JP2004338388A - 木質材の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】 仕上がり外観をオープンからクローズまで容易に調整することができ、いずれの仕上がり外観とした場合でも、塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができる木質材の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明の木質材の製造方法は、木質基材の表面側にクリア層を形成するクリア層形成工程を備えている。このクリア層形成工程では、いずれも、被塗装物と接触しない非接触塗装機(例えば、フローコータ、エアスプレ)を用いて、水性クリア塗料を塗布する。
【解決手段】 本発明の木質材の製造方法は、木質基材の表面側にクリア層を形成するクリア層形成工程を備えている。このクリア層形成工程では、いずれも、被塗装物と接触しない非接触塗装機(例えば、フローコータ、エアスプレ)を用いて、水性クリア塗料を塗布する。
Description
本発明は、木質材の製造方法に関する。
従来より、木質基材の保護、及び外観を良好とするため、木質基材表面に塗膜が形成された木質材の製造方法について、様々なものが提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−212429号公報
特許文献1では、次のような木質材の製造方法が示されている。例えば、第1の実施形態では、木質基材の表面に、下塗りとして、アクリル系水性塗料をロールコータにより2.0g/(30cm)2塗布し、熱硬化する。次いで、中塗りとして、アクリルウレタン系塗料をロールコータにより3.5g/(30cm)2塗布し、熱硬化する。次いで、表面研磨後、上塗りとして、アクリルウレタン系塗料をフローコータにより4.0g/(30cm)2塗布し、熱硬化させる。このようにして、木質基材表面にクリア塗料を塗布し、木質基材表面にクリア層を形成した木質材を製造する。
また、第2の実施形態では、木質基材表面に、下塗りとして、水性紫外線硬化型塗料をロールコータにより1.5g/(30cm)2塗布し、紫外線硬化する。次いで、表面研磨後、上塗りとして、ポリウレタン系塗料をエアスプレにて6.0g/(30cm)2塗布し、熱硬化させて木質材を形成する。
このように、特許文献1では、下塗りとして水性クリア塗料を用いることで、木質基材への吸い込みを抑制し、これに起因する色ムラを抑制していた。しかしながら、下塗りクリア塗料をいずれもロールコータによって塗布するため、木質基材表面の凹凸に影響され易く、クリア塗料を均一に塗布することが容易でなかった。特に、導管等の凹部内に、好適にクリア塗料を塗布することが容易でなかった。また、特許文献1では、中塗りあるいは上塗りにおいて、溶剤系のクリア塗料を用いており、環境汚染や作業環境に十分に配慮されていなかった。
これに対し、近年、環境汚染の低減、作業環境の改善を図るため、溶剤系の塗料に代えて無溶剤系塗料を用いるようになっている。ところが、無溶剤系塗料をロールコータ等の接触塗装機で塗布する場合、ローピング現象や塗布ムラが生じる虞があった。一方、フローコータ等の非接触塗装機で塗布する場合は、木質材の仕上がり外観を任意に調整することが困難であり、多くはクローズ仕上げとなっていた。特に、オープン仕上げにすることは極めて困難であった。これは、非接触塗装機で塗料を均一に塗布(噴射)するには、塗布(噴射)量の抑制に限界があり、オープン仕上げとすべく塗布量にまで低減することが困難なためである。換言すれば、非接触塗装機を用いてオープン仕上げとした場合には、塗料を均一に塗布することが困難であった。
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであって、仕上がり外観をオープンからクローズまで容易に調整することができ、いずれの仕上がり外観とした場合でも、塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができる木質材の製造方法を提供することを目的とする。
その解決手段は、木質基材の表面側にクリア層を形成するクリア層形成工程を1または複数備える木質材の製造方法であって、上記1または複数のクリア層形成工程では、いずれも、被塗装物と接触しない非接触塗装機を用いて、水性クリア塗料を塗布する木質材の製造方法である。
本発明の木質材の製造方法では、1または複数のクリア層形成工程では、いずれも、被塗装物と接触しない非接触塗装機を用いている。このため、塗装面の凹凸に影響されることなく塗料を均一に塗布することができ、被塗装物の凹部(例えば、木質基材の表面における導管等)にも好適に塗料を塗布することができる。なお、非接触塗装機としては、例えば、フローコータ、エアスプレ、エアレススプレ、真空塗装機等が挙げられる。
さらに、本発明の木質材の製造方法では、溶剤を含有しない水性クリア塗料を用いている。このため、環境汚染の低減や作業環境に十分に配慮した製造方法となっている。なお、水性クリア塗料としては、例えば、オリゴマーを水に分散させた水分散系のクリア塗料や、親水性のオリゴマーを水に溶解させた水溶性のクリア塗料が挙げられる。
さらに、水性クリア塗料では、水の添加量によって不揮発成分の含有率を調整することができる。これにより、クリア層の厚みを容易に調整することができ、オープンからクローズまでの仕上がり外観を容易に調整することができる。
さらに、クリア層の厚み調整が水性クリア塗料の不揮発成分の含有率調整によって可能となるので、いずれのクリア層形成工程においても、形成するクリア層の厚みに拘わらず、非接触塗装機にとって好適な塗布量で塗料を塗布することができる。従って、本発明の製造方法を用いることで、オープンからクローズまでのいずれの仕上がり外観とした場合でも、塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができる。
さらに、クリア層の厚み調整が水性クリア塗料の不揮発成分の含有率調整によって可能となるので、いずれのクリア層形成工程においても、形成するクリア層の厚みに拘わらず、非接触塗装機にとって好適な塗布量で塗料を塗布することができる。従って、本発明の製造方法を用いることで、オープンからクローズまでのいずれの仕上がり外観とした場合でも、塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができる。
なお、仕上がり外観がオープンとは、クリア層の表面に、導管等の凹部に起因する凹凸が残るようにし、木質感を強調した仕上がり外観をいう。また、クローズとは、木質基材表面の導管等の凹部がクリア塗料で充填され、表面が平坦で、肉持ち感のある仕上がり外観をいう。
また、本発明の製造方法に用いる木質基材としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。例えば、木質単板を、合板、パーティクルボード、ハードボード、MDFなどの木質基材に接着した複合材である。また、木質単板を、フレキシブルボード、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、石綿スレート板などの無機質基材に接着した複合材である。また、木質単板を、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ABSなどのプラスチック材に接着した複合材である。また、木質無垢材や、木質無垢材からなる集成材である。
さらには、合板、パーティクルボード、ハードボード、MDFなどの木質基材に、各種化粧板を施した、いわゆる、低圧メラミン化粧板、ジアリルフタレート化粧板、ポリエステル化粧板、プリント化粧板、合成樹脂フィルムオーバーレイ化粧板なども挙げられる。また、木質単板、化粧フィルム、または化粧シートに塗装を施したものを、木質基材(合板、パーティクルボード、ハードボード、MDF等)、無機質基材(フレキシブルボード、ケイ酸カルシウム板、石膏ボード、石綿スレート板等)、プラスチック材(ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリカーボネート、セルロースアセテート、ABS等)などに接着した複合材も挙げられる。
また、本発明の製造方法によって製造した木質材は、例えば、床材、壁材、天井材、階段材、ドア材、縁側材、カウンター材、框材、収納材などの建材類として用いることができる。また、テーブル、机、椅子、座卓、箪笥、ドレッサー、工芸品などの家具類の材料として用いることができる。また、自動車内装材や家電製品の表面材としても用いることができる。また、楽器、スポーツ用品、玩具の材料としても用いることができる。
さらに、上記の木質材の製造方法であって、前記クリア層形成工程を少なくとも2以上備える木質材の製造方法とすると良い。
本発明の木質材の製造方法は、クリア層形成工程を少なくとも2以上備える。
ところで、無用剤系塗料を非接触塗装機によって塗装する手法では、塗料を均一に塗布(噴射)するには、塗布(噴射)量の抑制に限界があるため、多くはクローズ仕上げとなり、オープン仕上げにすることは極めて困難であった。特に、2以上のクリア層形成工程によって2以上のクリア層を形成した場合は、仕上がり外観をクローズにしかできなかった。従って、従来は、例えば、2以上のクリア層形成工程によって2以上のクリア層を形成しつつ、オープン仕上げとする場合には、接触塗装機(例えば、ロールコータ)を用いて塗布していた。このため、木質基材表面の凹凸に影響され易く、クリア塗料を均一に塗布することが容易でなかった。
ところで、無用剤系塗料を非接触塗装機によって塗装する手法では、塗料を均一に塗布(噴射)するには、塗布(噴射)量の抑制に限界があるため、多くはクローズ仕上げとなり、オープン仕上げにすることは極めて困難であった。特に、2以上のクリア層形成工程によって2以上のクリア層を形成した場合は、仕上がり外観をクローズにしかできなかった。従って、従来は、例えば、2以上のクリア層形成工程によって2以上のクリア層を形成しつつ、オープン仕上げとする場合には、接触塗装機(例えば、ロールコータ)を用いて塗布していた。このため、木質基材表面の凹凸に影響され易く、クリア塗料を均一に塗布することが容易でなかった。
これに対し、本発明の木質材の製造方法は、水性クリア塗料の不揮発成分の含有率を調整することでクリア層の厚みを調整することができるので、2以上のクリア層形成工程によって2以上のクリア層を形成する場合でも、オープンからクローズまでのいずれの仕上がり外観をも容易に実現することができる。しかも、非接触塗装機にとって好適な塗布量で塗布することができるため、塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができる。
さらに、上記いずれかの木質材の製造方法であって、前記水性クリア塗料は、紫外線硬化型の水性クリア塗料である木質材の製造方法とすると良い。
本発明の木質材の製造方法では、紫外線硬化型の水性クリア塗料を用いている。このため、紫外線を照射することで、水性クリア塗料を速やかに硬化することができるので、作業時間を短縮できると共に、クリア層の表面にゴミ等が付着するのを抑制することもでき、木質材の表面外観を良好とすることができる。
なお、紫外線硬化型の水性クリア塗料としては、紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂を含む水性クリア塗料が挙げられる。紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂としては、例えば、アクリレート系紫外線硬化樹脂が挙げられる。アクリレート系紫外線硬化樹脂としては、脂肪族系、芳香族系の何れであってもよく、ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂、エポキシアクリレート系紫外線硬化型樹脂、ポリエステルアクリレート系紫外線硬化型樹脂、ポリエステルアクリレート系紫外線硬化型樹脂以外の不飽和ポリエステル系紫外線硬化型樹脂、ポリエーテルアクリレート系紫外線硬化型樹脂などが挙げられる。
これらのアクリレート系紫外線硬化樹脂は、主成分として光重合性オリゴマーを含有し、必要に応じて光重合性モノマー等を添加しても良い。なお、光重合性オリゴマーとしては、例えば、以下のものが用いられる。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂では、光重合性オリゴマーとして、ウレタンアクリレートが用いられる。このウレタンアクリレートは、例えば、ジイソシアネート類とポリオール類とヒドロキシアクリレート類とを反応させることによって得られ、分子中に官能基としてアクリロイル基(CH2 =CHCO−)とウレタン結合(−NH・COO−)を有するプレポリマー(オリゴマー)である。
ウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂では、光重合性オリゴマーとして、ウレタンアクリレートが用いられる。このウレタンアクリレートは、例えば、ジイソシアネート類とポリオール類とヒドロキシアクリレート類とを反応させることによって得られ、分子中に官能基としてアクリロイル基(CH2 =CHCO−)とウレタン結合(−NH・COO−)を有するプレポリマー(オリゴマー)である。
ジイソシアネート類としては、具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート[HDI]、イソホロンジイソシアネート[IPDI]、メチレンビス(4-シクロヘキシルイソシアネート)[HMDI]、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート[TMHMDI]、トリレンジイソシアネート[TDI]、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネート[MDI]、キシリレンジイソシアネート[XDI]などが挙げられる。
ポリオール類としては、具体的には、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(プロピレンオキサイド)トリオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールAなどが挙げられる。
ヒドロキシアクリレート類としては、具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート[HEA]、2-ヒドロキシエチルメタクリレート[HEMA]、2-ヒドロキシプロピルアクリレート[HPA]、グリシドールジメタクリレート[GDMA]、ペンタエリスリトールトリアクリレート[PETA]などが挙げられる。
ヒドロキシアクリレート類としては、具体的には、2-ヒドロキシエチルアクリレート[HEA]、2-ヒドロキシエチルメタクリレート[HEMA]、2-ヒドロキシプロピルアクリレート[HPA]、グリシドールジメタクリレート[GDMA]、ペンタエリスリトールトリアクリレート[PETA]などが挙げられる。
また、エポキシアクリレート系紫外線硬化型塗料では、光重合性オリゴマーとして、エポキシアクリレートが用いられる。このエポキシアクリレートは、エピクロルヒドリン等のエポキシ化合物とアクリル酸またはメタクリル酸との反応により合成される。
エポキシアクリレートとしては、具体的には、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるビスフェノールA型エポキシアクリレート、ビスフェノールSとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるビスフェノールS型エポキシアクリレート、ビスフェノールFとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるビスフェノールF型エポキシアクリレート、フェノールノボラックとエピクロルヒドリンとアクリル酸との反応により合成されるフェノールノボラック型エポキシアクリレートなどが挙げられる。
さらに、ポリエステルアクリレート系紫外線硬化型樹脂では、光重合性オリゴマーとして、ポリエステルアクリレートが用いられる。このポリエステルアクリレートは、ジオールもしくはポリオールと2塩基酸との反応により合成したポリエステルの骨格に残った水酸基に、アクリル酸を縮合して得られる。
ポリエステルアクリレートとしては、具体的には、無水フタル酸とプロピレンオキサイドとアクリル酸との反応により合成されるアクリレート、アジピン酸と1,6-ヘキサンジオールとアクリル酸との反応により合成されるアクリレート、トリメリット酸とジエチレングリコールとアクリル酸との反応により合成されるアクリレートなどが挙げられる。
また、上記のポリエステルアクリレート系紫外線硬化型樹脂以外の不飽和ポリエステル系紫外線硬化型樹脂に含まれる光重合性オリゴマーとしては、具体的には、1,2-プロピレングリコールと無水フタール酸と無水マレイン酸とからなる不飽和ポリエステル;トリメチロールプロパンジアリルエーテル(TMPDA)、トリメチロールプロパントリアリルエーテル(TMPTAE)、トリアリルイソシアネート、ジアリルフタレート等のアリル基含有化合物とスチレンとが配合された不飽和ポリエステルなどが挙げられる。
また、水性クリア塗料には、必要に応じて、紫外線の照射によりラジカルを発生する光重合開始剤を添加するとよい。なお、光重合開始剤としては、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、4−ベンゾイル−N,N−ジメチル−N−(2−(1−オキソ−2−プロペニルオキシ)エチル)ベンゼンメタナミニウムブロマイド、(4−ベンゾイルベンジル)トリメチルアンモニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(4−ベンゾイルフェノキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロライド、2−ヒドロキシ−3−(3,4−ジメチル−9−オキソ−9H−チオキサンテン−2−イロキシ)−N,N,N−トリメチル−1−プロパナミニウムクロライド等、水溶性、あるいは樹脂水溶液に溶解可能な、ラジカル重合開始剤が好ましい。
また、このような光重合開始剤に、公知の光増感剤をも併用することができる。かかる光増感剤もまた、アミン類、尿素類、硫黄化合物、燐化合物及び塩素化合物等のうち、水溶性、あるいは樹脂水溶液に溶解可能なものが好ましい。
(実施形態)
次に、本発明の実施の形態(実施例1〜5)について、以下に説明する。
初めに、実施例1〜4の各工程について説明する。まず、着色工程において、水性着色塗料を木質基材の表面に塗布し、熱風乾燥して着色層を形成した。具体的には、スポンジロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順で、これらの塗装機を用いて、木質基材の表面に水性着色塗料を2.0g/(30cm)2塗布した。その後、ヒータを用いて、水性着色塗料を熱風乾燥(100℃×1分)し(水分除去)、着色層を形成した。
次に、本発明の実施の形態(実施例1〜5)について、以下に説明する。
初めに、実施例1〜4の各工程について説明する。まず、着色工程において、水性着色塗料を木質基材の表面に塗布し、熱風乾燥して着色層を形成した。具体的には、スポンジロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順で、これらの塗装機を用いて、木質基材の表面に水性着色塗料を2.0g/(30cm)2塗布した。その後、ヒータを用いて、水性着色塗料を熱風乾燥(100℃×1分)し(水分除去)、着色層を形成した。
次に、下塗りクリア層形成工程において、着色層の表面上に下塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、非接触塗装機を用いて、下塗りとして、紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂を含有する水性クリア塗料を塗布した。次いで、ヒータを用いて、水分除去すべく、下塗りの水性クリア塗料を熱風乾燥(50℃×3分)した。その後、UV乾燥機を用いて、下塗りの水性クリア塗料に200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて下塗りクリア層を形成した。
次いで、上塗りクリア層形成工程において、上塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、非接触塗装機を用いて、上塗りとして、紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂を含有する水性クリア塗料を塗布した。次いで、下塗りと同様にして、上塗りの水性クリア塗料を熱風乾燥(50℃×3分)した。その後、UV乾燥機を用いて、上塗りの水性クリア塗料に300(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて上塗りクリア層を形成した。
実施例1の下塗りでは、非接触塗装機として、フローコータを用いた。このフローコータによって、水性クリア塗料を6.0g/(30cm)2塗布した。なお、下塗りの水性クリア塗料としては、ナトコ株式会社製,商品名IST732を用いた。このIST732は、不揮発分40%の水分散系塗料で、水性樹脂(ワニス成分)として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)及びポリエステルアクリレート(オリゴマー)を含有している。これらの水性樹脂の平均分子量は6200であった。
さらに、上塗りでも、非接触塗装機として、フローコータを用いた。このフローコータによって、水性クリア塗料を6.0g/(30cm)2塗布した。なお、上塗りの水性クリア塗料としては、ナトコ株式会社製,商品名IST760を用いた。このIST760は、不揮発分40%の水分散系塗料で、水性樹脂(ワニス成分)として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)及びポリエステルアクリレート(オリゴマー)を含有している。これらの水性樹脂の平均分子量は6200であった。また、実施例1では、上塗りの水性クリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、下塗りクリア層の表面を研磨している。
この実施例1では、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
この実施例1では、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
なお、水性樹脂の平均分子量は、公知の平均分子量測定装置を用いて測定することができる。平均分子量測定装置としては、例えば、高速GPC装置 HLC−8220G(東ソー株式会社製、商品名)が挙げられる。この装置では、水を蒸発させた水性樹脂をTHF(テトラヒドロフラン)等の溶剤に溶解させたものをサンプルとし、このサンプルの分子量の分布ピークに基づいて水性樹脂の平均分子量を測定できる。
実施例2の下塗りでも、実施例1と同様に、フローコータを用いて、水性クリア塗料を6.0g/(30cm)2塗布した。なお、下塗りの水性クリア塗料としては、ナトコ株式会社製,商品名IST733を用いた。このIST733は、不揮発分75%の水溶性塗料で、水性樹脂(ワニス成分)として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)及びエポキシアクリレート(オリゴマー)を含有している。これらの水性樹脂の平均分子量は7000であった。
さらに、上塗りでも、実施例1と同様に、フローコータを用いて、水性クリア塗料(IST760)を6.0g/(30cm)2塗布した。なお、実施例2でも、上塗りの水性クリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、下塗りのクリア層の表面を研磨している。
この実施例2では、表面の仕上がり外観がセミオープンとなった。なお、セミオープンとは、クリア層の表面に、導管等の凹部に起因する凹凸を若干残しつつも、比較的肉持ち感のある仕上がり外観をいう。
この実施例2では、表面の仕上がり外観がセミオープンとなった。なお、セミオープンとは、クリア層の表面に、導管等の凹部に起因する凹凸を若干残しつつも、比較的肉持ち感のある仕上がり外観をいう。
実施例3の下塗りでも、実施例1と同様に、フローコータを用いて、水性クリア塗料(IST732)を6.0g/(30cm)2塗布した。
次いで、実施例3では、下塗りの水性クリア塗料を熱風乾燥(50℃×3分)した後、実施例1,2とは異なり、中塗りクリア層形成工程を設けて、中塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、フローコータを用いて、紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂を含有する水性クリア塗料を6.0g/(30cm)2塗布した。その後、下塗りと同様に、熱風乾燥(50℃×3分)し、200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて中塗りクリア層を形成した。なお、中塗りの水性クリア塗料としては、実施例2と同様に、IST733(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。
次いで、実施例3では、下塗りの水性クリア塗料を熱風乾燥(50℃×3分)した後、実施例1,2とは異なり、中塗りクリア層形成工程を設けて、中塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、フローコータを用いて、紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂を含有する水性クリア塗料を6.0g/(30cm)2塗布した。その後、下塗りと同様に、熱風乾燥(50℃×3分)し、200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて中塗りクリア層を形成した。なお、中塗りの水性クリア塗料としては、実施例2と同様に、IST733(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。
さらに、上塗りでも、実施例1と同様に、フローコータを用いて、水性クリア塗料(IST760)を6.0g/(30cm)2塗布した。なお、実施例3でも、上塗りの水性クリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、中塗りクリア層の表面を研磨している。
この実施例3では、表面の仕上がり外観がクローズとなった。
この実施例3では、表面の仕上がり外観がクローズとなった。
実施例4では、実施例1〜3とは異なり、着色工程の前に、捨塗りを行っている。具体的には、非接触塗装機としてエアスプレを用いて、紫外線硬化性官能基を有する水性樹脂を含有する水性クリア塗料を4.0g/(30cm)2塗布した。その後、実施例1〜3の下塗り等と同様に、熱風乾燥(50℃×3分)し、100(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させた。なお、捨塗りの水性クリア塗料としては、IST731(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST731は、不揮発分20%の水分散系塗料で、水性樹脂(ワニス成分)として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)を含有している。この水性樹脂の平均分子量は6000であった。
下塗りは、捨塗りと同様にエアスプレを用いて、IST731を8.0g/(30cm)2塗布した。その後、実施例1〜3の下塗りと同様に、熱風乾燥(50℃×3分)し、200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて下塗りクリア層を形成した。
次いで、上塗りも、エアスプレを用いて、水性クリア塗料を8.0g/(30cm)2塗布した。なお、上塗りの水性クリア塗料としては、IST770(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST770は、不揮発分40%の水分散系塗料で、水性樹脂(ワニス成分)として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)を含有している。この水性樹脂の平均分子量は10000であった。なお、実施例4でも、上塗りの水性クリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、下塗りクリア層の表面を研磨している。
この実施例4では、実施例1と同様に、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
この実施例4では、実施例1と同様に、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
ところで、上述のように、本発明の実施例1〜4では、いずれもクリア塗料を非接触塗装機(具体的には、フローコータまたはエアスプレ)を用いて塗布したが、オープンからクローズまでの仕上がり外観を容易に調整することができた。これは、クリア塗料として水性クリア塗料を用いたからであり、所望の仕上がり外観にあわせて、水性クリア塗料の不揮発成分の含有率を調整(選択)することができたためである。
なお、本発明の実施例1〜4で用いた水性クリア塗料(IST731,IST732,IST733,IST760,IST770)には、いずれも光重合開始剤、具体的には、ダロキュアー1173(チバガイギ社製、商品名)を含有させている。このため、紫外線を照射することで、水性クリア塗料を速やかに硬化することができ、作業時間を短縮できると共に、クリア層の表面にゴミ等が付着するのを抑制することもでき、木質材の表面外観を良好とすることができた。
(比較形態)
次に、本発明の実施例1〜4との比較のため、比較形態(比較例1〜4)として、従来の塗装方法を用いて、実施例1〜4と同一の木質基材の表面に塗膜を形成した。
具体的には、まず、着色工程において、実施例と同様にして、水性着色塗料を木質基材の表面に2.0g/(30cm)2塗布し、熱風乾燥(100℃×1分)して着色層を形成した。
次に、本発明の実施例1〜4との比較のため、比較形態(比較例1〜4)として、従来の塗装方法を用いて、実施例1〜4と同一の木質基材の表面に塗膜を形成した。
具体的には、まず、着色工程において、実施例と同様にして、水性着色塗料を木質基材の表面に2.0g/(30cm)2塗布し、熱風乾燥(100℃×1分)して着色層を形成した。
次に、下塗りクリア層形成工程において、着色層の表面上に下塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、接触塗装機を用いて、下塗りとして、クリア塗料を塗布した。その後、実施例と同様に、UV乾燥機を用いて、下塗りのクリア塗料に200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させてクリア層を形成した。
なお、下塗りのクリア塗料としては、IST300(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST300は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びアクリルモロホリン(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は2000であった。
なお、下塗りのクリア塗料としては、IST300(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST300は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びアクリルモロホリン(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は2000であった。
次いで、上塗りクリア層形成工程において、上塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、クリア塗料を塗布し、その後、実施例と同様に、UV乾燥機を用いて、上塗りのクリア塗料に300(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて上塗りクリア層を形成した。
(比較例1)
比較例1の下塗りでは、接触塗装機として、ナチュラルロールコータを用いた。このナチュラルロールコータによって、クリア塗料(IST300)を1.0g/(30cm)2塗布した。
その後、比較例1では、上塗りの前に、中塗りクリア層形成工程を設け、中塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、ナチュラルロールコータを用いて、クリア塗料を塗布した。その後、下塗りと同様に、UV乾燥機を用いて、中塗りのクリア塗料に200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて中塗りクリア層を形成した。
比較例1の下塗りでは、接触塗装機として、ナチュラルロールコータを用いた。このナチュラルロールコータによって、クリア塗料(IST300)を1.0g/(30cm)2塗布した。
その後、比較例1では、上塗りの前に、中塗りクリア層形成工程を設け、中塗りクリア層を形成した。具体的には、まず、ナチュラルロールコータを用いて、クリア塗料を塗布した。その後、下塗りと同様に、UV乾燥機を用いて、中塗りのクリア塗料に200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて中塗りクリア層を形成した。
なお、中塗りのクリア塗料としては、IST400(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST400は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、エポキシアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は800であった。
さらに、上塗りクリア層形成工程でも、ナチュラルロールコータを用いて、クリア塗料を1.0g/(30cm)2塗布した。なお、上塗りのクリア塗料としては、ナトコ株式会社製,商品名IST500を用いた。このIST500は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、エポキシアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)、及びエチルカルビトールアクリレート(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は600であった。また、比較例1でも、実施例と同様に、上塗りのクリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、中塗りクリア層の表面を研磨している。
この比較例1では、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
この比較例1では、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
(比較例2)
比較例2の下塗りクリア層形成工程では、比較例1と同様に、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順に、これらの接触塗装機を用いて、クリア塗料(IST300)を3.0g/(30cm)2塗布した。
その後、比較例1と同様にして、中塗りクリア層形成工程において、クリア塗料(IST400)を3.0g/(30cm)2塗布し、紫外線硬化させて中塗りクリア層を形成した。
比較例2の下塗りクリア層形成工程では、比較例1と同様に、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順に、これらの接触塗装機を用いて、クリア塗料(IST300)を3.0g/(30cm)2塗布した。
その後、比較例1と同様にして、中塗りクリア層形成工程において、クリア塗料(IST400)を3.0g/(30cm)2塗布し、紫外線硬化させて中塗りクリア層を形成した。
さらに、上塗りクリア層形成工程でも、比較例1と同様に、ナチュラルロールコータを用いて、クリア塗料(IST500)を2.0g/(30cm)2塗布した。なお、比較例2でも、実施例と同様に、上塗りのクリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、中塗りクリア層の表面を研磨している。
この比較例2では、表面の仕上がり外観がセミオープンとなった。
この比較例2では、表面の仕上がり外観がセミオープンとなった。
(比較例3)
比較例3の下塗りクリア層形成工程は、比較例2と同様にして、クリア塗料(IST300)を3.0g/(30cm)2塗布した。
その後、中塗りクリア層形成工程において、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順に、これらの接触塗装機を用いて、クリア塗料(IST400)を3.0g/(30cm)2塗布した。次いで、200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて中塗りクリア層を形成した。
比較例3の下塗りクリア層形成工程は、比較例2と同様にして、クリア塗料(IST300)を3.0g/(30cm)2塗布した。
その後、中塗りクリア層形成工程において、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順に、これらの接触塗装機を用いて、クリア塗料(IST400)を3.0g/(30cm)2塗布した。次いで、200(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて中塗りクリア層を形成した。
上塗りクリア層形成工程では、フローコータを用いて、クリア塗料を6.0g/(30cm)2塗布した。なお、上塗りのクリア塗料としては、ナトコ株式会社製,商品名IST600を用いた。このIST600は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、ポリエステルアクリレート(オリゴマー)、アクリルモロホリン(モノマー)、及びEO変性トリメチロールプロパントリアクリレート(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は600であった。また、比較例3でも、実施例と同様に、上塗りのクリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、中塗りクリア層の表面を研磨している。
この比較例3では、表面の仕上がり外観がクローズとなった。
この比較例3では、表面の仕上がり外観がクローズとなった。
(比較例4)
比較例4では、比較例1〜3とは異なり、着色工程の前に、捨塗りを行っている。具体的には、まず、ナチュラルロールコータを用いて、クリア塗料を1.0g/(30cm)2塗布した。その後、100(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させた。なお、捨塗りのクリア塗料として、IST100(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST100は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は1500であった。
比較例4では、比較例1〜3とは異なり、着色工程の前に、捨塗りを行っている。具体的には、まず、ナチュラルロールコータを用いて、クリア塗料を1.0g/(30cm)2塗布した。その後、100(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させた。なお、捨塗りのクリア塗料として、IST100(ナトコ株式会社製,商品名)を用いた。このIST100は、不揮発分100%の無溶剤系塗料で、ワニス成分として、ポリウレタンアクリレート(オリゴマー)、ポリエチレングリコールジアクリレート(モノマー)を含有している。これらの樹脂(ワニス成分)の平均分子量は1500であった。
次いで、下塗りクリア層形成工程では、比較例2,3と同様にして、クリア塗料(IST300)を3.0g/(30cm)2塗布した。
その後、比較例4では、中塗りを行うことなく、上塗りクリア層形成工程を行った。具体的には、比較例2と同様にして、クリア塗料(IST500)を2.0g/(30cm)2塗布した。なお、比較例4でも、実施例と同様に、上塗りのクリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、下塗りクリア層の表面を研磨している。
この比較例4では、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
その後、比較例4では、中塗りを行うことなく、上塗りクリア層形成工程を行った。具体的には、比較例2と同様にして、クリア塗料(IST500)を2.0g/(30cm)2塗布した。なお、比較例4でも、実施例と同様に、上塗りのクリア塗料を塗布する前に、粗さ#320のペーパーを用いて、下塗りクリア層の表面を研磨している。
この比較例4では、表面の仕上がり外観がオープンとなった。
このような、実施例1〜4及び比較例1〜4の木質材において、導管の鮮明さ、肉持ち感、塗布ムラ、艶ムラ、及びローピングについて比較検討した。これらの結果を、表1(実施例1〜4)、及び表2(比較例1〜4)に示す。なお、検討項目について、良好なものを○、比較的良好なものを△、好ましくないものを×で表示している。
まず、実施例1と比較例1とを比較する。表1,2に示すように、両者は、仕上がり外観を共に、オープンとしてある。このうち、実施例1は、表1に示すように、いずれの検討項目についても良好であった。具体的には、導管が鮮明で、塗布ムラ、艶ムラ、ローピングのない美観を有していた。これに対し、比較例1では、表2に示すように、いずれの検討項目についても、好ましくなかった。具体的には、導管が不鮮明で、塗布ムラ、艶ムラ、ローピングが生じていた。
これは、次のような理由によると考えられる。実施例1では、クリア塗料の塗布量(噴射量)を抑制することなく、不揮発分が少ない(具体的には、下塗り・上塗り共に不揮発分40%)水性クリア塗料を選択することで、クリア層の厚みを薄くし、オープン仕上げとした。このため、非接触塗装機(具体的には、フローコータ)にとって、好適な塗布量(具体的には、6.0g/(30cm)2)でクリア塗料を塗布することができた。これにより、塗装面の凹凸に影響されることなく塗料を均一に塗布することができ、さらに、導管等の凹部にも好適にクリア塗料を塗布することができた。このため、塗布ムラ、艶ムラ、ローピングが生じることなく、導管を鮮明に発現させることができたと考えられる。
これに対し、比較例1では、クリア塗料をいずれも接触塗装機(具体的には、ナチュラルロールコータ)によって塗布したため、木質基材表面の凹凸の影響で、クリア塗料を均一に塗布することができず、さらには、導管等の凹部内に、好適にクリア塗料を塗布することができなかった。特に、オープン仕上げとするべく、塗布量を抑制しているため(具体的には、下塗り1.0g/(30cm)2、中塗り2.0g/(30cm)2、上塗り1.0g/(30cm)2)、余計にクリア塗料が不均一になってしまった。この影響で、塗布ムラ、艶ムラ、ローピングが生じ、導管を鮮明に発現させることができなかったと考えられる。
また、同様にオープン仕上げとした、実施例4と比較例4とについても、同様な結果となった。
また、同様にオープン仕上げとした、実施例4と比較例4とについても、同様な結果となった。
次に、実施例2と比較例2とを比較する。表1,2に示すように、両者は、仕上がり外観を共に、セミオープンとしてある。このうち、実施例2は、表1に示すように、いずれの検討項目についても良好であった。具体的には、導管が鮮明で、肉持ち感が良好で、塗布ムラ、艶ムラ、ローピングのない美観を有していた。これは、実施例1と同様に、非接触塗装機(具体的には、フローコータ)にとって、好適な塗布量(具体的には、6.0g/(30cm)2)でクリア塗料を塗布することができたためと考えられる。
これに対し、比較例2では、表2に示すように、肉持ち感、塗布ムラ、艶ムラについては、実施例2に比してやや劣るものの、セミオープンとしては比較的良好であった。ところが、導管は不鮮明で、ローピングが生じていた。ローピングが生じたのは、比較例1と同様に、上塗りのクリア塗料を接触塗装機(具体的には、ナチュラルロールコータ)によって塗布したためである。導管が不鮮明なのは、比較例1と同様に、クリア塗料をいずれも接触塗装機(具体的には、ナチュラルロールコータ、リバースカキトリロール)によって塗布したため、導管等の凹部内に、好適にクリア塗料を塗布することができなかったためと考えられる。
次に、実施例3と比較例3とを比較する。表1,2に示すように、両者は、仕上がり外観を共に、クローズとしてある。このうち、実施例3は、表1に示すように、いずれの検討項目についても良好であった。具体的には、肉持ち感が良好で、塗布ムラ、艶ムラ、ローピングのない美観を有していた。これは、実施例1,2と同様に、非接触塗装機(具体的には、フローコータ)にとって、好適な塗布量(具体的には、6.0g/(30cm)2)でクリア塗料を塗布することができたためと考えられる。
これに対し、比較例3でも、表2に示すように、肉持ち感が良好で、ローピングも生じていなかった。また、塗布ムラ、艶ムラについては、実施例2に比してやや劣るものの、比較的良好であった。これは、実施例3と同様に、上塗りのクリア塗料を非接触塗装機(具体的には、フローコータ)を用いて塗布したためであり、しかも、フローコータにとって、好適な塗布量(具体的には、6.0g/(30cm)2)でクリア塗料を塗布することができたためと考えられる。
次に、下塗りのクリア塗料について、比較例1〜4と実施例1〜4とを比較する。
比較例1〜4で用いた下塗りのクリア塗料、具体的には、IST300を構成する樹脂(ワニス成分)の平均分子量は、2000であった。 このため、比較例1〜4では、下塗りにおいて、木質基材への塗料の浸透が不均一となり、塗布ムラ、艶ムラが生じてしまった。
比較例1〜4で用いた下塗りのクリア塗料、具体的には、IST300を構成する樹脂(ワニス成分)の平均分子量は、2000であった。 このため、比較例1〜4では、下塗りにおいて、木質基材への塗料の浸透が不均一となり、塗布ムラ、艶ムラが生じてしまった。
これに対し、実施例1〜4で用いた下塗りのクリア塗料、具体的には、IST731,IST732,IST733を構成する樹脂(ワニス成分)の平均分子量は、それぞれ、6000,6200,7000であった。このように、実施例1〜4では、下塗りにおいて、比較例1〜4に比して平均分子量の大きい樹脂を含むクリア塗料を用いたため、木質基材への塗料の浸透が均一となり、塗布ムラ、艶ムラが生じることなく、良好な木質感を発現させることができた。
次に、本発明の実施例5について説明する。本実施例5は、実施例1と比較して、下塗りクリア層形成工程を行わない(下塗りクリア層を形成しない)点のみが異なり、その他(着色工程、上塗りクリア層形成工程)については同様にして行った。
具体的には、まず、着色工程において、水性着色塗料を木質基材の表面に塗布し、熱風乾燥して着色層を形成した。詳細には、スポンジロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順で、これらの塗装機を用いて、木質基材の表面に水性着色塗料を2.0g/(30cm)2塗布した。その後、ヒータを用いて、水性着色塗料を熱風乾燥(100℃×1分)し(水分除去)、着色層を形成した。
具体的には、まず、着色工程において、水性着色塗料を木質基材の表面に塗布し、熱風乾燥して着色層を形成した。詳細には、スポンジロールコータ、リバースカキトリロール、ナチュラルロールコータの順で、これらの塗装機を用いて、木質基材の表面に水性着色塗料を2.0g/(30cm)2塗布した。その後、ヒータを用いて、水性着色塗料を熱風乾燥(100℃×1分)し(水分除去)、着色層を形成した。
次いで、上塗りクリア層形成工程において、上塗りクリア層を形成した。具体的には、実施例1と同様に、フローコータを用いて、水性クリア塗料(ナトコ株式会社製,商品名IST760)を6.0g/(30cm)2塗布した。次いで、上塗りの水性クリア塗料を熱風乾燥(50℃×3分)した後、UV乾燥機を用いて、上塗りの水性クリア塗料に300(mJ/cm2)の積算光量で紫外線を照射し、硬化させて上塗りクリア層を形成した。
本実施例5の木質材は、表1に示すように、表面の仕上がり外観がオープンとなった。この実施例5では、実施例1と同様に、導管が鮮明で、ローピングのない美観を有していた。また、塗布ムラ、艶ムラについては、実施例1に比してやや劣るものの、比較的良好であった。このように、実施例5では、1つのクリア層形成工程(上塗りクリア層形成工程)のみによってクリア層を1層のみ形成し、オープン仕上げとしたが、クリア塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができた。
以上により、本発明の製造方法を用いることで、仕上がり外観をオープンからクローズまで容易に調整することができ、オープンからクローズまでのいずれの仕上がり外観とした場合でも、塗料を均一に塗布することができ、導管等の凹部にも好適に塗布することができるといえる。
以上において、本発明を実施例1〜5に即して説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、実施例1,2,4では、2つのクリア層形成工程(下塗りクリア層形成工程及び上塗りクリア層形成工程)を設け、2つのクリア層(下塗りクリア層及び上塗りクリア層)を形成した。また、実施例3では、3つのクリア層形成工程(下塗りクリア層形成工程、中塗りクリア層形成工程、上塗りクリア層形成工程)を設け、3つのクリア層を形成した。また、実施例5では、1つのクリア層形成工程によって、クリア層を1つのみ形成した。しかし、クリア層形成工程の数は、1つ、2つあるいは3つに限定されるものではなく、いくつ設けても良い。
例えば、実施例1,2,4では、2つのクリア層形成工程(下塗りクリア層形成工程及び上塗りクリア層形成工程)を設け、2つのクリア層(下塗りクリア層及び上塗りクリア層)を形成した。また、実施例3では、3つのクリア層形成工程(下塗りクリア層形成工程、中塗りクリア層形成工程、上塗りクリア層形成工程)を設け、3つのクリア層を形成した。また、実施例5では、1つのクリア層形成工程によって、クリア層を1つのみ形成した。しかし、クリア層形成工程の数は、1つ、2つあるいは3つに限定されるものではなく、いくつ設けても良い。
Claims (3)
- 木質基材の表面側にクリア層を形成するクリア層形成工程を1または複数備える木質材の製造方法であって、
上記1または複数のクリア層形成工程では、いずれも、被塗装物と接触しない非接触塗装機を用いて、水性クリア塗料を塗布する
木質材の製造方法。 - 請求項1に記載の木質材の製造方法であって、
前記クリア層形成工程を少なくとも2以上備える
木質材の製造方法。 - 請求項1または請求項2に記載の木質材の製造方法であって、
前記水性クリア塗料は、紫外線硬化型の水性クリア塗料である
木質材の製造方法。
Priority Applications (1)
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JP2004121337A JP2004338388A (ja) | 2003-04-24 | 2004-04-16 | 木質材の製造方法 |
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JP2011005745A (ja) * | 2009-06-25 | 2011-01-13 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 抗アレルゲン性を有する木質板 |
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JP2015044347A (ja) * | 2013-08-28 | 2015-03-12 | Dic株式会社 | 木質積層材料及びその製造方法 |
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2004
- 2004-04-16 JP JP2004121337A patent/JP2004338388A/ja active Pending
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