JP2004334960A - 光ディスク再生装置 - Google Patents

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Hitoshi Enomoto
仁志 榎本
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Abstract

【課題】当接音防止専用の別部材を設けることなく、ロック状態における当接音の発生を防止する光ディスク再生装置を得ることを提供する。
【解決手段】第3スライド部材51には光ディスク再生部25の第2被保持ピン33および第3被保持ピン35を保持する第2溝69および第3溝71が形成されている。各溝の上部領域77および81には第2長穴79および第3長穴83が形成されている。各長穴は各溝に各被保持ピンが保持された際に各被保持ピンの外形寸法に応じて各上部領域の撓み変形を可能にする。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば自動車等の移動体に搭載可能であり、コンパクトディスク(CD)やデジタルバーサタイルディスク(DVD)等の光学式ディスク状記録媒体(以下、光ディスクという)に記録された信号を読み取るための光ディスク再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の車載用光ディスク再生装置としては、例えば特許文献1に記載された構造が知られている。この光ディスク再生装置は、光ディスクの挿排を行う挿排口を有する函状のシャーシと、このシャーシに対して弾性手段材により揺動可能に支持されかつ光ディスクの挿排方向と直交する方向に延びる凸部を有すると共に光ディスクの記録を再生する光ディスク再生部と、光ディスクの挿排方向の両側部にその挿排方向に沿って移動可能に配設されたスライド部材と、このスライド部材に形成されかつ光ディスク排出状態において光ディスク再生部の凸部を支持する支持溝とを備えている。
【0003】
この光ディスク再生装置の光ディスク再生部は、光ディスク排出時に光ディスク再生部の凸部がスライド部材の支持溝に支持されることにより光ディスク再生部がシャーシに対して固定されるロック状態と、光ディスク再生時に光ディスクの凸部がスライド部材の支持溝から離れることにより光ディスク再生部がシャーシに対して揺動可能に支持されるアンロック状態とを採ることが可能である。アンロック状態では、車両の走行中に発生する振動が弾性手段材に吸収されることから光ディスク再生部による光ディスクの再生への影響が最小限に抑制され、ロック状態では、光ディスク再生部をシャーシに対して固定して光ディスクを挿排口から確実に排出するための光ディスク搬送面が確保される。
【0004】
なお、従来の光ディスク再生装置では、アンロック状態からロック状態へ移行する際に、光ディスク再生部の凸部がスライド部材の支持溝の一部に引っ掛かりなどの動作不良の発生を防止するために、支持溝内に凸部が支持されたときに凸部と支持溝との間に若干のクリアランスが生じるように凸部および支持溝の各寸法が設定されている。
【0005】
【特許文献1】
特開2000−48445号公報(図2および図4)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の光ディスク再生装置は上述のような構成を有しているので、以下のような課題があった。すなわち、従来の光ディスク再生装置では、ロック状態で車両の走行中に発生する振動等の衝撃を受けた場合、凸部と支持溝との間に存在するクリアランスのために凸部と支持溝とが振動等の衝撃により互いに当接して当接音が発生してしまうという課題があった。ここで、当接音の発生防止策として、凸部および支持溝のいずれか一方または両方に専用の別部材を設けることが考えられるが、この対策は部品点数や組立工数の増加による大幅なコスト増を招くことになり、一般に採用が困難である。
【0007】
この発明は上記のような課題を解決するためになされたもので、当接音防止専用の別部材を設けることなく、ロック状態における当接音の発生を防止する光ディスク再生装置を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係る光ディスク再生装置は、シャーシと、該シャーシに揺動可能に支持されかつ光学式ディスク状記録媒体の挿排方向と直交する方向に延びる凸部を有すると共に前記光学式ディスク状記録媒体を再生する光ディスク再生部と、前記光学式ディスク状記録媒体の挿排方向の両側部に該挿排方向に沿って移動可能に配設されたスライド部材と、該スライド部材に形成されかつ前記光学式ディスク状記録媒体排出状態において前記光ディスク再生部の凸部を保持する保持溝と、該保持溝の溝幅を前記凸部の外形寸法に応じて変更する弾性手段とを備えるように構成したものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の一形態を説明する。
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1による光ディスク再生装置の外部構成を示す概略斜視図であり、図2は図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク排出状態における内部構成を右斜め上方から見た斜視図であり、図3は図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク排出状態における内部構成を左斜め上方から見た斜視図であり、図4は図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク排出状態における外部構成を左側から見た側面図であり、図5は図4に示した光ディスク再生装置における1つのスライド部材を内側から見た側面図であり、図6は図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク再生状態における内部構成を右斜め上方から見た斜視図であり、図7は図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク再生状態における内部構成を左斜め上方から見た斜視図であり、図8は図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク再生状態における外部構成を右側から見た側面図である。なお、図1、図2および図6においては右下側を前方とし、左上側を後方とする。図3および図7においては左下側を前方とし、右上側を後方とする。図4および図8においては右側を前方とし、左側を後方とする。図5においては左側を前方とし、右側を後方とする。
【0010】
図1に示すように、光ディスク再生装置1は函状のシャーシ3を備えている。シャーシ3は光ディスクAの挿排方向(矢印B方向およびC方向)の前部に光ディスクAの挿排を行う挿排口5を有している。シャーシ3の挿排口5には、光ディスクAをその挿排方向に搬送するための搬送ローラ7が回転軸9に回転可能に配設されている。搬送ローラ7はシャーシ3の挿排口5の下部に配置された光ディスク搬送動力伝達部材11により回転可能である。
【0011】
光ディスク搬送動力伝達部材11は、回転駆動モータ13と、この回転駆動モータ13の回転駆動力を上記搬送ローラ7に伝達するための複数のギア15とから概略構成されている。光ディスク搬送動力伝達部材11の上部には、搬送ローラ7の回転軸9に回動可能に支持されかつシャーシ3の挿排口5を開閉する光ディスク搬送部材17が配設されている。
【0012】
光ディスク搬送部材17は、上記搬送ローラ7に加えて、回転軸9に対する軸受部(図示せず)を有すると共に上げた状態で上記挿排口5を塞ぎかつ下げた状態で上記挿排口5に光ディスクAの搬送路を確保する略矩形状の板部19と、この板部19の一側端(この実施の形態1では左側端)に形成されかつ光ディスクAの挿排方向と直交する方向に延びる第1ピン21と、上記板部19の他側端(この実施の形態1では右側端)に形成されかつ上記第1ピン21とは反対方向に延びる第2ピン23とを備えている。
【0013】
シャーシ3内には、光ディスクAの記録を再生する光ディスク再生部25がコイルばねやゴム等の弾性部材(図示せず)により揺動可能に配設されている。弾性部材(図示せず)が車両走行中に発生する振動等の衝撃を吸収するため、光ディスク再生部25は再生状態にある光ディスクAと共に、車両走行中に発生する振動等の衝撃から保護される。これにより、光ディスク再生部25は、車両走行中であっても、車両停車時と同程度の品質で、光ディスクAの記録再生を行うことが可能である。
【0014】
光ディスク再生部25は、上記弾性部材(図示せず)によりシャーシ3に支持された板状のベース部材27と、このベース部材27上に設けられかつ光ディスクAを回転可能に支持するターンテーブル29と、このターンテーブル29上に載置された光ディスクAの半径方向に沿って往復移動可能に上記ベース部材27に支持されかつ光ディスクAの記録再生を光学的に行う光ピックアップ30と、この光ピックアップ30の往復移動および上記ターンテーブル29の回転に対してそれぞれ駆動力を与える複数のアクチュエータ(図示せず)とから概略構成されている。ベース部材27の一側部(この実施の形態1では左側部)には光ディスクAの挿排方向と直交する方向(シャーシ3の左外方)に延びる第1被保持ピン(凸部)31が設けられており、他側部(この実施の形態1では左側部)には上記第1被保持ピン31とは反対方向(シャーシ3の右外方)に延びる第2被保持ピン(凸部)33および第3被保持ピン(凸部)35が設けられている。
【0015】
シャーシ3の後部には、光ディスク再生部25上に載置された光ディスクAを保持する光ディスク保持手段37が回動可能に配設されている。光ディスク保持手段37は、光ディスク再生部25のターンテーブル29に対応する略円盤状のクランパ39と、このクランパ39を先端部において揺動可能に支持しかつ基部においてシャーシ3の後部に回動可能に支持された略三角形状のクランプアーム41と、このクランプアーム41に支持されたクランパ39をターンテーブル29に向けて付勢する引っ張りばね等の付勢手段(図示せず)と、後述の第2スライド部材の動作によって上記付勢手段の付勢力に抗してターンテーブル29上の光ディスクAからクランパ39を離間させる光ディスク保持解除機構(図示せず)とから概略構成されている。
【0016】
シャーシ3の一側部(この実施の形態1では左側部)には、光ディスクAの挿排方向に沿って移動可能な略板状の第1スライド部材47および第2スライド部材49が配設されており、他側部(この実施の形態1では左側部)には、上記光ディスクAの挿排方向に沿って移動可能な略板状の第3スライド部材51が配設されている。
【0017】
第1スライド部材47は、光ディスク搬送動力伝達部材11のギア15と噛合可能なラック53と、このラック53よりも前方に位置し光ディスクAの再生時に光ディスク搬送動力伝達部材11により第1スライド部材47が矢印C方向に移動した際に光ディスク搬送部材17の第1ピン21を押圧して挿排口5を閉じる方向に光ディスク搬送部材17を回動させる斜面部55とを備えている。
【0018】
第2スライド部材49は上記第1スライド部材47に隣接して配設されており、光ディスク搬送動力伝達部材11のギア15と噛合可能なラック50と、光ディスク再生部25の第1被保持ピン31の挿入を受け入れる第1溝(保持溝)57とを備えている。第1溝57は、上記第1被保持ピン31の外径より大きい内径を有する後部円形溝部59と、この後部円形溝部59に連続して形成されかつ上記第1被保持ピン31の外径と同一あるいは当該外形より若干小さい溝幅を有する前部長溝部61とを備えた略テニスラケット状の開口部である。
【0019】
第1溝57の前部長溝部61の上部には第2スライド部材49の一部であって前部長溝部61の一部を構成する上部領域(弾性手段)63が形成されており、この上部領域63には前部長溝部61から離れて形成されかつ第2スライド部材49が矢印C方向に移動して第1溝57の前部長溝部61に光ディスク再生部25の第1被保持ピン31が保持された際に上部領域63の撓み変形を可能にする第1長穴(弾性手段)65が形成されている。ここで、前部長溝部61内に保持された第1被保持ピン31の押圧により前部長溝部61の一部を構成する上部領域63が第1長穴65側へ撓み変形するように、上記第1被保持ピン31による押圧力に対応する第2スライド部材49の上部領域63の撓み量等を勘案して第1長穴65を形成する位置が決められる。このような上部領域63と第1長穴65とは、前部長溝部61の溝幅を第1被保持ピン31の外径寸法(外形寸法)に応じて変更する弾性手段を構成している。
【0020】
第3スライド部材51は、光ディスク搬送部材17の第2ピン23を移動可能に受け入れるカム溝67と、このカム溝67よりも後方に位置し光ディスク再生部25の第2被保持ピン33の挿入を受け入れる第2溝(保持溝)69と、この第2溝69よりも後方に位置し第3スライド部材51が矢印C方向に移動した際に光ディスク再生部25の第3被保持ピン35を保持する第3溝(保持溝)71とを備えている。
【0021】
カム溝67は第3スライド部材51の内側面に斜めに形成されており、例えば光ディスクAの排出時に光ディスク搬送部材17が図3に示すように挿排口5を開ける方向に回動する際に第2ピン23がカム溝67内を下から上へ移動することで第3スライド部材51を矢印C方向へ移動させることが可能であり、また光ディスクAの再生時に光ディスク搬送部材17が図7に示すように挿排口5を閉じる方向に回動する際に第2ピン23がカム溝67内を上から下へ移動することで第3スライド部材51を矢印B方向へ移動させることが可能である。
【0022】
第2溝69は、上記第2被保持ピン33の外径より大きい内径を有する後部円形溝部73と、この後部円形溝部73に連続して形成されかつ上記第2被保持ピン33の外径と同一あるいは当該外形より若干小さい溝幅を有する前部長溝部75とを備えた略テニスラケット状の開口部である。
【0023】
第2溝69の前部長溝部75の上部には、第3スライド部材51の一部であって前部長溝部75の一部を構成する上部領域(弾性手段)77が形成されており、この上部領域77には前部長溝部75から離れて形成されかつ第3スライド部材51が矢印C方向に移動して第2溝69の前部長溝部75に光ディスク再生部25の第2被保持ピン33が保持された際に上部領域77の撓み変形を可能にする第2長穴(弾性手段)79が形成されている。ここで、前部長溝部75内に保持された第2被保持ピン33の押圧により前部長溝部75の一部を構成する上部領域77が第2長穴79側へ撓み変形するように、上記第2被保持ピン33による押圧力に対応する第3スライド部材51の上部領域77の撓み量等を勘案して第2長穴79を形成する位置が決められる。このような上部領域77と第2長穴79とは、前部長溝部75の溝幅を第2被保持ピン33の外径寸法(外形寸法)に応じて変更する弾性手段を構成している。
【0024】
第3溝71は、後方に向けて開口し、上記第3被保持ピン35の外径と同一あるいは当該外形より若干小さい溝幅を有する切欠き部である。第3溝71の上部には、第3スライド部材51の一部であって第3溝71の一部を構成する上部領域(弾性手段)81が形成されており、この上部領域81には第3溝71から離れて形成されかつ第3スライド部材51が矢印B方向に移動して第3溝71に光ディスク再生部25の第3被保持ピン35が保持された際に上部領域81の撓み変形を可能にする第3長穴(弾性手段)83が形成されている。ここで、第3溝71内に保持された第3被保持ピン35の押圧により第3溝71の一部を構成する上部領域81が第3長穴83側へ撓み変形するように、上記第3被保持ピン35による押圧力に対応する第3スライド部材51の上部領域81の撓み量等を勘案して第3長穴83を形成する位置が決められる。このような上部領域81と第3長穴83とは、第3溝71の溝幅を第3被保持ピン35の外径寸法(外形寸法)に応じて変更する弾性手段を構成している。
【0025】
なお、シャーシ3内には、光ディスクAの排出時に、光ディスク再生部25の第1被保持ピン31、第2被保持ピン33および第3被保持ピン35を固定するロック部材(図示せず)がそれぞれ配設されている。また、シャーシ3内には、光ディスクAの挿排口5からの挿入および排出を検知する光ディスク挿入排出検知手段(図示せず)と、挿排口5から挿入された光ディスクAが再生位置(ローディング完了位置)まで搬送されると第1スライド部材47を矢印C方向に所定量だけ移動させる光ディスク移動量検知手段(図示せず)が配設されている。
【0026】
次に動作について説明する。
まず、光ディスクAの挿入動作について説明する。図1に示すように、光ディスクAが光ディスク再生装置1の挿排口5から挿入されると、光ディスク挿入排出検知手段(図示せず)により光ディスクAの挿入が検知される。この検知信号に基いて、図2から図4までに示すように、光ディスク搬送動力伝達部材11の回転駆動モータ13の駆動力が複数のギア15を介して光ディスク搬送部材17の搬送ローラ7に伝達されることで、光ディスクAがシャーシ3内の所定位置まで矢印B方向に搬送される。光ディスクAの搬送が完了すると、光ディスク移動量検知手段(図示せず)が第1スライド部材47に当接して矢印C方向へ所定量だけ移動させる。この移動により、第1スライド部材47のラック53が光ディスク搬送動力伝達部材11のギア15に噛合すると、ギア15を介して伝達される光ディスク搬送動力伝達部材11の回転駆動力により第1スライド部材47が矢印C方向にさらに移動する。このとき、図7に示すように、第1スライド部材47の斜面部55が光ディスク搬送部材17の第1ピン21を押圧して光ディスク搬送部材17の板部19を上げる方向に回動させ、これにより挿排口5を塞ぐ。また、第1スライド部材47が所定量だけ移動すると、図7に示すように、第1スライド部材47の動作に連動して第2スライド部材49もラック50で光ディスク搬送動力伝達部材11からの動力を受けて矢印C方向に移動し、これにより光ディスク保持手段37を図示しない付勢手段の付勢力により降下させてクランパ39を光ディスク再生部25のターンテーブル29上に載置された光ディスクAの中央部分に当接させる。これにより、光ディスクAはターンテーブル29上に回転可能に保持される。
【0027】
また、第2スライド部材49が移動すると、光ディスク再生部25の第1被保持ピン31を固定していたロック部材(図示せず)が回動し、第1被保持ピン31が第2スライド部材49の第1溝57の前部長溝部61から後部円形溝部59へ相対的に移動することにより、第1被保持ピン31に対するロックが解除される。その際、第1被保持ピン31は前部長溝部61の上部に位置する上部領域63を上方へ押圧し、この上部領域63を第1長穴65側に撓ませながら移動する。上述の光ディスク移動量検知手段(図示せず)により光ディスクAの搬送が完了すると、光ディスク搬送動力伝達部材11からの第2スライド部材49のラック50への動力伝達が停止して第2スライド部材49のローディング動作が完了する。
【0028】
さらに、第1スライド部材47の矢印C方向への移動により回動する光ディスク搬送部材17の第2ピン23が第3スライド部材51のカム溝67内を移動することにより、第3スライド部材51も矢印C方向へ移動する。このとき、光ディスク再生部25の第2被保持ピン33を固定していたロック部材(図示せず)が回動し、第2被保持ピン33が第3スライド部材51の第2溝69の前部長溝部75から後部円形溝部73へ相対的に移動することにより、第2被保持ピン33に対するロックが解除される。その際、第2被保持ピン33は前部長溝部75の上部に位置する上部領域77を上方へ押圧し、この上部領域77を第2長穴79側に撓ませながら移動する。また、光ディスク再生部25の第3被保持ピン35を固定していたロック部材(図示せず)が回動し、第3被保持ピン35が第3スライド部材51の第3溝71から外れることにより、第3被保持ピン35に対するロックが解除される。その際、第3被保持ピン35は第3溝71の上部に位置する上部領域81を上方へ押圧し、この上部領域81を第3長穴83側に撓ませながら移動する。
【0029】
このような光ディスクAの再生状態(アンロック状態)では、光ディスク再生部25の第1被保持ピン31、第2被保持ピン33および第3被保持ピン35がロック解除されており、光ディスク再生部25が弾性部材(図示せず)を介してシャーシ3に揺動可能に支持されている。このため、再生状態にある光ディスク再生部25は車両走行中に発生する振動等の衝撃から確実に保護される。
【0030】
次に、光ディスクAの排出動作について説明する。
まず、光ディスクAの排出指示を受け付けると、図5から図7までに示すように、光ディスク搬送動力伝達部材11の回転駆動モータ13の駆動力が複数のギア15を介して光ディスク搬送部材17の搬送ローラ7、第1スライド部材47および第2スライド部材49に伝達されることで、光ディスクAは矢印C方向に移動し、第1スライド部材47および第2スライド部材49は矢印B方向に移動する。第2スライド部材49が移動すると、ロック部材(図示せず)が回動し、第1被保持ピン31が第2スライド部材49の第1溝57の後部円形溝部59から前部長溝部61へ相対的に移動することにより、第1被保持ピン31がロックされる。その際、第1被保持ピン31は前部長溝部61の上部に位置する上部領域63を上方へ押圧し、この上部領域63を第1長穴65側に撓ませながら移動する。
【0031】
また、第1スライド部材47の矢印B方向への移動により回動する光ディスク搬送部材17の第2ピン23が第3スライド部材51のカム溝67内を移動することにより、第3スライド部材51も矢印B方向へ移動する。このとき、光ディスク再生部25の第2被保持ピン33を固定していたロック部材(図示せず)が回動し、第2被保持ピン33が第3スライド部材51の第2溝69の後部円形溝部73から前部長溝部75へ相対的に移動することにより、第2被保持ピン33がロックされる。その際、第2被保持ピン33は前部長溝部75の上部に位置する上部領域77を上方へ押圧し、この上部領域77を第2長穴79側に撓ませながら移動する。また、光ディスク再生部25の第3被保持ピン35を固定していたロック部材(図示せず)が回動し、第3被保持ピン35が第3スライド部材51の第3溝71に保持されることにより、第3被保持ピン35がロックされる。その際、第3被保持ピン35は第3溝71の上部に位置する上部領域81を上方へ押圧し、この上部領域81を第3長穴83側に撓ませながら移動する。
【0032】
ここで、第2スライド部材49は、そのラック50と光ディスク搬送動力伝達部材11のギア15との噛合が外れる位置まで矢印B方向に移動し、この位置以降は第1スライド部材47の押圧により排出完了位置まで移動し、その排出完了位置で第1スライド部材47の押圧が外れる。一方、第1スライド部材47は、そのラック53と光ディスク搬送動力伝達部材11のギア15との噛合が外れる位置まで矢印B方向に移動する。光ディスクAは光ディスク搬送動力伝達部材11から光ディスク搬送部材17へ伝達された動力で矢印C方向に搬送され、搬送完了位置で停止する。光ディスクAが搬送完了位置に搬送されたことは光ディスク挿入排出検知手段(図示せず)により検知される。
【0033】
このような光ディスクAの排出状態(ロック状態)では、光ディスク再生部25の第1被保持ピン31が第2スライド部材49の前部長溝部61に弾性的に保持され、かつ第2被保持ピン33および第3被保持ピン35が第3スライド部材51の前部長溝部75および第3溝71に弾性的に保持されている。このため、光ディスクAの排出状態にある光ディスク再生部25は車両走行中に発生する振動等の衝撃を受けても、従来の光ディスク再生装置のピンと溝とのクリアランスにより発生していた当接音の発生が確実に防止される。
【0034】
以上のように、この実施の形態1によれば、シャーシ3と、このシャーシ3に揺動可能に支持されかつ光ディスクAの挿排方向と直交する方向に延びる第1被保持ピン31、第2被保持ピン33および第3被保持ピン35を有する光ディスク再生部25と、光ディスクAの挿排方向の両側部に該挿排方向に沿って移動可能に配設された第2スライド部材49および第3スライド部材51と、これら第2スライド部材49および第3スライド部材51に形成されかつ光ディスクAの排出状態において光ディスク再生部25の第1被保持ピン31、第2被保持ピン33および第3被保持ピン35を保持する第1溝57、第2溝69および第3溝71と、これら第1溝57、第2溝69および第3溝71の溝幅を第1被保持ピン31、第2被保持ピン33および第3被保持ピン35の外形寸法に応じて変更する上部領域63および第1長穴65、上部領域77および第2長穴79、上部領域81および第3長穴83の各組み合わせからなる弾性手段とを備えるように構成したので、従来の光ディスク再生装置のように光ディスク再生部のピンと溝との間にクリアランスを設ける必要がなく、光ディスクAの排出状態で、上記弾性手段により車両走行中に発生する振動等の衝撃を吸収しかつ溝内にピンを確実に保持してピンとこれに対応する溝との当接音の発生を防止することができるという効果がある。また、当接音防止専用の別部材を設ける必要がないので、部品点数や組立工数の増加による大幅なコスト増を招くことがないという効果がある。
【0035】
この実施の形態1によれば、弾性手段として第1溝57、第2溝69および第3溝71の上部に位置する上部領域63および第1長穴65、上部領域77および第2長穴79、上部領域81および第3長穴83の組み合わせを採用することで、車両走行中に発生する振動等の衝撃を第1溝57、第2溝69および第3溝71の上部で吸収し、第1溝57、第2溝69および第3溝71の下部に弾性を付与しないように構成したので、排出状態にある光ディスクAの高さを安定させることができるという効果がある。
【0036】
実施の形態2.
図9はこの発明の実施の形態2による光ディスク再生装置における1つのスライド部材を内側から見た側面図である。なお、この実施の形態2の構成要素のうち、実施の形態1の構成要素と共通するものについては同一符号を付し、その部分の説明を省略する。また、図9においては図5と同様に左側を前方とし、右側を後方とする。
【0037】
この実施の形態2の特徴は、弾性手段として薄肉部を採用した点にある。すなわち、この実施の形態2では、第3スライド部材51の第2溝69の上部領域77に薄肉部(弾性手段)85が形成され、第3溝71の上部領域81に薄肉部(弾性手段)87が形成されている。なお、第2スライド部材49の第1溝57の上部領域63にも薄肉部(弾性手段、図示せず)が形成されている。また、いずれの薄肉部も、対応する溝の上部領域全体に形成されてもよいが、被保持ピンの保持位置に必要な弾性を付与できれば、各上部領域の一部に形成されてもよい。
【0038】
以上のように、この実施の形態2によれば、弾性手段として薄肉部を採用するように構成したので、実施の形態1における弾性手段と同様に、各薄肉部により車両走行中に発生する振動等の衝撃を吸収し、ピンとこれに対応する溝との当接音の発生を確実に防止することができるという効果がある。
【0039】
なお、実施の形態2では実施の形態1の弾性手段と異なる弾性手段を示したが、実施の形態1の弾性手段と実施の形態2の弾性手段とを組み合わせて各スライド部材を構成しても、上記効果と同様の効果がある。
【0040】
また、この実施の形態1および実施の形態2では、シャーシ3の左側に第1スライド部材47および第2スライド部材49を配設しかつシャーシ3の右側に第3スライド部材51を配設したが、各部材等の配置構成を左右反対にしても上記効果と同様の効果がある。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、シャーシと、該シャーシに揺動可能に支持されかつ光学式ディスク状記録媒体の挿排方向と直交する方向に延びる凸部を有すると共に前記光学式ディスク状記録媒体を再生する光ディスク再生部と、前記光学式ディスク状記録媒体の挿排方向の両側部に該挿排方向に沿って移動可能に配設されたスライド部材と、該スライド部材に形成されかつ前記光学式ディスク状記録媒体排出状態において前記光ディスク再生部の凸部を保持する保持溝と、該保持溝の溝幅を前記凸部の外形寸法に応じて変更する弾性手段とを備えるように構成したので、光ディスク再生部の凸部とスライド部材の保持溝との間にクリアランスを設けずとも、光学式ディスク状記録媒体排出状態において、弾性手段により保持溝内に凸部を確実に保持して凸部と保持溝との当接音の発生を防止することができるという効果がある。また、当接音防止専用の別部材を設ける必要がないので、部品点数や組立工数の増加による大幅なコスト増を招くことがないという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1による光ディスク再生装置の外部構成を示す概略斜視図である。
【図2】図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク排出状態における内部構成を右斜め上方から見た斜視図である。
【図3】図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク排出状態における内部構成を左斜め上方から見た斜視図である。
【図4】図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク排出状態における外部構成を左側から見た側面図である。
【図5】図4に示した光ディスク再生装置における1つのスライド部材を内側から見た側面図である。
【図6】図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク再生状態における内部構成を右斜め上方から見た斜視図である。
【図7】図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク再生状態における内部構成を左斜め上方から見た斜視図である。
【図8】図1に示した光ディスク再生装置の光ディスク再生状態における外部構成を右側から見た側面図である。
【図9】この発明の実施の形態2による光ディスク再生装置における1つのスライド部材を内側から見た側面図である。
【符号の説明】
1 光ディスク再生装置、3 シャーシ、5 挿排口、7 搬送ローラ、9 回転軸、11 光ディスク搬送動力伝達部材、13 回転駆動モータ、15 ギア、17 光ディスク搬送部材、19 板部、21 第1ピン、23 第2ピン、25 光ディスク再生部、27 ベース部材、29 ターンテーブル、30 光ピックアップ、31 第1被保持ピン(凸部)、33 第2被保持ピン(凸部)、35 第3被保持ピン(凸部)、37 光ディスク保持手段、39 クランパ、41 クランプアーム、47 第1スライド部材、49 第2スライド部材、50 ラック、51 第3スライド部材、53 ラック、55 斜面部、57第1溝(保持溝)、59 後部円形溝部、61 前部長溝部、63 上部領域(弾性手段)、65 第1長穴(弾性手段)、67 カム溝、69 第2溝(保持溝)、71 第3溝(保持溝)、73 後部円形溝部、75 前部長溝部、77 上部領域(弾性手段)、79 第2長穴(弾性手段)、81 上部領域(弾性手段)、83 第3長穴(弾性手段)、85 薄肉部(弾性手段)、87 薄肉部(弾性手段)、A 光ディスク(光学式ディスク状記録媒体)。

Claims (3)

  1. シャーシと、該シャーシに揺動可能に支持されかつ光学式ディスク状記録媒体の挿排方向と直交する方向に延びる凸部を有すると共に前記光学式ディスク状記録媒体を再生する光ディスク再生部と、前記光学式ディスク状記録媒体の挿排方向の両側部に該挿排方向に沿って移動可能に配設されたスライド部材と、該スライド部材に形成されかつ前記光学式ディスク状記録媒体排出状態において前記光ディスク再生部の凸部を保持する保持溝と、該保持溝の溝幅を前記凸部の外形寸法に応じて変更する弾性手段とを備えたことを特徴とする光ディスク再生装置。
  2. 弾性手段は、スライド部材の一部であって保持溝の一部を構成する上部領域と、該上部領域に前記保持溝から離れて形成されかつ前記保持溝に光ディスク再生部の凸部が保持された際に前記上部領域の撓み変形を可能にする穴とから構成されたことを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生装置。
  3. 弾性手段は、スライド部材の一部であって保持溝を構成する上部領域の少なくとも一部に形成されかつ前記保持溝に光ディスク再生部の凸部が保持された際に弾性変形する薄肉部であることを特徴とする請求項1記載の光ディスク再生装置。
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JP2012027967A (ja) * 2010-07-21 2012-02-09 Jvc Kenwood Corp ディスク搬送機構及びディスク駆動装置

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