JP2004338212A - 積層体 - Google Patents

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Akihiko Kurahashi
明彦 倉橋
Hiroyuki Nakagami
博行 中上
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Abstract

【課題】不織布と熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせた積層体に関して、使い捨てカイロ等の構成材料として適用した場合においても、使用時における不織布表面のぬめりやべとつきの発生を防ぐことができ、抗菌性や衛生性に優れるほか、使用感も良好な積層体を提供すること。
【解決手段】不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3からなる積層体1であって、前記不織布2の静菌活性値が2.2以上であり、かつ吸水率が0.1%以下であることを特徴とする積層体1。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層体に関する。更に詳しくは、優れた抗菌性及び疎水性のため良好な衛生感及び使用感を有し、靴用カイロをはじめとする使い捨てカイロ等の発熱体組成物収納袋の構成材料として好適な積層体に関する。
【0002】
【背景技術】
従来より、不織布と熱可塑性樹脂フィルム等を貼り合わせた積層体が提案されており、当該積層体は、例えば、当該積層体により袋体を形成して、その中に鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩、水等の発熱体組成物を収納した、いわゆる使い捨てカイロの包装用材料として用いられている。かかる使い捨てカイロは、前記した積層体の有する通気性により内部に空気(酸素)が取り込まれ、内部に存在する発熱性組成物が酸素と接触して発熱することによりカイロとしての機能を有し、しかも火を使わない安全なものであるため、従来の点火式カイロに代わるものとして広く用いられている。
【0003】
一方、かかる使い捨てカイロは、使用時においては、発熱体組成物が発熱するに際して水分を発生することや、また、人体からの発汗によっても、使い捨てカイロ及びカイロ周辺部が湿気を帯びた状態となる。従って、吸水性のある不織布を構成材料とするカイロの場合、かかる湿気のため不織布表面が汚れてしまい、かつ、ぬめりやべとつきを生じてしまうため使用感をも損ねてしまうという問題が生じていた。また、このような湿気が多い状態にあっては、菌類の繁殖をも促進させることとなり、特に、靴の中に入れて使用される、靴用(足用)タイプの使い捨てカイロなどの場合には、使用される環境自体が多湿な状態であるため、その現象が顕著であり、悪臭や水虫の原因にもなってしまっていた。
【0004】
また、従来の使い捨てカイロ用の包装材における前記の積層体を構成する不織布としては、ポリアミド(ナイロン)不織布やレーヨン不織布等が広く用いられてところ、吸水率が比較的小さいポリアミド(ナイロン)不織布であっても、その吸水率は1〜2%であったため、上記の問題が発生することが多かった。
【0005】
このような問題に対して、使い捨てカイロの抗菌性等を向上されるべく、下記に示す技術が提案されていた。例えば、封入される発熱体組成物に抗菌作用を付与すべく、ゼオライト等の発熱体組成物に対して抗菌性香料物質及びキトサンを配合して得られる発熱剤を包材に入れた袋体についての技術が提案されていた(例えば、特許文献1)。また、包材を構成する接着層に抗菌性を付与した例としては、抗菌剤を配合したホットメルト型の接着剤物質からなる繊維を多孔状態に配置した抗菌多孔性接着層を介して多孔質フィルムと通気性基材を接着してなる多孔シートについての技術が提案されていた(例えば、特許文献2)。更には、収納袋に抗菌性を付与したことを特徴とする靴用使い捨てカイロに関する技術も開示されていた(例えば、特許文献3)。
【0006】
【特許文献1】
特開平6−181976号公報(第1−5頁)
【特許文献2】
特開平11−50019号公報(第1−6頁)
【特許文献3】
特開平9−285480号公報(第1−3頁)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、発熱体組成物に抗菌剤等を混合した場合にあっては、抗菌剤が当該組成物の影響を受けてしまったり、また、当該組成物の発熱作用により変質してしまう場合があり、十分な抗菌効果を発揮することができなかった。また、包材を構成する接着層に抗菌性を付与した場合には、当該接着層が、包材の内部に存在することから、不織布表面において抗菌効果を発揮させることは困難であった。そして、収納袋の抗菌性を改善しただけでは、菌類の繁殖は抑制することができるものの、使い捨てカイロ表面のぬめりやべたつきを防止するところまでには至らない場合が多く、よって、使用感が悪く、長い間使用すると表面が汚れてしまうという問題は残されたままであった。
【0008】
従って、本発明の目的は、不織布と熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせた積層体に関して、使い捨てカイロ等の構成材料として適用した場合においても、使用時における不織布表面のぬめりやべとつきの発生を防ぐことができ、抗菌性や衛生性に優れるほか、使用感も良好な積層体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の好ましい特性を有する積層体、特に、積層体の構成材料である不織布の抗菌性能及び疎水性能について鋭意検討を重ねた結果、静菌活性度及び吸水率が特定の不織布を用いることにより、前記の課題を解決でき、使い捨てカイロ等の発熱体組成物等を収納する包装材料として好適となることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものである。
【0010】
すなわち、本発明の積層体は、不織布と熱可塑性樹脂フィルムからなる積層体であって、前記不織布の静菌活性値が2.2以上であり、かつ吸水率が0.1%以下であることを特徴とするものである。
【0011】
本発明の積層体は、前記したように、不織布と熱可塑性樹脂フィルムを基本構成とする積層体である。本発明における不織布を構成する材料としては、吸水性の少ない(疎水性に優れる)材料として知られるポリオレフィン系樹脂、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂を使用することが好ましい。ポリプロピレン系樹脂としては、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)、あるいはプロピレンとエチレンとのランダムコポリマーやブロックコポリマー等の一種又は二種以上を使用することができる。本発明の積層体においては、使い捨てカイロ等の発熱体組成物を収納する収納袋に適用されることを考慮すれば、耐熱性に優れるホモポリプロピレン(HPP)を使用することが好ましい。前記したポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂で不織布を構成すると柔軟性に優れた不織布が得られるところ、一般に、不織布に対して、ポリエチレン系樹脂はしっとりとした使用感を与えることができ、また、ポリプロピレン系樹脂はさらっとした使用感を与えることができる。更には、これらのポリオレフィン系樹脂は、高い生産性を有し、不織布のコストを低減できるという利点もある。
【0012】
本発明の積層体を構成する不織布は、抗菌性能として、静菌活性値が2.2以上、好ましくは3.0以上であり、かつ、疎水性として、吸水度が0.1%以下、好ましくは0.05%以下であることを特徴とする。不織布の静菌活性値及び吸水率がかかる値であることにより、抗菌性及び疎水性に優れるものとなり、積層体にかかる特性を付与することができることとなり好ましい。なお、静菌活性値が2.2以上であることは、繊維製品新機能評価協議会(SEK)の定める静菌評価の基準にも適応できるものである。
【0013】
不織布に前記の抗菌性能を付与するためには、例えば、不織布を構成する樹脂材料中にあらかじめ抗菌成分を配合ないし練り込んでおき、当該樹脂を用いて紡糸された、抗菌成分を配合した繊維により構成される不織布とする手段や、また、あらかじめ製造された不織布に抗菌成分をバインダー成分とともに表面に塗布する手段が挙げられる。なお、後者の塗布手段を用いた場合にあっては、得られた不織布で使い捨てカイロ等を調製した場合に、抗菌成分とともに塗布されるバインダー成分がぬめり感を発生させる場合があるため、繊維素材樹脂中に抗菌成分を配合等して、不織布を調製する手段をとることが好ましい。
【0014】
また、適用可能な抗菌成分の種類としては、例えば、銀、亜鉛または銅等の金属またはそれらのイオン等の無機系抗菌剤や、キトサンまたはその誘導体、フェノール系化合物、テルペン系化合物等の有機系抗菌剤を挙げることができる。不織布を構成する樹脂材料中にあらかじめ抗菌成分を配合等する場合にあっては、不織布の製造時に当該樹脂を溶融する際において抗菌成分に熱が加えられることにより抗菌成分が変性してしまう場合があるため、熱安定性のよい銀、亜鉛及び銅等の金属又はそれらのイオン等の無機系抗菌剤を適用することが好ましい。
【0015】
不織布に対する抗菌成分の含有量は、使用される抗菌成分及び不織布の種類や適用される環境等に従い、静菌活性値が2.2以上になるように適宜調整すればよいが、一般に、不織布全体に対して、0.01〜1.0質量%(以下、「%」とする)程度とすればよい。
【0016】
なお、不織布の抗菌性を示す指標である静菌活性値は、例えば、JIS L1092による統一試験定量方法を採用することにより測定すればよい。具体的には、試験菌体として黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)を用い、試験方法として、滅菌試料布に対して前記の黄色ブドウ球菌のブイヨン懸濁液を注加して、密閉容器内で37℃、18時間培養後の生菌数を測定し、植菌数に対する菌数を求めて、下記の式(I)に従って算出すればよい。
【0017】
【化1】
静菌活性値 = log(B/C) …… (I)
(試験成立条件として、log(B/A)>1.5)
ここで、
A: 標準白布に関する接種直後に分散回収した菌数
B: 標準白布に関する18時間培養後に分散回収した菌数
C: 対象となる不織布に関する18時間培養後に分散回収した菌数
【0018】
また、同様に、不織布の吸水性を示す指標である吸水率については、試験片(サイズ 100mm×100mm)を50℃の温水中に5時間浸漬させて、試験片の浸漬前と浸漬後の重量から下記式(II)により算出すればよい。
【0019】
【化2】
Figure 2004338212
【0020】
また、本発明を構成する不織布の種類としては、特に制限はないが、例えば、スパンレース不織布、熱風ガード不織布、熱エンボスガード不織布等のカード方式で製造された乾式不織布、スパンボンド不織布、メルトブロー不織布、フラッシュ紡糸不織布、トウ開繊式不織布等の公知の不織布が挙げられる。これらの中でも、強度や生産性、製造コスト等の点から、長繊維より構成され製造工程が簡略なスパンボンド不織布を使用することが好ましい。スパンボンド不織布は、一般に、化学繊維を溶融紡糸し、シート状(ウェブ状)とした後、その一部を熱接着して、不織布の形態としたものである。更に、不織布は、一種類の樹脂からなる不織布であってもよく、また、二種以上の樹脂からなる不織布であっても構わない。
【0021】
本発明の積層体を構成する不織布の目付量としては、特には限定されないが、一般に5〜100g/m程度であればよく、20〜50g/m程度であることが好ましい。不織布の目付量をこの範囲にすることにより、十分な風合いを有する不織布が得られるため好ましい。その一方で、目付量が5g/mより小さいと、不織布の風合いが悪くなり、また、目付量が100g/mより大きいと、不織布が硬くなる場合があり、人肌に触れる用途として適さないためそれぞれ好ましくない。
【0022】
また、不織布を構成するの繊維の太さとしては、特には限定されないが、一般に、1〜20デニールであることが好ましく、2〜10デニールであることがより好ましい。不織布を構成する繊維の太さがこの範囲であれば、人肌に触れる用途として好適な不織布が得られる一方、不織布を構成する繊維の太さが1デニールより小さいと、不織布表面のケバが発生し易くなり、また、繊維の太さが20デニールより大きいと、不織布の風合いが劣る場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0023】
次に、本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂フィルムとしては、ヒートシール性を有する材料を用いることが好ましく、例えば、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂等のポリオレフィン系樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)系樹脂、エチレン−メタアクリル酸共重合体等のオレフィン系共重合体樹脂等の一種又は二種以上を使用することができる。また、ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等が挙げられ、また、ポリプロピレン系樹としては、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)等が挙げられる。本発明の積層体においては、これらのうち、安価であり、かつ、ヒートシール性ないし低温シール性、ホットタック性及び機械的強度等の諸性能にも優れるポリオレフィン系樹脂を使用することが好ましい。
【0024】
本発明の積層体を構成する熱可塑性樹脂フィルムは、発熱体組成物の発熱量を調整するために通気孔が設けられていることが好ましい、熱可塑性樹脂フィルムに通気性を持たせるためには、機械的に針で孔を空ける方法と、フィルム成形時に無機フィラー等を添加し、一軸あるいは二軸で延伸する、いわゆる多孔質フィルムを用いる方法とがあるが、本発明においては、使い捨てカイロ等の構成材料、特に靴用カイロの構成材料という用途を考慮すれば、多孔質フィルムとすることが好ましい。
【0025】
かかる多孔質フィルムを調製するには、例えば、前記した熱可塑性樹脂に、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、炭酸バリウム等の無機フィラーを含有させた混合材料とし、当該材料をインフレーション成形法、Tダイ成形法等の従来公知の成形方法を用いて押出ないし1軸または2軸延伸することにより得ることができる。当該無機フィラーの含有量は、原料樹脂であるポリオレフィン系樹脂100重量部に対して、20〜400重量部とすればよい。また、当該無機フィラーの平均粒径としては、30μm以下、好ましくは0.2〜10μm程度のものを使用すればよい。
【0026】
本発明を構成する熱可塑性樹脂フィルムの平均孔径としては、一般に、0.1〜50μmが好ましく、0.1〜30μmがより好ましい。フィルムの平均孔径がかかる範囲であれば、良好な通気性が得られるため好ましい。
【0027】
本発明を構成する熱可塑性樹脂フィルムの透湿度としては、100〜5000g/m・日であることが好ましく、200〜2000g/m・日であることが更に好ましい。フィルムの透湿度は、JIS Z0208(カップ法)に準拠して測定すればよい。
【0028】
本発明を構成する熱可塑性樹脂フィルムの厚さとしては、一般に15〜200μmが好ましく、20〜100μmとすることが特に好ましい。熱可塑性樹脂フィルムの厚さが15μmより小さいと、不織布と接着した際に所定の剥離強度を発現できない場合がある。また、当該フィルムの厚さが200μmより大きいと、不織布と貼り合わせた積層体が固くなりすぎてしまい、肌触り等が悪くなる場合があり、人肌に触れる用途として適さなくなるため好ましくない。
【0029】
また、熱可塑性樹脂フィルムは、単層構造であってもよく、また、前記した樹脂を積層した多層構造としてもよい。
【0030】
本発明の積層体は、前記した不織布と熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせて積層することにより調製される。当該積層手段としては、積層された際及び使い捨てカイロ等の構成材料として適用された際に十分な貼り合わせ強度を確保できるものであれば特に制限はないが、熱可塑性樹脂フィルムとして多孔質フィルムを用いる場合には、層間に接着剤を介して貼り合わせ接着・積層を行うことが好ましい。当該接着剤等を用いて貼り合わせ接着を実施する手段としては、特に制限はなく、例えば、ホットメルトラミネート法、ウェットラミネート法、ドライラミネート法等の従来公知の貼り合わせ手段を適用することができる。また、熱可塑性樹脂フィルムに対して機械的に小孔を空ける場合等には、押出ラミネート法を用いることができる。なお、本明細書において、「接着剤」とは、接着剤そのものの他、粘着剤をも含む意味である
【0031】
また、前記の手段により、不織布と熱可塑性樹脂フィルムを貼り合わせ接着するために用いられる接着剤の種類としては、例えば、前記したホットメルトラミネート法を実施する際に用いられる接着剤としては、スチレン系、オレフィン系、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ウレタン系等の熱可塑性樹脂接着剤等を成分とするものが挙げられる。また、ウェットラミネート法を実施する際に用いられる接着剤としては、酢酸ビニル、スチレン・アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、アクリル酸エステル共重合体等を成分とするものが挙げられる。更には、ドライラミネート法で用いられる接着剤としては、ポリエーテル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル/脂肪族イソシアネート系樹脂、イソシアネート系樹脂等を成分とする接着剤等が挙げられる。
【0032】
本発明の積層体は、不織布と熱可塑性樹脂フィルムとの剥離強度を2N/15mm以上とすることが好ましい。剥離強度をこの値以上とすることにより、両層間での層間剥離が生じにくくなり、実用上も問題なくなるため好ましい。その一方で、剥離強度が2N/15mmより小さいと、カイロ用の包装材料等として用いた場合にあっては、当該基材を用いて熱シール等により包装体を形成した際に、積層体の層間剥離により破袋する場合があるため好ましくない。かかる剥離強度は、引張強度100mm/分でT型剥離(180度剥離)を行った場合の、15mm幅当たりの最大強度を求めればよい。
【0033】
本発明の積層体は、空気(酸素)の存在下で発熱する性質を有する発熱体組成物を収納する発熱体組成物収納袋を構成する材料として適用することが好ましく、例えば、使い捨てカイロ用の構成材料として適用することが好ましい。
【0034】
前記使い捨てカイロを調製するには、例えば、熱可塑性樹脂フィルムが直接重なるように、本発明の積層体を2枚重ね、鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩等の発熱体組成物を所定量充填しながら、四方を熱シール機等でヒートシールすることにより袋状に加工する等の方法が挙げられる。
また、人体、衣服に貼付して使用される使い捨てカイロの場合にあっては、あらかじめ粘着加工が施された、ポリオレフィン系の樹脂、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等の樹脂からなるフィルムと本発明の積層体とを、発熱体組成物を所定量充填しながら四方を熱シール機等でヒートシールすることにより、袋状に加工してもよい。
【0035】
本発明の積層体は、疎水性及び抗菌性に優れるものであるので、多湿な使用環境が想定される、例えば靴の中に入れて使用される、靴用(足用)タイプの使い捨てカイロ(いわゆる靴用カイロ。以下同じ)などの用途にも好適に使用することができる。
【0036】
かくして得られる本発明の積層体は、構成材料の不織布の静菌活性値が2.2以上であり、かつ吸水率が0.1%以下であるため、疎水性及び抗菌性に優れた積層体となるとともに、例えば、使い捨てカイロ等の発熱体組成物収納袋の構成材料として適用した場合においても、当該使い捨てカイロにかかる特性を付与することができるため、カイロ表面におけるぬめりやべたつきの発生を防止し、良好な使用感を与えることができる。また、菌類の繁殖を防止することができることから、衛生的にも優れ、長期間使用しても汚れにくい積層体ないしは使い捨てカイロを提供することを可能とする。
【0037】
そして、本発明の積層体は、前記した使い捨てカイロ用の構成材料として適用するほか、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート等の構成材料としても有利に使用することができるものである。
【0038】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
図1は、本発明の積層体の一態様を示した概略図であり、図2は図1のII−II断面図である。図1及び図2中、1は積層体、2は不織布、3は熱可塑性樹脂フィルム、4は接着剤層、をそれぞれ示す。
【0040】
本発明の積層体1は、図1及び図2に示されるように、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを積層した構成をとる。また、本態様では、当該不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3との層間に、接着剤層4が設けられている。
【0041】
本態様の積層体1を構成する不織布2としては、抗菌性能として、JIS L1902に準拠した統一試験方法で測定した静菌活性値が約5.6であり、かつ、吸水率が0.1%以下の不織布2を使用している。
【0042】
本態様においては、不織布2の構成材料として、耐熱性の高いホモポリプロピレン樹脂を用い、銀、亜鉛または銅等の金属またはそれらのイオン等の無機系抗菌剤を配合した材料であり、かかる抗菌成分の含有量は、不織布2全体に対して約0.5%程度である。また、不織布2の種類としては、スパンボンド不織布が用いられている。
【0043】
本実施形態における不織布2の目付量は、約40g/mである。不織布2の目付量としては、5〜100g/m程度であればよく、20〜50g/m程度であることが好ましい。目付量が5g/mより小さいと、不織布2の風合いが悪くなり、また、目付量が100g/mより大きいと、不織布2が固くなる場合があり、人肌に触れる用途として適さないためそれぞれ好ましくない。
【0044】
また、不織布2を構成する繊維の太さとしては、約3デニールである。不織布2の繊維の太さは、1〜20デニールであることが好ましく、2〜10デニールであることがより好ましい。不織布2を構成する繊維の太さが2デニールより小さいと、当該不織布2表面のケバが発生し易くなり、また、繊維の太さが20デニールより大きいと、不織布2の風合いが劣る場合があるため、それぞれ好ましくない
【0045】
次に、積層体1を構成する熱可塑性樹脂フィルム3としては、本態様では、熱可塑性樹脂である直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)樹脂に炭酸カルシウム等の無機フィラーを含有させた混合材料を構成材料とした、単層構造の多孔質フィルムが用いられている。本実施形態においては、無機フィラーの含有量は、直鎖状低密度ポリエチレン100重量部に対して、約120重量部程度である。
【0046】
熱可塑性樹脂フィルム3の調製は、前記した混合材料を、インフレーション成形法、Tダイ成形法等の従来公知の成形方法を用いて押出ないし1軸または2軸延伸することにより得ることができる。本実施形態において、熱可塑性樹脂フィルム3の透湿度は、100〜5000g/m・日である。
【0047】
本実施形態における熱可塑性樹脂フィルム3の厚さとしては、約80μmで
ある。当該フィルムの厚さは、一般に15〜200μmが好ましく、20〜100μmとすることが特に好ましい。熱可塑性樹脂フィルム3の厚さが15μmより小さいと、不織布2とヒートシールして製袋化した際に所定のシール強度を発現できない場合がある。また、熱可塑性樹脂フィルム3の厚さが200μmより大きいと、不織布2と貼り合わせた積層体1が硬くなりすぎてしまい、肌触り等が悪くなる場合があり、人肌に触れる用途として適さなくなるため好ましくない。
【0048】
不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3との積層方法としては、例えば、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3を、接着剤を用いて、ホットメルトラミネート法、ドライラミネート法、ウェットラミネート法等の従来公知の貼り合わせ手段を適用して、両者を接着貼り合わせて積層体1とする方法が挙げられる。
【0049】
また、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3との間の接着剤層4としては、ポリアミド系接着剤4aが用いられている。
【0050】
以下、前記図1及び図2に示す構成の積層体1を製造する製造装置について、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを、積層方法としてホットメルトラミネート法を用いた態様を例として説明する。
【0051】
図3に示されるホットメルトラミネート装置10は、加熱パン11と、アプリケーターロール12と、バックアップロール13と、第1繰出機14と、押圧ロール15と、冷却ロール16と、第2繰出機17と、巻取機18と、スリッター19、ガイドロール20及びロール21を基本構成として備えている。
【0052】
加熱パン11は、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを貼り合わせ接着・積層するためのホットメルト接着剤4aを入れておくためのものであり、ホットメルト接着剤4aを溶融状態にすべく加熱機構が備えられている。また、接着剤4aの供給については、別の容器(図示しない)で溶融状態としたものを加熱パン11に流入させるようにしてもよい。
【0053】
アプリケーターロール12は、前記ホットメルト接着剤4aを、第1繰出機14から送り出された不織布2に塗布させるものであり、バックアップロール13との間に生じる圧力の微変動を利用して、ホットメルト接着剤4aを不織布2に塗布する機構を有する。当該アプリケーターロール12等も加熱機構を有することが好ましい。
【0054】
また、第1繰出機14は、例えば、不織布2を取り付けておくことが可能で、また、当該不織布2を送り出すためのものである。この第1繰出機14の大きさや方式等は特に制限はなく、任意の大きさや方式のものを適用することができる。
【0055】
押圧ロール15は、後記する冷却ロール16との間に挿通される不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを押圧するためのものである。押圧ロール15の材質は、特に制限はないが、押圧ロール15の表面は、ゴム等の弾性部材で構成されているものが好ましい。
【0056】
冷却ロール16は、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3を冷却するものであり、例えば、水冷式、空冷式等各種形式の冷却ロールを使用することができる。
【0057】
更には、第2繰出機17は、例えば、熱可塑性樹脂フィルム3を取り付けておくことが可能で、また、当該フィルム3を送り出すためのものである。第2繰出機17の大きさや方式等も、第1繰出機14と同様に、特に制限はなく、任意の大きさや方式等を適用することができる。
【0058】
そして、巻取機18は、ホットメルトラミネートにより貼り合わせ接着・積層された不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とからなる積層体1を巻き取るためのものである。この巻取機18の大きさや方式等は、特に制限はない。
【0059】
本発明の積層体1は、前記した図3に示す装置10を用いて、以下の手段で製造することができる。すなわち、まず、第1繰出機14に、あらかじめ不織布2を取り付けておき、また、第2繰出機17には、熱可塑性樹脂フィルム3を取り付けておく。そして、加熱パン11に、前記不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを貼り合わせ接着・積層する接着剤層4となるポリアミド系接着剤4aを入れておく。そして、第1繰出機14から不織布2を、第2繰出機17から熱可塑性樹脂フィルム3をそれぞれ送り出す。
【0060】
次に、加熱パン11内で溶融(ホットメルト)状態となっているポリアミド系接着剤4aを、アプリケーターロール12を介して、第1繰出機14から送り出された不織布2の表面上に塗布する。ポリアミド系接着剤4aが塗布された不織布2は、ガイドロール20を通じて、第2繰出機17から送り出された熱可塑性樹脂フィルム3と対向する。
【0061】
不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3は、押圧ロール15と冷却ロール16との間を挿通する。押圧ロール15は、不織布2側より押圧して、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを、接着剤層4であるポリアミド系接着剤4aを介して十分に密着状態とするはたらきをもつ。
【0062】
冷却ロール16は、挿通されてくる材料を冷却する機能を有しており、両材料間に存在するポリアミド系接着剤4aを冷却固化させる。このようにして、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とをポリアミド系接着剤4aにより確実に貼り合わせ接着して、積層が完了する。
【0063】
そして、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とを貼り合わせ接着・積層した積層体1は、冷却ロール16を回り込み、ロール21との間を挿通して、スリッター19により積層体1の幅を調整した後、巻取機18に巻かれることになる。上記の製法により得られた本発明の積層体1の、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3との剥離強度は、約2N/15mmとなる。
【0064】
また、本実施形態に係る積層体1は、空気(酸素)の存在下において発熱する発熱体組成物31を収納する発熱体組成物の収納袋の構成材料として用いられることが好ましく、具体的には、図4及び図5に示されるような形態の使い捨てカイロ30用の構成材料として用いられることが好ましい。
【0065】
図4は使い捨てカイロ30の一態様を示した概略図であり、図5は図4のV−V断面図である。図4及び図5に示す使い捨てカイロ30は、例えば、スリットされた積層体1を2枚貼り合わせるようにダイロール(図示しない)に投入され、内部に発熱体組成物31を収納し、その後カットされて袋状物を得る。なお、使い捨てカイロ30は、熱可塑性樹脂フィルム3同士が向き合うように、積層体1を2枚貼り合わせたものである。積層体1の各辺は、ヒートシールされてヒートシール部33となる。
【0066】
使い捨てカイロ30の製造手順としては、従来公知のダイロール方式の自動充填製袋機(図示しない)にて、本発明の積層体1を、熱可塑性樹脂フィルム3同士が向き合うように、2枚重ねて貼り合わせる。そして、発熱体組成物31を積層体1に充填しながら、各ヒートシール部33が形成される。なお、発熱体組成物31は、鉄粉、水、木粉、活性炭、無機塩等であり、空気(酸素)の存在下にて発熱する特性をもつ。そして、かかる使い捨てカイロ30は、疎水性及び抗菌性に優れるものであるので、多湿な使用環境が想定される、いわゆる靴用カイロなどの用途にも好適に使用することができるものである。
【0067】
前記した本発明の実施形態によれば、次に挙げるような効果を得ることができる。まず、本実施形態における積層体1は、構成材料である不織布2に関して、抗菌性として、静菌活性値が5.6であり、かつ、吸水性(疎水性)として、吸水率が0.1%以下の不織布を用いているため、疎水性及び抗菌性に優れた積層体1となるとともに、例えば、使い捨てカイロ30等の発熱体組成物収納袋の構成材料として適用した場合においても、当該使い捨てカイロ30にこれらの特性を付与することができるため、カイロ30表面におけるぬめりやべたつきの発生を防止し、当該カイロ30に良好な使用感を与えることができる。また、菌類の繁殖を防止することができることからも、衛生的にも優れた積層体1を提供することを可能とするものである。
【0068】
また、本態様においては、不織布2の構成材料としてホモポリプロピレン用いているため、積層体1に対して優れた耐熱性を付与できるほか、さらっとした使用感を有するものであり、使い捨てカイロ30等の構成材料として適用した場合にあっても好適な使用感を与えることができる。更には、不織布2の種類をスパンボンド不織布とすることにより、構成する繊維が連続長繊維であるため、積層体1に優れた柔軟性、風合い及び強度を付与することができるとともに、製造コストの削減を図ることができる。
【0069】
不織布2は、前記ホモポリプロピレンに銀等の抗菌成分を配合した材料を用いて得られた不織布2であるため、あらかじめ製造された不織布2に抗菌成分をバインダー成分とともに表面に塗布する手段と比較しても、得られた不織布2で使い捨てカイロ30等を製造した場合に、抗菌成分とともに塗布されるバインダー成分がぬめりを発生させることもなく、良好な使用感を得ることができる。
【0070】
更には、熱可塑性樹脂フィルム3として、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いた多孔質フィルムを採用しているため、使い捨てカイロ30用の構成材料として使用された場合にあっても、適度な通気性を有し、かつ、発熱体組成物31の発熱量を容易に調整することができるため、当該カイロ30の機能を好適に発揮させることが可能な積層体1とすることができる。
【0071】
そして、積層体1の不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3の剥離強度は、約2N/15mm以上であるため、使い捨てカイロ30の構成材料とした場合であっても、当該カイロ30内に収納される発熱体組成物31等の熱によって、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3とが剥がれたりすることを防止することができ、この点においても、使い捨てカイロ30の構成材料として好適である。
【0072】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としてもよい。
【0073】
例えば、前記の実施形態において、不織布2として、ホモポリプロピレンを構成材料とし、また、不織布2の種類としても、スパンボンド不織布の例を示したが、これには限定されない。
【0074】
また、不織布2に抗菌性を付与させるために、構成材料である前記ホモポリプロピレンに銀等の抗菌成分を配合した材料を用い、当該材料を用いて得られた不織布を用いているが、これには限定されず、不織布2の静菌活性値及び吸水率について前記した要件を具備するものであれば、不織布2の構成は任意のものであってよい。
【0075】
熱可塑性樹脂フィルム3を構成する熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン樹脂を用いた例を示したが、これには限定されず、他のポリオレフィン系樹脂等を使用することができる。
【0076】
また、熱可塑性樹脂フィルム3は、前記の直鎖状低密度ポリエチレンと炭酸カルシウム等の無機フィラーを混合した混合樹脂をフィルム化した多孔質フィルムを用いた例を示したが、これには限定されない。また、熱可塑性樹脂フィルム3は、機械的に複数の小孔を空ける等の手段を用いたものであってもよい。
【0077】
熱可塑性樹脂フィルム3は、単層構造のものを例示したが、これには限定されず、前記した熱可塑性樹脂や、当該樹脂を異なる製法で調製したものとの多層構造とするほか、これらの樹脂のブレンド材料を使用しても構わない。
【0078】
多孔質フィルムである熱可塑性樹脂フィルム3は、前記混合樹脂をインフレーション成形法、Tダイ成形法の従来公知の成形方法を用いて押出ないし1軸または2軸延伸されたフィルム状のものを例として示したが、当該熱可塑性樹脂フィルム3の構成や製法は特には限定されず、熱可塑性樹脂フィルム3となりうるものであれば従来公知のものを使用することができる。
【0079】
更には、不織布2と熱可塑性樹脂フィルム3を積層する手段としても、図3に示した装置を用い、ホットメルトラミネート方式により貼り合わせ接着・積層した例を示したが、これには限定されず、ドライラミネート方式、ウェットラミネート方式等、両材料を貼り合わせ可能であれば任意の手段を適用させることができる。また、ホットメルトラミネート方式により積層を行うに際して使用する接着剤4aも、ポリアミド系接着剤4aを例として示したが、これには限定されず、不織布2並びに熱可塑性樹脂フィルム3の種類及び両者を接着する手段等に応じて適宜決定すればよい。
【0080】
なお、図3の装置10は、ホットメルトラミネート法を実施するための一態様を示したに過ぎず、装置の形状や構造等は任意のものを適用させても何ら問題はない。また、当該装置を用いることにより得られた積層体1の剥離強度も、本実施態様に示される値には限定されず、使い捨てカイロ30等の発熱体組成物収納袋の構成材料として適するものであれば、その特性は任意のものであってよい。
【0081】
更には、本発明の積層体1を構成材料とする使い捨てカイロ30も、図4のように、スリットされた積層体1を2枚貼り合わせるようにして形成されていたが、これには限定されず、例えば、1枚の積層体1を、折り返し部32を形成して半折りにすることにより構成される、図6に示すような態様のものであってもよい。
【0082】
そして、例えば、図7及び図8に示すように、本発明の積層体1と、粘着加工が施されたフィルム、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のオレフィン系の樹脂等からなるのフィルムとを貼り合わせて袋状に加工して形成するようにしてもよい。
【0083】
図7及び図8は、使い捨てカイロ30の他の態様を示した図であり、図7は概略図、図8は図7のVIII−VIII断面図である。本態様は、前記した図4の態様とは、本発明の積層体1と、粘着層7が形成された離型紙6付きフィルム5とを貼り合わせている点において相違するものである。
【0084】
図7に示される使い捨てカイロ30の調製は、前記した図4のカイロ30と同様な製造手順と同様に、積層体1の熱可塑性樹脂フィルム3とフィルム5が向き合うように貼り合わせてヒートシールすればよく、また、使用時には、離型紙6を剥がして、粘着層7を人体や衣服等に被着させればよい。
【0085】
そして、本発明の積層体1の適用例としては、靴用カイロを例とした使い捨てカイロ30用の包装材の態様を示したが、これには限定されず、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート等に適用させてもよい。
【0086】
【実施例】
次に、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
【0087】
〔実施例1〕
(A)熱可塑性樹脂多孔質フィルムの調製:
熱可塑性樹脂として、直鎖状低密度ポリエチレンを用い、当該樹脂100重量部に対して炭酸カルシウム120重量部を配合した混合材料を、Tダイキャスト成形法を用いて押出し、延伸倍率を4倍として一軸で延伸処理して、厚さ80μmの熱可塑性樹脂多孔質フィルムを得た。かかる熱可塑性樹脂多孔質フィルムの透湿度は600g/m・日であった。
【0088】
前記(A)で得た熱可塑性樹脂多孔質フィルムと、不織布として、銀系抗菌剤を不織布内に練り込んだポリプロピレンスパンボンド不織布(ストラガード GN2040:出光ユニテック(株)製、目付 40g/m、静菌活性値 5.8、吸水率 0.01%以下)とを、接着剤としてポリアミド系ホットメルト接着剤を用い、図3に示す製造装置によりホットメルトラミネートして貼り合わせて積層体を製造した。
【0089】
〔比較例1〕
不織布として、ポリアミド不織布(エルタスN05040:旭化成(株)製、目付 40g/m、静菌活性値 0.2、吸水率 1.8%)を使用した以外は、実施例1と同様な装置及び方法により、積層体を製造した。
【0090】
〔比較例2〕
不織布として、抗菌成分を配合しないポリプロピレン不織布(ストラテック RW2040:出光ユニテック(株)製、目付 40g/cm、静菌活性値 0.5、吸水率 0.01%)を使用した以外は、実施例1と同様な装置及び製法により、積層体を製造した。
【0091】
〔比較例3〕
比較例1で使用したポリアミド不織布(エルタスN05040:旭化成(株))に、フェノール系抗菌剤をアクリル系バインダー成分に配合した混合液をグラビア方式により塗工したもの(目付 40g/m、静菌活性値 4.6、吸水率 1.2%)を不織布として用いた以外は、実施例1と同様な装置及び製法により、積層体を製造した。
【0092】
[試験例1]
上記の実施例1及び比較例1〜3で得られた各積層体について、下記の製造条件を用いて靴用カイロを調製し、当該カイロの触感について、下記の評価条件にて比較・評価した。結果を表1に示す。
【0093】
( 靴用カイロの調製 )
積層体を2枚重ね合わせて、その間に発熱体組成物を入れた。次に、この重ね合わせた積層体の四方を市販されるヒートシール機により、シール条件(温度)を120℃としてヒートシールして貼り合わせて、図4に示す形状の、サイズ縦7.5cm×横4cmの靴用カイロを調製した。なお、発熱体組成物は、鉄粉6g、活性炭0.7g、塩化ナトリウム0.3g、メタケイ酸ナトリウム0.1g、木粉0.2g、吸水性樹脂0.3g及び水3.4gの混合物(計11.0g)とした。
【0094】
( 靴用カイロの触感評価 )
前記の製法により調製された靴用カイロの触感を、20人のパネルにカイロをパネル各人のつま先に入れて使用してもらい、2時間使用後のカイロを手で触った感触を下記の評価基準にて判定して、パネルのうちもっとも多い判定を評価結果とした。結果を表1に示す。
【0095】
Figure 2004338212
【0096】
( 評価結果 )
【表1】
Figure 2004338212
【0097】
表1の結果からわかるように、不織布の静菌活性値が2.2以上であり、かつ吸水率が0.1%以下である実施例1の積層体を構成材料とした靴用カイロは、2時間使用後であっても、良好な肌触りを有するものであった。一方、比較品1〜3の積層体を構成材料とする靴用カイロは、いずれも2時間使用後においてはカイロの表面にぬめりやべとつきを生じており、肌触りが悪かった。この結果より、本発明の積層体が、湿気の多い環境で使用される靴用カイロ用の構成材料としても好適なことが確認できた。
【0098】
【発明の効果】
本発明の積層体は、疎水性及び抗菌性に優れた積層体であるため、例えば、使い捨てカイロ等の発熱体組成物収納袋の構成材料として適用した場合においても、カイロ表面におけるぬめりやべたつきの発生を防止することができ、良好な使用感を与えることができる。また、優れた抗菌性から菌類の繁殖を防止することができ、衛生性も良好で、長期間使用しても汚れにくい積層体ないしは使い捨てカイロを提供することを可能とする。
【0099】
従って、本発明の積層体は、靴用カイロ等をはじめとする使い捨てカイロのほか、温シップ、発熱シップ、エステ用発熱シート用の構成材料等として好適な積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の積層体の一態様を示した概略図である。
【図2】図1のII−II断面図である。
【図3】本発明の積層体を製造する製造装置の一態様である、ホットメルトラミネート装置を示すブロック図である。
【図4】本発明の積層体により構成される使い捨てカイロの一態様を示した概略図である。
【図5】図4のV−V断面図である。
【図6】使い捨てカイロの他の態様を示した概略図である。
【図7】使い捨てカイロのもう一つの態様を示した概略図である。
【図8】図7のVIII−VIII断面図である。
【符号の説明】
1 積層体
2 不織布
3 熱可塑性樹脂フィルム
4 接着剤層
4a ポリアミド系接着剤
5 フィルム
6 離型紙
7 粘着層
10 ホットメルトラミネート装置
11 加熱パン
12 アプリケーターロール
13 バックアップロール
14 第1繰出機
15 押圧ロール
16 冷却ロール
17 第2繰出機
18 巻取機
19 スリッター
20 ガイドロール
21 ロール
30 使い捨てカイロ
31 発熱体組成物
32 折り返し部
33 ヒートシール部

Claims (8)

  1. 不織布と熱可塑性樹脂フィルムからなる積層体であって、前記不織布の静菌活性値が2.2以上であり、かつ吸水率が0.1%以下であることを特徴とする積層体。
  2. 請求項1に記載の積層体において、前記不織布が抗菌成分を配合した繊維により構成されていることを特徴とする積層体。
  3. 請求項1または請求項2に記載の積層体において、抗菌成分が、銀、亜鉛、銅及びこれらのイオンからなる群から選ばれた一種又は二種以上であることを特徴とする積層体。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の積層体において、前記熱可塑性樹脂フィルムが多孔質フィルムであることを特徴とする積層体。
  5. 請求項1ないし請求項4の何れかに記載の積層体において、前記熱可塑性樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂で構成されることを特徴とする積層体。
  6. 請求項1ないし請求項5の何れかに記載の積層体において、発熱体組成物を収納する発熱体組成物収納袋の構成材料として適用されることを特徴とする積層体。
  7. 請求項6に記載の積層体において、前記発熱体組成物収納袋が、使い捨てカイロ、発熱シップ及びエステ用発熱シートよりなる群から選ばれたものである積層体。
  8. 請求項7に記載の積層体において、使い捨てカイロが靴用カイロである積層体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN114555313A (zh) * 2019-10-18 2022-05-27 Dic株式会社 成形品的制造方法

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