JP2004337108A - 核酸精製装置、核酸捕捉用チップ、及び核酸精製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、操作容易で、確実に核酸を精製できる核酸精製装置の提供に関する。
【解決手段】本発明は、核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁が凸凹である核酸捕捉用チップを用いた核酸精製技術に関する。開口の外縁を、核酸含有試料を保持する容器に押し当てるだけで、核酸捕捉用チップと容器に所定の隙間が形成される。この隙間から、核酸捕捉用チップ内に核酸含有試料を吸引吐出できる為、吸引排出状態が安定する。つまり、核酸捕捉用チップを容器に押し当てるだけで、熟練者でなくとも確実に核酸を精製できる。
【選択図】 図9
【解決手段】本発明は、核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁が凸凹である核酸捕捉用チップを用いた核酸精製技術に関する。開口の外縁を、核酸含有試料を保持する容器に押し当てるだけで、核酸捕捉用チップと容器に所定の隙間が形成される。この隙間から、核酸捕捉用チップ内に核酸含有試料を吸引吐出できる為、吸引排出状態が安定する。つまり、核酸捕捉用チップを容器に押し当てるだけで、熟練者でなくとも確実に核酸を精製できる。
【選択図】 図9
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸精製技術に関する。例えば、生物試料に含まれる核酸を共存物質から分離して取り出す携行型の核酸精製装置と、それを用いた核酸精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−266864号公報には、シリカ含有の固相を内蔵した核酸捕捉用チップを用いる自動核酸精製装置が開示されている。ここでは、まず、ノズルチップを液体吸排用可動ノズルに装着し、上記固相への核酸の結合促進剤をボトルより吸引し、次いで核酸含有試料を検体容器から吸引し、それらの混合液を反応容器内に吐出する。混合液を吐出した後にノズルチップを廃棄し、新たに核酸捕捉用チップを装着する。上記反応容器内から上記液体吸排用可動ノズルに接続された核酸捕捉用チップ内に吸入する。続いて、洗浄用容器内に吐出された洗浄液を上記核酸捕捉用チップ内に吸入し、次いで、該洗浄液を上記核酸捕捉用チップから排出することにより、核酸を結合した状態の上記固相及び上記核酸捕捉用チップ内を洗浄する。さらに洗浄後の上記核酸捕捉用チップ内に溶離液を吸入し、上記固相から離脱された核酸を含む溶離液を精製容器に吐出する。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−266864号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開平11−266864号公報のような自動核酸精製装置は、核酸捕捉用チップを上下左右に移動させる機構等を必要とし、それらを配置するスペースが必要であり、装置自体も高価である。
【0005】
一方、核酸捕捉用チップは、試料や試薬の吸引排出状態の僅かな変化により、核酸捕捉効率が大きく変動する。例えば、核酸捕捉用チップに吸引排出される試料や試薬の容量の相違はもとより、吸引排出速度の変化によっても、核酸捕捉効率は大きく変動する。核酸含有試料を核酸捕捉用チップ内に吸引する速度が倍になると、核酸捕捉効率が10倍になることもある。また、試薬や試料が、シリカ含有固相に常に浸るように吸引排出を行わないと、核酸捕捉効率は悪化する。核酸捕捉用チップ内への核酸含有試料の吸引排出を繰り返す際、一度核酸含有試料に浸されたシリカ含有固相が空気に接触すると、始めからやり直しとなる。さらに、試薬や試料の吸引時に誤って空気を吸引しても、始めからやり直しとなる。
【0006】
この為、核酸捕捉用チップを用い、手作業で核酸を精製することは困難であった。熟練者であっても核酸精製量は安定せず、試料や試薬の吸引排出時に核酸含有チップを僅かに動かして、始めからやり直す場合もあった。
本発明の目的は、操作容易で、確実に核酸を精製できる核酸精製装置の提供に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁が凸凹である核酸捕捉用チップを用いた核酸精製技術に関する。開口の外縁を、核酸含有試料を保持する容器に押し当てるだけで、核酸捕捉用チップと容器に所定の隙間が形成される。この隙間から、核酸捕捉用チップ内に核酸含有試料を吸引吐出できる為、吸引排出状態が安定する。つまり、核酸捕捉用チップを容器に押し当てるだけで、熟練者でなくとも確実に核酸を精製できる。尚、「先端に設けられた開口の周縁が凸凹である」とは、一般的な腕力により、核酸捕捉用チップの先端を平面に押しつけた場合に隙間の生じることを含む。
【0008】
また、本発明は、先端を開口する第1の開口端部から核酸を吸入及び排出することができる第1の通路を有し、該第1の通路内に核酸捕捉材を含む固相を配置することができる核酸捕捉用チップであって、前記第1の開口端部の近傍に設けられた第2の開口端部を有し前記第1の通路と繋がる第2の通路が設けられている核酸捕捉用チップに関する。前記第2の開口端部は、前記先端を前記反応容器の内壁に当接させた際に核酸を吸入及び排出できる位置に設けられているのが好ましい。第1の通路に加えて、第2の開口端部を有する第2の通路により核酸を吸収することができ、核酸の量が少なくても安定して核酸を回収することができる。すなわち、第1の開口端部が容器の内壁に当接して塞がっても、第2の通路により核酸を吸排することができる。第2の通路を複数設ければ、さらに安定して吸排操作を行うことができる。前記第2の通路は、前記第1の開口端部を画定する外壁部に設けられた溝部により形成することができる。或いは、先端を開口する第1の開口端部から核酸を吸入及び排出することができる第1の通路を有し、該第1の通路内に核酸捕捉材を含む固相を配置することができる核酸捕捉用チップであって、前記第1の開口端部は、前記先端を前記反応容器の内壁に当接させた際に前記第1の開口端部と前記内壁との間に隙間を形成する凹状部を有するようにしても良い。このようにすれば、チップ先端の加工が簡単であり、製造コストを低減することができる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本実施の形態による携行型核酸精製装置の外観図である。図2〜図7までは、携行型核酸精製装置に含まれる試薬キットの構成例を示す図である。図8は、核酸捕捉用チップの構成例を示す図である。図9は、核酸捕捉用チップを用いて試薬キット内の核酸を吸排する様子を示す図である。図10〜図13までは、核酸捕捉用チップ先端部の構成例を示す図である。図14は本実施の形態によるシリンジユニットの操作部及び表示部を示す図である。図15は本実施の形態によるシリンジユニットの電気系の構成例を示すブロックダイヤグラムであり、図16はシリンジユニットの概略的な配管図である。図17は、一連の工程の流れを示すフローチャート図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態による携行型核酸精製装置は、核酸捕捉用チップ3を備えたシリンジユニット1と、試薬キット2(図2)と、試薬キット2のうち後述する第1から第3工程に用いられる試薬に含まれる試薬容器2aを載せるための台であるチューブラック4と、第4工程に用いられる試薬容器2bを加熱するための温度バス5と、を含んで構成されている。シリンジユニット1と、試薬キット2と、チューブラック4と、温度バス5とは、分離した状態で使用することができる。
【0011】
まず試薬キット2について説明する。図2から図4までに示すように、携行型核酸精製装置に含まれる試薬キット2は、各工程に使用する試薬を個々に注入された複数の試薬容器を備える。これらの各試薬容器は、各工程における処理を行うための容器を兼ねる。また、各試薬容器は、工程間のコンタミネーションを防止するため、シート7により密封されている。シート7は、アルミ箔を耐薬品性のあるプラスチックフィルムでコーティングを施したものである。より詳細には、核酸を含有する試料から核酸の遊離を促すための第1工程用試薬容器6aと、遊離した核酸の固相への結合を促進する第2工程用試薬容器6bと、核酸が結合した固相を洗浄する第3工程用試薬容器6cと、核酸が結合した固相から核酸を溶離する第4工程用試薬容器6dと、を有している。
【0012】
図2から図4までに示す試薬キット2の形状は、取扱い易いように個々の試薬容器6a〜6dを連結し一体形としてある。しかし、工程によって処理条件が違う場合でも作業が簡単にできるように、分割可能な構成を有している。より詳細には、2aと2bの間の切れ目2dにより、第1〜3工程用試薬キット2aと、第4工程用試薬キット2bに簡単に分離できる。分離された第1〜3工程用試薬キット2aは、核酸含有試料を取り扱う検査室等に備えられているチューブラック4に載せられる(設置せずに手で持って操作することも可能である。)。また、第4工程用試薬キット2bは、温度バス5に載せられる。分離した際(図3(A))にも、対応する試料が一目でわかるように、2aと2bとを関連付けするIDが付されている。
【0013】
尚、試薬キット2は工程毎に分割できるように構成されていても良い。また、第4工程用試薬キット2bは、核酸の収率を上げるために核酸含有試料を取り扱う検査室等には設備されている温度バス5(図1)に設置し、55℃〜65℃に加温した状態で使用することが望ましい。
【0014】
図3(A)に示すように、チューブラック4又は温度バス5に設置前または設置後に、それぞれの試薬キット2の角に設けてあるツメ2c又は2c−1を折ることにより簡単にシート7を剥がすことができる。各工程順にシート7を剥がしていくことができるように、工程毎に用いる試薬キットに対応して切れ目を設けても良い。この場合、各工程が終了し次の工程に移る際に、その工程で用いる試薬キットの上のシートを剥がす。尚、シート7は、核酸捕捉用チップ3の先端部によって直接に芽突することもできる。
【0015】
図4〜図7に示すように、シート7(図2〜図3)の代わりに、試薬キット2を再度密閉可能なフタ8を設けることで、工程終了後のコンタミネーションや廃棄時における感染の危険も防止することができる。フタ8は、本体に接続された一体化形状である(図4)。また、本体と接続されてはいるが個々に密閉できる形状8aでも良い(図5)。この場合には、使用前には容器の上部をシート8cにより密封しておくことも可能である。尚、シート8cを剥がしやすいように、個々の容器毎に突起状のつまみを形成しておくと良い。また、図6、7に示すように、本体とフタとが分割しており、フタ8bが一体化されている構成、又はフタ8cにより個々に本体を密閉する構成を有していても良い。
【0016】
次に、図1及び図14を参照しつつ、シリンジユニット1について説明を行う。シリンジユニット1は、核酸捕捉用チップ3を接続するための接続部1aと、把持部を兼ねた本体部1bと、本体部1bを介して接続部1aと反対側に設けられた操作部1cとを有している。操作部1cには、スタートボタン9と、電源ボタン10と、その他の操作ボタン11、13、14と、表示部12が設けられている。操作部1cは、操作者が把持部を兼ねた本体部1bを把持した場合に、操作者HDの親指などにより各種の操作ボタンを操作できる位置に設けられている。電源ボタン10を数秒間押すことにより、シリンジユニット1の電源ON/OFFを行うことができる。また、電源ボタン10は動作停止ボタンを兼ねる。さらに、スタートボタン9は、動作開始を行うためのボタンとシリンジユニット1の先端部1aに装着されたチップ3を廃棄するイジェクトボタンとを兼ねている。但し、この機能は、電源立ち上げ後のリセット動作終了後、各工程動作終了後、または停止ボタン10入力後に有効となる。
【0017】
図15は、図14に示すシリンジユニットの電気系の構成例を示すブロック図である。制御部22は中央演算ユニット(CPU)19と接続されており、例えば、吸排動作のためのピストン動作を行うシリンジ駆動用のステッピングモータ23の制御等を行う。本実施の形態による処理は、例えば、制御部22と関連付けされたROM内に格納されている制御プログラムによって行われるのが一般的である。コードレス操作での操作を可能とする内蔵の充電池24を備えることにより、CPU19及び制御部22、その他に電力を供給する。
【0018】
図16は、核酸含有試料や試薬の吸排を行うシリンジユニット1の概略的な配管図である。シリンジユニット1は、シリンジ本体部25、空気吸入切り替え弁26、及び接続ボート27を含む。シリンジ本体部25は、管L1を介して核酸捕捉用チップ3(図1)と接続し、管L2を介して空気吸入切り替え弁26と接続している。接続ポート27は、管L3を介して管L2と接続し、外付けの管L4を介して外付けのエアポンプP28と接続される。尚、接続ポート27は、図1に示すように、操作部1bの裏面に設けられている。
【0019】
次に、核酸捕捉用チップの構造について説明する。図8は、核酸捕捉用チップの断面構造を示す図である。図8に示すように、核酸捕捉用チップ3は、頭部(開口部)15がシリンジユニット1の先端の接続部1a(図14)に気密に嵌合される構造を有する。また、頭部15から反対側の先端部17までを貫通する貫通孔Hが形成されており、核酸の吸排のための主要な通路である第1の通路P1を構成する。第1の通路P1は、頭部15から先端部17にかけて徐々に内径が細くなるように形成されている。第1の通路P1の先端17側に、核酸捕捉用の固相18が流出するのを防止するための第1阻止部材3bが挿入されている。その頭部15側には第2阻止部材3aが設けられている。
【0020】
第2阻止部材3aは、核酸捕捉用チップ3への挿入をガイドするための突起状の挿入用補助ガイド16を下面側に例えば複数個有している。第2阻止部材3aと第1阻止部材3bと貫通孔H内壁とによって画定される空間内に、固相として例えばフリントガラスの粉末18が充填されている。また、フリントガラスの粉末18の代わりに、シリカ又はガラスによるフィルタ状の固相、又は、繊維そのものを固相として充填してもよい。
【0021】
本実施の形態による核酸捕捉用チップの先端側のより詳細な構造について図9から図13までを参照しつつ説明を行う。図10に示す構造では、核酸捕捉用チップにおいて、核酸を吸入及び排出するための第1の通路P1の先端に形成されている開口端部Ha近傍に、第1の通路P1と繋がる1本の第2の通路17aが設けられている。第2の通路17aは、第1の通路P1の延在する方向と異なる方向に延在しており、開口端部Haとは別の開口端部17a’が形成されている。実際には、図10に示す第2の通路17aは、開口端部Haを画定する外壁部の一部領域を切り欠いた凹溝状の形状を有している。第2の通路17aは開口端部17a’から第1の通路P1まで続いている。
【0022】
上記の先端構造を有する核酸捕捉用チップ3により、試料容器6内の核酸を吸引する場合の操作について詳細に説明する。図9に示すように、シリンジユニット1に核酸捕捉用チップ3を取り付けた携行型核酸精製装置を用いて核酸を吸引する場合には、まず、試料容器6の底部に溜まっている核酸N内に核酸捕捉用チップ3の先端17を浸し、試料容器6の底部に先端を当接させる。少なくとも核酸捕捉用の固相18が配置されている高さまで核酸Nを吸い上げるのが好ましい。特に、核酸を吸引する場合には、たとえ核酸の量が少なくても可能な限り多量の核酸Nを残量が少なくなるように吸引できることが好ましい。
【0023】
図9に示す構造では、核酸捕捉用チップ3の先端において開口する開口端部Haが試料容器6により一部又は全体が塞がってしまったとしても、その近傍に第2の開口端部17a’から核酸Nを吸引できる第2の通路17aが設けられている。この第2の通路17aと第1の通路P1とを通って核酸捕捉用の固相の高さ以上まで核酸Nを吸い上げることができる。図10に示す例では、開口端部Haの一部を切り欠いて形成された凹溝により第2の通路17aを形成するため、構造が簡単であり、かつ、反応容器の底に残っている核酸Nも吸引しやすいという利点がある。このことは、核酸Nを吸い上げられず空気を吸い上げてしまう空吸引を回避することができるという点でも好ましい。
【0024】
図11は、2つの開口端部17b’を有する一文字形の溝17bにより第2の通路を構成した例である。図11に示す構成を用いると、図10に示す構成に比べて、一定時間内に吸引できる液量を多くすることができる。さらに、例えば図10の場合には第1の通路P1の開口端部Haと第2の通路17aの開口端部17a’とが塞がってしまった場合には、核酸を吸引することは難しい。しかし、図11に示す1組の凹溝が対向配置された構造では、全ての開口端部が塞がる可能性は低いため、核酸の吸引工程をスムーズかつ確実に行うことができる。また、核酸捕捉用チップ先端の強度を保てる為、反応容器に核酸捕捉用チップ先端を押し当てても凹溝が潰れにくい。
【0025】
図12は、4つの開口端部17c’を有する十字形の溝17cにより第2の通路を構成した例である。図12に示す構成を用いると、図10又は図11に示す構成に比べて、さらに吸引液量を多くすることができ、核酸の吸引工程をスムーズかつ確実に行うことができる。
【0026】
図13は、貫通孔Hの延在する方向に沿った開口端部Hdにおける先端位置(長さ)が異なるように、先端部を延在方向に対して斜めに切った形状を有している。図13に示す断面構造によれば、先端部を反応容器の例えば平らな底部に先端部を近づけると、先端位置17d−1と17d−2とのうち、先端位置17d−1が底部に当接するが、先端位置17d−2は底部に当接しにくい。従って、先端位置17d−1が底部に当接した時点で、底部と17−2との間には隙間が形成される。核酸はこの隙間から第1の通路P1を通って核酸捕捉用の固相まで吸い上げられる。
【0027】
以上、図11〜図13までに示すように、チップ先端部17が試薬キット2の容器底に当接し第1の通路P1の先端が閉塞されても、第2の通路から核酸を吸排することができ、吸排処理をスムーズに行うことができる。加えて、例えば第2の通路17aからdまでのいずれかが設けられていない場合には、第1の通路P1から核酸を吸排する必要があるため、チップの先端部を動かしながら第1の通路P1の先端部が容器の内壁によって塞がらないように手で動かしながら吸排を行う手間が必要になるのに対して、第2の通路17aからdまでのいずれかを設けることにより、第1の通路P1が容器の内壁によって塞がれてしまった場合でも、第2の通路から核酸の吸排を行うことができる。従って、吸排動作時における液の動きに応じてチップを動かす動作を行わずにスムーズな吸排を行うことができる。これに関連して、核酸の吸引時における残液量の低減を図ることもでき、試料が少ない場合でも確実に核酸を吸引することができる。
【0028】
尚、第2の通路の形状は上記の形態17a〜dまでに限定されるものではなく、第1の通路P1に通じていれば、第1の通路P1と第2の通路とがチップの先端部17において連通していなくても、先端部近傍において孔部を形成することにより連通していても良い。この場合において、複数の第2の通路を設けても良いし、また、これらの複数の通路が第1の通路P1の延在する方向に対して異なる位置に設けられていても良い。第2の通路は、先端部17の近傍に孔部が多数設けられることにより形成されていても良いし、用いられる核酸収容容器の内壁に適した形状を有する開口端部を有するチップに交換しても良い。
【0029】
また、上記のように第2の通路を設けたことにより、核酸の吸収、排出が簡単かつ効率良くできる点に焦点を当てて説明したが、第3の工程である核酸が結合した固相を洗浄する場合にも、洗浄液を効率良く吸引・排出することが可能であり、第4の工程でも核酸が結合した固相から核酸を溶離させる場合にも、効率良く工程を進めることができる。すなわち、第1から第4までの工程において、容器の底にチップの先端を押し当てることにより、吸収・排出をスムーズに行うことができるため、操作が簡単かつ確実になるという利点を有する。
以上の構成を有する携行型核酸精製装置を用いた処理について図17を主として参照し、適宜他の図面も参照しつつ以下に詳細に説明する。
【0030】
本実施の形態による携行型核酸精製装置は、モード1から4までの作業モードを含んでいる。これら4つのモードを総称してモード0と称する。モード0は、核酸含有試料から核酸を抽出し、精製する工程(第1工程から第4までの工程)を行う。モード0に含まれるモード1では、核酸含有試料を吸引し核酸の遊離を促す工程(第1工程)までを行う。モード2では、遊離した核酸と核酸の固相への結合を促進する工程(第2工程)を行う。モード3では、核酸が結合した固相を洗浄する工程(第3工程)を行う。モード4では、核酸が結合した固相から核酸を溶離する工程(第4工程)を行う。ここでは、核酸含有試料から核酸を抽出し、精製するまでの一連の工程を実施する場合の操作を例にして説明する。
【0031】
まず、シリンジユニット1を手で持ち、シリンジユニット1の先端部1aを核酸捕捉用チップ3の頭部(開口部)15(図8)に挿入する。核酸捕捉用チップ3の装着は、シリンジユニット1の先端部1aに着脱可能な核酸捕捉用チップ3の開口部15を取り付けるだけの簡単な操作で行うことができる。核酸捕捉用チップ3の装着が完了した後、シリンジユニットにより予め設定しておいた吸引量と吸引速度とで、核酸含有試料を核酸捕捉用チップ3内に吸引をする。
【0032】
次に、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第1工程用試薬容器6aの底に着けてスタートボタン9を押すと、核酸捕捉用チップ3内に吸引されている核酸含有試料が排出される。排出動作も上記と同様に予め設定された排出量と排出速度とで行うことができる。例えば、核酸捕捉用チップ3内の固相と核酸含有試料と第1工程用試薬との混合を良くするために、吸排動作を複数回にわたって繰り返すことにより第1工程が終了する。次に、核酸捕捉用チップ3内の固相と第2工程用試薬とを混合させるため、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第2工程用試薬容器6bの底に着け、核酸捕捉用チップ3内に第2工程用の試薬を、設定済みの吸排量、吸排速度、吸排動作で混合させる動作を予め設定した回数だけ繰り返す。同様に核酸捕捉用チップ3内の固相と第3工程用試薬を混合させるため、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第3工程用試薬容器6cの底に着け、予め設定した吸排量、吸排速度で、核酸捕捉用チップ3内に第3工程用の試薬の吸排動作を設定回数だけ繰り返す。
【0033】
次に、シリンジ1から核酸捕捉用チップ3の先端部17に向けて空気を送風し、核酸捕捉用チップ3内に残留する第3工程用の試薬を効率良く除去する。図16に示すように、外部のエアポンプ28から接続ポート27を介して空気を送風することができる。空気切替え弁26を作動させると、空気がシリンジ1を介して核酸捕捉チップ3へと送風される。設定時間経過後に、空気吸入切替え弁26が動作し空気送風を遮断し、第3工程は終了する。好ましくは、この第3工程を3回繰り返す。
【0034】
同様に、核酸捕捉用チップ3内の固相と第4工程用試薬とを混合させるため、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第4工程用試薬容器6dの底に着け、核酸捕捉用チップ3内に第4工程用の試薬を設定した吸排量、吸排速度で吸排する動作を設定回数だけ繰り返す。これにより第4工程用の試薬が注入してあった第4工程用試薬容器6d内には、精製状態の核酸含有液が残る。
【0035】
以上のようにして、核酸含有試料から核酸を抽出し、精製するまでの工程が終了する。この後、次の核酸含有試料から核酸を抽出し、精製するまでの工程は、上述した例の繰り返し処理となる。
【0036】
以上に説明したように、本発明の実施の形態による携行型核酸精製装置によれば、手にも持って操作することのできる小形装置として構成することができ、かつ、チップ先端を容器に押し当てるだけで、簡単・確実に核酸の吸排が可能となる。すなわち、試料が少なくても確実に核酸の吸収が可能であり、空吸引を回避できる。
【0037】
また、試料液面の高さを簡単にコントロールできる。すなわち、核酸捕捉用チップでは、試料を何回も吸引するので、その際、常に試料にシリカが試料に浸るように、チップ内に試料を吸引した場合の試料液面の高さをほぼ一定にすることができ、試料の回収率を高めることが可能である。すなわち、手作業であっても核酸の回収を安定して行うことができる。
【0038】
加えて、コンタミネーションの発生も少なく、簡単な操作により精度の高い核酸を精製することができる。
以上、本実施の形態に沿って説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、安定した核酸精製を簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による携行型核酸精製装置のシステム構成例を示す図である。
【図2】図1に示す携行型核酸精製装置における試薬キットの一形態を示す側面図である。
【図3】図2に示す試薬キットの斜視図であり、図3(A)は分割前の斜視図、図3(B)は分割後の斜視図である。
【図4】本発明の第1変形例によるフタを備えた試薬キットの斜視図である。
【図5】本発明の第2変形例によるフタを備えた試薬キットの斜視図である。
【図6】本発明の第3変形例による試薬キットに用いられるフタの斜視図である。
【図7】本発明の第4変形例による試薬キットに用いられるフタの斜視図である。
【図8】本発明の一実施の形態による核酸捕捉用チップの概略構成例を示す側面図である。
【図9】本発明の一実施の形態による携行型核酸精製装置を用いて試薬キットの容器内の核酸を吸排する様子を示す図である。
【図10】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第1の構成例を示す図である。
【図11】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第2の構成例を示す図である。
【図12】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第3の構成例を示す図である。
【図13】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第4の構成例を示す図である。
【図14】本実施の形態による携行型核酸精製装置を把持した様子を示す図である。
【図15】本発明の一実施の形態による携行型核酸精製装置の電気的な構成例を示す機能ブロック図である。
【図16】本発明の一実施の形態によるシリンジユニットの配管の構成例を示す図である。
【図17】本発明の一実施の形態による核酸精製工程のうち、核酸含有試料から核酸を精製し、精製する工程の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
P1…第1の通路、H…貫通孔、Ha〜Hd…開口端部、1・・・シリンジユニット、1a・・・シリンジユニット先端部、2・・・核酸精製用試薬キット、2a・・・試薬キットの分割による第1〜3工程の試薬カートリッジ、2b・・・試薬キットの分割による第4工程の試薬カートリッジ、2c・・・シート剥がし用ツメ、3・・・核酸捕捉用チップ、4・・・チユーブラック、5・・・温度バス、6a・・・第1工程用試薬容器、6b・・・第2工程用試薬容器、6c・・・第3工程用試薬容器、6d・・・第4工程用試薬容器、7・・・密封用シート、8,8a,8b,8c・・・密閉用フタ、9〜14・・・各種操作ボタン、15・・・核酸捕捉用チップの開口部、16・・・挿入用補助ガイド、17・・・核酸捕捉用チップの先端部、17a〜17c…溝部(第2の通路)、17a’〜17c’…開口端部、17d−1/17d−2…斜めの切り口(第2の通路)、18・・・ガラス粉末、19・・・CPU、20・・・操作部、21・・・表示部、22・・・制御部、23・・・ステッピングモータ、24・・・充電池、25・・・シリンジ本体部、26・・・空気切替え弁、27・・・外部接続ポート、28・・・エアポンプ、
【発明の属する技術分野】
本発明は、核酸精製技術に関する。例えば、生物試料に含まれる核酸を共存物質から分離して取り出す携行型の核酸精製装置と、それを用いた核酸精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平11−266864号公報には、シリカ含有の固相を内蔵した核酸捕捉用チップを用いる自動核酸精製装置が開示されている。ここでは、まず、ノズルチップを液体吸排用可動ノズルに装着し、上記固相への核酸の結合促進剤をボトルより吸引し、次いで核酸含有試料を検体容器から吸引し、それらの混合液を反応容器内に吐出する。混合液を吐出した後にノズルチップを廃棄し、新たに核酸捕捉用チップを装着する。上記反応容器内から上記液体吸排用可動ノズルに接続された核酸捕捉用チップ内に吸入する。続いて、洗浄用容器内に吐出された洗浄液を上記核酸捕捉用チップ内に吸入し、次いで、該洗浄液を上記核酸捕捉用チップから排出することにより、核酸を結合した状態の上記固相及び上記核酸捕捉用チップ内を洗浄する。さらに洗浄後の上記核酸捕捉用チップ内に溶離液を吸入し、上記固相から離脱された核酸を含む溶離液を精製容器に吐出する。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−266864号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の特開平11−266864号公報のような自動核酸精製装置は、核酸捕捉用チップを上下左右に移動させる機構等を必要とし、それらを配置するスペースが必要であり、装置自体も高価である。
【0005】
一方、核酸捕捉用チップは、試料や試薬の吸引排出状態の僅かな変化により、核酸捕捉効率が大きく変動する。例えば、核酸捕捉用チップに吸引排出される試料や試薬の容量の相違はもとより、吸引排出速度の変化によっても、核酸捕捉効率は大きく変動する。核酸含有試料を核酸捕捉用チップ内に吸引する速度が倍になると、核酸捕捉効率が10倍になることもある。また、試薬や試料が、シリカ含有固相に常に浸るように吸引排出を行わないと、核酸捕捉効率は悪化する。核酸捕捉用チップ内への核酸含有試料の吸引排出を繰り返す際、一度核酸含有試料に浸されたシリカ含有固相が空気に接触すると、始めからやり直しとなる。さらに、試薬や試料の吸引時に誤って空気を吸引しても、始めからやり直しとなる。
【0006】
この為、核酸捕捉用チップを用い、手作業で核酸を精製することは困難であった。熟練者であっても核酸精製量は安定せず、試料や試薬の吸引排出時に核酸含有チップを僅かに動かして、始めからやり直す場合もあった。
本発明の目的は、操作容易で、確実に核酸を精製できる核酸精製装置の提供に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁が凸凹である核酸捕捉用チップを用いた核酸精製技術に関する。開口の外縁を、核酸含有試料を保持する容器に押し当てるだけで、核酸捕捉用チップと容器に所定の隙間が形成される。この隙間から、核酸捕捉用チップ内に核酸含有試料を吸引吐出できる為、吸引排出状態が安定する。つまり、核酸捕捉用チップを容器に押し当てるだけで、熟練者でなくとも確実に核酸を精製できる。尚、「先端に設けられた開口の周縁が凸凹である」とは、一般的な腕力により、核酸捕捉用チップの先端を平面に押しつけた場合に隙間の生じることを含む。
【0008】
また、本発明は、先端を開口する第1の開口端部から核酸を吸入及び排出することができる第1の通路を有し、該第1の通路内に核酸捕捉材を含む固相を配置することができる核酸捕捉用チップであって、前記第1の開口端部の近傍に設けられた第2の開口端部を有し前記第1の通路と繋がる第2の通路が設けられている核酸捕捉用チップに関する。前記第2の開口端部は、前記先端を前記反応容器の内壁に当接させた際に核酸を吸入及び排出できる位置に設けられているのが好ましい。第1の通路に加えて、第2の開口端部を有する第2の通路により核酸を吸収することができ、核酸の量が少なくても安定して核酸を回収することができる。すなわち、第1の開口端部が容器の内壁に当接して塞がっても、第2の通路により核酸を吸排することができる。第2の通路を複数設ければ、さらに安定して吸排操作を行うことができる。前記第2の通路は、前記第1の開口端部を画定する外壁部に設けられた溝部により形成することができる。或いは、先端を開口する第1の開口端部から核酸を吸入及び排出することができる第1の通路を有し、該第1の通路内に核酸捕捉材を含む固相を配置することができる核酸捕捉用チップであって、前記第1の開口端部は、前記先端を前記反応容器の内壁に当接させた際に前記第1の開口端部と前記内壁との間に隙間を形成する凹状部を有するようにしても良い。このようにすれば、チップ先端の加工が簡単であり、製造コストを低減することができる。
以下、上記及びその他の本発明の新規な特徴と効果について、図面を参酌して説明する。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本実施の形態による携行型核酸精製装置の外観図である。図2〜図7までは、携行型核酸精製装置に含まれる試薬キットの構成例を示す図である。図8は、核酸捕捉用チップの構成例を示す図である。図9は、核酸捕捉用チップを用いて試薬キット内の核酸を吸排する様子を示す図である。図10〜図13までは、核酸捕捉用チップ先端部の構成例を示す図である。図14は本実施の形態によるシリンジユニットの操作部及び表示部を示す図である。図15は本実施の形態によるシリンジユニットの電気系の構成例を示すブロックダイヤグラムであり、図16はシリンジユニットの概略的な配管図である。図17は、一連の工程の流れを示すフローチャート図である。
【0010】
図1に示すように、本実施の形態による携行型核酸精製装置は、核酸捕捉用チップ3を備えたシリンジユニット1と、試薬キット2(図2)と、試薬キット2のうち後述する第1から第3工程に用いられる試薬に含まれる試薬容器2aを載せるための台であるチューブラック4と、第4工程に用いられる試薬容器2bを加熱するための温度バス5と、を含んで構成されている。シリンジユニット1と、試薬キット2と、チューブラック4と、温度バス5とは、分離した状態で使用することができる。
【0011】
まず試薬キット2について説明する。図2から図4までに示すように、携行型核酸精製装置に含まれる試薬キット2は、各工程に使用する試薬を個々に注入された複数の試薬容器を備える。これらの各試薬容器は、各工程における処理を行うための容器を兼ねる。また、各試薬容器は、工程間のコンタミネーションを防止するため、シート7により密封されている。シート7は、アルミ箔を耐薬品性のあるプラスチックフィルムでコーティングを施したものである。より詳細には、核酸を含有する試料から核酸の遊離を促すための第1工程用試薬容器6aと、遊離した核酸の固相への結合を促進する第2工程用試薬容器6bと、核酸が結合した固相を洗浄する第3工程用試薬容器6cと、核酸が結合した固相から核酸を溶離する第4工程用試薬容器6dと、を有している。
【0012】
図2から図4までに示す試薬キット2の形状は、取扱い易いように個々の試薬容器6a〜6dを連結し一体形としてある。しかし、工程によって処理条件が違う場合でも作業が簡単にできるように、分割可能な構成を有している。より詳細には、2aと2bの間の切れ目2dにより、第1〜3工程用試薬キット2aと、第4工程用試薬キット2bに簡単に分離できる。分離された第1〜3工程用試薬キット2aは、核酸含有試料を取り扱う検査室等に備えられているチューブラック4に載せられる(設置せずに手で持って操作することも可能である。)。また、第4工程用試薬キット2bは、温度バス5に載せられる。分離した際(図3(A))にも、対応する試料が一目でわかるように、2aと2bとを関連付けするIDが付されている。
【0013】
尚、試薬キット2は工程毎に分割できるように構成されていても良い。また、第4工程用試薬キット2bは、核酸の収率を上げるために核酸含有試料を取り扱う検査室等には設備されている温度バス5(図1)に設置し、55℃〜65℃に加温した状態で使用することが望ましい。
【0014】
図3(A)に示すように、チューブラック4又は温度バス5に設置前または設置後に、それぞれの試薬キット2の角に設けてあるツメ2c又は2c−1を折ることにより簡単にシート7を剥がすことができる。各工程順にシート7を剥がしていくことができるように、工程毎に用いる試薬キットに対応して切れ目を設けても良い。この場合、各工程が終了し次の工程に移る際に、その工程で用いる試薬キットの上のシートを剥がす。尚、シート7は、核酸捕捉用チップ3の先端部によって直接に芽突することもできる。
【0015】
図4〜図7に示すように、シート7(図2〜図3)の代わりに、試薬キット2を再度密閉可能なフタ8を設けることで、工程終了後のコンタミネーションや廃棄時における感染の危険も防止することができる。フタ8は、本体に接続された一体化形状である(図4)。また、本体と接続されてはいるが個々に密閉できる形状8aでも良い(図5)。この場合には、使用前には容器の上部をシート8cにより密封しておくことも可能である。尚、シート8cを剥がしやすいように、個々の容器毎に突起状のつまみを形成しておくと良い。また、図6、7に示すように、本体とフタとが分割しており、フタ8bが一体化されている構成、又はフタ8cにより個々に本体を密閉する構成を有していても良い。
【0016】
次に、図1及び図14を参照しつつ、シリンジユニット1について説明を行う。シリンジユニット1は、核酸捕捉用チップ3を接続するための接続部1aと、把持部を兼ねた本体部1bと、本体部1bを介して接続部1aと反対側に設けられた操作部1cとを有している。操作部1cには、スタートボタン9と、電源ボタン10と、その他の操作ボタン11、13、14と、表示部12が設けられている。操作部1cは、操作者が把持部を兼ねた本体部1bを把持した場合に、操作者HDの親指などにより各種の操作ボタンを操作できる位置に設けられている。電源ボタン10を数秒間押すことにより、シリンジユニット1の電源ON/OFFを行うことができる。また、電源ボタン10は動作停止ボタンを兼ねる。さらに、スタートボタン9は、動作開始を行うためのボタンとシリンジユニット1の先端部1aに装着されたチップ3を廃棄するイジェクトボタンとを兼ねている。但し、この機能は、電源立ち上げ後のリセット動作終了後、各工程動作終了後、または停止ボタン10入力後に有効となる。
【0017】
図15は、図14に示すシリンジユニットの電気系の構成例を示すブロック図である。制御部22は中央演算ユニット(CPU)19と接続されており、例えば、吸排動作のためのピストン動作を行うシリンジ駆動用のステッピングモータ23の制御等を行う。本実施の形態による処理は、例えば、制御部22と関連付けされたROM内に格納されている制御プログラムによって行われるのが一般的である。コードレス操作での操作を可能とする内蔵の充電池24を備えることにより、CPU19及び制御部22、その他に電力を供給する。
【0018】
図16は、核酸含有試料や試薬の吸排を行うシリンジユニット1の概略的な配管図である。シリンジユニット1は、シリンジ本体部25、空気吸入切り替え弁26、及び接続ボート27を含む。シリンジ本体部25は、管L1を介して核酸捕捉用チップ3(図1)と接続し、管L2を介して空気吸入切り替え弁26と接続している。接続ポート27は、管L3を介して管L2と接続し、外付けの管L4を介して外付けのエアポンプP28と接続される。尚、接続ポート27は、図1に示すように、操作部1bの裏面に設けられている。
【0019】
次に、核酸捕捉用チップの構造について説明する。図8は、核酸捕捉用チップの断面構造を示す図である。図8に示すように、核酸捕捉用チップ3は、頭部(開口部)15がシリンジユニット1の先端の接続部1a(図14)に気密に嵌合される構造を有する。また、頭部15から反対側の先端部17までを貫通する貫通孔Hが形成されており、核酸の吸排のための主要な通路である第1の通路P1を構成する。第1の通路P1は、頭部15から先端部17にかけて徐々に内径が細くなるように形成されている。第1の通路P1の先端17側に、核酸捕捉用の固相18が流出するのを防止するための第1阻止部材3bが挿入されている。その頭部15側には第2阻止部材3aが設けられている。
【0020】
第2阻止部材3aは、核酸捕捉用チップ3への挿入をガイドするための突起状の挿入用補助ガイド16を下面側に例えば複数個有している。第2阻止部材3aと第1阻止部材3bと貫通孔H内壁とによって画定される空間内に、固相として例えばフリントガラスの粉末18が充填されている。また、フリントガラスの粉末18の代わりに、シリカ又はガラスによるフィルタ状の固相、又は、繊維そのものを固相として充填してもよい。
【0021】
本実施の形態による核酸捕捉用チップの先端側のより詳細な構造について図9から図13までを参照しつつ説明を行う。図10に示す構造では、核酸捕捉用チップにおいて、核酸を吸入及び排出するための第1の通路P1の先端に形成されている開口端部Ha近傍に、第1の通路P1と繋がる1本の第2の通路17aが設けられている。第2の通路17aは、第1の通路P1の延在する方向と異なる方向に延在しており、開口端部Haとは別の開口端部17a’が形成されている。実際には、図10に示す第2の通路17aは、開口端部Haを画定する外壁部の一部領域を切り欠いた凹溝状の形状を有している。第2の通路17aは開口端部17a’から第1の通路P1まで続いている。
【0022】
上記の先端構造を有する核酸捕捉用チップ3により、試料容器6内の核酸を吸引する場合の操作について詳細に説明する。図9に示すように、シリンジユニット1に核酸捕捉用チップ3を取り付けた携行型核酸精製装置を用いて核酸を吸引する場合には、まず、試料容器6の底部に溜まっている核酸N内に核酸捕捉用チップ3の先端17を浸し、試料容器6の底部に先端を当接させる。少なくとも核酸捕捉用の固相18が配置されている高さまで核酸Nを吸い上げるのが好ましい。特に、核酸を吸引する場合には、たとえ核酸の量が少なくても可能な限り多量の核酸Nを残量が少なくなるように吸引できることが好ましい。
【0023】
図9に示す構造では、核酸捕捉用チップ3の先端において開口する開口端部Haが試料容器6により一部又は全体が塞がってしまったとしても、その近傍に第2の開口端部17a’から核酸Nを吸引できる第2の通路17aが設けられている。この第2の通路17aと第1の通路P1とを通って核酸捕捉用の固相の高さ以上まで核酸Nを吸い上げることができる。図10に示す例では、開口端部Haの一部を切り欠いて形成された凹溝により第2の通路17aを形成するため、構造が簡単であり、かつ、反応容器の底に残っている核酸Nも吸引しやすいという利点がある。このことは、核酸Nを吸い上げられず空気を吸い上げてしまう空吸引を回避することができるという点でも好ましい。
【0024】
図11は、2つの開口端部17b’を有する一文字形の溝17bにより第2の通路を構成した例である。図11に示す構成を用いると、図10に示す構成に比べて、一定時間内に吸引できる液量を多くすることができる。さらに、例えば図10の場合には第1の通路P1の開口端部Haと第2の通路17aの開口端部17a’とが塞がってしまった場合には、核酸を吸引することは難しい。しかし、図11に示す1組の凹溝が対向配置された構造では、全ての開口端部が塞がる可能性は低いため、核酸の吸引工程をスムーズかつ確実に行うことができる。また、核酸捕捉用チップ先端の強度を保てる為、反応容器に核酸捕捉用チップ先端を押し当てても凹溝が潰れにくい。
【0025】
図12は、4つの開口端部17c’を有する十字形の溝17cにより第2の通路を構成した例である。図12に示す構成を用いると、図10又は図11に示す構成に比べて、さらに吸引液量を多くすることができ、核酸の吸引工程をスムーズかつ確実に行うことができる。
【0026】
図13は、貫通孔Hの延在する方向に沿った開口端部Hdにおける先端位置(長さ)が異なるように、先端部を延在方向に対して斜めに切った形状を有している。図13に示す断面構造によれば、先端部を反応容器の例えば平らな底部に先端部を近づけると、先端位置17d−1と17d−2とのうち、先端位置17d−1が底部に当接するが、先端位置17d−2は底部に当接しにくい。従って、先端位置17d−1が底部に当接した時点で、底部と17−2との間には隙間が形成される。核酸はこの隙間から第1の通路P1を通って核酸捕捉用の固相まで吸い上げられる。
【0027】
以上、図11〜図13までに示すように、チップ先端部17が試薬キット2の容器底に当接し第1の通路P1の先端が閉塞されても、第2の通路から核酸を吸排することができ、吸排処理をスムーズに行うことができる。加えて、例えば第2の通路17aからdまでのいずれかが設けられていない場合には、第1の通路P1から核酸を吸排する必要があるため、チップの先端部を動かしながら第1の通路P1の先端部が容器の内壁によって塞がらないように手で動かしながら吸排を行う手間が必要になるのに対して、第2の通路17aからdまでのいずれかを設けることにより、第1の通路P1が容器の内壁によって塞がれてしまった場合でも、第2の通路から核酸の吸排を行うことができる。従って、吸排動作時における液の動きに応じてチップを動かす動作を行わずにスムーズな吸排を行うことができる。これに関連して、核酸の吸引時における残液量の低減を図ることもでき、試料が少ない場合でも確実に核酸を吸引することができる。
【0028】
尚、第2の通路の形状は上記の形態17a〜dまでに限定されるものではなく、第1の通路P1に通じていれば、第1の通路P1と第2の通路とがチップの先端部17において連通していなくても、先端部近傍において孔部を形成することにより連通していても良い。この場合において、複数の第2の通路を設けても良いし、また、これらの複数の通路が第1の通路P1の延在する方向に対して異なる位置に設けられていても良い。第2の通路は、先端部17の近傍に孔部が多数設けられることにより形成されていても良いし、用いられる核酸収容容器の内壁に適した形状を有する開口端部を有するチップに交換しても良い。
【0029】
また、上記のように第2の通路を設けたことにより、核酸の吸収、排出が簡単かつ効率良くできる点に焦点を当てて説明したが、第3の工程である核酸が結合した固相を洗浄する場合にも、洗浄液を効率良く吸引・排出することが可能であり、第4の工程でも核酸が結合した固相から核酸を溶離させる場合にも、効率良く工程を進めることができる。すなわち、第1から第4までの工程において、容器の底にチップの先端を押し当てることにより、吸収・排出をスムーズに行うことができるため、操作が簡単かつ確実になるという利点を有する。
以上の構成を有する携行型核酸精製装置を用いた処理について図17を主として参照し、適宜他の図面も参照しつつ以下に詳細に説明する。
【0030】
本実施の形態による携行型核酸精製装置は、モード1から4までの作業モードを含んでいる。これら4つのモードを総称してモード0と称する。モード0は、核酸含有試料から核酸を抽出し、精製する工程(第1工程から第4までの工程)を行う。モード0に含まれるモード1では、核酸含有試料を吸引し核酸の遊離を促す工程(第1工程)までを行う。モード2では、遊離した核酸と核酸の固相への結合を促進する工程(第2工程)を行う。モード3では、核酸が結合した固相を洗浄する工程(第3工程)を行う。モード4では、核酸が結合した固相から核酸を溶離する工程(第4工程)を行う。ここでは、核酸含有試料から核酸を抽出し、精製するまでの一連の工程を実施する場合の操作を例にして説明する。
【0031】
まず、シリンジユニット1を手で持ち、シリンジユニット1の先端部1aを核酸捕捉用チップ3の頭部(開口部)15(図8)に挿入する。核酸捕捉用チップ3の装着は、シリンジユニット1の先端部1aに着脱可能な核酸捕捉用チップ3の開口部15を取り付けるだけの簡単な操作で行うことができる。核酸捕捉用チップ3の装着が完了した後、シリンジユニットにより予め設定しておいた吸引量と吸引速度とで、核酸含有試料を核酸捕捉用チップ3内に吸引をする。
【0032】
次に、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第1工程用試薬容器6aの底に着けてスタートボタン9を押すと、核酸捕捉用チップ3内に吸引されている核酸含有試料が排出される。排出動作も上記と同様に予め設定された排出量と排出速度とで行うことができる。例えば、核酸捕捉用チップ3内の固相と核酸含有試料と第1工程用試薬との混合を良くするために、吸排動作を複数回にわたって繰り返すことにより第1工程が終了する。次に、核酸捕捉用チップ3内の固相と第2工程用試薬とを混合させるため、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第2工程用試薬容器6bの底に着け、核酸捕捉用チップ3内に第2工程用の試薬を、設定済みの吸排量、吸排速度、吸排動作で混合させる動作を予め設定した回数だけ繰り返す。同様に核酸捕捉用チップ3内の固相と第3工程用試薬を混合させるため、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第3工程用試薬容器6cの底に着け、予め設定した吸排量、吸排速度で、核酸捕捉用チップ3内に第3工程用の試薬の吸排動作を設定回数だけ繰り返す。
【0033】
次に、シリンジ1から核酸捕捉用チップ3の先端部17に向けて空気を送風し、核酸捕捉用チップ3内に残留する第3工程用の試薬を効率良く除去する。図16に示すように、外部のエアポンプ28から接続ポート27を介して空気を送風することができる。空気切替え弁26を作動させると、空気がシリンジ1を介して核酸捕捉チップ3へと送風される。設定時間経過後に、空気吸入切替え弁26が動作し空気送風を遮断し、第3工程は終了する。好ましくは、この第3工程を3回繰り返す。
【0034】
同様に、核酸捕捉用チップ3内の固相と第4工程用試薬とを混合させるため、核酸捕捉用チップ3の先端部17を第4工程用試薬容器6dの底に着け、核酸捕捉用チップ3内に第4工程用の試薬を設定した吸排量、吸排速度で吸排する動作を設定回数だけ繰り返す。これにより第4工程用の試薬が注入してあった第4工程用試薬容器6d内には、精製状態の核酸含有液が残る。
【0035】
以上のようにして、核酸含有試料から核酸を抽出し、精製するまでの工程が終了する。この後、次の核酸含有試料から核酸を抽出し、精製するまでの工程は、上述した例の繰り返し処理となる。
【0036】
以上に説明したように、本発明の実施の形態による携行型核酸精製装置によれば、手にも持って操作することのできる小形装置として構成することができ、かつ、チップ先端を容器に押し当てるだけで、簡単・確実に核酸の吸排が可能となる。すなわち、試料が少なくても確実に核酸の吸収が可能であり、空吸引を回避できる。
【0037】
また、試料液面の高さを簡単にコントロールできる。すなわち、核酸捕捉用チップでは、試料を何回も吸引するので、その際、常に試料にシリカが試料に浸るように、チップ内に試料を吸引した場合の試料液面の高さをほぼ一定にすることができ、試料の回収率を高めることが可能である。すなわち、手作業であっても核酸の回収を安定して行うことができる。
【0038】
加えて、コンタミネーションの発生も少なく、簡単な操作により精度の高い核酸を精製することができる。
以上、本実施の形態に沿って説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではなく、種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【0039】
【発明の効果】
本発明により、安定した核酸精製を簡単に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による携行型核酸精製装置のシステム構成例を示す図である。
【図2】図1に示す携行型核酸精製装置における試薬キットの一形態を示す側面図である。
【図3】図2に示す試薬キットの斜視図であり、図3(A)は分割前の斜視図、図3(B)は分割後の斜視図である。
【図4】本発明の第1変形例によるフタを備えた試薬キットの斜視図である。
【図5】本発明の第2変形例によるフタを備えた試薬キットの斜視図である。
【図6】本発明の第3変形例による試薬キットに用いられるフタの斜視図である。
【図7】本発明の第4変形例による試薬キットに用いられるフタの斜視図である。
【図8】本発明の一実施の形態による核酸捕捉用チップの概略構成例を示す側面図である。
【図9】本発明の一実施の形態による携行型核酸精製装置を用いて試薬キットの容器内の核酸を吸排する様子を示す図である。
【図10】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第1の構成例を示す図である。
【図11】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第2の構成例を示す図である。
【図12】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第3の構成例を示す図である。
【図13】図8に示す核酸捕捉用チップ先端部の第4の構成例を示す図である。
【図14】本実施の形態による携行型核酸精製装置を把持した様子を示す図である。
【図15】本発明の一実施の形態による携行型核酸精製装置の電気的な構成例を示す機能ブロック図である。
【図16】本発明の一実施の形態によるシリンジユニットの配管の構成例を示す図である。
【図17】本発明の一実施の形態による核酸精製工程のうち、核酸含有試料から核酸を精製し、精製する工程の流れを示すフローチャート図である。
【符号の説明】
P1…第1の通路、H…貫通孔、Ha〜Hd…開口端部、1・・・シリンジユニット、1a・・・シリンジユニット先端部、2・・・核酸精製用試薬キット、2a・・・試薬キットの分割による第1〜3工程の試薬カートリッジ、2b・・・試薬キットの分割による第4工程の試薬カートリッジ、2c・・・シート剥がし用ツメ、3・・・核酸捕捉用チップ、4・・・チユーブラック、5・・・温度バス、6a・・・第1工程用試薬容器、6b・・・第2工程用試薬容器、6c・・・第3工程用試薬容器、6d・・・第4工程用試薬容器、7・・・密封用シート、8,8a,8b,8c・・・密閉用フタ、9〜14・・・各種操作ボタン、15・・・核酸捕捉用チップの開口部、16・・・挿入用補助ガイド、17・・・核酸捕捉用チップの先端部、17a〜17c…溝部(第2の通路)、17a’〜17c’…開口端部、17d−1/17d−2…斜めの切り口(第2の通路)、18・・・ガラス粉末、19・・・CPU、20・・・操作部、21・・・表示部、22・・・制御部、23・・・ステッピングモータ、24・・・充電池、25・・・シリンジ本体部、26・・・空気切替え弁、27・・・外部接続ポート、28・・・エアポンプ、
Claims (16)
- 以下の構成を含む核酸精製装置;
核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁に凸凹がある核酸捕捉用チップと接続できる接続部;
核酸捕捉用チップに液体を吸引排出するシリンジ;
把持部。 - 請求項1記載の核酸精製装置であって、
前記開口の周縁に、1以上の凹溝がある核酸精製装置。 - 請求項2記載の核酸精製装置であって、
一組の前記凹溝が対向して存在する核酸精製装置。 - 請求項1記載の核酸精製装置であって、
前記核酸捕捉用チップが、先端に設けられた開口の周縁に凸凹がある代わりに、先端に設けられた開口が核酸捕捉用チップの延在方向に対して斜めである核酸精製装置。 - 核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁に凸凹があり、把持部を備える核酸精製装置に接続される核酸捕捉用チップ。
- 請求項5記載の核酸捕捉用チップであって、
前記開口の周縁に、1以上の凹溝がある核酸捕捉用チップ。 - 請求項6記載の核酸捕捉用チップであって、
一組の前記凹溝が対向して存在する核酸捕捉用チップ。 - 請求項5記載の核酸捕捉用チップであって、
先端に設けられた開口の周縁に凸凹がある代わりに、先端に設けられた開口が核酸捕捉用チップの延在方向に対して斜めである核酸捕捉用チップ。 - 核酸含有試料から核酸を精製する核酸精製方法であって、
核酸含有試料を容器に保持し、
核酸捕捉材を含む固相を内蔵し、先端に設けられた開口の周縁に凸凹がある核酸捕捉用チップを、前記容器に開口の周縁が接触するように配置し、
シリンジにより、前記容器と開口の周縁により形成される隙間から、核酸含有試料を核酸捕捉用チップに吸引排出し、
核酸を捕捉した固相を洗浄し、
固相に捕捉された核酸を溶離する核酸精製方法。 - 請求項9記載の核酸精製方法であって、
前記開口の周縁に、1以上の凹溝がある核酸精製方法。 - 請求項10記載の核酸精製方法であって、
一組の前記凹溝が対向して存在する核酸精製方法。 - 請求項9記載の核酸精製方法であって、
先端に設けられた開口の周縁に凸凹がある代わりに、先端に設けられた開口が核酸捕捉用チップの延在方向に対して斜めである核酸精製方法。 - 先端を開口する第1の開口端部から核酸を吸入及び排出することができる第1の通路を有し、該第1の通路内に核酸捕捉材を含む固相を配置することができ、前記第1の開口端部の近傍に設けられた第2の開口端部を有し前記第1の通路と繋がる第2の通路が設けられている核酸捕捉用チップと、
前記先端と反対側の基端側において前記核酸捕捉用チップと接続され、前記核酸を吸入及び排気するため吸排手段と、
把持部とを有する携行型核酸精製装置。 - 前記第2の開口端部は、前記先端を前記反応容器の内壁に当接させた際に核酸を吸入及び排出できる位置に設けられている請求項13に記載の携行型核酸精製装置。
- 前記第2の開口端部が異なる位置に複数設けられている請求項14に記載の携行型核酸精製装置。
- 前記第2の通路は、前記第1の開口端部を画定する外壁部に設けられた溝部により形成される請求項14に記載の携行型核酸精製装置。
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