徴とする。
【0008】
この車両用操舵装置によれば、並列接続された複数の電圧調整手段のうちある電圧調整手段が故障等により正常な電位(調整電位;変換電位)を出力できなくなった場合でも、他の電圧調整手段により制御ユニットへの電力供給がなされるので、操舵制御が安定して行なわれる。
【0009】
また、上記の課題を解決するために、本発明に係る車両用操舵装置は、制御ユニットにモータ制御用電力を供給する複数の電源を有する場合の一態様として、
操舵用のハンドル軸に与えられる操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべき転舵出力を決定し、その転舵出力が得られるように転舵軸駆動モータの回転を制御して前記車輪転舵軸を移動させる操舵制御部を有する車両用操舵装置において、
前記転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットには、複数の電源が常時モータ制御用電力を供給できるように並列接続されるとともに、
その電源並列接続部と前記制御ユニットとの間に、該電源並列接続部の有する電位を該制御ユニットで使用される電位に調整してモータ制御用電力を供給する複数の電圧調整手段が並列接続されることを特徴とする。
【0010】
この車両用操舵装置によれば、並列接続された複数の電源と、並列接続された複数の電圧調整手段とにより、制御ユニットへの電力供給が二重に保障され、操舵制御の安定性が一層高められる。したがって、ステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置においても、操舵不能状態を回避することができる。
【0011】
ここで、電圧調整手段で調整(変換)された電位をすべて制御ユニットで使用される電位(例えばDC5V)に等しくなるように設定するのが望ましく、これにより電圧調整手段相互間での電位差の発生に伴う出力電流の逆流現象を防止し、電圧調整手段を保護することができる。
【0012】
また、制御ユニットと電圧調整手段との間には、制御ユニット側から電圧調整手段側へ電流が逆流するのを防止するダイオードを各々介装するのが望ましく、これにより電圧調整手段相互間での電位差の発生に伴う出力電流の逆流現象を防止し、電圧調整手段を保護することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を用いて説明する。
(実施例)
図1は、本発明が適用される車両用操舵装置の一例としてのステアバイワイヤ方式操舵装置の全体構成を模式的に示したものである(なお、本実施形態において「車両」は自動車とするが、本発明の適用対象はこれに限定されるものではない)。この車両用操舵装置1は、操舵用ハンドル2に直結されたハンドル軸3と、車輪転舵軸11とが機械的に分離されたステアバイワイヤ方式に構成されている。車輪転舵軸11には、転舵軸駆動モータ(以下、単にモータともいう)6及び減速機構12が同軸状に組み付けられている。これにより、モータ6の回転が減速機構12を介して車輪転舵軸11に伝達され、車輪転舵軸11が軸線方向に往復動し、車輪13,13の転舵角が変化する。
【0014】
ハンドル軸3の角度位置φは、ロータリエンコーダ等の周知の角度検出部からなるハンドル軸角度検出部14により操舵角(操舵入力)として検出される。一方、同じくロータリエンコーダ等からなるモータ角度位置検出部15によりモータ6の回転角度位置θが転舵角(転舵出力)として検出される。そして、操舵制御部20が、検出されたハンドル軸3の角度位置φに基づいて、モータ6の目標回転角度位置θ’を決定し、モータ6の回転角度位置θが目標回転角度位置θ’に近づくように、モータ6の動作を制御する。
【0015】
図2は、車両用操舵装置1のブロック図である。車両(車両用操舵装置1)には複数の電源を有する電源部40が備えられている。この実施例では、電源部40は、モータ6にモータ駆動用電力を供給する操舵装置用電源41(電源)と、モータ6を除く車両用電装品(例えばランプ、メータ類等)に電力を供給する車両用電源42(電源)とを有している。操舵制御部20において、操舵装置用電源41とバックアップ用電源としての車両用電源42とは、モータ6を回転駆動するモータ駆動回路18に対して択一的にモータ駆動用電力を供給できるように並列配置されている。
【0016】
具体的には、操舵装置用電源41と車両用電源42とは、操舵制御部20の切換回路5(切換手段)、第一電圧モニタ51(第一の電圧監視手段)、電源フィルタ22を介してモータ6のモータ駆動回路18に択一的に接続されている。切換回路5は、モータ駆動回路18に接続された操舵装置用電源41(接続電源)が所定値(下限閾値)を下回って電圧降下したとき、操舵装置用電源41をモータ駆動回路18と切断し、車両用電源42(非接続電源)が地絡及び電圧降下していないことを確認した後に、モータ駆動回路18の電源を操舵装置用電源41から車両用電源42に切り換えるものである。
【0017】
同様に、操舵装置用電源41と車両用電源42とは車両用供給部30の切換回路5’(切換手段)、電源フィルタ32を介してランプ、メータ類等の車両用電装品の駆動回路(図示せず)に択一的に接続されている。切換回路5’は、駆動回路に接続された車両用電源42が所定値(下限閾値)を下回って電圧降下したとき、車両用電源42を、駆動回路と切断し、操舵装置用電源41が地絡及び電圧降下していないことを確認した後に、駆動回路の電源を車両用電源42から操舵装置用電源41に切り換えるものである。
【0018】
この他、操舵制御部20には、CPU23、RAM24、ROM25、入出力インターフェース26等を有し、これらをバス27により送受信可能に接続した制御ユニット200(マイクロコンピュータ)を備えている。また、操舵装置用電源41と車両用電源42とは各々常閉スイッチ29,29及び逆流防止用ダイオード21,21を介して電源接続点A(電源並列接続部)で接続され、第二電圧モニタ52(第二の電圧監視手段)を介して電圧調整ユニット28に入力される。その後、電圧調整ユニット28によって電圧コントロール(例えば、DC+12V→DC+5Vに変換)された電圧が制御ユニット200の入出力インターフェース26等に入力される。このように、操舵装置用電源41と車両用電源42とは、操舵軸駆動モータ6の回転を制御する制御ユニット200に対して常時モータ制御用電力を供給できるように並列接続(電源接続点A)されている。
【0019】
そして、電源接続点Aと制御ユニット200との間の電圧調整ユニット28において、電源接続点Aの有する電位(例えばDC+12V)を制御ユニット200で使用される電位(例えばDC+5V)に調整(変換)してモータ制御用電力を供給するために、複数の電圧調整器(電圧調整手段)が並列接続されている。図2の電圧調整ユニット28では、制御ユニット200の使用電位(DC+5V)のモータ制御用電力を供給するように等しく設定された2個の電圧調整器、すなわち第一電圧調整器28a(電圧調整手段)と第二電圧調整器28b(電圧調整手段)とが並列接続されている。また、制御ユニット200と各電圧調整器28a,28bとの間には、制御ユニット200側から各電圧調整器28a,28b側へ電流が逆流するのを防止するダイオード28c,28dが各々介装されている。
【0020】
なお、入出力インターフェース26には、ハンドル軸角度検出部14の角度位置φ、モータ角度位置検出部15の回転角度位置θ、第一電圧モニタ51及び第二電圧モニタ52で検出された各々の電圧モニタ値等が入力される。一方、入出力インターフェース26からは、モータ駆動回路18に対するモータ6の回転制御指令、切換回路5に対する切換制御指令(後述)等が出力される。制御ユニット200のCPU23は、ROM25に格納された電源異常判定プログラムを読み込み、RAM24をワークエリアとして用いつつ、このプログラムを実行して電源異常の有無を判定する判定手段としての機能を有する。
【0021】
図3及び図4により、切換回路5によるモータ駆動回路18に接続する電源回路の切換方法について詳述する。第一電圧モニタ51は、モータ駆動回路18に接続された操舵装置用電源41からモータ駆動回路18への供給電圧を検出(常時監視)し、第二電圧モニタ52は、操舵装置用電源41及び車両用電源42から制御ユニット200への供給電圧を検出(常時監視)している(図2参照)。そして、第一電圧モニタ51の電圧モニタ値が所定値(下限閾値;図4(b)参照;例えばDC+10V)を下回り、かつ第二電圧モニタ52の電圧モニタ値が所定値(下限閾値;図4(b)参照;例えばDC+10V)を上回っているとき、操舵装置用電源41に異常(電圧降下、断線等)が発生していると判断し、制御ユニット200(CPU23)は切換回路5に対して次のような切換制御指令を発する。つまり、切換回路5は、操舵装置用電源41をモータ駆動回路18と切断し、その所定時間(遅延時間;図4(b)参照;例えば50ms)経過後に、モータ駆動回路18の電源を操舵装置用電源41から車両用電源42に切り換える。
【0022】
具体的には図3に示すように、切換回路5は、第一電磁リレー5b(R1;リレー)と第一電磁リレードライバ5xとの直列回路及び第二電磁リレー5c(R2;リレー)と第二電磁リレードライバ5yとの直列回路とを有している。第一電磁リレー5b(R1)及び第二電磁リレー5c(R2)には、制御ユニット200への供給電圧調整前の電位(例えばDC+12V)が上記した電源接続点A(電源並列接続部;図2参照)より与えられている。第一電磁リレー5b(R1)に連動する常閉接点5d(R1−b)が操舵装置用電源41に接続された回路に設けられる。一方、第二電磁リレー5c(R2)に連動する常開接点5e(R2−a)が車両用電源42に接続された回路に設けられる。
【0023】
これによって、モータ駆動回路18(図2参照)に接続された操舵装置用電源41が所定値以下に電圧降下したとき、第一電磁リレー5b(R1)の常閉接点5d(R1−b)が開状態に切り換えられて、操舵装置用電源41はモータ駆動回路18と切断される。その所定時間(予め設定され、CPU23からのクロック信号に基づく遅延時間)経過後に、第二電磁リレー5c(R2)の常開接点5e(R2−a)が閉状態に切り換えられて、モータ駆動回路18の電源が操舵装置用電源41から車両用電源42に切り換えられる。
【0024】
このように、切換回路5は、制御ユニット200からの制御信号(切換制御指令)に基づき、第二電圧モニタ52が監視する制御ユニット200への供給電圧を駆動源として、モータ駆動回路18の電源を切換作動することになる。この制御ユニット200への供給電圧は、操舵装置用電源41及び車両用電源42から常時モータ制御用電力として供給され、しかも第二電圧モニタ52によって常時監視され、かつ2個の電圧調整器28a,28bが設けられているから、モータ駆動回路18の電源切換が安定して行なわれ、操舵制御の安定性が向上する。つまり、操舵装置用電源41によるモータ駆動回路18への供給電圧が第一電圧モニタ51の下限閾値を下回った場合であっても、制御ユニット200への供給電圧が第二電圧モニタ52の下限閾値を下回らない限り、モータ駆動回路18の電源を操舵装置用電源41から車両用電源42へ切り換えることができる。
【0025】
ところで、図4(c)に示すように、第一電圧モニタ51の電圧モニタ値が所定値(下限閾値)を下回り、かつ第二電圧モニタ52の電圧モニタ値も所定値(下限閾値)を下回っているときには、操舵装置用電源41及び車両用電源42に異常(電圧降下、断線等)が発生していると判断し、制御ユニット200(CPU23)は警報出力(警告表示、警告音声等)を行なう。
【0026】
なお、図2に示す車両用供給部30の切換手段5’では、図3(a)の常閉接点5d(R1−b)と常開接点5e(R2−a)との接続位置を入れ換えて使用される。
【0027】
このように、並列接続された2個の電圧調整器28a,28bのうち、例えば第一電圧調整器28aが故障等により正常な電位(調整電位;変換電位)を出力できなくなった場合でも、第二電圧調整器28bにより制御ユニット200への電力供給がなされるので、操舵制御が安定して行なわれる。しかも、並列接続された2個の電源41,42と、並列接続された2個の電圧調整器28a,28bとにより、制御ユニット200への電力供給が二重に保障され、操舵制御の安定性が一層高められる。したがって、本実施例のようなステアバイワイヤ方式の車両用操舵装置1においても、操舵不能状態を回避することが容易になる。
【0028】
以上の説明は、ステアバイワイヤ方式操舵装置についてのみ行なったが、パワーステアリング装置にも適用できる。また、バックアップ用電源として車両用電源を使用する例を示したが、バックアップ用電源は車両用電源に接続されない純粋な(専用の)バックアップ用電源でも構わない。なお、これらの車両用操舵装置には、電動式、電動油圧式、速度感応型・回転数感応型等の転舵出力可変式等、種々のタイプが含まれる。なお、電源部40に設ける電源は単数でもよく、操舵制御部及びモータの数は、1又は複数のいずれでもよい。また、これらの数は適宜組合せることができる。例えば、2基の操舵制御部と1個のモータ、1基の操舵制御部と2個のモータ等の組合せを選択できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用される車両用操舵装置の一例としてのステアバイワイヤ方式操舵装置の全体構成を示す模式図。
【図2】図1の車両用操舵装置のブロック図。
【図3】切換回路の回路構成図。
【図4】(a)は切換回路のタイミングチャート、(b)と(c)は第一及び第二の電圧モニタによる電圧モニタ値の変化を表わすグラフ。
【符号の説明】
1 車両用操舵装置(ステアバイワイヤ方式操舵装置)
3 ハンドル軸
6 モータ(転舵軸駆動モータ)
11 車輪転舵軸
20 操舵制御部
200 制御ユニット
28 電圧調整ユニット
28a 第一電圧調整器(電圧調整手段)
28b 第二電圧調整器(電圧調整手段)
40 電源部
41 操舵装置用電源(電源)
42 車両用電源(電源)
A 電源接続点(電源並列接続部)
Claims (2)
- 操舵用のハンドル軸に与えられる操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべき転舵出力を決定し、その転舵出力が得られるように転舵軸駆動モータの回転を制御して前記車輪転舵軸を移動させる操舵制御部を有する車両用操舵装置において、
前記転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットに常時モータ制御用電力を供給する電源が接続されるとともに、
前記電源と前記制御ユニットとの間に、該電源の有する電位を該制御ユニットで使用される電位に調整してモータ制御用電力を供給する複数の電圧調整手段が並列接続されることを特徴とする車両用操舵装置。 - 操舵用のハンドル軸に与えられる操舵入力に応じて車輪転舵軸に与えるべき転舵出力を決定し、その転舵出力が得られるように転舵軸駆動モータの回転を制御して前記車輪転舵軸を移動させる操舵制御部を有する車両用操舵装置において、
前記転舵軸駆動モータの回転を制御する信号を出力する制御ユニットには、複数の電源が常時モータ制御用電力を供給できるように並列接続されるとともに、
その電源並列接続部と前記制御ユニットとの間に、該電源並列接続部の有する電位を該制御ユニットで使用される電位に調整してモータ制御用電力を供給する複数の電圧調整手段が並列接続されることを特徴とする車両用操舵装置。
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JP2003140270A JP2004338656A (ja) | 2003-05-19 | 2003-05-19 | 車両用操舵装置 |
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JP2003140270A JP2004338656A (ja) | 2003-05-19 | 2003-05-19 | 車両用操舵装置 |
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JP2003140270A Pending JP2004338656A (ja) | 2003-05-19 | 2003-05-19 | 車両用操舵装置 |
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2003
- 2003-05-19 JP JP2003140270A patent/JP2004338656A/ja active Pending
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