JP2004338176A - インクジェット記録装置 - Google Patents

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Koichi Kumamoto
浩一 熊本
Yoshihide Hoshino
嘉秀 星野
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Abstract

【課題】インク射出速度が各記録ヘッドで同一となり、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができるインクジェット記録装置とする。
【解決手段】インクを記録媒体99に射出して画像を形成するインクジェット記録装置1である。それぞれ異なる色のインクを射出する複数の記録ヘッド5,6,7,8と、複数の記録ヘッド内のそれぞれのインク温度を測定する温度測定手段5b,6b,7b,8bと、複数の記録ヘッド毎に温度を上昇させる加熱手段5c,6c,7c,8cと、インクの粘度が所定の同一粘度となるための各色のインクそれぞれの目標設定温度を記憶する記憶手段51と、温度測定手段による複数の記録ヘッド内のそれぞれのインク温度に対応して、各色のインクがそれぞれの目標設定温度に達する様に、加熱手段を制御する制御手段50を備える。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット記録装置に係り、特に異なる色のインクを射出する複数の記録ヘッドを備えるインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェット記録装置は、印刷時の騒音が比較的小さく、印字の品質が良好であるため、画像形成装置として数多く使用されている。
【0003】
前記インクジェット記録装置においては、搬送装置によって記録媒体を搬送させながら、所定の画像情報に応じて複数の記録ヘッドから記録媒体に対してそれぞれ異なる色のインクを射出して、画像を形成するようになっている。このとき、インクの温度が高過ぎたり低過ぎたりすると、記録ヘッドから正常なインク射出ができなくなってしまう可能性がある。そのため、記録ヘッドにおいてインクの加熱や冷却を行い、記録ヘッド内のインクを、正常に射出できるような温度に制御する機能を有するインクジェット記録装置が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特公平6−32970号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、複数の記録ヘッドからの異なる色のインク射出においては、各色のインクが一定の粘度でないと、各記録ヘッドによって射出速度に差が生じて、インク着弾位置のずれが発生し、これにより、画像形成に不具合を生じさせるという問題がある。また、色の異なるインクは、それぞれの粘度が特定の同一粘度となるための温度が異なっている。
しかしながら、前記した異なる色のインクを射出する複数の記録ヘッドは、それぞれの記録ヘッドの温度を同一温度にするように制御しているのみであり、これにより、各色のインクによって粘度が異なってしまう結果となる。そのため、各記録ヘッドによって射出速度に差が生じて、インク着弾位置のずれが発生し、その結果、画像形成に不具合を生じさせる虞があった。
【0006】
そこで、本発明の課題は、複数の記録ヘッド内における異なる色のそれぞれのインクの粘度が所定の同一粘度となるように、各色のインクそれぞれに対して適切な目標温度を設定することにより、インク射出速度を各記録ヘッドで同一とすることができ、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
インクを記録媒体に射出して画像を形成するインクジェット記録装置であって、
それぞれ異なる色のインクを射出する複数の記録ヘッドと、
前記複数の記録ヘッド内のそれぞれのインク温度を測定する温度測定手段と、
前記複数の記録ヘッド毎に温度を上昇させる加熱手段と、
インクの粘度が所定の同一粘度となるための各色のインクそれぞれの目標設定温度を記憶する記憶手段と、
前記温度測定手段による複数の記録ヘッド内のそれぞれのインク温度に対応して、各色のインクがそれぞれの目標設定温度に達する様に、前記加熱手段を制御する制御手段と、
を備えることを特徴としている。
【0008】
請求項1に記載の発明によれば、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度が同一となるため、インク射出速度が各記録ヘッドで同一となり、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記インクが、25℃では記録ヘッドから正常に射出することが不可能な高粘度インクであることを特徴としている。
【0010】
請求項2に記載の発明によれば、インクが、常温である25℃では記録ヘッドから正常に射出することが不可能な高粘度インクであるため、インクを所定の同一粘度とするための目標設定温度は25℃よりも高くなり、その結果、インクの温度を変化させるのに加熱手段を備えていれば良く、冷却手段を必要としないので、記録ヘッドの重量を軽くすることができる。
【0011】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置において、
前記記憶手段は、各色のインクについて、インク粘度が10mPa・sとなるための目標設定温度をそれぞれ記憶していることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明によれば、記憶手段が、各色のインクについて、インク粘度が10mPa・sとなるための目標設定温度をそれぞれ記憶しているため、より具体的に請求項1に記載の発明の作用効果を奏することができる。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記インクが、光硬化性インクであることを特徴としている。
【0014】
請求項4に記載の発明によれば、高粘度インクである光硬化性インクに対して、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度を同一として、インク射出速度を各記録ヘッドで同一とすることができ、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。
【0015】
請求項5に記載の発明は、請求項4に記載のインクジェット記録装置において、
前記光硬化性インクが、紫外線硬化性インクであることを特徴としている。
【0016】
請求項5に記載の発明によれば、高粘度インクである紫外線硬化性インクに対して、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度を同一として、インク射出速度を各記録ヘッドで同一とすることができ、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。また、信頼性の高いインクの定着を行うことができる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項4又は5に記載のインクジェット記録装置において、
前記光硬化性インクが、カチオン重合系インクであることを特徴としている。
【0018】
請求項6に記載の発明によれば、光硬化性インクがカチオン重合系インクであるため、信頼性の高いインクの定着を行うことができ、さらに、カチオン重合系インクは光照射手段による光の照射強度が低照度であっても硬化が行えるため、光源を小さくすることができ、インクジェット記録装置のコンパクト化と低コスト化を実現することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置について、図面を参照しながら説明する。ただし、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0020】
図1はインクジェット記録装置1の概略構成を示す斜視図であり、図2はインクジェット記録装置1の概略的な制御構成を示すブロック図である。また、図3はインクジェット記録装置1における記録ヘッドの概略構成を示す図である。
【0021】
図1に示すように、インクジェット記録装置1はシリアル方式のインクジェット記録装置であり、記録媒体99の記録面の反対の非記録面を支持する平板状のプラテン2を有しており、プラテン2の前後には搬送ローラ3a,3bがそれぞれ配設されている。各搬送ローラ3a,3bはプラテン2の前後で軸心回りの所定方向にそれぞれ回転するようになっており、各搬送ローラ3a,3bの回転に伴い記録媒体99は搬送方向Aに沿って搬送されるようになっている。
【0022】
プラテン2の上方には、記録媒体99の記録面に画像を記録する画像記録部4が配設されている。画像記録部4は、搬送方向Aと直交する方向(以下「走査方向B」という。)に延在するガイド部材12を有しており、ガイド部材12にはキャリッジ11が支持されている。キャリッジ11は、ガイド部材12によりガイドされた状態で走査方向Bに沿って往復移動自在とされている。
【0023】
キャリッジ11には、イエロー(Y),マゼンタ(M),シアン(C),ブラック(K)の各プロセスカラーのインクを記録媒体99の記録面に向けてそれぞれ射出する4つの記録ヘッド5,6,7,8が搭載されており、4つの記録ヘッド5,6,7,8は同時にキャリッジ11の往復移動によって移動可能とされている。また、各記録ヘッド5,6,7,8の下部にはインクを液滴として射出する複数のノズル(図示省略)がそれぞれ配設されており、図3に示すように、複数のノズルは記録ヘッド5,6,7,8毎に記録媒体99の搬送方向Aに沿って配列されてノズル面5a,6a,7a,8aを構成している。さらに、各記録ヘッド5,6,7,8には、記録ヘッド内のそれぞれのインク温度を測定する温度測定手段としての温度センサ5b,6b,7b,8bを備えており、記録ヘッド5,6,7,8毎に独自に温度を上昇させることが可能な加熱手段としてのインク用ヒータ5c,6c,7c,8cを備えている。
【0024】
さらに、キャリッジ11の左右両側には光照射手段としての2つの紫外線照射手段9,10がそれぞれ搭載されており、紫外線照射手段9,10も記録ヘッド5,6,7,8と同様に、キャリッジ11の往復移動によって移動可能とされている。各紫外線照射手段9,10には、紫外線光源9a,10a(図2に図示)がそれぞれ設けられており、各紫外線照射手段9,10は、紫外線光源9a,10aが点灯することにより記録媒体99の記録面に向けてそれぞれ紫外線を照射することができるようになっている。紫外線光源としては、高圧水銀ランプ,メタルハライドランプ,ブラックライト,冷陰極管,LED(Light Emitting Diode)等が適用される。
【0025】
次に、図2を参照してインクジェット記録装置1における制御手段について説明する。図2はインクジェット記録装置1の概略的な制御構成を示すブロック図である。
【0026】
インクジェット記録装置1には、図2に示すように、各駆動部を制御する制御手段50が設けられている。前記制御手段50には、搬送装置の駆動源3、記録ヘッド5,6,7,8、前記温度測定手段としての温度センサ5b,6b,7b,8b、前記加熱手段としてのインク用ヒータ5c,6c,7c,8c、紫外線照射手段9,10の紫外線光源9a,10a、キャリッジ11のキャリッジ駆動源11a、インクの粘度が所定の同一粘度となるための各色のインクそれぞれの目標設定温度を含むインクジェット記録装置の作動に必要な情報を記憶する記憶手段51、記録媒体99の種類等の画像形成時における指示が入力される入力手段52等が電気的に接続されている。なお、制御手段50には、これら以外にもインクジェット記録装置1の各駆動部などが接続されている。
【0027】
そして、このような構成により、制御手段50は、入力手段52からの指示に基づいて、記憶手段51中に書き込まれている制御プログラムや制御データに従い各種機器を制御するようになっている。
【0028】
特に、前記制御手段50は、前記温度センサ5b,6b,7b,8bによる複数の記録ヘッド5,6,7,8内のそれぞれのインク温度を情報として受信し、これに対応して、各色のインクがそれぞれインクの粘度が所定の同一粘度となるための目標設定温度に達する様に、それぞれのインク用ヒータ5c,6c,7c,8cに指示を出す制御を行うようになっている。
前記目標設定温度は、各色のインクに応じて、当該インクの粘度が所定の同一粘度となるための温度を予め設定して記憶手段51に記憶させておいたものであり、制御手段50が各色のインクに対応した目標設定温度を記憶手段51から取り出し、各インク用ヒータ5c,6c,7c,8cに指示を出すようになっている。
なお、本実施の形態の記憶手段51には、インクの粘度がそれぞれ10mPa・sとなるための各色のインクそれぞれの目標設定温度が記憶されている。
【0029】
次に、本実施の形態に用いられる「インク」について説明する。
本実施の形態に用いられるインクとしては、常温である25℃では記録ヘッドから正常に射出することが不可能な高粘度インク(インク粘度が60mPa・s程度のもの)を用いると効果的であり、特に、「光硬化技術−樹脂・開始剤の選定と配合条件及び硬化度の測定・評価−(技術協会情報)」に記載の「光硬化システム(第4章)」の「光酸・塩基発生剤を利用する硬化システム(第1節)」、「光誘導型交互共重合(第2節)」等に適合するインクが適用可能であり、通常のラジカル重合により硬化するものであってもよい。
【0030】
具体的に、本実施の形態に用いられるインクは、光としての紫外線の被照射により硬化する性質を具備する光硬化性インク、すなわち紫外線硬化性インクであり、主成分として、重合性化合物(公知の重合性化合物を含む。)と、光開始剤と、色材とを少なくとも含むものである。ただし、本実施の形態に用いるインクとして、上記「光誘導型交互共重合(第2節)」に適合するインクを用いる場合には、光開始剤は除外されてもよい。
【0031】
上記光硬化性インクは、重合性化合物として、ラジカル重合性化合物を含むラジカル重合系インクとカチオン重合性化合物を含むカチオン重合系インクとに大別されるが、その両系のインクが本実施の形態に用いられるインクとしてそれぞれ適用可能であり、ラジカル重合系インクとカチオン重合系インクとを複合させたハイブリッド型インクを本実施の形態に用いられるインクとして適用してもよい。なお、本実施の形態では、カチオン重合系インクを使用している。
【0032】
次に、本実施の形態に用いられる「記録媒体99」について説明する。
本実施の形態に用いられる記録媒体99としては、通常のインクジェット記録装置に適用される普通紙,再生紙,光沢紙,コート紙,ユポ等の各種紙,各種布地,各種不織布,樹脂,金属,ガラス等の材質からなる記録媒体が適用可能である。記録媒体99の形態としては、ロール状、カットシート状、板状等が適用可能である。本実施の形態では、記録媒体99としてロール状に巻かれた長尺な樹脂製フィルムを用いている。
【0033】
特に、本実施の形態で用いられる記録媒体として、所謂軟包装に用いられる透明又は不透明な非吸収性の樹脂製フィルムが適用できる。樹脂製フィルムの具体的な樹脂の種類として、ポリエチレンテレフタレート,ポリエステル,ポリオレフィン,ポリアミド,ポリエステルアミド,ポリエーテル,ポリイミド,ポリアミドイミド,ポリスチレン,ポリカーボネート,ポリ−ρ−フェニレンスルフィド,ポリエーテルエステル,ポリ塩化ビニル,ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン等が適用可能であり、さらには、これら樹脂の共重合体、これら樹脂の混合物、これら樹脂を架橋したもの等も適用可能である。中でも、樹脂製フィルムの樹脂の種類として、延伸したポリエチレンテレフタレート,ポリスチレン,ポリプロピレン,ナイロンのいずれかを選択するのが、樹脂製フィルムの透明性・寸法安定性・剛性・環境負荷・コスト等の面で好ましく、2〜100μm(好ましくは6〜50μm)の厚みを有する樹脂製フィルムを用いるのが好ましい。また、樹脂製フィルムの支持体の表面にコロナ放電処理、易接着処理等の表面処理を施してもよい。
【0034】
さらに、本実施の形態に用いられる記録媒体として、樹脂により表面を被覆した各種紙,顔料を含むフィルム,発泡フィルム等の不透明な公知の記録媒体も適用可能である。
【0035】
次に、本実施の形態におけるインクジェット記録装置1の動作を説明する。
まず、インクジェット記録装置1の温度センサ5b,6b,7b,8bで測定された各記録ヘッド5,6,7,8のインク温度と、予め記憶手段51に記憶されている、インクの粘度が所定の同一粘度、例えば10mPa・sとなるための各色のインクそれぞれの目標設定温度との差に基づいて、それぞれのインクの温度を制御する、制御手段50のヒータコントロール処理について、図4及び図5を用いて説明する。
【0036】
まず、制御手段50は、ヒータコントロール要求があるか否かの判定を行う(ステップS1)。なお、ヒータコントロール要求は、所定時間毎に行われるようになっていても良いし、画像形成指示があったときに行われるようになっていても良い。また、常に各記録ヘッド5,6,7,8のインク温度を監視しており、変化があった場合に行うようになっていても良い。ここで、ヒータコントロール要求がない場合は、当該ヒータコントロール処理は終了する。
【0037】
一方、S1でヒータコントロール要求がある場合は、次に記憶手段51からK色設定温度の読取り(ステップS2)、C色設定温度の読取り(ステップS3)、M色設定温度の読取り(ステップS4)、Y色設定温度の読取り(ステップS5)を行い、また、温度測定手段としての温度センサ8bでK色温度測定(ステップS6)、温度センサ7bでC色温度測定(ステップS7)、温度センサ6bでM色温度測定(ステップS8)、温度センサ5bでY色温度測定(ステップS9)を行う。
【0038】
そして、S2のK色設定温度とS6のK色温度測定の結果であるK色測定温度とが、K色設定温度>K色測定温度となっているかどうかの判定を行う(ステップS10)。ここで、K色設定温度>K色測定温度となっている場合には、K色のインク用ヒータ8cをオン制御する(ステップS11)。また、K色設定温度≦K色測定温度となっている場合には、K色のインク用ヒータ8cをオフ制御する(ステップS12)。
【0039】
同様に、S3のC色設定温度とS7のC色温度測定の結果であるC色測定温度とが、C色設定温度>C色測定温度となっているかどうかの判定を行う(ステップS13)。ここで、C色設定温度>C色測定温度となっている場合には、C色のインク用ヒータ7cをオン制御する(ステップS14)。また、C色設定温度≦C色測定温度となっている場合には、C色のインク用ヒータ7cをオフ制御する(ステップS15)。
【0040】
同様に、S4のM色設定温度とS8のM色温度測定の結果であるM色測定温度とが、M色設定温度>M色測定温度となっているかどうかの判定を行う(ステップS16)。ここで、M色設定温度>M色測定温度となっている場合には、M色のインク用ヒータ6cをオン制御する(ステップS17)。また、M色設定温度≦M色測定温度となっている場合には、M色のインク用ヒータ6cをオフ制御する(ステップS18)。
【0041】
同様に、S5のY色設定温度とS9のY色温度測定の結果であるY色測定温度とが、Y色設定温度>Y色測定温度となっているかどうかの判定を行う(ステップS19)。ここで、Y色設定温度>Y色測定温度となっている場合には、Y色のインク用ヒータ5cをオン制御する(ステップS20)。また、Y色設定温度≦Y色測定温度となっている場合には、Y色のインク用ヒータ5cをオフ制御する(ステップS21)。
その後、S1に戻り、前記したヒータコントロール要求なしの状態になるまで、前記処理を繰り返し行う。
【0042】
そして、インク温度がそれぞれの目標設定温度となった後に、インクジェット記録装置1での画像形成の動作を行う。なお、画像形成の動作中にも、前記ヒータコントロール処理を行うようになっていても良い。
インクジェット記録装置1の画像形成動作中においては、一方では、各搬送ローラ3a,3bが作動して回転し、記録媒体99が、プラテン2により非記録面を支持された状態で後方から前方へと搬送方向Aに沿って搬送される。他方では、キャリッジ11が作動して記録媒体99の直上を走査方向Bに沿って往復移動し、キャリッジ11に搭載されている4つの記録ヘッド5,6,7,8及び2つの紫外線照射手段9,10もキャリッジ11の往復移動によって移動する。
【0043】
そしてキャリッジ11の移動中において、4つの記録ヘッド5,6,7,8が各ノズルから記録媒体99の記録面に向かってインクを射出するとともに、2つの紫外線照射手段9,10が記録媒体99の記録面に向かって紫外線を照射する。特に、キャリッジ11が図1中の左から右へと移動している最中には左側の紫外線照射手段9の紫外線光源9aが点灯し、キャリッジ11が図1中の右から左へと移動している最中には紫外線照射手段10の紫外線光源10aが点灯する。つまり、キャリッジ11の移動方向の記録ヘッド5,6,7,8よりも下流側の紫外線照射手段9又は紫外線照射手段10の紫外線光源9a又は紫外線光源10aが点灯して紫外線を照射する。これにより、各記録ヘッド5,6,7,8から射出されたインクは、記録媒体99に着弾した直後に紫外線が照射されて即座に硬化し、記録媒体99の記録面上に定着する。
【0044】
以降、インクジェット記録装置1が上記の各動作を繰り返し、各プロセスカラーの複数のドットからなる所望の画像が記録媒体99の記録面に順次記録される。その後、記録媒体99が、搬送装置により搬送されて、排出トレイ(図示省略)に排出される。
【0045】
以上のように、本実施の形態のインクジェット記録装置によれば、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度が同一となるため、インク射出速度が各記録ヘッドで同一となり、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、インクが、常温である25℃では記録ヘッドから正常に射出することが不可能な高粘度インクであるため、インクを所定の同一粘度とするための目標設定温度は25℃よりも高くなり、その結果、インクの温度を変化させるのに加熱手段を備えていれば良く、冷却手段を必要としないので、記録ヘッドの重量を軽くすることができる。
【0047】
さらに、本実施の形態では、記憶手段が、各色のインクについて、インク粘度が10mPa・sとなるための目標設定温度をそれぞれ記憶しているため、より具体的に上記した作用効果を奏することができる。
【0048】
またさらに、本実施の形態では、高粘度インクである光硬化性インク、特に紫外線硬化性インクに対して、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度を同一として、インク射出速度を各記録ヘッドで同一とすることができ、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。また、信頼性の高いインクの定着を行うことができる。
【0049】
加えて、本実施の形態では、光硬化性インクがカチオン重合系インクであるため、信頼性の高いインクの定着を行うことができ、さらに、カチオン重合系インクは光照射手段による光の照射強度が低照度であっても硬化が行えるため、光源を小さくすることができ、インクジェット記録装置のコンパクト化と低コスト化を実現することができる。
【0050】
なお、本実施の形態では、シリアル方式のインクジェット記録装置を用いて説明したが、本発明はこれに限るものではなく、例えば、ライン方式のインクジェット記録装置に適用することも可能である。
【0051】
また、本発明は、上記各実施の形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0052】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度が同一となるため、インク射出速度が各記録ヘッドで同一となり、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。
【0053】
請求項2に記載の発明によれば、インクが、常温である25℃では記録ヘッドから正常に射出することが不可能な高粘度インクであるため、インクを所定の同一粘度とするための目標設定温度は25℃よりも高くなり、その結果、インクの温度を変化させるのに加熱手段を備えていれば良く、冷却手段を必要としないので、記録ヘッドの重量を軽くすることができる。
【0054】
請求項3に記載の発明によれば、記憶手段が、各色のインクについて、インク粘度が10mPa・sとなるための目標設定温度をそれぞれ記憶しているため、より具体的に請求項1に記載の発明の作用効果を奏することができる。
【0055】
請求項4に記載の発明によれば、高粘度インクである光硬化性インクに対して、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度を同一として、インク射出速度を各記録ヘッドで同一とすることができ、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。
【0056】
請求項5に記載の発明によれば、高粘度インクである紫外線硬化性インクに対して、複数の記録ヘッド内の各色のインクそれぞれの粘度を同一として、インク射出速度を各記録ヘッドで同一とすることができ、その結果、インク着弾位置のずれがない良好な画像を形成することができる。また、信頼性の高いインクの定着を行うことができる。
【0057】
請求項6に記載の発明によれば、光硬化性インクがカチオン重合系インクであるため、信頼性の高いインクの定着を行うことができ、さらに、カチオン重合系インクは光照射手段による光の照射強度が低照度であっても硬化が行えるため、光源を小さくすることができ、インクジェット記録装置のコンパクト化と低コスト化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置の概略構成を示す斜視図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置の概略的な制御構成を示すブロック図である。
【図3】図1のインクジェット記録装置における記録ヘッドの概略構成を示す図である。
【図4】ヒータコントロール処理の第1フローチャートである。
【図5】ヒータコントロール処理の第2フローチャートである。
【符号の説明】
1 インクジェット記録装置
2 プラテン
3 搬送装置の駆動源
3a,3b 搬送ローラ
4 画像記録部
5,6,7,8 記録ヘッド
5a,6a,7a,8a ノズル面
5b,6b,7b,8b 温度センサ(温度測定手段)
5c,6c,7c,8c インク用ヒータ(加熱手段)
9,10 紫外線照射手段
9a,10a 紫外線光源
11 キャリッジ
11a キャリッジ駆動源
12 ガイド部材
50 制御手段
51 記憶手段
52 入力手段
99 記録媒体
A 搬送方向
B 走査方向

Claims (6)

  1. インクを記録媒体に射出して画像を形成するインクジェット記録装置であって、
    それぞれ異なる色のインクを射出する複数の記録ヘッドと、
    前記複数の記録ヘッド内のそれぞれのインク温度を測定する温度測定手段と、
    前記複数の記録ヘッド毎に温度を上昇させる加熱手段と、
    インクの粘度が所定の同一粘度となるための各色のインクそれぞれの目標設定温度を記憶する記憶手段と、
    前記温度測定手段による複数の記録ヘッド内のそれぞれのインク温度に対応して、各色のインクがそれぞれの目標設定温度に達する様に、前記加熱手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
    前記インクが、25℃では記録ヘッドから正常に射出することが不可能な高粘度インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  3. 請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置において、
    前記記憶手段は、各色のインクについて、インク粘度が10mPa・sとなるための目標設定温度をそれぞれ記憶していることを特徴とするインクジェット記録装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
    前記インクが、光硬化性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  5. 請求項4に記載のインクジェット記録装置において、
    前記光硬化性インクが、紫外線硬化性インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
  6. 請求項4又は5に記載のインクジェット記録装置において、
    前記光硬化性インクが、カチオン重合系インクであることを特徴とするインクジェット記録装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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