JPH0657427U - ピペットチップ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【構成】ピペットチップ本体１はプラスチック成型物か
らなり、その内面は先端が絞られた細長い円錐状の空間
２となり、内径が大きい側の内面はアダプターの先端が
挿入される部分３となり、またその外側にはピペットチ
ップの保持部分４が設けられ、チップ先端５は片側から
或いは両側から斜めに切断された形状または先端部が長
さ方向と直角にカットされているが、その円周上の一部
に突起を有することを特徴とするピペットチップであ
る。要すれば更にチップをシリコン樹脂でコートして、
その表面に非粘着性を付与したピペットチップである。 【効果】本考案のピペットチップは、主として医療検査
等に使用する自動分注装置に使用するもので、チップ先
端を斜めにカットするか或いは先端に微小な突起を設け
ることにより、試料を殆どロスなく全量ピペットに採取
出来、また採取した試料も同様に殆どロスなく次の分析
機器等に供給出来る機能を有する。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は主として医療検査に使用する自動分注装置のピペットチップに関する もので、更に詳しく述べると、試料を全量ロスなくピペットに採取し、分析装置 等に供給出来る機能を有するチップである。

【０００２】

【従来の技術】

最近の医療検査等では採取した試料を自動分注装置で分け、多くの検査に供さ れる場合が多い。自動分注装置で試料を分ける時に従来から使用されているピペ ットチップの先端はフラットになっている。従って、サンプリングチューブ等か ら吸引方式で試料を採取する際、ロスなく全量をピペットに吸い上げることは困 難で、ある程度のロスが出ることは避けられなかった。

【０００３】 最近は医療検査の項目が増加し、一つの分析に要する試料は少量で済む様な分 析機器に移行している。また、試料として多量に採取することが困難な臓器内の 体液が使用されることも多くなり、試料をロスなく有効に使用することが重要な 課題になっている。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

最近医療検査等において多数の試料を処理する場合には、主として自動分注装 置が使用されるが、その際少量の試料をロスなく全量をピペットに採取出来、更 に分析装置等に供給出来る機能を有するピペットチップを提供しようとするもの である。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案者は、特に最近の医療検査等において多数の試料を処理するために使用 される自動分注装置において、試料採取時少量の試料をロスなく全量をピペット に採取出来る機能を有するチップを得るため、その材質及び形状について種々検 討した。しかして、試料採取時ロスが出る最も大きな原因はチップの先端が完全 に容器の底部迄達せず、そのため試料の取り残しとなるためである。チップの先 端を容器の底部に達するまで差し込むことが出来ないのは、先端がフラットであ るから底部に達した状態になるとチップ先端の開口部が塞がれて、試料が吸引で きなくなるためである。

【０００６】 そこで、従来フラットであったチップの先端を片側から或いは両側から斜めに 切断した形状とし、またはチップの先端に微小な突起を設けることにより、通常 チップ先端の開口部直径は0.5 〜0.8mm 程度と小さいことと毛細管現象が相まっ て、少量の試料でも殆どロスなく全量ピペットに吸引出来ることを見出した。更 にピペットで吸引した試料を次の分析機器に供給する場合にも、チップの先が鋭 角に尖っているためチップへの付着によるロスをも減少させることが出来、更に チップをシリコン樹脂コートによって非粘着性を付与し、一層付着量を減少させ 得ることを見出しこれに基づいて本考案に到達した。

【０００７】 すなわち、ピペットチップ本体１はプラスチック成型物からなり、その内面は 先端が絞られた細長い円錐状の空間２となり、内径が大きい側の内面はアダプタ ーの先端が挿入される部分３となり、またその外側にはピペットチップの保持部 分４が設けられ、チップ先端５は片側から或いは両側から斜めに切断された形状 または先端部が長さ方向と直角にカットされているが、その円周上の一部に突起 を有することを特徴とするピペットチップである。要すれば更にチップをシリコ ン樹脂でコートして、その表面に非粘着性を付与したピペットチップである。

【０００８】 以下本考案について詳しく説明する。

【０００９】 本考案のピペットチップにはプラスチック成型品を使用する必要がある。プラ スチックは特に限定せず成型可能なプラスチックであれば広く使用出来る。例え ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化 ビニリデン、ポリアミド、ポリエステル、ポリアセタールである。これらの中、 物性及び取扱性の点よりポリプロピレンがより好ましい。

【００１０】 本考案は更にチップで試料を採取した後、次の分析機器に供給する時試料がチ ップへ付着してロスとなるのを防止するため、更にいわゆる液切れをよくする処 理をした場合も含まれている。その際、成型体の表面を要すればコロナ放電処理 或いはプラズマ処理後、シリコン樹脂で処理すれば一層堅牢にコートすることが 可能となりより好ましい。

【００１１】 チップ先端開口部の内径は通常0.5 〜0.7 mm程度でかなり細いため、その近傍 では毛細管現象が顕著に現れる。このため一旦ピペットに吸入した試料を次の分 析機器に供給する時、チップの内壁へ付着してロスとなる量が無視できない。し かし、特異な非粘着性を示すシリコン樹脂をチップの表面にコートすることによ り、チップから吸引した試料を取り出した時内壁への付着量を大幅に減少させる ことが出来る。いわゆる液切れを良くすることが可能である。更に、本考案のピ ペットチップの先端は、片側から或いは両側から斜めに切断された形状または先 端に微小な突起を有することと相まって、一層液切れをよくする機能を持ってい る。

【００１２】 シリコン樹脂をする場合、予め成型体の表面をコロナ放電処理しておけば、一 層堅牢にコートすることが出来て好ましい。

【００１３】 チップの先端をシリコン樹脂でコートした場合は、試料を吸引して採取する時 もロスを減少させるために有効である。

【００１４】

【実施例】

以下実施例を挙げ、図面に基づいて本考案を更に具体的に説明する。

【００１５】 （実施例１） 図１は本考案のピペットチップの一態様の断面図を示す。チップ本体１の材質 はポリプロピレン樹脂の押出成型品で、その内面は先端５が細く絞られた細長い 円錐状の空間２を有し、内径が大きい側の内面はアダプターの先端が挿入される 部分３となっている。チップの長さは50mm、先端５の内径は0.5mm 、またチップ の根本の内径は５mmである。また根本の外側にはピペットチップの保持部分４が 設けられている。

【００１６】 チップの先端５は片側から斜めに切断された形状になっている。このため、チ ップの先端がサンプリングチューブまたはシャーレ等の試料容器に挿入される場 合、自動分注装置に装着されたチップは垂直に挿入されるため、その先端が容器 の底部に接触する迄挿入された場合、図１より分かる様にチップの開口部５は試 料容器の底部と密着して塞がれることがなく、試料がチップの内部に吸引される 。

【００１７】 チップの先端を斜めに切断する場合、その傾斜角は使用する液の種類及び使用 条件等によって適宜好ましい角度に設定することが出来る。尚、先端の尖った部 分６はそのままでもよいが、或いはまた図２に示す様にチップの長さ方向に垂直 にカットしておいてもよい。

【００１８】 ピペットチップを使用する場合、アダプターをチップの太い部分の内面３に挿 入するとアダプターはチップ内面に密着して、アダプター−チップ間は気密状態 で固定される。要すれば、チップの根本の外側の部分４をクランプ等で保持する ことも出来る。チップの先端５をサンプリングチューブまたはシャーレ等の試料 容器中に差し込んで試料をチップ内に吸入する。

【００１９】 自動分注装置においてこの操作は通常コンピューターで自動的に制御されるが 、少量の試料を出来るだけロスなく吸引するためにはチップの先端６をサンプリ ングチューブ等の底に接触する迄挿入する必要がある。そのため試料を採取する 場合、その距離の調節は通常コンピューターのプログラム制御によってなされて いる。場合によってはピペット挿入の際アダプターからチップを通して少量の空 気を一定速度で流し、チップの先端が試料の液面に接近するとチップ内の圧力が 上がるので、これを感知して挿入速度を減速し、チップの先端をゆるやかに底部 に接触させる様に制御する場合もある。その後チップの内部を減圧して試料をチ ップの内部に吸引する。

【００２０】 ピペットを手で操作して試料を採取する時は、ピペットの先端がサンプリング チューブ等の底部に接触する角度を適宜調節して、少量の試料でもロスなく吸引 することは容易である。しかし、自動分注装置を使用する場合にはピペットが垂 直挿入されるため、その先端が垂直挿入された場合でも試料をロスなくピペット に吸引出来る様な形状にしておく必要がある。試料採取後のサンプリングチュー ブ内部の残存液の状態を考慮すれば、チップの先端のみチップの長さ方向に直角 にカットした図２に示した形状がより好ましい。

【００２１】 次に自動分注装置によって、内部に試料を吸引したチップは通常はコンピュー ター制御により、予め設定された分析機器等の試料供給口に自動的に移動し、ア ダプターには空気或いは不活性ガスが供給されて加圧され、チップの内部に保持 された試料が供給される。尚試料採取後、ピペットチップを分析機器等の試料供 給口まで移動させる間、チップの先端から液滴が漏れて落下することもある。こ れは只単に試料のロスとなるのみならず、他の試料が入っているシャーレ等の中 に落下した場合にはコンタミネーションの原因となる。この様な事故を防止する ため、チップに試料の吸引を完了した後更にアダプターの減圧度を僅かに高めて 、試料を少し上に吸い上げチップの先端に少し空気が入った状態に保持して移動 させることにより、万一の試料の液滴落下をも防止することが出来る。

【００２２】 チップの内部に保持された試料が分析機器等の供給口に供給されされる時、チ ップの先端部分の内径は非常に小さいため、毛細管現象が顕著に現れて試料がチ ップの内面に付着したまま残りロスになり易い。しかし、チップの表面がシリコ ン樹脂でコートされている場合はその非粘着性により、ロスなくほぼ全量を取り 出し有効に使用することが出来る。

【００２３】 （実施例２） 図３は本考案のピペットチップの一態様の断面図を示す。チップ本体１の材質 はポリスチレン樹脂の押出成型品で、成型品の表面を予めコロナ放電処理した後 シリコン樹脂でコートしたものである。

【００２４】 チップの内面は先端５が細く絞られた細長い円錐状の空間２を有し、内径が大 きい側の内面はアダプターの先端が挿入される部分３となっている。チップの長 さは105 mm、先端５の内径は0.7mm 、チップの根本部分の直径は7 mmである。ま たチップの根本の外側にはピペットチップの保持部分４が設けられている。

【００２５】 チップ先端５は図に示す様に両側から斜めに切断された形状になっている。切 断する傾斜角は使用する液の種類及び条件によって適宜好ましい角度に設定する ことが出来る。尚、先端の尖った部分６はそのままでもよいが、或いはまた実施 例１の図２に示した場合と同様にチップの長さ方向に垂直にカットしておいても よい。

【００２６】 その他各部分の構造及び機能は実施例１で述べたと同様である。但し、本実施 例のチップは表面がシリコン樹脂でコートされているため、試料をチップ内に吸 引する時も、吸引した試料を次の分析機器に供給する場合にも、殆どロスなく試 料を吸引採取、または供給後チップ内に残留した試料は殆どなく有効に使用出来 ることが認められる。いわゆる、液切れがよい状態であった。

【００２７】 （実施例３） 図４は本考案のピペットチップの一態様の断面図を示す。また図５(a) にはピ ペットの先端部の拡大断面図を、(b) には拡大底面図を示す。チップ本体１の材 質はポリエチレン樹脂の押出成型品で、成型品の表面を予めコロナ放電処理した 後シリコン樹脂コートしたものである。

【００２８】 チップの内面は先端５が細く絞られた細長い円錐状の空間２を有し、内径が大 きい側の内面はアダプターの先端が挿入される部分３となっている。チップの長 さは105 mm、先端５の内径は0.7mm 、チップの根本の内径は７mmである。また根 本の外側にはピペットチップの保持部分４が設けられている。

【００２９】 チップ先端５は図に示す様に長さ方向に直角に切断されているが、その円周上 の一部に突起７が設けられている。突起の形状は細長い円錐形の外面の一部を切 り残した形状になっている。この突起の形状はその他、微小な円柱状または球状 でもよい。ピペットの先端が試料の内部に挿入された時、突起７はサンプリング チューブの底面に接触するが、先端部５は突起のためチューブの面との間に若干 の間隔が生ずる。この間隙を通って試料をロスなくピペットの内部に吸引するこ とが出来る。

【００３０】 その他各部分の構造及び機能は実施例１で述べたと同様である。但し、本実施 例のチップは表面がシリコン樹脂でコートされているため、実施例２のチップと 同様に試料をチップ内に吸引する時には、殆どロスなく試料を吸引採取すること が出来、また吸引した試料を次の分析機器に供給する場合には、供給後試料がチ ップ内に殆ど残留することがなく、試料を有効に使用することが出来る効果が認 められる。いわゆる、液切れがよい特徴を持っている。

【００３１】

【考案の効果】

本考案のピペットチップは、主として医療検査等に使用する自動分注装置に使 用するもので、チップ先端を斜めにカットするか或いは先端に微小な突起を設け ることにより、試料を殆どロスなく全量ピペットに採取出来、また採取した試料 も同様に殆どロスなく次の分析機器等に供給出来る機能を有するものである。

【００３２】 更にその表面をシリコン樹脂でコートしたチップは、試料の採取または取り出 し時に発生するロスを一層減少させる機能を持っている。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案のピペットチップの一態様の断面図を示
す。

【図２】図１に示したピペットチップの先端部の拡大断
面図を示す。

【図３】本考案のピペットチップの一態様の断面図を示
す。

【図４】本考案のピペットチップの一態様の断面図を示
す。

【図５】(a)及び(b) はそれぞれ図４に示したピペット
チップの先端部の拡大断面図及び底面図を示す。

【符号の説明】

１ ピペットチップ本体 ２ ピペットチップ内部の空間 ３ アダプターの先端が挿入される部分 ４ ピペットチップの保持部分 ５ チップの先端 ６ チップの先端の尖った部分 ７ チップの先端の突起

Claims (2)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 ピペットチップ本体１はプラスチック成
   型物からなり、その内面は先端が絞られた細長い円錐状
   の空間２となり、内径が大きい側の内面はアダプターの
   先端が挿入される部分３となり、またその外側にはピペ
   ットチップの保持部分４が設けられ、チップ先端５は片
   側から或いは両側から斜めに切断された形状または先端
   部が長さ方向と直角にカットされているが、その円周上
   の一部に突起を有することを特徴とするピペットチッ
   プ。
2. 【請求項２】 ピペットチップ本体１はその表面がシリ
   コン樹脂でコートされたプラスチック成型物からなり、
   その内面は先端が絞られた細長い円錐状の空間２を有
   し、内径が大きい側の内面はアダプターの先端が挿入さ
   れる部分３となり、またその外側にはピペットチップの
   保持部分４が設けられ、チップ先端５は片側から或いは
   両側から斜めに切断された形状或いは先端部が長さ方向
   と直角にカットされているが、その円周上の一部に突起
   を有することを特徴とするピペットチップ。