JP2004334103A - 定着手段の温度異常検知装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】非接触型温度センサの出力をコンパレータ等のハード回路で単純に比較するだけで加熱ローラの温度異常の判断ができる構成とし、演算手段の破損といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置を提供すること及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
【解決手段】検知センサと補償センサと比較手段より構成され、検知センサは温度検知の対象である加熱部材に非接触で、かつ近接して配置され、加熱部材の表面温度を検出するものであり、補償センサは検知センサを加熱部材に近接させて保持する保持部材の温度を検知する。そして、検知センサと補償センサの出力温度を比較手段により比較し、検知センサの出力温度が補償センサの出力温度より低い場合には定着手段の温度を異常と判断する。
【選択図】 図3
【解決手段】検知センサと補償センサと比較手段より構成され、検知センサは温度検知の対象である加熱部材に非接触で、かつ近接して配置され、加熱部材の表面温度を検出するものであり、補償センサは検知センサを加熱部材に近接させて保持する保持部材の温度を検知する。そして、検知センサと補償センサの出力温度を比較手段により比較し、検知センサの出力温度が補償センサの出力温度より低い場合には定着手段の温度を異常と判断する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
この発明は現像剤像を加熱溶融して可視画像を記録媒体上に定着させる定着手段の温度異常検知装置及びその温度異常検知装置を有する電子複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式等を採用する複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に備えられる定着手段は、多くは内部に加熱用の定着ランプを備えた定着ローラから構成されており、該定着ローラは現像剤像の溶融に必要な200℃前後まで加熱されることから、画像形成装置では装置の安全確保のためにその表面温度を逐次検知し、異常が起こらぬように目標値制御を行っている。
【0003】
この定着手段において、加熱部材である定着ローラ(以下加熱ローラという)の温度検知方法として、サーミスタ等の感熱素子を有するセンサを加熱ローラの表面に接触配置し、そのセンサの出力信号の変化により、その表面温度を検知する接触型温度検知方法がよく知られている。
【0004】
しかしながら、接触型温度検知センサを用いると加熱ローラの表面層が摺擦されて損傷し、加熱ローラの耐久性を低下させてしまう場合がある。そのため、加熱ローラに対して非接触型の赤外線温度検知センサが開発されているが、応答性や温度検知の精度においては必ずしも十分ではなく、検知誤差が大きくて不安定であった。
【0005】
そこで、検知精度を向上させるため、非接触温度センサのほかに該センサを保持する保持部材の温度を測定する温度補償センサを設け、非接触検知センサの検知温度と温度補償センサの検知温度との差を演算回路にて演算してその演算値を出力し、この出力演算値の経時的な変化に基づき定着装置が異常であるか否かを判断する方法が先願として提案されている(特開2002―372892、段落番号「0044」〜「0055」)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の赤外線非接触温度センサにおいては、定着装置の温度状態の正否判断に演算手段を介しており、演算手段が破損し出力が不安定になった場合には異常を検知することができない可能性があるので十分な安全性を確保できないといった問題もあった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、非接触型温度センサを用いて加熱ローラの耐久性に影響を与えることなく加熱ローラの温度異常を検知できる装置であって、なおかつ非接触型温度センサの出力をコンパレータ等のハード回路で単純に比較するだけで加熱ローラの温度異常の判断ができる構成とすることにより、演算手段の破損といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置を提供すること及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願第一の発明に係る定着手段の温度異常検知装置は、記録媒体上に担持された未定着の現像剤像を加熱して記録媒体上に定着させる定着手段の温度異常検知装置であって、検知センサ、補償センサと比較手段から構成されている。
【0009】
検知センサは温度検知の対象である加熱部材に非接触で、かつ近接して配置され、加熱部材の表面温度を検出するものであり、補償センサは検知センサを加熱部材に近接させて保持する保持部材の温度を検知するものである。
【0010】
比較手段は検知センサと補償センサの検知温度を比較するものであり、比較結果により検知センサの検知温度が補償センサの検知温度より低い場合には定着手段の温度を異常と判断するものである。
【0011】
このような構成では、検知センサ、補償センサの出力には比較手段のみが接続されており、その他の演算手段を介することなく温度異常を判断するので、演算手段の破損・暴走といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置を実現することができる。
【0012】
なお、定着手段の温度異常検知に際して、検知センサと補償センサの検知温度の比較結果によって直ちに判断するのではなく、所定時間の経過を待ってから行うことがより好ましい。このような構成にすれば、電源投入時における不安定な状態での検知温度の比較によって誤った判断がなされるのを防止することができる。
【0013】
また、その構成は所定の時定数を有する遅延回路を比較回路の出力段に設けて実現することが好ましい。比較回路の出力段に演算回路を設けることなく、より簡易で高い安全性をもった構成とすることができるからである。
【0014】
さらに、遅延回路の時定数が電荷の蓄積時間によって決定されるように構成される場合には、リセット信号によって遅延回路に蓄積された電荷の放電経路が形成されるように構成することが好ましい。計測前に残留電荷を放電して正確な時間計測と連続計測を可能とするためである。
【0015】
本願第二の発明に係る定着手段の温度異常検知装置では、上記構成に加えて、着脱可能な定着手段の機器本体への装着を検出する装着検出手段と、加熱部材を駆動する駆動手段の動作時を検知する駆動時検知手段とを有して構成されている。そして、装着検出手段が定着手段の装着を検知していない場合又は駆動時検知手段が駆動手段の駆動時を検知していない場合にはリセット信号を生成して、遅延回路が初期状態になるように構成され、装着検出手段が定着手段の装着を検知し、かつ駆動時検知手段が駆動手段の駆動時を検知している場合にのみ、所定時間の経過を計測するように構成されている。
【0016】
このような構成では、検知センサの検知温度と補償センサの検知温度の比較を行う比較手段の出力に接続される所定時間の経過の計測回路を必要な場合にのみ作動させ、その他の場合には出力信号の影響を受けることなく初期状態にしておけるので、回路素子の信頼性を高め、さらには定着手段の温度異常検知装置の安全性をより高めることができる。
【0017】
特に温度異常検知装置が異常と判断した場合には、定着手段を構成する加熱部材への通電をオフすることが重要である。無駄な加熱を防止して定着手段の安全性を高めるためである。
【0018】
なお、このような定着手段の温度異常検知装置を現像剤像の定着部に備えた画像形成装置とすれば、定着手段の温度異常をいち早く検知でき、過熱による他部材への影響を軽減することができるので、より安全性の向上した画像形成装置とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る定着手段の温度異常検知装置の一実施態様を、図面を参照して説明する。図1は本願発明に係る定着手段の温度異常検知装置を備えた画像形成装置の一実施態様である概略全体構成図である。
【0020】
このカラー画像形成装置11は、タンデム型カラー画像形成装置と称されるもので、複数のローラ群により張架され、周回駆動可能に支持された無端ベルト状の中間転写ベルト7を備えており、この中間転写ベルト7の外周面に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する4つの画像形成部10Y,10M,10C,10Kが縦列して配置されている。
【0021】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ表面に潜像が形成される像担持体としての感光体1Y,1M,1C,1Kを有しており、各感光体の外周面に沿って動作順に、この感光体1Y,1M,1C,1Kの表面をそれぞれほぼ一様に帯電する帯電装置2Y,2M,2C,2K、各感光体表面上に静電潜像の書き込みを行う露光装置3Y,3M,3C,3K、感光体表面に形成された各潜像にトナーを転移させてトナー画像を形成する現像装置4Y,4M,4C,4K、各感光体表面上のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する一次転写装置5Y,5M,5C,5K及び転写後の感光体表面を清掃するクリーニング装置6Y,6M,6C,6Kが配設されている。
【0022】
画像形成装置11の上部に配置されている画像読取部40は、原稿を照明する光源及びミラーからなる走査ユニット41、二枚のミラーを有する走査ユニット42、結像レンズ43、撮像素子44及び原稿載置部45から構成されている。撮像素子44は主にCCDから構成され、走査ユニット41の光源の走査により集められた画像ディジタル信号は画像処理部で各色毎の画像データに変換された後、露光装置3Y,3M,3C,3Kへ送られる。
【0023】
露光装置3Y,3M,3C,3Kでは、この各画像データをもとに半導体レーザを電気的に変調し、コリメータレンズを通して多面体反射鏡(ポリゴンミラー)46Y、46M、46C、46Kとレンズ群によって副走査を行う。さらに感光体1Y,1M,1C,1Kを回転させることで主走査を行ない、静電潜像を感光体上に再現する。
【0024】
露光に先立ち、感光体1Y,1M,1C,1K上には、帯電装置2Y,2M,2C,2Kのコロナ放電により所定の表面電荷が付与されているが、レーザ光の照射により、露光部分の電荷が露光量に応じて減じられ,結果として画像情報データに応じた静電潜像がそれぞれの感光体1Y,1M,1C,1K上に形成される。静電潜像は、現像装置4Y,4M,4C,4Kから供給された各色現像剤のトナーにより可視化されてトナー画像となる。
【0025】
感光体1Y,1M,1C,1K上に形成された各色のトナー画像は一次転写装置5Y,5M,5C,5Kにより回動する中間転写ベルト7上の同一位置に逐次転写されて、合成されたカラー画像が中間転写ベルト7上に形成される。
【0026】
一方、記録紙Pを収容する給紙トレイ20には、バネ等の付勢手段により常時その自由端が上方向に付勢される可動板26が配置され、その上に配置される記録紙Pの最上位のものが給紙手段の一部を構成するピックアップローラ21に接触するように構成されている。
【0027】
ピックアップローラ21に接触した記録紙Pは、その接触圧によって給紙トレイ20から排出され、給紙手段の一部を構成するさばきローラ31によって一枚ずつ分離されて送出される。送出された記録紙Pは複数の中間ローラ22A,22B,22C,22Dにガイドされてレジストローラ23まで搬送される。搬送された記録紙Pはレジストローラ23により給紙タイミングがとられて二次転写装置5Aに送出され、中間転写ベルト7上の合成されたカラー画像が記録紙P上に一括転写される。転写後、記録紙Pを曲率分離した中間転写ベルト7は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0028】
カラー画像が転写された記録紙Pは、搬送ガイド板30に案内されながら、定着装置8に搬送される。定着装置8は、内部にハロゲンランプを有する加熱ローラ81とこの加熱ローラ81と平行に配置され、圧接して従動する加圧ローラ82から構成されており、記録紙Pを両ローラの圧接部に挟持して加熱定着を行っている。
【0029】
図2に示すように、加熱ローラ81の外周部表面には,非接触で近接して配置された保持ケース83が設けられており、その加熱ローラ81と対面する側の表面には、非接触で加熱ローラ81の表面温度を検知するサーミスタ温度検知センサ84が取り付けられ、またこの検知センサを保持している保持ケース83には、保持ケース83自体の温度を検知するサーミスタ温度補償センサ85が埋設されている。
【0030】
なお、現像剤像の溶融のため、一端加熱された記録紙Pは、現像剤像の定着のため図示しない冷却ファンにより冷却され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0031】
以下に、サーミスタ温度検知センサ84とサーミスタ温度補償センサ85を利用した本願第一の発明である定着手段の温度異常検知装置50,60,70について説明する。本実施例ではサーミスタセンサを使用しているが、これに限るものではなく、赤外線センサを使用することも可能である。図3は、定着手段の温度異常検知装置の一実施態様である温度異常検知回路50の構成図である。図中、TH1、TH2はサーミスタ温度検知センサ84とサーミスタ温度補償センサ85であり、図2に示すように加熱ローラ81の表面近傍に配置され、加熱ローラ81からの放射熱を受けると、内部抵抗が低下する特性を有している。
【0032】
サーミスタ温度検知センサ84とサーミスタ温度補償センサ85の一端は共に接地され、他端はそれぞれ抵抗51,52に接続されて電源Eより電流が供給されている。すなわち、サーミスタ温度検知センサ84と抵抗51によって分圧回路が構成され、分圧点Aの電位がオペアンプ53の非反転入力に接続されている。
【0033】
同様に、サーミスタ温度補償センサ85と抵抗52によって他の分圧回路が構成され、分圧点Bの電位がオペアンプ54の非反転入力に接続されている。オペアンプ53,54は高入力インピーダンス回路を実現するためのボルテージホロワであり、検知温度、補償温度に対応する分圧点A,Bの電位が出力側の影響を受けて変化することのないように、電気的に遮断するものである。
【0034】
OPアンプ53,54の出力は、それぞれ保護抵抗55,56を介してコンパレータ57の反転入力と非反転入力にそれぞれ接続され、電位レベルが比較される。非反転入力側の電位(分圧点Bの電位)が高いとコンパレータ57の出力は正電位となり、反転入力側の電位(分圧点Aの電位)が高いとコンパレータ57の出力は負電位となる。コンパレータ57の出力に接続された抵抗58はプルアップ抵抗である。
【0035】
ところで、サーミスタ温度検知センサ84の出力電圧(A点の電位)とサーミスタ温度補償センサ85の出力電圧(B点の電位)の通常時の関係を時間関数で表したグラフを図4に示す。一般には加熱ローラ81近くにあって直接放射熱を受けるサーミスタ温度検知センサ84の検知温度が、サーミスタ温度補償センサ85の検知温度よりも高く、従って、出力電位はサーミスタ温度検知センサ84(A点)のほうがサーミスタ温度補償センサ85(B点)より低くなる。
【0036】
ところで、コンパレータ57の出力は加熱ローラ81が正常に加熱されている場合には、常に正の出力となるはずであるが、何らかの理由でコンパレータ57の出力が負となった場合は、サーミスタ温度検知センサ84の電位レベルがサーミスタ温度補償センサ85の電位レベルより高くなったことを意味するものであり、加熱ローラ81の加熱状態に異常があったと判断することができる。この情報は直ちに画像形成装置11のCPUに送られて、対応措置が命令される。
【0037】
図5は、本願第一の発明に係る温度異常検知装置の他の実施態様である温度異常検知回路60の構成図である。なお、図3と同じ構成については同じ番号を使用し、同じ構成部分についての作用の説明は省略する。この温度異常検知回路60では図3と異なり、コンパレータ57への入力が逆になっている。すなわち、ボルテージホロワ53,54を介して、サーミスタ温度検知センサ84の出力電位がコンパレータ57の非反転入力へ、サーミスタ温度補償センサ85の出力電位がコンパレータ57の反転入力に接続されている。
【0038】
コンパレータ57の出力は抵抗RとコンデンサCで定まる時定数τを有する遅延回路80のRC結合点に接続され、さらに、その出力は最終段に配置されたコンパレータ65の反転入力端子に接続されている。一方、電源Eを抵抗61と抵抗63で分割した分圧回路の分圧点Dの電位はコンパレータ65の非反転入力端子に接続され、基準電位としてコンパレータ57の出力値と比較される。基準電位は抵抗61と抵抗63の比によって、コンパレータ57の異常時の最大出力電圧より低い電位に設定しておく必要がある。
【0039】
図6は温度異常検知回路60の動作シーケンスを示すグラフである。(a)に示すように、正常時にはオペアンプ53の出力がオペアンプ54の出力より低いので、コンパレータ57の出力は接地レベルに近い低レベルとなり、最終段のコンパレータ65の出力は高レベルとなってCPUは定着手段の温度が正常であること認識する。
【0040】
サーミスタ温度検知センサ84の素子不良等で、サーミスタ温度補償センサ85の出力電圧がサーミスタ温度検知センサ84の出力電圧より低くなると、コンパレータ57の出力は負から正へステップ状に変化する。従って、コンデンサCの電荷蓄積作用によりRC結合点の電位は積分波状に上昇していくが(図6(b))、この電位が先の基準電圧をこえない限り、コンパレータ65の出力電圧は正の値を示し、温度異常検知回路60の異常を判断しない。しかし、コンパレータ57の出力電圧値が積分波状に上昇して基準電圧を超えた場合には、コンパレータ65が働き、図6(c)に示すようにコンパレータ65の出力値は負となる。
【0041】
ところで、サーミスタ温度補償センサ85の出力電圧とサーミスタ温度検知センサ84の出力電圧との差は、図4の下部に示すように、所定時間までは次第に上昇し、所定時間後はほぼ一定値に落ち着いている。従って、電源投入時にコンパレータ57でサーミスタ温度検知センサ84の出力電圧とサーミスタ温度補償センサ85の出力電圧とを比較すると、両者の差の少ない不安定な状態の時に判断することとなって、誤った判断がなされる場合がある。
【0042】
所定時間経過後に両者の差がほぼ一定値になった頃に判断すれば誤検知は少なくなるので、抵抗61と63の値を選択し、基準電圧を適切に定めるとともにRCによる時定数τを、ほぼこの上昇時間に合わせることにより所定時間の後にコンパレータ57は正確な判断を行うことができる。
【0043】
図7に示す本願発明の請求項4に係る温度異常検知回路70では、図示しないが定着装置8の機内への装着を検出する定着装置検出スイッチと、加熱ローラ81を駆動する駆動回路の動作時を検知する駆動時検知スイッチとを備えて構成されている。
【0044】
そして、検出スイッチ及び駆動時検知スイッチからの検知信号(RL信号とF_SET信号)は反転して2入力NOR回路67の入力端子にそれぞれ接続され、その出力が逆流防止のダイオード66のカソードに接続され、ダイオード66のアノードがコンパレータ57の出力とコンパレータ65の反転入力に接続されている。
【0045】
このような構成にした温度異常検知回路70においては、定着装置検出スイッチと駆動時検知スイッチの投入が検知されると、図4(d)(e)に示すように、それぞれの検出信号RL信号とF_SET信号がともに高レベルとなり、その結果NOR回路67の出力端子はハイレベルとなり、ダイオード66に逆バイアスがかかることになってRC遅延回路80が動作可能な状態となる。
【0046】
また、定着装置検出スイッチと駆動時検知スイッチのいずれかが解放されている場合には、NOR回路67の出力端子はローレベルとなって、ダイオード66を介してコンデンサCに蓄積されている電荷の放電回路が形成される。その結果、コンパレータ57の出力端子がおよそグランドレベルに拘束されるので、RC遅延回路80は動作が不能な初期状態となる。
【0047】
このような構成では、サーミスタ温度検知センサ84の出力とサーミスタ温度補償センサ85の出力の比較を行うコンパレータ57の出力に接続される所定時間の経過の計測回路を必要な場合にのみ作動させ、その他の場合には出力信号から切り離しておけるので、回路の信頼性を高め、さらに温度異常検知装置の安全性をより高めることができる。
【0048】
なお、このような定着手段の温度異常検知装置を現像剤像の定着部に備えた画像形成装置とすれば、定着手段の温度異常をいち早く検知でき、過熱による他部材への影響を軽減することができるので、より安全性の向上した画像形成装置とすることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本願発明は非接触型温度センサを用いて加熱ローラの耐久性に影響を与えることなく加熱ローラの温度異常を検知できる装置であって、なおかつ非接触型温度センサの出力をコンパレータ等のハード回路で単純に比較するだけで加熱ローラの温度異常の判断ができる構成としたことにより、演算手段という構成を不要とし、演算手段の破損といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置とすることができる。
【0050】
また、このような温度異常検知装置を未定着の現像剤像の定着部に備えた画像形成装置とすれば、定着手段の温度異常をいち早く検知でき、過熱による他部材への影響を軽減することができるので、より安全性の向上した画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る定着手段の温度異常検知装置を備えた画像形成装置の一実施態様である概略全体構成図である。
【図2】本願発明に使用されるサーミスタ検知センサとサーミスタ温度補償センサの配置位置を示す模式図である。
【図3】本願発明に係る定着手段の温度異常検知装置の一実施態様である温度異常検知回路の構成図である。
【図4】サーミスタ検知センサの出力電圧とサーミスタ温度補償センサの出力電圧の関係を時間関数で表したグラフである。
【図5】本願発明の他の実施態様である温度異常検知回路の構成図である。
【図6】本願発明の他の実施態様である温度異常検知回路の動作シーケンスを表すグラフである。
【図7】本願発明のその他の実施態様である温度異常検知回路の構成図である。
【符号の説明】
1 感光体
8 定着装置
11 画像形成装置
50,60,70 温度異常検知回路(温度異常検知装置)
53,54 オペアンプ
57,65 コンパレータ(比較回路)
80 RC遅延回路(遅延回路)
81 加熱ローラ
82 加圧ローラ
83 保持ケース
84 サーミスタ温度検知センサ(検知センサ)
85 サーミスタ温度補償センサ(補償センサ)
P 記録部材
【発明が属する技術分野】
この発明は現像剤像を加熱溶融して可視画像を記録媒体上に定着させる定着手段の温度異常検知装置及びその温度異常検知装置を有する電子複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式等を採用する複写機、プリンタ、FAX等の画像形成装置に備えられる定着手段は、多くは内部に加熱用の定着ランプを備えた定着ローラから構成されており、該定着ローラは現像剤像の溶融に必要な200℃前後まで加熱されることから、画像形成装置では装置の安全確保のためにその表面温度を逐次検知し、異常が起こらぬように目標値制御を行っている。
【0003】
この定着手段において、加熱部材である定着ローラ(以下加熱ローラという)の温度検知方法として、サーミスタ等の感熱素子を有するセンサを加熱ローラの表面に接触配置し、そのセンサの出力信号の変化により、その表面温度を検知する接触型温度検知方法がよく知られている。
【0004】
しかしながら、接触型温度検知センサを用いると加熱ローラの表面層が摺擦されて損傷し、加熱ローラの耐久性を低下させてしまう場合がある。そのため、加熱ローラに対して非接触型の赤外線温度検知センサが開発されているが、応答性や温度検知の精度においては必ずしも十分ではなく、検知誤差が大きくて不安定であった。
【0005】
そこで、検知精度を向上させるため、非接触温度センサのほかに該センサを保持する保持部材の温度を測定する温度補償センサを設け、非接触検知センサの検知温度と温度補償センサの検知温度との差を演算回路にて演算してその演算値を出力し、この出力演算値の経時的な変化に基づき定着装置が異常であるか否かを判断する方法が先願として提案されている(特開2002―372892、段落番号「0044」〜「0055」)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述の赤外線非接触温度センサにおいては、定着装置の温度状態の正否判断に演算手段を介しており、演算手段が破損し出力が不安定になった場合には異常を検知することができない可能性があるので十分な安全性を確保できないといった問題もあった。
【0007】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、非接触型温度センサを用いて加熱ローラの耐久性に影響を与えることなく加熱ローラの温度異常を検知できる装置であって、なおかつ非接触型温度センサの出力をコンパレータ等のハード回路で単純に比較するだけで加熱ローラの温度異常の判断ができる構成とすることにより、演算手段の破損といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置を提供すること及びそれを用いた画像形成装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本願第一の発明に係る定着手段の温度異常検知装置は、記録媒体上に担持された未定着の現像剤像を加熱して記録媒体上に定着させる定着手段の温度異常検知装置であって、検知センサ、補償センサと比較手段から構成されている。
【0009】
検知センサは温度検知の対象である加熱部材に非接触で、かつ近接して配置され、加熱部材の表面温度を検出するものであり、補償センサは検知センサを加熱部材に近接させて保持する保持部材の温度を検知するものである。
【0010】
比較手段は検知センサと補償センサの検知温度を比較するものであり、比較結果により検知センサの検知温度が補償センサの検知温度より低い場合には定着手段の温度を異常と判断するものである。
【0011】
このような構成では、検知センサ、補償センサの出力には比較手段のみが接続されており、その他の演算手段を介することなく温度異常を判断するので、演算手段の破損・暴走といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置を実現することができる。
【0012】
なお、定着手段の温度異常検知に際して、検知センサと補償センサの検知温度の比較結果によって直ちに判断するのではなく、所定時間の経過を待ってから行うことがより好ましい。このような構成にすれば、電源投入時における不安定な状態での検知温度の比較によって誤った判断がなされるのを防止することができる。
【0013】
また、その構成は所定の時定数を有する遅延回路を比較回路の出力段に設けて実現することが好ましい。比較回路の出力段に演算回路を設けることなく、より簡易で高い安全性をもった構成とすることができるからである。
【0014】
さらに、遅延回路の時定数が電荷の蓄積時間によって決定されるように構成される場合には、リセット信号によって遅延回路に蓄積された電荷の放電経路が形成されるように構成することが好ましい。計測前に残留電荷を放電して正確な時間計測と連続計測を可能とするためである。
【0015】
本願第二の発明に係る定着手段の温度異常検知装置では、上記構成に加えて、着脱可能な定着手段の機器本体への装着を検出する装着検出手段と、加熱部材を駆動する駆動手段の動作時を検知する駆動時検知手段とを有して構成されている。そして、装着検出手段が定着手段の装着を検知していない場合又は駆動時検知手段が駆動手段の駆動時を検知していない場合にはリセット信号を生成して、遅延回路が初期状態になるように構成され、装着検出手段が定着手段の装着を検知し、かつ駆動時検知手段が駆動手段の駆動時を検知している場合にのみ、所定時間の経過を計測するように構成されている。
【0016】
このような構成では、検知センサの検知温度と補償センサの検知温度の比較を行う比較手段の出力に接続される所定時間の経過の計測回路を必要な場合にのみ作動させ、その他の場合には出力信号の影響を受けることなく初期状態にしておけるので、回路素子の信頼性を高め、さらには定着手段の温度異常検知装置の安全性をより高めることができる。
【0017】
特に温度異常検知装置が異常と判断した場合には、定着手段を構成する加熱部材への通電をオフすることが重要である。無駄な加熱を防止して定着手段の安全性を高めるためである。
【0018】
なお、このような定着手段の温度異常検知装置を現像剤像の定着部に備えた画像形成装置とすれば、定着手段の温度異常をいち早く検知でき、過熱による他部材への影響を軽減することができるので、より安全性の向上した画像形成装置とすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る定着手段の温度異常検知装置の一実施態様を、図面を参照して説明する。図1は本願発明に係る定着手段の温度異常検知装置を備えた画像形成装置の一実施態様である概略全体構成図である。
【0020】
このカラー画像形成装置11は、タンデム型カラー画像形成装置と称されるもので、複数のローラ群により張架され、周回駆動可能に支持された無端ベルト状の中間転写ベルト7を備えており、この中間転写ベルト7の外周面に沿って、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する4つの画像形成部10Y,10M,10C,10Kが縦列して配置されている。
【0021】
画像形成部10Y,10M,10C,10Kは、それぞれ表面に潜像が形成される像担持体としての感光体1Y,1M,1C,1Kを有しており、各感光体の外周面に沿って動作順に、この感光体1Y,1M,1C,1Kの表面をそれぞれほぼ一様に帯電する帯電装置2Y,2M,2C,2K、各感光体表面上に静電潜像の書き込みを行う露光装置3Y,3M,3C,3K、感光体表面に形成された各潜像にトナーを転移させてトナー画像を形成する現像装置4Y,4M,4C,4K、各感光体表面上のトナー像を中間転写ベルト7上に転写する一次転写装置5Y,5M,5C,5K及び転写後の感光体表面を清掃するクリーニング装置6Y,6M,6C,6Kが配設されている。
【0022】
画像形成装置11の上部に配置されている画像読取部40は、原稿を照明する光源及びミラーからなる走査ユニット41、二枚のミラーを有する走査ユニット42、結像レンズ43、撮像素子44及び原稿載置部45から構成されている。撮像素子44は主にCCDから構成され、走査ユニット41の光源の走査により集められた画像ディジタル信号は画像処理部で各色毎の画像データに変換された後、露光装置3Y,3M,3C,3Kへ送られる。
【0023】
露光装置3Y,3M,3C,3Kでは、この各画像データをもとに半導体レーザを電気的に変調し、コリメータレンズを通して多面体反射鏡(ポリゴンミラー)46Y、46M、46C、46Kとレンズ群によって副走査を行う。さらに感光体1Y,1M,1C,1Kを回転させることで主走査を行ない、静電潜像を感光体上に再現する。
【0024】
露光に先立ち、感光体1Y,1M,1C,1K上には、帯電装置2Y,2M,2C,2Kのコロナ放電により所定の表面電荷が付与されているが、レーザ光の照射により、露光部分の電荷が露光量に応じて減じられ,結果として画像情報データに応じた静電潜像がそれぞれの感光体1Y,1M,1C,1K上に形成される。静電潜像は、現像装置4Y,4M,4C,4Kから供給された各色現像剤のトナーにより可視化されてトナー画像となる。
【0025】
感光体1Y,1M,1C,1K上に形成された各色のトナー画像は一次転写装置5Y,5M,5C,5Kにより回動する中間転写ベルト7上の同一位置に逐次転写されて、合成されたカラー画像が中間転写ベルト7上に形成される。
【0026】
一方、記録紙Pを収容する給紙トレイ20には、バネ等の付勢手段により常時その自由端が上方向に付勢される可動板26が配置され、その上に配置される記録紙Pの最上位のものが給紙手段の一部を構成するピックアップローラ21に接触するように構成されている。
【0027】
ピックアップローラ21に接触した記録紙Pは、その接触圧によって給紙トレイ20から排出され、給紙手段の一部を構成するさばきローラ31によって一枚ずつ分離されて送出される。送出された記録紙Pは複数の中間ローラ22A,22B,22C,22Dにガイドされてレジストローラ23まで搬送される。搬送された記録紙Pはレジストローラ23により給紙タイミングがとられて二次転写装置5Aに送出され、中間転写ベルト7上の合成されたカラー画像が記録紙P上に一括転写される。転写後、記録紙Pを曲率分離した中間転写ベルト7は、クリーニング手段6Aにより残留トナーが除去される。
【0028】
カラー画像が転写された記録紙Pは、搬送ガイド板30に案内されながら、定着装置8に搬送される。定着装置8は、内部にハロゲンランプを有する加熱ローラ81とこの加熱ローラ81と平行に配置され、圧接して従動する加圧ローラ82から構成されており、記録紙Pを両ローラの圧接部に挟持して加熱定着を行っている。
【0029】
図2に示すように、加熱ローラ81の外周部表面には,非接触で近接して配置された保持ケース83が設けられており、その加熱ローラ81と対面する側の表面には、非接触で加熱ローラ81の表面温度を検知するサーミスタ温度検知センサ84が取り付けられ、またこの検知センサを保持している保持ケース83には、保持ケース83自体の温度を検知するサーミスタ温度補償センサ85が埋設されている。
【0030】
なお、現像剤像の溶融のため、一端加熱された記録紙Pは、現像剤像の定着のため図示しない冷却ファンにより冷却され、排紙ローラ24に挟持されて機外の排紙トレイ25上に載置される。
【0031】
以下に、サーミスタ温度検知センサ84とサーミスタ温度補償センサ85を利用した本願第一の発明である定着手段の温度異常検知装置50,60,70について説明する。本実施例ではサーミスタセンサを使用しているが、これに限るものではなく、赤外線センサを使用することも可能である。図3は、定着手段の温度異常検知装置の一実施態様である温度異常検知回路50の構成図である。図中、TH1、TH2はサーミスタ温度検知センサ84とサーミスタ温度補償センサ85であり、図2に示すように加熱ローラ81の表面近傍に配置され、加熱ローラ81からの放射熱を受けると、内部抵抗が低下する特性を有している。
【0032】
サーミスタ温度検知センサ84とサーミスタ温度補償センサ85の一端は共に接地され、他端はそれぞれ抵抗51,52に接続されて電源Eより電流が供給されている。すなわち、サーミスタ温度検知センサ84と抵抗51によって分圧回路が構成され、分圧点Aの電位がオペアンプ53の非反転入力に接続されている。
【0033】
同様に、サーミスタ温度補償センサ85と抵抗52によって他の分圧回路が構成され、分圧点Bの電位がオペアンプ54の非反転入力に接続されている。オペアンプ53,54は高入力インピーダンス回路を実現するためのボルテージホロワであり、検知温度、補償温度に対応する分圧点A,Bの電位が出力側の影響を受けて変化することのないように、電気的に遮断するものである。
【0034】
OPアンプ53,54の出力は、それぞれ保護抵抗55,56を介してコンパレータ57の反転入力と非反転入力にそれぞれ接続され、電位レベルが比較される。非反転入力側の電位(分圧点Bの電位)が高いとコンパレータ57の出力は正電位となり、反転入力側の電位(分圧点Aの電位)が高いとコンパレータ57の出力は負電位となる。コンパレータ57の出力に接続された抵抗58はプルアップ抵抗である。
【0035】
ところで、サーミスタ温度検知センサ84の出力電圧(A点の電位)とサーミスタ温度補償センサ85の出力電圧(B点の電位)の通常時の関係を時間関数で表したグラフを図4に示す。一般には加熱ローラ81近くにあって直接放射熱を受けるサーミスタ温度検知センサ84の検知温度が、サーミスタ温度補償センサ85の検知温度よりも高く、従って、出力電位はサーミスタ温度検知センサ84(A点)のほうがサーミスタ温度補償センサ85(B点)より低くなる。
【0036】
ところで、コンパレータ57の出力は加熱ローラ81が正常に加熱されている場合には、常に正の出力となるはずであるが、何らかの理由でコンパレータ57の出力が負となった場合は、サーミスタ温度検知センサ84の電位レベルがサーミスタ温度補償センサ85の電位レベルより高くなったことを意味するものであり、加熱ローラ81の加熱状態に異常があったと判断することができる。この情報は直ちに画像形成装置11のCPUに送られて、対応措置が命令される。
【0037】
図5は、本願第一の発明に係る温度異常検知装置の他の実施態様である温度異常検知回路60の構成図である。なお、図3と同じ構成については同じ番号を使用し、同じ構成部分についての作用の説明は省略する。この温度異常検知回路60では図3と異なり、コンパレータ57への入力が逆になっている。すなわち、ボルテージホロワ53,54を介して、サーミスタ温度検知センサ84の出力電位がコンパレータ57の非反転入力へ、サーミスタ温度補償センサ85の出力電位がコンパレータ57の反転入力に接続されている。
【0038】
コンパレータ57の出力は抵抗RとコンデンサCで定まる時定数τを有する遅延回路80のRC結合点に接続され、さらに、その出力は最終段に配置されたコンパレータ65の反転入力端子に接続されている。一方、電源Eを抵抗61と抵抗63で分割した分圧回路の分圧点Dの電位はコンパレータ65の非反転入力端子に接続され、基準電位としてコンパレータ57の出力値と比較される。基準電位は抵抗61と抵抗63の比によって、コンパレータ57の異常時の最大出力電圧より低い電位に設定しておく必要がある。
【0039】
図6は温度異常検知回路60の動作シーケンスを示すグラフである。(a)に示すように、正常時にはオペアンプ53の出力がオペアンプ54の出力より低いので、コンパレータ57の出力は接地レベルに近い低レベルとなり、最終段のコンパレータ65の出力は高レベルとなってCPUは定着手段の温度が正常であること認識する。
【0040】
サーミスタ温度検知センサ84の素子不良等で、サーミスタ温度補償センサ85の出力電圧がサーミスタ温度検知センサ84の出力電圧より低くなると、コンパレータ57の出力は負から正へステップ状に変化する。従って、コンデンサCの電荷蓄積作用によりRC結合点の電位は積分波状に上昇していくが(図6(b))、この電位が先の基準電圧をこえない限り、コンパレータ65の出力電圧は正の値を示し、温度異常検知回路60の異常を判断しない。しかし、コンパレータ57の出力電圧値が積分波状に上昇して基準電圧を超えた場合には、コンパレータ65が働き、図6(c)に示すようにコンパレータ65の出力値は負となる。
【0041】
ところで、サーミスタ温度補償センサ85の出力電圧とサーミスタ温度検知センサ84の出力電圧との差は、図4の下部に示すように、所定時間までは次第に上昇し、所定時間後はほぼ一定値に落ち着いている。従って、電源投入時にコンパレータ57でサーミスタ温度検知センサ84の出力電圧とサーミスタ温度補償センサ85の出力電圧とを比較すると、両者の差の少ない不安定な状態の時に判断することとなって、誤った判断がなされる場合がある。
【0042】
所定時間経過後に両者の差がほぼ一定値になった頃に判断すれば誤検知は少なくなるので、抵抗61と63の値を選択し、基準電圧を適切に定めるとともにRCによる時定数τを、ほぼこの上昇時間に合わせることにより所定時間の後にコンパレータ57は正確な判断を行うことができる。
【0043】
図7に示す本願発明の請求項4に係る温度異常検知回路70では、図示しないが定着装置8の機内への装着を検出する定着装置検出スイッチと、加熱ローラ81を駆動する駆動回路の動作時を検知する駆動時検知スイッチとを備えて構成されている。
【0044】
そして、検出スイッチ及び駆動時検知スイッチからの検知信号(RL信号とF_SET信号)は反転して2入力NOR回路67の入力端子にそれぞれ接続され、その出力が逆流防止のダイオード66のカソードに接続され、ダイオード66のアノードがコンパレータ57の出力とコンパレータ65の反転入力に接続されている。
【0045】
このような構成にした温度異常検知回路70においては、定着装置検出スイッチと駆動時検知スイッチの投入が検知されると、図4(d)(e)に示すように、それぞれの検出信号RL信号とF_SET信号がともに高レベルとなり、その結果NOR回路67の出力端子はハイレベルとなり、ダイオード66に逆バイアスがかかることになってRC遅延回路80が動作可能な状態となる。
【0046】
また、定着装置検出スイッチと駆動時検知スイッチのいずれかが解放されている場合には、NOR回路67の出力端子はローレベルとなって、ダイオード66を介してコンデンサCに蓄積されている電荷の放電回路が形成される。その結果、コンパレータ57の出力端子がおよそグランドレベルに拘束されるので、RC遅延回路80は動作が不能な初期状態となる。
【0047】
このような構成では、サーミスタ温度検知センサ84の出力とサーミスタ温度補償センサ85の出力の比較を行うコンパレータ57の出力に接続される所定時間の経過の計測回路を必要な場合にのみ作動させ、その他の場合には出力信号から切り離しておけるので、回路の信頼性を高め、さらに温度異常検知装置の安全性をより高めることができる。
【0048】
なお、このような定着手段の温度異常検知装置を現像剤像の定着部に備えた画像形成装置とすれば、定着手段の温度異常をいち早く検知でき、過熱による他部材への影響を軽減することができるので、より安全性の向上した画像形成装置とすることができる。
【0049】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本願発明は非接触型温度センサを用いて加熱ローラの耐久性に影響を与えることなく加熱ローラの温度異常を検知できる装置であって、なおかつ非接触型温度センサの出力をコンパレータ等のハード回路で単純に比較するだけで加熱ローラの温度異常の判断ができる構成としたことにより、演算手段という構成を不要とし、演算手段の破損といった制御不能な状態の起こり得ない、より安全性の高い定着手段の温度異常検知装置とすることができる。
【0050】
また、このような温度異常検知装置を未定着の現像剤像の定着部に備えた画像形成装置とすれば、定着手段の温度異常をいち早く検知でき、過熱による他部材への影響を軽減することができるので、より安全性の向上した画像形成装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係る定着手段の温度異常検知装置を備えた画像形成装置の一実施態様である概略全体構成図である。
【図2】本願発明に使用されるサーミスタ検知センサとサーミスタ温度補償センサの配置位置を示す模式図である。
【図3】本願発明に係る定着手段の温度異常検知装置の一実施態様である温度異常検知回路の構成図である。
【図4】サーミスタ検知センサの出力電圧とサーミスタ温度補償センサの出力電圧の関係を時間関数で表したグラフである。
【図5】本願発明の他の実施態様である温度異常検知回路の構成図である。
【図6】本願発明の他の実施態様である温度異常検知回路の動作シーケンスを表すグラフである。
【図7】本願発明のその他の実施態様である温度異常検知回路の構成図である。
【符号の説明】
1 感光体
8 定着装置
11 画像形成装置
50,60,70 温度異常検知回路(温度異常検知装置)
53,54 オペアンプ
57,65 コンパレータ(比較回路)
80 RC遅延回路(遅延回路)
81 加熱ローラ
82 加圧ローラ
83 保持ケース
84 サーミスタ温度検知センサ(検知センサ)
85 サーミスタ温度補償センサ(補償センサ)
P 記録部材
Claims (8)
- 記録媒体上に担持された未定着の現像剤像を加熱部材により加熱して前記現像剤像を前記記録媒体上に定着させる定着手段の温度異常検知装置であって、
前記加熱部材に非接触で近接して配置され、該加熱部材の表面温度を検出する検知センサと、
該検知センサを保持する保持部材の温度を検知する補償センサと、
前記検知センサの検知温度と前記補償センサの検知温度を比較する比較手段とからなり、当該比較手段の結果により前記検知センサの検知温度が前記補償センサの検知温度より低い場合に異常と判断する定着手段の温度異常検知装置。 - 前記検知センサの検知温度が前記補償センサの検知温度よりも低いとする前記比較手段の比較結果が、変化することなく継続して所定時間を経過した場合に異常と判断する請求項1に記載の定着手段の温度異常検知装置。
- 前記比較手段の出力部に所定の時定数を有する遅延回路を設け、前記所定時間の経過の計測を前記遅延回路の作動により行うことを特徴とする請求項2に記載の定着手段の温度異常検知装置。
- 前記遅延回路の時定数が電荷の蓄積時間によって決定するように構成され、リセット信号により前記遅延回路に蓄積された電荷の放電経路が形成されることを特徴とする請求項3に記載の定着手段の温度異常検知装置。
- 着脱可能な前記定着手段の装着を検出する装着検出手段と、前記加熱部材を駆動する駆動手段の動作時を検知する駆動時検知手段とを有し、前記装着検出手段が前記定着手段の装着を検知していない場合又は前記駆動時検知手段が前記駆動手段の駆動時を検知していない場合には前記リセット信号が生成されることを特徴とする請求項4に記載の定着手段の温度異常検知装置。
- 着脱可能な前記定着手段の装着を検出する装着検出手段と、前記加熱部材を駆動する駆動手段の動作時を検知する駆動時検知手段とを有し、前記装着検出手段が前記定着手段の装着を検知し、かつ前記駆動時検知手段が前記駆動手段の動作時を検知した場合にのみ、前記所定時間の経過を計測することを特徴とする請求項2から請求項5のいずれかに記載の定着手段の温度異常検知装置。
- 前記比較手段の比較結果により前記温度異常検知装置が異常と判断した場合には、前記加熱部材への通電をオフすることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の定着手段の温度異常検知装置。
- 請求項1から請求項7のいずれかに記載の定着手段の温度異常検知装置を備えたことを特徴とする画像形成装置。
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