JP2004335786A - 太陽電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】製造時での半導体基板の亀裂の発生を防止することができる太陽電池を得ることを目的とする。
【解決手段】シリコン基板1の表面2には、表面側電極3が付着されている。表面2及び表面側電極3には、表面側タブ4がはんだ付けされている。シリコン基板1の裏面6には、裏面側電極7が加熱焼成により付着されている。裏面側電極7は、複数の穴部8を含むベース電極9と、各穴部8に配置された複数のランド電極10とを有している。各ランド電極10には、裏面側タブ11がはんだ付けされている。表面側タブ4の厚さは、表面側タブ4のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りと、裏面側電極7の焼成及び裏面側タブ11のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りとが互いに相殺されるように、調整されている。
【選択図】 図2
【解決手段】シリコン基板1の表面2には、表面側電極3が付着されている。表面2及び表面側電極3には、表面側タブ4がはんだ付けされている。シリコン基板1の裏面6には、裏面側電極7が加熱焼成により付着されている。裏面側電極7は、複数の穴部8を含むベース電極9と、各穴部8に配置された複数のランド電極10とを有している。各ランド電極10には、裏面側タブ11がはんだ付けされている。表面側タブ4の厚さは、表面側タブ4のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りと、裏面側電極7の焼成及び裏面側タブ11のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りとが互いに相殺されるように、調整されている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板の表面及び裏面に電極が設けられた太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の太陽電池では、光エネルギから電気エネルギに変換するために単結晶あるいは多結晶のシリコン基板が用いられている。シリコン基板の表面及び裏面には導電性膜である電極がそれぞれ設けられている。電極は、金属粉末を含むペーストをシリコン基板にスクリーン印刷して焼成することにより作製される。各電極には、シリコン基板に発生する電気エネルギを取り出すための電極タブがそれぞれはんだにより接続されている。電極及び電極タブが設けられたシリコン基板は、樹脂により封止されて太陽電池モジュールとされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−335267号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の太陽電池では、シリコン基板、電極及び電極タブのそれぞれの線膨張係数が互いに異なるので、電極の焼成時や電極タブのはんだ付け時にシリコン基板に反りが生じる。この反りにより、樹脂封止の際にシリコン基板に亀裂が生じる虞がある。
【0005】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、製造時での半導体基板の亀裂の発生を防止することができる太陽電池を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る太陽電池は、表面及び裏面を有する半導体基板、表面に沿って延び、かつ、はんだ付けにより表面に設けられた表面側タブ、加熱焼成により裏面に設けられた裏面側電極、及び裏面に沿って延び、かつ、はんだ付けにより裏面側電極に設けられた裏面側タブを備え、表面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りと、裏面側電極の焼成及び裏面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りとが互いに相殺されるように、表面側タブの厚さが調整されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による太陽電池セルを示す斜視図である。また、図2は図1のII−II線に沿った断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図である。図において、半導体基板であるシリコン基板1は、互いに平行な表面2及び裏面6を有する平板である。シリコン基板1の表面2には、複数の表面側電極3が付着されている。各表面側電極3は、表面2に沿って同一方向へ延びており、互いに間隔を置いて配置されている。また、各表面側電極3は、銀粉末を含む導電性膜である。表面2は、太陽電池セルの受光面となっている。表面2の受光により、シリコン基板1に電気エネルギが発生する。ここでは、シリコン基板1の厚さTは300μm、横寸法(表面側電極3が延びている方向のシリコン基板1の寸法)L1は150mm、縦寸法(表面側電極3が延びている方向に対して垂直な方向のシリコン基板1の寸法)L2は150mmとなっている。
【0008】
表面2及び表面側電極3には、銅製の板状電極タブである2本の表面側タブ4がはんだ部5を介して接続されている。各表面側タブ4は、各表面側電極3が延びている方向に対して垂直な方向へ表面2に沿って延びている。はんだ部5は、表面側タブ4のシリコン基板1側の面全体に設けられている。
【0009】
シリコン基板1の裏面6には、導電性の裏面側電極7が付着されている。裏面側電極7は、裏面6の全面に付着されている。また、裏面側電極7は、複数の穴部8が形成されたベース電極9と、各穴部8に配置された複数のランド電極10とを有している。ベース電極9は、アルミニウム粉末を含む導電性膜である。各ランド電極10は、銀粉末を含む導電性膜である。各穴部8は、シリコン基板1の縦寸法L2の方向へ裏面6に沿って間隔を置いて配置されている。各ランド電極10は、ベース電極9に電気的に接続されており、裏面6にそれぞれ付着されている。ここでは、各ランド電極10は、等間隔に配置されている。また、各ランド電極10の配置間隔は、シリコン基板1の縦寸法L2をランド電極10の個数で割った値にされている。
【0010】
各ランド電極10には、銅製の板状電極タブである2本の裏面側タブ11がはんだ部12を介して接続されている。はんだ部12は、各ランド電極10と裏面側タブ11との間にのみ設けられている。各裏面側タブ11は、表面側タブ4に対して平行に配置されている。即ち、各裏面側タブ11は、表面側タブ4が延びている方向へ裏面6に沿って延びている。シリコン基板1に発生する電気エネルギは、表面側タブ5及び裏面側タブ11を通じて外部へ取り出される。
【0011】
次に、このような構成の太陽電池セルの製造方法について説明する。
まず、オキシ塩化リンによるリン拡散により、多結晶のp型半導体であるシリコンの板の外周部にn型半導体層を形成する。この後、シリコンの板の一面をレジストで保護し、一面に形成されたn型半導体層を残して、エッチングにより他のn型半導体層を除去する。これにより、n型半導体層側に表面2を有するシリコン基板1が作製される(半導体基板製造工程)。
【0012】
次に、アルミニウム粉末、ガラス粉末及び樹脂が有機溶剤に混合されて作製されたペースト(以下、「アルミペースト」という)をスクリーン印刷によりシリコン基板1の裏面6に付着させる。このとき、所定の位置(後に穴部8となる位置)には、アルミペーストを付着させず裏面6を露出させておく(図4)。この後、銀粉末、ガラス粉末及び樹脂が有機溶剤に混合されて作製されたペースト(以下、「銀ペースト」という)をスクリーン印刷により裏面6の露出位置に付着させる。この後、スクリーン印刷により、銀ペーストをシリコン基板1の表面2の所定の部分に付着させる(ペースト付着工程)。
【0013】
この後、アルミペースト及び銀ペーストが付着されたシリコン基板1を近赤外炉による700〜750℃の乾燥空気中で数十秒から数分間加熱焼成する(焼成工程)。これにより、裏面6に付着されたアルミペーストはベース電極9に、裏面6に付着された銀ペーストはランド電極10に、表面2に付着された銀ペーストは表面側電極3になる(図5)。また、焼成工程では、アルミペーストからのアルミニウム原子の拡散により、シリコン基板1のベース電極9側の部分にBSF層(Back Surface Field 層)が形成される(電極製造工程)。
【0014】
この後、表面2及び表面側電極3に表面側タブ4を、ランド電極10に裏面側タブ11をそれぞれはんだ付けにより接続する(タブ接続工程)。
この後、樹脂であるエチレンビニルアセテートにより、表面側タブ4及び裏面側タブ11を接続したシリコン基板1を強化ガラスに封止し、太陽電池モジュールを製造する(封止工程)。
【0015】
次に、ベース電極9、はんだ部5,12、表面側タブ4、裏面側タブ11及びランド電極10のそれぞれの寸法(設定値)の設定方法について説明する。
図6は、シリコン基板1、ベース電極9、はんだ部5,12、表面側タブ4、裏面側タブ11及びランド電極10のそれぞれの材料及び寸法に関する因子についての設定値の一例を示す表である。図における各因子のうちから、設定値の変更が比較的容易な因子を制御因子として選択する。即ち、ベース電極9の厚さ(因子記号A)、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)、表面側タブ4の幅(因子記号E)、裏面側タブ11の幅(因子記号F)、ランド電極10の配置間隔(図6では、1本の裏面側タブ11に接続されるランド電極10の個数で示している)(因子記号G)及び裏面側タブ11の長手方向についてのはんだ部12の長さ(以下、「裏面はんだ接続長さ」という)(因子記号H)を制御因子として選択する。なお、はんだ部5及びはんだ部12のそれぞれの厚さは、互いに常に同一としている。
【0016】
各制御因子の設定値は、各制御因子についてあらかじめ設定された水準1〜水準3(ベース電極9の厚さについては、水準1及び水準2)の設定値の中から選択する。そして、各制御因子の設定値の組み合わせが互いに異なる条件、即ち各制御因子についての水準の組み合わせが互いに異なる条件(以下、「各実験条件」という)のもとで設定された太陽電池セルモデルについて有限要素法による応力シミュレーション解析(以下、単に「シミュレーション」という)をそれぞれ行い、シリコン基板1の反りの大きさ(以下、「反り量」という)を求める。ここでは、焼成工程での温度を700℃とし、はんだ付け温度を240℃としている。また、SASIP社製のANSYS(登録商標)によりシミュレーションを行っている。なお、シミュレーションでの各制御因子以外の各因子の設定値は、図6に示す固定値である。
【0017】
図7は、シミュレーションに用いられる太陽電池セルモデルを示す斜視図である。図において、太陽電池セルモデルは、太陽電池セルの1/4対称モデルである。また、太陽電池セルモデルは、太陽電池セルの中心点である点Pと座標中心Oが一致した状態でxyz直交座標系に配置されている。なお、x軸はシリコン基板1の横寸法L1の方向に、y軸はシリコン基板1の縦寸法L2の方向に、z軸はシリコン基板1の厚さ方向にそれぞれ対応している。
【0018】
シミュレーションによる結果は、太陽電池セルモデルの四隅の点、即ち図7に示す点P(0,0,D0)、点Q(0,L2/2,D1),点R(L1/2,0,D2),点S(L1/2,L2/2,D3)の4つの点の座標中心O(0,0,0)に対するz軸方向のそれぞれの変位(計測特性値)によって表す。ここでは、裏面6側から表面2側へのz軸に沿った向きを正、D0=0としている。また、点P,点Q,点R,点Sのz軸方向の変位の4つの値のうち、最大値と最小値との差を反り量とする。
例えば、シミュレーションの結果がD0=0mm、D1=−0.173mm、D2=−0.220mm、D3=−0.397mmである場合、反り量は、最大値であるD0から最小値であるD3を差し引いて、0−(−0.397)=0.397mmとなる。
【0019】
各実験条件での反り量を求めた後、各実験条件についてのS/N比ηを以下の式により求める。
η=−10×log(Ve)[db]
ただし、Ve=(ST−Sm)/(n−1)、ST=D0 2+D1 2+D2 2+D3 2、Sm=(D0+D1+D2+D3)2/n、n=測定点数(ここでは、n=4)である。
S/N比ηは計測特性値の安定性を示す尺度であり、D0,D1,D2,D3の互いの変位のばらつきが小さいほど、計測特性値の安定性が高くS/N比ηの値が大きくなる。
【0020】
図8は、各制御因子の水準1〜水準3の設定値、各実験条件での制御因子の設定値の組み合わせ、シミュレーションによって得られた各実験条件での計測特性値、及び各実験条件でのS/N比を示す表である。図8において、水準1〜水準3が記載されている行には、各水準に対応する各制御因子(因子記号A〜H)の設定値がそれぞれ示されている。また、第1〜第18の実験条件が記載されている行には、各実験条件に対応する各制御因子の設定値の組み合わせがそれぞれ示されている。ここで、各実験条件の行と因子記号A〜Hの列との交差箇所にそれぞれ示された1〜3の数字は、各実験条件での制御因子の設定値に対応する水準を示している。
【0021】
例えば、第1の実験条件では、各制御因子の設定値がすべて水準1の設定値とされているので、ベース電極9の厚さ(因子記号A)がT/15、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)がT/10、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)がT/3、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)がT/4、表面側タブ4の幅(因子記号E)がL1/100、裏面側タブ11の幅(因子記号F)がL1/75、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)がL2/3(ランド電極10の個数が1本の裏面側タブ11当たり3個)、及び裏面はんだ接続長さ(因子記号H)がL2/60とされ、シミュレーションされる。
【0022】
第1の実験条件でのシミュレーション結果は、図8に示すように、D1=−0.171mm、D2=−0.144mm、D3=−0.317mmとなり、S/N比η1の値は17.7dbとなる。
同様にして、第2〜第18の実験条件でのS/N比η2〜η18もそれぞれ求める。
【0023】
次に、シミュレーション結果から求めた第1〜第18の実験条件でのそれぞれのS/N比η1〜η18を用いて、シリコン基板1の変形に対する各水準での各制御因子の影響度を評価する。ここでは、表面側タブ4の幅(因子記号E)を例にとって説明する。
【0024】
まず、表面側タブ4の幅の設定値が水準1である実験条件でのS/N比、即ちη1,η6,η7,η11,η14,η18の平均S/N比ηE1を以下のようにして求める。
ηE1=(η1+η6+η7+η11+η14+η18)/6
【0025】
同様に、表面側タブ4の幅の設定値が水準2及び水準3である実験条件でのS/N比の平均S/N比ηE2及びηE3もそれぞれ以下のようにして求める。
ηE2=(η2+η4+η8+η12+η15+η16)/6
ηE3=(η3+η5+η9+η10+η13+η17)/6
【0026】
その結果、平均S/N比ηE1=14.5db、平均S/N比ηE2=16.2db、平均S/N比ηE3=18.1dbとなる。即ち、表面側タブ4の幅の設定値が水準3である場合の平均S/N比ηE3が最も大きい値となる。これにより、表面側タブ4の幅については、水準1及び水準2のそれぞれの設定値とするよりも水準3の設定値とするほうが、計測特性値の互いのばらつきが小さくなり(即ち、計測特性値の安定性が高くなり)、シリコン基板1の変形が総合的に安定する。即ち、表面側タブ4の幅を水準3の設定値とすると、シリコン基板1に反りが生じたときに、シリコン基板1の一部分だけが大きく変形するようなことが生じにくくなり、全体的に均等に変形しやすくなる。
【0027】
また、同一の制御因子では、各水準における平均S/N比の間に大きな差があるほど、制御因子の設定値の変更により計測特性値の互いのばらつきが大きく変化することを示しているので、シリコン基板1の計測特性値の安定性に対する設定値の影響度が大きくなる。
【0028】
図9は各制御因子の水準1〜3における平均S/N比を示す表であり、図10は図9に示される各水準の平均S/N比を制御因子ごとに示すグラフである。図に示すように、同一の制御因子の各水準における平均S/N比の差が大きい制御因子は、ベース電極9の厚さ(因子記号A)、表面側タブ4の幅(因子記号E)、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)、及び裏面はんだ接続長さ(因子記号H)であり、差が小さい制御因子は、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)、裏面側タブ11の幅(因子記号F)である。
【0029】
従って、ベース電極9の厚さ(因子記号A)、表面側タブ4の幅(因子記号E)、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)、及び裏面はんだ接続長さ(因子記号H)は、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)、裏面側タブ11の幅(因子記号F)に比べて、シリコン基板1の計測測定値の安定性に対する設定値の影響度が大きくなる。
【0030】
ここで、シリコン基板1の反りは、焼成工程及びタブ接続工程において主に発生する。焼成工程ではシリコン基板1の線膨張係数と裏面側電極7の線膨張係数との違いにより、タブ接続工程ではシリコン基板1の線膨張係数と表面側タブ4及び裏面側タブ11の線膨張係数との違いにより、シリコン基板1の反りが発生する。シリコン基板1の線膨張係数が4ppm/K、裏面側電極7の主成分であるアルミニウム粉末の線膨張係数が23ppm/K、銅製の表面側タブ4及び裏面側タブ11の線膨張係数が16ppm/Kであるので、シリコン基板1の収縮率よりも裏面側電極7、表面側タブ4及び裏面側タブ11の収縮率が大きい。このことから、裏面側電極7の焼成及び裏面側タブ11のはんだ付けにより、特性計測値が負の値をとるようにシリコン基板1に反りが生じるのに対し、表面側タブ4のはんだ付けにより、特性計測値が正の値をとるようにシリコン基板1に反りが生じる。
【0031】
各実験条件でのシミュレーションの結果では、計測特性値のほとんどが負の値である(図8参照)ことから、計測特性値が正の値をとるようにシリコン基板1に反りを生じさせる表面側タブ4によって、シリコン基板1の反りを抑制するための最終的な調整を行うのがよい。また、表面側タブ4に関係する制御因子は、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)及び表面側タブ4の幅(因子記号E)の2種類であるが、上記のように、各水準における平均S/N比の間の差が小さい制御因子、即ちシリコン基板1の計測特性値の安定性に対する設定値の影響度が小さい制御因子が調整に適しているので、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を最後に設定する。
【0032】
以下、各制御因子の設定値について順に検討する。
まず、ベース電極9の厚さ(因子記号A)について検討する。水準1が適用される実験条件での平均S/N比ηA1は、水準2が適用される実験条件での平均S/N比ηA2よりも大幅に大きくなっている。また、水準1の設定値がT/15であり、水準2の設定値がT/12であることから、ベース電極9の厚さを小さくするほど、平均S/N比が大きくなることが期待される。
【0033】
従って、水準1及び水準2の設定値のうちでは、ベース電極9の厚さの設定値を水準1の設定値、即ちシリコン基板1の厚さTの1/15とするのがよい。
【0034】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測してみると、ベース電極9の厚さがT/30未満になると、急激に発電効率が低下することが分かった。これは、ベース電極9の厚さを小さくすることによって、十分な裏面光反射効果が得られなかったり、シリコン基板1にBSF層が十分形成されず抵抗損が発生したりするためであると考えられる。なお、試作された太陽電池セルのシリコン基板1の厚さTは、300μmとしている。
【0035】
従って、ベース電極9の厚さ(因子記号A)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/30〜1/15の範囲内とするのが望ましい。
【0036】
次に、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηB1〜ηB3の間には、大きな差はない。即ち、はんだ部5及び12の厚さが水準1〜水準3のいずれの設定値であっても、計測特性値の安定性はあまり変化しない。従って、計測特性値の安定性の観点からは、はんだ部5及び12の厚さを自由に設定することができると考えられる。
【0037】
また、封止工程での加圧を考慮すると、太陽電池セルの表面の凹凸は小さいほどよい。従って、はんだ部5及び12の厚さが小さいほどよい。このことから、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、はんだ部5及び12の厚さを水準1の設定値、即ちシリコン基板1の厚さTの1/10とするのがよい。
【0038】
また、太陽電池セルを実際に試作してはんだ部5及び12の接続強度(剥離させるために必要な強度)を計測した結果、はんだ部5及び12の厚さがシリコン基板1の厚さTの1/30未満になると、必要な接続強度を得ることができないことが分かった。
【0039】
従って、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/30〜1/10の範囲内とするのが望ましい。
【0040】
次に、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηD1〜ηD1の間には、大きな差はない。即ち、裏面側タブ11の厚さが水準1〜水準3のいずれの設定値であっても、計測特性値の安定性はあまり変化しない。従って、計測特性値の安定性の観点からは、裏面側タブ11の厚さを自由に設定することができると考えられる。
【0041】
また、封止工程での加圧を考慮すると、太陽電池セルの表面の凹凸は小さいほどよい。従って、裏面側タブ11の厚さが小さいほどよい。そこで、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、裏面側タブ11の厚さがシリコン基板1の厚さTの1/4未満になると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、裏面側タブ11の断面積が小さくなると、抵抗損によって電圧降下するためである。
【0042】
また、封止工程での加圧と発電効率との両方について考慮すると、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、裏面側タブ11の厚さを水準2の設定値、即ちシリコン基板1の厚さTの1/3とするのがよいと考えられる。
【0043】
従って、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/4〜1/3の範囲内とするのが望ましい。
【0044】
次に、表面側タブ4の幅(因子記号E)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηE1〜ηE3の間には大きな差があり、平均S/N比ηE1、ηE2及びηE3の順に値が大きくなっている。このことから、表面側タブ4の幅の設定値を大きくするほど、平均S/N比が大きくなることが期待される。
【0045】
従って、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、表面側タブ4の幅の設定値を水準3の設定値、即ちシリコン基板1の縦寸法L1の1/50とするのがよい。
【0046】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、表面側タブ4の幅がシリコン基板1の横寸法L1の1/50を超えると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、表面側タブ4の幅が大きくなることによって、受光面の有効面積が小さくなるからであると考えられる。
【0047】
さらに、表面側タブ4の幅がシリコン基板1の横寸法L1の1/75未満になると、封止工程において表面側タブ4に応力が集中し、シリコン基板1が割れてしまう確率が急激に上昇することが分かった。
【0048】
このようなことから、表面側タブ4の幅(因子記号E)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/75〜1/50の範囲内とするのが望ましい。
【0049】
次に、裏面側タブ11の幅(因子記号F)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηF1〜ηF1の間には、大きな差はない。即ち、裏面側タブ11の幅が水準1〜水準3のいずれの設定値であっても、計測特性値の安定性はあまり変化しない。従って、計測特性値の安定性の観点からは、裏面側タブ11の幅を自由に設定することができると考えられる。
【0050】
また、封止工程での太陽電池セルの表面の凹凸の影響と、裏面側タブ11の抵抗損とを考慮すると、裏面側タブ11の幅は大きいほどよい。このことから、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、水準3の設定値、即ち裏面側タブ11の幅の設定値をシリコン基板1の横寸法L1の1/40とするのがよい。
【0051】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、裏面側タブ11の幅がシリコン基板1の横寸法L1の1/20を超えると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、裏面側タブ11の幅が大きくなるに伴ってランド電極10の幅も大きくなり、BSF層の形成に寄与するベース電極9の裏面6に付着する面積が小さくなるからである。BSF層はシリコン基板1内でのキャリアの再結合を抑制するものであるので、BSF層がシリコン基板1に十分形成されていないと太陽電池セルの発電効率は低下する。このようなことから、裏面側タブ11の幅を大きくするほど、発電効率が低下するものと考えられる。
【0052】
従って、裏面側タブ11の幅(因子記号F)の設定値は、シリコン基板1の横寸法L1の1/40〜1/20の範囲内とするのが望ましい。
【0053】
次に、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηF1〜ηF3の間には大きな差があり、平均S/N比ηF1、ηF2及びηF3の順に値が大きくなっている。このことから、ランド電極10の配置間隔を小さくするほど、即ちランド電極10の個数の設定値を多くするほど、平均S/N比が大きくなることが期待される。
【0054】
従って、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、表面側タブ4の幅の設定値を水準3の設定値、即ちシリコン基板1の縦寸法L2の1/7とするのがよい。
【0055】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、ランド電極10の配置間隔がシリコン基板1の縦寸法L2の1/9よりも小さくなる、即ち1本の裏面側タブ11に適用されるランド電極10の個数が9個を超えると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、ランド電極10の個数の増加により、ベース電極9の裏面6に付着された面積が小さくなり、焼成工程で形成されるBSF層の領域が小さくなるからである。
【0056】
従って、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)の設定値は、シリコン基板1の縦寸法L2の1/9〜1/7の範囲内とするのが望ましい。
【0057】
次に、裏面はんだ接続長さ(因子記号H)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηH1〜ηH3の間には大きな差があり、平均S/N比ηH1、ηH2及びηH3の順に値が小さくなっている。このことから、裏面はんだ接続長さを小さくするほど、平均S/N比が大きくなると考えられる。
【0058】
また、太陽電池セルを実際に試作してはんだ部12の接続強度を計測した結果、裏面はんだ接続長さがシリコン基板1の縦寸法L2の1/60未満になると、必要な接続強度を得ることができないことが分かった。これは、裏面はんだ接続長さが小さくなることにより、はんだ部12の裏面側タブ11及びランド電極10に対する付着面積が小さくなるからである。
【0059】
また、接続強度と平均S/N比との両方の観点から考慮すると、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、裏面はんだ接続長さの設定値を水準2の設定値、即ちシリコン基板1の縦寸法L2の1/30とするのがよいと考えられる。
【0060】
従って、裏面はんだ接続長さ(因子記号H)の設定値は、シリコン基板1の縦寸法L2の1/60〜1/30の範囲内とするのが望ましい。
【0061】
なお、計測特性値の安定性はS/N比で与えられており、S/N比は対数値であるので、計測特性値の安定性の向上分には、加法性があると考えられる。従って、各制御因子の平均S/N比の増分の和がシリコン基板1の変形の総合的な安定性の向上分を示すことになる。
【0062】
最後に、シリコン基板1の反り量が小さくなるように、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を調整する。表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を除く上記の各制御因子については、主に計測特性値の安定性という観点からシミュレーションにより設定値を求めているが、実際の太陽電池セルにはシミュレーションに用いられていない多くの因子が存在しているので、シリコン基板1の反り量の絶対値は、太陽電池セルを実際に試作することによって、調整し確認する必要がある。従って、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)の調整は、太陽電池セルを実際に試作して行う。
【0063】
試作の太陽電池セルの各制御因子の設定値は、上記で求めた各制御因子の設定範囲内から選択する。ここでは、各制御因子の設定値は、上記で設定したそれぞれの設定範囲の中間値としている。また、他の因子の設定値は、図6に示す固定値としている。
【0064】
このような条件で、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を実際に調整し、シリコン基板1の反り量を計測する。ここでは、太陽電池セルを10個試作し、それぞれの反り量の平均値をシリコン基板1の反り量としている。
【0065】
図11は、試作の太陽電池セルの計測により得られた反り量と表面側タブ4の厚さとの関係を示すグラフである。図に示すように、表面側タブ4の厚さの設定値をシリコン基板1の厚さTの約6/10としたときに、シリコン基板1の反り量が最も小さく、0.075mmとなった。この反り量は、従来の太陽電池セルの反り量の1/5以下である。
また、太陽電池の製造プロセスでのシリコン基板1の亀裂の発生率は、従来の亀裂発生率の約1/10となった。
【0066】
このような構成の太陽電池では、表面側タブ4のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りと、裏面側電極7の焼成及び裏面側タブ11のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りとが互いに相殺されるように、表面側タブ4の厚さが調整されているので、シリコン基板1の変形を安定させたまま表面側タブ4の厚さのみの調整でシリコン基板1の反り量を小さくすることができる。
【0067】
また、ベース電極9の厚さがシリコン基板1の厚さの1/30〜1/15の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0068】
また、表面2と表面側タブ4との間、及びランド電極10と裏面側タブ11との間に設けられたはんだ部5及び12の厚さがともにシリコン基板1の厚さの1/30〜1/10の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0069】
また、裏面側タブ11の厚さがシリコン基板1の厚さの1/4〜1/3の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0070】
表面側タブ4の幅方向について、表面側タブ4の寸法がシリコン基板1の寸法の1/75〜1/50の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0071】
裏面側タブ11の幅方向について、裏面側タブ11の寸法がシリコン基板1の寸法の1/40〜1/20の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0072】
裏面側タブ11の長手方向について、各ランド電極10の配置間隔がシリコン基板1の寸法の1/9〜1/7であるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0073】
裏面側タブ11の長手方向について、ランド電極10に設けられたはんだ部12の寸法がシリコン基板1の寸法の1/60〜1/30の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0074】
なお、上記の例のように、すべての制御因子の設定値が上記の設定条件の範囲内であることが望ましいが、一部の制御因子の設定値のみを設定条件の範囲内とするだけでも、シリコン基板1の反りによる変形を従来よりは安定させることができる。
【0075】
また、上記の例では、表面側タブ4の厚さの設定値がシリコン基板1の厚さTの約6/10とされているが、表面側タブ4の厚さの設定値は、実際の太陽電池セルごとに設定する調整値であるので、シリコン基板1の厚さTの約6/10に限定されるものではない。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る太陽電池では、表面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りと、裏面側電極の焼成及び裏面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りとが互いに相殺されるように、表面側タブの厚さが調整されているので、半導体基板の変形を安定させたまま表面側タブの厚さのみの調整で半導体基板の反りを小さくすることができる。従って、製造時での半導体基板の亀裂の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による太陽電池セルを示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるシリコン基板の裏面にアルミペーストが付着された状態を示す縦断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるシリコン基板に表面側電極及び裏面側電極が付着された状態を示す縦断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるシリコン基板、ベース電極、はんだ部、表面側タブ、裏面側タブ及びランド電極のそれぞれの材料及び寸法に関する因子についての設定値の一例を示す表である。
【図7】この発明の実施の形態1によるシミュレーションに用いられる太陽電池セルモデルを示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1による水準1〜水準3の各制御因子の設定値、各実験条件の制御因子の組み合わせ、シミュレーションによって得られた各実験条件での計測特性値、及び各実験条件でのS/N比を示す表である。
【図9】この発明の実施の形態1による各制御因子の水準1〜3における平均S/N比を示す表である。
【図10】図9に示される平均S/N比を各制御因子の水準ごとに示すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態1による太陽電池セルの計測により得られた反り量と表面側タブの厚さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリコン基板(半導体基板)、2 表面、4 表面側タブ、5,12 はんだ部、6 裏面、7 裏面側電極、8 穴部、9 ベース電極、10 ランド電極、11 裏面側タブ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、半導体基板の表面及び裏面に電極が設けられた太陽電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の太陽電池では、光エネルギから電気エネルギに変換するために単結晶あるいは多結晶のシリコン基板が用いられている。シリコン基板の表面及び裏面には導電性膜である電極がそれぞれ設けられている。電極は、金属粉末を含むペーストをシリコン基板にスクリーン印刷して焼成することにより作製される。各電極には、シリコン基板に発生する電気エネルギを取り出すための電極タブがそれぞれはんだにより接続されている。電極及び電極タブが設けられたシリコン基板は、樹脂により封止されて太陽電池モジュールとされている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−335267号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような従来の太陽電池では、シリコン基板、電極及び電極タブのそれぞれの線膨張係数が互いに異なるので、電極の焼成時や電極タブのはんだ付け時にシリコン基板に反りが生じる。この反りにより、樹脂封止の際にシリコン基板に亀裂が生じる虞がある。
【0005】
そこでこの発明は、上記のような問題点を解決することを課題とするもので、製造時での半導体基板の亀裂の発生を防止することができる太陽電池を得ることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る太陽電池は、表面及び裏面を有する半導体基板、表面に沿って延び、かつ、はんだ付けにより表面に設けられた表面側タブ、加熱焼成により裏面に設けられた裏面側電極、及び裏面に沿って延び、かつ、はんだ付けにより裏面側電極に設けられた裏面側タブを備え、表面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りと、裏面側電極の焼成及び裏面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りとが互いに相殺されるように、表面側タブの厚さが調整されている。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1による太陽電池セルを示す斜視図である。また、図2は図1のII−II線に沿った断面図、図3は図2のIII−III線に沿った断面図である。図において、半導体基板であるシリコン基板1は、互いに平行な表面2及び裏面6を有する平板である。シリコン基板1の表面2には、複数の表面側電極3が付着されている。各表面側電極3は、表面2に沿って同一方向へ延びており、互いに間隔を置いて配置されている。また、各表面側電極3は、銀粉末を含む導電性膜である。表面2は、太陽電池セルの受光面となっている。表面2の受光により、シリコン基板1に電気エネルギが発生する。ここでは、シリコン基板1の厚さTは300μm、横寸法(表面側電極3が延びている方向のシリコン基板1の寸法)L1は150mm、縦寸法(表面側電極3が延びている方向に対して垂直な方向のシリコン基板1の寸法)L2は150mmとなっている。
【0008】
表面2及び表面側電極3には、銅製の板状電極タブである2本の表面側タブ4がはんだ部5を介して接続されている。各表面側タブ4は、各表面側電極3が延びている方向に対して垂直な方向へ表面2に沿って延びている。はんだ部5は、表面側タブ4のシリコン基板1側の面全体に設けられている。
【0009】
シリコン基板1の裏面6には、導電性の裏面側電極7が付着されている。裏面側電極7は、裏面6の全面に付着されている。また、裏面側電極7は、複数の穴部8が形成されたベース電極9と、各穴部8に配置された複数のランド電極10とを有している。ベース電極9は、アルミニウム粉末を含む導電性膜である。各ランド電極10は、銀粉末を含む導電性膜である。各穴部8は、シリコン基板1の縦寸法L2の方向へ裏面6に沿って間隔を置いて配置されている。各ランド電極10は、ベース電極9に電気的に接続されており、裏面6にそれぞれ付着されている。ここでは、各ランド電極10は、等間隔に配置されている。また、各ランド電極10の配置間隔は、シリコン基板1の縦寸法L2をランド電極10の個数で割った値にされている。
【0010】
各ランド電極10には、銅製の板状電極タブである2本の裏面側タブ11がはんだ部12を介して接続されている。はんだ部12は、各ランド電極10と裏面側タブ11との間にのみ設けられている。各裏面側タブ11は、表面側タブ4に対して平行に配置されている。即ち、各裏面側タブ11は、表面側タブ4が延びている方向へ裏面6に沿って延びている。シリコン基板1に発生する電気エネルギは、表面側タブ5及び裏面側タブ11を通じて外部へ取り出される。
【0011】
次に、このような構成の太陽電池セルの製造方法について説明する。
まず、オキシ塩化リンによるリン拡散により、多結晶のp型半導体であるシリコンの板の外周部にn型半導体層を形成する。この後、シリコンの板の一面をレジストで保護し、一面に形成されたn型半導体層を残して、エッチングにより他のn型半導体層を除去する。これにより、n型半導体層側に表面2を有するシリコン基板1が作製される(半導体基板製造工程)。
【0012】
次に、アルミニウム粉末、ガラス粉末及び樹脂が有機溶剤に混合されて作製されたペースト(以下、「アルミペースト」という)をスクリーン印刷によりシリコン基板1の裏面6に付着させる。このとき、所定の位置(後に穴部8となる位置)には、アルミペーストを付着させず裏面6を露出させておく(図4)。この後、銀粉末、ガラス粉末及び樹脂が有機溶剤に混合されて作製されたペースト(以下、「銀ペースト」という)をスクリーン印刷により裏面6の露出位置に付着させる。この後、スクリーン印刷により、銀ペーストをシリコン基板1の表面2の所定の部分に付着させる(ペースト付着工程)。
【0013】
この後、アルミペースト及び銀ペーストが付着されたシリコン基板1を近赤外炉による700〜750℃の乾燥空気中で数十秒から数分間加熱焼成する(焼成工程)。これにより、裏面6に付着されたアルミペーストはベース電極9に、裏面6に付着された銀ペーストはランド電極10に、表面2に付着された銀ペーストは表面側電極3になる(図5)。また、焼成工程では、アルミペーストからのアルミニウム原子の拡散により、シリコン基板1のベース電極9側の部分にBSF層(Back Surface Field 層)が形成される(電極製造工程)。
【0014】
この後、表面2及び表面側電極3に表面側タブ4を、ランド電極10に裏面側タブ11をそれぞれはんだ付けにより接続する(タブ接続工程)。
この後、樹脂であるエチレンビニルアセテートにより、表面側タブ4及び裏面側タブ11を接続したシリコン基板1を強化ガラスに封止し、太陽電池モジュールを製造する(封止工程)。
【0015】
次に、ベース電極9、はんだ部5,12、表面側タブ4、裏面側タブ11及びランド電極10のそれぞれの寸法(設定値)の設定方法について説明する。
図6は、シリコン基板1、ベース電極9、はんだ部5,12、表面側タブ4、裏面側タブ11及びランド電極10のそれぞれの材料及び寸法に関する因子についての設定値の一例を示す表である。図における各因子のうちから、設定値の変更が比較的容易な因子を制御因子として選択する。即ち、ベース電極9の厚さ(因子記号A)、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)、表面側タブ4の幅(因子記号E)、裏面側タブ11の幅(因子記号F)、ランド電極10の配置間隔(図6では、1本の裏面側タブ11に接続されるランド電極10の個数で示している)(因子記号G)及び裏面側タブ11の長手方向についてのはんだ部12の長さ(以下、「裏面はんだ接続長さ」という)(因子記号H)を制御因子として選択する。なお、はんだ部5及びはんだ部12のそれぞれの厚さは、互いに常に同一としている。
【0016】
各制御因子の設定値は、各制御因子についてあらかじめ設定された水準1〜水準3(ベース電極9の厚さについては、水準1及び水準2)の設定値の中から選択する。そして、各制御因子の設定値の組み合わせが互いに異なる条件、即ち各制御因子についての水準の組み合わせが互いに異なる条件(以下、「各実験条件」という)のもとで設定された太陽電池セルモデルについて有限要素法による応力シミュレーション解析(以下、単に「シミュレーション」という)をそれぞれ行い、シリコン基板1の反りの大きさ(以下、「反り量」という)を求める。ここでは、焼成工程での温度を700℃とし、はんだ付け温度を240℃としている。また、SASIP社製のANSYS(登録商標)によりシミュレーションを行っている。なお、シミュレーションでの各制御因子以外の各因子の設定値は、図6に示す固定値である。
【0017】
図7は、シミュレーションに用いられる太陽電池セルモデルを示す斜視図である。図において、太陽電池セルモデルは、太陽電池セルの1/4対称モデルである。また、太陽電池セルモデルは、太陽電池セルの中心点である点Pと座標中心Oが一致した状態でxyz直交座標系に配置されている。なお、x軸はシリコン基板1の横寸法L1の方向に、y軸はシリコン基板1の縦寸法L2の方向に、z軸はシリコン基板1の厚さ方向にそれぞれ対応している。
【0018】
シミュレーションによる結果は、太陽電池セルモデルの四隅の点、即ち図7に示す点P(0,0,D0)、点Q(0,L2/2,D1),点R(L1/2,0,D2),点S(L1/2,L2/2,D3)の4つの点の座標中心O(0,0,0)に対するz軸方向のそれぞれの変位(計測特性値)によって表す。ここでは、裏面6側から表面2側へのz軸に沿った向きを正、D0=0としている。また、点P,点Q,点R,点Sのz軸方向の変位の4つの値のうち、最大値と最小値との差を反り量とする。
例えば、シミュレーションの結果がD0=0mm、D1=−0.173mm、D2=−0.220mm、D3=−0.397mmである場合、反り量は、最大値であるD0から最小値であるD3を差し引いて、0−(−0.397)=0.397mmとなる。
【0019】
各実験条件での反り量を求めた後、各実験条件についてのS/N比ηを以下の式により求める。
η=−10×log(Ve)[db]
ただし、Ve=(ST−Sm)/(n−1)、ST=D0 2+D1 2+D2 2+D3 2、Sm=(D0+D1+D2+D3)2/n、n=測定点数(ここでは、n=4)である。
S/N比ηは計測特性値の安定性を示す尺度であり、D0,D1,D2,D3の互いの変位のばらつきが小さいほど、計測特性値の安定性が高くS/N比ηの値が大きくなる。
【0020】
図8は、各制御因子の水準1〜水準3の設定値、各実験条件での制御因子の設定値の組み合わせ、シミュレーションによって得られた各実験条件での計測特性値、及び各実験条件でのS/N比を示す表である。図8において、水準1〜水準3が記載されている行には、各水準に対応する各制御因子(因子記号A〜H)の設定値がそれぞれ示されている。また、第1〜第18の実験条件が記載されている行には、各実験条件に対応する各制御因子の設定値の組み合わせがそれぞれ示されている。ここで、各実験条件の行と因子記号A〜Hの列との交差箇所にそれぞれ示された1〜3の数字は、各実験条件での制御因子の設定値に対応する水準を示している。
【0021】
例えば、第1の実験条件では、各制御因子の設定値がすべて水準1の設定値とされているので、ベース電極9の厚さ(因子記号A)がT/15、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)がT/10、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)がT/3、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)がT/4、表面側タブ4の幅(因子記号E)がL1/100、裏面側タブ11の幅(因子記号F)がL1/75、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)がL2/3(ランド電極10の個数が1本の裏面側タブ11当たり3個)、及び裏面はんだ接続長さ(因子記号H)がL2/60とされ、シミュレーションされる。
【0022】
第1の実験条件でのシミュレーション結果は、図8に示すように、D1=−0.171mm、D2=−0.144mm、D3=−0.317mmとなり、S/N比η1の値は17.7dbとなる。
同様にして、第2〜第18の実験条件でのS/N比η2〜η18もそれぞれ求める。
【0023】
次に、シミュレーション結果から求めた第1〜第18の実験条件でのそれぞれのS/N比η1〜η18を用いて、シリコン基板1の変形に対する各水準での各制御因子の影響度を評価する。ここでは、表面側タブ4の幅(因子記号E)を例にとって説明する。
【0024】
まず、表面側タブ4の幅の設定値が水準1である実験条件でのS/N比、即ちη1,η6,η7,η11,η14,η18の平均S/N比ηE1を以下のようにして求める。
ηE1=(η1+η6+η7+η11+η14+η18)/6
【0025】
同様に、表面側タブ4の幅の設定値が水準2及び水準3である実験条件でのS/N比の平均S/N比ηE2及びηE3もそれぞれ以下のようにして求める。
ηE2=(η2+η4+η8+η12+η15+η16)/6
ηE3=(η3+η5+η9+η10+η13+η17)/6
【0026】
その結果、平均S/N比ηE1=14.5db、平均S/N比ηE2=16.2db、平均S/N比ηE3=18.1dbとなる。即ち、表面側タブ4の幅の設定値が水準3である場合の平均S/N比ηE3が最も大きい値となる。これにより、表面側タブ4の幅については、水準1及び水準2のそれぞれの設定値とするよりも水準3の設定値とするほうが、計測特性値の互いのばらつきが小さくなり(即ち、計測特性値の安定性が高くなり)、シリコン基板1の変形が総合的に安定する。即ち、表面側タブ4の幅を水準3の設定値とすると、シリコン基板1に反りが生じたときに、シリコン基板1の一部分だけが大きく変形するようなことが生じにくくなり、全体的に均等に変形しやすくなる。
【0027】
また、同一の制御因子では、各水準における平均S/N比の間に大きな差があるほど、制御因子の設定値の変更により計測特性値の互いのばらつきが大きく変化することを示しているので、シリコン基板1の計測特性値の安定性に対する設定値の影響度が大きくなる。
【0028】
図9は各制御因子の水準1〜3における平均S/N比を示す表であり、図10は図9に示される各水準の平均S/N比を制御因子ごとに示すグラフである。図に示すように、同一の制御因子の各水準における平均S/N比の差が大きい制御因子は、ベース電極9の厚さ(因子記号A)、表面側タブ4の幅(因子記号E)、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)、及び裏面はんだ接続長さ(因子記号H)であり、差が小さい制御因子は、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)、裏面側タブ11の幅(因子記号F)である。
【0029】
従って、ベース電極9の厚さ(因子記号A)、表面側タブ4の幅(因子記号E)、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)、及び裏面はんだ接続長さ(因子記号H)は、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)、裏面側タブ11の幅(因子記号F)に比べて、シリコン基板1の計測測定値の安定性に対する設定値の影響度が大きくなる。
【0030】
ここで、シリコン基板1の反りは、焼成工程及びタブ接続工程において主に発生する。焼成工程ではシリコン基板1の線膨張係数と裏面側電極7の線膨張係数との違いにより、タブ接続工程ではシリコン基板1の線膨張係数と表面側タブ4及び裏面側タブ11の線膨張係数との違いにより、シリコン基板1の反りが発生する。シリコン基板1の線膨張係数が4ppm/K、裏面側電極7の主成分であるアルミニウム粉末の線膨張係数が23ppm/K、銅製の表面側タブ4及び裏面側タブ11の線膨張係数が16ppm/Kであるので、シリコン基板1の収縮率よりも裏面側電極7、表面側タブ4及び裏面側タブ11の収縮率が大きい。このことから、裏面側電極7の焼成及び裏面側タブ11のはんだ付けにより、特性計測値が負の値をとるようにシリコン基板1に反りが生じるのに対し、表面側タブ4のはんだ付けにより、特性計測値が正の値をとるようにシリコン基板1に反りが生じる。
【0031】
各実験条件でのシミュレーションの結果では、計測特性値のほとんどが負の値である(図8参照)ことから、計測特性値が正の値をとるようにシリコン基板1に反りを生じさせる表面側タブ4によって、シリコン基板1の反りを抑制するための最終的な調整を行うのがよい。また、表面側タブ4に関係する制御因子は、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)及び表面側タブ4の幅(因子記号E)の2種類であるが、上記のように、各水準における平均S/N比の間の差が小さい制御因子、即ちシリコン基板1の計測特性値の安定性に対する設定値の影響度が小さい制御因子が調整に適しているので、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を最後に設定する。
【0032】
以下、各制御因子の設定値について順に検討する。
まず、ベース電極9の厚さ(因子記号A)について検討する。水準1が適用される実験条件での平均S/N比ηA1は、水準2が適用される実験条件での平均S/N比ηA2よりも大幅に大きくなっている。また、水準1の設定値がT/15であり、水準2の設定値がT/12であることから、ベース電極9の厚さを小さくするほど、平均S/N比が大きくなることが期待される。
【0033】
従って、水準1及び水準2の設定値のうちでは、ベース電極9の厚さの設定値を水準1の設定値、即ちシリコン基板1の厚さTの1/15とするのがよい。
【0034】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測してみると、ベース電極9の厚さがT/30未満になると、急激に発電効率が低下することが分かった。これは、ベース電極9の厚さを小さくすることによって、十分な裏面光反射効果が得られなかったり、シリコン基板1にBSF層が十分形成されず抵抗損が発生したりするためであると考えられる。なお、試作された太陽電池セルのシリコン基板1の厚さTは、300μmとしている。
【0035】
従って、ベース電極9の厚さ(因子記号A)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/30〜1/15の範囲内とするのが望ましい。
【0036】
次に、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηB1〜ηB3の間には、大きな差はない。即ち、はんだ部5及び12の厚さが水準1〜水準3のいずれの設定値であっても、計測特性値の安定性はあまり変化しない。従って、計測特性値の安定性の観点からは、はんだ部5及び12の厚さを自由に設定することができると考えられる。
【0037】
また、封止工程での加圧を考慮すると、太陽電池セルの表面の凹凸は小さいほどよい。従って、はんだ部5及び12の厚さが小さいほどよい。このことから、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、はんだ部5及び12の厚さを水準1の設定値、即ちシリコン基板1の厚さTの1/10とするのがよい。
【0038】
また、太陽電池セルを実際に試作してはんだ部5及び12の接続強度(剥離させるために必要な強度)を計測した結果、はんだ部5及び12の厚さがシリコン基板1の厚さTの1/30未満になると、必要な接続強度を得ることができないことが分かった。
【0039】
従って、はんだ部5及び12の厚さ(因子記号B)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/30〜1/10の範囲内とするのが望ましい。
【0040】
次に、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηD1〜ηD1の間には、大きな差はない。即ち、裏面側タブ11の厚さが水準1〜水準3のいずれの設定値であっても、計測特性値の安定性はあまり変化しない。従って、計測特性値の安定性の観点からは、裏面側タブ11の厚さを自由に設定することができると考えられる。
【0041】
また、封止工程での加圧を考慮すると、太陽電池セルの表面の凹凸は小さいほどよい。従って、裏面側タブ11の厚さが小さいほどよい。そこで、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、裏面側タブ11の厚さがシリコン基板1の厚さTの1/4未満になると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、裏面側タブ11の断面積が小さくなると、抵抗損によって電圧降下するためである。
【0042】
また、封止工程での加圧と発電効率との両方について考慮すると、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、裏面側タブ11の厚さを水準2の設定値、即ちシリコン基板1の厚さTの1/3とするのがよいと考えられる。
【0043】
従って、裏面側タブ11の厚さ(因子記号D)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/4〜1/3の範囲内とするのが望ましい。
【0044】
次に、表面側タブ4の幅(因子記号E)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηE1〜ηE3の間には大きな差があり、平均S/N比ηE1、ηE2及びηE3の順に値が大きくなっている。このことから、表面側タブ4の幅の設定値を大きくするほど、平均S/N比が大きくなることが期待される。
【0045】
従って、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、表面側タブ4の幅の設定値を水準3の設定値、即ちシリコン基板1の縦寸法L1の1/50とするのがよい。
【0046】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、表面側タブ4の幅がシリコン基板1の横寸法L1の1/50を超えると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、表面側タブ4の幅が大きくなることによって、受光面の有効面積が小さくなるからであると考えられる。
【0047】
さらに、表面側タブ4の幅がシリコン基板1の横寸法L1の1/75未満になると、封止工程において表面側タブ4に応力が集中し、シリコン基板1が割れてしまう確率が急激に上昇することが分かった。
【0048】
このようなことから、表面側タブ4の幅(因子記号E)の設定値は、シリコン基板1の厚さTの1/75〜1/50の範囲内とするのが望ましい。
【0049】
次に、裏面側タブ11の幅(因子記号F)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηF1〜ηF1の間には、大きな差はない。即ち、裏面側タブ11の幅が水準1〜水準3のいずれの設定値であっても、計測特性値の安定性はあまり変化しない。従って、計測特性値の安定性の観点からは、裏面側タブ11の幅を自由に設定することができると考えられる。
【0050】
また、封止工程での太陽電池セルの表面の凹凸の影響と、裏面側タブ11の抵抗損とを考慮すると、裏面側タブ11の幅は大きいほどよい。このことから、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、水準3の設定値、即ち裏面側タブ11の幅の設定値をシリコン基板1の横寸法L1の1/40とするのがよい。
【0051】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、裏面側タブ11の幅がシリコン基板1の横寸法L1の1/20を超えると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、裏面側タブ11の幅が大きくなるに伴ってランド電極10の幅も大きくなり、BSF層の形成に寄与するベース電極9の裏面6に付着する面積が小さくなるからである。BSF層はシリコン基板1内でのキャリアの再結合を抑制するものであるので、BSF層がシリコン基板1に十分形成されていないと太陽電池セルの発電効率は低下する。このようなことから、裏面側タブ11の幅を大きくするほど、発電効率が低下するものと考えられる。
【0052】
従って、裏面側タブ11の幅(因子記号F)の設定値は、シリコン基板1の横寸法L1の1/40〜1/20の範囲内とするのが望ましい。
【0053】
次に、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηF1〜ηF3の間には大きな差があり、平均S/N比ηF1、ηF2及びηF3の順に値が大きくなっている。このことから、ランド電極10の配置間隔を小さくするほど、即ちランド電極10の個数の設定値を多くするほど、平均S/N比が大きくなることが期待される。
【0054】
従って、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、表面側タブ4の幅の設定値を水準3の設定値、即ちシリコン基板1の縦寸法L2の1/7とするのがよい。
【0055】
また、太陽電池セルを実際に試作して発電効率を計測した結果、ランド電極10の配置間隔がシリコン基板1の縦寸法L2の1/9よりも小さくなる、即ち1本の裏面側タブ11に適用されるランド電極10の個数が9個を超えると、必要な発電効率が得られないことが分かった。これは、ランド電極10の個数の増加により、ベース電極9の裏面6に付着された面積が小さくなり、焼成工程で形成されるBSF層の領域が小さくなるからである。
【0056】
従って、ランド電極10の配置間隔(因子記号G)の設定値は、シリコン基板1の縦寸法L2の1/9〜1/7の範囲内とするのが望ましい。
【0057】
次に、裏面はんだ接続長さ(因子記号H)について検討する。水準1〜水準3にそれぞれ対応する平均S/N比ηH1〜ηH3の間には大きな差があり、平均S/N比ηH1、ηH2及びηH3の順に値が小さくなっている。このことから、裏面はんだ接続長さを小さくするほど、平均S/N比が大きくなると考えられる。
【0058】
また、太陽電池セルを実際に試作してはんだ部12の接続強度を計測した結果、裏面はんだ接続長さがシリコン基板1の縦寸法L2の1/60未満になると、必要な接続強度を得ることができないことが分かった。これは、裏面はんだ接続長さが小さくなることにより、はんだ部12の裏面側タブ11及びランド電極10に対する付着面積が小さくなるからである。
【0059】
また、接続強度と平均S/N比との両方の観点から考慮すると、水準1〜水準3のそれぞれの設定値の中では、裏面はんだ接続長さの設定値を水準2の設定値、即ちシリコン基板1の縦寸法L2の1/30とするのがよいと考えられる。
【0060】
従って、裏面はんだ接続長さ(因子記号H)の設定値は、シリコン基板1の縦寸法L2の1/60〜1/30の範囲内とするのが望ましい。
【0061】
なお、計測特性値の安定性はS/N比で与えられており、S/N比は対数値であるので、計測特性値の安定性の向上分には、加法性があると考えられる。従って、各制御因子の平均S/N比の増分の和がシリコン基板1の変形の総合的な安定性の向上分を示すことになる。
【0062】
最後に、シリコン基板1の反り量が小さくなるように、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を調整する。表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を除く上記の各制御因子については、主に計測特性値の安定性という観点からシミュレーションにより設定値を求めているが、実際の太陽電池セルにはシミュレーションに用いられていない多くの因子が存在しているので、シリコン基板1の反り量の絶対値は、太陽電池セルを実際に試作することによって、調整し確認する必要がある。従って、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)の調整は、太陽電池セルを実際に試作して行う。
【0063】
試作の太陽電池セルの各制御因子の設定値は、上記で求めた各制御因子の設定範囲内から選択する。ここでは、各制御因子の設定値は、上記で設定したそれぞれの設定範囲の中間値としている。また、他の因子の設定値は、図6に示す固定値としている。
【0064】
このような条件で、表面側タブ4の厚さ(因子記号C)を実際に調整し、シリコン基板1の反り量を計測する。ここでは、太陽電池セルを10個試作し、それぞれの反り量の平均値をシリコン基板1の反り量としている。
【0065】
図11は、試作の太陽電池セルの計測により得られた反り量と表面側タブ4の厚さとの関係を示すグラフである。図に示すように、表面側タブ4の厚さの設定値をシリコン基板1の厚さTの約6/10としたときに、シリコン基板1の反り量が最も小さく、0.075mmとなった。この反り量は、従来の太陽電池セルの反り量の1/5以下である。
また、太陽電池の製造プロセスでのシリコン基板1の亀裂の発生率は、従来の亀裂発生率の約1/10となった。
【0066】
このような構成の太陽電池では、表面側タブ4のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りと、裏面側電極7の焼成及び裏面側タブ11のはんだ付けにより生じるシリコン基板1の反りとが互いに相殺されるように、表面側タブ4の厚さが調整されているので、シリコン基板1の変形を安定させたまま表面側タブ4の厚さのみの調整でシリコン基板1の反り量を小さくすることができる。
【0067】
また、ベース電極9の厚さがシリコン基板1の厚さの1/30〜1/15の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0068】
また、表面2と表面側タブ4との間、及びランド電極10と裏面側タブ11との間に設けられたはんだ部5及び12の厚さがともにシリコン基板1の厚さの1/30〜1/10の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0069】
また、裏面側タブ11の厚さがシリコン基板1の厚さの1/4〜1/3の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0070】
表面側タブ4の幅方向について、表面側タブ4の寸法がシリコン基板1の寸法の1/75〜1/50の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0071】
裏面側タブ11の幅方向について、裏面側タブ11の寸法がシリコン基板1の寸法の1/40〜1/20の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0072】
裏面側タブ11の長手方向について、各ランド電極10の配置間隔がシリコン基板1の寸法の1/9〜1/7であるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0073】
裏面側タブ11の長手方向について、ランド電極10に設けられたはんだ部12の寸法がシリコン基板1の寸法の1/60〜1/30の範囲内にあるので、シリコン基板1の変形をさらに安定させることができる。
【0074】
なお、上記の例のように、すべての制御因子の設定値が上記の設定条件の範囲内であることが望ましいが、一部の制御因子の設定値のみを設定条件の範囲内とするだけでも、シリコン基板1の反りによる変形を従来よりは安定させることができる。
【0075】
また、上記の例では、表面側タブ4の厚さの設定値がシリコン基板1の厚さTの約6/10とされているが、表面側タブ4の厚さの設定値は、実際の太陽電池セルごとに設定する調整値であるので、シリコン基板1の厚さTの約6/10に限定されるものではない。
【0076】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、この発明に係る太陽電池では、表面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りと、裏面側電極の焼成及び裏面側タブのはんだ付けにより生じる半導体基板の反りとが互いに相殺されるように、表面側タブの厚さが調整されているので、半導体基板の変形を安定させたまま表面側タブの厚さのみの調整で半導体基板の反りを小さくすることができる。従って、製造時での半導体基板の亀裂の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による太陽電池セルを示す斜視図である。
【図2】図1のII−II線に沿った断面図である。
【図3】図2のIII−III線に沿った断面図である。
【図4】この発明の実施の形態1によるシリコン基板の裏面にアルミペーストが付着された状態を示す縦断面図である。
【図5】この発明の実施の形態1によるシリコン基板に表面側電極及び裏面側電極が付着された状態を示す縦断面図である。
【図6】この発明の実施の形態1によるシリコン基板、ベース電極、はんだ部、表面側タブ、裏面側タブ及びランド電極のそれぞれの材料及び寸法に関する因子についての設定値の一例を示す表である。
【図7】この発明の実施の形態1によるシミュレーションに用いられる太陽電池セルモデルを示す斜視図である。
【図8】この発明の実施の形態1による水準1〜水準3の各制御因子の設定値、各実験条件の制御因子の組み合わせ、シミュレーションによって得られた各実験条件での計測特性値、及び各実験条件でのS/N比を示す表である。
【図9】この発明の実施の形態1による各制御因子の水準1〜3における平均S/N比を示す表である。
【図10】図9に示される平均S/N比を各制御因子の水準ごとに示すグラフである。
【図11】この発明の実施の形態1による太陽電池セルの計測により得られた反り量と表面側タブの厚さとの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 シリコン基板(半導体基板)、2 表面、4 表面側タブ、5,12 はんだ部、6 裏面、7 裏面側電極、8 穴部、9 ベース電極、10 ランド電極、11 裏面側タブ。
Claims (2)
- 表面及び裏面を有する半導体基板、
上記表面に沿って延び、かつ、はんだ付けにより上記表面に設けられた表面側タブ、
加熱焼成により上記裏面に設けられた裏面側電極、及び
上記裏面に沿って延び、かつ、はんだ付けにより上記裏面側電極に設けられた裏面側タブ
を備え、
上記表面側タブのはんだ付けにより生じる上記半導体基板の反りと、上記裏面側電極の焼成及び上記裏面側タブのはんだ付けにより生じる上記半導体基板の反りとが互いに相殺されるように、上記表面側タブの厚さが調整されていることを特徴とする太陽電池。 - 上記裏面側電極は、上記裏面側タブの長手方向に沿って等間隔に形成された複数の穴部を含むベース電極と、上記穴部に配置されたランド電極とを有し、
上記裏面側タブは、上記ランド電極にのみはんだ付けされており、
上記ベース電極の厚さが上記半導体基板の厚さの1/30〜1/15の範囲内にあること、
上記表面と上記表面側タブとの間、及び上記ランド電極と上記裏面側タブとの間に設けられたはんだ部の厚さがともに上記半導体基板の厚さの1/30〜1/10の範囲内にあること、
上記裏面側タブの厚さが上記半導体基板の厚さの1/4〜1/3の範囲内にあること、
上記表面側タブの幅方向について、上記表面側タブの寸法が上記半導体基板の寸法の1/75〜1/50の範囲内にあること、
上記裏面側タブの幅方向について、上記裏面側タブの寸法が上記半導体基板の寸法の1/40〜1/20の範囲内にあること、
上記裏面側タブの長手方向について、各上記ランド電極の配置間隔が上記半導体基板の寸法の1/9〜1/7であること、及び
上記裏面側タブの長手方向について、上記裏面側ランド電極に設けられたはんだ部の寸法が上記半導体基板の寸法の1/60〜1/30の範囲内にあること
のうちの少なくともいずれかの条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の太陽電池。
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JP2003130486A JP2004335786A (ja) | 2003-05-08 | 2003-05-08 | 太陽電池 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006278695A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Kyocera Corp | 太陽電池モジュール |
JP2008235354A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Sanyo Electric Co Ltd | 太陽電池モジュール |
JP2011505698A (ja) * | 2007-11-28 | 2011-02-24 | ユニバーシティ オブ フロリダ リサーチ ファンデーション インコーポレーティッド | ソーラーターフ:太陽エネルギーを捕捉する人工芝 |
-
2003
- 2003-05-08 JP JP2003130486A patent/JP2004335786A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2006278695A (ja) * | 2005-03-29 | 2006-10-12 | Kyocera Corp | 太陽電池モジュール |
JP2008235354A (ja) * | 2007-03-16 | 2008-10-02 | Sanyo Electric Co Ltd | 太陽電池モジュール |
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