JP2004336642A - 電力線通信ブリッジ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の電力線通信信号ブリッジ装置は、中継する電力線は、通信周波数帯域では互いに遮断されていることが必要である。もし遮断されていないと、電力線ブリッジの入出力が互いに繋がることになり、ブリッジ装置の入力側の通信信号と出力側の通信信号が衝突して正常に動作しない。
【解決手段】第1受信回路12aが受信した入力側の信号を、一旦デジタル情報としてバッファ10に保存し、入力信号が終了したタイミングで、第2送信回路11bから出力することにより、入出力間の信号の衝突を回避し、中継する両電力線間が、互いに遮断されていても、接続されていても、同じように通信信号を中継できる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、電力線通信システムの電力線伝送路に使用して、電力線通信信号を中継する電力線通信ブリッジ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力線通信システムは、電力線を介して信号を伝送するものである。したがつて、電力線の途中に分電盤があってブレーカ(通信周波数の減衰が大きい)が挿入されているとか、ブレーカが開いているとか、あるいは無停電電源装置(通信周波数は減衰する、以下UPSという)が接続されていて電力線通信の信号の減衰が甚だしいなどの条件があると通信が困難になる。このような場合に対処する手段として、例えば特許文献1には、分電盤で分岐された電力線間の電力線通信を可能にするために、電源周波数帯域の信号や電力は伝達せず、通信信号のみを通過させる電力線ブリッジ(フィルター)を、互いに遮断されている2組の電力線間に接続し、通信信号をそのまま電気的に中継するものが開示されている。
【0003】
【特許文献1】
特開平8−149053号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の電力線通信信号ブリッジ装置は、以上のように構成されているので、中継する複数組の電力線は、通信周波数帯域では互いに遮断されていることが必要である。もし電力線が遮断されていないと、電力線ブリッジの入出力が互いに繋がることになり、ブリッジ装置の入力側の通信信号と出力側の通信信号が衝突して正常に動作しない。
また、電力線ブリッジを設置するにあたり、専門の技術者により電力系統を分析把握し、分電盤の近くで設置工事が必要である。また、電気的に通信信号を中継するため、システムの規模が大きく電力線通信する端末数が多くなると、通信信号が輻輳してしまうなどの問題があった。
【0005】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、
遮断器が開いて物理的に電力線が接続されていない分電盤や、入出力間が遮断されているUPS等でも、あるいは物理的に接続されていても搬送波周波数では遮断されているノイズフィルタや閉じた遮断器等でも、出力信号の出力タイミングを調整でき、衝突を回避し、電力線通信信号を中継できる装置を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明の電力線通信ブリッジ装置は、通信信号を伝送する第1の搬送波の周波数帯域で、互いに遮断されている複数の電力線のそれぞれに接続され、前記第1の搬送波を受信して前記通信信号を復調する複数の受信回路、
復調された前記通信信号を記憶するバッファ、
前記複数の電力線のそれぞれに接続され、前記記憶された前記通信信号で第2の搬送波を変調し、前記第1の搬送波を受信した受信回路が接続されている以外の前記電力線に送出する複数の送信回路を備えたものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
以下、この発明の実施の形態1の電力線ブリッジ装置を図1に基づいて説明する。図1において、第1電力線2aと第2電力線2bは、分電盤(またはUPS)3により、通信周波数(高周波搬送周波数)の信号帯域では電気的に切断された電力線系統で、第1電力線2aに電力線でデータ送受信を行なう第1端末6aが、第2電力線2bには同様の第2端末6bが、それぞれ第1電力線モデム(以下第1PLCモデムという)4aと第2電力線モデム(以下第2PLCモデム)4bで接続されている。なお、第1,第2PLCモデム4a,4bは、図1ではそれぞれ同じ搬送周波数で同じ変調方式で信号を変/復調するものである。
【0008】
第1PLCモデム4aは、第1端末6aからのデジタル信号を電力線通信信号(第1の搬送波と言う)に変換(又は変調)して第1電力線2aに信号を送出し、また送信されてきた電力線通信信号を電力線から抽出してデジタル信号に変換し第1端末6aへ送り込む。
第2PLCモデム4bは、第2端末6bからのデジタル信号を電力線通信信号(第2の搬送波と言う)に変換(又は変調)して第2電力線2bに信号を送出し、また送信されてきた電力線通信信号(前記第1の搬送波)を第2電力線から抽出してデジタル信号に変換し第2端末6bへ送り込む。
通常、電力線は電力線通信に用いられる周波数では分電盤3(遮断器はインダクタンス成分を備えているため高周波を遮断する)によつて、2系統に分断されているため第1端末6aと第2端末6b間は通信できないか、少なくとも困難である。電力線通信ブリッジ装置1を分電盤3の両側の第1電力線2aと第2電力線2bに、カップリングユニットまたはコンセント5を用いて電力線通信信号を注入・抽出できるように接続する。
【0009】
電力線通信ブリッジ装置1の第1送信回路11aと第1受信回路12a、並びに第2送信回路11bと第2受信回路12bはそれぞれ組になって構成され、送信と受信が同時に行われることはない。第1電力線2aに対して、第1送信回路11aと第1受信回路12aが、また、第2電力線2bに対して第2送信回路1lbと第2受信回路12bの組が、送信と受信を行なう。各受信回路は、バッファ10に受信データをデジタル情報に変換して書込み、各送信回路はバッファ10からデジタルデータを読み取って電力線通信信号に変換して送信する。
図1の構成は、説明の都合上、2つの電力線系統の場合を示しているが、3つ以上の電力線系統であっても、電力線通信ブリッジ装置1の受信回路と送信回路の組を増やすことで対応できる。
【0010】
次に動作について説明する。
第1端末6aから第2端末6bへデータを送信した場合、電力線通信ブリッジ装置1は、第1受信回路12aでPLCモデム4aからの電力線通信信号(第1の搬送波)を抽出し、受信データをバッファ10へデジタル情報として保存する。ここで言うデイジタル情報とは、信号の内容とともに、信号の諸元(搬送波周波数、変調の形式、デイジタル信号の形式/速度、発信者及び宛先アドレスなど)も含むものである。保存されたデイジタル情報は第2送信回路11bへ送られ、第2送信回路11bは第2電力線2bへ後述する送信タイミングをはかって、同じ諸元の同じ内容の信号として送信する。第2電力線2bへ送信された電力線通信信号(第2の搬送波)は、PLCモデム4bで受信され、デジタル情報に変換されて第2端末6bへ送信される。このため、信号周波数帯域では繋がっていない2つの電力線間を中継することで、第1端末6aと第2端末6bが通信できるようになる。説明は省略するが逆方向の信号送受信についても同様の動作となる。
【0011】
次に、前述した送信タイミングについて図2により説明する。分電盤3に用いられた遮断器の形式によつては、第1電力線2aと第2電力線2b間で信号周波数帯域の信号が分電盤3を介して伝達される場合がある。このような場合にも、第2送信回路1lbから信号を送出するタイミングは、図2に示すように第1電力線2aにある通信信号50と衝突しないタイミング(例えば受信信号が終了したタイミング)で、PLCモデム4a,4bと同様に電力線通信プロトコルを使って通信信号51を送信する。これにより、送受信信号間の信号衝突は発生しない。
以上の説明では、信号が伝達されない原因が分電盤またはUPS3の場合について説明したが、例えば電力線通信信号を消去する機能を有する力率改善用進相コンデンサや各種のノイズフィルタである場合でも有効である。
【0012】
実施の形態2.
本発明の実施の形態2による電力線通信ブリッジ装置を図3に基づき説明する。図3の電力線通信ブリッジ装置20では、電力線通信信号の周波数又は変調方式を変換する第1変換機構13a,第2変換機構13bを設けたものである。
図3の第1PLCモデム4aは搬送周波数f1で送受信し、第2PLCモデム4bは搬送周波数f2で送受信するように構成されている。
図3の第1PLCモデム4aは搬送周波数f1で送信し、第1受信回路12aは搬送周波数f1の信号を受信してバッファ10にデータを送る。第2送信回路11bの送信信号は第2変換機構13bにより、搬送周波数f2で送信され、第2PLCモデム4bは周波数f2の信号を受信する。
【0013】
また、第2PLCモデム4bは搬送周波数f2で送信し、第2受信回路12bは搬送周波数f2の信号を受信してバッファ10にデータを送る。第1送信回路11aの送信信号は第1変換機構13aにより、搬送周波数f1で送信され、第1PLCモデム4aは周波数f1の信号を受信する。
【0014】
第1、第2変換機構13a,13bの出力周波数はf1,f2で互いに異なっているので、実施の形態1で説明したように送信のタイミングを特に配慮しなくても、送受信号の衝突は生じない。複数の電力線間でも、複数の搬送周波数を互いに重複しないように振分けておけば、信号の衝突を避けることができる。
【0015】
以上の説明では、搬送周波数を異ならせるとして説明したが、例えば変調方式を変えても同等の効果を得ることが出来る。例えば一方の方向には周波数変調を、他方には振幅変調を用いるというようにしてもよい。
本実施の形態による方式を採れば、通信信号の出力タイミングをはからなくても送出できるようになり、電力線2a、2b間で、異なる周波数帯域や変調方式を使った電力線通信信号の中継をすることができる。
第1変換機構13a、第2変換機構13bは周波数を変える場合は周波数設定手段、変調方式を変える場合は変調方式設定手段という。
【0016】
実施の形態3.
本実施の形態では、電力線上に多数の電力線通信信号が輻輳する場合に有効な信号処理をおこなうことができる電力線通信ブリッジ装置30について図4により説明する。図4の電力線通信ブリッジ装置30はアドレス学習機構14を備えている。バッファ10に電力線通信信号をデジタル情報にして一時保存する際、アドレス学習機構14は、デジタル情報から送信元アドレスと送信先アドレスとを抽出し、第1電力線2a側に第1端末6aが、第2電力線2b側に第2端末6bが存在することを学習する。アドレス学習機構14は、電力線の系統毎に送信元/送信先のアドレス情報を常にメモリ上にテーブル(図では、第1電力線2a側のアドレスを14a、第2電力線2a側のアドレスは14bで示す)で保存し、複数の端末のアドレス情報を検索可能にする。
【0017】
次に動作について説明する。
第1端末6aから第2端末6bに対してデータ送信した場合、デジタルデータは第1PLCモデム4aで電力線通信信号に変換され、電力線通信ブリッジ装置30の第1受信回路12aで受信される。第1受信回路12aはバツファ10にデジタル情報を書き込む。アドレス学習機構14は、バッファ10にデジタル情報が書き込まれた時、デジタル情報の中の送信元アドレス情報を抽出し、それが第1電力線2a側から受信したものである場合は、第1電力線2a側のアドレス情報テーブルに第1端末6aのアドレスを保存する。既に第1端末6aのアドレスが登録されておれば、何もしないか、アクセスがあった事を記憶するフラグを立てる。
【0018】
次に、アドレス学習機構14は、第2電力線2b側のアドレス情報テーブルを参照し、送信先アドレスが第2電力線2b側に登録されているか確認する。もし、第2端末6bのアドレス情報があれば、第2送信回路1lbで電力線通信信号を送信する。もし、第2端末6bのアドレス情報が無ければ、バッファ10からデータを削除し送信はしない。第2端末6bは、過去に1度もデータ送信をしていなければ存在しないと認識されるが、通常イーサネット(登録商標)やシリアル通信の場合、端末起動時に自分のアドレス情報を通知するプロトコルが用いられるため、接続されておれば必ず認識されることになる。
アドレス情報が無ければ、バッファ10からデータを削除し送信はしない用にする装置を送信停止手段という。なお、送信停止手段はバッファへの記憶前にアドレスのチェックをして、アドレス情報が無ければ、バッファ10にデータを記憶しない用にしてもよい。
【0019】
このように、アドレス学習機構14を設けることで、この電力線通信ブリッジ装置30が接続されている電力線上に存在しない端末への送信を中継しなくなるため、不要な通信の輻輳を低減できる。
また、任意にノイズフィルタと本電力線通信ブリッジ装置を組み合わせて、電力線を論理的に分離した通信ノードに分けることが可能となる。
【0020】
実施の形態4.
図5に示す電力線通信ブリッジ装置40は、フィルタ機構15を備えている。フィルタ機構15は、あらかじめ中継すべき装置のアドレス情報またはアドレスを示す数値の一部が登録された第1電力線側の登録テーブル15aと第2電力線側の登録テーブル15bとを備えている。そして、フィルタ機構15は登録テーブルに登録されている送信元/送信先に関する通信だけを中継し、登録されていない端末への送信を受信した場合に、バッファ10から削除して(あるいはバッファ10への書き込みそのものを行わない)中継しないようにしている。この機能を達成する装置を通信信号削除手段という。
【0021】
これにより、あらかじめ登録された装置群への通信のみが正しく中継され、それ以外の不正な端末からのデータは中継しないようにして、システムの輻輳を抑えることができる。
また、マンションなど、電力線が物理的に繋がっている環境で、ある端末からの送信データが、電力線を通じて不正な端末に受信されることや、外部からの不正なアクセスを阻止できる。
フィルタ機構15は、特定のアドレス情報の全てを含むフルアドレス情報だけでなく、アドレスの一部の数値(例えば頭の4桁など)を使ったフィルタとすることも可能である。
【0022】
【発明の効果】
以上に説明したように、この発明の電力線通信ブリッジ装置は、遮断器が開閉して、物理的に電力線が接続されたり遮断されたりする分電盤や、入出力間が遮断されているUPS等でも、あるいは物理的に接続されていても搬送波周波数では遮断されているノイズフィルタや閉じた遮断器等でも、出力信号の出力タイミングを調整して、送受信間の信号衝突を回避し、電力線通信信号を中継できるので、電力線通信を容易に行うことが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1の電力線通信ブリッジ装置の構成図である。
【図2】図1のブリッジ装置の動作を説明するタイミング説明図である。
【図3】この発明の実施の形態2を示す構成図である。
【図4】この発明の実施の形態3を示す構成図である。
【図5】この発明の実施の形態4を示す構成図である。
【符号の説明】
1、10、20、30、40 電力線通信ブリッジ装置、
2a 第1電力線、 2b 第2電力線、 3 分電盤、
4a 第1モデム、 4b 第2モデム、
5 カップリングユニツト、
6a 第1端末、 6b 第2端末、 10 バッファ、
11a 第1送信回路、 11b 第2送信回路、
12a 第1受信回路、 12b 第2受信回路、
13a 第1変換機構、 13b 第2変換機構、
14 アドレス学習機構、 15 フィルタ機構。

Claims (6)

  1. 通信信号を伝送する第1の搬送波の周波数帯域で、互いに遮断されている複数の電力線のそれぞれに接続され、前記第1の搬送波を受信して前記通信信号を復調する複数の受信回路、
    復調された前記通信信号を記憶するバッファ、
    前記複数の電力線のそれぞれに接続され、記憶された前記通信信号で第2の搬送波を変調し、前記第1の搬送波を受信した受信回路が接続されている以外の前記電力線に送出する複数の送信回路を備えたことを特徴とする電力線通信ブリッジ装置。
  2. 前記送信回路に接続され、前記第2の搬送波の周波数を、前記第1の搬送波の周波数とは異なる周波数に設定して送出する周波数設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信ブリッジ装置。
  3. 前記送信回路に接続され、前記第2の搬送波の変調方式を、前記第1の搬送波の変調方式とは異なる変調方式とする変調方式設定手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信ブリッジ装置。
  4. 前記受信回路が受信し復調した前記通信信号の宛先アドレスを前記バッファに記憶させる宛先記憶手段、
    前記通信信号の発信元アドレスを記憶するアドレス学習機構、
    前記記憶した宛先が、前記アドレス学習機構に記憶されていないとき、前記バッファに記憶された前記通信信号を消去して、その送信を行わせない送信停止手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信ブリッジ装置。
  5. 前記複数の電力線のそれぞれに接続された端末装置のアドレス情報をあらかじめ記憶するアドレス情報記憶部、
    前記アドレス情報記憶部に記憶しているアドレスに一致しないアドレスを発信元又は宛先とする前記通信信号を前記バッファに記憶させないか、又は記憶から削除する通信信号削除手段を備えたことを特徴とする請求項1に記載の電力線通信ブリッジ装置。
  6. 前記アドレス情報記憶部が記憶するアドレス情報は、アドレスの一部を構成する部分アドレスであり、前記通信信号削除手段は前記部分アドレスを含まないアドレスを発信元又は宛先とする前記通信信号を前記バッファに記憶させないか、又は記憶から削除するものであることを特徴とする請求項5に記載の電力線通信ブリッジ装置。
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