JP2004336947A - ブラシレスモータ - Google Patents
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Abstract
【課題】センターピースを軽量化しても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、騒音の悪化を防止できるブラシレスモータを提供すること。
【解決手段】ブラシレスモータは、ステータ2及びロータ6を備えている。ステータ2は、コア4をセンターピース3に支持させることによって構成される。コア4にはインシュレータ31,32が一体に備えられている。ロータ6は、ステータ2に対して回転可能に支持されステータ2にて生じる回転磁界により回転する。インシュレータ32の固定片38がセンターピース3に形成された収容凹部39に挿入されることにより、ステータ2の移動が規制される。
【選択図】 図1
【解決手段】ブラシレスモータは、ステータ2及びロータ6を備えている。ステータ2は、コア4をセンターピース3に支持させることによって構成される。コア4にはインシュレータ31,32が一体に備えられている。ロータ6は、ステータ2に対して回転可能に支持されステータ2にて生じる回転磁界により回転する。インシュレータ32の固定片38がセンターピース3に形成された収容凹部39に挿入されることにより、ステータ2の移動が規制される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用空調装置の送風機用モータとして使用されるブラシレスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のブラシレスモータとしては、例えば特許文献1にて示されているものがある。このブラシレスモータのステータは、巻線が巻回されるコアが金属製のセンターピースの円筒部(支持部)に圧入されて構成されており、そのセンターピースのフランジ部がモータホルダ(被取付部材)に防振材を介して支持されている。これに対し、該モータのロータは、ステータを覆うような形状をなすヨークに回転軸が固定され、該ヨークの内周面にマグネットが固定されてなる。回転軸は、前記センターピースの円筒部に挿通され、該円筒部の内周面に固着される軸受にて回転可能に支持されている。そして、ステータの巻線に励磁電流が供給されると、該ステータに回転磁界が生じ、ロータが回転するようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−145300号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ブラシレスモータを軽量化するにあたり、上記したセンターピースを薄肉化したり、樹脂化したりすることが考えられている。
【0005】
しかしながら、ブラシレスモータの作動時、即ちロータの回転時において、該ロータは自身の重量アンバランスや磁気的アンバランス等により径方向に振動し、該ロータの回転軸を通じてセンターピースの円筒部を同方向に振動させようとする。しかも、ロータの径方向の振動はコアをも同方向に振動させるので、該コアが固定されるセンターピースの円筒部を同様に振動させようとする。
【0006】
そのため、上記軽量化の要請によりセンターピースを薄肉化したり樹脂化したりすると、該センターピースの剛性が低下するため、ロータ回転時に生じる径方向の振動により該センターピースの円筒部が共振すると、その振動は大きくなる。すると、そのセンターピースの振動が該センターピースの振動を吸収する防振材の許容値を超え、該防振材にてその振動を十分に吸収できなくなって、騒音となってしまう。そのため、このような構成では、センターピースの薄肉化・樹脂化といった軽量化が難しかった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、センターピースを軽量化しても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、騒音の悪化を防止できるブラシレスモータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、絶縁樹脂よりなるインシュレータが一体に備えられて巻線が巻回されるコアを、被取付部材に取り付けるためのセンターピースの支持部に挿入支持してなるステータと、前記ステータに対して回転可能に支持され、該ステータにて生じる回転磁界により回転されるロータとを備えたブラシレスモータであって、前記インシュレータには、第1連結部が形成されるとともに、前記センターピースには、前記第1連結部と連結して前記コアを介して前記センターピースの支持部の移動を規制する第2連結部が形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記第1連結部は、前記インシュレータに形成された固定片であり、前記第2連結部は、前記固定片が挿入される固定片収容部であることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記固定片収容部は、前記センターピースを前記被取付部材に装着するための装着手段が挿入される挿入孔に形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記装着手段はネジであり、該ネジにて前記固定片と前記センターピースとが共締めされることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記固定片は、前記固定片収容部の周方向において少なくとも一部に配置されていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記固定片は、前記固定片収容部に沿って断面略円弧状もしくは円筒状に形成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記センターピースの前記支持部周りに、前記第1連結部が複数設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記センターピースの前記支持部周りに、前記第1連結部が等角度間隔に設けられていることを要旨とする。
【0016】
請求項9に記載の発明では、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第1連結部は、前記インシュレータの外周部分に形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項10に記載の発明では、請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記センターピースは合成樹脂製であることを要旨とする。
(作用)
請求項1に記載の発明においては、コアに備えられるインシュレータの第1連結部とセンターピースの第2連結部とが連結することによりコアを介してセンターピースの支持部の移動が規制される。そのため、ブラシレスモータの作動時、即ちロータの回転時においてコアを支持するセンターピースの支持部が径方向に振動することが防止される。よって、センターピースを軽量化し該センターピースの支持部の剛性が若干低くなっても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、ブラシレスモータの騒音の悪化を防止できる。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、固定片は固定片収容部内に挿入されることによって保持されるため、センターピースを振動させる力が固定片の挿入方向と直交する方向において多方向から加わり続けた場合でも、固定片が位置ズレするのを防止できる。
【0019】
請求項3に記載の発明においては、例えば挿入孔とは別に、固定片を保持するための保持部材を用いなくてもよいため、ブラシレスモータを構成する部品点数が低減される。よって、ブラシレスモータを低コストで製造できる。また、固定片を、固定片収容部だけでなく装着手段によって保持させるようにすれば、固定片収容部による保持力に加え装着手段による保持力が固定片に対して作用する。よって、インシュレータ、即ちコアの固定強度を向上させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明においては、ネジにて固定片とセンターピースとが共締めされるため、固定片は、固定片収容部の内周面とネジの外周面とによってネジの径方向に圧縮される。しかも、固定片の内周面にもネジの外周面が係止する。つまり、ネジにより、固定片とセンターピースとが共締めされる。そのため、固定片はネジの径方向及び軸線方向に移動不能に保持される。従って、固定片、即ちコアの固定強度をより一層向上させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明においては、固定片は、固定片収容部の周方向において少なくとも一部に配置されていればよいため、固定片を少量の材料で形成することができる。よって、ブラシレスモータをより一層低コストで製造できる。
【0022】
請求項6に記載の発明においては、断面略円弧状もしくは円筒状とすることで、固定片の剛性が高くなるため、固定片自体の振動が低減される。従って、センターピースが振動してしまうのを固定片によってより一層防止できる。
【0023】
請求項7に記載の発明においては、複数の第1連結部によってセンターピースが振動してしまうのを確実に規制することができる。
請求項8に記載の発明においては、複数の第1連結部が等角度間隔に配置されているため、センターピースが振動してしまうのをより確実に規制できる。また、必要最小限の第1連結部でセンターピースの振動を規制することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明においては、第1連結部がセンターピースの支持部から離間して配置されるため、ロータが径方向に振動した場合にセンターピースの支持部が傾くのをより小さい力で防止できる。よって、コアの径方向への振動が容易に防止されるため、センターピースが振動してしまうのをより一層防止できる。
【0025】
請求項10に記載の発明においては、ブラシレスモータのセンターピースを軽量化しながら、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、騒音の悪化を防止できるブラシレスモータとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両用空調装置のブラシレスモータに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
【0027】
図1に示すように、合成樹脂で成形された被取付部材としてのモータホルダ1は、略円板状に形成され、その中央部にはステータ2(センターピース3)を載置するための略円形状をなす凹部1aが形成されている。凹部1aには、中心孔1bが形成され、その中心孔1bの周囲には3つ(図1において一つ図示)の取付孔1cが等角度間隔に形成されている。凹部1a内にはステータ2が固定されている。
【0028】
ステータ2は、センターピース3、コア4及び該コア4に巻回される巻線5から構成されている。コア4は、複数枚のコアシートを積層することによって構成されている。コア4の中心部に形成された断面円形状の貫通孔4aには、センターピース3の支持部としての円筒部3aが圧入されている。
【0029】
センターピース3は合成樹脂によって形成され、センターピース3の基端部はモータホルダ1に固定されている。詳述すると、センターピース3の基端部には、略円板状をなす装着部としてのフランジ部3bが形成され、そのフランジ部3bには、円筒部3aの反対側に略円筒状に突出するボス部18が等角度間隔に3個(図1において1個図示)形成されている。ボス部18の中心部には、挿入孔としてのネジ孔19が形成されている。図3に示すように、ボス部18は、前記取付孔1cに嵌合される防振材20の中心部の貫通孔20aに圧入される。
【0030】
また、ボス部18及び防振材20の下部には、取付プレート21が当接している。取付プレート21は、その下面から装着手段としてのネジ22がボス部18のネジ孔19に螺入されることによりフランジ部3bに固定される。この場合、フランジ部3bと取付プレート21との間で防振材20が挟持され、センターピース3が防振材20を介してモータホルダ1に支持される。
【0031】
前記コア4には、コア4と前記巻線5との間の絶縁を行う合成樹脂製の2つのインシュレータ31,32が装着されている。インシュレータ31はコア4に対して前記円筒部3aの先端側に配置され、インシュレータ32はコア4に対して円筒部3aの基端側に配置されている。
【0032】
図2に示すように、インシュレータ32は、環状の基部被覆部33及び該基部被覆部33から径方向外側に延出形成された18個のティース端面被覆部34を備えている。基部被覆部33には、前記センターピース3の円筒部3aが挿通される中央孔37が形成されている。各ティース端面被覆部34は、基部被覆部33の外周部に等角度間隔に配置され、その先端部分は拡開形成されている。また、各ティース端面被覆部34の両側部及び基部被覆部33の外周部には、壁板35が軸方向一方に延出形成されている。図2に示すように、これら基部被覆部33、ティース端面被覆部34及び壁板35にて形成される嵌合凹部36内にコア4が配置される。
【0033】
ティース端面被覆部34の先端部分、即ちインシュレータ32の外周部分には、第1連結部としての固定片38が合成樹脂によって一体形成されている。固定片38は、センターピース3の円筒部3aが挿通される中央孔37周りに3つ(図2において2つ図示)形成されている。各固定片38は、前記各ボス部18に対応するように等角度間隔に配置されている。各固定片38は、壁板35の延出方向とは反対方向の軸方向他方(図1において下方)に延出されている。図3に示すように、固定片38の先端部分は、前記ネジ孔19の内周面に形成された第2連結部(固定片収容部)としての収容凹部39内に収容されるようになっている。
【0034】
収容凹部39は、ネジ孔19の貫通方向に沿って前記コア4側からほぼ中央部まで延びるように形成されている。また、収容凹部39はネジ孔19の周方向において一部を構成している。図4に示すように、収容凹部39はネジ孔19の周方向に沿って延びており、収容凹部39が形成される部分はネジ孔19の内周面の半分を占めている。
【0035】
また、前記固定片38は、収容凹部39の内周面に沿って断面略円弧状に形成されている。固定片38は、収容凹部39の周方向全体、即ちネジ孔19の周方向において一部に配置されている。固定片38の内周面はネジ孔19の内周面の半分を構成している。固定片38の肉厚は、収容凹部39の深さよりも大きくなるように設定されている。そのため、固定片38の内周面は、収容凹部39からネジ孔19内に若干突出している。
【0036】
よって、固定片38の先端部分が収容凹部39に収容された状態でネジ孔19にネジ22を螺合させると、その先端部分は、収容凹部39の内側面と雄ネジ部22aの外周面とによってネジ22の径方向に圧縮される。しかも、合成樹脂製の固定片38の内周面にもネジ山が刻設された雄ネジ部22aが係止する。つまり、ネジ22により、固定片38とボス部18とが共締めされる。そのため、固定片38の先端部分はボス部18に対して径方向及び軸線方向に移動不能に保持される。従って、前記インシュレータ32、即ち前記コア4が、前記ボス部18(前記センターピース3)に対してガタ付きなく固定される。
【0037】
前記ステータ2にはロータ6が回転可能に支持されている。ロータ6は、ヨーク7、複数のマグネット8及び回転軸9から構成されている。ヨーク7は、ステータ2を覆うような釣り鐘状に形成されている。各マグネット8はヨーク7の内周面に固着されている。そして、回転軸9は、ヨーク7の中心部に圧入され、センターピース3の前記円筒部3aの内周面に固着される軸受10a,10bにて該センターピース3に対して回転可能に支持されている。回転軸9の先端にはシロッコ型のファン11が固定されている。回転軸9の基端部は、凹部1aに形成された前記中心孔1bを貫通している。回転軸9の基端部には、略円板状のセンサマグネット13が取り付けられている。
【0038】
前記モータホルダ1には合成樹脂製の下部ケース15が取り付けられている。下部ケース15は、外周部分がモータホルダ1側へ延出する皿型に成形されている。モータホルダ1と下部ケース15との間に形成される収容部16内には回路基板12が収容され、その回路基板12には励磁回路を構成する多数の素子が搭載されている。回路基板12上におけるセンサマグネット13の外周部近傍には、ホール素子14が設置されている。ホール素子14は、回転に伴うセンサマグネット13の磁界の変化を検出する。そして、その検出に基づいてロータ6の回転角度が検出され、そのロータ6の回転角度に応じた励磁電流が励磁回路にて生成され、前記巻線5に供給される。励磁回路から巻線5に励磁電流が供給されると、ステータ2に回転磁界が生じ、その回転磁界に基づいてロータ6が回転してファン11が回転し、送風動作が行われる。
【0039】
このロータ6の回転の際、該ロータ6は自身の重量アンバランスや磁気的アンバランス等により径方向に振動し、ロータ6の回転軸9を通じてセンターピース3の円筒部3aを同方向に振動させようとする。しかも、ロータ6の径方向の振動はコア4をも同方向に振動させるので、該コア4が固定される円筒部3aを同様に振動させようとする。しかしながら、コア4に装着されるインシュレータ32の各固定片38がセンターピース3のボス部18に対して固定されることによって、コア4を介してセンターピース3の円筒部3aの移動が規制されるので、その円筒部3aが径方向に振動することが防止され、騒音の悪化が防止される。従って、センターピース3を樹脂化して軽量化することが可能になっている。
【0040】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)各固定片38は、該各固定片38がセンターピース3のボス部18に対して固定されることによって、ボス部18に対して径方向に移動不能に保持される。そのため、例えばロータ6自身(ファン11等を含む)の重量アンバランスや磁気的アンバランスにより、ロータ6が径方向に振動し、ロータ6の回転軸9を通じてセンターピース3の円筒部3aを同方向に振動させようとするのを防止できる。しかも、ロータ6の振動によるコア4の振動が、該コア4が固定される円筒部3aを同様に振動させようとするのも防止できる。
【0041】
そのため、ブラシレスモータの軽量化の要請によりセンターピース3を合成樹脂製にした結果、該センターピース3の円筒部3aの剛性が若干低下した場合でも、ロータ6の回転時に生じる径方向の振動による円筒部3aの共振が防止される。よって、ロータ6の回転時に生じるセンターピース3の振動を抑制でき、ブラシレスモータの騒音の悪化を防止できる。
【0042】
(2)各固定片38は、センターピース3のフランジ部3bに配置された収容凹部39内に挿入されることによって保持される。そのため、ロータ6の径方向への振動によってセンターピース3の円筒部3aが傾くのが、各固定片38の先端部分がセンターピース3のフランジ部3bで支持されることによって防止される。よって、例えば、フランジ部3bを省略し、固定片38に取り付けた防振材20をモータホルダ1と取付プレート21とで挟持する場合、即ち固定片38をモータホルダ1で支持する場合に比べて、円筒部3aが傾くのを防止できる。
【0043】
しかも、固定片38はインシュレータ32の外周部分に一体形成されている。つまり、固定片38はセンターピース3の円筒部3aから離間して配置されている。そのため、ロータ6がセンターピース3の円筒部3aを傾ける方向に振動した場合でも、固定片38の先端部分が収容凹部39内においてより小さい力で支持されるため、円筒部3aの傾きを容易に防止できる。即ち、円筒部3aを傾ける方向に振動が伝達されにくくなるため、センターピース3が振動してしまうのをより一層防止できる。しかも、円筒部3aの強度不足を補うことができる。
【0044】
(3)固定片38は収容凹部39内に挿入されることによって保持されるため、センターピース3を振動させる力が固定片38の挿入方向と直交する方向において多方向から加わり続けた場合でも、固定片38が位置ズレするのを防止できる。
【0045】
(4)収容凹部39はネジ孔19の一部を構成しているため、例えばネジ孔19とは別に、固定片38を保持するための保持部材を用いなくてもよい。よって、ブラシレスモータを構成する部品点数が低減されるため、ブラシレスモータを低コストで製造できる。
【0046】
(5)各固定片38は、収容凹部39だけでなくネジ22によって保持される。そのため、各固定片38には、収容凹部39による保持力に加えネジ22による保持力が作用する。よって、各固定片38、即ちコア4の固定強度を向上させることができる。
【0047】
また、ネジ22をネジ孔19に螺着させるだけで、ボス部18が前記取付孔1cにおいてモータホルダ1に対し固定されるだけでなく、固定片38も保持されるため、ブラシレスモータの製造効率を向上させることができる。
【0048】
(6)固定片38の肉厚が収容凹部39の深さよりも大きくなるように設定され、固定片38の内周面が収容凹部39からネジ孔19内に若干突出されている。そのため、固定片38の先端部分が収容凹部39に収容された状態でネジ孔19にネジ22を螺合させると、固定片38の先端部分は、収容凹部39の内側面と雄ネジ部22aの外周面とによってネジ22の径方向に圧縮される。しかも、固定片38の内周面にもネジ山が刻設された雄ネジ部22aが係止する。つまり、ネジ22により、固定片38とボス部18とが共締めされる。そのため、固定片38の先端部分はボス部18に対して径方向及び軸線方向に移動不能に保持される。従って、各固定片38、即ちコア4の固定強度をより一層向上させることができる。
【0049】
(7)固定片38は、収容凹部39の内周面に沿って断面略円弧状に形成されている。よって、固定片38の剛性が高くなるため、固定片38自体の振動が低減される。従って、センターピース3が振動してしまうのを固定片38によってより一層防止できる。また、固定片38の接触面積が大きくなるため、インシュレータ32、即ちコア4の固定強度をより一層向上させることができる。
【0050】
(8)固定片38は、収容凹部39の周方向において一部に配置されていればよいため、固定片38を少量の材料で形成することができる。よって、ブラシレスモータをより一層低コストで製造できる。
【0051】
(9)固定片38は、前記回転軸9周りに3つ形成されている。しかも、各固定片38は、インシュレータ32において等角度間隔に配置されている。従って、各固定片38によってセンターピース3が振動してしまうのをより確実に規制できる。また、必要最小限の固定片38でセンターピース3の振動を規制することができる。
【0052】
なお、前記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、収容凹部39をフランジ部3bにおいてネジ孔19とは別々に形成してもよい。
【0053】
・前記実施形態では、固定片38を断面略円弧状としてネジ孔19の周方向において一部に配置されていたが、図5に示すように、固定片38を円筒状とし、ネジ孔19の周方向全体に設けてもよい。
【0054】
・前記実施形態において、固定片38の肉厚を、収容凹部39の深さと同一の肉厚に設定し、固定片38の内周面をネジ孔19の内周面に一致させてもよい。このように構成すれば、固定片38の先端部分が収容凹部39に収容された状態でネジ孔19にネジ22を螺合させると、固定片38の先端部分は、収容凹部39の内側面と雄ネジ部22aの外周面とによってネジ22の径方向に挟持される。
【0055】
・前記実施形態において、固定片38の内側面に、ネジ22の雄ネジ部22aに螺合する雌ネジ部を形成してもよい。
・前記実施形態では、装着手段としてネジ22が用いられ、装着手段が装着される挿入孔としてネジ孔19が用いられていた。しかし、単なる貫通孔を挿入孔として用い、貫通孔に挿入されるリベットを装着手段として用いてもよい。
【0056】
・前記実施形態では、固定片38は、ロータ6の回転軸9周りに3つ形成されていた。しかし、固定片38は、1つまたは2つだけ形成されていてもよい。また、固定片38を4つ以上形成するとともに、各固定片38が挿入される収容凹部39を4つ以上形成してもよい。なお、各固定片38は等角度間隔に配置されていなくてもよい。
【0057】
・前記実施形態では、2つの部品からなるインシュレータ31,32をコア4に装着していたが、インシュレータ31,32を一つの部品としてもよく、また、インシュレータ31,32をコア4に一体成形してもよい。
【0058】
・前記実施形態では、コア4は、複数枚のコアシートを積層することによって構成されていたが、例えば磁性粉体を成形した一体物であってもよい。
・前記実施形態では、車両用空調装置のブラシレスモータに具体化したが、もちろん、他の装置に使用されるブラシレスモータとしてもよい。
【0059】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1〜10のいずれか一項において、前記第2連結部は、前記センターピースの一端に形成された装着部に配置されていることを特徴とするブラシレスモータ。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、センターピースを軽量化しても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、ブラシレスモータの騒音の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるブラシレスモータを示す断面図。
【図2】インシュレータを示す斜視図。
【図3】ブラシレスモータの要部断面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】他の実施形態における断面図。
【符号の説明】
1…被取付部材としてのモータホルダ、2…ステータ、3…センターピース、3a…支持部としての円筒部、4…コア、5…巻線、6…ロータ、19…挿入孔としてのネジ孔、22…装着手段としてのネジ、31,32…インシュレータ、38…第1連結部としての固定片、39…第2連結部(固定片収容部)としての収容凹部。
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば車両用空調装置の送風機用モータとして使用されるブラシレスモータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のブラシレスモータとしては、例えば特許文献1にて示されているものがある。このブラシレスモータのステータは、巻線が巻回されるコアが金属製のセンターピースの円筒部(支持部)に圧入されて構成されており、そのセンターピースのフランジ部がモータホルダ(被取付部材)に防振材を介して支持されている。これに対し、該モータのロータは、ステータを覆うような形状をなすヨークに回転軸が固定され、該ヨークの内周面にマグネットが固定されてなる。回転軸は、前記センターピースの円筒部に挿通され、該円筒部の内周面に固着される軸受にて回転可能に支持されている。そして、ステータの巻線に励磁電流が供給されると、該ステータに回転磁界が生じ、ロータが回転するようになっている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−145300号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、ブラシレスモータを軽量化するにあたり、上記したセンターピースを薄肉化したり、樹脂化したりすることが考えられている。
【0005】
しかしながら、ブラシレスモータの作動時、即ちロータの回転時において、該ロータは自身の重量アンバランスや磁気的アンバランス等により径方向に振動し、該ロータの回転軸を通じてセンターピースの円筒部を同方向に振動させようとする。しかも、ロータの径方向の振動はコアをも同方向に振動させるので、該コアが固定されるセンターピースの円筒部を同様に振動させようとする。
【0006】
そのため、上記軽量化の要請によりセンターピースを薄肉化したり樹脂化したりすると、該センターピースの剛性が低下するため、ロータ回転時に生じる径方向の振動により該センターピースの円筒部が共振すると、その振動は大きくなる。すると、そのセンターピースの振動が該センターピースの振動を吸収する防振材の許容値を超え、該防振材にてその振動を十分に吸収できなくなって、騒音となってしまう。そのため、このような構成では、センターピースの薄肉化・樹脂化といった軽量化が難しかった。
【0007】
本発明は、このような従来の技術に存在する問題点に着目してなされたものであり、その目的は、センターピースを軽量化しても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、騒音の悪化を防止できるブラシレスモータを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1に記載の発明では、絶縁樹脂よりなるインシュレータが一体に備えられて巻線が巻回されるコアを、被取付部材に取り付けるためのセンターピースの支持部に挿入支持してなるステータと、前記ステータに対して回転可能に支持され、該ステータにて生じる回転磁界により回転されるロータとを備えたブラシレスモータであって、前記インシュレータには、第1連結部が形成されるとともに、前記センターピースには、前記第1連結部と連結して前記コアを介して前記センターピースの支持部の移動を規制する第2連結部が形成されていることを要旨とする。
【0009】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の発明において、前記第1連結部は、前記インシュレータに形成された固定片であり、前記第2連結部は、前記固定片が挿入される固定片収容部であることを要旨とする。
【0010】
請求項3に記載の発明では、請求項2に記載の発明において、前記固定片収容部は、前記センターピースを前記被取付部材に装着するための装着手段が挿入される挿入孔に形成されていることを要旨とする。
【0011】
請求項4に記載の発明では、請求項3に記載の発明において、前記装着手段はネジであり、該ネジにて前記固定片と前記センターピースとが共締めされることを要旨とする。
【0012】
請求項5に記載の発明では、請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載の発明において、前記固定片は、前記固定片収容部の周方向において少なくとも一部に配置されていることを要旨とする。
【0013】
請求項6に記載の発明では、請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載の発明において、前記固定片は、前記固定片収容部に沿って断面略円弧状もしくは円筒状に形成されていることを要旨とする。
【0014】
請求項7に記載の発明では、請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載の発明において、前記センターピースの前記支持部周りに、前記第1連結部が複数設けられていることを要旨とする。
【0015】
請求項8に記載の発明では、請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載の発明において、前記センターピースの前記支持部周りに、前記第1連結部が等角度間隔に設けられていることを要旨とする。
【0016】
請求項9に記載の発明では、請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明において、前記第1連結部は、前記インシュレータの外周部分に形成されていることを要旨とする。
【0017】
請求項10に記載の発明では、請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載の発明において、前記センターピースは合成樹脂製であることを要旨とする。
(作用)
請求項1に記載の発明においては、コアに備えられるインシュレータの第1連結部とセンターピースの第2連結部とが連結することによりコアを介してセンターピースの支持部の移動が規制される。そのため、ブラシレスモータの作動時、即ちロータの回転時においてコアを支持するセンターピースの支持部が径方向に振動することが防止される。よって、センターピースを軽量化し該センターピースの支持部の剛性が若干低くなっても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、ブラシレスモータの騒音の悪化を防止できる。
【0018】
請求項2に記載の発明においては、固定片は固定片収容部内に挿入されることによって保持されるため、センターピースを振動させる力が固定片の挿入方向と直交する方向において多方向から加わり続けた場合でも、固定片が位置ズレするのを防止できる。
【0019】
請求項3に記載の発明においては、例えば挿入孔とは別に、固定片を保持するための保持部材を用いなくてもよいため、ブラシレスモータを構成する部品点数が低減される。よって、ブラシレスモータを低コストで製造できる。また、固定片を、固定片収容部だけでなく装着手段によって保持させるようにすれば、固定片収容部による保持力に加え装着手段による保持力が固定片に対して作用する。よって、インシュレータ、即ちコアの固定強度を向上させることができる。
【0020】
請求項4に記載の発明においては、ネジにて固定片とセンターピースとが共締めされるため、固定片は、固定片収容部の内周面とネジの外周面とによってネジの径方向に圧縮される。しかも、固定片の内周面にもネジの外周面が係止する。つまり、ネジにより、固定片とセンターピースとが共締めされる。そのため、固定片はネジの径方向及び軸線方向に移動不能に保持される。従って、固定片、即ちコアの固定強度をより一層向上させることができる。
【0021】
請求項5に記載の発明においては、固定片は、固定片収容部の周方向において少なくとも一部に配置されていればよいため、固定片を少量の材料で形成することができる。よって、ブラシレスモータをより一層低コストで製造できる。
【0022】
請求項6に記載の発明においては、断面略円弧状もしくは円筒状とすることで、固定片の剛性が高くなるため、固定片自体の振動が低減される。従って、センターピースが振動してしまうのを固定片によってより一層防止できる。
【0023】
請求項7に記載の発明においては、複数の第1連結部によってセンターピースが振動してしまうのを確実に規制することができる。
請求項8に記載の発明においては、複数の第1連結部が等角度間隔に配置されているため、センターピースが振動してしまうのをより確実に規制できる。また、必要最小限の第1連結部でセンターピースの振動を規制することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明においては、第1連結部がセンターピースの支持部から離間して配置されるため、ロータが径方向に振動した場合にセンターピースの支持部が傾くのをより小さい力で防止できる。よって、コアの径方向への振動が容易に防止されるため、センターピースが振動してしまうのをより一層防止できる。
【0025】
請求項10に記載の発明においては、ブラシレスモータのセンターピースを軽量化しながら、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、騒音の悪化を防止できるブラシレスモータとなる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を車両用空調装置のブラシレスモータに具体化した一実施形態を図面に従って説明する。
【0027】
図1に示すように、合成樹脂で成形された被取付部材としてのモータホルダ1は、略円板状に形成され、その中央部にはステータ2(センターピース3)を載置するための略円形状をなす凹部1aが形成されている。凹部1aには、中心孔1bが形成され、その中心孔1bの周囲には3つ(図1において一つ図示)の取付孔1cが等角度間隔に形成されている。凹部1a内にはステータ2が固定されている。
【0028】
ステータ2は、センターピース3、コア4及び該コア4に巻回される巻線5から構成されている。コア4は、複数枚のコアシートを積層することによって構成されている。コア4の中心部に形成された断面円形状の貫通孔4aには、センターピース3の支持部としての円筒部3aが圧入されている。
【0029】
センターピース3は合成樹脂によって形成され、センターピース3の基端部はモータホルダ1に固定されている。詳述すると、センターピース3の基端部には、略円板状をなす装着部としてのフランジ部3bが形成され、そのフランジ部3bには、円筒部3aの反対側に略円筒状に突出するボス部18が等角度間隔に3個(図1において1個図示)形成されている。ボス部18の中心部には、挿入孔としてのネジ孔19が形成されている。図3に示すように、ボス部18は、前記取付孔1cに嵌合される防振材20の中心部の貫通孔20aに圧入される。
【0030】
また、ボス部18及び防振材20の下部には、取付プレート21が当接している。取付プレート21は、その下面から装着手段としてのネジ22がボス部18のネジ孔19に螺入されることによりフランジ部3bに固定される。この場合、フランジ部3bと取付プレート21との間で防振材20が挟持され、センターピース3が防振材20を介してモータホルダ1に支持される。
【0031】
前記コア4には、コア4と前記巻線5との間の絶縁を行う合成樹脂製の2つのインシュレータ31,32が装着されている。インシュレータ31はコア4に対して前記円筒部3aの先端側に配置され、インシュレータ32はコア4に対して円筒部3aの基端側に配置されている。
【0032】
図2に示すように、インシュレータ32は、環状の基部被覆部33及び該基部被覆部33から径方向外側に延出形成された18個のティース端面被覆部34を備えている。基部被覆部33には、前記センターピース3の円筒部3aが挿通される中央孔37が形成されている。各ティース端面被覆部34は、基部被覆部33の外周部に等角度間隔に配置され、その先端部分は拡開形成されている。また、各ティース端面被覆部34の両側部及び基部被覆部33の外周部には、壁板35が軸方向一方に延出形成されている。図2に示すように、これら基部被覆部33、ティース端面被覆部34及び壁板35にて形成される嵌合凹部36内にコア4が配置される。
【0033】
ティース端面被覆部34の先端部分、即ちインシュレータ32の外周部分には、第1連結部としての固定片38が合成樹脂によって一体形成されている。固定片38は、センターピース3の円筒部3aが挿通される中央孔37周りに3つ(図2において2つ図示)形成されている。各固定片38は、前記各ボス部18に対応するように等角度間隔に配置されている。各固定片38は、壁板35の延出方向とは反対方向の軸方向他方(図1において下方)に延出されている。図3に示すように、固定片38の先端部分は、前記ネジ孔19の内周面に形成された第2連結部(固定片収容部)としての収容凹部39内に収容されるようになっている。
【0034】
収容凹部39は、ネジ孔19の貫通方向に沿って前記コア4側からほぼ中央部まで延びるように形成されている。また、収容凹部39はネジ孔19の周方向において一部を構成している。図4に示すように、収容凹部39はネジ孔19の周方向に沿って延びており、収容凹部39が形成される部分はネジ孔19の内周面の半分を占めている。
【0035】
また、前記固定片38は、収容凹部39の内周面に沿って断面略円弧状に形成されている。固定片38は、収容凹部39の周方向全体、即ちネジ孔19の周方向において一部に配置されている。固定片38の内周面はネジ孔19の内周面の半分を構成している。固定片38の肉厚は、収容凹部39の深さよりも大きくなるように設定されている。そのため、固定片38の内周面は、収容凹部39からネジ孔19内に若干突出している。
【0036】
よって、固定片38の先端部分が収容凹部39に収容された状態でネジ孔19にネジ22を螺合させると、その先端部分は、収容凹部39の内側面と雄ネジ部22aの外周面とによってネジ22の径方向に圧縮される。しかも、合成樹脂製の固定片38の内周面にもネジ山が刻設された雄ネジ部22aが係止する。つまり、ネジ22により、固定片38とボス部18とが共締めされる。そのため、固定片38の先端部分はボス部18に対して径方向及び軸線方向に移動不能に保持される。従って、前記インシュレータ32、即ち前記コア4が、前記ボス部18(前記センターピース3)に対してガタ付きなく固定される。
【0037】
前記ステータ2にはロータ6が回転可能に支持されている。ロータ6は、ヨーク7、複数のマグネット8及び回転軸9から構成されている。ヨーク7は、ステータ2を覆うような釣り鐘状に形成されている。各マグネット8はヨーク7の内周面に固着されている。そして、回転軸9は、ヨーク7の中心部に圧入され、センターピース3の前記円筒部3aの内周面に固着される軸受10a,10bにて該センターピース3に対して回転可能に支持されている。回転軸9の先端にはシロッコ型のファン11が固定されている。回転軸9の基端部は、凹部1aに形成された前記中心孔1bを貫通している。回転軸9の基端部には、略円板状のセンサマグネット13が取り付けられている。
【0038】
前記モータホルダ1には合成樹脂製の下部ケース15が取り付けられている。下部ケース15は、外周部分がモータホルダ1側へ延出する皿型に成形されている。モータホルダ1と下部ケース15との間に形成される収容部16内には回路基板12が収容され、その回路基板12には励磁回路を構成する多数の素子が搭載されている。回路基板12上におけるセンサマグネット13の外周部近傍には、ホール素子14が設置されている。ホール素子14は、回転に伴うセンサマグネット13の磁界の変化を検出する。そして、その検出に基づいてロータ6の回転角度が検出され、そのロータ6の回転角度に応じた励磁電流が励磁回路にて生成され、前記巻線5に供給される。励磁回路から巻線5に励磁電流が供給されると、ステータ2に回転磁界が生じ、その回転磁界に基づいてロータ6が回転してファン11が回転し、送風動作が行われる。
【0039】
このロータ6の回転の際、該ロータ6は自身の重量アンバランスや磁気的アンバランス等により径方向に振動し、ロータ6の回転軸9を通じてセンターピース3の円筒部3aを同方向に振動させようとする。しかも、ロータ6の径方向の振動はコア4をも同方向に振動させるので、該コア4が固定される円筒部3aを同様に振動させようとする。しかしながら、コア4に装着されるインシュレータ32の各固定片38がセンターピース3のボス部18に対して固定されることによって、コア4を介してセンターピース3の円筒部3aの移動が規制されるので、その円筒部3aが径方向に振動することが防止され、騒音の悪化が防止される。従って、センターピース3を樹脂化して軽量化することが可能になっている。
【0040】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)各固定片38は、該各固定片38がセンターピース3のボス部18に対して固定されることによって、ボス部18に対して径方向に移動不能に保持される。そのため、例えばロータ6自身(ファン11等を含む)の重量アンバランスや磁気的アンバランスにより、ロータ6が径方向に振動し、ロータ6の回転軸9を通じてセンターピース3の円筒部3aを同方向に振動させようとするのを防止できる。しかも、ロータ6の振動によるコア4の振動が、該コア4が固定される円筒部3aを同様に振動させようとするのも防止できる。
【0041】
そのため、ブラシレスモータの軽量化の要請によりセンターピース3を合成樹脂製にした結果、該センターピース3の円筒部3aの剛性が若干低下した場合でも、ロータ6の回転時に生じる径方向の振動による円筒部3aの共振が防止される。よって、ロータ6の回転時に生じるセンターピース3の振動を抑制でき、ブラシレスモータの騒音の悪化を防止できる。
【0042】
(2)各固定片38は、センターピース3のフランジ部3bに配置された収容凹部39内に挿入されることによって保持される。そのため、ロータ6の径方向への振動によってセンターピース3の円筒部3aが傾くのが、各固定片38の先端部分がセンターピース3のフランジ部3bで支持されることによって防止される。よって、例えば、フランジ部3bを省略し、固定片38に取り付けた防振材20をモータホルダ1と取付プレート21とで挟持する場合、即ち固定片38をモータホルダ1で支持する場合に比べて、円筒部3aが傾くのを防止できる。
【0043】
しかも、固定片38はインシュレータ32の外周部分に一体形成されている。つまり、固定片38はセンターピース3の円筒部3aから離間して配置されている。そのため、ロータ6がセンターピース3の円筒部3aを傾ける方向に振動した場合でも、固定片38の先端部分が収容凹部39内においてより小さい力で支持されるため、円筒部3aの傾きを容易に防止できる。即ち、円筒部3aを傾ける方向に振動が伝達されにくくなるため、センターピース3が振動してしまうのをより一層防止できる。しかも、円筒部3aの強度不足を補うことができる。
【0044】
(3)固定片38は収容凹部39内に挿入されることによって保持されるため、センターピース3を振動させる力が固定片38の挿入方向と直交する方向において多方向から加わり続けた場合でも、固定片38が位置ズレするのを防止できる。
【0045】
(4)収容凹部39はネジ孔19の一部を構成しているため、例えばネジ孔19とは別に、固定片38を保持するための保持部材を用いなくてもよい。よって、ブラシレスモータを構成する部品点数が低減されるため、ブラシレスモータを低コストで製造できる。
【0046】
(5)各固定片38は、収容凹部39だけでなくネジ22によって保持される。そのため、各固定片38には、収容凹部39による保持力に加えネジ22による保持力が作用する。よって、各固定片38、即ちコア4の固定強度を向上させることができる。
【0047】
また、ネジ22をネジ孔19に螺着させるだけで、ボス部18が前記取付孔1cにおいてモータホルダ1に対し固定されるだけでなく、固定片38も保持されるため、ブラシレスモータの製造効率を向上させることができる。
【0048】
(6)固定片38の肉厚が収容凹部39の深さよりも大きくなるように設定され、固定片38の内周面が収容凹部39からネジ孔19内に若干突出されている。そのため、固定片38の先端部分が収容凹部39に収容された状態でネジ孔19にネジ22を螺合させると、固定片38の先端部分は、収容凹部39の内側面と雄ネジ部22aの外周面とによってネジ22の径方向に圧縮される。しかも、固定片38の内周面にもネジ山が刻設された雄ネジ部22aが係止する。つまり、ネジ22により、固定片38とボス部18とが共締めされる。そのため、固定片38の先端部分はボス部18に対して径方向及び軸線方向に移動不能に保持される。従って、各固定片38、即ちコア4の固定強度をより一層向上させることができる。
【0049】
(7)固定片38は、収容凹部39の内周面に沿って断面略円弧状に形成されている。よって、固定片38の剛性が高くなるため、固定片38自体の振動が低減される。従って、センターピース3が振動してしまうのを固定片38によってより一層防止できる。また、固定片38の接触面積が大きくなるため、インシュレータ32、即ちコア4の固定強度をより一層向上させることができる。
【0050】
(8)固定片38は、収容凹部39の周方向において一部に配置されていればよいため、固定片38を少量の材料で形成することができる。よって、ブラシレスモータをより一層低コストで製造できる。
【0051】
(9)固定片38は、前記回転軸9周りに3つ形成されている。しかも、各固定片38は、インシュレータ32において等角度間隔に配置されている。従って、各固定片38によってセンターピース3が振動してしまうのをより確実に規制できる。また、必要最小限の固定片38でセンターピース3の振動を規制することができる。
【0052】
なお、前記実施形態は以下のように変更してもよい。
・前記実施形態において、収容凹部39をフランジ部3bにおいてネジ孔19とは別々に形成してもよい。
【0053】
・前記実施形態では、固定片38を断面略円弧状としてネジ孔19の周方向において一部に配置されていたが、図5に示すように、固定片38を円筒状とし、ネジ孔19の周方向全体に設けてもよい。
【0054】
・前記実施形態において、固定片38の肉厚を、収容凹部39の深さと同一の肉厚に設定し、固定片38の内周面をネジ孔19の内周面に一致させてもよい。このように構成すれば、固定片38の先端部分が収容凹部39に収容された状態でネジ孔19にネジ22を螺合させると、固定片38の先端部分は、収容凹部39の内側面と雄ネジ部22aの外周面とによってネジ22の径方向に挟持される。
【0055】
・前記実施形態において、固定片38の内側面に、ネジ22の雄ネジ部22aに螺合する雌ネジ部を形成してもよい。
・前記実施形態では、装着手段としてネジ22が用いられ、装着手段が装着される挿入孔としてネジ孔19が用いられていた。しかし、単なる貫通孔を挿入孔として用い、貫通孔に挿入されるリベットを装着手段として用いてもよい。
【0056】
・前記実施形態では、固定片38は、ロータ6の回転軸9周りに3つ形成されていた。しかし、固定片38は、1つまたは2つだけ形成されていてもよい。また、固定片38を4つ以上形成するとともに、各固定片38が挿入される収容凹部39を4つ以上形成してもよい。なお、各固定片38は等角度間隔に配置されていなくてもよい。
【0057】
・前記実施形態では、2つの部品からなるインシュレータ31,32をコア4に装着していたが、インシュレータ31,32を一つの部品としてもよく、また、インシュレータ31,32をコア4に一体成形してもよい。
【0058】
・前記実施形態では、コア4は、複数枚のコアシートを積層することによって構成されていたが、例えば磁性粉体を成形した一体物であってもよい。
・前記実施形態では、車両用空調装置のブラシレスモータに具体化したが、もちろん、他の装置に使用されるブラシレスモータとしてもよい。
【0059】
次に、上記実施形態から把握できる技術的思想を以下に記載する。
(イ)請求項1〜10のいずれか一項において、前記第2連結部は、前記センターピースの一端に形成された装着部に配置されていることを特徴とするブラシレスモータ。
【0060】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、センターピースを軽量化しても、ロータ回転時に生じるセンターピースの振動を抑制でき、ブラシレスモータの騒音の悪化を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態におけるブラシレスモータを示す断面図。
【図2】インシュレータを示す斜視図。
【図3】ブラシレスモータの要部断面図。
【図4】図3のA−A線断面図。
【図5】他の実施形態における断面図。
【符号の説明】
1…被取付部材としてのモータホルダ、2…ステータ、3…センターピース、3a…支持部としての円筒部、4…コア、5…巻線、6…ロータ、19…挿入孔としてのネジ孔、22…装着手段としてのネジ、31,32…インシュレータ、38…第1連結部としての固定片、39…第2連結部(固定片収容部)としての収容凹部。
Claims (10)
- 絶縁樹脂よりなるインシュレータが一体に備えられて巻線が巻回されるコアを、被取付部材に取り付けるためのセンターピースの支持部に挿入支持してなるステータと、
前記ステータに対して回転可能に支持され、該ステータにて生じる回転磁界により回転されるロータとを備えたブラシレスモータであって、
前記インシュレータには、第1連結部が形成されるとともに、
前記センターピースには、前記第1連結部と連結して前記コアを介して前記センターピースの支持部の移動を規制する第2連結部が形成されていることを特徴とするブラシレスモータ。 - 前記第1連結部は、前記インシュレータに形成された固定片であり、
前記第2連結部は、前記固定片が挿入される固定片収容部であることを特徴とする請求項1に記載のブラシレスモータ。 - 前記固定片収容部は、前記センターピースを前記被取付部材に装着するための装着手段が挿入される挿入孔に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のブラシレスモータ。
- 前記装着手段はネジであり、該ネジにて前記固定片と前記センターピースとが共締めされることを特徴とする請求項3に記載のブラシレスモータ。
- 前記固定片は、前記固定片収容部の周方向において少なくとも一部に配置されていることを特徴とする請求項2〜請求項4のうちいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記固定片は、前記固定片収容部に沿って断面略円弧状もしくは円筒状に形成されていることを特徴とする請求項2〜請求項5のうちいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記センターピースの前記支持部周りに、前記第1連結部が複数設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項6のうちいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記センターピースの前記支持部周りに、前記第1連結部が等角度間隔に設けられていることを特徴とする請求項1〜請求項7のうちいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記第1連結部は、前記インシュレータの外周部分に形成されていることを特徴とする請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
- 前記センターピースは合成樹脂製であることを特徴とする請求項1〜請求項9のうちいずれか一項に記載のブラシレスモータ。
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