JP2004337819A - 固体酸触媒 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】芳香族化合物とエステル化合物又はオレフィンとを、スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含む固体酸触媒の存在下で反応させることによりフリーデルクラフツ反応によるカルボニル基を有する芳香族化合物、特にテトラロン類、又はアルキル化若しくはアルケニル化された芳香族化合物を一段の反応で製造する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒、特にフリーデルクラフツ反応に使用する触媒に関する。本発明は、芳香族化合物とエステル化合物又はオレフィンとを、希土類金属トリフルオロメタンスルホナート含有固体酸触媒の存在下で、フリーデルクラフツ反応させ、芳香族ケトン類、芳香族カルボン酸類、芳香族アルコール類、アルキル化又はアルケニル化された芳香族類等を製造する方法にも関する。フリーデルクラフツ反応生成物による芳香族化合物である芳香族ケトン類、芳香族カルボン酸類、芳香族アルコール類、アルキル化又はアルケニル化された芳香族類は産業上有用な化合物であり、医薬品原料、農薬原料、電子材料、機能性樹脂原料などに広く利用される。
【0002】
【従来の技術】
フリーデルクラフツ反応生成物の製造方法及び当該触媒は多くの著書に記載されている。例えば、Hendrickson, Cram, Hammond ”ORGANIC CHEMISTRY” (third edition) pages 668−683 (1970)によれば、芳香族化合物をアルキル化やアシル化することはフリーデルクラフツ反応(Friedel−Crafts reaction)であると記載されている(非特許文献1を参照のこと)。ハロゲン化アルキル、オレフィン、アルコール、p−トルエンスルフォニル化されたアルカンを塩化アルミニウム、濃硫酸の存在下でアルキル化する例がある。また、酸ハライド、酸無水物をアシル化剤として用い、芳香族化合物のアシル化反応を、塩化アルミニウム、三フッ化ホウ素、フッ化水素、リン酸、硫酸などの存在下で行なうことが記載されている。また、反応機構上、フリーデルクラフツ反応類似の例として、フリース転移(Fries rearrangement)が塩化アルミニウムで、ヘッシュ反応(Hoesch reaction)が塩化亜鉛で進行するなどが記載されている。
【0003】
医薬品原料として有用なインダノンを合成する方法としては、ベンズアルデヒドからパーキン反応で桂皮酸を合成し、これを水素還元してフェニルプロピオン酸に、さらに分子内アシル化反応でインダノンへ導く方法、以下の反応スキーム1に示すように、アクリル酸を塩化チオニルと反応させて酸クロライドに誘導した後、大量の塩化アルミを用いてベンゼンと反応させてインダノンを合成する方法などがある。
【0004】
【化1】
【0005】
一方、以下の反応スキーム2に示すように、テトラロンも同様にして、例えば、ベンゼンを塩化アルミニウム試薬により無水コハク酸と反応させ、フェニルケト酪酸にして、これを水素還元してフェニル酪酸を得、塩化アルミニウム試薬により分子内アシル化することにより得られる。
【0006】
【化2】
【0007】
いずれの反応スキームにおいても複数の反応工程を必要とし煩雑である。また、塩化アルミニウム、塩化チオニル、酸クロライドなどの発煙性、腐食性、毒性等を有し、取扱に注意を要する物質を使用しなければならないという問題点もある。
【0008】
C. De Castro et al., J. Molecular Catal., 134, (1998) 215−222は、クロトン酸とm−キシレンとを原料に、60%リンタングステン担持触媒でインダノン誘導体を生成させることを報告している(非特許文献2を参照のこと)。しかしながら、TON(触媒活性点数当たりの生成物の数)は、3.5と極めて低く、さらに合成の観点からは改善の余地がある。
【0009】
同様にトリメチルベンゼンを有するアルキルカルボン酸を合成する方法としては、トリメチルベンゼンのアルデヒドをパーキン反応でケトカルボン酸にし水素還元して合成する方法などが想定される。
【0010】
C. Castro et al., Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 177 (2002) 273−280は、アシル化剤としてα,β−不飽和有機酸を、そして触媒として固体酸触媒を用いた、アニソールのアシル化反応を記載している(非特許文献3を参照のこと)。
【0011】
特開平2−88529号公報は、オレフィンのオリゴマー化法において、触媒として、化学的又は熱的に安定な担体に分散された周期律表第II族、第III族、第IV族及び第V族の金属又は遷移金属のトリフルオロメタンメタンスルホン酸塩を使用することを、記載している(特許文献1を参照のこと)。
【0012】
しかしながら、本発明に係るスルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含む固体酸触媒が、フリーデルクラフツ反応に適用しうることを開示する先行技術はない。
【0013】
【特許文献1】
特開平2−88529号公報
【非特許文献1】
Hendrickson, Cram, Hammond ”ORGANIC CHEMISTRY” (third edition ) pages 668−683 (1970)
【非特許文献2】
C. De Castro et al., J. Molecular Catal., 134, (1998) 215−222
【非特許文献3】
C. Castro et al., Journal of Molecular Catalysis A: Chemical 1 77 (2002) 273−280
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
先に記載したように、フリーデルクラフツ反応を促進する試薬として、塩化アルミニウムや塩化亜鉛などが必要であり、それらの塩化物を溶解するためには、一般に、ニトロメタンやニトロベンゼンなどの極性溶媒が使用される。塩化アルミニウム以外では、三フッ化ホウ素、フッ化水素、リン酸、硫酸などの鉱酸や四塩化チタンなどが用いられてきた。
これらは、反応後の精製分離などの後処理工程において、問題となることが多い。例えば、塩化アルミニウムを用いた場合の分離回収時には、塩化アルミニウムは加水分解して大量の廃棄物になるし、また、生成物を回収する際にも、しばしば塩化アルミニウム加水分解溶液の水層と有機層の分離が容易でなく、困難を伴うことが多い。大量の塩酸ガスが発生するなど、反応器の材質も耐酸性が要求され高級材質を用いる必要もある。
【0015】
したがって、本発明は、上記の多くの問題を解決する方法を提供するものである。芳香族化合物とエステル化合物とを、スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含むフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下でフリーデルクラフツ反応させることによるカルボニル基を有する芳香族化合物の製造方法および芳香族化合物とオレフィンとを、スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含むフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下でフリーデルクラフツ反応させることによるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法を提供することで、上記の反応試薬を触媒に変え、大量の廃棄物を出すことを無くし、触媒の分離回収を容易にし、場合によっては再使用することをも可能にし、さらに高級材質の反応器でなくても済むようにするという、環境に優しく経済性のある新規方法を提供するものである。
【0016】
特に、インダノン、テトラロン、トリメチルベンゼンを有するアルキルカルボン酸類を合成する従来の方法は、先に記載したように反応工程数が多く、設備費、労務費、用役費及び廃棄物処理費を考慮すると、経済性に多くの課題を抱えていた。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の問題又は課題を解決すべく鋭意検討した結果、芳香族化合物とエステル化合物とを、スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含む固体酸触媒の存在下でフリーデルクラフツ反応させることにより、目的とするカルボニル基を有する芳香族化合物、特に環状ケトンを有する芳香族化合物を高収率で製造しうることを見出し、また、芳香族化合物とオレフィン、特に1,3−ブタジエンとを、スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含む固体酸触媒の存在下でフリーデルクラフツ反応させることにより、目的とするアルケニル芳香族化合物を高収率で製造しうることを見出し、以下に記載する本発明を完成するに至った。
【0018】
[1]スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含むフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
[2]前記スルホン酸が、フッ素化炭化水素スルホン酸であることを特徴とする、[1]に記載の触媒。
[3]前記スルホン酸が、フッ素化飽和アルキルスルホン酸であることを特徴とする、[1]に記載の触媒。
[4]前記スルホン酸が、トリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする、[1]に記載の触媒。
【0019】
[5]前記シリカ系無機材料が、シリカゲル、ゼオライト又は珪藻土の中の少なくとも一つであることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の触媒。
[6]前記シリカ系無機材料が、メソポーラス物質であることを特徴とする、[1]〜[4]のいずれかに記載の触媒。
【0020】
[7]希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがシリカ系無機材料に担持されたフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
[8]希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがシリカゲル又はゼオライトに担持されたフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
[9]希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがメソポーラス物質に担持されたフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
【0021】
[10]芳香族化合物とエステル化合物とを、[1]〜[9]のいずれかに記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるカルボニル基を有する芳香族化合物の製造方法。
[11]芳香族化合物とオレフィンとを、[1]〜[9]のいずれかに記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法。
[12]前記オレフィンがブタジエンであることを特徴とする、[11]に記載の方法。
【0022】
[13]希土類金属トリフルオロメタンスルホナートとシリカ系無機材料を、上記希土類金属トリフルオロメタンスルホナートを上記シリカ系無機材料に担持することなしに反応系に供給し、これを触媒として用いて、芳香族化合物とエステル化合物とを反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるカルボニル基を有する芳香族化合物の製造方法。
[14]希土類金属トリフルオロメタンスルホナートとシリカ系無機材料を、上記希土類金属トリフルオロメタンスルホナートを上記シリカ系無機材料に担持することなしに反応系に供給し、これを触媒として用いて、芳香族化合物とオレフィンとを反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法。
[15]前記オレフィンがブタジエンであることを特徴とする、[14]に記載の方法。
【0023】
[16]芳香族化合物とエステル化合物とを、[1]〜[9]のいずれかに記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応による芳香族化合物の製造方法。
[17]芳香族化合物とオレフィンとを、[1]〜[9]のいずれかに記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応による芳香族化合物の製造方法。
[18]芳香族化合物とオレフィンとを、[7]〜[9]のいずれかに記載のフリーデルクラフツ用固体酸触媒の存在下で反応させ、ここで、前記フリーデルクラフツ反応用固体酸触媒中の希土類金属トリフルオロメタンスルホナートの重量が50質量%以下であることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法。
[19]フリーデルクラフツ反応で生成したカルボニル基を有する芳香族化合物が環化したケトン構造を有する芳香族化合物であることを特徴とする、[10]に記載の方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0025】
原料となる本発明の芳香族化合物(以下、単に、芳香族化合物ともいう。)とは、フリーデルクラフツ反応をする部位が少なくとも1つ以上残っている芳香環又は複素環で、ベンゼン、ナフタレンなどの炭化水素系芳香族化合物や、非ベンゼン系芳香族化合物であるシクロペンタジエン、シクロヘプタトリエン、さらにはピリジン、ピロール、テトラヒドロフランなど複素環式化合物をも包含する拡張された芳香族化合物である。置換基としてアルキル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アセチル基、ハロゲンを有するものなども含まれる。
【0026】
以下、本発明の芳香族化合物を例示する。
本発明のベンゼン、ナンフタレンなどの炭化水素系芳香族化合物とは、典型的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン、ジフェニルメタン、ビフェニル、ビフェニルエーテル、フルオレンなどを含む。非ベンゼン系芳香族化合物とは、シクロペンタジエン、シクロヘプタトリエン、さらにはそれらに縮合した化合物をも含む。インダンなどが典型的な例である。ピリジン、ピロール、テトラヒドロフラン、チオフェンなどの複素環式化合物をも例示できる。
【0027】
本発明の芳香族化合物骨格に結合する置換基は、アルキル基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、アルコキシ基、アセチル基、ハロゲン、ハロゲン含有基などで、特に制限はない。
【0028】
アルキル置換基を有する芳香族化合物としては、例として、トルエン、o−キシレン、m−キシレン、p−キシレン、メシチレン、1,2,3−トリメチルベンゼン、1,2,4−トリメチルベンゼン、1,2,3,4−テトラメチルベンゼン、1,2,3,5−テトラメチルベンゼン、1,2,4,5−テトラメチルベンゼン、エチルベンゼン、n−プロピルベンゼン、クメン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、t−ブチルベンゼン等のベンゼン環上にアルキル置換基を有する化合物、1−メチルナフタレン、2−メチルナフタレン、1,2−ジメチルナフタレン、2,3−ジメチルナフタレン、1,3−ジメチルナフタレン、1,4−ジメチルナフタレン、2,6−ジメチルナフタレン、1,2,3−トリメチルナフタレン、1,6,7−トリメチルナフタレン、2,6,7−トリメチルナフタレン、1,4,5−トリメチルナフタレン、1,4,6−トリメチルナフタレンン、2,3,5−トリメチルナフタレン、2,3,6−トリメチルナフタレン、1,4,5,8−テトラメチルナフタレン、2,3,6,7−テトラメチルナフタレン等のナフタレン環上にメチル基を有する化合物、アントラセン環上にアルキル置換基を有する化合物、フェナントレン環上にアルキル置換基を有する化合物、ジフェニルメタンのベンゼン環上にアルキル置換基を有する化合物、ビフェニルのベンゼン環上にアルキル置換基を有する化合物、ビフェニルエーテルのベンゼン環上にアルキル置換基を有する化合物、フルオレン環上にアルキル置換基を有する化合物、インデン環上にアルキル置換基を有する化合物等が挙げられる。
【0029】
置換基を有する芳香族化合物には、芳香族環にハロゲン置換基やアルコキシ置換基、水酸基、アミノ基、ニトロ基、アセチル基を有する化合物も含まれる。例として、クロロベンゼン、クロロトルエン類、クロロキシレン類、ブロモトルエン類、ブロモキシレン類、アニソール、ベラトール、メトキシトルエン類、メトキシキシレン類、フェノール類、アニリン類、ニトロベンゼン類、メチルフェニルケトン類などが挙げられる。
【0030】
非ベンゼン系芳香族化合物とは、シクロペンタジエン、メチルシクロペンタジエン、ジメチルシクロペンタジエン、シクロヘプタトリエン、メチルシクロヘプタトリエン、さらにはそれらに縮合した化合物であるインダン、メチルインダンをも含む。
【0031】
本発明における複素環式化合物とは、2種以上の原子で形成される環を有する化合物である。例として、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、3−ピロリンピロリジン、ピリジン、ピリミジン、プリン、キノリン、イソキノリン、カルバゾール、インドール、ベンゾフラン等が挙げられる。置換基を有する複素環式化合物とは、上記複素環式化合物の環上にアルキル置換基、ハロゲン置換基、アルコキシ置換基、水酸基、アミノ基、ニトロ基やアセチル基などを有する化合物である。例として、メチルピロール、エチルピロール、ピロピルピロール、メチルフラン、エチルフラン、プロピルフラン、メチルチオフェン、エチルチオフェン、プロピルチオフェン、メチルイミダゾール、エチルイミダゾール、プロピルイミダゾール、メチルオキサゾール、エチルオキサゾール、プロピルオキサゾール、メチルチアゾール、エチルチアゾール、プロピルチアゾール、メチルピラゾール、エチルピラゾール、プロピルピラゾール、メチル−3−ピロリンピロリジン、エチル−3−ピロリンピロリジン、プロピル−3−ピロリンピロリジン、ピコリン、エチルピリジン、プロピルピリジン、メチルピリミジン、エチルピリミジン、プロピルピリミジン、メチルプリン、エチルプリン、プロピルプリン、メチルキノリン、エチルキノリン、プロピルキノリン、メチルイソキノリン、エチルイソキノリン、プロピルイソキノリン、メチルカルバゾール、エチルカルバゾール、プロピルカルバゾール、メチルインドール、エチルインドール、プロピルインドール、メチルベンゾフラン、エチルベンゾフラン、プロピルベンゾフラン、メトキシフラン、塩化フラン、塩化ベンゾフラン、臭化ベンゾチオフェン、アセトアミノピロール、ニトロピロール、ニトロベンゾフラン、アセトキシフラン、アセトキシピロール、ニトロインドール、ジメチルアミノインドール、ジメチルインドール、N−アシルジメチルインドール、塩化メチルベンゾフラン、チオフェノキシフラン、フェノキシピロール等が挙げられる。
【0032】
本発明の芳香族化合物は、好ましくは、ベンゼン、ナフタレンなどの炭化水素系芳香族化合物や非ベンゼン系芳香族化合物である。より好ましくは、アルキル置換基を有するベンゼン、ナフタレンなどの炭化水素系芳香族化合物であり、例としてトルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メチルナフタレン等が挙げられる。最も好ましくは、アルキルベンゼン系炭化水素系芳香族化合物である。
【0033】
これらの芳香族化合物は、一般工業グレードであれば、そのまま使用することもできる。好ましくは、製品となる規格に合うように精製して用いる方がよい。精製方法は、当業者によく知られた方法である蒸留、再結晶、リンス、溶解濾過、吸着除去などいずれであってもよい。
【0034】
本発明におけるエステル化合物とは、分子内環化したエステルであるラクトン類、脂肪族や芳香族エステル、炭酸エステル(−OCOO−)などを含む。特にラクトン類が好ましい。β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、γ−バレロラクトン、γ−カプロラクトン、γ−カプリロラクトン、γ−ラウロラクトン、クロトラクトン、α−アンゲリカラクトン、β−アンゲリカラクトン、δ−カプロラクトン、テトロン酸、α−ピロン、β−ピロン、フタリド、クマリン、その他大環状ラクトン等が挙げられる。
また、本発明におけるオレフィンとは、エチレン、プロピレン、1−ブテン、2−ブテン、1,3−ブタジエン、1−ペンテン、2−ペンテン、1,3−ペンタジエン、1,4−ペンタジエン、1−ヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、1,3−ヘキサジエン、1,4−ヘキサジエン、1,5−ヘキサジエン、2,4−ヘキサジエン、1,3,5−ヘキサトリエン等の鎖状オレフィンおよび上記オレフィンの分枝状異性体等が挙げられる。
【0035】
本発明において製造されるフリーデルクラフツ反応による芳香族化合物(以下、フリーデルクラフツ反応生成物ともい。)とは、芳香族ケトン類、芳香族カルボン酸類、芳香族アルコール類、アルキル化又はアルケニル化された芳香族類などである。本発明の方法は、特に、芳香族ケトン類、芳香族カルボン酸類のフリーデルクラフツ反応生成物を製造するために好適である。特に芳香族ケトン類であるフリーデルクラフツ反応生成物を製造するために好適である。芳香族ケトン類の中でも環化したケトン類であるフリーデルクラフツ反応生成物を製造するために好適である。最も好ましくは、インダノン類、テトラロン類の製造のために好適である。また、本発明の方法は、アルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物を製造するために好適である。特にブタジエンによるブテニル化芳香族化合物を製造するために好適である。
【0036】
本発明のフリーデルクラフツ反応に使用する溶媒として、特別な高純度品ではない工業グレード品を使用することもできる。フリーデルクラフツ反応の原料である芳香族化合物を溶媒と兼用することもできる。フリーデルクラフツ反応の原料である芳香族化合物と溶媒を別個に用いる場合には、溶媒として、芳香族化合物よりも反応性の低い芳香族化合物を使用する必要がある。
【0037】
以下、本発明に使用する触媒について説明する。
【0038】
本発明に使用する触媒は、スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料とからなる固体酸触媒である。
【0039】
本発明におけるスルホン酸とは、「炭化水素の水素原子がスルホン基−SO3Hで置換された化合物であり、スルホン酸無水物も含むもの」とする。本発明において使用できるスルホン酸は、上記で定義されるスルホン酸であれば、特に制限はない。例えば、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、プロパンスルホン酸、n−ブタンスルホン酸、n−ペンタンスルホン酸、n−ヘキサンスルホン酸、シクロヘキサンスルホン酸、n−ペンタンスルホン酸、n−オクタンスルホン酸、クロロメタンスルホン酸、ジクロロメタンスルホン酸、トリクロロメタンスルホン酸、フルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、2,3,5,6−テトラフルオロシクロヘキサンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロシクロヘキサンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、4−t−ブチルフェニルスルホン酸、p−フェノールスルホン酸、p−メトキシベンゼンスルホン酸、p−クロロベンゼンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンスルホン酸などが挙げられる。
【0040】
また、スルホン酸基を含むポリマーも使用することができ、具体例としてスルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルとテトラフルオロエチレンの共重合体なども挙げられる。
【0041】
好ましくはフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、2,3,5,6−テトラフルオロシクロヘキサンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロシクロヘキサンスルホン酸、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロベンゼンスルホン酸、スルホニルフルオライド基を含有するパーフルオロビニルエーテルとテトラフルオロエチレンの共重合体等のフッ素化炭化水素スルホン酸である。さらに好ましくはフルオロメタンスルホン酸、ジフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、パーフルオロブタンスルホン酸、2,3,5,6−テトラフルオロシクロヘキサンスルホン酸、2,3,4,5,6−ペンタフルオロシクロヘキサンスルホン酸等のフッ素化飽和アルキルスルホン酸であり、そして最も好ましくは、トリフルオロメタンスルホン酸である。
【0042】
希土類金属トリフルオロメタンスルホナート含有固体酸触媒とは、希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがシリカ系無機材料などの担体に担持されたもの、内部に閉じこめられたもの、又は担体物質との共存下にあるものなどが挙げられる。ここで、共存下とは、触媒が担体に担持されていない状態をいう。
【0043】
本発明における希土類金属トリフルオロメタンスルホナートにおいては、好ましくは、その金属原子が、Sc、Y、La等の希土類族のいずれかに属し、そしてその対アニオンがトリフルオロメタンスルホン酸イオンである。
【0044】
具体的には、Sc(OTf)3 、Y(OTf)3 、Ln(OTf)3、(Ln = La, Ce, Pr, Nd, Pm, Sm, Eu, Gd, Tb, Dy, Ho, Er, Tm, Yb, Lu) (Tf=CF3SO2)が挙げられる。
【0045】
より好ましい希土類金属トリフルオロメタンスルホナートは、Sc(OTf)3、Y(OTf)3,Yb(OTf)3などである。
【0046】
本発明における希土類金属トリフルオロメタンスルホナートは、本分野においてよく知られた方法で合成されうる。具体的には、対応する酸化物とトリフルオロメタンスルホン酸水溶液から容易に合成されうる。試薬として市販されているものをそのまま使用してもよい。
【0047】
本発明において使用する担体物質としては、ゼオライト、MCM−41などに代表される均一な細孔径を有するメソポーラス物質、シリカゲル、珪藻土(「主としてケイソウの殻が堆積してできた土壌で、純粋なケイ酸殻はSiO2 94%、H2O 6%」)などが挙げられる。メソポーラス物質、ゼオライト、シリカゲルが好ましい。
【0048】
担体の粒径は一般に細かい方が触媒性能を発揮しやすい。但し、触媒性能と沈降又は濾過などにおける反応溶液と触媒の分離性とのバランスを考慮して粒径を定めることが必要である。担体は一般に一次粒子のままではなく、凝結体やフロックを形成している場合が多いが、その粒子サイズは凝結体を含めて10μm以上の重量平均粒径を有していることが好ましく、50μm以上がより好ましい。さらに好ましくは200μm以上である。
【0049】
粒径分布は、触媒調製上、ある程度狭い方が好ましい。攪拌により細く粉化し、ハンドリングが損われる可能性があるので、機械的な強度もある程度有することが望ましい。
【0050】
担体としては、0.5nm以上の径の細孔を持つ多孔質の担体が好ましい。その細孔の大きさの分布は狭い方が、担持した後の触媒性能を発現しやすい。細孔容積は0.1ml/g以上が好ましい。より好ましくは0.2ml/g以上である。
【0051】
担体の比表面積は、10m2/g以上が好ましく、より好ましくは20m2/g以上である。シリカや珪藻土では20m2/g以上が好ましく、ゼオライト、メソポーラス物質では100m2/g以上が好ましく、そして活性炭では500m2/g以上が好ましい。比表面積は、窒素ガスによるBET法での測定値であり、その測定方法は、例えば触媒講座3「固体触媒のキャラクタリゼーション」204−5頁(1985年)講談社サイエンティフィック出版に記載されている。
【0052】
希土類金属トリフルオロメタンスルホナートの担体への担持方法は、一般には、含浸法(希土類金属トリフルオロメタンスルホナート溶液を担体の容積に合わせて全てを含浸させる)が用いられる。浸漬法(担体を過剰量の希土類金属トリフルオロメタンスルホナート溶液に浸して液を切り、吸い込んだ分だけ担持する)によることもできる。
【0053】
希土類金属トリフルオロメタンスルホナート担持量(率)は、以下の式により計算される。
【0054】
担持量=[(希土類金属トリフルオロメタンスルホナート重量)/((希土類金属トリフルオロメタンスルホナート重量)+担体重量)] × 100
【0055】
希土類金属トリフルオロメタンスルホナート担持量は、3〜50質量%が好ましく、より好ましくは10〜30質量%であり、そして15〜25質量%がさらに好ましい。担持量が多いと希土類金属トリフルオロメタンスルホナートの機能を十分発揮できないことになるし、経済的にも不利である。また、少なすぎても触媒性能が発揮できない。
【0056】
希土類金属トリフルオロメタンスルホナート担持後の乾燥方法においては、希土類金属トリフルオロメタンスルホナートが分解しない温度による乾燥を行なう。その温度は、200℃以下が好ましく、150℃以下がさらに好ましい。乾燥時間は数時間、特に4時間以上が好ましい。また、希土類金属トリフルオロメタンスルホナートと担体物質とを上記の担持処理を行わずに用いるときは、よく乾燥した希土類金属トリフルオロメタンスルホナートと担体物質を混合して保管してもよい。あるいは別々に保管しておき、反応器に仕込むときに混合してもよい。
【0057】
乾燥した希土類金属トリフルオロメタンスルホナート含有固体酸触媒は、乾燥状態で保管することが望ましい。乾燥後はすばやく乾燥器から取り出し、できるだけ水分を吸収しないように密栓した容器に保存し、周囲を乾燥剤で覆うなどの保管方法が好ましい。
【0058】
次に、芳香族化合物とエステル化合物又はオレフィンとを、上記の方法により調製した固体酸触媒の存在下で、反応させることによりフリーデルクラフツ反応生成物を製造する方法について説明する。
【0059】
芳香族化合物に対する、エステル化合物又はオレフィンのモル比は、1〜400が好ましく、3〜300がより好ましく、そして5〜200がさらに好ましい。
【0060】
エステル化合物又はオレフィンと希土類金属トリフルオロメタンスルホナート含有固体酸触媒のモル比は、5:1以下が好ましく、そして10:1以下がより好ましい。
【0061】
芳香族化合物、エステル基含有化合物又はオレフィン、触媒、溶媒などの仕込み順番は、反応成績に大きな影響を与えない。しかし、所定の反応温度まで上昇する前に十分に混合しておき、反応させる方が好ましい。できれば、室温で十分に混合しておくことが好ましい。
【0062】
本発明のフリーデルクラフツ反応の反応温度と圧力は、芳香族化合物とエステル化合物又はオレフィンの種類により影響されるので、一概には言えないが、100℃以上250℃以下が好ましい。圧力は、常圧、加圧、減圧いずれの状態でも行ないうるが、望ましくは常圧〜500kPa(ゲージ圧)の範囲内で行なうのがよい。
【0063】
反応時の昇温速度は重要である。エステル化合物又はオレフィンの種類によっては、本来のフリーデルクラフツ反応が行なわれず、代わりにエステル化合物又はオレフィンの重合が起こる場合がある。この重合は、本来のフリーデルクラフツ反応を起こす温度よりも低温で起こる場合が多い。そのため、できるだけ昇温速度を大きくし、所定の反応温度へ速く到達させることが好ましい。
【0064】
反応時間は、芳香族化合物とエステル化合物又はオレフィンのモル比や反応条件を考慮して最適化する必要がある。例えば、あまり長時間反応させると、折角生成した目的物が分解する場合がある。したがって、反応条件を最適化して、生成物が分解しないように合成することが重要である。
【0065】
以下、希土類金属トリフルオロメタンスルホナート含有固体酸触媒の分離・回収・再使用に関して説明する。
【0066】
反応終了後、静置することで触媒が沈降する場合には、上澄み液を抜き出し生成物を精製する工程へと進む。分離・回収した触媒は、そのまま再使用することもできる。勿論、沈降分離できない触媒の場合には、当業者が実施可能な分離方法(遠心分離、濾過など)を用いてもよい。
【0067】
以下、希土類金属トリフルオロメタンスルホナート含有固体酸触媒を分離・回収・再使用する工程において、触媒の再生を含むフリーデルクラフツ反応生成物を製造する方法を説明する。
【0068】
触媒の再生方法としては、有機溶媒による洗浄がある。この場合、加熱洗浄が好ましい。洗浄溶媒は、炭化水素系のヘキサン、へプタンなどや塩化メチレンなどの溶媒が好ましい。濾過後、触媒を100℃程度で十分乾燥する。その後は、再度、触媒として使用可能である。
【0069】
反応形式としては、通常、回分式反応器を用いるが、液相流通系や液相流通系の触媒固定床も使用しうる。
【0070】
反応器の材質としては、原料の種類や反応条件によるが、一般に、ステンレス鋼や炭素鋼などが使用される。
【0071】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示すが、これらは本発明の範囲を何ら制限するものではない。
【0072】
実施例1: 20%スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート/MCM−41担持触媒、 p− キシレン
市販のスカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(東京化成(株)製Sc(OTf)3)をそのまま使用した。担体には、メソポーラス物質MCM−41を使用した。MCM−41は、文献(J. Mol. Catal. A., 155, 143 (2000))にしたがって合成した。
【0073】
以下、触媒調製の方法を示す。4.92gのスカンジウムトリフルオロメタンスルホナートを60mlの純水に溶解し、そして19.68gのMCM−41に含浸させた。風乾の後、120℃の熱風乾燥機で4時間乾燥した。これを20wt%Sc(OTf)3/MCM−41と表わす。
【0074】
攪拌機の付いた300mlステンレス製オートクレーブに84.9gのp−キシレン(800mmol)と1.29gのγ−ブチロラクトン(15.0mmol)を仕込み、3.20gの20wt%Sc(OTf)3/MCM−41触媒(0.00130mol−Sc(OTf)3)を投入し、蓋を閉めた。高純度窒素ガスで蓄圧してガスをパージし、これを5回繰り返した。圧力低下が無いことを確認してからガスを抜いた。昇温を速めるため、予め加熱した油浴に漬けて、反応を開始させた。200℃で6時間反応した。反応終了後、上澄み液を除去し、GC(FID、Heキャリアガス、30mDB−1カラム)にて内標法により分析した。反応5時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は82.0%であり、γ−ブチロラクトン基準の、5,8−ジメチルテトラロンの収率は69.8%であり、トリメチルインダノン収率は2.8%であった。
【0075】
実施例2: 20%スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート/シリカ担持触媒、 p− キシレン
実施例1において使用した3.20gの20wt%Sc(OTf)3/MCM−41触媒(0.00130mol−Sc(OTf)3)の代わりに、同量の20wt%Sc(OTf)3/シリカ(富士シリシア(株)製Q−3:比表面積550m2/g)を用いた以外は、実施例1と同様に反応させて分析した。反応6時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は76.5%であり、γ−ブチロラクトン基準の5,8−ジメチルテトラロン収率は63.0%であった。20%スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート/シリカ担持触媒でも反応することを確認した。
【0076】
実施例3: スカンジウムトリフルオロメタンスルホナートとMCM−41を担持しないで両者共存下で用いた場合、 p− キシレン
実施例1で使用した3.20gの20wt%Sc(OTf)3/MCM−41触媒(0.00130mol−Sc(OTf)3)の代わりに、0.64gのスカンジウムトリフルオロメタンスルホナートと2.56gのMCM−41をそれぞれ順番に反応系内に仕込み、反応温度を180℃で反応させた以外は、実施例1と同様に反応させて分析した。反応4時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は57.6%であり、γ−ブチロラクトン基準の5,8−ジメチルテトラロン収率は35.8%であった。
【0077】
実施例4: 30%スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート/シリカ担持触媒、 p− キシレン
実施例1で使用した3.20gの20wt%Sc(OTf)3/MCM−41触媒(0.00130mol−Sc(OTf)3)の代わりに、3.20gの30%スカンジウムトリフルオロメタンスルホナート/シリカ(富士シリシアQ−3)担持触媒を用いて、反応温度を210℃で反応させた以外は、実施例1と同様に反応させて分析した。反応3時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は91.0%であり、γ−ブチロラクトン基準の5,8−ジメチルテトラロン収率は67.1%であった。
【0078】
実施例5: 20%スカンジウムトリフルオロメタンスルホナートMCM−41担持触媒、 p− キシレン
反応温度を130℃で反応させた以外は、実施例1と同様に反応させて分析した。反応40時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は33.0%であり、γ−ブチロラクトン基準の5,8−ジメチルテトラロン収率は27.1%であった。低温でも触媒活性があり、反応が進行することを確認した。
【0079】
実施例6: ブテニルキシレンの合成
3口フラスコに、p−キシレン 50gおよび3.0gの5wt%Sc(OTf)3/シリカ(富士シリシア(株)製Q−10:比表面積300m2/g)を仕込み、40℃にて1,3−ブタジエンをポリテトラフルオロエチレン管を通じてゆっくり(4ml/minで9時間)と液中へ吹き込んだ。未反応1,3−ブタジエンは系外へ排出した。以下の反応スキーム3に示すように、p−キシレン転化率13%、選択率60%でブテニルキシレン(1−(2−ブテン−1−イル)−2,5−ジメチルベンゼン)を得た。
【0080】
【化3】
【0081】
比較例1: スカンジウムトリフルオロメタンスルホナートのみを用いた触媒、 p− キシレン
実施例1で使用した3.20gの20wt%Sc(OTf)3/MCM−41触媒(0.00130mol−Sc(OTf)3)の代わりに、同じ量のスカンジウムトリフルオロメタンスルホナート(0.640g)のみを触媒に用いた以外は、実施例1と同様に反応させて分析した。反応5時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は3.0%であり、γ−ブチロラクトン基準の5,8−ジメチルテトラロン収率は0%であった。スカンジウムトリフルオロメタンスルホナートのみを用いた触媒では反応が進行しないことを確認した。
【0082】
比較例2: MCM − 41のみを用いた触媒、 p− キシレン
実施例1で使用した3.20gの20wt%Sc(OTf)3/MCM−41触媒(0.00130mol−Sc(OTf)3)の代わりに、同じ量のMCM−41(2.56g)を触媒に用いた以外は、実施例1と同様に反応させて分析した。反応5時間後、γ−ブチロラクトンの転化率は1.8%であり、γ−ブチロラクトン基準の5,8−ジメチルテトラロン収率は0%であった。MCM−41のみを用いた触媒では反応が進行しないことを確認した。
【0083】
【発明の効果】
本発明に係る触媒及び製造法を用いることにより、一段の反応でテトラロン類およびアルキル化又はアルケニル化芳香族化合物を合成できることがわかった。本発明は、廃棄物の削減、分離工程の簡素化、高級な耐酸性材質の反応器を必要としないという、従来技術の方法に比較して顕著かつ有利な効果を有する。
Claims (19)
- スルホン酸の希土類金属塩及びシリカ系無機材料を含むフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
- 前記スルホン酸が、フッ素化炭化水素スルホン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
- 前記スルホン酸が、フッ素化飽和アルキルスルホン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
- 前記スルホン酸が、トリフルオロメタンスルホン酸であることを特徴とする、請求項1に記載の触媒。
- 前記シリカ系無機材料が、シリカゲル、ゼオライト又は珪藻土の中の少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒。
- 前記シリカ系無機材料が、メソポーラス物質であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の触媒。
- 希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがシリカ系無機材料に担持されたフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
- 希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがシリカゲル又はゼオライトに担持されたフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
- 希土類金属トリフルオロメタンスルホナートがメソポーラス物質に担持されたフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒。
- 芳香族化合物とエステル化合物とを、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるカルボニル基を有する芳香族化合物の製造方法。
- 芳香族化合物とオレフィンとを、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法。
- 前記オレフィンがブタジエンであることを特徴とする、請求項11に記載の方法。
- 希土類金属トリフルオロメタンスルホナートとシリカ系無機材料を、上記希土類金属トリフルオロメタンスルホナートを上記シリカ系無機材料に担持することなしに反応系に供給し、これを触媒として用いて、芳香族化合物とエステル化合物とを反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるカルボニル基を有する芳香族化合物の製造方法。
- 希土類金属トリフルオロメタンスルホナートとシリカ系無機材料を、上記希土類金属トリフルオロメタンスルホナートを上記シリカ系無機材料に担持することなしに反応系に供給し、これを触媒として用いて、芳香族化合物とオレフィンとを反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法。
- 前記オレフィンがブタジエンであることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
- 芳香族化合物とエステル化合物とを、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応による芳香族化合物の製造方法。
- 芳香族化合物とオレフィンとを、請求項1〜9のいずれか1項に記載のフリーデルクラフツ反応用固体酸触媒の存在下で反応させることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応による芳香族化合物の製造方法。
- 芳香族化合物とオレフィンとを、請求項7〜9のいずれか1項に記載のフリーデルクラフツ用固体酸触媒の存在下で反応させ、ここで、前記フリーデルクラフツ反応用固体酸触媒中の希土類金属トリフルオロメタンスルホナートの重量が50質量%以下であることを特徴とする、フリーデルクラフツ反応によるアルキル化又はアルケニル化された芳香族化合物の製造方法。
- フリーデルクラフツ反応で生成したカルボニル基を有する芳香族化合物が環化したケトン構造を有する芳香族化合物であることを特徴とする、請求項10に記載の方法。
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