JP2000340873A - 固体レーザ装置の光出力制御方法、固体レーザ装置及びレーザ電源装置 - Google Patents

固体レーザ装置の光出力制御方法、固体レーザ装置及びレーザ電源装置

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JP2000340873A
JP2000340873A JP11148780A JP14878099A JP2000340873A JP 2000340873 A JP2000340873 A JP 2000340873A JP 11148780 A JP11148780 A JP 11148780A JP 14878099 A JP14878099 A JP 14878099A JP 2000340873 A JP2000340873 A JP 2000340873A
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千尋 岡土
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智裕 高瀬
Seiji Iwama
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高速光フィードバック制御機能を利用して、
レーザ光を直接制御してもその応答速度が十分に速く、
制御分解能が高い装置を実現する。 【解決手段】 電源にスイッチング回路2A,2Bを用い
て、励起光源7への注入電流を瞬時値制御する。この瞬
時値制御において、光量検出手段12によってレーザ媒質
8から射出される光量を監視し、光出力制御手段13によ
り光量検出値を外部90から与えられる光出力設定値と比
較して、その誤差分を小さくするように光出力期間中に
励起光源に対する注入電流の出力指示値を補正しなが
ら、レーザ光出力を瞬時に所定の値に収束させる。こう
して、光出力設定値が一定であっても、レーザ光出力が
変化すると、光量検出値と光出力設定値との誤差分が変
化し、この誤差分の変化に応じて励起光源に対する注入
電流の出力指示値を瞬時に補正する高速光フィードバッ
ク制御を動作を連続して行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、励起光源への印加
電圧、注入電流又は投入電力を瞬間的に制御する瞬時値
制御をして、レーザ出力を瞬時に補正する固体レーザ装
置の光出力制御方法、固体レーザ装置及びレーザ電源装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、固体レーザ装置は、その励起光源
にフラッシュランプ又は半導体レーザが用いられてい
る。励起光源にフラッシュランプを用いる場合、印加電
圧、注入電流又は投入電力を制御してレーザ光の出力
(以下、「レーザ出力」と記す)を制御している。また
半導体レーザの場合には注入電流を制御している。
【0003】ところが、励起光源への印加電圧、注入電
流又は投入電力は、レーザ出力を決定するパラメータの
1つにすぎない。そのために、高性能の電源を用いるこ
とによってこれらのパラメータに基づいて精度良くコン
トロールしたとしても、励起光源の性能及び発振器の性
能によってレーザ出力は変動してしまう。例えば、ラン
プ及び半導体レーザが劣化すると発光効率が低下する。
この結果、励起効率が下がり、レーザ出力も低下してし
まう。このランプ劣化によるレーザ出力の低下は、5〜
10%であるといわれている。
【0004】また、固体レーザ装置は、励起によって熱
的な影響を受ける。レーザ照射を開始すると、固体レー
ザ媒質の内部にはある種の温度勾配ができ始め、およそ
数秒後に定常状態に到達する。この温度勾配は、固体レ
ーザ媒質を一種の凸レンズとして作用させる(以下、こ
の現象を「熱レンズ効果」と称する)。すなわち、レー
ザ照射を開始すると、レーザ媒質の熱レンズ効果が少し
ずつ大きくなり、照射開始から定常状態に達するまでの
間は、発振状態が常に変化し、レーザ出力も変動する。
この熱レンズ効果による出力変動は、10〜30%であ
る。
【0005】このような現象のために、レーザ出力を所
定値に制御するためには印加電圧、注入電流又は投入電
力をある所定値に一致するように制御するだけでは十分
ではない。そのため、従来、例えば、特開平5−138
60号公報、特公昭63−20032号公報に開示され
ているようにレーザ光の光量を検出し、その結果に基づ
いてレーザ電源装置を制御する方法が採用されていた。
この従来の前者の固体レーザ装置のレーザ出力制御技術
は、レーザ光のエネルギーをPINフォトダイオードで
検出して、中央演算処理装置に伝達し、中央演算処理装
置がレーザ光のエネルギーが設定値に一致するように電
源のスイッチング回路のスイッチングデューティ比を制
御することにより、レーザ出力が設定値に収束させよう
とするものである。
【0006】この従来技術の場合、スイッチング回路の
スイッチング周期に対応して発生する出力電圧(又は電
流)のリップルを変成器の2次巻線リアクタンスで十分
に平滑化することが必要であり、これに付随する応答遅
れが発生する。また、励起光源に電力を供給してからレ
ーザ媒質を介してレーザ出力が得られるまでの期間に
は、レーザ発振に起因する不確定な応答遅れが発生す
る。さらに、中央演算処理装置では、PINフォトダイ
オードで検出した値と、レーザ光の設定値とを比較し
て、スイッチング回路のスイッチングデューティ比を適
正に修正する計算が必要であり、これによっても応答遅
れが発生する。これらの応答遅れ時間を合計すると、中
央演算処理装置の計算時間をゼロと見なしたとしても、
1ms以上の応答遅れが避けられない。
【0007】しかしながら、溶接・切断などに使用され
る一般的なパルスYAGレーザは、パルス幅0.5〜2
0msで使用されている。このため、上記のレーザ光を
直接制御する方式はパルスYAGレーザ装置にあって各
パルス期間内の光出力を制御するには応答速度が遅すぎ
て適用することができない。
【0008】そこで、実際には、この応答遅れをカバー
するために、(1)レーザパルス毎のエネルギを検出し
てレーザ出力の制御を行う、(2)レーザパルスの波形
設定における時間の分解能を、上記の応答遅れに対応し
て1msよりも大きくする、といった対策がとられてい
る。
【0009】したがって、このような従来技術では、パ
ルスYAGレーザに光量検出手段を付加してレーザ光を
直接制御しても、その応答速度の問題から、(1)レー
ザ光におけるパルス単位でしかエネルギーコントロール
ができず、1パルス内でのさらに細かいエネルギーコン
トロールはできない。また、(2)レーザ光のパルス波
形の設定での時間の分解能が1msよりも大きく、きわ
めて粗くなる問題点があった。この問題点は、上記の後
者の公報に開示された技術にも同様に当てはまる。
【0010】これらを解決し、高速光フィードバック制
御を行う固体レーザ装置として、電源にスイッチング回
路を用いて、励起光源への印加電圧、注入電流又は投入
電力を瞬時値制御するものが知られている(例えば、特
開平8−317655号公報、特公平7−59146号
公報)。
【0011】図9はそのような電源にスイッチング回路
を用いて、励起光源への印加電圧、注入電流又は投入電
力を瞬時値制御する固体レーザ装置の構成を示してい
る。この従来装置において、1は直流電源、2A,2B
は電流制御を行うためのスイッチング回路、3A,3B
は直流電流を平滑するためのリアクトル、4A,4Bは
ダイオードであり、これらにより電流制御形のチョッパ
回路それぞれが構成され、並列接続される。各スイッチ
ング回路2A,2Bがオンすると、直流電源1からリア
クトル3A,3Bを介して励起光源7に電流が供給され
る。また各スイッチング回路2A,2Bがオフすると、
リアクトル3A,3Bの放電電流がダイオード4A,4
Bを介して還流し、励起光源7には平滑された直流電流
が供給される。
【0012】そして、この励起光源7の光をレーザ媒質
8に照射してレーザ発振器からパルス状のレーザ光(以
下、「パルスレーザ光」と記す)を射出させる。
【0013】出力設定器9はレーザ出力を設定するもの
で、この出力設定器9はレーザ出力設定値に見合う励起
光源7への注入電流指示値を入力する。励起光源7に流
れ込む電流は電流センサ10A,10Bによって監視
し、この電流センサ10A,10Bからの電流検出値を
コンパレータ11A,11Bによって出力設定器9から
の電流指示値と比較し、スイッチング回路2A,2Bの
スイッチングデューティ比を調整してオン/オフを切り
替えてドライブする。こうして、励起光源7への注入電
流を瞬時値制御し、レーザ出力を出力設定値に一致させ
るのである。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】ところが、このように
従来の固体レーザ装置においても、次のような技術的課
題があった。すなわち、レーザ媒質8から出力されるレ
ーザ光のエネルギーは、励起光源7に通電される電流が
一定であっても必ずしも所定値に制御されない。例え
ば、励起光源7の発光効率は経時的に低下し、また温度
条件その他の要因によっても発光効率が変化する。その
ため、所望のレーザ出力を得ようとすれば励起光源7に
対する注入電流を初期設定のものから変化させなければ
ならなくなるが、このような補正を自動的に行う機能を
備えた、高速光フィードバック制御を行う固体レーザ装
置は知られていない。これは、励起光源の発光制御を印
加電圧や投入電力を調整することによって行う固体レー
ザ装置においても同じである。
【0015】本発明はこのような従来の技術的課題を解
決するためになされたもので、励起光源又はレーザ媒質
からの光量を検出する光量検出手段を付加して、また高
速光フィードバック制御機能を利用して、レーザ光の光
量を検出し、その結果に基づいてレーザ電源装置を制御
してもその応答速度が十分に速く、制御分解能が高い装
置、すなわち、現存するパルスYAGレーザ(パルス
幅:0.5〜20ms)において、レーザ出力を1パル
ス内で細かく(例えば、時間分解能:0.1ms程度)
瞬時値制御することができる固体レーザ装置の光出力制
御方法、固体レーザ装置及びレーザ電源装置を提供する
ことを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、スイ
ッチング回路によって、固体レーザ媒質の励起光源への
印加電圧、注入電流又は投入電力を制御し、前記固体レ
ーザ媒質から射出されるレーザ光の出力を制御する固体
レーザ装置の光出力制御方法において、前記励起光源の
光量又はこの励起光源による励起によって前記レーザ媒
質から射出されるレーザ光の光量を検出し、この検出さ
れた前記励起光源又は前記レーザ光の光量の設定値であ
る光量検出値が、前記励起光源又は前記レーザ光の出力
を設定した光出力設定値に近づくように、前記励起光源
に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の大きさを設
定する電気出力設定値を前記レーザ光のパルス状の出力
が行われている間の少なくとも1パルスの期間内に補正
し、前記レーザ光の出力を制御するものである。
【0017】請求項2の発明は、スイッチング回路によ
って、固体レーザ媒質の励起光源への印加電圧、注入電
流又は投入電力を制御し、前記固体レーザ媒質から射出
されるレーザ光の出力を制御する固体レーザ装置におい
て、前記励起光源の光量又はこの励起光源による励起に
よって前記固体レーザ媒質から射出されるレーザ光の光
量を検出する光量検出手段と、この光量検出手段によっ
て検出された前記励起光源又は前記レーザ光の光量の検
出値である光量検出値が、前記励起光源又は前記レーザ
光の出力を設定した光出力設定値へ近づくように、前記
励起光源に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の大
きさを設定する電気出力設定値を前記レーザ光のパルス
状の出力が行われている間の少なくとも1パルスの期間
内に補正する光出力制御手段とを具備するものである。
【0018】請求項3の発明は、請求項2の固体レーザ
装置において、前記光出力制御手段が、前記光出力設定
値と前記光量検出値との誤差値を所定の倍率で増幅し、
この増幅がなされた前記誤差値を前記光出力設定値に加
算することにより、前記励起光源に対する印加電圧、注
入電流又は投入電力の前記電気出力指示値とするもので
ある。
【0019】請求項4の発明は、請求項2の固体レーザ
装置において、前記光出力制御手段が、前記光出力設定
値と前記光量検出値との誤差値を所定の倍率で増幅する
と共に、前記光出力設定値に対して所定の関数変換を施
すことで基準出力指示値とし、この基準出力指示値に前
記増幅がなされた前記誤差値を加算することにより、前
記励起光源に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の
前記電気出力指示値とするものである。
【0020】請求項5の発明は、請求項2の固体レーザ
装置において、前記光出力制御手段が、前記光出力設定
値と前記光量検出値との誤差値を所定の倍率で増幅し、
この増幅がなされた前記誤差値を前記光出力設定値に加
算すると共に、この加算された結果の値に対して所定の
関数変換を施すことで、前記励起光源に対する印加電
圧、注入電流又は投入電力の前記電気出力指示値とする
ものである。
【0021】請求項6の発明は、請求項4又は5の固体
レーザ装置において、前記光出力制御手段が、前記増幅
した値のうち所定の期間での平均値を求め、この平均値
が減少するように前記関数変換に用いる変換関数を前記
パルスの次の所定の期間で修正するものである。
【0022】請求項7の発明は、請求項3の固体レーザ
装置において、前記光出力制御手段が、前記光出力設定
値と前記光量検出値との前記誤差値に対する増幅の倍率
を前記レーザ光のパルス状の出力が行われている間の少
なくとも1パルスの期間内に補正するものである。
【0023】請求項8の発明は、請求項3の固体レーザ
装置において、前記光出力制御手段が、前記パルス毎の
起動開始から一定期間内は、前記励起光源への前記励起
電源に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の前記電
気出力指示値の補正を行わないものである。
【0024】請求項9の発明は、請求項3の固体レーザ
装置において、前記光出力制御手段が、前記パルス毎の
起動開始から一定期間内は、前記光出力設定値と前記光
量検出値との誤差値に対する増幅の倍率を小さくするも
のである。
【0025】請求項10の発明は、請求項2乃至9のい
ずれか1項の固体レーザ装置において、前記光出力制御
手段をディジタル回路で構成したものである。
【0026】請求項11の発明は、請求項2乃至9のい
ずれか1項の固体レーザ装置において、前記光出力制御
手段をアナログ回路で構成したものである。
【0027】請求項12の発明は、スイッチング回路に
よって、固体レーザ媒質から射出されるレーザ光の出力
を制御するために前記固体レーザ媒質の励起光源への印
加電圧、注入電流又は投入電力を制御するレーザ電源装
置において、前記励起光源の光量又はこの励起光源によ
る励起によって前記固体レーザ媒質から射出されるレー
ザ光の光量を検出する光量検出手段と、この光量検出手
段によって検出された前記励起光源又は前記レーザ光の
光量の検出値である光量検出値が、前記励起光源又は前
記レーザ光の出力を設定した光出力設定値へ近づくよう
に、前記励起光源に対する印加電圧、注入電流又は投入
電力の大きさを設定する電気出力設定値を前記レーザ光
のパルス状の出力が行われている間の少なくとも1パル
スの期間内に補正する光出力制御手段とを具備するもの
である。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図に
基づいて詳説する。図1は本発明の第1の実施の形態の
固体レーザ装置の構成を示している。直流電源1からフ
ラッシュランプの励起光源7への間の電源系統の構成は
図9に示した従来例と同様であり、以下、共通する回路
要素には同一の符号を用いている。
【0029】本実施の形態の特徴は、レーザ媒質8から
出力されるパルスレーザ光に対してその光量を検出する
光量検出器12を設け、この光量検出器12の検出する
レーザ出力のエネルギーを出力設定器90によって与え
られているパルスレーザ光に関する光出力設定値と比較
し、その誤差分を反転増幅させて、出力設定器90から
の光出力設定値を補正して最終的な電流出力指示値(電
気出力指示値のうちの1つであり、本明細書中の説明で
は、もちろん電圧や電力で出力を指示する電圧出力指示
値や電力出力指示値でもよい)にしてコンパレータ11
A,11Bに基準値として与える光出力制御回路13
(スイッチング回路)を備えた点にある。なお、本明細
書中の説明では、「設定値」と記載した場合には補正を
経ない“素の値”を指し、「指示値」と記載した場合に
は関数変換や増幅といった補正を経た“変化した値”と
する。
【0030】光量検出器12は、レーザ発振器8から射
出されるパルスレーザの光量を検出し、光量検出値を光
出力制御回路13に入力する。
【0031】光出力制御回路13は、出力設定器90か
らの光出力設定値を反転させる反転器15、光量検出器
12からの光量検出値と反転器15からの反転光出力設
定値とを加算して誤差分を求め、これを所定の倍率で反
転増幅する誤差反転増幅器16、そして出力設定器90
からの光出力設定値に対して所定の変換関数による関数
変換を行って電流出力指示値を出力する関数変換器1
7、関数変換器17によって関数変換を受けた後の電流
出力指示値と誤差反転増幅器16からの補正値とを加算
して最終的な電流出力指示値をコンパレータ11A,1
1Bに出力する加算器18から構成されている。
【0032】レーザ媒質8からのレーザ出力と励起光源
7に対する注入電流とは、通常はリニアな関係(比例関
係)にないので、関数変換器17は、出力設定器90か
らの光出力設定値と同じ光量のレーザ光をレーザ媒質8
から射出させるために、励起光源7が必要とする注入電
流値に関数変換するものである。この関数変換器17に
よって、光出力設定値の入力が関数変換され、光出力設
定値に対応した電流出力指示値として出力が行われる。
【0033】この関数変換器17にはスイッチSWが設
けられている。このスイッチSWは、通常は関数変換器
17での関数変換機能を行うために、関数変換器17側
に接続されている。しかし、関数変換機能を必要としな
い場合には、出力設定器90からの光出力設定値を関数
変換しないで、そのまま電流出力設定値(電気出力設定
値のうちの1つであり、本明細書中の説明では、もちろ
ん電圧や電力で出力を設定する電圧出力設定値や電力出
力設定値でもよい)として用いるように、関数変換器1
7を介さない側へ接続する。
【0034】次に、上記の構成の固体レーザ装置の動作
を説明する。図2(a)は図9に示した従来例の光源電
流制御方式、図2(b)は本実施の形態の光出力制御方
式とを模式的に示している。同図(a)に示した従来方
式では、励起光源7に入力される電流(以下、「光源電
流」と記す)を常時モニタする。そして、この光源電流
モニタ値と、あらかじめ出力設定器9で設定した光源電
流指示値とを比較し、スイッチング回路2A,2BをO
N/OFF制御する。すなわち、出力設定は、励起光源
7への注入電流を規定していた。
【0035】これに対して、同図(b)に示した本実施
の形態の場合は、出力設定器90は光量検出器12から
得られる光量検出値、すなわち、レーザ出力を規定する
のである。具体的には、光量検出器12によってレーザ
発振器8からのレーザ出力の光量を検出し、この光量検
出値と出力設定器90で設定した光出力設定値との誤差
を算出する。次に、この光出力設定値と光量検出値との
誤差分を、誤差反転増幅器16を構成するオペアンプ回
路で所定の倍率で反転増幅する。
【0036】これと同時に、出力設定器90からの光出
力設定値は関数変換器17に入力され、ここで、関数変
換によって光出力設定値をそれに見合う基準出力指示値
に変換して加算器18に出力する。
【0037】そして加算器18において、誤差反転増幅
器16側からの誤差増幅値を関数変換器17側からの電
流出力指示値に加算し、これを最終的な光源電流出力指
示値としてコンパレータ11A,11Bに出力し、これ
に基づいてスイッチング回路2A,2Bを制御する。こ
こで、コンパレータ11A,11BがONの期間は、ス
イッチング回路2A,2Bは励起光源7に入力される電
流を増加させるようにドライブされる。また逆に、コン
パレータ11A,11BがOFFの期間は、スイッチン
グ回路2A,2Bは励起光源7に入力される電流を減少
させるようにドライブされる。このようにして光源電流
の瞬時値制御がなされるのである。
【0038】以下、従来の光源電流制御方式の固体レー
ザ装置に上述した第1の実施の形態を適用した例を、具
体的な数値を用いて説明する。いま光源電流制御方式の
固体レーザ装置では、出力設定器90から励起光源7に
対する光源電圧出力設定値が1Vで、光源電流100A
が供給されるものとする。この供給される光源電流に対
するレーザ出力のエネルギーは、およそ次の式で与えら
れる。
【0039】 (レーザ出力)=α×ko×(光源電流)3/2 ここで、αは効率(=約0.03)、koは光源特性
(=約20)である。
【0040】したがって、出力設定器90から励起光源
7に対する光出力設定値(光源電圧出力設定値と相関関
係を持つ値)に対応する光源電流とレーザ出力は、およ
そ次の表のようになる。
【0041】
【表1】 いま、光量検出器12はレーザ出力1kW当たり1.0
Vの光量検出値が得られるように調整する。また、光出
力制御回路13の誤差増幅倍率を1.5倍に設定する。
そしてこの状態で、光源電圧出力設定値2.0V(以下
の説明での固体レーザ装置の動作時間において、この値
は不変である)で、固体レーザ装置を起動させる。
【0042】起動開始時には、光量検出値はゼロであ
り、光出力設定値2Vとの誤差分は、0V−2V=−2
Vである。この瞬間に、光出力制御回路13から出力さ
れる新たな光源電圧出力設定値は、
【数1】2V+(−2V)×(−1.5)=5V となる。これにより、表1に照らして、光源電流500
Aを目標として固体レーザ装置を動作させるレーザ電源
の制御が開始され、光源電流は単調に増加する。
【0043】次に、光源電流が単調増加して、100A
になった瞬間について考えると、このときのレーザ出力
は、表1に照らしてみるとおよそ0.6kWになる。こ
の場合、光量検出値は0.6Vで、光量検出値(=0.
6V)と光出力設定値(=2V)との誤差分は、−1.
4Vに減少する。この結果、光出力制御回路13から出
力される新たな光源電圧出力設定値は、
【数2】 2V+(−1.4V)×(−1.5)=4.1V となり、この瞬間には、光源電流410A(=4.1
[V]×100[A]/1[V])を目標としてレーザ
電源の制御が行われる。
【0044】続いて、光源電流が200Aまで増加して
きた瞬間について考える。このときレーザ出力は電流制
御における表1のデータから、1.7kWになる。この
場合、光量検出値は1.7Vで、光量検出値(=1.7
V)と光出力設定値(=2V)との誤差分は、−0.3
Vまで減少している。したがって、光出力制御回路13
から出力される新たな光源電圧出力設定値は、
【数3】 2V+(−0.3V)×(−1.5)=2.45V となり、この瞬間には、光源電流245Aを目標として
レーザ電源の制御が行われる。
【0045】このようにして、光出力制御回路13を従
来の電流制御方式の固体レーザ装置に付加することによ
って、励起光源7に対する電気出力指示値をレーザ出力
(パルスレーザ光)の1パルスの期間内で連続的に補正
し、光量検出値と光出力設定値との誤差が小さくなるよ
うにに(光量検出値を光出力設定値に近づけるように)
レーザ電源で高速にフィードバック制御する。そして、
最終的に光量検出値が2.0Vになる状態(レーザ出力
2kW、光源電流220〜225Aの状態)で、ほぼ一
定にさせることができる。
【0046】こうして、以上の第1の実施の形態によれ
ば、光出力設定値が一定であっても、レーザ出力が変化
することで、光量検出値と光出力設定値との誤差分も変
化する。この誤差分の変化に応じて、励起光源7に対す
る注入電流の出力指示値をレーザ出力の1パルスの期間
内で瞬時に補正する高速フィードバック制御を連続して
行うことにより、パルスYAGレーザのようにパルス幅
が0.5〜20ms程度のレーザ出力を1パルスのパル
ス期間内で時間分解能が0.1ms程度まで細かく瞬時
値制御することができる。
【0047】ゆえに、図3に示したように、レーザ出力
の1パルスの期間W内において、光出力設定値が鎖線L
1,L2,L3とレベルを変えるような波形で設定されてい
る場合であっても、瞬時値制御を用いて、実線Lに示す
ように高速な応答を行なってレーザ出力の制御をするこ
とができるのである。
【0048】そして、本実施の形態の場合には、さらに
関数変換器17の採用によって次のような制御特性の向
上が見込める。すなわち、通常、レーザ媒質8のレーザ
出力は励起光源7の注入電流に対して必ずしもリニアな
特性を示すものではない。このため、上記の制御によっ
て実際のレーザ出力がほぼ一定となっても、光量検出値
と光出力設定値との誤差は、瞬間的にゼロとなることは
あっても、継続的に完全なゼロのままにすることはでき
ず、狭い範囲内でレーザ出力が細かく変動する場合があ
る。
【0049】上記の例では、光量検出値と光出力設定値
の誤差が完全にゼロになる瞬間は光量検出値が2.0V
である。ここで、光量検出器12はレーザ出力1kW当
たり1.0Vの検出値を出力するように調整されている
から、これはレーザ出力にして2.0kWの状態にある
ことを意味する。
【0050】ところが、この瞬間に光出力制御回路13
から励起光源7に対して出力される光源電圧出力設定値
は2.0Vとなるので、光源電流が200Aとなるよう
にレーザ電源の制御が行われてしまう。そして、この光
源電流200Aは、電流制御時における表1のデータか
らレーザ出力1.7kWに相当していることが分かる。
つまり、光出力設定値(真に望ましいレーザ出力)であ
る2.0kWではなく、出力1.7kWを目指してレー
ザ電源の制御が行われている(望ましいレーザ出力と実
際のレーザ出力とで誤差が生じている)ことにほかなら
ない。
【0051】また、この瞬間から少し時間が経過して、
光量検出値(実際のレーザ出力)が2.0kWから1.
7kWに少しでも近づけば、光量検出値と光出力設定値
(2.0kW)とで誤差が発生するので、この誤差を少
なくするように光出力制御回路13から励起光源7に対
して出力する光源電圧出力設定値は、2.0Vよりも大
きくなる。したがって、光出力設定値が2.0kWに設
定されている場合には、光量検出値(実際のレーザ出
力)は1.7kWにまで低下することはない。
【0052】しかし、レーザ出力がほぼ一定となった状
態でも、光源電流は光量検出値(実際のレーザ出力)と
して2.0kWが得られる光源電流の大きさである22
3Aと、それより少し低い電流値との間で小さく変動し
てしまう。この現象は、光量検出値と光出力設定値との
誤差分を完全にゼロにするためには光源電流を223A
にする必要があるのに対して、光量検出値と光出力設定
値との誤差分が完全にゼロになった瞬間に光出力制御回
路13から励起光源7に出力される光源電圧出力設定値
(2.0V)が、光源電流200Aに相当することを原
因としている。
【0053】なお、レーザ出力がほぼ一定の値になった
状態での細かな出力の変動を防ぐためには、光出力制御
回路13において、光量検出値と光出力設定値との反転
誤差の増幅値を算出した後に、加算器18においてこの
増幅値が加算される対象となる光出力設定値にあらかじ
め所定の関数変換を施しておくことが有効である。つま
り、こうして加算がなされた値を光源電圧出力指示値と
して光出力制御回路13から励起光源7に対して出力す
るのが有効である。
【0054】そこで本実施の形態では、図4のグラフに
示したような特性の変換関数を持つ関数変換器17を設
けることにより、上記の例では、光出力設定値2.0V
と光量検出値との反転誤差増幅値を算出した後、加算す
る光出力設定値を2.0Vから2.23Vに変換するよ
うにしている。これにより、光量検出値と光出力設定値
との誤差分を完全にゼロにする光源電流値223Aと、
光量検出値と光出力設定値との誤差分が完全にゼロにな
った瞬間における光源電流の制御目標値(光源電流出力
指示値)223Aとが完全に一致するようになり、実際
のレーザ出力を出力設定器90で設定した光出力設定値
にほぼ完全に一致するように制御することができる。
【0055】なお、図1及び図2(b)において破線で
示したように、加算器18を関数変換器17の前段側
(出力設定器90側)に設置し、誤差反転増幅器16に
よって光量検出値と光出力設定値との反転誤差の増幅値
を加算器18において出力設定器90からの光出力設定
値と加算し、この加算器18による加算値に所定の関数
変換を施して最終的な光源電流出力指示値としてコンパ
レータ11A,11Bに出力する構成にしてもよい。こ
のような構成にしても、上記の場合と同様に実際のレー
ザ出力を出力設定器90で設定した光出力設定値に一致
するように制御することができる。
【0056】また、上記の関数変換器17に採用する変
換関数の特性は適用する固体レーザ装置の特性に応じて
実験的に決定されるものなので、上述した数値に限定さ
れるものではない。
【0057】そして、上記の実施の形態における他の数
値についても例示的に示したものであって、特に限定さ
れるものではない。特に、誤差反転増幅器16における
増幅倍率を1.5に設定したのも、これに限定されるこ
とはなく、固体レーザ装置の特性に応じて実験的に決定
されるものである。
【0058】加えて、上記の実施の形態における誤差反
転増幅器16は、スイッチング回路2A,2Bのスイッ
チング周期が出力応答に比べて十分に速い場合には、反
転形のコンパレータとして機能させることにより、きわ
めて応答速度の速い出力制御が可能となる。
【0059】さらに、レーザ出力は起動時の立ち上がり
応答が、励起光源7への印加電圧、注入電流又は投入電
力に比べて大きく遅れる場合がある。これは、主にレー
ザ媒質8の特性に大きく依存する。このような場合、光
出力制御回路13により制御している励起光源7への印
加電圧、注入電流又は投入電力をオーバーシュートさせ
る指令がレーザ電源に与えられて損傷させる恐れがあ
る。そこで、固体レーザ装置の起動後、一定期間はレー
ザ出力の光量検出値に基づく高速光フィードバック制御
を行わず、出力設定器90が与える光出力設定値に基づ
き、励起光源7に与えられる電圧、電流又は電力の制御
を行い、レーザ出力が立ち上がった後に上述した高速光
フィードバック制御に移行する方式にすることができ
る。そのためには、誤差反転増幅器16に所定の時定数
を持たせておき、あるいは後述するマイクロコンピュー
タを採用する場合にはデレイタイマ機能を持たせること
により実現することができる。
【0060】またさらに、第1の実施の形態ではレーザ
出力の光量を監視し、これによって励起光源7の注入電
流を瞬時値制御しているが、レーザ媒質8のレーザ出力
を監視する代わりに励起光源7自身の発光光量を監視
し、これが出力設定器90によって設定される光出力設
定値に一致するように励起光源7の注入電流を瞬時値制
御する構成にすることもできる。また、上記の実施の形
態では励起光源7にフラッシュランプを用いたが、半導
体レーザ(レーザダイオード)を用いることもできる。
そして、励起光源7の注入電流の瞬時値制御に代えて、
励起光源7の種類や特性により励起光源7の印加電圧あ
るいは投入電力を監視し、瞬時値制御する構成にするこ
ともできる。
【0061】次に、本発明の第2の実施の形態を図5に
基づいて説明する。第2の実施の形態の特徴は、図1に
示した第1の実施の形態ではアナログ回路で構成されて
いた光出力制御回路13の全体を、これと同等のプログ
ラム動作を実行するマイクロコンピュータ20(ディジ
タル回路の一種)に置き換えた点にある。その他の構成
要素は、図1に示した第1の実施の形態と共通であり、
同一の部分には同一の符号を付して示しある。
【0062】また第2の実施の形態の場合、光出力制御
回路13の部分にマイクロコンピュータ20を採用する
ことにより、次のような機能を持たせることも可能であ
る。第1の実施の形態は、出力設定器90の光出力設定
値に対して、関数変換器17によって関数変換を行い、
光出力設定値に見合う現実のレーザ出力が得られるよう
な光電流出力指示値を出力するようにしたが、これに代
えて、光量検出値と光出力設定値との反転誤差増幅倍率
をレーザ出力の少なくとも1パルスの期間中に修正する
ようにして、光出力設定値の関数変換と同様の作用効果
を実現することができる。また、変換関数自体について
も、光量検出値と光出力設定値との誤差分の増幅値の一
定期間の平均値を求め、この平均値が減少するように、
レーザ出力での次の1パルスの期間内に修正する機能を
付加することもできる。
【0063】またさらに、第2の実施の形態において
も、第1の実施の形態と同様の変形例が適用でき、その
場合には光出力制御回路を構成するマイクロコンピュー
タ20の演算制御処理のプログラムを上記の変形例を実
現できるように適宜に設定すればよい。
【0064】次に、本発明の第3の実施の形態を図6に
基づいて説明する。第3の実施の形態の固体レーザ装置
は、電流瞬時値制御のチョッパ回路でレーザ電源が構成
され、またレーザ媒質8の励起光源7に注入する電流の
上限と下限の閾値を設定する機能を備えたことを特徴と
する。
【0065】この固体レーザ装置のレーザ電源の構成を
説明すると、31はこのレーザ電源に電力を供給する直
流電源、32はスイッチング回路、33はリアクトル、
35は転流ダイオード、36は直流電源31の負荷とな
る励起光源7に注入される電流を検出する電流検出器で
あり、この電流検出器36は検出した電流に比例した電
圧を電流検出信号として出力する。
【0066】37は電流検出器36が検出する電流指示
値を設定する端子であり、ここに上述した第1又は第2
の実施の形態で用いた光出力制御回路13の出力端子が
接続され、出力指示値が与えられる。38は電流検出器
36で検出した電流と電流指示値設定端子37に与えら
れる出力指示値とを比較するオペアンプ等から成る演算
器、39はウィンドコンパレータで成る上下限比較回路
であり、39aは比較回路としての第1コンパレータ、
39bは比較回路としての第2コンパレータである。4
0はフリップフロップ回路であり、これによってスイッ
チング回路32を開閉制御する。41は電流閾値設定器
であり、設定端子37に与えられる出力指示値に対して
上限閾値、下限閾値を演算して上下限比較回路39の第
1、第2コンパレータ39a,39bに与える。
【0067】なお、光量検出器12、出力設定器90、
光出力制御回路13の構成は第1の実施の形態と同様で
ある。また、光出力制御回路13の部分を第2の実施の
形態のようにマイクロコンピュータ20で置き換えるこ
ともできる。
【0068】次に、上記の第3の実施の形態の固体レー
ザ装置の動作を説明する。設定端子37に与えられる電
流出力指示値(電圧信号)に対して、電流閾値設定器4
1は光源電流上限値(電圧信号)+ΔIr,下限値(電
圧信号)−ΔIrを設定する。上下限比較回路39で
は、この電流閾値設定器41が与える光源電流の上限値
及び下限値と励起光源7に流れる電流を検出する電流検
出器36の出力とを比較し、これらの上限値を超える電
流、また下限値を切る電流を検出した時にフリップフロ
ップ回路40を動作させ、スイッチング回路32のスイ
ッチング周波数を調整する。これにより、出力設定器9
0で設定されるレーザ出力がレーザ媒質8で得られるよ
うに、励起光源7に流す電流を瞬時値制御する。
【0069】この第3の実施の形態においても、第1、
第2の実施の形態と同様の作用効果を奏する。また、第
1、第2の実施の形態と同様の変形例を適用することが
できる。加えて、目標とするレーザ出力の付近において
ほぼ安定する状態でのレーザ出力の微小な変動に対し
て、光出力制御回路13を初めとする高速光フィードバ
ック制御系が過剰に反応するのを防止することができ
る。
【0070】次に、本発明の第4の実施の形態を図7及
び図8に基づいて説明する。第4の実施の形態の固体レ
ーザ装置は、光出力制御回路13を複数の素子から成る
ディジタル回路で構成したことを特徴とする。
【0071】励起光源7に対する電源回路部分の構成
は、図1に示した第1の実施の形態と同じであり、特開
平8−317655号公報に示されている本願発明者ら
による回路が採用されている。そして、光出力制御回路
13の部分は、次の構成である。直流電源1からの直流
電流がスイッチング回路2A,2B及びリアクトル3
A,3Bとダイオード4A,4Bによって降圧チョップ
され、この電流がフラッシュランプで構成される励起光
源7に注入される。電流検出器10A,10Bは励起光
源7に注入される電流を監視している。
【0072】この降圧チョッパ回路を構成するスイッチ
ング回路2A,2Bを制御する光出力制御回路13は、
レーザ出力に関して光出力設定値を与える出力設定器9
0から、光出力設定値L*を出力し、関数回路42によ
って基準電流I*へと変換して加算器43に入力する。
一方、光出力設定値L*と光量検出器12の検出するレ
ーザ媒質8からのレーザ出力Lとの差を切替器44を介
して増幅器45に入力し、その出力V45を加算器43に
入力する。この加算器43からの出力を通電基準電流I
Rとする。
【0073】そして、瞬時PWM回路46A,46B
は、加算器43での通電基準電流IRと電流検出器10
A,10Bでの電流検出値IA,IBとを比較してPWM
信号を生成し、この信号に基づいてスイッチング回路2
A,2Bはスイッチング動作する。
【0074】前述の切替器44,47は、起動回路48
により切り替え駆動される。またマイクロコンピュータ
(CPU)49は、光出力設定値L*と増幅器45の出
力V4 5及び切替器47の信号を受けて、関数回路42の
関数を設定する動作をする。なお、切替器44の両端に
は抵抗50を接続してもよい。
【0075】次に、上記の第4の実施の形態の固体レー
ザ装置の動作を説明する。まず、固体レーザ装置の起動
時には、起動回路48により切替器44,47を切り替
えて(オープンにして)増幅器45を通らない通電経路
とする。そして、関数回路42によって出力設定器90
からの光出力設定値L*を基準電流I*へと変換する。起
動させるレーザ出力に対してフィードフォワード的に励
起光源7へこの基準電流I*(光出力制御回路を流れる
電流Iの初期値となる)を入力する。一般に、励起光源
7がフラッシュランプである場合には、その電圧特性
は、
【数4】 で表わされるので、入力電力Pは、P=KI3/2で表わ
され、この電力に発光効率ηを掛けたものが光L(=η
P=KI3/2η)として出力される。このηは一定では
なく、電流Iが小さい範囲では低く、また光源7の温度
が低い場合も低下する傾向にあるので、マイクロコンピ
ュータ49によって調整する。このようにレーザ出力に
対してフィードフォワード的にL=KI3/2ηの式にし
たがって電流を流すことによって、所望するレーザ出力
へ近づくようにレーザ出力を高速に制御する。
【0076】この後、起動回路48によって切替器4
4,47を切り替えて(クローズにして)増幅器45を
通る通電経路とする。そして、光出力設定値L*と光量
検出値Lとの誤差を切替器44を介して増幅器45に入
力し、増幅器45で増幅された出力V45を加算器43に
て関数回路42からの基準電流I*へと加えて通電基準
電流IRとする。このようにして、光出力設定値L*と光
量検出値Lとの誤差が小さくなるように固体レーザ装置
を動作させる。
【0077】図8は、起動回路48による切替器44,
47の切替動作のタイミングを電流検出器10A,10
Bでの電流検出値IA,IB及び出力設定値Lとの関係に
おいて表すタイミングチャートである。切替器44,4
7は、起動回路48によって固体レーザ装置の起動タイ
ミングからt1の時間だけ遅れて動作するように設定して
ある。この設定条件の理由は、励起光源7に電流IA
Bを流した場合、電気的な要因から遅れ時間t1(通常
は数100μs)をもってレーザ出力がなされるので、
この遅れ時間の間に増幅器45からの電流が光出力制御
回路へと過大に流れ込むことを防ぐためである。
【0078】なお、切替器44の両端に抵抗50を接続
することによって、切替器44が上記クローズの状態と
なっていない期間であっても、増幅器45のゲイン(増
幅量)を低くして光出力制御回路を動作させることによ
り、起動回路48での遅れ時間t1を長くとることができ
る。
【0079】また、増幅器45の出力V45についての一
定期間内の平均値又は図8に示すレーザ出力の1パルス
内の平均値をマイクロコンピュータ(CPU)49で求
めると共に、この平均値をゼロにするように関数回路4
2での関数を設定すれば、増幅器45がなくても光量検
出値Lと光出力設定値L*とは上記平均値に一致したこ
ととなる。
【0080】よって、パルスレーザ光を出力する際に
は、所定の1パルス内で増幅器45の出力V45の平均値
を求めて、次の1パルスの起動時にこの平均値を変換す
るように関数回路42からの出力を修正して、この1パ
ルスの期間内でのV45の平均値をほぼゼロとすることが
できる。このようにして、高速光フィードバック制御を
高精度に行うことができるのである。ここで、増幅器4
5は前記高速光フィードバック制御においてもわずかに
生じてしまった光量検出値Lと光出力設定値L*との誤
差を補正することとなる。そして、上述の高速光フィー
ドバック制御を行えば、光出力制御回路13の温度上昇
による各電子素子の特性の変化やレーザ媒質8の劣化に
よる影響を抑えて、レーザ出力の正確な制御が可能とな
る。
【0081】もちろん、本実施の形態にあっても他の実
施の形態と同様に、関数回路42と加算器43の回路上
の位置を逆にして加算器43を関数回路42の前段側
(出力設定器90側)に設置してもよい。
【0082】なお、上記の第1〜第4の実施の形態では
パルスレーザ光について説明したが、本発明での高速光
フィードバック制御による制御対象には、連続発振(Co
ntinuous Wave)レーザ光のうちでもパルス状出力(一
定値を基準にしてさらに出力が立ち上がり、規則的に出
力の増減を繰り返すもの)を持つものを含むこととす
る。
【0083】
【発明の効果】本発明によれば、パルスレーザ光の出力
を1パルス内で高い時間分解能をもって、高速かつ正確
に制御できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の回路構成を示すブ
ロック図。
【図2】上記の実施の形態の出力制御回路部分の制御動
作を示すブロック図。
【図3】上記の実施の形態による光出力制御特性を示す
光出力波形図。
【図4】上記の実施の形態における関数変換器が使用す
る変換関数の特性グラフ。
【図5】本発明の第2の実施の形態の回路構成を示すブ
ロック図。
【図6】本発明の第3の実施の形態の回路構成を示すブ
ロック図。
【図7】本発明の第4の実施の形態の回路構成を示すブ
ロック図。
【図8】上記の実施の形態における切替器の切替動作の
説明図。
【図9】従来例の回路構成を示すブロック図。
【符号の説明】
1 直流電源 2A,2B スイッチング回路 3A,3B リアクトル 4A,4B ダイオード 7 励起光源 8 レーザ発振器 10A,10B 電流検出器 11A,11B コンパレータ 12 光量検出器 13 光出力制御回路 15 反転器 16 誤差反転増幅器 17 関数変換器 18 加算器 20 マイクロコンピュータ 90 出力設定器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岡土 千尋 東京都府中市晴見町2丁目24番地の1 東 芝エフエーシステムエンジニアリング株式 会社内 (72)発明者 高瀬 智裕 神奈川県横浜市磯子区新磯子町33 株式会 社東芝生産技術センター内 (72)発明者 岩間 誠司 神奈川県海老名市東柏ヶ谷5丁目14番1号 芝浦メカトロニクス株式会社さがみ野事 業所内 Fターム(参考) 5F072 AB01 HH02 HH04 JJ20 PP07 RR01 SS06

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スイッチング回路によって、固体レーザ
    媒質の励起光源への印加電圧、注入電流又は投入電力を
    制御し、前記固体レーザ媒質から射出されるレーザ光の
    出力を制御する固体レーザ装置の光出力制御方法におい
    て、 前記励起光源の光量又はこの励起光源による励起によっ
    て前記レーザ媒質から射出されるレーザ光の光量を検出
    し、 この検出された前記励起光源又は前記レーザ光の光量の
    設定値である光量検出値が、前記励起光源又は前記レー
    ザ光の出力を設定した光出力設定値に近づくように、前
    記励起光源に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の
    大きさを設定する電気出力設定値を前記レーザ光のパル
    ス状の出力が行われている間の少なくとも1パルスの期
    間内に補正し、前記レーザ光の出力を制御することを特
    徴とする固体レーザ装置の光出力制御方法。
  2. 【請求項2】 スイッチング回路によって、固体レーザ
    媒質の励起光源への印加電圧、注入電流又は投入電力を
    制御し、前記固体レーザ媒質から射出されるレーザ光の
    出力を制御する固体レーザ装置において、 前記励起光源の光量又はこの励起光源による励起によっ
    て前記固体レーザ媒質から射出されるレーザ光の光量を
    検出する光量検出手段と、 この光量検出手段によって検出された前記励起光源又は
    前記レーザ光の光量の検出値である光量検出値が、前記
    励起光源又は前記レーザ光の出力を設定した光出力設定
    値へ近づくように、前記励起光源に対する印加電圧、注
    入電流又は投入電力の大きさを設定する電気出力設定値
    を前記レーザ光のパルス状の出力が行われている間の少
    なくとも1パルスの期間内に補正する光出力制御手段と
    を具備することを特徴とする固体レーザ装置。
  3. 【請求項3】 前記光出力制御手段は、前記光出力設定
    値と前記光量検出値との誤差値を所定の倍率で増幅し、
    この増幅がなされた前記誤差値を前記光出力設定値に加
    算することにより、前記励起光源に対する印加電圧、注
    入電流又は投入電力の前記電気出力指示値とすることを
    特徴とする請求項2に記載の固体レーザ装置。
  4. 【請求項4】 前記光出力制御手段は、前記光出力設定
    値と前記光量検出値との誤差値を所定の倍率で増幅する
    と共に、前記光出力設定値に対して所定の関数変換を施
    すことで基準出力指示値とし、この基準出力指示値に前
    記増幅がなされた前記誤差値を加算することにより、前
    記励起光源に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の
    前記電気出力指示値とすることを特徴とする請求項2に
    記載の固体レーザ装置。
  5. 【請求項5】 前記光出力制御手段は、前記光出力設定
    値と前記光量検出値との誤差値を所定の倍率で増幅し、
    この増幅がなされた前記誤差値を前記光出力設定値に加
    算すると共に、この加算された結果の値に対して所定の
    関数変換を施すことで、前記励起光源に対する印加電
    圧、注入電流又は投入電力の前記電気出力指示値とする
    ことを特徴とする請求項2に記載の固体レーザ装置。
  6. 【請求項6】 前記光出力制御手段は、前記増幅した値
    のうち所定の期間での平均値を求め、この平均値が減少
    するように前記関数変換に用いる変換関数を前記パルス
    の次の所定の期間で修正することを特徴とする請求項4
    又は5に記載の固体レーザ装置。
  7. 【請求項7】 前記光出力制御手段は、前記光出力設定
    値と前記光量検出値との前記誤差値に対する増幅の倍率
    を前記レーザ光のパルス状の出力が行われている間の少
    なくとも1パルスの期間内に補正することを特徴とする
    請求項3に記載の固体レーザ装置。
  8. 【請求項8】 前記光出力制御手段は、前記パルス毎の
    起動開始から一定期間内は、前記励起光源への前記励起
    電源に対する印加電圧、注入電流又は投入電力の前記電
    気出力指示値の補正を行わないことを特徴とする請求項
    3に記載の固体レーザ装置。
  9. 【請求項9】 前記光出力制御手段は、前記パルス毎の
    起動開始から一定期間内は、前記光出力設定値と前記光
    量検出値との誤差値に対する増幅の倍率を小さくするこ
    とを特徴とする請求項3に記載の固体レーザ装置。
  10. 【請求項10】 前記光出力制御手段は、ディジタル回
    路で構成したことを特徴とする請求項2乃至9のいずれ
    か1項に記載の固体レーザ装置。
  11. 【請求項11】 前記光出力制御手段は、アナログ回路
    で構成したことを特徴とする請求項2乃至9のいずれか
    1項に記載の固体レーザ装置。
  12. 【請求項12】 スイッチング回路によって、固体レー
    ザ媒質から射出されるレーザ光の出力を制御するために
    前記固体レーザ媒質の励起光源への印加電圧、注入電流
    又は投入電力を制御するレーザ電源装置において、 前記励起光源の光量又はこの励起光源による励起によっ
    て前記固体レーザ媒質から射出されるレーザ光の光量を
    検出する光量検出手段と、 この光量検出手段によって検出された前記励起光源又は
    前記レーザ光の光量の検出値である光量検出値が、前記
    励起光源又は前記レーザ光の出力を設定した光出力設定
    値へ近づくように、前記励起光源に対する印加電圧、注
    入電流又は投入電力の大きさを設定する電気出力設定値
    を前記レーザ光のパルス状の出力が行われている間の少
    なくとも1パルスの期間内に補正する光出力制御手段と
    を具備することを特徴とするレーザ電源装置。
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