JP2004337972A - 研削又は研磨屑の固形化方法及び研削又は研磨屑ブリケット並びに固形化装置 - Google Patents

研削又は研磨屑の固形化方法及び研削又は研磨屑ブリケット並びに固形化装置 Download PDF

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Abstract

【課題】 制御が容易、付帯設備がなく、エネルギーロスのない、数μm〜150μmのクーラント含有研削又は研磨屑の固形化方法及びブリケットを提供。
【解決手段】 水性又は油性クーラント含有率が10%以上60%以下の切削又は研磨屑30を、シリンダ1内に投入し、シリンダ内径2と微少隙間14、24をもって摺動可能にされたピストン21のシリンダ密閉時及び密閉後の送り速度を1mm/sec以上5mm/sec以下とし、シリンダ内の空気及び含有クーラントを微少隙間より排出し、研削屑等を固形化する。研削屑等の平均粒径を5μmを超え100μm以下、さらに、研削屑等の平均粒径が1μm以上5μm以下では少なくとも繊維の平均長さが250μm以上350μm以下のセルロース繊維51で濾過されたものをセルロース繊維と一緒に圧縮する。さらに、密閉位置又は密閉前位置を検出する信号により速度制御するようにする。
【選択図】 図4

Description

この発明は転がり軸受の内外輪や転動体、切削工具等の水性又は油性クーラントを用いた研削又は研磨屑、さらにはアルミ鋳物等のエンジンのホーニング、クランクシャフト等の研磨で生じる微少な切削又は研磨屑等の固形化方法及び固形化されたブリケット並びに固形化装置に関する。
軸受鋼、高速度工具鋼の研削や研磨においては荒研削で平均粒径100μm程度、中仕上げ研削で平均粒径50μm程度、仕上げ研削で25μm程度、さらに研磨仕上げでは1〜5μmの粒径の研削屑や研磨屑(以下研削屑等という)が発生する。また、エンジンのシリンダ内径のホーニングやクランクシャフトの超仕上げ(フィルムラップ仕上)等でも数μmの研磨屑が発生する。これらの研削又は研磨工程の多くは水性又は油性クーラントを供給しながら行われ、研削屑等はクーラントと共にスラッジとして排出される。特許文献1においては、研削油を含有するステンレス鋼板研削屑を静置分離法あるいは遠心分離法等で大半の油分を除去し、油分約30%のスラッジをシリンダ内に挿入してピストンで圧搾し、シリンダとピストンの隙間等から油分を排出させ、見掛け比重3〜4の鋼塊とし、さらに、仮焼して油分を無くし、固形化している。
しかし、このものでは圧搾力が50MPa程度であり、圧搾した後の固形化物は、必ずしも強度の強いものではなく、落下により破損する等が予想される。本発明者等の研究によれば、水性クーラント等の使用では比較的容易に固形化が可能であるが、油性の場合は水性に比べ粘度が高く、研削屑がクーラントと一緒にシリンダ隙間から排出されてしまい、必ずしも十分な固形化ができていなかったものと考えている。
また、特許文献2のものは圧力と圧縮速度とを制御できるようにして、油性クーラント含有の研削スラッジを濾過した濃縮スラッジを予備プレスした後、シリンダ内に投入された研削屑等を圧縮ピストンで所定の圧力で一定時間保持したり、段階的に位置と圧力を変化させた例が開示されている。また、このものでは、圧縮力400MPa、速度が約4〜7cm/secの速度で作動させた例が開示されている。
一方、スラッジのプレス前の濃縮スラッジを得る手段としては、前述した種々の方式の他、ろ剤として珪藻土を用いフィルターの外面に珪藻土のプリコート層を形成させた濾過方法がある。さらに、本出願人の一人が出願した特許文献3のものでは、珪藻土に代えパルプから製造されるセルロース繊維を用いて濾過させている。かかる珪藻土、セルロース繊維を含有する研削屑については固形化されずそのまま産業廃棄物として廃棄されている。
特公昭52−35003号公報 特開2001−315000号公報 特開2001−062215号公報
しかしながら、特許文献2のものでは、油性クーラントの粘性のため、固形化にあたって圧縮ピストンを制御するために、圧力を次第に上昇させたり、保持したり、微妙な制御を必要とし、電動モータとボールねじを用いた精度の高い制御が必要であるという問題があった。また、油性クーラントは粘度の低いものでも5cSt、高いもので46cStであり、このような粘度のものを常温で圧縮しても固形化が困難であり、固形化の効率を高くするためには、加熱手段を設けて粘性を水性クーラント並に引き下げる必要もあった。また、具体的な研削屑等の粒径についての記載はないが、軸受等の研削・研磨での粒径は平均で数十μm〜100μmであるが、ホーニング・超仕上げのような粒径が数μmと小さいものについてまでは記載されていない。また、セルロース繊維含有の研削屑の固形化については具体的な例がない。また、水性クーラントの場合であっても、クランクシャフトの超仕上げ等で発生する1〜5μmの研削屑等の場合には油性クーラントの場合と同様に固形化ができなかった。
本発明の課題は上記問題点に鑑みて、微妙な制御が不要で、一般的な油圧駆動でも制御可能な研削又は研磨屑の固形化方法及び研削又は研磨屑ブリケットを提供することである。また、加熱手段等のエネルギーロスをなくすことである。さらには、ホーニング・超仕上げのような粒径が数μmといった水性又は油性クーラント含有研削又は研磨屑の固形化方法及び研削又は研磨屑ブリケット、また、研削又は研磨屑固形化装置を提供することである。
本発明においては、水性又は油性クーラント含有率が10%以上60%以下の切削又は研磨屑を、シリンダ内に投入し、シリンダ内径と微少隙間をもって摺動可能にされたピストンのシリンダ密閉時及び密閉後の送り速度を1mm/sec以上5mm/sec以下として、シリンダ内の空気及び記研削又は研磨屑の含有クーラントを前記微少隙間より排出し、研削又は研磨屑を固形化する研削又は研磨屑の固形化方法を提供することにより上記課題を解決した。
即ち、圧縮速度が速いと、研削屑等が固まる前に、油性クーラントの場合は、高い粘性のため研削屑等と分離せずに一緒になって油性クーラントが排出されてしまう。また、シリンダ内には空気も含まれており、その量、位置も不均一であり、また、油性クーラントと空気は分離されにくい。また、空気は圧縮され研削屑等の隙間やシリンダとピストンとの隙間から漏れ出る際に急激に膨張し、油性クーラントさらには研削屑等を噴出させたり、又は一緒に噴出してしまうことも考えられる。そこで、本発明においては、ピストンの速度を前述した特許文献2に記載された数cm/secのほぼ1/10、即ち1mm/sec以上5mm/sec以下の低速とすることにより研削屑等の油性クーラントや空気との噴出を小さく押さえたのである。1mm/sec未満では時間がかかりすぎ、5mm/sec以上では研削屑等がクーラントや空気と一緒に噴出して固形化が困難となる。より好ましくは2mm/sec以上3mm/sec以下の範囲がクーラント含有率や空気の量等の条件が変化しても安定して固形化できる。
特に、シリンダ内をピストンが密閉する瞬間の速度が大きくても空気の噴出が激しくなるので、ピストンのシリンダ密閉時から速度を制限することが重要である。さらに、圧縮する前の油性クーラントの含有率が10%以下では研削屑等が互いに固着できず固形化できないばかりかピストンのバウンドやかじりを生じる。60%超では研削屑がクーラント内に分散してしまい固形化できないので、クーラント含有率を10%以上60%以下とした。より好ましくは10%以上25%以下とするのが安定して固形化できる。なお、ピストンの密閉前速度、戻り速度は特に制限はない。早送りで送り、密閉前に減速してシリンダ密閉時に所定の速度にすればよい。又、水性クーラントの場合は、空気の影響は少なく、より高速での固形化が可能であるが、かかる低速であればより確実に固形化できる。
かかる方法によれば、水性クーラントの場合はもちろんのこと、油性クーラントによる荒研削・研磨、仕上げ研削・研磨等で発生する研削又は研磨屑の固形化に適している。そこで、請求項2に記載の発明においては、研削又は研磨屑の平均粒径が5μmを超え100μm以下のものとした。100μm超では、かかる速度で固形ができるが、もっと高い速度でも可能であり、メリットが少ない。また、5μm以下では後述するように固形化が困難となってくるので、研削又は研磨屑の平均粒径を5μmを超え100μm以下のものとした。
しかし、平均粒径が10μ以下、特に5μm以下になると前述した制御を行っても固形化が難しくなる。本発明者等はこの大きさになると切削屑等があまりにも小さすぎ、油性クーラントとの分離が困難となると考えた。そこで、請求項3に記載の発明においては、切削又は研磨屑の水性又は油性クーラント含有率が10%以上30%以下、かつ、研削又は研磨屑の平均粒径が1μm以上5μm以下であって、セルロース繊維を含むようにした研削又は研磨屑の固形化方法を提供した。前述したと同様に油性クーラントの含有率が10%以下では研削屑等が互いに固着できず固形化できないばかりかピストンのバウンドやかじりを生じる。30%超では微少研削屑等がクーラント内に分散してしまい固形化できないので、クーラント含有率を10%以上30%以下とした。より好ましくは10%以上25%以下とするのが安定して固形化できる。また、水性クーラントの場合も同様であり、1〜5μmの微少な研削又は研磨屑の固形化が可能となった。
セルロース繊維はリボン状やひも状であり、互いにからみあい繊維回りや繊維間に5μm以下の研削屑等を付着させ、前述した平均粒径が5μmを超え100μm以下の数十〜数百μmの研削又は研磨屑と同様な挙動を得ることができるものと考えられる。セルロース繊維は原木をパルプ加工又は製粉又はパルプ加工したものを製粉し、原木に含まれる60〜75%のセルロースを抽出したものである。また、原木に20〜35%含まれるリグニンや3〜5%含まれるその他の物質を適当な値になるまで、除去し、かき混ぜてセルロース繊維濾過助剤としている。その使用方法は従来例で述べた特許文献3に記載のような方法で使用され、金属加工の他、飲料、化学品、食用油、水処理等の液体の濾過の濾過助剤として使用されているものである。
さらに、セルロース繊維は平均長さ300μmのものが補足率がよく、固形化も安定して可能であり、請求項4に記載の発明においては、セルロース繊維はセルロース繊維の平均長さが250μm以上350μm以下とした研削又は研磨屑の固形化方法とした。セルロース繊維の平均長さが250μm以下では流出し易く、350μm超では繊維に切削屑等のからみが少なく微少研削屑等の捕捉量(捕捉効率)が少なくなる。
さらに、セルロース繊維を用いることにより微少研削又は研磨屑含有のブリケットを提供でき、請求項5に記載の発明においては、少なくとも研削又は研磨屑と、セルロース繊維と、水性又は油性クーラントと、の混合物からなる略短円筒状のブリケットであって、セルロース繊維の平均長さが250μm以上350μm以下の研削又は研磨屑ブリケットを提供する。さらに、請求項7に記載の発明においては、研削又は研磨屑の平均粒径が1μm以上5μm以下の研削又は研磨屑ブリケットを提供する。
なお、かかる固形化方法で得られるブリケットはブリケットの外径が50mm以上60mm以下で長さが外径の0.7倍以上0.9倍以下の短円筒状の研削又は研磨屑ブリケットとするのがよい。外径50mm未満ではピストンとシリンダ間の外径隙間が少なくなるので油性クーラントの排出効率が悪く、60mm超では、面圧が不足し固形化できないので、短円筒状のブリケットの外径を50mm以上60mm以下とするのがよい。また、長さが外径の0.7倍未満では、ブリケットとして取扱いにくい。また、0.9倍超では圧縮が困難となる一方、壊れ易くなるのでブリケットの長さは外径の0.7倍以上0.9倍以下のものとすればよい。これにより、取扱が容易で、搬送や輸送中に破壊することもなく溶解炉等に投入が容易でリサイクルに適したブリケットを提供できる。
かかる、ブリケットを成形する固形化装置は一般のプレス装置に密閉位置で速度を所定の速度に制御するためにセンサー等を設けるのがよい。そこで、請求項7に記載の発明においては、クーラント含有の研削又は研磨屑が投入されるシリンダと、シリンダ内の研削又は研磨屑を圧縮可能にされたピストンと、ピストンの圧縮によりクーラントを少なくともシリンダとピストンとの隙間から排出されるようにされた研削又は研磨屑の固形化装置において、シリンダとピストンとの密閉位置又は密閉前位置の信号により、信号位置から圧縮完了位置までの圧縮速度が1mm/sec以上5mm/sec以下に制御可能にされた研削又は研磨屑固形化装置とすることにより得られる。
本発明によれば、水性又は油性クーラント含有率の切削又は研磨屑をピストンのシリンダ密閉時及び密閉後の送り速度を1mm/sec以上5mm/sec以下という低速度で圧縮することにより固形化できるので、サーボモータ等の高価な機器を使用せずとも可能で、制御も簡単なものでよく、容易に水性又は油性クーラント含有研削又は研磨屑の固形化が可能となった。また、常温でも容易に固形化できるので、加熱装置等の付帯設備も不要であり、エネルギーロスも少ないものとなった。
また、研削又は研磨屑の平均粒径は5μmを超え100μm以下のものを固形化できるので、軸受や工具の研削、研磨加工のスラッジの処理に適し、リサイクルを可能とするものとなった(請求項2)。
さらに、セルロース繊維を濾過助剤として用いて水性又は油性クーラント含有の研削又は研磨屑を捕捉したものを、上述した送り(圧縮)速度で固形化できるようにしたので、ホーニング・超仕上げのような平均粒径が1μm以上5μm以下の非常に細かい研削又は研磨屑を固形化できるものとなった(請求項3)。さらに、セルロース繊維は平均長さが250μm以上350μm以下とすることにより、固形化を確実にできる方法を提供するものとなった(請求項4)。
また、セルロース繊維の平均長さが250μm以上350μm以下のセルロース繊維を含む略短円筒状の研削又は研磨屑ブリケットとしたので、溶鉱炉にいれても珪藻土のようなノロの発生がなく、溶鉱炉での熔解管理が容易となり、リサイクルに適したものとなった(請求項5)。特に、今までは、産業廃棄物として廃棄されていたホーニングやクランクシャフトの研磨屑等の平均粒径が1μm以上5μm以下の非常に細かい屑を研削屑又は研磨屑ブリケットとして提供するので、新たなリサイクル資源を提供するものとなった(請求項6)。
さらに、速度制御信号をシリンダをピストンが密閉する密閉位置を検知して減速すればよいので、制御も簡単で従来の固形化プレス等でも簡単に改造でき、本発明の研削又は研磨屑固形化装置を容易に実現できるものとなった(請求項7)。
本発明の実施の形態について図を参照して説明する。図1乃至図6は本発明の実施の形態を示すシリンダ及びピストンの模式図及び動作説明図である。図1に示すように、内径2がφ50mmの両端が開放されたシリンダ1が設けられている。シリンダ1の一方側にはその先端部13の外径12がシリンダの内径2と片側0.1mm(径で0.2mm)の隙間を持って嵌合できるようにされた蓋11が図示しない本体に固定されている。蓋11の先端部13の縁部15にはシリンダ内径と形成される隙間14と連通する排出孔が設けられている(図1、2)。シリンダ1は蓋方向に一定距離前後移動可能にされ、先端部13とシリンダ1とが一定距離をもって離隔できるようにされている。シリンダ1の他方側4の上部には外部より研削又は研磨屑30が投入される投入穴5が設けられている。シリンダ1の投入穴5の上部には、予備投入穴6が設けられ、予備投入穴には図示しないホッパー等から所定量の予備圧縮又は予備脱液され油性クーラント含有率が25%程度の研削又は研磨屑30が送り込まれる(矢印34)。予備投入穴6の上部には送りシリンダ7が設けられ予備投入穴の研削又は研磨屑30を投入穴からシリンダ1の内部へ送るようにされている。シリンダ1の他方の開口部4aからピストン21がシリンダ1内で移動可能にされ、ピストン外径22とシリンダ内径2との隙間24が0.1mm(片側)にされている。
かかる装置は一般的な例の一つであり、詳細な説明は省略するが、その作動は次のようなものである。図1に示すように、シリンダ1は原位置では蓋11とは反対側端に位置し、ピストン21は投入穴5の一部を塞ぐ位置にされている。送りシリンダ7のロッド先端8は上端にあり、予備投入穴6には所定量の研削又は研磨屑30が投入され一部がシリンダ1内に落下している。なお、投入穴5をピストン21で塞ぐ等の種々の形態があるのはいうまでもない。図1に示す状態でピストン21は原位置のまま、図2に示すように、シリンダ1を蓋11方向に移動し、蓋11側に当接固定する(矢印35)。このとき、投入穴5からさらに予備投入穴6から研削屑等30がシリンダ1内に落下する。さらに、図3に示すように、送りシリンダ7のロッド先端部8により研削屑等30をシリンダ1内に押し込む(矢印36)。
次に、図4に示すように、ピストン21を蓋11側に移動させ(矢印37)、研削屑等30をシリンダ1の蓋11側へ押し込みながら、投入穴5を塞ぎ、さらに、図5に示すように、研削屑等30を圧縮し、油性クーラントと空気をシリンダ1と蓋11の先端部13の隙間15、シリンダ1とピストン21との隙間24から排出(矢印31)して短円筒状に固形化する。図6に示すように、固形化を完了したピストン21の位置をそのままとしてシリンダ1を蓋11から離隔し原位置に復帰させる(矢印39)と固形化したブリケット32はピストン21の先端23に押され蓋とシリンダとの間から下方に落下する(矢印40)。ピストン21を蓋11と反対方向に移動させ(矢印41)、また、送りシリンダ7のロッド先端部8を上昇させ原位置に戻す(矢印42)。この動作を繰り返すことにより研削又は研磨屑30を固形化し、ブリケット32として形成する。
特に、本発明においては、シリンダ1内に研削屑等30が押し込まれ、ピストン21が移動し、投入穴5を塞ぐ時点、即ち、研削屑等30が投入されたシリンダ1内を密閉する時点(図4)で図示しないリニアセンサ、光電センサ、リミットスイッチ等の位置センサ信号により、密閉時点又はその寸前から固形化を完了するまで(図5)の速度を低速に制御することとしたのである。即ち、粘度46cSt(40℃)の油性クーラントを含有する平均粒径25〜100μmの研削又は研磨屑について10℃〜20℃程度の環境で実験を行った。その結果、油性クーラント含有量が25%、圧縮速度2〜3mm/secのものが最も固形化状況がよかった。油性クーラント含有量が40%を超えたものでは全く固形化できなかった。また、圧縮速度が10mm/secのものでは、流出が激しく固形化できなかった。また、油性クーラント含有量が10%のものではピストンがハンチングを起こし作動がスムースでなく固形化もできなかった。なお、圧縮力は研削又は研磨屑での圧力で350〜400MPa程度とした。また、本発明の方法では、φ50×40mm程度のブリケットを固形化する場合には、早送り時間を入れて1サイクル90秒程度かかるが、微少粒径のものはその発生量が少ないので、かかる低速度でも実用上、充分な能力である。
また、粒径1〜5μmの研削又は研磨屑を従来例で述べた特許文献3に記載のセルロース繊維で濾過し、セルロース繊維と共に回収された油性クーラント含有の研削又は研磨屑を、静置法により一時脱水して油性クーラント含有率25%とした後、圧縮速度2〜3mm/secで圧縮した結果、ふわふわ感があり、比重も小さいものとなったが、固形化ができφ50mm×40mmの再利用が充分可能なブリケットとすることができた。粒径1〜5μmのものにセルロース繊維を用いない場合は、固形化できなかった。また、単にセルロース繊維と切削屑等を混合するのではなく、特許文献3に記載と同様に、セルロース繊維を濾過助剤として作用をさせながら切削屑等をセルロース繊維にからみつかせることが必要である。
なお、セルロース繊維は、本出願人の一人が独国ヨツト レツテンマイヤー ウント ゼーネ ゲーエムベーハー ウント コンパニー社より輸入販売している商品名アルボセルFIC200(ARBOCEL:登録商標第2051169号)を使用した。このアルボセルFIC200は原木をパルプ加工により中性化及び漂白し、製粉してセルロース含有率99.5%の高純度セルロース繊維としたものである。形状は、例えば、図8の参考顕微鏡写真に示すような長くて毛羽立った平たいリボン状の繊維が多数複雑にからみあっている。このセルロース繊維の平均長さは300μm、リボンの平均厚みは35μmである。このセルロース繊維51を図8に示すようにファイルター(金網等)61に多層に積層させ、矢印62で示すように、セルロース繊維側よりフィルター側に研削屑等が流れるようにすることにより、積層されたセルロース繊維間に研削屑等が捕捉されるのである。なお、セルロース純度が低いリグニン等の不純物の多いものでは、固形化が困難である。この理由は明らかになっていないが、濾過時に不純物が油性クーラントと反応して、セルロース繊維に研削屑等が付着しにくくなっている等が考えられる。また、セルロース繊維は容易に燃焼し残灰も少ないので容易に溶解炉等で燃焼させることができる。
また、水性クーラントの場合には鋼球の超仕上げ(フィルムラップ仕上げ)で発生した1〜5μmの研磨屑を同様の条件で微少研磨屑の固形化を実現できた。なお、シリンダ内へ投入する前の研削又は研磨屑の粒子の大きさやクーラント含有率により固形化条件が大きく影響を受ける。一方、供給される研削屑等の粒度、含有率等は、研削加工の種類や大きさ、研削開始時、終了時、あるいは、固形化開始時、終了時等種々の条件で変化する。そこで、投入前に撹拌機で撹拌し、できる限り均一化するのがよい。
本発明の実施の形態を示す模式図であり、原位置の状態を示す模式図である。 本発明の実施の形態を示す模式図であり、シリンダセット工程を示す模式図である。 本発明の実施の形態を示す模式図であり、研削又は研磨屑投入工程を示す模式図である。 本発明の実施の形態を示す模式図であり、シリンダをピストンで密閉する密閉時の位置を示す模式図である。 本発明の実施の形態を示す模式図であり、研削又は研磨屑の圧縮行程を示す模式図である。 本発明の実施の形態を示す模式図であり、ブリケット排出工程を示す模式図である。 本発明の実施の形態で用いたセルロース繊維を示す参考顕微鏡写真である。 本発明の実施の形態で用いたセルロース繊維を濾過助剤として使用する場合の模式図である。
符号の説明
1 シリンダ
2 シリンダ内径
14、24 微少隙間
21 ピストン
30 水性又は油性クーラント含有の切削又は研磨屑
32 研削又は研磨屑ブリケット
51 セルロース繊維

Claims (7)

  1. 水性又は油性クーラント含有率が10%以上60%以下の切削又は研磨屑を、シリンダ内に投入し、前記シリンダ内径と微少隙間をもって摺動可能にされたピストンのシリンダ密閉時及び密閉後の送り速度を1mm/sec以上5mm/sec以下として、前記シリンダ内の空気及び前記研削又は研磨屑の含有クーラントを前記微少隙間より排出し、前記研削又は研磨屑を固形化することを特徴とする研削又は研磨屑の固形化方法。
  2. 前記研削又は研磨屑の平均粒径が5μmを超え100μm以下であることを特徴とする請求項1記載の研削又は研磨屑の固形化方法。
  3. 前記切削又は研磨屑の水性又は油性クーラント含有率が10%以上30%以下、かつ、前記研削又は研磨屑の平均粒径が1μm以上5μm以下であって、セルロース繊維を含むことを特徴とする請求項1記載の研削又は研磨屑の固形化方法。
  4. 前記セルロース繊維はセルロース繊維の平均長さが250μm以上350μm以下であることを特徴とする請求項3記載の研削又は研磨屑の固形化方法。
  5. 少なくとも研削又は研磨屑と、セルロース繊維と、水性又は油性クーラントと、の混合物からなる略短円筒状のブリケットであって、前記セルロース繊維の平均長さが250μm以上350μm以下であることを特徴とする研削又は研磨屑ブリケット。
  6. 前記研削又は研磨屑の平均粒径が1μm以上5μm以下であることを特徴とする請求項5記載の研削又は研磨屑ブリケット。
  7. 水性又は油性クーラント含有の研削又は研磨屑が投入されるシリンダと、前記シリンダ内の前記研削又は研磨屑を圧縮可能にされたピストンと、を有し、前記ピストンの圧縮により前記クーラントを少なくとも前記シリンダとピストンとの隙間から排出されるようにされた研削又は研磨屑の固形化装置において、前記シリンダと前記ピストンとの密閉位置又は密閉前位置の信号により、前記信号位置から圧縮完了位置までの圧縮速度が1mm/sec以上5mm/sec以下に制御可能にされていることを特徴とする研削又は研磨屑固形化装置。
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