JP2004337421A - 治療用プロテクター - Google Patents
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Abstract
【課題】骨折等の治療に際しての固定を含めて患部の保護を、石膏を用いずに、短時間で容易に行えるようにする。
【解決手段】加熱によりニット面の形状固定が行える形状固定機能を有する糸を編み糸として筒体に編上げてプロテクター10を形成する。プロテクター10を被着体に被着させ、筒体のニット面が患部を覆うように被着させれば、ニットの高い伸縮性により被着体の患部の凹凸形状にフィットした状態で被着させられ、その状態でフィットした状態のニット面を加熱して形状を固化させ、被着体の患部保護を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】加熱によりニット面の形状固定が行える形状固定機能を有する糸を編み糸として筒体に編上げてプロテクター10を形成する。プロテクター10を被着体に被着させ、筒体のニット面が患部を覆うように被着させれば、ニットの高い伸縮性により被着体の患部の凹凸形状にフィットした状態で被着させられ、その状態でフィットした状態のニット面を加熱して形状を固化させ、被着体の患部保護を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨折部位や、捻挫部位等の患部の治療に際して、外部から不要な圧迫等を受けないように前記患部を保護する目的で使用する治療用プロテクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、骨折治療等では、骨折部の骨接ぎが起き易いように、添木等を行った状態で包帯を巻いたり、あるいは石膏で周囲を固める等して、患部の固定を行っている。
【0003】
また、捻挫等の患部でも、治療中には、患部に不必要な力が加わらないように保護するため、患部周囲を石膏等で固めて対処する場合も見られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、石膏を使用して骨折部等の固定をしたり、あるいは捻挫等の患部を保護する従来方法では、以下のような問題点があることに気がついた。
【0005】
例えば、骨折治療の固定方法を例に挙げれば、治療中に固定状態を解除して、骨折部の骨接ぎの状況を確認する場合があるが、その都度、包帯を解いたり、あるいは石膏を外したりしなければならない。併せて、再度の包帯固定、石膏固定を行う必要がある。
【0006】
しかし、包帯固定では、包帯を巻いたり解いたりする作業には、かなりの手間がかかり、且つ、ある程度の熟練度が要求される。包帯の巻き付けに際しては、患部が固定できるように緩まない巻き付けが求められる一方で、きつく巻き付け過ぎてもいけない。程よい押圧状態に巻き付ける技術が求められ、それなりの熟練度が要求される。
【0007】
一方、石膏固定の方法では、石膏を外したり、石膏で再度固定したりする度に、石膏屑や石膏泥等で周囲が汚れたり、手間がかかる。さらに、固定部の皮膚に石膏が付着するためどうしても皮膚が痒くなる等の症状が発生し易い。皮膚が赤く腫れ上がる場合も見られる。
【0008】
かかる問題点は、骨折部の固定以外でも、例えば捻挫部位の保護を目的として石膏でガードする場合にも発生する問題点である。
【0009】
また、石膏固定では、石膏の重量があり、場合によっては患者にかなりの負担となる場合も見られる。さらに、石膏で固定する場合には、患部の周囲をも含めてある程度広く固定するため、その部分の通気性がなく、患部が蒸れて湿疹も発生し易い。
【0010】
また、従来の固定方法では、患部の固定は勿論であるが、患部の周囲も包帯や、石膏等で固められるため、本来的には固定が必要ではない部分までもが動けないように固定される不自由もある。
【0011】
本発明の目的は、骨折等の治療に際しての固定を含めて患部の固定保護を、石膏を用いずに、短時間で容易に行えるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、患部を保護する治療用プロテクターであって、前記プロテクターは、前記患部に装着した状態のニット面の形状を、加熱により前記形状の形状固定を行う糸を編み糸として編んでなるニットに形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、患部を保護する治療用プロテクターであって、前記プロテクターは、前記患部に装着した状態のニット面の形状を、加熱により前記形状の形状固定を行う糸を編み糸として編んでなるニット部を一部に有することを特徴とする。
【0014】
上記いずれかの構成において、加熱により形状固定を行う糸には、所定温度に加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂の糸を使用する。あるいは、加熱により形状固定を行う糸には、所定温度に加熱することにより糸同士が融着して、前記所定温度より低い温度で硬化する熱可塑性樹脂の糸を使用してもよい。所定温度は、100℃以下の温度であれば好ましい。より好ましくは、80℃の温度である。
【0015】
かかる構成のプロテクターの形状としては、例えば、患部に簡単に装着できるように当初から筒体や、袋体に形成しておけばよい。
【0016】
かかる構成の治療用プロテクターとしては、例えば、骨折等の固定治療を必要とする前記患部に装着される固定包帯としての使用方法が挙げられる。
【0017】
以上の構成を有する本発明のプロテクターを、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の糸を編み糸としたニット面が患部を覆うように装着させれば、ニットは縦糸と横糸とを織った織布とは異なり伸縮性が高いため、装着対象の患部の凹凸形状にフィットした状態で装着させることができる。
【0018】
このように本発明のプロテクターでは、装着した状態で、ニット面が既に被着体の患部に凹凸に合わせてフィットした形状になっており、このフィットした状態でのニット面の形状を、ニット面を加熱することにより、ニット面を形成する編み糸同士を融着して硬化させたり、あるいはそのまま熱硬化させたりして形状が固定化されて、患部を十分に保護するのである。
【0019】
被着させるだけでフィット状態が確保され、その状態で形状固化が行えるため、被着体とプロテクターとの間に不要な空間が発生せず、ガタを発生させることなく適切な固定が行える。
【0020】
患部に包帯を巻いた上で、石膏包帯等を用いて石膏で固定する場合には、石膏が固まるに際して収縮がおき、かかる収縮の程度を予め想定した巻き付け加減で行わないと、石膏固定後に必要以上にガタが発生したり、あるいは強く圧迫された状態となる場合があり、石膏固定の下地となる包帯の巻き付け加減が極めて重要であるが、本発明のプロテクターでは、ニットの伸縮性の有する圧迫程度で、患部に優しい自然な状態でフィット性が得られた状態で固定が行え、かかる石膏固定に係る必要以上のガタの発生、あるいは必要以上の圧迫の発生はない。
【0021】
また、かかる形状固化に際しては、ニット面を構成する編み糸を加熱するだけでよいため、従来のように包帯を巻いたり、あるいは石膏で固めたりする等の場合に比べて格段に短時間の処理が可能である。
【0022】
糸は元々細く形成されているため、シート等に形成されている場合に比べて、極めて熱伝導がよく、糸同士の融着、あるいは熱硬化は、速やかに行われる。熱可塑性樹脂の溶融点、あるいは熱硬化性樹脂の硬化点に相当する温度の温風をドライヤーでニット面に吹き付けるだけで形状固化が短時間に容易に行える。
【0023】
また編み糸で編んでなるニット面は、シート状の場合に比べて、糸の周囲に3次元的に空間が確保されているため、温風の吹き付けに際して糸の周囲を3時限的に加熱することができ、かかる構成を有していない場合に比べて、溶融に至るまでの時間短縮が図れる。さらには、かかる糸の周りに形成されている3次元空間は、溶着した熱可塑性樹脂の糸の放熱にも有利に働き、かかる3次元構成を有していない場合に比べて、短時間で糸同士が融着した状態の固化が行える。
【0024】
一方、かかる形状固定に際しては、糸が編まれてなる編み目に相当する空隙部は塞がらないため、患部を外力等から保護できる程度に形状固化しても、通気性が確保され、石膏固定とは異なり、患部の蒸れの心配もない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、筒体に形成されたプロテクターを示す斜視図である。図2(A)は、図1に示す筒体に形成したプロテクターを腕の骨折部に被着して患部の固定用に使用している状態を示す説明図であり、(B)は肘の捻挫部を保護する目的で被着している様子を示し、(A)、(B)の破線部が形状固定を行ったニット面を示している。
【0027】
プロテクター10は、例えば、図1に示すように、筒体に形成されている。プロテクター10は、編み糸を編むことにより全体が図1に示す筒体になるように編まれている。すなわち、図1に示す筒体は、編み糸を編んでなるニット面で形成されていることになる。
【0028】
かかるプロテクター10は、編み糸を編んでなるニットに形成されているため、十分な伸縮性を有しており、例えば、腕等に通した場合でも、通した腕の周囲の形状に対応して形状変形が行われ、十分に被着体の形状に順応した、所謂フィットした状態に被着させることができる。
【0029】
このように、本発明の係るプロテクター10では、ニットに形成することにより、被着体へのフィット性を確保している。プロテクター10の筒体の筒径を、筒体に通す被着体の断面径より少し小さく形成しておき、プロテクター10のニット面を少し伸ばしながら被着させるようにしておけば、プロテクター10の筒体を構成するニット面は、被着体の外面の凹凸に沿ったフィット性を示す形状になっている。
【0030】
このようにニット面が被着体の外面の沿った形状になっている状態で、ニット面の形状固化を行い、被着体の状態を固定することができる。例えば、腕の骨折部等の患部は、患部に被着されたプロテクター10のニット面の形状固化により固定されることとなる。
【0031】
かかるニット面の形状固化を行わせるには、ニット面を構成する編み糸として、ニット面を加熱することによりニット面の形状を維持した状態で固化させることができる熱可塑性樹脂の糸、あるいは熱硬化性樹脂の糸を使用すればよい。
【0032】
編み糸として熱可塑性樹脂の糸を使用する場合には、ニット面が被着体の外面に沿った形状になっている状態で、ニット面に熱可塑性樹脂の糸の溶融点に相当する温度の温風を吹き付ける等して加熱することにより、熱可塑性樹脂の糸同士が互いに融着する。
【0033】
糸は元々細く形成されているため、熱伝導性が極めて高い状態にされており、瞬間的に軟化点の温風を吹き付ける等の加熱手段で、瞬間的に糸同士の融着が起きる。
【0034】
一方、瞬間的な温風の吹き付けによる糸同士の融着に際しては、編み目が完全に塞がることはない。そのため、瞬間的に温風吹き付けで融着を起こした糸の温度は融点の温度から下がり、短時間で、瞬間的に融着した状態で固化することとなる。
【0035】
尚、加熱手段としては、ドライヤー等の温風吹き付け手段以外に、アイロン等を軽く押し当てる等種々の加熱手段を適宜採用することができる。
【0036】
このようにニット面を構成していた編み糸としての熱可塑性樹脂の糸同士が融着して固化することにより、ニット面の形状の固化が行なえる。
【0037】
糸同士が単に編み糸として編まれているニット面は、ニットの特徴である縦横な伸縮性を有しており、被着体の外形の凹凸に十分に順応する程にフィット性が確保されている。しかし、加熱により糸同士が融着してその後固化した場合には、糸同士が融着していない場合に比べて応力が高くなり、石膏固定に比して遜色ない程に硬度が確保され、十分な剛性が得られる。
【0038】
かかる形状固化機能を糸に持たせる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系(ナイロン:ナイロン6、ナイロン66等)、ナイロン(アラミド)、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系(ビニロン)、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトル系(アクリル)、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ABS、カプロラクタム等の樹脂が挙げられる。
【0039】
この内、ポリアミド系(ナイロン:ナイロン6、ナイロン66等)、ナイロン(アラミド)、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系は低融点の性質を有しており、人体に着用した状態で加熱しても、人体に耐え難い程の熱さを感じさせることなく糸同士の融着により硬化を起こさせることができる。
【0040】
本発明のプロテクターに使用できる糸は、被着対象に合わせて形状変形しているニット面を硬化させることにより形状固化を図れればよく、加熱により熱硬化する熱硬化性樹脂の糸も、形状固化機能を持たせた編み糸として使用することができる。
【0041】
熱硬化性樹脂の糸同士が単に編み糸として編まれているニット面は、ニットの特徴である縦横な伸縮性を有しており、被着体の外形の凹凸に十分に順応する程にフィット性が確保されている。
【0042】
かかる状態でプロテクター10を、例えば腕等の被着体に被着させると、被着体の外観形状に沿ってフィットした状態にニット面が変形している。この状態で、ニット面に硬化点に相当する温度の温風を吹き付ける等の手段で加熱を行えば、ニット面の形状固化が発生し、硬化する前の糸同士が編まれている状態のニット面とは異なり、石膏固定に比して遜色ない程の硬度が得られ、被着された部分の固定を確実に行うことができる。
【0043】
勿論、加熱手段は、アイロン等の手段でも構わない。かかる加熱を行うことにより、ニット面を構成している編み糸としての熱硬化性樹脂の糸は、編み目の空隙を残した状態で硬化する。
【0044】
かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系(ノボロイド)等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0045】
熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の糸としては、マルチフィラメント糸でもステープル糸でも使用することができる。また、形状固化時に、患部に耐え難い程の熱さを感じさせないようにするためには、100℃以下、より好ましくは80℃以下の低融点、あるいは硬化点を有す樹脂の糸を使用すればよい。
【0046】
本発明のプロテクター10では、筒体に編んでなるニット面の高フィット性を利用して、被着体に被着させた状態でのフィット状態を固定する手段であるため、形状固定を行う前のフィット性をより高くしておくことが好ましい。
【0047】
かかる観点から、糸自体が柔らかいステープル糸を使用して、且つ細い番手の複数の糸を編み糸として使用すれば、応力が低く、編上げにおいても被着体の形状に対しての順応性のよい高フィット性のあるニット面を形成することができて好ましい。
【0048】
プロテクター10は、例えば、丸編によって筒体や袋体に形成されるが、一品につき通常糸によって二点、熱可塑性樹脂の糸によって一点(必要により複数枚)を同じ形に編上げる。
【0049】
通常糸による編は、身体に用いるものであれば、肌に当たりがよい、かつ断熱のよい、上述の熱可塑性樹脂の糸より熱的性質の高い素材を用い、必要により装着におけるフィット性を高めるようウーリー糸やスパンデックス等の伸縮糸を地糸として用いる。
【0050】
熱可塑性樹脂の糸の編は低融点によるものを用いるが、いずれの場合もウエルト部分(筒型のサポーター状の場合は両口)は通常の糸によるゴム編、またはスパンデックス糸等に差し替える。
【0051】
また、かかる構成のプロテクター10におけるフィット性をより高くするためには、上述の通常糸による編と同じようにスパンデックス等の伸縮糸を地糸に用いればよい。
【0052】
このようにして編上げた三点を、熱可塑性樹脂の糸の編を中間に三層に重ね合わせ、ウエルト部分(筒型のサポーター状の場合は両口)をリンキング等によって一体の製品になるようにまとめればよい。この場合、製品が長すぎるもの、あるいは巾が広すぎるものについては、必要な箇所にゴム系糸で止め縫いを施してもよい。また、三層がずれ動かない程度に接着させるような熱を加えてもよい。
【0053】
かかるプロテクター10は、固化に必要な硬度あるいは強度は主として熱可塑性樹脂の糸の性質により得られるが、同じ性質の糸を用いた場合には、編み生地の密度や厚さを調節することにプロテクターの強度調節をある程度行うこともできる。すなわち、熱可塑性樹脂の繊維糸の編を必要に応じて複数枚使用することによって対応すればよい。
【0054】
本発明のプロテクター10の使用に際しては、熱さ除けとして、薄手の布を巻いたり、あるいはサポーターを装着した後で本発明のプロテクター10を装着してもよい。
【0055】
図2(A)では、例えば、かかる構成のプロテクター10を用いて、腕の骨折部に被着して、破線部に示すニット面11を上記要領で加熱して形状固定を行った様子を示している。
【0056】
図2(A)に示すように、被着されているプロテクター10の全体に相当する破線部で示すニット面11が固定されているため、骨折患部20の固定が適切に行われ、骨折患部20における骨が接続するまで、骨折患部20が動かないように固定することできる。
【0057】
添木を用いたり、石膏固定を行ったりする場合とは異なり、肩から固定部を吊ったり、あるいは腕の周りを部厚く重い石膏で固めたりする必要がなく、患者の負担を軽くすることができる。
【0058】
また、骨折患部20の周囲を含めて広く形状固定が行われているが、形状固定が行われているニット面11では、前記説明の如く、編み目の空隙は残されているため、プロテクター10で被着されている部分への通気性が確保され、従来の包帯固定、石膏固定に比べて固定部における蒸れ等は発生しない。
【0059】
図2(B)は、肘の捻挫部にプロテクター10を被着させて、破線で示したニット面12を形状固定した状態を示す。プロテクター10は、伸縮性が高いニットの筒体に形成されているため、肘等の屈曲部に十分にフィット性よく被着され、その状態でニット面12の形状固化が行われている。肘を屈曲した状態で肩から腕を吊ることなく固定が行える。
【0060】
また、図2(B)に示す構成では、全体がニットに形成されたプロテクター10の一部の範囲のみの形状固定を行っている。すなわち、加熱範囲を部分的に限定することにより、所望の範囲のみの形状固定が行うことができる。かかる部分加熱を行うには、加熱が不要な部分を、例えば、目がつんだ厚手の布等で隠した状態で加熱すれば手軽に行える。
【0061】
図1に示す場合には、プロテクター10の筒体の全体を形状固化できるニット面に構成しているが、図3(A)、(B)に示すように、プロテクター30の筒体の一部にのみ形状固化機能を有する上記構成のニット面31を形成し、その他は非ニット面32に構成しても構わない。
【0062】
特に、図3(B)に示すように、筒状に形成したプロテクター10の長手方向に非ニット面32を帯状に設けておけば、取り外しに際して、非ニット面32を広げることで簡単にプロテクター30を外すことができる。
【0063】
プロテクター10の形状として、筒体を例に挙げて説明したが、図4(A)、(B)に示すように、例えば手袋、靴下のような袋体に形成しても一向に構わない。手袋に形成したプロテクター10を用いれば掌の骨折や捻挫等の固定治療に、靴下に形成したプロテクター10を用いれば足の骨の骨折や捻挫等の固定治療に使用することができる。
【0064】
尚、かかる固定に際しては、固定状態でも良好な血行状態を確保するため図4の手袋、靴下に形成した袋体では指先部分が出るようにカットしてある。
【0065】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて変更してもよい。
【0066】
前記実施の形態では、プロテクターを筒体、袋体等の立体形状に形成した場合を示したが、帯状の所謂包帯状に形成して、患部に巻き付け、巻き付けた一部を加熱して固定できるようにしても構わない。あるいは、広いシート状にニットを編んでも構わない。
【0067】
ニット面を形状固化させるに際しては、段々と硬くなるようにグラデーションを持たせるようにしても構わない。ニット面と非ニット面とが混在するような場合には有効に使用することができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明では、加熱により形状固定が行える糸を編み糸として編んだニット面を、保護が必要な患部等の被着体にフィットさせた状態で、形状固定が行えるため、従来の石膏固定に比べて、患部への通気性を確保した状態で簡単に患部固定等の保護が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロテクターを筒体に形成した状況を示す斜視図である。
【図2】(A)は筒体に形成したプロテクターを腕の骨折部位に被着して固定用に使用した場合を示す説明図であり、(B)は肘の捻挫にプロテクターの一部を形状固化させて使用する状況を示す説明図である。
【図3】(A)、(B)は、プロテクターの一部に形状固化できるニット部を設けた変形例の構成を示す斜視図である。
【図4】(A)、(B)は、それぞれ手袋、靴下等の袋体にプロテクターを形成した場合を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 プロテクター
11 ニット面
12 ニット面
20 骨折患部
30 プロテクター
31 ニット面
32 非ニット面
【発明の属する技術分野】
本発明は、骨折部位や、捻挫部位等の患部の治療に際して、外部から不要な圧迫等を受けないように前記患部を保護する目的で使用する治療用プロテクターに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、骨折治療等では、骨折部の骨接ぎが起き易いように、添木等を行った状態で包帯を巻いたり、あるいは石膏で周囲を固める等して、患部の固定を行っている。
【0003】
また、捻挫等の患部でも、治療中には、患部に不必要な力が加わらないように保護するため、患部周囲を石膏等で固めて対処する場合も見られる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者は、石膏を使用して骨折部等の固定をしたり、あるいは捻挫等の患部を保護する従来方法では、以下のような問題点があることに気がついた。
【0005】
例えば、骨折治療の固定方法を例に挙げれば、治療中に固定状態を解除して、骨折部の骨接ぎの状況を確認する場合があるが、その都度、包帯を解いたり、あるいは石膏を外したりしなければならない。併せて、再度の包帯固定、石膏固定を行う必要がある。
【0006】
しかし、包帯固定では、包帯を巻いたり解いたりする作業には、かなりの手間がかかり、且つ、ある程度の熟練度が要求される。包帯の巻き付けに際しては、患部が固定できるように緩まない巻き付けが求められる一方で、きつく巻き付け過ぎてもいけない。程よい押圧状態に巻き付ける技術が求められ、それなりの熟練度が要求される。
【0007】
一方、石膏固定の方法では、石膏を外したり、石膏で再度固定したりする度に、石膏屑や石膏泥等で周囲が汚れたり、手間がかかる。さらに、固定部の皮膚に石膏が付着するためどうしても皮膚が痒くなる等の症状が発生し易い。皮膚が赤く腫れ上がる場合も見られる。
【0008】
かかる問題点は、骨折部の固定以外でも、例えば捻挫部位の保護を目的として石膏でガードする場合にも発生する問題点である。
【0009】
また、石膏固定では、石膏の重量があり、場合によっては患者にかなりの負担となる場合も見られる。さらに、石膏で固定する場合には、患部の周囲をも含めてある程度広く固定するため、その部分の通気性がなく、患部が蒸れて湿疹も発生し易い。
【0010】
また、従来の固定方法では、患部の固定は勿論であるが、患部の周囲も包帯や、石膏等で固められるため、本来的には固定が必要ではない部分までもが動けないように固定される不自由もある。
【0011】
本発明の目的は、骨折等の治療に際しての固定を含めて患部の固定保護を、石膏を用いずに、短時間で容易に行えるようにすることにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、患部を保護する治療用プロテクターであって、前記プロテクターは、前記患部に装着した状態のニット面の形状を、加熱により前記形状の形状固定を行う糸を編み糸として編んでなるニットに形成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明は、患部を保護する治療用プロテクターであって、前記プロテクターは、前記患部に装着した状態のニット面の形状を、加熱により前記形状の形状固定を行う糸を編み糸として編んでなるニット部を一部に有することを特徴とする。
【0014】
上記いずれかの構成において、加熱により形状固定を行う糸には、所定温度に加熱することにより硬化する熱硬化性樹脂の糸を使用する。あるいは、加熱により形状固定を行う糸には、所定温度に加熱することにより糸同士が融着して、前記所定温度より低い温度で硬化する熱可塑性樹脂の糸を使用してもよい。所定温度は、100℃以下の温度であれば好ましい。より好ましくは、80℃の温度である。
【0015】
かかる構成のプロテクターの形状としては、例えば、患部に簡単に装着できるように当初から筒体や、袋体に形成しておけばよい。
【0016】
かかる構成の治療用プロテクターとしては、例えば、骨折等の固定治療を必要とする前記患部に装着される固定包帯としての使用方法が挙げられる。
【0017】
以上の構成を有する本発明のプロテクターを、例えば、熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の糸を編み糸としたニット面が患部を覆うように装着させれば、ニットは縦糸と横糸とを織った織布とは異なり伸縮性が高いため、装着対象の患部の凹凸形状にフィットした状態で装着させることができる。
【0018】
このように本発明のプロテクターでは、装着した状態で、ニット面が既に被着体の患部に凹凸に合わせてフィットした形状になっており、このフィットした状態でのニット面の形状を、ニット面を加熱することにより、ニット面を形成する編み糸同士を融着して硬化させたり、あるいはそのまま熱硬化させたりして形状が固定化されて、患部を十分に保護するのである。
【0019】
被着させるだけでフィット状態が確保され、その状態で形状固化が行えるため、被着体とプロテクターとの間に不要な空間が発生せず、ガタを発生させることなく適切な固定が行える。
【0020】
患部に包帯を巻いた上で、石膏包帯等を用いて石膏で固定する場合には、石膏が固まるに際して収縮がおき、かかる収縮の程度を予め想定した巻き付け加減で行わないと、石膏固定後に必要以上にガタが発生したり、あるいは強く圧迫された状態となる場合があり、石膏固定の下地となる包帯の巻き付け加減が極めて重要であるが、本発明のプロテクターでは、ニットの伸縮性の有する圧迫程度で、患部に優しい自然な状態でフィット性が得られた状態で固定が行え、かかる石膏固定に係る必要以上のガタの発生、あるいは必要以上の圧迫の発生はない。
【0021】
また、かかる形状固化に際しては、ニット面を構成する編み糸を加熱するだけでよいため、従来のように包帯を巻いたり、あるいは石膏で固めたりする等の場合に比べて格段に短時間の処理が可能である。
【0022】
糸は元々細く形成されているため、シート等に形成されている場合に比べて、極めて熱伝導がよく、糸同士の融着、あるいは熱硬化は、速やかに行われる。熱可塑性樹脂の溶融点、あるいは熱硬化性樹脂の硬化点に相当する温度の温風をドライヤーでニット面に吹き付けるだけで形状固化が短時間に容易に行える。
【0023】
また編み糸で編んでなるニット面は、シート状の場合に比べて、糸の周囲に3次元的に空間が確保されているため、温風の吹き付けに際して糸の周囲を3時限的に加熱することができ、かかる構成を有していない場合に比べて、溶融に至るまでの時間短縮が図れる。さらには、かかる糸の周りに形成されている3次元空間は、溶着した熱可塑性樹脂の糸の放熱にも有利に働き、かかる3次元構成を有していない場合に比べて、短時間で糸同士が融着した状態の固化が行える。
【0024】
一方、かかる形状固定に際しては、糸が編まれてなる編み目に相当する空隙部は塞がらないため、患部を外力等から保護できる程度に形状固化しても、通気性が確保され、石膏固定とは異なり、患部の蒸れの心配もない。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、筒体に形成されたプロテクターを示す斜視図である。図2(A)は、図1に示す筒体に形成したプロテクターを腕の骨折部に被着して患部の固定用に使用している状態を示す説明図であり、(B)は肘の捻挫部を保護する目的で被着している様子を示し、(A)、(B)の破線部が形状固定を行ったニット面を示している。
【0027】
プロテクター10は、例えば、図1に示すように、筒体に形成されている。プロテクター10は、編み糸を編むことにより全体が図1に示す筒体になるように編まれている。すなわち、図1に示す筒体は、編み糸を編んでなるニット面で形成されていることになる。
【0028】
かかるプロテクター10は、編み糸を編んでなるニットに形成されているため、十分な伸縮性を有しており、例えば、腕等に通した場合でも、通した腕の周囲の形状に対応して形状変形が行われ、十分に被着体の形状に順応した、所謂フィットした状態に被着させることができる。
【0029】
このように、本発明の係るプロテクター10では、ニットに形成することにより、被着体へのフィット性を確保している。プロテクター10の筒体の筒径を、筒体に通す被着体の断面径より少し小さく形成しておき、プロテクター10のニット面を少し伸ばしながら被着させるようにしておけば、プロテクター10の筒体を構成するニット面は、被着体の外面の凹凸に沿ったフィット性を示す形状になっている。
【0030】
このようにニット面が被着体の外面の沿った形状になっている状態で、ニット面の形状固化を行い、被着体の状態を固定することができる。例えば、腕の骨折部等の患部は、患部に被着されたプロテクター10のニット面の形状固化により固定されることとなる。
【0031】
かかるニット面の形状固化を行わせるには、ニット面を構成する編み糸として、ニット面を加熱することによりニット面の形状を維持した状態で固化させることができる熱可塑性樹脂の糸、あるいは熱硬化性樹脂の糸を使用すればよい。
【0032】
編み糸として熱可塑性樹脂の糸を使用する場合には、ニット面が被着体の外面に沿った形状になっている状態で、ニット面に熱可塑性樹脂の糸の溶融点に相当する温度の温風を吹き付ける等して加熱することにより、熱可塑性樹脂の糸同士が互いに融着する。
【0033】
糸は元々細く形成されているため、熱伝導性が極めて高い状態にされており、瞬間的に軟化点の温風を吹き付ける等の加熱手段で、瞬間的に糸同士の融着が起きる。
【0034】
一方、瞬間的な温風の吹き付けによる糸同士の融着に際しては、編み目が完全に塞がることはない。そのため、瞬間的に温風吹き付けで融着を起こした糸の温度は融点の温度から下がり、短時間で、瞬間的に融着した状態で固化することとなる。
【0035】
尚、加熱手段としては、ドライヤー等の温風吹き付け手段以外に、アイロン等を軽く押し当てる等種々の加熱手段を適宜採用することができる。
【0036】
このようにニット面を構成していた編み糸としての熱可塑性樹脂の糸同士が融着して固化することにより、ニット面の形状の固化が行なえる。
【0037】
糸同士が単に編み糸として編まれているニット面は、ニットの特徴である縦横な伸縮性を有しており、被着体の外形の凹凸に十分に順応する程にフィット性が確保されている。しかし、加熱により糸同士が融着してその後固化した場合には、糸同士が融着していない場合に比べて応力が高くなり、石膏固定に比して遜色ない程に硬度が確保され、十分な剛性が得られる。
【0038】
かかる形状固化機能を糸に持たせる熱可塑性樹脂としては、ポリアミド系(ナイロン:ナイロン6、ナイロン66等)、ナイロン(アラミド)、ポリエステル系、ポリビニルアルコール系(ビニロン)、ポリ塩化ビニリデン系、ポリ塩化ビニル系、ポリアクリロニトル系(アクリル)、ポリエチレン系、ポリプロピレン系、ABS、カプロラクタム等の樹脂が挙げられる。
【0039】
この内、ポリアミド系(ナイロン:ナイロン6、ナイロン66等)、ナイロン(アラミド)、ポリエステル系、ポリエチレン系、ポリプロピレン系は低融点の性質を有しており、人体に着用した状態で加熱しても、人体に耐え難い程の熱さを感じさせることなく糸同士の融着により硬化を起こさせることができる。
【0040】
本発明のプロテクターに使用できる糸は、被着対象に合わせて形状変形しているニット面を硬化させることにより形状固化を図れればよく、加熱により熱硬化する熱硬化性樹脂の糸も、形状固化機能を持たせた編み糸として使用することができる。
【0041】
熱硬化性樹脂の糸同士が単に編み糸として編まれているニット面は、ニットの特徴である縦横な伸縮性を有しており、被着体の外形の凹凸に十分に順応する程にフィット性が確保されている。
【0042】
かかる状態でプロテクター10を、例えば腕等の被着体に被着させると、被着体の外観形状に沿ってフィットした状態にニット面が変形している。この状態で、ニット面に硬化点に相当する温度の温風を吹き付ける等の手段で加熱を行えば、ニット面の形状固化が発生し、硬化する前の糸同士が編まれている状態のニット面とは異なり、石膏固定に比して遜色ない程の硬度が得られ、被着された部分の固定を確実に行うことができる。
【0043】
勿論、加熱手段は、アイロン等の手段でも構わない。かかる加熱を行うことにより、ニット面を構成している編み糸としての熱硬化性樹脂の糸は、編み目の空隙を残した状態で硬化する。
【0044】
かかる熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール系(ノボロイド)等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0045】
熱可塑性樹脂あるいは熱硬化性樹脂の糸としては、マルチフィラメント糸でもステープル糸でも使用することができる。また、形状固化時に、患部に耐え難い程の熱さを感じさせないようにするためには、100℃以下、より好ましくは80℃以下の低融点、あるいは硬化点を有す樹脂の糸を使用すればよい。
【0046】
本発明のプロテクター10では、筒体に編んでなるニット面の高フィット性を利用して、被着体に被着させた状態でのフィット状態を固定する手段であるため、形状固定を行う前のフィット性をより高くしておくことが好ましい。
【0047】
かかる観点から、糸自体が柔らかいステープル糸を使用して、且つ細い番手の複数の糸を編み糸として使用すれば、応力が低く、編上げにおいても被着体の形状に対しての順応性のよい高フィット性のあるニット面を形成することができて好ましい。
【0048】
プロテクター10は、例えば、丸編によって筒体や袋体に形成されるが、一品につき通常糸によって二点、熱可塑性樹脂の糸によって一点(必要により複数枚)を同じ形に編上げる。
【0049】
通常糸による編は、身体に用いるものであれば、肌に当たりがよい、かつ断熱のよい、上述の熱可塑性樹脂の糸より熱的性質の高い素材を用い、必要により装着におけるフィット性を高めるようウーリー糸やスパンデックス等の伸縮糸を地糸として用いる。
【0050】
熱可塑性樹脂の糸の編は低融点によるものを用いるが、いずれの場合もウエルト部分(筒型のサポーター状の場合は両口)は通常の糸によるゴム編、またはスパンデックス糸等に差し替える。
【0051】
また、かかる構成のプロテクター10におけるフィット性をより高くするためには、上述の通常糸による編と同じようにスパンデックス等の伸縮糸を地糸に用いればよい。
【0052】
このようにして編上げた三点を、熱可塑性樹脂の糸の編を中間に三層に重ね合わせ、ウエルト部分(筒型のサポーター状の場合は両口)をリンキング等によって一体の製品になるようにまとめればよい。この場合、製品が長すぎるもの、あるいは巾が広すぎるものについては、必要な箇所にゴム系糸で止め縫いを施してもよい。また、三層がずれ動かない程度に接着させるような熱を加えてもよい。
【0053】
かかるプロテクター10は、固化に必要な硬度あるいは強度は主として熱可塑性樹脂の糸の性質により得られるが、同じ性質の糸を用いた場合には、編み生地の密度や厚さを調節することにプロテクターの強度調節をある程度行うこともできる。すなわち、熱可塑性樹脂の繊維糸の編を必要に応じて複数枚使用することによって対応すればよい。
【0054】
本発明のプロテクター10の使用に際しては、熱さ除けとして、薄手の布を巻いたり、あるいはサポーターを装着した後で本発明のプロテクター10を装着してもよい。
【0055】
図2(A)では、例えば、かかる構成のプロテクター10を用いて、腕の骨折部に被着して、破線部に示すニット面11を上記要領で加熱して形状固定を行った様子を示している。
【0056】
図2(A)に示すように、被着されているプロテクター10の全体に相当する破線部で示すニット面11が固定されているため、骨折患部20の固定が適切に行われ、骨折患部20における骨が接続するまで、骨折患部20が動かないように固定することできる。
【0057】
添木を用いたり、石膏固定を行ったりする場合とは異なり、肩から固定部を吊ったり、あるいは腕の周りを部厚く重い石膏で固めたりする必要がなく、患者の負担を軽くすることができる。
【0058】
また、骨折患部20の周囲を含めて広く形状固定が行われているが、形状固定が行われているニット面11では、前記説明の如く、編み目の空隙は残されているため、プロテクター10で被着されている部分への通気性が確保され、従来の包帯固定、石膏固定に比べて固定部における蒸れ等は発生しない。
【0059】
図2(B)は、肘の捻挫部にプロテクター10を被着させて、破線で示したニット面12を形状固定した状態を示す。プロテクター10は、伸縮性が高いニットの筒体に形成されているため、肘等の屈曲部に十分にフィット性よく被着され、その状態でニット面12の形状固化が行われている。肘を屈曲した状態で肩から腕を吊ることなく固定が行える。
【0060】
また、図2(B)に示す構成では、全体がニットに形成されたプロテクター10の一部の範囲のみの形状固定を行っている。すなわち、加熱範囲を部分的に限定することにより、所望の範囲のみの形状固定が行うことができる。かかる部分加熱を行うには、加熱が不要な部分を、例えば、目がつんだ厚手の布等で隠した状態で加熱すれば手軽に行える。
【0061】
図1に示す場合には、プロテクター10の筒体の全体を形状固化できるニット面に構成しているが、図3(A)、(B)に示すように、プロテクター30の筒体の一部にのみ形状固化機能を有する上記構成のニット面31を形成し、その他は非ニット面32に構成しても構わない。
【0062】
特に、図3(B)に示すように、筒状に形成したプロテクター10の長手方向に非ニット面32を帯状に設けておけば、取り外しに際して、非ニット面32を広げることで簡単にプロテクター30を外すことができる。
【0063】
プロテクター10の形状として、筒体を例に挙げて説明したが、図4(A)、(B)に示すように、例えば手袋、靴下のような袋体に形成しても一向に構わない。手袋に形成したプロテクター10を用いれば掌の骨折や捻挫等の固定治療に、靴下に形成したプロテクター10を用いれば足の骨の骨折や捻挫等の固定治療に使用することができる。
【0064】
尚、かかる固定に際しては、固定状態でも良好な血行状態を確保するため図4の手袋、靴下に形成した袋体では指先部分が出るようにカットしてある。
【0065】
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で必要に応じて変更してもよい。
【0066】
前記実施の形態では、プロテクターを筒体、袋体等の立体形状に形成した場合を示したが、帯状の所謂包帯状に形成して、患部に巻き付け、巻き付けた一部を加熱して固定できるようにしても構わない。あるいは、広いシート状にニットを編んでも構わない。
【0067】
ニット面を形状固化させるに際しては、段々と硬くなるようにグラデーションを持たせるようにしても構わない。ニット面と非ニット面とが混在するような場合には有効に使用することができる。
【0068】
【発明の効果】
本発明では、加熱により形状固定が行える糸を編み糸として編んだニット面を、保護が必要な患部等の被着体にフィットさせた状態で、形状固定が行えるため、従来の石膏固定に比べて、患部への通気性を確保した状態で簡単に患部固定等の保護が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプロテクターを筒体に形成した状況を示す斜視図である。
【図2】(A)は筒体に形成したプロテクターを腕の骨折部位に被着して固定用に使用した場合を示す説明図であり、(B)は肘の捻挫にプロテクターの一部を形状固化させて使用する状況を示す説明図である。
【図3】(A)、(B)は、プロテクターの一部に形状固化できるニット部を設けた変形例の構成を示す斜視図である。
【図4】(A)、(B)は、それぞれ手袋、靴下等の袋体にプロテクターを形成した場合を示す斜視図である。
【符号の説明】
10 プロテクター
11 ニット面
12 ニット面
20 骨折患部
30 プロテクター
31 ニット面
32 非ニット面
Claims (7)
- 患部を保護する治療用プロテクターであって、
前記プロテクターは、前記患部に被着した状態のニット面の形状を加熱により固定する形状固定機能を有する糸を編み糸として編んでなるニットに形成されていることを特徴とする治療用プロテクター。 - 患部を保護する治療用プロテクターであって、
前記プロテクターは、前記患部に被着した状態のニット面の形状を加熱により固定する形状固定機能を有する糸を編み糸として編んでなるニット部を一部に有することを特徴とする治療用プロテクター。 - 請求項1または2記載の治療用プロテクターにおいて、
加熱による形状固定機能を有する糸とは、所定温度に加熱することにより硬化して形状固定を行う熱硬化性樹脂の糸であることを特徴とする治療用プロテクター。 - 請求項1または2記載の治療用プロテクターにおいて、
加熱による形状固定機能を有する糸とは、所定温度に加熱することにより糸同士が融着し、前記所定温度より低い温度で融着した状態で固化して形状固定を行う熱可塑性樹脂の糸であることを特徴とする治療用プロテクター。 - 請求項3または4記載の治療用プロテクターにおいて、
前記所定温度とは、100℃以下の温度であることを特徴とする治療用プロテクター。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の治療用プロテクターにおいて、
前記プロテクターは、筒体に形成されていることを特徴とする治療用プロテクター。 - 請求項1〜5のいずれか1項に記載の治療用プロテクターにおいて、
前記プロテクターは、袋体に形成されていることを特徴とする治療用プロテクター。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003138728A JP2004337421A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 治療用プロテクター |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003138728A JP2004337421A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 治療用プロテクター |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003138728A Pending JP2004337421A (ja) | 2003-05-16 | 2003-05-16 | 治療用プロテクター |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010007208A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Kuwatoro Ee:Kk | 筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法 |
CN103510265A (zh) * | 2012-06-14 | 2014-01-15 | 株式会社岛精机制作所 | 保护用的编织产品及其制造方法 |
-
2003
- 2003-05-16 JP JP2003138728A patent/JP2004337421A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010007208A (ja) * | 2008-06-27 | 2010-01-14 | Kuwatoro Ee:Kk | 筒状編地製品並びにその素材及び筒状編地製品並びにその素材の製造方法 |
CN103510265A (zh) * | 2012-06-14 | 2014-01-15 | 株式会社岛精机制作所 | 保护用的编织产品及其制造方法 |
DE102013009821A1 (de) | 2012-06-14 | 2014-02-13 | Shima Seiki Mfg., Ltd. | Schutz-Strickwaren und Verfahren zur Herstellung derselben |
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