JP2004336102A - 自動車用アンテナ - Google Patents

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Abstract

【課題】作業員が一人でも車体に取り付けることができると共にバネ部が変形することを防止する。
【解決手段】ベース部3の下面から突出する矩形状突出部の両側面に位置するように、ベース部3に形成した角孔に固定板付基板ブラケット9の側板を挿通する。この側板にはバネ片4aが形成されている。矩形状突出部を延伸した円筒状突出部13をルーフパネルに形成した取付孔に挿入した際に、バネ片4aの延伸部4gが取付孔に係合し、当接部4fが取付孔の周縁に当接するようになる。これにより、アンテナ本体がルーフパネルに仮止めされて、一人の作業者で自動車用アンテナをルーフパネルに取り付けることができる。取付ナット2を円筒状突出部13に螺着する際に、円筒状突出部13に印加された応力は当接部4fと延伸部4gとの作用によりバネ片4aが変形することなく受けることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アンテナエレメントを備えるアンテナ本体が車体に固着される自動車用アンテナに関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の自動車用アンテナは、一般に図10に示すように自動車のルーフパネル20に取り付けられている。
この自動車用アンテナのアンテナ本体1は、アンテナカバー1aとアンテナカバー1aに取り付けられたエレメント部8とからなり、アンテナカバー1aの下端には図示しないベース部が固着されている。このベース部の下面には、図11(a)に示すように円筒状突出部13が突出するよう形成されており、この円筒状突出部13に取付ナット2が螺着されることにより、ルーフパネル20にアンテナ本体1が固着されている。この場合、円筒状突出部13の基部は矩形状突出部とされており、ルーフパネル20には、図11(b)に示すように矩形状突出部が挿通できる矩形状のアンテナ取付孔21が形成されている。
【0003】
このようなアンテナ本体1をルーフパネル20に固着する際には、ベース部に形成された矩形状突出部をルーフパネル20に形成された矩形状のアンテナ取付孔21に挿入し、該アンテナ取付孔21からアンテナ本体1が抜けでないように車体の外に位置している作業員がアンテナ本体1を押さえるようにする。この状態において、車体の内部に位置している別の作業員が取付ナット2を車体内に突出している円筒状突出部13に螺合させて、取付ナット2を締め付けることにより、図11(a)に示すようにアンテナ本体1をルーフパネル20に固着している。なお、車両洗車の際に洗車機の回転ブラシなどが衝突したり、車庫入れの際に車庫の天井などに接触したりして、エレメント部8が損傷することがないように、エレメント部8をアンテナカバー1aから取り外すことができるようにしてもよい。
【0004】
このように、従来の自動車用アンテナは、その取付作業の際に車体の内外に位置している二人の作業員が少なくとも必要としていた。これを解決するために、円筒状突出部の側面に位置させて外方へ傾斜するバネ部を設け、このバネ部を矩形状のアンテナ取付孔の周縁に係合させることにより、アンテナ本体がアンテナ取付孔から抜け出ないようにした自動車用アンテナが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この自動車アンテナにおいては、アンテナ本体の円筒状突出部を車体に形成した矩形状のアンテナ取付孔に挿入した際に、アンテナ本体がアンテナ取付孔から抜け出ないようになるため一人の作業員により自動車用アンテナを取り付けることができるようになる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−36315
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の自動車用アンテナでは、円筒状突出部に取付ナットを螺着する際に、工具により取付ナットを円筒状突出部に圧着して螺着することから、円筒状突出部に車体外方へ押しやる応力が印加されて、アンテナ取付孔周縁に係合しているバネ部がこの応力を受けるようになる。この結果、アンテナ取付孔周縁に係合しているバネ部が押し広げられるように変形したり破損してしまうという問題点があった。
【0007】
そこで、本発明は作業員が一人でも車体に取り付けることができると共にバネ部が変形することのない自動車用アンテナを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明の自動車用アンテナは、少なくともアンテナエレメントを備えているアンテナ本体を、車体に固着するベース部を備え、車体に形成された矩形状の取付孔に挿入される矩形状突出部と、該矩形状突出部から延伸していると共に、車体の内側に配置される取付ナットが螺着される円筒状突出部とが、前記ベース部の下面から突出するよう形成されており、前記矩形状突出部を前記取付孔に挿入したときに、該取付孔の周縁に係合して、前記アンテナ本体を前記車体に仮止めするバネ部が形成された固定板が、前記ベース部に固着されており、該固定板は断面コ字状とされて、外方へ傾斜するバネ片の先端に前記取付孔の周縁に当接可能な当接部と前記取付孔に係合可能な延伸部が屈曲されて形成されている前記バネ部が、前記固定板の対向する側板にそれぞれ形成されており、該側板が前記ベース部に形成された孔部に挿通されて前記ベース部の裏面から突出されている。
【0009】
また、前記本発明の自動車用アンテナにおいて、前記固定板の前記側板の面が、前記円筒状突出部の側面より外側に突出しないように、前記固定板の側板に沿って前記円筒状突出部の側面の一部が切り欠かれていてもよい。
さらに、前記本発明の自動車用アンテナにおいて、前記固定板が、前記ベース部の表面に固着されるプリント基板を支持する基板ブラケットと一体化されていてもよい。
さらにまた、前記本発明の自動車用アンテナにおいて、プリント基板を支持する基板ブラケットが前記ベース部に固着されることにより、前記固定板が、前記ベース部と前記基板ブラケットとで挟持されて固着されるようにしてもよい。
【0010】
このような本発明によれば、ベース部に形成された円筒状突出部を車体に形成された取付孔に挿入すると、固定板に形成されたバネ部が取付孔に係合して、アンテナ本体を車体に対して仮止めすることができる。従って、この状態において作業員が車内に入り、取付ナットをネジ部に螺合して締め付けることによりアンテナ本体を車体に取り付けることができるようになる。この際に、バネ部の当接部が取付孔の周縁に当接すると共に延伸部が取付孔に係合していることから、バネ部は変形することなく応力に耐えられるようになる。
このため、一人の作業員により車体に取り付けることができる自動車用アンテナにおいて、バネ部の変形や破損を防止することができるようになる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の自動車用アンテナの実施の形態の構成例を図1ないし図3に示す。ただし、図1は本発明の自動車用アンテナの実施の形態の特徴ある構成を分解して示す分解組立図であり、図2は本発明の実施の形態における自動車用アンテナを車体に取り付ける際の構成を示す正面図であり、図3は本発明の実施の形態における自動車用アンテナにおける車体の下部に位置する要部を拡大して示す図である。
これらの図に示すように本発明の自動車用アンテナは、アンテナ本体1と、アンテナ本体1を車体に取り付ける取付ナット2とから構成され、アンテナ本体1は、エレメント部8とエレメント部8が固着されるアンテナカバー1aとを備えている。さらに、エレメント部8の上端にはエレメント部8より拡大された径のアンテナトップが設けられており、エレメント部8の下部はゴム系等の柔軟性のある合成樹脂によりモールドされたモールド部とされている。なお、エレメント部8の下部の柔軟なモールド部は、アンテナに外力が加わった時にこのモールド部が曲がることにより、加わった外力を吸収してエレメント部8の折損を防止するようにしている。
【0012】
また、本発明の自動車用アンテナは多周波アンテナとされ、例えばFMラジオ帯や携帯無線電話帯において利用可能とされているが、エレメントに接続される多周波とするためのトラップコイルをモールド部に内蔵することができる。
このように構成されたエレメント部8のアンテナトップからアンテナ本体の基端部までの電気長は、例えばFMラジオ帯の約1/4波長とされ、基端部からトラップコイルの下端までの電気長は、携帯無線電話帯の約1/4波長とされている。したがって、この自動車用アンテナは携帯無線電話帯、FMラジオ帯に共振しているとともに、アンテナ本体1全体によりAMラジオ帯を受信することができるものである。
【0013】
そして、エレメント部8が固定されるアンテナカバー1aは、ベース部3に嵌着され、かつ、一対の取付ビスにより螺着・固定されている。さらに、ベース部3には固定板付基板ブラケット9が固着されており、この固定板付基板ブラケット9にはプリント基板10が固着可能とされている。すなわち、アンテナカバー1aとベース部3とで形成される空間には、プリント基板10が配設され、このプリント基板10に整合回路や増幅回路および分波器が組み込まれている。
ベース部3の下面には、角形状の矩形状突出部14と、矩形状突出部14から延伸した断面円形の円筒状突出部13が形成されている。アンテナ本体1が取り付けられるルーフパネル20には、前記図11(b)に示すような矩形状のアンテナ取付孔21が形成されて、このアンテナ取付孔21に円筒状突出部13の基部とされる矩形状突出部14が挿入されるようになる。この矩形状のアンテナ取付孔21に矩形状突出部14を挿入することで、取付ナット2を締め付ける時のアンテナ取付孔21に対するアンテナ本体1の回り止めを行うことができる。
なお、防水のためベース部3の周縁にはゴム等からなるパッド1bが嵌合されると共に、矩形状突出部14にはリング状とされた弾性体からなるOリング5が嵌着されて、アンテナ取付孔21に挿入されている。
【0014】
また、矩形状突出部14および円筒状突出部13の内部には貫通孔と貫通孔に沿った切溝が形成されており、この貫通孔と切溝を介して信号を伝達する同軸ケーブル6、および、アンテナカバー1a内に収納されたプリント基板10に電源を供給する図10に示す如き電源ライン7が導出されている。
さらに、図4に示すベース部3の詳細図に示すように矩形状突出部14の両側面の位置にベース部3を貫通するように細長い角孔14aが2つ形成され、さらに、図3に拡大して示すように、2つの角孔14aが延伸する位置の円筒状突出部13には、対向するように切欠部13bが形成されている。この切欠部13bは円筒状突出部13の中途まで形成されている。
【0015】
ベース部3に形成された2つの角孔14aには固定板付基板ブラケット9の折曲された対向する2つの側板がそれぞれ挿通されて図2および図3に示すようにベース部3の裏面へ突出している。この側板にはそれぞれ外側へ傾斜するように形成された部位を有するバネ片4aが形成されている。このバネ片4aは、ルーフパネル20に形成された矩形状のアンテナ取付孔21を通過する際にはアンテナ取付孔21の縁部により内側へ曲げられてアンテナ取付孔21を通過し、通過すると元の図示する形状に戻ってアンテナ取付孔21より突出するため、円筒状突出部13および矩形状突出部14をアンテナ取付孔21に挿通すると、バネ片4aにおける後述する当接部がルーフパネル20に形成されている矩形状のアンテナ取付孔21の周縁の裏面に当接してアンテナ本体1がルーフパネル20に仮止めされる。そして、バネ片4aにおける後述する当接部と延伸部との作用により円筒状突出部13に応力が印加されても、この応力をバネ片4aが変形することなく確実に受けることができるようになる。
【0016】
上記したように、円筒状突出部13に対向する切欠部13bを形成するのは、固定板付基板ブラケット9の側板は矩形状突出部14を超えて円筒状突出部13まで達しており、固定板付基板ブラケット9の側板が円筒状突出部13の外周面より突出していると、円筒状突出部13をアンテナ取付孔21に挿通する際に突出している固定板付基板ブラケット9の側板がアンテナ取付孔21に衝突して、スムースに円筒状突出部13を挿通できなくなるからである。
なお、円筒状突出部13および矩形状突出部14をアンテナ取付孔21に挿通した後はバネ片4aの作用によりアンテナ本体1はルーフパネル20に仮止めされる。したがって、アンテナ本体1を支えることなく車体内から取付ナット2を仮止めされたアンテナ本体1の円筒状突出部13の外周面に形成されたネジ部13aに螺合することができる。この取付ナット2は上縁に三角状突起が形成されているワッシャー部2aとナット部2bからなり、ナット部2bに対してワッシャー部2aは回転可能に組み立てられている。すなわち、ナット部2bを回転させていくとワッシャー部2aの三角状突起の先端がルーフパネル20の裏面に食い込むようになり、ルーフパネル20にアンテナ本体1を確実に固着することができるようになる。このようにして、一人の作業者でアンテナ本体1をルーフパネル20に取り付けることができる。
【0017】
次に、ベース部3の詳細構成を図4を参照しながら説明する。ただし、図4(a)はベース部の平面図、同図(b)はその側面図、同図(c)はその裏面図である。
ベース部3は金属製のダイキャストとされており、その形状は略楕円形とされている。そのほぼ中央には貫通孔13cが形成され、ベース部3の裏面から突出するよう形成されている矩形状突出部14および円筒状突出部13まで貫通孔13cは及んでいる。また、貫通孔13cの一面には図4(c)に示すように切溝13dが形成されている。この切溝13dは貫通孔13c内に挿通された同軸ケーブル6および電源ライン7を図2に示すようにルーフパネル20に略直交して引き出せるだけではなく、切溝13dに同軸ケーブル6を位置させることによりルーフパネル20に略平行に同軸ケーブル6および電源ライン7を引き出せることもできる。また、ベース部3の表面から貫通孔13cに挿通された同軸ケーブル6および電源ライン7を、表面に沿って引き出せるように貫通孔13cの上部は図4(b)に示すように傾斜されていると共に、貫通孔13cの一部を覆うようにガイド3cが突出して表面に設けられている。
【0018】
また、図4(a)(c)に示すようにベース部3の表面から裏面までに貫通する細長い角孔14aが2つ形成されている。この角孔14aは、前述したように固定板付基板ブラケット9のバネ片4aが形成された側板が挿通される孔である。さらに、図4(a)に示すようにベース部3の表面には三角形の頂点に位置して3つの係合突起3aが形成されている。この係合突起3aは、後述する固定板付基板ブラケット9をカシメて固着するための突起である。さらにまた、ベース部3の略楕円形の周縁に沿ってアンテナカバー1aが嵌合される壁が立設されている。さらにまた、ベース部3の裏面には嵌合されたアンテナカバー1aをベース部3に固着する2本のネジを挿通するネジ孔3bが形成されている。
【0019】
次に、固定板付基板ブラケット9の詳細構成を図5を参照しながら説明する。図5に示す固定板付基板ブラケット9は固定板と基板ブラケットとを一体化して構成した固定板の第1の例であり、金属板を打ち抜いて、次いで折曲加工をすることにより作成されている。
図5(a)は固定板付基板ブラケット9の平面図、同図(b)はその側面図、同図(c)は正面図である。これらの図に示すように固定板付基板ブラケット9は、平板状の本体9aと、本体9aに対して略直交するよう折曲された対向する2枚の側板4とから構成されている。側板4にはコ字状の切溝4eが設けられることにより矩形状のバネ片4aが形成されている。
【0020】
このバネ片4aは、上部が外方へ向かうように傾斜して形成されており、バネ片4aの上部は側板4側へ折曲されて本体9aにほぼ平行な当接部4fが形成され、当接部4fの先端はさらに上方へ折曲されて側板4にほぼ平行な延伸部4gが形成されている。ベース部3に固着された状態の固定板付基板ブラケット9が矩形状のアンテナ取付孔21に挿入される際には、バネ片4aが内方へ弾性的に折れ曲がることによりアンテナ取付孔21を通過する。そして、延伸部4gの上部がアンテナ取付孔21に係合するようになる。このように側板4がアンテナ取付孔21に挿入された状態において、固定板付基板ブラケット9に上方へ移動する応力が印加された際に、当接部4fがアンテナ取付孔21の周縁に裏から当接するようになるが、延伸部4gの上部がアンテナ取付孔21に係合していることからバネ片4aが押し広げられることなく応力を受けることができるようになる。
【0021】
また、本体9aには三角形の頂点に位置して3つの係合孔9bが形成されていると共に、その略中央には略半円形の切欠部9fが形成されている。係合孔9bは、それぞれベース部3に形成された係合突起3aに係合する孔であり、側板4をベース部3の角孔14aに挿通して係合突起3aに係合孔9bを係合した後、係合突起3aをカシメることにより、固定板付基板ブラケット9をベース部3に固着することができる。切欠部9fは、固定板付基板ブラケット9をベース部3に固着する際に、ベース部3に形成されたガイド3cを固定板付基板ブラケット9から上に突出させてじゃまにならないようにするための切欠である。
さらに、本体9aには、前部および後部に一対の基板支持部9c,9dが形成されている。この基板支持部9c,9dには、整合回路や増幅回路および分波器が組み込まれたプリント基板10が挟持されてハンダ付けされることにより電気的かつ機械的に支持されるようになる。
さらにまた、本体9aの前部には傾斜した膨出部9eが形成されている。この膨出部9eは、貫通孔13cに挿通された同軸ケーブル6および電源ライン7を引き出す際のガイドとされる。
【0022】
前記したように構成されたベース部3に固定板付基板ブラケット9を固着してアンテナ本体1を組み立て、ルーフパネル20に装着する際の各段階の図を図6(a)(b)(c)に示す。
図6(a)は、ルーフパネル20に形成した矩形状のアンテナ取付孔21にアンテナ本体1における円筒状突出部13の先端部を挿入した段階の図であり、側板4に形成されたバネ片4aはまだアンテナ取付孔21に挿入されていない。
図6(b)は、アンテナ取付孔21に円筒状突出部13をほぼ挿入した段階の図であり、側板4に形成されたバネ片4aはアンテナ取付孔21を通過して延伸部4gの上部がアンテナ取付孔21に係合すると共に、ルーフパネル20の裏面に当接部4fが当接している。これにより、アンテナ本体1がルーフパネル20に仮止めされるので、アンテナ本体1を支えることなく円筒状突出部13のネジ部13aに取付ナット2を螺合可能となる。また螺合する際に、工具により円筒状突出部13に下から応力が印加されても、上記したように延伸部4gと当接部4fの作用によりバネ片4aが押し広げられることなく応力を受けることができるようになる。これにより、バネ片4aの変形や破損を防止することができる。なお、側板4は円筒状突出部13に形成された切欠部13bに位置しているので、側板4の面が円筒状突出部13の外周面より外側へ突出しないようになることから、側板4はアンテナ取付孔21の縁部に衝突することなくスムースに挿通することができるようになる。
【0023】
図6(c)は、アンテナ取付孔21に挿入した円筒状突出部13の外周に形成されたネジ部13aに取付ナット2を螺合した段階の図であり、螺合された取付ナット2のワッシャー部2aの先端の三角状突起の先端がルーフパネル20の裏面に食い込むようになされている。これにより、アンテナ本体1がルーフパネル20に確実に固着される。また、矩形状突出部14の周囲に嵌合されたOリング5がベース部3の裏面とルーフパネル20間で押し潰されてルーフパネル20の表面からの水の浸入を防止している。
【0024】
次に、固定板の第2の構成例を図7に示す。図7に示す固定板24は、固定板単体で構成されており、金属板を打ち抜いて、次いで折曲加工をすることにより作成されている。
図7(a)は固定板24の平面図、同図(b)はその側面図、同図(c)は正面図である。これらの図に示すように固定板24は、平板状の上板24cと、上板24cの両側を略直角に対面するよう折曲して形成された対向する2枚の側板24dとから構成されている。それぞれの側板24dにはコ字状の切欠部24bが設けられることにより当接部24fおよび延伸部24gを備える矩形状のバネ片24aが形成されている。図示するようにバネ片24aは、上部が外方へ向かうように傾斜して形成されており、バネ片24aの上部は側板24d側へ折曲されて上板24cにほぼ平行な当接部24fが形成され、当接部24fの先端はさらに上方へ折曲されて側板24dにほぼ平行な延伸部24gが形成されている。さらに、バネ片24aには下部に細長く凸部24hが形成されてバネ片24aが折れ曲がりにくくされている。ただし、凸部24hを形成することを省略してもよい。この側板24dはベース部3の角孔14aに挿通されて、バネ片24aがベース部3の裏面に位置するようになる。
また、上板24cの一辺には略半円形の半円形切欠24eが形成されている。半円形切欠24eは、固定板24をベース部3に固着する際に、ベース部3に形成されたガイド3cを固定板24から上に突出させてじゃまにならないようにするための切欠である。
【0025】
このように構成された固定板24の側板24dをベース部3の角孔14aに挿通し、その上に基板ブラケットを載置して基板ブラケットをベース部3にカシメて固着することにより、固定板24がベース部3と基板ブラケットで挟持されて固着されるようになる。この基板ブラケットの詳細構成を図8に示す。
図8(a)は基板ブラケット29の平面図、同図(b)は側面図、同図(c)は正面図である。これらの図に示すように基板ブラケット29は、平板状の本体29aからなり、本体29aには三角形の頂点に位置して3つの係合孔29bが形成されていると共に、その略中央には略半円形の切欠部29fが形成されている。係合孔29bは、それぞれベース部3に形成された係合突起3aに係合する孔であり、固定板24の側板24dをベース部3の角孔14aに挿通して係合突起3aに係合孔29bを係合した後、係合突起3aをカシメることにより、図9(a)に示すように基板ブラケット29をベース部3に固着することができる。
【0026】
切欠部29fは、基板ブラケット29をベース部3に固着する際に、ベース部3に形成されたガイド3cを基板ブラケット29から上に突出させてじゃまにならないようにするための切欠である。この切欠部29fを囲むように段部29gが形成されている。この段部29gの大きさは固定板24の上板24cより若干大きめに形成されて、段部29gの内部には固定板24の上板24cが収納可能とされる。
さらに、本体29aには、前部および後部に一対の基板支持部29c,29dが形成されている。この基板支持部29c,29dには、整合回路や増幅回路および分波器が組み込まれたプリント基板10が挟持されてハンダ付けされることにより電気的かつ機械的に支持されるようになる。
さらにまた、本体29aの前部には傾斜した膨出部29eが形成されている。この膨出部29eは、貫通孔13cに挿通された同軸ケーブル6および電源ライン7を引き出す際のガイドとされる。
【0027】
前記したように構成された基板ブラケット29によりベース部3に固定板24を固着した構成を図9(a)(b)(c)に示す。図9(a)は、ベース部3に形成した角孔14aに固定板24の側板24dを挿通し、その上に基板ブラケット29を固着した構成を示す断面図であり、同図(b)は同構成を側板24dを正面から見た場合の側面図、同図(c)はベース部3の一部の下面図である。
これらの図に示すように、固定板24を固着する際には、まず、ベース部3に形成した角孔14aに固定板24の側板24dを挿通する。次いで、その上に基板ブラケット29を載置するが、このときに、基板ブラケット29の段部29gの内部に固定板24の上板24cを収納するようにして、3つの係合孔29bをベース部3の3つの係合突起3aにそれぞれ係合する。そして、係合突起3aをカシメると図9(a)(b)に示すように、固定板24の上板24cがベース部3と基板ブラケット29の段部29gとに挟持されて固着されるようになる。なお、ベース部3の矩形状突出部14の根本には防水用のOリング5が嵌挿されている。
【0028】
この第2の構成の固定板24を備える場合も円筒状突出部13および矩形状突出部14をアンテナ取付孔21に挿通した後は延伸部24gと当接部24fを備えるバネ片24aの作用によりアンテナ本体1はルーフパネル20に仮止めされる。したがって、アンテナ本体1を支えることなく車体内から取付ナット2を仮止めされたアンテナ本体1の円筒状突出部13の外周面に形成されたネジ部13aに螺合することができる。また螺合する際に、工具により円筒状突出部13に下から応力が印加されても、延伸部24gの上部がアンテナ取付孔21に係合して当接部4fがその周縁に当接することからバネ片24aが押し広げられることなく応力を受けることができるようになる。このように第2の構成の固定板24を備えていても、一人の作業者でアンテナ本体1をルーフパネル20に取り付けることができると共に、バネ片24aの変形や破損を防止することができる。
なお、前記した固定板24と基板ブラケット29とを別体とする構成例において、基板ブラケット29に段部29gを形成するようにしたが、本発明はこれに限らず、段部29gを形成することなく基板ブラケット29とベース部3とで固定板24を挟持することにより固着するようにしてもよい。
また、車両洗車の際に洗車機の回転ブラシなどが衝突したり、車庫入れの際に車庫の天井などに接触したりして、エレメント部8が損傷することがないように、エレメント部8をアンテナカバー1aから取り外すことができるようにしてもよい。
【0029】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されているので、ベース部に形成された円筒状突出部を車体に形成された取付孔に挿入すると、固定板に形成されたバネ部が取付孔に係合して、アンテナ本体を車体に対して仮止めすることができる。従って、この状態において作業員が車内に入り、取付ナットをネジ部に螺合して締め付けることによりアンテナ本体を車体に取り付けることができるようになる。この際に、バネ部の当接部が取付孔の周縁に当接すると共に延伸部が取付孔に係合していることから、バネ部は変形することなく応力に耐えられるようになる。
このため、一人の作業員により車体に取り付けることができる自動車用アンテナにおいて、バネ部の変形や破損を防止することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車用アンテナの実施の形態の特徴ある構成を分解して示す分解組立図である。
【図2】本発明の実施の形態における自動車用アンテナを車体に取り付ける際の構成を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の形態における自動車用アンテナにおける車体の下部に位置する要部を拡大して示す図である。
【図4】本発明の実施の形態の自動車用アンテナにおけるベース部の詳細構成を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態の自動車用アンテナにおける固定板付基板ブラケットの詳細構成を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の自動車用アンテナにおけるベース部をルーフパネルに取り付ける際の各段階を示す図である。
【図7】本発明の実施の形態の自動車用アンテナにおける固定板の第2の構成を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態の自動車用アンテナにおける基板ブラケットの詳細構成を示す図である。
【図9】本発明の実施の形態の自動車用アンテナにおける固定板と基板ブラケットとを別体として構成した際の構成を示す図である。
【図10】自動車用アンテナの全体構成を示す図である。
【図11】従来の自動車用アンテナの取付方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 アンテナ本体、1a アンテナカバー、1b パッド、2 取付ナット、2a ワッシャー部、2b ナット部、3 ベース部、3a 係合突起、3b ネジ孔、3c ガイド、4 側板、4a バネ片、4e 切溝、4f 当接部、4g 延伸部、5 Oリング、6 同軸ケーブル、7 電源ライン、8 エレメント部、9 固定板付基板ブラケット、9a 本体、9b 係合孔、9c,9d 基板支持部、9e 膨出部、9f 切欠部、10 プリント基板、13 円筒状突出部、13a ネジ部、13b 切欠部、13c 貫通孔、13d 切溝、14 矩形状突出部、14a 角孔、20 ルーフパネル、21 アンテナ取付孔、24 固定板、24a バネ片、24b 切欠部、24c 上板、24d 側板、24e 半円形切欠、24f 当接部、24g 延伸部、24h 凸部、29 基板ブラケット、29a 本体、29b 係合孔、29c,29d 基板支持部、29e 膨出部、29f 切欠部、29g 段部

Claims (4)

  1. 少なくともアンテナエレメントを備えているアンテナ本体を、車体に固着するベース部を備え、
    車体に形成された矩形状の取付孔に挿入される矩形状突出部と、該矩形状突出部から延伸していると共に、車体の内側に配置される取付ナットが螺着される円筒状突出部とが、前記ベース部の下面から突出するよう形成されており、
    前記矩形状突出部を前記取付孔に挿入したときに、該取付孔の周縁に係合して、前記アンテナ本体を前記車体に仮止めするバネ部が形成された固定板が、前記ベース部に固着されており、
    該固定板は断面コ字状とされて、外方へ傾斜するバネ片の先端に前記取付孔の周縁に当接可能な当接部と前記取付孔に係合可能な延伸部が屈曲されて形成されている前記バネ部が、前記固定板の対向する側板にそれぞれ形成されており、該側板が前記ベース部に形成された孔部に挿通されて前記ベース部の裏面から突出されていることを特徴とする自動車用アンテナ。
  2. 前記固定板の前記側板の面が、前記円筒状突出部の側面より外側に突出しないように、前記固定板の側板に沿って前記円筒状突出部の側面の一部が切り欠かれていることを特徴とする請求項1記載の自動車用アンテナ。
  3. 前記固定板が、前記ベース部の表面に固着されるプリント基板を支持する基板ブラケットと一体化されていることを特徴とする請求項1記載の自動車用アンテナ。
  4. プリント基板を支持する基板ブラケットが前記ベース部に固着されることにより、前記固定板が、前記ベース部と前記基板ブラケットとで挟持されて固着されることを特徴とする請求項1記載の自動車用アンテナ。
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