JP2004335396A - 燃料電池を用いた電源装置における燃料電池最適動作点追尾回路、及びこの燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置 - Google Patents

燃料電池を用いた電源装置における燃料電池最適動作点追尾回路、及びこの燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置 Download PDF

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Kimisada Kobayashi
公禎 小林
Yutaka Sekine
豊 関根
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Abstract

【課題】本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、出力特性に温度依存性がある燃料電池の最適動作電圧を検出して、燃料電池の最適動作を可能にする燃料電池を用いた電源装置を提供する。
【解決手段】燃料電池DMFCの電力を入力とするスイッチング電源からなる電源装置において、燃料電池DMFCの近傍にPN接合ダイオードD1−1 ,D1−2 ,……D1−nを設け、PN接合ダイオードD1−1 ,D1−2 ,……D1−nに微少電流を給電して得た電圧の負の温度傾斜を、温度変化に対して、正の電圧傾斜を設定するように構成したレベル設定回路1を備えてあり、燃料電池DMFC及びその近傍の温度変化に追随して燃料電池DMFCの電力出力を最大となすようにしてあることを特徴とする燃料電池最適動作点追尾回路。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の電力をスイッチング電源を用いて所要の電力を得る電源装置に関するもので、特に燃料電池設置場所の外部環境の変化、即ち、温度などの変化が生じた場合にも、常に燃料電池から最大出力電力を給電できるようにする電源装置における燃料電池最適動作点追尾回路に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池から発電の状態に応じて、できる限り大きな電力を給電するようにした従来の例えば、図8で示すDC/DCコンバータ装置の最適動作点追尾回路は、装置の入力電源として接続される燃料電池DMFCの出力電圧を予め最大電力が得られるように予測して任意設定した固定電圧が使用される。
【0003】
また、太陽電池の電力を入力とするスイッチング電源装置における太陽電池最適動作点追尾回路で、太陽電池の近傍に設けられた太陽電池の温度特性と略同じ温度特性を有するPN接合ダイオードに電流を給電してPN接合ダイオードの順方向降下電圧を温度補償電圧として検出する温度補償電圧検出回路と、温度補償電圧検出回路により検出された電圧を所要増幅率で増幅して太陽電池の温度補償電圧を出力する増幅器と、増幅器の出力の温度補償電圧と太陽電池の出力電圧とを入力とする差動増幅器と、差動増幅器の出力の制御信号とスイッチング電源の出力を安定制御するための制御信号とを比較してスイッチング電源の制御用スイッチの駆動用信号を出力する比較器Fとを備えているものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−341699号公報(第3−6頁、第1,9図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、この場合には、燃料電池の周囲温度や発電に伴う発熱でプラス方向に変化する電池の最大電力給電のための最適動作電圧を追尾することが不可能である。
【0006】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、出力特性に温度依存性がある燃料電池の最適動作電圧を検出して、燃料電池の最適動作を可能にする燃料電池を用いた電源装置を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、温度変化により変動する燃料電池の最大出力電力を給電する動作電圧を追尾することができる。また、最適動作点追尾回路を使用することで安定した装置構成が実現できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置の一実施例を示すもので、燃料電池に接続されるスイッチング電源にDC−DCコンバータを用いた例として示してある。図1において、DMFCはDC−DCコンバータの入力に接続された燃料電池、Icon は定電流給電回路、D1−1 ,D1−2 ,……D1−nはそれぞれPN接合ダイオードで燃料電池DMFCと絶対値的にほぼ同じ温度特性を有するように複数個を縦続接続して構成するか、或いは接続個数を1又は少数の個数として後述する増幅器により調整するようにしてもよい。
【0009】
本発明に係る燃料電池最適動作点追尾回路は、燃料電池DMFCの近傍に設けられたPN接合ダイオードDに微少電流を給電することで、燃料電池DMFCの動作時温度をPN接合ダイオードD1−1 ,D1−2 ,……D1−nの順方向降下電圧の形で検出する温度補償電圧検出回路を備えてある。この温度補償電圧検出回路は増幅器#Aを備え、この増幅器#AはPN接合ダイオードD1−1 ,D1−2 ,……D1−nの順方向降下電圧を所要の温度補償電圧に増幅するものである。
【0010】
本発明に係る燃料電池最適動作点追尾回路は、検出電圧の負の温度傾斜を、温度変化に対して、正の電圧傾斜を設定するように構成したレベル設定回路1を備えてある。このレベル設定回路1の実施例については、図2及び図3に示してある。図2及び図3図示のレベル設定回路1は傾斜補償回路11及び直流補償回路12を備えてある。
【0011】
傾斜補償回路11は、減算器AMP1を有する。この減算器AMP1の一方で前記増幅器#Aで検出した信号を入力し、他方で設定温度のダイオード電圧Vdc2を基準値として、この基準信号を入力するように構成してある。
【0012】
図2図示のレベル設定回路1に備えてある直流補償回路12は、加算器AMP2を有する。この加算器AMP2の一方で傾斜補償回路11にてレベル変換された電圧傾斜を入力し、この加算器AMP2の他方で補償電圧Vdc3を調整印加して最適動作点電圧を生成するように構成してある。
【0013】
一方、図3図示の直流補償回路12は、抵抗R8と補償電圧Vdc3を備え、傾斜補償回路11に備えた減算器AMP1の基準側に接続し、傾斜補償回路11に直流補償回路12をまとめたような構成になっている。この減算器AMP1の一方で前記増幅器#Aで検出した信号を入力し、他方で設定温度のダイオード電圧Vdc2を基準値として、この基準信号を入力するとともに、補償電圧Vdc3を調整印加して電圧傾斜をレベル変換して、最適動作点電圧を生成するように構成してある。
【0014】
本発明に係る燃料電池最適動作点追尾回路は、差動増幅器#Bを備えてある。この差動増幅器#Bはレベル設定回路1の出力の温度・電流補償電圧と燃料電池の出力電圧とを入力し、制御信号を出力するよう構成してある。
【0015】
本発明に係る燃料電池最適動作点追尾回路は、比較器#Cを備えてある。この比較器#Cは、差動増幅器#Bの出力の制御信号と、電圧検出器#Dより負荷Rの出力電圧をレベル変換してなる電圧信号と、三角波発振器OSCから発振する安定制御するための制御信号とを比較し、スイッチング電源の制御用スイッチSに駆動信号を出力するものである。
【0016】
図4には図1とは別の実施例を示してある。この燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置は、動作状態検出回路2を備えてある。この動作状態検出回路2は、補償電圧と燃料電池の出力電圧とを所定時間毎に比較し、燃料電池が使用可能な状態であるかを検出する回路で、燃料電池の出力電圧が補償電圧を下回ったときに、スイッチング電源の制御用スイッチSの動作を停止して、燃料電池の出力電圧が補償電圧を上回ったときに、スイッチング電源の制御用スイッチSを正常に動作するもである。なお、この動作状態検出回路2は応急処置的に設けられたものなので、必ずしも必要な回路ではない。
【0017】
上記のように構成してある燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置は、以下のように作用する。なお、燃料電池DMFCの出力電流、出力電圧、及び出力電力の特性図を図5に示し、燃料電池DMFCの温度と出力電圧との関係図を図6に示し、最適動作電圧の温度依存性についての波形図を図7に示す。本発明に係る燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置は、先ず、順方向降下電圧を有するPN接合ダイオードD1−1 ,D1−2 ,……D1−nに定電流給電回路Iconより一定電流を流すことにより順方向降下電圧が得られる。この順方向効果電圧を増幅器#Aにて増幅し、これを温度補償電圧としてレベル設定回路1に入力する。
【0018】
燃料電池は図7に示すように、温度の上昇に比例して出力電圧が上昇する特性を有する。具体例としては、0℃のダイオード電圧を基準とする場合、ダイオードの順方向効果電圧は温度変化に対して、負の係数値−2mV/℃で変化する。これに対して燃料電池の温度係数は、ほぼ2mV/℃である。このような特性より、レベル設定回路1では以下のような作用をする。
【0019】
レベル設定回路1は上記の通り傾斜補償回路11を有する。この傾斜補償回路11は減算器AMP1を備え、温度補償電圧はこの減算器AMP1の一方の端子に入力される。一方、他方の端子側には基準電源を接続してあり、この基準電圧Vdc2を入力することにより、基準電源電圧から温度補償電圧を下記(1)式を用いて、減算器AMP1で計算して、燃料電池の温度係数を正の値に変換している。
【0020】
【数1】
Figure 2004335396
【0021】
また、図3図示の実施例ではレベル設定回路1に直流補償回路12を設けてある。この直流補償回路12は、図7で示すように、例えば、燃料電池の基準温度を0℃に設定した場合に、最適動作点は正であり、下記式(2)を用いて、最適動作点に直流補償値を与える。
【0022】
y=0.0021x+0.1352……(2)
【0023】
傾斜補償回路11により出力された傾斜補償電圧は直流補償回路12に設けた加算器AMP2の一方の端子に入力するとともに、基準電圧Vdc3を加算器AMP2の一方の端子に入力し、前述した式(2)を用いて、加算器AMP2で計算し、補償電圧を出力する。出力された補償電圧は図6に示すように、燃料電池の温度に対して正の係数で比例する。以上より、最適動作点電圧を生成することができる。
【0024】
次に、レベル設定回路1で得られた補償電圧を増幅器#Bの一方の端子に入力し、他方の端子に燃料電池出力電圧を入力する。これらを増幅器#Bに入力することにより、燃料電池出力電圧を補償電圧に制御するよう動作し、増幅器#Bの出力にはそれに必要な制御信号が現れる。また、スイッチング電源の出力に接続された負荷Roの出力電圧を電圧検出器#Dで検出する。
【0025】
前記制御信号と、前記出力電圧と、スイッチング電源を定電圧制御する制御信号、本実施例においては三角波発振器OSCから出力された三角波信号を比較器#Cにそれぞれ入力し、比較器#Cの出力に出力パルス波形が得られ、スイッチング電源の制御用スイッチSを制御する。従って、増幅器#Bの制御信号が優先される場合に燃料電池の最適動作点追尾が実現され、電圧検出器#Dの制御信号が優先される場合にスイッチング電源の出力定電圧制御が実現できる。
【0026】
図4図示の実施例では動作状態検出回路2を設けてある。この動作状態検出回路2は、燃料が極端に少ない場合に、スイッチング電源を別に設定する長い周期で動作一停止の繰り返しを行う。具体的には、燃料電池の検出する電圧が基準電圧を下回ると、制御用スイッチSへの制御パルスは発生せずに、燃料電池が使用できなくなる。つまり燃料が少なくなると、制御用スイッチの動作はパルス発生−停止という状態をランダムに繰り返される。そして、このパルスのランダム発生により電源装置から不快な動作音やノイズが発生し、電源装置は不安定動作を繰り返す。
【0027】
そこで、燃料が極端に減少した場合には、スイッチング電源を別に設定する長い周期で動作−停止の繰り返しを行う燃料電池の動作状態検出回路2の作用により、設定するタイマーの動作周期に同期して燃料電池の動作状態検出を行う。これにより、スイッチング電源の動作も常に一定周期となるため、例えば、タイマーの動作を1secに設定したとすれば、周波数は1Hzとなり可聴音とならず、ノイズ的に低周波数であり問題とならずに、燃料電池最適動作点追尾動作、及びスイッチング電源の出力定電圧制御を行うことができる。
【0028】
なお、前述した実施例は、スイッチング電源としてDC−DCコンバータを用いた例で説明したが、スイッチング電源としてDC−ACインバータを用いる場合にも本発明を適用することができる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、温度変化により変動する燃料電池の最大出力電力を給電する動作電圧を追尾することができる効果がある。また、最適動作点追尾回路を使用することで安定した装置構成が実現できる効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る一実施例を示す回路図である。
【図2】本発明の要部を示す回路図である。
【図3】図2とは別の実施例を示す回路図である。
【図4】図1とは別の実施例を示す回路図である。
【図5】燃料電池の出力電流、出力電圧及び出力電力特性図である。
【図6】燃料電池の温度と出力電圧との関係図である。
【図7】最適動作電圧の温度依存性に関する波形図である。
【図8】一従来例を示す回路図である。
【符号の説明】
1 レベル設定回路
2 動作状態検出回路
11 傾斜補償回路
12 直流補償回路
DMFC DC−DCコンバータの入力に接続された燃料電池
Icon 定電流給電回路
D1−1 ,D1−2 ,……D1−n PN接合ダイオード
AMP1 減算器
AMP2 増幅器
#A 増幅器
#B 差動増幅器
#C 比較器
#D 電圧検出器
OSC 三角波発振器
S 制御用スイッチS

Claims (9)

  1. 燃料電池の電力を入力とするスイッチング電源からなる電源装置において、
    該燃料電池の近傍にPN接合ダイオードを有する温度補償電圧検出回路と、
    該PN接合ダイオードに微少電流を給電して得た電圧の負の温度傾斜を、温度変化に対して、正の電圧傾斜を設定するように構成したレベル設定回路とを備えてあり、
    該燃料電池及びその近傍の温度変化に追随して該燃料電池の電力出力を最大となすようにしてあることを特徴とする燃料電池最適動作点追尾回路。
  2. 前記燃料電池の近傍に設けられたPN接合ダイオードに微少電流を給電することで、該燃料電池の動作時温度をPN接合ダイオードの順方向降下電圧の形で検出する温度補償電圧検出回路を備えてあることを特徴とする請求項1記載の燃料電池最適動作点追尾回路。
  3. 前記レベル設定回路は、前記PN接合ダイオードの順方向電圧を温度変化に対して電圧傾斜を設定する減算器を有する傾斜補償回路を備えてあることを特徴とする請求項1又は2記載の燃料電池最適動作点追尾回路。
  4. 前記レベル設定回路は、前記傾斜補償回路にてレベル変換された電圧傾斜に、補償電圧を調整印加して最適動作点電圧を生成する加算器を有する直流補償回路を備えてあることを特徴とする請求項3記載の燃料電池最適動作点追尾回路。
  5. 前記レベル設定回路の出力の温度・電流補償電圧と前記燃料電池の出力電圧とを入力とする差動増幅器を備えてあることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の燃料電池最適動作点追尾回路。
  6. 前記差動増幅器の出力の制御信号と前記スイッチング電源の出力を安定制御するための制御信号とを比較して前記スイッチング電源の制御用スイッチの駆動信号を出力する比較器を備えてあることを特徴とする請求項5記載の燃料電池最適動作点追尾回路。
  7. 前記補償電圧と前記燃料電池の出力電圧とを所定時間毎に比較し、該燃料電池の出力電圧が該補償電圧を下回ったときに、前記スイッチング電源の制御用スイッチの動作を停止して、該燃料電池の出力電圧が該補償電圧を上回ったときに、該スイッチング電源の制御用スイッチを正常に動作する動作状態検出回路を備えてあることを特徴とする請求項1乃至6記載の燃料電池最適動作点追尾回路。
  8. 前記温度補償電圧検出回路を構成する前記PN接合ダイオードを複数個直列に接続して構成してある請求項1乃至7のいずれかに記載燃料電池最適動作点追尾回路。
  9. 燃料電池の電力を入力とするスイッチング電源からなる電源装置において、
    該燃料電池の近傍にPN接合ダイオードを設け、
    該PN接合ダイオードに微少電流を給電して得た電圧の負の温度傾斜を、温度変化に対して、正の電圧傾斜を設定するように構成したレベル設定回路を備えてあり、
    該燃料電池及びその近傍の温度変化に追随して該燃料電池の電力出力を最大となすようにしたことを特徴とする請求項1乃至8記載の燃料電池最適動作点追尾回路を備えた電源装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113346113A (zh) * 2021-05-28 2021-09-03 襄阳达安汽车检测中心有限公司 一种燃料电池系统最佳运行温度标定方法

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