JP2004335133A - 固体電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来保護膜として一層の窒化シリコン系膜で構成されていた。本発明は保護膜のピンホール発生にともなう耐湿性の劣化に起因する固体電池の品質低下を抑制する。
【解決手段】基板aと、前記基板上に積層された下部電極層(正極集電体bおよび正極活物質c)、電解質層dおよび上部電極層(負極活物質eおよび負極集電体f)を含む発電要素と、前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜gと、疎水性基を有し前記保護膜の表面に吸着した有機コーティング膜iとを備えることを特徴とする固体電池。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極、電解質および負極が積層されて構成された固体電池、およびその製造方法に関する。本発明は、特に固体電池の表面に形成される保護膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子機器の小型化および軽量化に伴い、電池の小型化および軽量化に対する要望も強くなっている。最近では、一気に縮小化を進めるため、固体電解質を用いた薄膜固体電解質二次電池が注目されている。このような二次電池の充電および放電は、電池を形成する材料に含まれるイオンが担っており、その電池が置かれる外的環境に影響されることが知られている。
【0003】
例えばリチウムイオン電池の場合は、充電および放電を担うのはリチウムイオンであり、水分の影響(湿気)により電池の容量劣化が生じる。このため、確実なパッケージングによって外部環境からの影響を絶っている。固体電池においても同様のことが求められ、電池の表面を形成する保護膜がその役割を果たすことになる。保護膜に関しては、窒化珪素からなる絶縁性の保護膜を用いることが提案されている(例えば特許文献1)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−42863号公報
【0005】
図3は、特許文献1に記載された従来の固体電池を示す断面図である。図3において、シリコンで構成された基板a上に、下部電極層(正極集電体bおよび正極活物質膜c)、固体電解質膜d、ならびに上部電極層(負極活物質膜eおよび負極集電体f)を含む発電要素が積層して形成されている。そして、前記発電要素の保護膜として、窒化シリコン系膜で構成された保護膜hが形成されている。これにより、前記発電要素が外的衝撃および水分(湿気)などから保護されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述のような従来の構成を有する固体電池には以下のような問題がある。すなわち、保護膜が一層の窒化シリコン系膜で構成されているため、当該保護膜にピンホールが生じた場合に、固体電池としての耐湿性が劣り、リチウムイオン電池の品質を低下させてしまうという問題がある。
そこで、本発明は、このような従来の問題点を解決し、耐湿性に優れた固体電池を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、基板と、前記基板上に積層された下部電極層、電解質層および上部電極層を含む発電要素と、前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜と、疎水性基を有し少なくとも前記保護膜の表面に吸着した有機コーティング膜とを備えることを特徴とする固体電池を提供する。
【0008】
前記保護膜は、複数の酸化シリコン系の膜で構成された多層積層膜であるのが好ましい。
また、前記有機コーティング膜は、表面に露出した炭化水素基またはフッ化炭素基を有するのが好ましい。
【0009】
前記有機コーティング膜は、前記保護膜とシロキサン結合を形成しているのが好ましい。
また、前記有機コーティング膜は、炭素数8〜30の分子で構成されているのが好ましい。
また、前記有機コーティング膜の厚さが0.5〜5nmであるのが好ましい。
【0010】
さらに、本発明は、(1)基板上に、下部電極層、電解質層および上部電極層を含む発電要素を積層して形成する工程、(2)前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜を形成する工程、(3)疎水性基を有し前記保護膜の表面に吸着した有機コーティング膜を形成する工程を備えることを特徴とする固体電池の製造方法を提供する。
【0011】
前記工程(3)において、少なくともハロゲン基またはアルコキシ基を有するシラン系またはチタン系界面活性剤を用い、乾燥雰囲気下で脱ハロゲンまたは脱アルコール反応を行うことにより、前記有機コーティング膜を形成するのが好ましい。
前記乾燥雰囲気は、湿度計を用いた測定において35%以下(25℃)であるのが好ましい。
【0012】
前記シラン系界面活性剤が、モノクロロシラン化合物、ジクロロシラン化合物およびトリクロロシラン化合物よりなる群から選択される少なくとも一種であり、前記チタン系界面活性剤が、モノクロロチタン化合物、ジクロロチタン化合物およびトリクロロチタン化合物よりなる群から選択される少なくとも一種であるのが好ましい。
【0013】
前記工程(3)において、前記界面活性剤のうち、前記保護膜と結合した有機コーティング膜を構成せずに残留している界面活性剤を除去するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、基板と、前記基板上に積層された下部電極層、電解質層および上部電極層を含む発電要素と、前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜と、前記保護膜の表面に吸着した疎水性基を有する有機コーティング膜とを備えることを特徴とする固体電池に関する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る固体電池の断面図である。図1に示すように、例えばシリコンで構成された基板a上に、下部電極層(正極集電体bおよび正極活物質膜c)、固体電解質膜d、ならびに上部電極層(負極活物質膜eおよび負極集電体f)を含む発電要素が積層して形成されている。そして、前記発電要素の保護膜として、酸化シリコン系膜で構成された保護膜gを有し、さらに保護膜gの表面に吸着した疎水性基を有する有機コーティング膜iを具備する。なお、下部電極層と上部電極層との間で電気絶縁性を得るために、シリコン酸化膜a’を基板aと下部電極層との間に設けてもよい。
【0016】
ここで、基板a、下部電極層(正極集電体bおよび正極活物質膜c)、固体電解質膜d、ならびに上部電極層(負極活物質膜eおよび負極集電体f)を含む発電要素としては、従来公知のものを用いることができる。
また、従来では、窒化シリコン系膜が保護膜hとして用いられていたが(図3参照)、Si−Nの未結合部分が発生すると充放電を担うイオンがトラップされ電池容量が減るという理由から、本発明においては、酸化シリコン系膜を保護膜gとして用いる。
そして、この酸化シリコン系膜からなる保護膜gを含めて、前記発電要素全体を覆うように、さらなる保護膜として有機コーティング膜iを設ける。
【0017】
本発明に係る固体電池は、(1)基板上に、下部電極層、電解質層および上部電極層を含む発電要素を積層して形成する工程、(2)前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜を形成する工程、ならびに(3)疎水性基を有し前記保護膜の表面に吸着した有機コーティング膜を形成する工程により作製することができる。
【0018】
工程(1)
まず、工程(1)により発電要素を形成する。この工程は常法により行うことができる。例えば、シリコン基板a上にプラズマCVD法(Chemical Vapor Deposition)によってシリコン酸化膜a’(例えば厚み1500Å)を形成し、このシリコン酸化膜a’の上に正極集電体bとして金属アルミニウム膜(例えば厚み0.5μm、縦10mmおよび横15mm)を真空蒸着装置により形成する。そして、正極集電体b上に、LiCoOからなる正極活物質膜c(例えば厚み5μm、縦8mm、横8mm)をスパッタにより形成する。
【0019】
さらに、前記シリコン酸化膜a’の一部および前記正極集電体bの一部とともに、前記正極活物質膜cの上に、LiS−SiS−LiPOからなる固体電解質膜d(例えば厚み2μm、縦14mm、横14mm)を形成する。
そして、前記固体電解質膜dの一部の上に、グラファイトからなる負極活物質膜e(例えば厚み5μm、縦8mm、横8mm)を形成し、前記固体電解質膜dの一部および前記シリコン酸化膜a’の一部とともに、負極活物質膜eの上に、金属銅膜からなる負極集電体f(例えば厚み1μm、縦10mm、横15mm)を、真空蒸着法で形成し、発電要素を構成する。
【0020】
これらの膜は、レーザーアブレーション法により作成することもできる。また、前記膜を作成する際には、上述の寸法の空孔を有する金属製(例えばステンレス鋼(SUS304))マスクを用いてパターニングをすればよい。
【0021】
工程(2)
ついで、本発明においては、前記発電要素の上に前記発電要素を覆うように、SiOからなる保護膜g(例えば厚み0.5〜2.0μm、縦16mm、横16mm)をスパッタにより形成する。この保護膜gは、正極集電体bの端部と負極集電体fの端部を除く発電要素の全体を覆うのが好ましい。
このとき、保護膜gは、ピンホールやクラックの発生に対して信頼性を向上させるという理由から、複数の酸化シリコン系の膜で構成された多層膜であるのが好ましい。
【0022】
工程(3)
そして、前記保護膜gの上に、有機コーティング膜iを形成する。この有機コーティング膜iは、前記保護膜gの全体を覆っているのが好ましい。この場合、少なくともハロゲン基またはアルコキシ基を有するシラン系界面活性剤またはチタン系界面活性剤を用いる。これにより、前記SiOからなる保護膜gの表面上に存在する水酸基と、前記界面活性剤の有するハロゲン基またはアルコキシ基との化学結合によって有機コーティング膜iを形成する。
【0023】
なお、本発明において用いる界面活性剤は、一端にクロロシラン基(−SiCl3−n、Xは水素原子または低級アルキル基、n=1〜3)またはアルコキシラン基(−Si(OA)3−n、AはC2l+1(l=1〜3)、Xは水素原子または低級アルキル基、n=1〜3)を含有し、他端に炭化水素基またはフッ化炭素基(フッ素置換した炭素)を含有するシラン系界面活性剤が挙げられる。
【0024】
他端の炭化水素基としては、例えばCH(CH−、CH=CH−(CH14−、CHCHCOO(CH14−などが挙げられ、また、フッ化炭素基としては、CF(CF(CH−、CF(CF(CHSi(CH(CH−、CFCOO(CH15−などが挙げられる。また、前記界面活性剤の炭素数は、表面に官能基を露出させる目的から配向性が必要となり、炭素数は8以上であるのが好ましく、また、膜形成の簡便さ(易溶性)の観点から、炭素数は30以下であるのが好ましい。
特に、フルオロカーボン基を含む界面活性剤を用いると、表面の疎水性が向上するのでより好ましい。なお、前記一端と他端を結合する部分は、−C−などのアルキレン基であればよい。
【0025】
オクタデシルトリクロロシラン(CH(CH17SiCl)、オクタデシルトリクロロチタン(CH(CH17TiCl)、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロシラン(CF(CFC(CHSiCl)、ヘプタデカフルオロデシルトリクロロチタン(CF(CFC(CHTiCl)、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル−トリクロロシランおよびヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル−トリクロロチタンなどが挙げられる。
【0026】
また、他の界面活性剤としては、そのほかのクロロシラン基を持つ界面活性剤、クロロチタン基を持つ界面活性剤、例えばCF(CHSi(CH(CH15SiCl、F(CF(CHSi(CH(CHSiCl、CFCOO(CH15SiCl、CF(CF(CHSiClなども用いることができる。
また、本発明の効果を損なわない範囲であれば、2種類以上の界面活性剤を混合して用いることも可能である。
【0027】
前記シラン系界面活性剤は、その分子内のクロロシル基が、SiOからなる保護膜gの表面上の水酸基やカルボキシル基と反応して共有結合(例えば−Si−O−基板のシロキサン結合)を生成することで前記保護膜gに吸着し、有機コーティング膜iを構成する。
有機コーティング膜iにおいては、前記界面活性剤を構成する分子が、シリル結合によって前記保護膜g上に結合しており、前記界面活性剤を構成する分子は、その炭化水素またはフッ化炭素からなる主鎖が互いに平行にして並んだブラシ状態で、前記有機コーティング膜iを構成しているのが好ましい。
【0028】
しかし、有機コーティング膜iを形成する下地の保護膜gの表面に露出する水酸基やカルボキシル基の数が少ない場合は、有機コーティング膜の密度が所定の密度よりも低くなると考えられる。この場合は、保護膜g上に、さらに水酸基などの数を増大させる必要が生じ、例えばクロロシリル基を有する分子を用いて、有機コーティング膜iを形成する場合と同様の手法で、保護膜g上に別のコーティング膜を形成してもよい。このクロロシリル基を有する材料としては、例えばSiCl、SiHCl、SiHCl、およびCl−(SiClO)−SiClなどが挙げられる。
【0029】
具体的な有機コーティング膜の製造方法としては、例えば、ディッピング法、印刷法、ロールコート法、バーコート法、スプレイ法、気体接触法、または手塗り法により行えばよい。また、回転塗布ができるような設備を35%以下の湿度にコントロールできるような部屋におくことができれば、有機コーティング膜の形成は可能である。
【0030】
また、有機コーティング膜を形成する際には、雰囲気の湿度コントロールを行うことが好ましい。これは、湿度コントロールによって、ナノメータースケールで膜厚を管理しつつ超薄膜を形成することができ、従来の方法によって得られる膜表面の荒れを改善することができるからである。したがって、湿度コントロールできる状態で行うことのできる方法であれば、有機コーティング膜の形成は可能である。
【0031】
また、透明度を要求されるような基体の表面のコーティングに対しても、本発明は有利に適用できる。すなわち、従来にない透明度を有する有機コーティング膜を実現することが可能である。
したがって、本発明に係る固体電池においては、保護膜を構成するSiOの透明性も加えて考えると、スケルトン状態となって電池内部の状況を目視により容易に観察することができる。このように外部から容易に電池内部を観察することができると、例えば、電池内部の反応状況を詳しく解析することが可能となり、非破壊の状態で電池の不具合を容易に調べることができるという特有の効果を有する。
【0032】
なお、この疎水基を有する有機コーティング膜の最外表面には撥水性を示す官能基(例えば、−CF基など)が存在し、膜の疎水性が向上することになる。
また、疎水性を有する有機コーティング膜の構成の一形態として、膜内の個々の分子がすべて保護膜(SiO)と化学的に吸着した状態であるだけでなく、分子の一部が膜内に単純にとり込まれて保護膜と物理吸着した状態を含んだ構成であってもよい。
【0033】
また、保護膜(SiO)以外の部分には親水性基が存在しないので、保護膜(SiO)の部分だけに選択的に疎水膜が形成された。なお、正極集電体または負極集電体の表面を化学的に不活性な金属、例えば金(Au)などで予めコートしておけば、集電体表面に疎水膜の吸着を抑制することができる。
以上のような本発明の構成によれば、大気に露出する部分が疎水性膜であるため固体電池の耐湿性がアップし、水分の影響を受けない品質の高い固体電池を提供することができる。
【0034】
つぎに、図2に、本発明の他の実施の形態に係る固体電池の断面図を示した。図2に示す固体電池では、図1に示す固体電池と同様に、例えばシリコンで構成された基板a上に、下部電極層(正極集電体bおよび正極活物質膜c)、固体電解質膜d、ならびに上部電極層(負極活物質膜eおよび負極集電体f)を含む発電要素が積層して形成されている。そして、前記発電要素の保護膜として、酸化シリコン系膜で構成された保護膜gを有し、さらに疎水性基を有し保護膜gの表面に吸着した有機コーティング膜iを具備する
【0035】
ただし、保護膜gを二層構造とし、その中心に、例えばSiなどの窒化シリコン系の膜からなる保護膜hを設ける。この構成によれば、シリコン酸化膜からなる保護膜gと窒化シリコン系の保護膜とを組合せて三層構造の保護膜を得ることができ、保護膜におけるピンホール発生率を下げることが可能となる。さらに、大気に露出する部分が疎水性膜であるため固体電池の耐湿性がアップして、水分の影響を受けない品質の高い固体電池を提供することができる。
以下に、実施例を用いて、本発明に係る固体電池の製造方法をより詳細に説明する。しかし、本発明は、これらのみに限定されるものではない。
【0036】
【実施例】
《比較例(従来例)》
まず、図3に示す構造を有する従来の固体電池を作製した。ここでは、正極活物質としてLiCoO、負極活物質としてV、および固体電解質としてLiPO4−yを用いた固体電池を作製した。
厚み0.5mm、縦20mm、横25mmの石英からなる基板aの上に、縦10mm、横15mmの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、アルミニウム金属ターゲットを用いて、DCスパッタにより500V、2A、1Pa、1分、Arガス:10sccmの条件で、金属アルミニウムからなる正極集電体b(厚み0.5μm、縦10mm、横15mm)を形成した。
【0037】
つぎに、前記正極集電体bの上に、縦8mm、横8mmの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、LiCoOからなるターゲットを用い、RFスパッタで200Wのパワー、3Pa、3時間、Arガス:20sccmという条件により、LiCoOからなる正極活物質膜c(厚み5μm、縦8mm、横8mm)を形成した。
【0038】
さらに、基板aの一部、正極集電体bの一部および正極活物質膜cの全体の上に、縦14mm、横14mmの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、LiPOからなるターゲットを用いて、RFスパッタにより、100Wのパワー、3Pa、3時間、Nガス:15sccm、Arガス:5sccmという条件で、LiPO4−yからなる固体電解質膜d(厚み2μm、縦14mm、横14mm)を形成した。
【0039】
ついで、前記固体電解質膜dの一部の上に、前記正極活物質膜cと相対する位置に、縦8mm、横8mmの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、バナジウム金属ターゲットを用いて、RFスパッタにより、100Wのパワー、3Pa、3時間、Oガス:10sccm、Arガス:10sccmという条件で、Vからなる負極活物質膜e(厚み5μm、縦8mm、横8mm)を積層した。
【0040】
さらに、前記基板aの一部、前記固体電解質膜dの一部、および前記負極活物質膜eの全体の上に、縦10mm、横15mの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、バナジウム金属ターゲットを用いて、DCスパッタにより、500V、2A、1Pa、1分、Arガス:10sccmという条件で、Vからなる負極集電体f(厚み1μm、縦10mm、横15mm)を形成した。
このようにして、基板aに発電要素を積層して形成した積層体を得た。
【0041】
そして最後に、負極集電体fの一部の上に、縦18mm、横18mの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、Si3N4ターゲットを用いて、RFスパッタにより、100Wのパワー、3Pa、2時間、Arガス:10sccmという条件で、窒化珪素からなる保護膜h(厚み0.1μm、縦18mm、横18mm)を形成した。以上により、従来構造の固体電池を作製した。
【0042】
《実施例1》
工程(1)
まず、実施例おいては、本発明の最大の特徴となる保護膜および有機コーティング膜の形成工程に供する固体電池の前駆体として、図1に示すように、シリコンで構成された基板a上に、下部電極層(正極集電体bおよび正極活物質膜c)、固体電解質膜d、ならびに上部電極層(負極活物質膜eおよび負極集電体f)を含む発電要素を積層して形成し、積層体を得た。
【0043】
具体的には、まず、厚み0.5mm、縦20mm、横25mmのシリコン基板a上に、プラズマCVD法を用い、プラズマを50kHz、4kWで発生させ、反応ガス:SiHおよびNO、380℃、20分という条件により、前記シリコン基板aの一方の表面全体に厚み1500Åのシリコン酸化膜a’を形成した。
つぎに、前記シリコン酸化膜a’上に、縦10mm、横15mmの空孔を有するステンレス鋼からなるマスクを配置し、DCスパッタにより、500V、2A、1Pa、1分、Arガス:10sccmという条件により、金属アルミニウムからなる正極集電体b(厚み0.5μm、縦10mm、横15mm)を形成した。
【0044】
ついで、前記正極集電体bの上に、縦8mm、横8mmの空孔を有するステンレス鋼からなるマスクを配置し、RFスパッタで、200W、3Pa、3時間、Arガス:20sccmという条件により、LiCoOからなる正極活物質膜c(厚み5μm、縦8mm、横8mm)を形成した。
さらに、シリコン酸化膜a’の一部と、正極集電体bの一部と、正極活物質膜cの全体の上に、縦14mm、横14mmの空孔を有するステンレス鋼からなるマスクを配置し、RFスパッタにより100Wパワー、Arガス:20sccm、3Pa、3時間という方法および条件により、LiS−SiS−LiPOからなる固体電解質膜d(厚み2μm、縦14mm、横14mm)を形成した。
【0045】
さらに、前記固体電解質膜dの一部の上に、前記正極活物質膜cと相対する位置に、縦8mm、横8mmの空孔を有するステンレス鋼からなるマスクを配置し、レーザーアブレーション法を用いて、YAGレーザー:266nm、エネルギー密度:2025mJ/cm、繰り返し周波数:10Hz、ショット数:36000、800℃、10−2Torrという条件により、グラファイトからなる負極活物質膜e(厚み5μm、縦8mm、横8mm)を積層した。
最後に、シリコン酸化膜a’の一部、固体電解質膜dの一部、および負極活物質膜eの上に、縦10mm、横15mmの空孔を有するステンレス鋼からなるマスクを配置し、DCスパッタを用いて、500V、2A、1Pa、3分という条件により、金属銅からなる負極集電体f(厚み1μm、縦10mm、横15mm)を形成した。このようにして、シリコン基板に発電要素を積層して形成した積層体を得た。
【0046】
工程(2)
前記積層体において前記発電要素を覆うように酸化シリコン系の保護膜gを形成し、前駆体を得た。具体的には、負極集電体fの上に、縦18mm、横18mmの空孔を有するステンレス鋼製のマスクを配置し、プラズマCVD法により、シリコン酸化膜からなる保護膜gを形成した。CVDの条件については、50kHz、4kWでプラズマを発生させ、反応ガスとしてSiHおよびNOを用いて380℃で反応させ、1μmの厚みのシリコン酸化膜を得た。
【0047】
工程(3)
つぎに、前記保護膜gの表面に吸着した疎水性基を有する有機コーティング膜iを形成した。
界面活性剤としてオクタデシルトリクロロシランを用いた。前記界面活性剤をアルドリッチ製ヘキサデカン、関東化学株式会社製クロロホルムおよび四塩化炭素の混合溶媒(重量比80:12:8)に、1ミリモル/リットルとなるように溶かし、有機コーティング膜用の溶液を調製した。前記溶液は密閉したポリテトラフロロエチレン製容器に保存した。
【0048】
つぎに、ガス導入口および手袋が内蔵されたポリプロピレン製グローブバック1内に充分の乾燥窒素ガスを導入し、グローブバック1内に設置した湿度計にて湿度が35%以下になっていることを確認した。
前駆体を浸漬するためのシャーレ2、前駆体3、および前記溶液を入れたポリテトラフロロエチレン製容器を、前記グローブバック1内に入れ、それぞれを乾燥状態に慣らした。
【0049】
つぎに、シャーレ2に、前記前駆体3を浸漬し得る容量の界面活性剤溶液を入れ、その後、前駆体3を1時間浸漬した。この1時間の浸漬により、SiOからなる保護膜gの表面の水酸基と界面活性剤のトリクロロシラン基との脱塩化水素反応が進み、保護膜gの表面はシラン系界面活性剤からなる有機コーティング膜iによって一様に覆われた。この場合、保護膜(SiO)以外の部分には親水性基が存在しないので、保護膜(SiO)の部分だけに選択的に疎水膜が形成された。
【0050】
つぎに、前記グローブバック1内に、浸漬処理後の前駆体3を洗浄工程に移動するため、クロロホルムの入った密閉式の容器を入れた。クロロホルムは前記界面活性剤をよく溶かすことが分かっており、洗浄液として用いた。前記前駆体3を浸漬し得る容量のクロロホルムを入れ、この容器の形状は前駆体3が入りやすい形状とした。前記グローブバック1内で前記クロロホルムの入っている密閉式の容器を空けて、まず、乾燥雰囲気に慣らした。
【0051】
その後、前駆体3を界面活性剤の入ったシャーレ2から取り出し、密閉容器に入ったクロロホルムに浸漬した。このときの動作は、乾燥雰囲気にしたグローブバック1内といえども、すばやく行う必要があった。前駆体3を浸漬したクロロホルムの入った密閉容器をグローブバック1内で密閉した後、グローブバック1から前駆体3を浸漬したクロロホルムの入った密閉容器を取り出した。
【0052】
図5には、有機コーティング膜を設けた後の前駆体3の洗浄を行う装置の様子を示した。前記グローブバックと同様の形状をしたガス導入口および手袋が内蔵されたポリプロピレン製グローブバック4内に、クロロホルムの入ったガラス容器5と、前記前駆体3を浸漬しているクロロホルムの入った密閉容器6とを入れた。密閉容器を開けて、前駆体3をクロロホルムから取り出す前に、グローブバック4内に入れたクロロホルムの入ったガラス容器5と前記前駆体3を浸漬したクロロホルムの入った密閉容器6を充分に乾燥雰囲気に慣らした。
【0053】
その後、密閉容器6から前駆体3を取り出し、クロロホルムの入ったガラス容器5内で、界面活性剤からなる有機コーティング膜の表面付近において、前記保護膜のSiOと化学結合していない残余界面活性剤をクロロホルムによって洗浄、除去した。洗浄条件は、目安として5cmの基板の場合、500mlのクロロホルムで15分浸漬すれば充分であった。洗浄の後、前駆体3をクロロホルムの入ったガラス容器5から取り出し、グローブバック4内に封入している乾燥窒素で乾かし、グローブバックから取りだした。
【0054】
これら一連の処理によって、SiOからなる保護膜で被覆した前駆体3上にオクタデシルトリクロロシランからなる有機コーティング膜を形成し、本発明に係る固体電池を得た。ここで、得られた有機コーティング膜の厚みは、界面活性剤の分子長分に相当する約2.5nmであった。この有機コーティング膜の表面には、溶液内に存在してまだ化学結合を起こしていない界面活性剤のクロルシラン基と脱塩化水素反応を起こし得る水酸基が全く存在しなかったため、その他の膜や層の表面と界面活性剤とが反応を起こすだけで、有機コーティング膜上にさらに界面活性剤分子が結合して成長することがなく、膜厚の乱れが生じることがなかった。
【0055】
さらに、この膜厚は、使用される界面活性剤の分子長分(ナノメートル程度)であり、超薄膜の有機コーティング膜を形成することができた。また、このような膜厚であるため、前駆体3に有機コーティング膜を形成しても、膜の存在を全く感じさせなかった。ここで、株式会社島津製作所製フーリエ変換赤外吸収分光計を用いて、形成した膜を反射測定法により測定した。2930波数と2860波数が観測された。2930波数はアルキレン基の逆対象伸縮振動であり、また2860波数はアルキレン基の対象伸縮振動に該当することから、膜を構成する分子中の−(CH17−に該当する特性基を同定した。
【0056】
次に形成した膜の表面のエネルギーを測定した。膜上にナカライテスク株式会社製接触角測定用標準溶液を滴下し、協和界面科学株式会社製接触角計を用いて、膜表面上に上記溶液が形成する接触角を計測し、各接触角度から臨界表面エネルギーを求めた。臨界表面エネルギーは21.9ダイン/センチメートルであった。フッ素系材料の開発(山辺正顕、松尾仁編集、株式会社シーエムシー発行)の137頁に表面官能基と臨界表面張力の表があり、CH基の臨界表面エネルギーは24ダイン/センチメートルとあり、ほぼ同等の表面状態であると推定された。以上より、オクタデシルトリクロロシランからなる有機コーティング膜が形成されたと推測された。
【0057】
また、シリコン基板の代わりにガラス基板など透明基板上に形成した場合、透過式可視紫外分光光度計による測定において、最終的に得られる固体電池の持つ透明性が全く損なわれなかった。
つぎに、参考として、相対湿度約55%にした雰囲気を用いた他は条件を変えずに、上記実施例と同様の操作を行って有機コーティング膜を得た。シャーレ内に界面活性剤溶液を入れ、さらに、SiOからなる保護膜で発電要素を被覆して得られた前駆体を入れて放置した。時間とともに気液界面に白濁する膜が発生しはじめた。この膜は、雰囲気中の水分と界面活性剤のクロルシラン基とが気水界面上で脱塩化水素反応を起こして、縮合を開始するためであった。このとき、前駆体表面と溶液内の界面活性剤も脱塩化水素反応を生じて、膜が形成さえれていると推測された。
【0058】
つぎに、所定の放置時間(この場合1時間)を経て、前駆体を洗浄工程に移すためクロロホルムの入った密閉容器に移した。前駆体を界面活性剤溶液から取り出した際、溶液中で形成した本来の有機コーティング膜の上に溶液の気水界面に形成された界面活性剤の縮合で生じた膜が覆った。この気液界面に生じた膜は、膜厚が一様でないため白濁していた。したがって、前駆体が白く曇って見える程度になった。この前駆体をクロロホルムの入った密閉容器に入れ、洗浄用のグローブバックに移し、洗浄を行った。しかし、この工程では白濁した膜が前駆体の表面に形成された本来の有機コーティング膜と絡み合い、もはや、白濁した膜を取り除くことができなかった。
【0059】
さらに、湿度が50%を超える状態で膜形成を行うと気液界面で界面活性剤と雰囲気の水分とが脱塩化水素反応を起こして、白濁した膜を形成するだけでなく、溶液内にも水分が存在するようになり、溶液内も白濁した。このようななかで、前駆体を浸漬させて膜形成を行うと、浸漬中の前駆体の表面が白濁する様子が観察された。また、表面の膜厚の不均一性も接触式荒さ計で測れることのできる程度(マイクロメーター程度)であった。
【0060】
《実施例2》
本実施例においても、実施例1と同様に前駆体を作製し、ついで図4および5に示す装置を用いて前駆体に有機コーティング膜を形成した。界面活性剤にオクタデシルトリクロロチタンを用いた他は、実施例1と同様にして本発明に係る固体電池を得た。
【0061】
これにより、SiOからなる保護膜で被覆した前駆体3上にオクタデシルトリクロロチタンからなる有機コーティング膜を形成し、本発明に係る固体電池を得た。ここで、得られた有機コーティング膜の厚みは、界面活性剤の分子長分に相当する約2.5nmであった。この有機コーティング膜の表面には、溶液内に存在するいまだ化学結合を起こしていない界面活性剤のクロルチタン基と脱塩化水素反応を起こし得る水酸基が全く存在しなかったため、その他の膜や層の表面と界面活性剤とが反応を起こすだけで、有機コーティング膜上にさらに界面活性剤分子が結合して成長することがなく、膜厚の乱れが生じることがなかった。
【0062】
さらに、この膜厚は、使用される界面活性剤の分子長分(ナノメートル程度)であり、超薄膜の有機コーティング膜を形成することができた。また、このような膜厚であるため、前駆体3に有機コーティング膜を形成しても、膜の存在を全く感じさせなかった。
【0063】
《実施例3》
本実施例においても、実施例1と同様に前駆体を作製し、ついで図4および5に示す装置を用いて前駆体に有機コーティング膜を形成した。界面活性剤にチッソ株式会社製のヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル−トリクロロシランを用いた他は、実施例1と同様にて本発明に係る固体電池を得た。
【0064】
これにより、SiOからなる保護膜で被覆した前駆体3上にヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル−トリクロロシランからなる有機コーティング膜を形成し、本発明に係る固体電池を得た。ここで、得られた有機コーティング膜の厚みは、界面活性剤の分子長分に相当する約2.5nmであった。この有機コーティング膜の表面には、溶液内に存在するいまだ化学結合を起こしていない界面活性剤のクロルチタン基と脱塩化水素反応を起こし得る水酸基が全く存在しなかったため、その他の膜や層の表面と界面活性剤とが反応を起こすだけで、有機コーティング膜上にさらに界面活性剤分子が結合して成長することがなく、膜厚の乱れが生じることがなかった。
【0065】
さらに、この膜厚は、使用される界面活性剤の分子長分(ナノメートル程度)であり、超薄膜の有機コーティング膜を形成することができた。また、このような膜厚であるため、前駆体3に有機コーティング膜を形成しても、膜の存在を全く感じさせなかった。
ここで、株式会社島津製作所製フーリエ変換赤外吸収分光計を用いて、形成した膜を反射測定法により測定した。2930波数と2860波数が観測された。2930波数はアルキレン基の逆対象伸縮振動であり、また2860波数はアルキレン基の対象伸縮振動に該当することから、膜を構成する分子中の−CH−CH−に該当する特性基を同定した。
【0066】
また、その2つの吸収スペクトルが形成する面積は実施例1での同一特性基に起因する吸収スペクトルが形成する面積の約28%となり、実施例1で形成したオクタデシルトリクロロシランのアルキレン基の数とヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル−トリクロロシランのアルキレン基の数の比にほぼ一致しており、第1の実施例と同じ膜形成が為されていると確認された。
【0067】
次に形成した膜の表面のエネルギーを測定した。膜上にナカライテスク株式会社製接触角測定用標準溶液を滴下し、協和界面科学株式会社製接触角計を用いて、膜表面上に上記溶液が形成する接触角を計測し、各接触角度から臨界表面エネルギーを求めた。臨界表面エネルギーは9ダイン/センチメートルであった。フッ素系材料の開発(山辺正顕、松尾仁編集、株式会社シーエムシー発行)の137頁に表面官能基と臨界表面張力の表があり、CF基の臨界表面エネルギーは6ダイン/センチメートルとあり、ほぼ同等の表面状態であると推定された。以上より、ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロデシル−トリクロロシランからなる有機コーティング膜が形成されたと推測された。
【0068】
ここで、湿度計で測定した湿度35%はその雰囲気温度25℃における湿度であり、乾燥度は基体に含まれる水の絶対量でなければならない。よって、その雰囲気温度25℃における湿度35%で定められる水分量以下になればよいのであって、この水分量はその雰囲気温度と湿度により決定されることは当業者であれば常識である。
【0069】
《実施例4》
本実施例においては、図2に示す構造を有する固体電池を作製した。
まず、実施例1と同様にして前駆体3を作製した後、保護膜gを二層構造として、その中心に、Siからなる保護膜hを設け、さらに有機コーティング膜iを形成した。なお、Siからなる保護膜hは、上記比較例におけるものと同様に形成し、2つ目の保護膜gは1つ目の保護膜gと同様にして形成した。また、有機コーティング膜iも実施例1と同様にして形成した。
【0070】
[評価]
上記比較例の比較固体電池、ならびに実施例1および4の本発明に係る固体電池1および4を以下のようにして評価した。結果を表1に示した。なお、保護膜および有機コーティング膜を含めて、保護膜の数およびその構成も示した。
▲1▼固体電池の評価
評価電池について、充電深度100%の充電を行い、その充電電池を60℃湿度90%の環境下に48時間保存した。保存後の放電容量の保存前の放電容量に対する割合(%)を求めた。得られた割合が大きいほど、耐水性および保存特性に優れていると判断することができた。
【0071】
▲2▼保護膜の評価
シリコン基板上に2000Å、1cmのアルミニウム膜を形成し、その上に評価すべき保護膜を形成した。次に、この基板を70℃のリン酸溶液に10分間浸漬し、その後アルミエッチングされた箇所のピンホールの個数を顕微鏡にてカウントした。カウント数が少ないほど、ピンホールが少なく膜質が良好と判断することができた。
【0072】
【表1】
Figure 2004335133
【0073】
なお、上記実施例では、前駆体としてSiOで被覆した発電要素を用いたが、基体としては水酸基が露出しているものであればどのような状態のものを前駆体として用いてもよい。例えば、シリコンをはじめとする金属、金属酸化物、プラスチック、繊維、セラミックス、塗装面などが挙げられる。また、本発明に係る固体電池における有機コーティング膜は単分子膜であり、前駆体の表面と化学結合しているので、剥離したりせず、耐久性に優れる。
【0074】
また、上記実施例では、グローブバック内を乾燥雰囲気に保ったが、その他の方法によって、乾燥雰囲気を作ってもよい。また、本実施例では乾燥窒素を用いて乾燥雰囲気を作ったが、乾燥空気、アルゴンガス等他のガスを用いてもよい。なお、本実施例はオクタデシルトリクロロシランを使用したが、同じ手法によりヘプタデカフルオロデシルトリクロロシランを使用することにより、より疎水性を高めることも可能である。
【0075】
また、本実施例ではオクタデシルトリクロロシランをもちいて非常に薄い有機コーティング膜を形成する事例を示したが、重合性もしくは反応性基(たとえばカルボキシル基、アミノ基、エポキシ基、シアノ基、不飽和結合基など)を分子末端に設けておけば、本実施例に示す方法でまず化学反応性または化学重合性を有する有機コーティング膜を形成し、さらに後の反応でその有機コーティング膜を望む機能および厚みを有する有機コーティング膜に加工することも可能である。
【0076】
【発明の効果】
以上のように本発明に係る固体電池によれば、耐湿性に優れた保護膜を有し、品質の高い固体電池とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る固体電池の断面図
【図2】本発明の別の実施の形態に係る固体電池の断面図
【図3】従来の固体電池の断面図
【図4】本発明の実施例において用いた有機コーティング膜形成用の装置の概略図
【図5】本発明の実施例において用いた別の有機コーティング膜形成用の装置の概略図
【符号の説明】
a 基板
a’シリコン酸化膜
b 正極集電体
c 正極活物質膜
d 固体電解質膜
e 負極活物質膜
f 負極集電体
g 保護膜
h 保護膜
i 有機コーティング膜
1 グローブバック
2 シャーレ
3 前駆体
4 グローブバック
5 ガラス容器
6 密閉容器

Claims (11)

  1. 基板と、前記基板上に積層された下部電極層、電解質層および上部電極層を含む発電要素と、前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜と、疎水性基を有し少なくとも前記保護膜の表面に吸着した有機コーティング膜とを備えることを特徴とする固体電池。
  2. 前記保護膜が、複数の酸化シリコン系の膜で構成された多層積層膜であることを特徴とする請求項1記載の固体電池。
  3. 前記有機コーティング膜が、表面に露出した炭化水素基またはフッ化炭素基を有することを特徴とする請求項1記載の固体電池。
  4. 前記有機コーティング膜が、前記保護膜とシロキサン結合を形成していることを特徴とする請求項1記載の固体電池。
  5. 前記有機コーティング膜が、炭素数8〜30の分子で構成されていることを特徴とする請求項1記載の固体電池。
  6. 前記有機コーティング膜の厚さが0.5〜5nmであることを特徴とする請求項1記載の固体電池。
  7. (1)基板上に、下部電極層、電解質層および上部電極層を含む発電要素を積層して形成する工程、(2)前記発電要素を覆う酸化シリコン系の保護膜を形成する工程、(3)疎水性基を有し前記保護膜の表面に吸着した有機コーティング膜を形成する工程を備えることを特徴とする固体電池の製造方法。
  8. 前記工程(3)において、少なくともハロゲン基またはアルコキシ基を有するシラン系またはチタン系界面活性剤を用い、乾燥雰囲気下で脱ハロゲンまたは脱アルコール反応を行うことにより、前記有機コーティング膜を形成することを特徴とする請求項7記載の固体電池の製造方法。
  9. 前記乾燥雰囲気が、温度25℃で湿度35%以下であることを特徴とする請求項8記載の固体電池の製造方法。
  10. 前記シラン系界面活性剤が、モノクロロシラン化合物、ジクロロシラン化合物およびトリクロロシラン化合物よりなる群から選択される少なくとも一種であり、前記チタン系界面活性剤が、モノクロロチタン化合物、ジクロロチタン化合物およびトリクロロチタン化合物よりなる群から選択される少なくとも一種であることを特徴とする請求項8記載の固体電池の製造方法。
  11. 前記工程(3)において、前記有機コーティング膜を構成していない界面活性剤を除去することを特徴とする請求項7記載の固体電池の製造方法。
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