JPWO2007017934A1 - 電力線搬送通信システム - Google Patents

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信二 田辺
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Abstract

本発明は、電力線における信号の干渉、又は信号の誤認識を防止することができる電力線搬送通信システムを提供することを目的とするものである。本発明に係る電力線搬送通信システムは、第1の信号結合装置132を介して一方の側の通信装置121と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第1の通信装置122と、第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域を利用した信号による通信により第1の通信装置122と通信を行うと共に第2の信号結合装置144を介して第1の通信装置122と異なる側の通信装置125と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第2の通信装置124と、第1の信号結合装置132と第2の信号結合装置144間に設けられ少なくとも第1の周波数帯域の信号通過を防止する防止素子15とを備えている

Description

本発明は、電力線を用いて通信を行う電力線搬送通信システム、特に複数の通信装置を用いて通信を行う電力線搬送通信システムに関するものである。
電力線搬送通信は、電力を供給する電力線に信号を流すことで通信を行う手法である。最近では、電力線搬送通信は、宅内にとどまらず、宅外の変電所から宅内までの通信にもこの電力線通信が利用されるようになっている。
このように、電力線搬送通信の通信範囲は広いものとなってきており、従来のように、1対1の通信装置間だけの通信だけでは十分な距離の通信が難しくなってきている。そこで、通信経路に複数の通信装置を設け、この通信装置間で信号の授受を行うことで、電力線によって減衰した信号を各通信装置で増幅し、十分な距離の通信を実現している。
一方、電力線搬送通信では、電力線に信号結合装置を取り付け、この信号結合装置を介して電力線に信号を注入することで通信を行うため、通信装置から送信される信号は、送信したい側の方向だけでなく、その逆の方向にも信号が送信されてしまう。そのため、一方の側の通信装置との通信と他方の側の通信装置との通信とで、同じ周波数帯域を利用した信号を用いると、これらの信号が干渉し合って通信性能が低下したり、通信装置がどちらの通信装置から送信されてきた信号か判断できなくなり、通信するのが困難になる。
そこで、複数の通信装置を介して電力線搬送通信を行う場合には、隣接する通信に対しては同じ周波数帯域を用いず、周波数帯を変えた通信を行うようになっている。即ち、第1の通信装置から第2の通信装置へは第1の周波数帯域を利用した信号により通信がなされ、第2の通信装置から第3の通信装置へは第1の周波数帯域とは異なる第2の周波数帯域を利用した信号により通信がなされるようになっている。
一方、電力線搬送通信システムでは、実際に通信すべき領域以外に信号を流すと問題となる場合があるので、この問題を解消するために、例えば特開2003−273783号公報や特開2004−887731号公報に示されるように、通信領域の端部に、他の電力線に信号が漏洩しないよう、ブロッキングフィルタを設けることで信号が通信システム内にだけ流れるようにする手法を用いた電力線搬送通信システムが提案されている。
特開2003−273783号 特開2004−887731号
複数の通信装置を利用して通信を行う電力線搬送通信では、一方の側の通信装置との通信と他方の側の通信装置との通信とで、電力線で信号の干渉が生じないよう異なる周波数帯域を用いた信号による通信を行っているため、隣接する通信装置からの信号による信号の干渉は生じないようになっている。しかしながら、実際に、電力線搬送通信システムを構築してみると、単に隣接する通信に対して同じ周波数帯域を用いないようにしただけでは、通信性能が落ちたり、通信ができなくなる場合があり、実際のシステム構築では問題があることが分かった。
そこで、この出願の発明者らはこの問題を誠意研究解析した結果、実際のシステム構築にあたっては、通信装置間の通信を全て異なる周波数帯域にすることは難しく、隣接する通信では異なる周波数帯域を利用するが、その隣(あるいはさらにその隣)の通信では、同じ周波数帯域を利用することが多く、さらに、電力線搬送通信が、単なる通信線ではなく、既存の電力線を利用するものであることより、その伝送特性が一定ではなく、場所によっては、良いところもあれば、逆に悪いところもあるため、伝播特性が良いところでは、例え隣接する通信装置からの信号による信号の干渉を防止するようにしていても、さらにその隣の同じ周波数帯域の信号を利用する通信装置からの信号が周波数帯域が異なる通信領域を越えて伝播し影響を及ぼしていることを発見した。
本発明はこの点を考慮してなされたものであり、隣接する通信装置のさらにその隣の通信装置からの信号の影響をも考慮し、電力線における信号の干渉、あるいは、信号の誤認識を防止することができる電力線搬送通信システムを提供することを目的とするものである。
本発明に係る電力線搬送通信システムは、電力線に複数の通信装置が取り付けられ、複数の通信装置を介して電力線上での通信を行う電力線通信システムである。そして、この電力線搬送通信システムは、第1の信号結合装置を介して電力線に接続され第1の信号結合装置を介して一方の側の通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第1の通信装置と、第1の通信装置の他方の側に配置され第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域を利用した信号による通信により第1の通信装置と通信を行うと共に電力線に接続された第2の信号結合装置を介して第1の通信装置と異なる側の通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第2の通信装置と、第1の信号結合装置と第2の信号結合装置間に設けられ少なくとも第1の周波数帯域の信号通過を防止する防止素子とを備えている。
本発明に係る電力線搬送通信システムは、第1の通信装置の第1の信号結合装置と第2の通信装置の第2の信号結合装置との間に少なくとも第1の周波数帯域の信号通過を防止する防止素子とを備えている。そのため、隣接する通信装置よりさらに離れた位置にある通信装置の通信による影響を防止することができる。
本発明の実施例1の電力線搬送通信システムの全体構成を示す図である。 本発明の実施例1の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。 図3は図2に示した電力線通信システムのX部を示す図である。 図1に示した通信装置を示す概略図である。 図1に示した防止素子の一例を示す図である。 図2に示した電力線搬送通信システムの通信手法を説明するための図である。 本発明の実施例2の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。 図7に示した電力線通信システムのZ部を示す図である。 本発明の実施例3の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。 本発明の実施例4の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。 本発明の実施例5の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。
符号の説明
1 上位ネットワーク 2 変電所 3 光ネットワーク
4 家庭 5 中電圧の電力線 6 低電圧の電力線
11 電柱 15 防止素子 21、31 信号送受信部
22、23、32、33 フィルタ 24、34 アンプ
25、35 A/D変換器 26、36 D/A変換器
27、37 ディジタル変調部
28 制御部(周波数変換部) 41 変圧器
42、51〜54、121〜125 通信装置
61〜64、71〜74、131〜135、141〜145 信号結合装置
以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。
図1はこの実施例1の電力線搬送通信システムの全体構成を示す図である。図1に示すように、電力線搬送通信では、ネットワークオペレーションセンタを含む上位ネットワーク1から変電所2までは光ネットワーク3を通して通信がなされ、変電所2から各家庭4までの5〜10kmの距離は電力を供給する配電線網(中電圧の電力線5、低電圧の電力線6)を利用して通信がなされている。
配電線網としては、電柱間の架空配電線、電柱から地中に引き込まれた地中配電線、柱上変圧器や地上に置かれる変圧器により降圧され地中や架空から各戸に引き込まれる配電線、電力メータ・分電盤などが含まれ、この配電線網を介して送信された信号は、各戸に設置されるCPE(Customer Premises Equipment)を介してイーサーネット経由で接続されるパーソナルコンピュータ(以下PCと呼ぶ)などに送信される。尚、CPEは、電力線通信で使用されている信号を復調し、PCと通信できるようにする装置である。
図2はこの実施例1の電力線搬送通信システムにおける配電線網の構成を示す図である。図3は図2に示した電力線搬送通信システムのX部を示す図である。ここでは上記説明した電力系統のうち、中電圧の架空配電線での信号通信システムについて説明するが、本発明は、この中電圧の架空配電線に限定されるものではなく、低電圧など他の配電線での通信システムに適用してもよい。
図2に示すように、電力線である架空配電線5は複数の電柱11に支持されており、これら電柱11の各々に通信装置121、122、123、124、125が設けられている。各通信装置121、122、123、124、125は各々電気的に接続された信号結合装置131、141、132、142、133、143、134、144、135、145により配電線5に接続されている。尚、信号結合装置は、ICU(Inductive Coupling Unit)、CCU(Capacitive Coupling Unit)のいずれを用いてもよい。
そして、通信装置121と通信装置122とは周波数帯Aを利用した通信(ModeAでの通信)により、通信装置122と通信装置123とは周波数帯Bを利用した通信(ModeBでの通信)により、通信装置123と通信装置124とは周波数帯Cを利用した通信(ModeCでの通信)により、通信がなされる。以後、同様に、通信装置124と通信装置125とはModeA、通信装置125とさらに隣の通信装置とはModeBの通信がなされるようになっている。このように、互いに隣接する通信が異なる周波数帯域を利用してなされることにより、順次信号は配電線5を介して通信されていく。尚、電力線を伝播する信号は減衰するので、各通信装置は、減衰した信号を増幅して電力線に信号を注入するようになっている。
ここで、周波数帯域A、B、Cは各々異なる周波数帯域である。最近では大容量の通信を高速に通信する必要性が高いことより、通信用の信号の周波数帯域は、例えば、1MHz以上100MHz以下の範囲、好ましくは、3MHz〜34MHz以下の範囲の周波数帯域を利用するのが好ましく、周波数帯域A、B、Cは各々この範囲から適宜必要な異なる周波数帯域を設定するのが好ましい。
さらに、通信装置121と信号結合装置132を介してModeAの通信を行う第1の通信装置(通信装置122)に接続された信号結合装置132と、信号結合装置144を介して通信装置125とModeAの通信を行う第2の通信装置(通信装置124)に接続された信号結合装置144との間に、周波数帯域A、B、Cの信号が通過するのを防止する防止素子15が設けられている(ここで、第1の通信装置と第2の通信装置とは、通信装置123を介して、ModeAの周波数帯域とは異なる周波数帯域(ModeB、ModeC)を利用して間接的に通信がなされるようになっている)。
詳細には、図3に示すように、通信装置122は電柱11に取り付けれ、電柱11を介して一方の側の配電線5に信号結合装置132が接続され、他方の側の配電線5に信号結合装置142が接続されている。配電線5に取り付けられる防止素子15は、信号結合装置132と信号結合装置(第3の信号結合装置)142との間の領域Yに設ければよい。このようにすることにより、防止素子15を介して、図面右側の配電線5から図面左側の配電線5へ、あるいは、図面左側の配電線5から図面右側の配電線5へModeA、さらには、ModeB、Cの信号が通過するのを防止できるようになっている。
図4は図2に示した通信装置122を示す概略図である。図4に示すように、通信装置122は主に、信号送受信部21、31、フィルタ22、23、32、33、アンプ24、34、A/D変換器25、35、D/A変換器26、36、ディジタル変調部27、37、制御部(周波数変換部)28からなる。信号結合装置132(142)により取り出された信号は、信号送受信部21(31)に入力され、フィルタ22(32)、アンプ24(34)、A/D変換器25(35)、ディジタル変調部27(37)を介して制御部28に入力される。そして、制御部28で周波数変換(周波数帯域の変換)がなされた後、ディジタル変調部37(27)、D/A変換器36(26)、フィルタ33(23)、アンプ34(24)を介し、信号送受信部31(21)から信号結合装置142(132)により電力線5に注入される。尚、その他の通信装置も通信装置122と同様のものを用いれば良い。
図5(A)、図5(B)は図2に示した防止素子の一例を示す図である。この実施例では、1つの防止素子で周波数帯域A、B、Cの信号の通過を防止できるブロッキング素子を用いれば良く、図5(A)に示すように、電力線に磁性材料を利用したフェライトコアや、図5(B)に示すように、電力線に巻きつける磁性材料で構成されたシートなどを用いればよい。
次に動作について説明する。図6(A)、図6(B)は図2に示した電力線搬送通信システムの通信手法を説明するための図である。
信号を図面右側方向に伝送するには、ModeA、ModeB、ModeC、ModeA、ModeBの順にPLC信号を周波数を分けて伝送させる。即ち、通信装置121から信号結合装置141を介してModeAの信号を配電線5に注入し、通信装置122の信号結合装置132からこのModeAの信号を取り出し、通信装置122内で周波数変換を行った後、通信装置122の信号結合装置142からModeBの信号を配電線5に注入する。同様に、通信装置123では、配電線5からModeBの信号を取り出しModeCの信号を配電線5に注入し、通信装置124では、配電線5からModeCの信号を取り出しModeAの信号を配電線5に注入する。以後、同様の処理を行うことで、信号は図面右側の方向に順次、複数の通信装置を介して送信される。
ここで、通信装置124が通信装置125にModeAの信号を送信する際には、配電線5にModeAの信号が注入されることになる。そのときには、ModeAの信号は図面右側のみならず左側にも伝播することになる。即ち、図6(A)に示されるように、ModeAの信号150が図面左側方向に伝播することになる。
通常の信号線を利用した通信では、通信特性の予測は可能で、信号の伝播特性により信号の干渉が生じないように設計することが可能であるが、電力線を利用した通信においては、電力線が純粋な通信線でないことより、その特性は様々な特性を示し、信号が良く伝播する場所もあれば、逆に伝播し難い場所もある。そのため、隣接する通信装置からの信号による干渉を防止するために、周波数帯域を分けて伝送するようにしていても、実際にシステムを構築してみると、例え隣接する通信を異なる周波数を用いて行っていても、その領域を越えて同じ周波数を利用した信号が影響してしまうことがある。
そこで、本発明では、この影響を防止するために、防止素子15を設けるようにしたものである。この実施例1では、図3に示した領域Yに防止素子15を設けているので、図6(B)に示すように、通信装置124と通信装置125で利用されるModeAの信号が図面右側から図面左側に向けて伝播し、信号結合装置142を介して伝播しても防止素子15でその信号の通過が防止され、通信装置121と通信装置122とがModeAで通信している領域に侵入することがなく、信号の干渉を防止できるようになっている。
尚、通信装置では、アッテネータにより入力信号を減衰させた後に変調して送信するので、他の信号結合装置を介して同一Modeの信号が通信装置内に入力された場合でも、通信装置内での干渉が生じることはない。
この実施例1の電力線搬送通信システムは、第1の信号結合装置を介して一方の側の通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第1の通信装置と、第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域を利用した信号による通信により第1の通信装置と通信を行うと共に第2の信号結合装置を介して第1の通信装置と異なる側の通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第2の通信装置と、第1の信号結合装置と第2の信号結合装置間に設けられ、少なくとも第1の周波数帯域の信号通過を防止する防止素子とを備えている。
そのため、隣接する通信装置間よりさらに離れた位置にある通信装置間の通信による信号の影響を防止することができる。例えば、隣接する通信装置間よりさらに離れた位置にある通信装置間の通信による信号の干渉(チャネル間干渉)の防止、あるいは、通信速度の低下、通信不可となることを防止することができる。
この実施例1では、通信用の周波数帯域として3つの周波数帯域A、B、Cを利用しているが、これは3つの周波数帯域に限定するものではなく、さらに多くの周波数帯域を利用してもよい。
また、この実施例1では、複数の周波数帯の信号の通過を防止する防止素子として1つの防止素子を用いているが、個々の周波数帯域の信号を防止する防止素子を各々設けるようにしてもよい。
また、この実施例1では、周波数帯域A、B、Cの信号が通過するのを防止する防止素子を用いた例を説明しているが、電力線搬送通信では、全ての周波数帯域の信号の伝播特性が同じとは限らないので、伝播特性が良い周波数帯域の信号や特定の周波数帯域の信号のみ、例えば、少なくとも周波数帯域Aの信号、あるいは、周波数帯域B、Cの信号の通過を防止する防止素子を用いるようにしてもよい。
また、この実施例1では、1つの防止素子で周波数帯域A、B、Cの信号の通過を防止できるブロッキング素子を用いた例を示したが、防止素子は、少なくとも所定の周波数帯域の信号を通過させないものであればよく、例えば、ブロッキング素子、インピーダンス素子、フィルタなどを用いればよい。また、ブロッキング素子としては、例えば、信号間の干渉を防ぐためや信号が他の箇所に漏れるのを防止するためのフィルタを用いてもよく、また、例えば、電気回路(L、C、R)等で実現したもの、フェライトコアのような磁性材料を用いたものでよく、フェライトの透磁率μを上げることでインピーダンスを上げるか、磁性材料における複数表示した透磁率μの虚部の項による減衰を利用して信号をブロックするものであってもよい。
実施例1では、防止素子を通信装置の一方の信号結合装置と他方の信号結合装置との間に設けるようにしているが、この実施例2の電力線搬送通信システムは、互いに隣接する第1の通信装置の信号結合装置と第2の通信装置の信号結合装置の間に設けるようにしたものである。
図7はこの実施例2の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。図8は図7に示した電力線通信システムのZ部を示す図である。尚、防止素子の取付け位置、及びその構成を除いては実施例1の電力線搬送通信システムと同様である。
図7、図8に示すように、防止素子15は、通信装置122の信号結合装置142と通信装置123の信号結合装置133の間に設けられている。この実施例2では、他の周波数帯域の通信を行う必要のある領域に防止素子を設けるので、単に、所定の周波数帯域の信号の通過を防止するだけではなく、他の周波数帯域の信号を通す素子を用いる必要がある。
このような防止素子としては、必要な周波数帯域の信号は通すが、必要でない周波数帯域の信号の通過を防止するバンドパスフィルタを用いればよい。例えば、ローパスフィルタとして適当なインダクタンス成分を持ったインピーダンスアッパを配電線に直列に取り付ける、又は、容量性素子を配電線と地面との間に設置し、ハイパスフィルタとして配電線と地面との間にあるインダクタンス成分をもった素子を取り付ける、又は、配電線に直列に容量性素子を取り付けることで、バンドパスフィルタを実現すればよい。
実施例1、2では、3つ以上の周波数帯域を利用した通信について説明しているが、この実施例3では、2つの周波数帯域を利用した通信について説明する。
図9はこの実施例3の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。図9に示すように、使用する周波数帯域を2つにし、それに伴い防止素子を3つの通信領域(ModeA、ModeB、ModeC)毎ではなく、2つの通信領域(ModeA、ModeB)毎に設けるようにしたものである。尚、その他は実施例1、2と同様である。
即ち、通信装置121と通信装置122はModeAでの通信を行い、通信装置122と通信装置123はModeBでの通信を行う。そして、以後、同様に、通信装置123と通信装置124はModeAで通信を、通信装置124と通信装置125はModeBでの通信を行うことで、順次信号が通信されることになる。そして、同じModeの通信領域の間に防止素子15を設けることで、実施例1、2同様、信号の干渉などを防止できるようになっている。
異なる周波数帯域の数を多くすると、信号が干渉する割合は少なくなるが、実際に通信システムを構築する場合、通信容量や通信速度、あるいはシステムを構築する場所(宅内でシステムを構築する場合には、配電線の分岐が多く配電線自体での信号の減衰が多く、高周波の信号ができず、低周波の周波数帯を利用する必要がある)などの関係より、使用できる周波数帯域には限りがある。実施例2の電力線搬送通信では、2つの周波数帯域の信号だけで通信を可能にしているので、使用できる周波数帯域に限りがある場合であっても通信が可能であり、また、周波数帯域の分割数を小さくできるので、送信容量や送信速度を向上させることができる。
実施例1〜3では、システムで使用する周波数帯域の数毎に防止素子を取り付けているが、この実施例4の電力線搬送通信システムでは、隣接する通信領域に他の通信領域の信号が進入しないように、各通信領域間に各々防止素子を設けるようにしたものである。
図10はこの実施例4の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。図10に示すように、防止素子15は隣接する通信領域に他の通信領域の信号が侵入しないよう、各通信装置の近傍に各々設けられている。尚、防止素子の取付け位置以外は実施例1と同様である。
また、この実施例では、実施例1のように3つの周波数帯域を利用したシステムについて説明しているが、実施例3のように2つの周波数帯域を利用したシステム、あるいは実施例2のようなシステムに適用してもよい。
この実施例4の電力線搬送通信システムでは、複数の防止素子を用いてある周波数帯域の信号が通過するのを防止しているので、不要な信号の伝播の防止をより強固にすることができる。また、各ブロッキング素子の性能(信号通過を防止する機能)が低くとも、複数の防止素子により防止できるので、防止性能の低いブロッキング素子での実現が可能になる。
実施例1〜4では、中電圧(変圧器の高圧側)の電力線での伝送に適用した形態を示しているが、この実施例5では、低電圧(変圧器の低圧側)の電力線での伝送に適用したものである。
図11はこの実施例5の電力線搬送通信システムの構成を示す図である。図11に示すように、この実施例5の電力線搬送通信システムでは、電柱11に設けられた変圧器41の低圧側の配電線6を利用して電力線搬送通信を行うものである。
図11に示すように、変圧器41の高電圧側の架空電線5からの信号は架空電線5及び低圧側の配電線6に接続された通信装置42により低圧側の配電線6に伝えられ、以後、低圧側の配電線6を利用した通信は、実施例1〜4で示した電力線搬送通信システムと同様、複数の通信装置51〜54を介して送信され、最終的に各家庭4まで信号が送られる。そして、同一周波数帯域を利用する通信間には、防止素子15が設け、信号干渉の防止がなされている。尚、その他は実施例1〜4と同様である。
以上、本発明の実施例を図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の他のものも含むものである。
この発明は、複数の通信装置を介して電力線上での通信を行う電力線搬送通信システムの実現に有効である。
本発明に係る電力線搬送通信システムは、電力線に複数の通信装置が接続され、複数の通信装置を介して電力線上での通信を行う電力線搬送通信システムである。そして、この電力線搬送通信システムは、電力線に接続される第1の信号結合装置と、第1の信号結合装置を介して電力線に接続され、第1の信号結合装置を介して隣接する通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による電力線搬送通信を行う第1の通信装置と、第1の信号結合装置に対し隣接する通信装置が電力線に接続される部位と反対側の電力線の部位に接続される第2の信号結合装置と、第2の信号結合装置を介して電力線に接続され、第2の信号結合装置に対し第1の信号結合装置と反対側の電力線の部位に接続される通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による電力線搬送通信を行い、第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域を利用した信号により第1の通信装置と電力線搬送通信を行う第2の通信装置と、第1の信号結合装置と第2の信号結合装置間における電力線上に設けられ、少なくとも前記第1の周波数帯域の信号通過を防止する防止素子とを備えている。

Claims (6)

  1. 電力線に複数の通信装置が取り付けられ、前記複数の通信装置を介して前記電力線上での通信を行う電力線搬送通信システムであって、
    第1の信号結合装置を介して前記電力線に接続され、前記第1の信号結合装置を介して一方の側の通信装置と第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第1の通信装置と、
    前記第1の通信装置の他方の側に配置され、前記第1の周波数帯域とは異なる周波数帯域を利用した信号による通信により前記第1の通信装置と通信を行うと共に、前記電力線に接続された第2の信号結合装置を介して、前記第1の通信装置と異なる側の通信装置と前記第1の周波数帯域を利用した信号による通信を行う第2の通信装置と、
    前記第1の信号結合装置と前記第2の信号結合装置間に設けられ、少なくとも前記第1の周波数帯域の信号通過を防止する防止素子と
    を備えた電力線搬送通信システム。
  2. 前記第2の通信装置は、前記第1の通信装置と前記第2の通信装置の間に配置された1つ又は複数の通信装置を介して、前記第1の通信装置と通信を行う請求項1に記載の電力線搬送通信システム。
  3. 前記第1の信号結合装置に対し前記第2の通信装置側の電力線に接続された第3の信号結合装置を備え、
    前記第1の通信装置は、前記第3の信号結合装置を介して他方の側の通信装置と前記第1の周波数帯域と異なる周波数帯域の信号を利用した信号による通信を行い、
    前記防止素子は、前記第1の信号結合装置と前記第3の信号結合装置間に設けられている請求項1に記載の電力線搬送通信システム。
  4. 前記防止素子は、第1の周波数帯域の信号の通過を遮断するバンドパスフィルタである請求項1に記載の電力線搬送通信システム。
  5. 前記防止素子は、インピーダンス素子、又は、第1の周波数帯域の信号の通過を遮断するブロッキング素子である請求項3に記載の電力線搬送通信システム。
  6. 前記周波数帯は、1MHz以上100MHz以下である請求項1に記載の電力線搬送通信システム。
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