JP2004336546A - ダイバーシチアンテナ装置およびそれを備えた通信機 - Google Patents

ダイバーシチアンテナ装置およびそれを備えた通信機 Download PDF

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Abstract

【課題】低背化・小型化が容易で、低仰角方向のアンテナ利得の向上を図る。
【解決手段】アンテナ素子3は折り返しモノポールアンテナと成す。つまり、折り返しモノポールアンテナ3の放射電極18は、一端側18aが基板2側の信号線路5A(5B)に接続する給電部と成し、この放射電極18は、その給電部18aを起点として基板2から立ち上がった後に折り返して他端側18bが基板2のグランド部Gに接地される態様と成している。この折り返しモノポールアンテナは低背化・小型化が容易で、低仰角方向のアンテナ利得が大きいものである。折り返しモノポールアンテナ3の合成電界を利用して無線通信を行うことで、1つのアンテナ素子だけで無線通信を行う場合よりも、通信感度良く、また、安定的に無線通信を行うことが可能となる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電波(電界)の放射パターンの指向性を切り換えることができるダイバーシチアンテナ装置およびそれを備えた通信機に関するものである。
【0002】
【背景技術】
図7(a)にはダイバーシティ制御が可能なアンテナ装置の一例が斜視図により示されている(例えば特許文献1参照)。このアンテナ装置30では、ハイブリッド基板31の表面側に2つのモノポールアンテナ素子32,33が、通信に使用する電波の波長λの3/4の間隔をもって配設されている。また、ハイブリッド基板31の裏面側には、図7(b)に示すような信号線路34(34a,34b,34c,34d,34e)とスイッチ部35が形成されている。スイッチ部35には給電ケーブル36が接続されている。
【0003】
信号線路34aは矩形の90°ハイブリッド線路である。信号線路34bはその矩形の90°ハイブリッド線路34aの角部bと、モノポールアンテナ32の一端部32aとを接続する線路であり、信号線路34cは、90°ハイブリッド線路34aの角部cと、モノポールアンテナ33の一端部33aとを接続する線路である。信号線路34d,34eは90°ハイブリッド線路34aの互いに異なる角部d,eにそれぞれ接続して、90°ハイブリッド線路34aとスイッチ部35を接続している。
【0004】
スイッチ部35は、信号線路34d,34eの何れか一方を給電ケーブル36に切り換え接続させる構成を有する。このスイッチ部35の切り換え動作は例えば通信機の制御装置により制御される。
【0005】
このアンテナ装置30では、給電ケーブル36からスイッチ部35と信号線路34を介して各モノポールアンテナ32,33にそれぞれ至る信号経路が、スイッチ部35の切り換え動作によって、切り換わる。この信号経路の切り換えによってモノポールアンテナ32,33から放射される電界の位相がそれぞれ変化する。このアンテナ装置30では、モノポールアンテナ32,33から放射された電界が合成され当該合成電界により放射パターンの指向性が定まるものである。このため、スイッチ部35の切り換え動作によってモノポールアンテナ32,33の電界の位相が切り換わると、モノポールアンテナ32,33の合成の電界による放射パターンが切り換わってアンテナ装置30のアンテナ利得が良い方向(つまり、アンテナ指向性)が切り換わる。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−112677号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図7(a)に示されるような管状の導体から成るモノポールアンテナが設定周波数の電波の無線通信を良好に行うためには、そのモノポールアンテナは、通信に使用される電波の波長λの1/4程度の高さが必要である。このため、そのモノポールアンテナの低背化には限界があり、次に示すような問題が生じる。
【0008】
例えば、パソコンのPCカードスロットに挿入装着してパソコンを無線通信によりLANに組み込むことを可能にするカード型の無線通信モジュールがある。この無線通信モジュールの無線通信相手は例えば無線LANのアクセスポイント通信装置であり、当該無線通信モジュールの電波送信方向又は電波到来方向は、主に地面(基板面)に近い低仰角方向である。このため、無線通信モジュールに設ける無線通信用のアンテナには、低仰角方向のアンテナ利得が大きいことが要求される。
【0009】
モノポールアンテナは低仰角方向のアンテナ利得が大きいことから、指向性の面においては無線通信モジュールのアンテナとして適したものであるが、前述したように、管状の導体から成るモノポールアンテナは嵩高であり、カード型の薄い無線通信モジュール内に収容することが難しいという問題がある。
【0010】
そのモノポールアンテナよりも低背化が容易なアンテナとして、マイクロストリップパッチアンテナがある。このマイクロストリップパッチアンテナは、例えば誘電体基体の上面に放射電極である導体パターンが形成されているものである。当該マイクロストリップパッチアンテナの放射電極は天頂を向いているために、地面(基板面)に垂直な方向(天頂に向かう方向)のアンテナ利得が大きくて、低仰角方向のアンテナ利得が小さい。このため、マイクロストリップパッチアンテナは、低背化によりカード型の無線通信モジュールに内蔵することは容易であるが、無線通信モジュールで使用するアンテナとしてはアンテナ指向性の面で改良を要するものである。
【0011】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は、低背化が容易で、低仰角方向のアンテナ利得が大きいダイバーシチアンテナ装置およびそれを備えた通信機を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、この発明は次に示す構成をもって前記課題を解決するための手段としている。すなわち、この発明のダイバーシチアンテナ装置は、対を成すアンテナ素子が互いに間隔を介して基板上に配設され、それら対を成すアンテナ素子はそれぞれ別々の信号線路を介して共通の合成部に接続されており、それら信号線路のうちの一方には、当該信号線路に接続する一方側のアンテナ素子の信号位相を調整して対を成す各アンテナ素子の信号位相差を0°と180°の何れか一方に切り換える信号位相調整部が介設されており、対を成す各アンテナ素子の電界は空中で合成される構成と成し、信号位相調整部の切り換え動作に応じて、各アンテナ素子の合成電界の指向性が切り換わるダイバーシチアンテナ装置であって、アンテナ素子はアンテナ動作を行う放射電極を有し、この放射電極の一端側は基板側の信号線路に接続する給電部と成し、放射電極はその給電部を起点として基板から立ち上がった後に折り返して他端側が基板のグランド部に接地される態様と成して、アンテナ素子は折り返しモノポールアンテナであることを特徴としている。
【0013】
また、この発明のダイバーシチアンテナ装置は、互いに直交するx方向とy方向のうちのx方向に沿って対を成すアンテナ素子が間隔を介し基板上に配設されてx方向配列のアンテナ対が形成され、また、それら対を成すアンテナ素子のうちの一方と、この一方のアンテナ素子とy方向に間隔を介して基板上に配設された別のアンテナ素子とによってy方向配列のアンテナ対が形成されており、前記各アンテナ素子には、それぞれ、共通の合成部に接続するための別々の信号線路が接続されており、x方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対に兼用のアンテナ素子に接続している信号線路には信号の位相を調整する信号位相調整部が介設され、また、他の各アンテナ素子にそれぞれ接続している信号線路のうちの一方を合成部に切り換え接続させるための切り換え部が設けられており、前記信号位相調整部は、前記兼用のアンテナ素子の信号位相と、他のアンテナ素子の信号位相との位相差を180°に調整する構成と成し、切り換え部の切り換え動作によって合成部に切り換え接続されているアンテナ素子と、前記兼用のアンテナ素子とには互いに逆相の電界が励振して空中で合成される構成と成しており、切り換え部の切り換え動作に応じて、通信用として機能するアンテナ対が切り換わって、合成電界の指向性が切り換わるダイバーシチアンテナ装置であって、アンテナ素子はアンテナ動作を行う放射電極を有し、その放射電極の一端側は基板側の信号線路に接続する給電部と成し、放射電極はその給電部を起点として基板から立ち上がった後に折り返され他端側が基板のグランド部に接地されている態様と成して、アンテナ素子は折り返しモノポールアンテナであることも特徴としている。さらに、この発明の通信機は、この発明において特有な構成を持つダイバーシチアンテナ装置が設けられていることを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、この発明に係る実施形態例を図面に基づいて説明する。
【0015】
第1実施形態例のダイバーシチアンテナ装置は、図1(a)に示されるように基板(例えば通信機の回路基板)2に立設される一対のアンテナ素子3(3A,3B)と、基板2に形成されている図1(b)に示されるような回路15とを有して構成されている。なお、回路15は、アンテナ素子3が設けられている面と同じ基板面に形成してもよいし、そのアンテナ素子形成面とは反対側の基板面に形成してもよい。
【0016】
この第1実施形態例では、アンテナ素子3(3A,3B)は表面実装型の折り返しモノポールアンテナと成している。つまり、この表面実装型の折り返しモノポールアンテナ3(3A,3B)は、導体パターンから成る線状(帯状)の放射電極18が誘電体基体19に形成されて成るものである。その放射電極18は、誘電体基体19の側面において、底側の端縁から上面側に向けて伸長形成された後に折り返されて底側の端縁に戻る形状に形成されている。この放射電極18の一端側18aは基板2に接続し回路15を介して通信機の通信用の高周波回路10に接続する給電部と成している。また、放射電極18の他端側18bは、基板2に形成されたグランド部Gに接地されている。換言すれば、放射電極18は、給電部18aを起点として誘電体基体19の側面に沿って基板2から立ち上がった後に折り返されて他端側18bが基板2のグランド部Gに接地されている。なお、図1(a)中の符号20は、基板2の非グランド部に形成されて放射電極18の給電部18aを回路15に接続させるための給電ランドパターンを示している。
【0017】
放射電極18において、基板2との接続部18a,18bから折り返し部までの長さ(高さ)Hは、その部分の電気長が無線通信に使用される電波の波長λの約1/4となる長さとなっている。つまり、放射電極18は誘電体基体19に形成され、その誘電体の影響や、端部がグランドに接地されていることや、給電部18a側の放射電極部分と接地部18b側の放射電極部分とが並設され当該放射電極部分間に容量が発生すること等の要因によって、放射電極18の電気的な長さ(電気長)は実効長よりも長くなっている。このため、電気長が無線通信に使用される電波の波長λの約1/4となる放射電極18の実効長は、自由空間における無線通信用の電波の波長λの約1/4よりも短くなる。具体的には、例えば、自由空間内においては周波数5GHzの電波の波長λの1/4は約15mmであるが、電気長が周波数5GHzの電波の波長λの1/4となる放射電極18の実効長は約8mmである。ただし、誘電体基体19の比誘電率が6.5であり、放射電極18の電気幅は0.5mmという条件の下での数値である。
【0018】
なお、図1(a)の例では、放射電極18は、誘電体基体19の側面だけに形成されていたが、図2に示されるように放射電極18は誘電体基体19の側面だけでなく、一部が誘電体基体19の上面に食み出し形成される場合もある。具体例を挙げると、例えば、比誘電率が6.5である誘電体基体19に5GHzの共振周波数を持つ放射電極18を形成しようとすると、その放射電極18が回路15側(接続端部のインピーダンスは50Ω)と整合する電極幅は約0.5mmであり、また、その放射電極18における基板2との接続部18a,18bから折り返し部分までの長さHは約8mm必要である。このため、高さが9mmの誘電体基体19に、その放射電極18を形成する場合には、放射電極18の基板接続部18a,18bから折り返し部分までの長さ寸法Hよりも誘電体基体19の側面の高さ寸法の方が長いので、放射電極18は、図1(a)のように誘電体基体19の側面だけに形成されることになる。これに対して、放射電極18を高さ6mmの誘電体基体19に形成する場合には、放射電極18の基板接続部18a,18bから折り返し部分までの長さ寸法Hは誘電体基体19の側面の高さ寸法よりも長いので、放射電極18は、図2の例のように、誘電体基体19の側面から上面に食み出し形成されることになる。
【0019】
ところで、表面実装型のモノポールアンテナの一つとして、図3のモデル図に示されるような表面実装型のモノポールアンテナ25がある。この表面実装型のモノポールアンテナ25は、誘電体基体26に、モノポールアンテナとして機能する放射電極27が形成されている態様を有し、その放射電極27の一端側27aは給電部と成している。この表面実装型のモノポールアンテナ25においては、放射電極27の他端側27bはグランドに接地されるのではなく、他端側27bは開放端と成している。その放射電極27の給電部27aから開放端27bまでの実効長は、その部分の電気長が通信用の電波の波長λの約1/4となる長さとなっている。具体的には、例えば、比誘電率が6.5である誘電体基体26に放射電極27を形成する場合には、電気長が通信用の電波の波長λの1/4となる放射電極27の実効長は、約12mmである。なお、この明細書では、便宜上、図3に示されるモノポールアンテナ25を表面実装型λ/4モノポールアンテナと記す。
【0020】
表面実装型λ/4モノポールアンテナ25においては、例えば、誘電体基体26の比誘電率が6.5であり、放射電極27が5GHzの共振周波数を持つという条件の下で、回路側と整合するための放射電極27の電極幅は5〜6mmである。これに対して、放射電極以外の構成が同じ条件で、折り返しモノポールアンテナ3(3A,3B)が回路15側と整合するための放射電極18の電極幅は0.5mmであり、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25の放射電極27よりも格段に細くすることができる。
【0021】
放射電極18の電極幅を狭くすることにより、放射電極18のインダクタンス成分を大きくすることができる。この電極幅が細いということと、給電部18a側の放射電極部分とグランド接地部18b側の放射電極部分との間に容量が形成されていることと、端部がグランドに接地されていること等によって、放射電極18は放射電極27よりも電気長を長くすることができる。これにより、電気長が設定周波数を持つ電波の波長λの1/4となる放射電極18の実効長は、放射電極27よりも短くなる。具体的には、前述したように、電気長が周波数5GHzの電波の波長λの1/4となる表面実装型λ/4モノポールアンテナ25の放射電極27の実効長は約12mmであるのに対して、電気長が周波数5GHzの電波の波長λの1/4となる折り返しモノポールアンテナ3の放射電極18の実効長は約8mmである。
【0022】
このように、折り返しモノポールアンテナ3の放射電極18は、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25の放射電極27よりも、電気長が周波数5GHzの電波の波長λの1/4となる実効長を短くできる。つまり、折り返しモノポールアンテナ3における放射電極18の基板接続部18a,18bから折り返し部までの長さ寸法Hは、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25の放射電極27の給電部27aから開放端27bまでの長さ寸法よりも短くできる。これにより、折り返しモノポールアンテナ3は、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも低背化・小型化が容易である。
【0023】
また、上記のように、折り返しモノポールアンテナ3における放射電極18の基板接続部18a,18bから折り返し部までの長さ寸法Hは、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25の放射電極27の給電部27aから開放端27bまでの長さ寸法よりも短くできるので、折り返しモノポールアンテナ3は次に示すような効果を得ることができる。
【0024】
例えば、図2、図3に示されるように、放射電極18,27の一部が誘電体基体19,27の上面に食み出し形成される場合に、誘電体基体19,27の高さが等しければ、放射電極18,27の誘電体基体上面への食み出し寸法は、折り返しモノポールアンテナ3の方が表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも短くて済む。また、放射電極18の電極幅は放射電極27の電極幅よりも細い。これらのことから、折り返しモノポールアンテナ3は表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも誘電体基体上面に形成されている放射電極面積が少ない。その誘電体基体上面に形成されている放射電極は天頂側を向いているために天頂方向へのアンテナ利得を大きくし、その分、低仰角方向のアンテナ利得を低下させてしまうが、折り返しモノポールアンテナ3は表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも、誘電体基体上面に形成されている放射電極面積を少なくできるので、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも低仰角方向のアンテナ利得を向上させることができる。
【0025】
このことは、本発明者の実験によって確認されている。その実験では、図2に示されるような折り返しモノポールアンテナ3と、図3に示されるような表面実装型λ/4モノポールアンテナ25とのそれぞれについて、アンテナ利得を測定した。また、この実験では、折り返しモノポールアンテナ3と表面実装型λ/4モノポールアンテナ25をそれぞれ構成する放射電極18,27は5GHzの共振周波数を持つように前記の如く形成されている。また、誘電体基体19,25は共に比誘電率が6.5であり、折り返しモノポールアンテナ3と表面実装型λ/4モノポールアンテナ25はそれぞれ5cm角の基板2の中央部に配置されている。
【0026】
この実験結果が図4に表されている。この図4では、基板2の上方側からアンテナ3,25を見た場合の垂直偏波のアンテナ利得(水平面アンテナ指向性)が表されている。なお、図4において、実線αが折り返しモノポールアンテナ3に関するものであり、点線βが表面実装型λ/4モノポールアンテナ25に関するものである。
【0027】
この実験結果に示されるように、折り返しモノポールアンテナ3は、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも、y方向(つまり、放射電極18,27の電極面に沿う方向であって、かつ、放射電極18の基板接続部18a,18bから折り返し部に向かう方向(放射電極27の給電部27aから開放端部27bに向かう方向)に直交する方向)の低仰角方向のアンテナ利得が向上している。
【0028】
このように、折り返しモノポールアンテナ3は、表面実装型λ/4モノポールアンテナ25よりも低仰角方向のアンテナ利得を向上させることができる。
【0029】
以上のように、折り返しモノポールアンテナ3は、低背化・小型化が容易で、しかも、低仰角方向のアンテナ利得に優れたものである。
【0030】
この第1実施形態例では、上記のような折り返しモノポールアンテナであるアンテナ素子3A,3Bは、図1(a)に示されるように、通信に使用する電波の波長λの約1/2の長さ間隔Dを介して、基板2上に配設されている。
【0031】
この第1実施形態例では、アンテナ素子3A,3Bに接続する回路15は、合成部6と、アンテナ素子3Aを合成部6に接続させるための信号線路5Aと、アンテナ素子3Bを合成部6に接続させるための信号線路5Bと、それら信号線路5A,5Bのうちの一方(図1(b)の例では信号線路5B)に介設される信号位相調整部13とを有して構成されている。
【0032】
信号位相調整部13は、アンテナ素子3A,3Bの信号の位相差を0°にするための0°側線路13aと、アンテナ素子3A,3Bの信号の位相差を180°にするための180°側線路13bと、スイッチ部14とを有して構成されている。そのスイッチ部14は、0°側線路13aと180°側線路13bとのうちの一方側を択一的に切り換えて信号線路5Bに接続させるためのものであり、このスイッチ部14の切り換え動作は、通信機の例えば制御装置11によって制御される。なお、もちろん、この信号位相調整部13は、信号線路5Bに介設するのに代えて、信号線路5Aに介設してもよいものである。
【0033】
この第1実施形態例では、例えば、スイッチ部14の切り換え動作によって、0°側線路13aが信号線路5Bに介設されている場合には、アンテナ素子3A,3Bの信号の位相差が0°であることから、アンテナ素子3A,3Bには、それぞれ、同相の電界が励振される。アンテナ素子3A,3Bの電界が空中で合成されてダイバーシチアンテナ装置1の放射パターンの指向性が定まる。アンテナ素子3A,3Bの電界が同相である場合には、アンテナ素子3A,3B間の領域で電界が強め合い、図1(a)に示すx方向のアンテナ利得が向上して、ダイバーシチアンテナ装置1はx方向に強い指向性を持つこととなる。すなわち、アンテナ素子3A,3Bの電界が同相である場合にはダイバーシチアンテナ装置1のアンテナ指向方向はx方向となる。
【0034】
また、信号位相調整部13のスイッチ部14の切り換え動作によって180°側線路13bが信号線路5Bに介設されている場合には、アンテナ素子3A,3Bの信号の位相差が180°であることから、アンテナ素子3A,3Bには、それぞれ、互いに逆相の電界が励振される。この場合には、アンテナ素子3A,3B間の領域では電界が互いに打ち消し合い、また、その領域より図1(a)に示すy方向に外側の領域で、アンテナ素子3A,3Bの電界が強め合うため、y方向のアンテナ利得が向上して、ダイバーシチアンテナ装置1はy方向に強い指向性を持つこととなる。すなわち、アンテナ素子3A,3Bの電界が互いに逆相である場合には、ダイバーシチアンテナ装置1のアンテナ指向方向はy方向となる。
【0035】
このように、この第1実施形態例では、信号位相調整部13のスイッチ部14の切り換え動作によって、アンテナ素子3A,3Bの信号の位相差を切り換えてアンテナ素子3A,3Bの励振状態を切り換えることで、ダイバーシチアンテナ装置1のアンテナ指向方向を互いに直交するx方向とy方向のうちの一方に切り換えることができる。
【0036】
この第1実施形態例のダイバーシチアンテナ装置1は上記のように構成されている。このダイバーシチアンテナ装置1は、様々な無線通信機に組み込むことが可能であり、何れの構成の無線通信機に組み込んでもよいが、ダイバーシチアンテナ装置1が組み込まれる通信機の例を挙げると、例えば、無線通信機能付きのパソコンや、カード型の無線通信モジュールや、無線LANのアクセスポイント通信装置等がある。
【0037】
なお、この第1実施形態例のダイバーシチアンテナ装置1を組み込んだ通信機の制御装置には、ダイバーシチアンテナ装置1の信号位相調整部13のスイッチ部14の切り換え動作を制御するダイバーシチ制御部が設けられることになる。そのダイバーシチ制御部では、例えば次に示すようなダイバーシチ制御を行う。例えば、ダイバーシチ制御部は、アンテナ素子3A,3Bが同相の励振状態であるときの無線通信の受信信号と、アンテナ素子3A,3Bが逆相の励振状態であるときの無線通信の受信信号とを高周波回路10を介し取り込み当該受信信号に基づいて、アンテナ素子3A,3Bが同相の励振状態であるときの無線通信と、アンテナ素子3A,3Bが逆相の励振状態であるときの無線通信とのうち、より良好に無線通信を行うことができるのはどちらであるかを選択する。そして、ダイバーシチ制御部は、アンテナ素子3A,3Bが同相の励振状態であるときの無線通信を選択した場合にはスイッチ部14を0°側線路13a側に切り換え、アンテナ素子3A,3Bが逆相の励振状態であるときの無線通信を選択した場合にはスイッチ部14を180°側線路13b側に切り換える。
【0038】
以下に、第2実施形態例を説明する。なお、この第2実施形態例の説明において、第1実施形態例と同一構成部分には同一符号を付し、その共通部分の重複説明は省略する。
【0039】
この第2実施形態例のダイバーシチアンテナ装置は、図5(a)に示されるように基板2に配置される複数のアンテナ素子3a,3b,3cと、図5(b)に示すような回路とを有して構成されている。
【0040】
すなわち、この第2実施形態例では、アンテナ素子3a,3b,3cは何れも、第1実施形態例で述べた同じ折り返しモノポールアンテナにより構成されている。つまり、アンテナ素子3a,3b,3cは、導体パターンから成る放射電極18が誘電体基体19に形成された表面実装型のモノポールアンテナであり、その放射電極18は、一端側の給電部18aを起点として基板2から立ち上がった後に折り返して他端側18bが基板2のグランド部Gに接地されている。
【0041】
これらアンテナ素子3a,3b,3cのうちのアンテナ素子3a,3bは、図5(a)に示すx方向に間隔を介して配列配置されてx方向配列のアンテナ対4xを構成している。また、アンテナ素子3a,3cは、x方向に直交するy方向に間隔を介して配列配置されてy方向配列のアンテナ対4yを構成している。この第2実施形態例では、アンテナ素子3aはx方向配列のアンテナ対4xとy方向配列のアンテナ対4yに兼用のアンテナ素子と成している。また、x方向配列のアンテナ対4xを構成しているアンテナ素子3a,3b間の間隔と、y方向配列のアンテナ対4yを構成しているアンテナ素子3a,3c間の間隔とは等しく、その間隔は、通信用として設定された周波数帯の電波波長λの1/2、あるいは、ほぼλ/2となっている。つまり、アンテナ素子3aは直角二等辺三角形の直角の角部に配置され、その直角二等辺三角形の残りの角部にそれぞれアンテナ素子3b,3cが別々に配置されている。
【0042】
そのように配置された各アンテナ素子3a,3b,3cには、図5(b)に示すように、それぞれ別々の信号線路5a,5b,5cの一端部が接続されている。信号線路5aの他端部は合成部6に接続されており、この合成部6とアンテナ素子3aを接続する信号線路5aには信号位相調整部7が介設されている。また、信号線路5b,5cの各他端部はそれぞれ切り換え部8に接続されている。さらに、その切り換え部8は信号線路5dによって合成部6に接続されている。この合成部6は例えば通信機に設けられている通信用の高周波回路10に接続されている。
【0043】
切り換え部8は、信号線路5b,5cのうちの一方を合成部6に切り換え接続させる構成を有しており、ここでは、SPDT(Single Pole Double Throw)スイッチにより構成される。そのスイッチには様々な構成のものがあり、ここでは、何れの構成のスイッチをも採用してよいが、その一例を挙げると、例えば、通信用に設定されている周波数帯が5GHzのマイクロ波帯である場合には、GaAs基板を利用したMMICを利用したスイッチがある。この切り換え部8の切り換え動作は、例えば通信機の制御装置11の後述するようなダイバーシチ制御動作によって制御される。
【0044】
この第2実施形態例では、信号線路5a〜5dは同じ構成の線路である。また、アンテナ素子3bと切り換え部8間を接続している信号線路5bの長さと、アンテナ素子3cと切り換え部8間を接続している信号線路5cの長さとは等しくなっている。これにより、信号線路5bが持つインピーダンスと、信号線路5cが持つインピーダンスとは等しく、あるいは、ほぼ等しくなっている。
【0045】
信号位相調整部7は、信号線路5aを通電する信号の位相を調整するものであり、この第2実施形態例では、合成部6からアンテナ素子3aに供給される送信用の信号と、合成部6から切り換え部8を介してアンテナ素子3b,3cに供給される送信用の信号との位相差が180°となるように(逆相となるように)、また、対を成すアンテナ素子3a,3b(アンテナ素子3a,3c)で受信された受信信号が互いに逆相である場合にそれら逆相の信号が合成部6に入力する位置では同相となるように、信号の位相を調整する。
【0046】
この信号位相調整部7によって、切り換え部8により合成部6に切り換え接続されているアンテナ素子3b(あるいはアンテナ素子3c)と、アンテナ素子3aとには、互いに逆相の信号が合成部6側から供給されることとなる。これにより、アンテナ素子3b(あるいはアンテナ素子3c)と、アンテナ素子3aとにはそれぞれ互いに逆相の電界が励振されて放射される。この逆相の電界が合成されてダイバーシチアンテナ装置1の電界放射パターンの指向性が定まる。
【0047】
つまり、切り換え部8が信号線路5b側に切り換えられてx方向配列のアンテナ対4xを構成するアンテナ素子3a,3bが互いに逆相の電界を発生させている場合には、アンテナ素子3a,3b間の領域では、アンテナ素子3aの電界と、アンテナ素子3bの電界とは互いに打ち消し合うのでアンテナ利得は小さくなる。これに対して、アンテナ素子3a,3b間の領域よりもx方向に外側の領域で、アンテナ素子3aから放射された電界と、アンテナ素子3bから放射された電界とは強め合って、アンテナ利得が向上する。よって、アンテナ素子3a,3bが互いに逆相の電界を発生させている場合には、ダイバーシチアンテナ装置1は、x方向に強い指向性を持つこととなる。
【0048】
また、切り換え部8が信号線路5c側に切り換えられてy方向配列のアンテナ対4yを構成するアンテナ素子3a,3cが互いに逆相の電界を発生させている場合には、アンテナ素子3a,3c間の領域で、アンテナ素子3aの電界と、アンテナ素子3cの電界とが互いに打ち消し合ってアンテナ利得が小さくなる。また、アンテナ素子3a,3c間の領域よりもy方向に外側の領域で、アンテナ素子3aから放射された電界と、アンテナ素子3cから放射された電界とは強め合ってアンテナ利得が向上する。よって、アンテナ素子3a,3cが互いに逆相の電界を発生させている場合には、ダイバーシチアンテナ装置1はy方向に強い指向性を持つこととなる。
【0049】
すなわち、このダイバーシチアンテナ装置1では、切り換え部8の切り換え動作によってアンテナ素子3bが合成部6に接続されている場合には、x方向配列のアンテナ対4xが通信用のアンテナ対として機能して、x方向に強いアンテナ指向性を示す。また、切り換え部8の切り換え動作によってアンテナ素子3cが合成部6に接続されている場合には、y方向配列のアンテナ対4yが通信用のアンテナ対として機能して、y方向に強いアンテナ指向性を示す。換言すれば、このダイバーシチアンテナ装置1では、切り換え部8の切り換え動作によって、アンテナ指向性を互いに直交するx方向とy方向の何れか一方に切り換えることができる。
【0050】
なお、ここまでのアンテナ指向性に関する説明では、アンテナ素子3a,3b,3cから電界が放射される送信の場合を例にして説明したが、受信のアンテナ指向性も同様である。例えば、アンテナ素子3a,3bの共振周波数を持つ電界がアンテナ素子3a,3bに到来すると、各アンテナ素子3a,3bはその電界を受信する。その電界が、例えば図5(b)の点線αに示すようにx方向からアンテナ素子3a,3bのそれぞれに互いに逆向きに入射した場合には、各アンテナ素子3a,3bの受信信号は互いに逆相となる。このようにアンテナ素子3a,3bの位置では、それらアンテナ素子3a,3bの受信信号は互いに逆相であるが、信号位相調整部7によって、アンテナ素子3a,3bの受信信号は同相となって合成部6に入力する。このため、アンテナ素子3a,3bの受信信号は合成部6で合成されて信号レベルは大きくなる。つまり、x方向配列のアンテナ対4xの受信に関して、x方向のアンテナ利得は大きくなる。
【0051】
これに対して、y方向から図5(b)の鎖線βに示すようにアンテナ素子3a,3b間の領域を通って電界がアンテナ素子3a,3bにそれぞれ到来すると、アンテナ素子3a,3bの受信信号は同相となる。このようにアンテナ素子3a,3bの位置では、それらアンテナ素子3a,3bの受信信号が同相であっても、信号位相調整部7によって、アンテナ素子3a,3bの受信信号は互いに逆相となって合成部6に入力するため、アンテナ素子3a,3bの受信信号は合成部6で互いに打ち消し合ってしまう。これにより、x方向配列のアンテナ対4xの受信に関しては、y方向のアンテナ利得は小さいものとなる。
【0052】
よって、アンテナ素子3a,3bの受信に関しても、アンテナ素子3a,3bの送信と同様に、x方向に強い指向性を持つこととなる。
【0053】
また、アンテナ素子3a,3cの受信に関しては、x方向からアンテナ素子3a,3c間の領域を通ってアンテナ素子3a,3cのそれぞれに当該アンテナ素子3a,3cの共振周波数を持つ電界が到来すると、アンテナ素子3a,3cの受信信号は同相となる。それらアンテナ素子3a,3cの受信信号は、信号位相調整部7によって互いに逆相の状態で合成部6に入力するので、当該アンテナ素子3a,3cの受信信号は合成部6で打ち消し合う。これに対して、アンテナ素子3a,3c間の領域よりも外側の領域をy方向に沿って通って電界がアンテナ素子3a,3cに到来すると、アンテナ素子3aの受信信号と、アンテナ素子3cの受信信号とは逆相となるが、当該アンテナ素子3a,3cの受信信号は、信号位相調整部7によって同相の状態で合成部6に入力するので、合成部6でアンテナ素子3a,3cの受信信号は強め合う。よって、アンテナ素子3a,3cの受信に関しても、アンテナ素子3a,3cの送信と同様に、y方向に強い指向性を持つこととなる。すなわち、ダイバーシチアンテナ装置1の受信に関しても、切り換え部8の切り換え動作によって、互いに直交するx方向とy方向の一方にアンテナ指向性を切り換えることができる。
【0054】
この第2実施形態例のダイバーシチアンテナ装置1は上記のように構成されている。このダイバーシチアンテナ装置1は、例えば、無線通信機能付きのパソコンや、カード型の無線通信モジュールや、無線LANのアクセスポイント通信装置等の様々な無線通信機に組み込むことが可能であり、組み込む無線通信機が限定されるものではない。
【0055】
なお、この第2実施形態例のダイバーシチアンテナ装置1を組み込んだ通信機の制御装置には、ダイバーシチアンテナ装置1の切り換え部8の切り換え動作を制御するダイバーシチ制御部が設けられることとなる。そのダイバーシチ制御部では、例えば次に示すようなダイバーシチ制御を行う。例えば、ダイバーシチ制御部は、x方向配列のアンテナ対4xによる無線通信の受信信号と、y方向配列のアンテナ対4yによる無線通信の受信信号とを高周波回路10を介し取り込み当該受信信号に基づいて、x方向配列のアンテナ対4xによる無線通信と、y方向配列のアンテナ対4yによる無線通信とのうち、より良好に無線通信を行うことができるのはどちらであるかを選択する。そして、ダイバーシチ制御部は、x方向配列のアンテナ対4xによる無線通信を選択した場合には切り換え部8をx方向配列のアンテナ対4x側に切り換え、y方向配列のアンテナ対4yによる無線通信を選択した場合には切り換え部8をx方向配列のアンテナ対4y側に切り換える。
【0056】
なお、この発明は第1や第2の各実施形態例に限定されるものではなく、様々な実施の形態を採り得る。例えば、第1と第2の各実施形態例では、アンテナ素子3(3A,3B,3a,3b,3c)は放射電極18が誘電体基体19に形成されて成る表面実装型の折り返しモノポールアンテナであったが、例えば、図6に示されるように、アンテナ素子3は、帯状の金属板又は金属線から成る放射電極17を有したものであってもよい。その放射電極17の一端側17aは、基板2に接続して通信機の通信用の高周波回路10に接続する給電部と成し、放射電極17は、その給電部17aを起点として基板2から立ち上がり、給電部17aからの電気長が通信用の電波の波長λの約1/4となる部分で折り返され、他端側17bが基板2に形成されたグランド部Gに接地されている。
【0057】
また、第1と第2の各実施形態例では、アンテナ素子間の間隔はλ/2、あるいは、ほぼλ/2であったが、アンテナ素子間の間隔をそれよりも短くしてもよい。実施形態例のように、2つのアンテナ素子の電界を合成してアンテナ利得を向上させようとする場合には、それらアンテナ素子間の間隔はλ/2であることが望ましいとされているが、本発明者の実験では、アンテナ素子間の間隔をλ/2より短くしても、アンテナ利得を向上できるアンテナ素子間の間隔があることが確認されている。このことから、例えば、アンテナ素子間の間隔を、λ/2よりも短いがアンテナ利得向上を図ることができる間隔に設定することで、ダイバーシチアンテナ装置1の小型化を促進させてもよい。
【0058】
【発明の効果】
この発明によれば、複数のアンテナ素子の合成電界を利用するものであるので、一つのアンテナ素子だけの場合よりも、アンテナ利得を向上させることができる。また、モノポールアンテナはマイクロストリップパッチアンテナよりも低仰角方向のアンテナ利得を大きくできるものであり、特に、そのようなモノポールアンテナの中でも折り返しモノポールアンテナは、より一層低仰角方向のアンテナ利得を向上できるものである。また、その折り返しモノポールアンテナは低背化・小型化が容易である。本発明は、そのような折り返しモノポールアンテナを用いているので、低背化・小型化を促進できて低仰角方向のアンテナ利得に優れたダイバーシチアンテナ装置を提供することができる。
【0059】
この発明のダイバーシチアンテナ装置を組み込んだ通信機にあっては、低背化・小型化が容易で、また、無線LAN通信などの低仰角方向の無線通信を感度良く、また、安定的に行うことができる。さらに、低仰角方向のアンテナ利得を大きくできるので、低仰角方向の無線通信可能なエリアを拡大することができる。
【0060】
放射電極が基体に形成されて成る表面実装型の折り返しモノポールアンテナを採用したものにあっては、基体の誘電率が関与して、折り返しモノポールアンテナの放射電極の電気長をより一層長くすることができるので、アンテナ素子のより一層の低背化・小型化を図ることができる。つまり、ダイバーシチアンテナ装置の低背化・小型化を図ることができる。
【0061】
また、放射電極を基体の側面だけに形成する場合には、放射電極に関係無く基体の上面(底面)の大きさを設計することができるので、基体の上面(底面)を小さくすることができる。このため、その基体を基板に設置してアンテナ素子を基板に表面実装した際に、基板における基体の占有面積を小さくすることができる。これにより、例えば、アンテナ素子が通信機の回路基板に表面実装してダイバーシチアンテナ装置を構成する場合には、回路基板における基体の占有面積を削減することができるので、この発明のダイバーシチアンテナ装置が組み込まれる通信機の小型化を図ることができる。
【0062】
ところで、本発明者の研究開発によれば、2つのアンテナ素子に互いに逆相の電界を励振させて当該逆相の電界の合成を利用することで、低仰角方向のアンテナ利得をより向上できることが分かってきた。そのように逆相の電界を合成させると、アンテナ素子が1つしか設けられていない場合よりもアンテナ利得を向上できる方向が生じると共に、アンテナ利得が小さくなってしまう方向が生じてしまう。このため、例えば2組のアンテナ対が設けられているものにあっては、それら2組のアンテナ対が、アンテナ利得の小さい方向を互いに補い合える構成とした。これにより、低仰角方向の全ての領域について良好な送受信が可能となる。
【0063】
また、この発明では、x方向配列のアンテナ対と、y方向配列のアンテナ対とを設けている。例えば、それらx方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対とをそれぞれ別々のアンテナ素子で形成する場合には、4個のアンテナ素子が必要であるが、この発明では、x方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対とに兼用のアンテナ素子を設けたので、それらx方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対を形成するのに3個のアンテナ素子を設けるだけで済み、アンテナ素子の削減を図ることができる。
【0064】
さらに、信号位相調整部を利用して、対を成すアンテナ素子に互いに逆相の電界を励振させるためには、対を成すアンテナ素子にそれぞれ接続されている信号線路のうちの一方に信号位相調整部を設ける必要がある。例えば、仮に、対を成すアンテナ素子のうち、切り換え部に接続されているアンテナ素子側の信号線路に信号位相調整部を設ける構成とする場合には、切り換え部に接続されているx方向配列のアンテナ対側の信号線路と、y方向配列のアンテナ対側の信号線路との両方に信号位相調整部を設けなければならない。これに対して、この発明では、x方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対に兼用のアンテナ素子側の信号線路に信号位相調整部を設ける構成であるので、1つの信号位相調整部を設けるだけでよく、回路構成の簡略化を図ることができる。
【0065】
その上、この発明では、そのようにx方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対に兼用のアンテナ素子側の信号線路に信号位相調整部を設け、また、その兼用のアンテナ素子と対を成すアンテナ素子から合成部に至るまでの信号経路上に切り換え部を設ける構成とした。このため、例えば、信号位相調整部の電力損失と同程度の挿入損失を持つ例えばスイッチによって切り換え部を構成することによって、合成部から前記兼用のアンテナ素子に至るまでの電力損失と、合成部から切り換え部を通ってアンテナ素子に至るまでの電力損失とを同様にすることができる。このため、送信時に合成部から前記兼用のアンテナ素子に至る信号レベルと、合成部から切り換え部を通ってその兼用のアンテナ素子と対を成すアンテナ素子に至る信号レベルとをほぼ同じ大きさにすることができる。これにより、対を成す各アンテナ素子に励振される電界の振幅をほぼ等しくすることができる。このため、対を成すアンテナ素子の合成の電界によるダイバーシチアンテナ装置のアンテナ指向性の制御が容易となる。なお、また受信に関しても同様である。
【0066】
したがって、低仰角方向のアンテナ指向性が強い上に、信号線路が短く部品点数が少なくて回路構成が簡単であり、また、電力損失を抑制できるダイバーシチアンテナ装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態例のダイバーシチアンテナ装置を説明するための図である。
【図2】表面実装型の折り返しモノポールアンテナのその他の形態例を説明するための図である。
【図3】表面実装型λ/4モノポールアンテナの一形態例を示すモデル図である。
【図4】図2と図3にそれぞれ示すモノポールアンテナのアンテナ利得の測定結果を表すグラフである。
【図5】第1実施形態例のダイバーシチアンテナ装置を説明するための図である。
【図6】折り返しモノポールアンテナのその他の形態例を示すモデル図である。
【図7】特許文献1に記載されているダイバーシチアンテナ装置を説明するための図である。
【符号の説明】
1 ダイバーシチアンテナ装置
2 基板
3A,3B,3a,3b,3c アンテナ素子
4x x方向配列のアンテナ対
4y y方向配列のアンテナ対
5A,5B,5a,5b,5c,5d 信号線路
6 合成部
7,13 信号位相調整部
8 切り換え部
18 放射電極
19 誘電体基体

Claims (5)

  1. 対を成すアンテナ素子が互いに間隔を介して基板上に配設され、それら対を成すアンテナ素子はそれぞれ別々の信号線路を介して共通の合成部に接続されており、それら信号線路のうちの一方には、当該信号線路に接続する一方側のアンテナ素子の信号位相を調整して対を成す各アンテナ素子の信号位相差を0°と180°の何れか一方に切り換える信号位相調整部が介設されており、対を成す各アンテナ素子の電界は空中で合成される構成と成し、信号位相調整部の切り換え動作に応じて、各アンテナ素子の合成電界の指向性が切り換わるダイバーシチアンテナ装置であって、アンテナ素子はアンテナ動作を行う放射電極を有し、この放射電極の一端側は基板側の信号線路に接続する給電部と成し、放射電極はその給電部を起点として基板から立ち上がった後に折り返して他端側が基板のグランド部に接地される態様と成して、アンテナ素子は折り返しモノポールアンテナであることを特徴とするダイバーシチアンテナ装置。
  2. 互いに直交するx方向とy方向のうちのx方向に沿って対を成すアンテナ素子が間隔を介し基板上に配設されてx方向配列のアンテナ対が形成され、また、それら対を成すアンテナ素子のうちの一方と、この一方のアンテナ素子とy方向に間隔を介して基板上に配設された別のアンテナ素子とによってy方向配列のアンテナ対が形成されており、前記各アンテナ素子には、それぞれ、共通の合成部に接続するための別々の信号線路が接続されており、x方向配列のアンテナ対とy方向配列のアンテナ対に兼用のアンテナ素子に接続している信号線路には信号の位相を調整する信号位相調整部が介設され、また、他の各アンテナ素子にそれぞれ接続している信号線路のうちの一方を合成部に切り換え接続させるための切り換え部が設けられており、前記信号位相調整部は、前記兼用のアンテナ素子の信号位相と、他のアンテナ素子の信号位相との位相差を180°に調整する構成と成し、切り換え部の切り換え動作によって合成部に切り換え接続されているアンテナ素子と、前記兼用のアンテナ素子とには互いに逆相の電界が励振して空中で合成される構成と成しており、切り換え部の切り換え動作に応じて、通信用として機能するアンテナ対が切り換わって、合成電界の指向性が切り換わるダイバーシチアンテナ装置であって、アンテナ素子はアンテナ動作を行う放射電極を有し、その放射電極の一端側は基板側の信号線路に接続する給電部と成し、放射電極はその給電部を起点として基板から立ち上がった後に折り返され他端側が基板のグランド部に接地されている態様と成して、アンテナ素子は折り返しモノポールアンテナであることを特徴とするダイバーシチアンテナ装置。
  3. 切り換え部に接続している各信号線路は、切り換え部からアンテナ素子に至るまでの長さが等しいことを特徴とする請求項2記載のダイバーシチアンテナ装置。
  4. アンテナ素子は、放射電極が基体に形成されて成る表面実装型の折り返しモノポールアンテナであることを特徴とする請求項1又は請求項2又は請求項3記載のダイバーシチアンテナ装置。
  5. 請求項1乃至請求項4記載の何れか1つに記載のダイバーシチアンテナ装置が設けられていることを特徴とする通信機。
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