JP2004175567A - シート搬送装置および画像形成装置 - Google Patents
シート搬送装置および画像形成装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004175567A JP2004175567A JP2003012599A JP2003012599A JP2004175567A JP 2004175567 A JP2004175567 A JP 2004175567A JP 2003012599 A JP2003012599 A JP 2003012599A JP 2003012599 A JP2003012599 A JP 2003012599A JP 2004175567 A JP2004175567 A JP 2004175567A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- sheet
- roller
- conveying device
- transport roller
- transport
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Images
Landscapes
- Controlling Sheets Or Webs (AREA)
- Delivering By Means Of Belts And Rollers (AREA)
- Separation, Sorting, Adjustment, Or Bending Of Sheets To Be Conveyed (AREA)
- Paper Feeding For Electrophotography (AREA)
Abstract
【課題】定着装置から排出される際に定着装置からの加熱による変形が生じているシートや、光透過可能なシートであってもシートの搬送状態、特にジャム発生を正確に監視して定着装置でのシートの過熱などの不具合をコスト上昇を招くことなく解消できる構成を備えたシート搬送装置を提供する。
【解決手段】定着後に排出されるシートの搬送経路における定着装置11の直後に相当する位置に設けられているデカール機構15を対象として、カール矯正のために挟持搬送されるシートと非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成26Aを備え、非接触な状態でのシートの有無検知および又はシートに接触する搬送部材15Cの表面温度の検知を可能にすることを特徴とする。
【選択図】 図15
【解決手段】定着後に排出されるシートの搬送経路における定着装置11の直後に相当する位置に設けられているデカール機構15を対象として、カール矯正のために挟持搬送されるシートと非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成26Aを備え、非接触な状態でのシートの有無検知および又はシートに接触する搬送部材15Cの表面温度の検知を可能にすることを特徴とする。
【選択図】 図15
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、シートの搬送不良を検知するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置などの画像形成装置においては、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像プロセスにおいて可視像処理した後、その可視像を記録媒体の一つである記録用紙等のシートに対して静電転写し、転写された可視像が、例えば、加熱定着されて複写物あるいは記録物として得られるようになっている。
【0003】
定着に用いられる構成の一つにシートの搬送路を挟んで対向する加熱ローラと加圧ローラとを配置し、これら両ローラによりシートを挟持搬送する過程でトナー像に対して熱・圧力を作用させて定着する熱ローラ定着方式を用いた構成がある。
熱ローラ定着方式は、熱効率が高く高速化が図れること、伝熱効率が高く安定した定着効率が得られることおよびシートの搬送媒体として利用できることにより構造が簡単であることなどの利点があることから近年多用されるようになっている。
【0004】
定着後のシートは、加熱ローラおよび加圧ローラの近傍に配置されている排紙ローラにより排紙トレイなどに排出される場合と、排紙トレイに向かうことなくレジストローラに向けて再給送され、再給送過程において反転されて定着装置を通過した際の画像面の裏側に再度画像が形成されてから排紙トレイに排出される場合とが選択されることがある。
【0005】
排紙トレイおよび再給送過程の何れかにシートを給送するための構成としては、排紙トレイと再給送路との分岐位置に揺動可能な搬送路切り換え爪を配置し、この搬送路切り換え爪を画像形成モード、つまり、片面への画像形成あるいは両面への画像形成の何れかのモードに対応して揺動位置を切り換える構成が知られている。
【0006】
画像形成装置の内部には、シートの搬送状態を監視して搬送路上での紙詰まり、いわゆるジャムの発生による搬送不良が起きた場合を検知できる構成が採用されている。
定着装置を通過するシートも監視対象となる。これは、定着装置を通過するシートにおいてカールが生じた場合にその部分での搬送不良が発生すると定着装置内での過熱を招いたり排紙トレイ上での端縁整合性(スタック性)が損ねられたりするのを防止するためである。
【0007】
シートに発生するカールは、自らが保有する水分が定着装置における加熱によって変化し、水分の蒸発による収縮時に発生する応力限界が原因となって発生する。カールは、シートに担持されているトナーの量に比例する傾向があり、例えば、モノクロ画像形成時とフルカラー画像形成時とでは、シートに担持されているトナーの量が異なり、フルカラー画像形成時にはトナーの量が多くなることにより上述した膨張・収縮現象が大きくなることが原因してカールの発生が顕著となる。
【0008】
カールが生じた場合には、排紙トレイに排出される時点で先端が下側に垂れ下がっていると、先端が排紙トレイの載置面に突き当たって進行が妨げられてジャムを生じやすくなる。また、先端の整合性も悪化することになる。さらに、再給送路への導入が困難となる。
【0009】
従来、シート先端のカールを矯正するための構成の一つに、カールが生じている方向と逆方向にシートを折り返した状態で搬送する構成があり、具体的には、搬送路中でカールが生じている側と反対側となる位置に配置されている搬送ローラとこの搬送ローラの周方向に並置されて周面に当接している一対のバックアップローラとを備えて構成したデ・カール機構が知られている(例えば、特許文献1)。
【0010】
上記公報に示されている構成では、搬送ローラと一対のバックアップローラとで構成される搬送ローラ周面に沿った搬送路がカールの生じている方向とは逆方向にシートを屈曲させる方向とされていることにより、シートをカールの矯正面に相当する搬送ローラ周面に倣って移動させる過程でカールの発生方向と逆方向に癖付けしてカールを矯正するようになっている。
【0011】
ところで、排紙トレイ側と再給送路側とに搬送経路を切り換えることができる画像形成装置においては、切り換え爪の揺動態位を画像形成モードに応じて設定するようになっているが、近年、画像形成時でのスループットを向上させて、いわゆる、画像形成行程から排紙トレイに排出されるまでの画像形成時間を短縮することが望まれてきている。このため、連続してシートを搬送する場合、搬送されるシートの搬送速度を同じとした場合にはシート同士の搬送間隔を小さく、換言すればシート間の距離を短くすることがある。
【0012】
しかし、このような処理を採用した場合、切り換え爪の態位切り換えに要する時間がある程度必要であることから、態位切り換えタイミングがシートの搬送タイミングに整合しなくなることもあり、これにより、搬送路切り換え位置でシートのジャムが発生しやすくなるという不具合がある。
【0013】
従来、定着装置を通過したシートの搬送状態を検出するための構成として、上述したカール矯正位置においてシートにより押し動かされるフィラー部材を配置した構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0014】
上記公報には、一対のローラのうちで、シートの搬送方向前方側に位置するローラ近傍に先端を位置決めされた揺動可能なフィラー部材を設け、該ローラから繰り出されるシート先端によってフィラー部材を押し動かすことによりフィラー部材の揺動角をジャム検知判断に用いるようにした構成が示されている。
【0015】
しかし、上記公報に示されているジャム検知機構を備えた構成では、シートによるフィラー部材の押し動かし動作が必要となる。このため、シートの種類によっては、正確なジャム検知が行えなくなる虞がある。つまり、シートには、厚さによる曲げ剛性が低いものもあり、曲げ剛性が低いシートとして薄いシートが搬送された場合には、その先端がフィラー部材に突き当たった際の衝撃により折れ曲がったりあるいは傷ついたりしやすくなる。しかも、フィラー部材はシートの画像面に対向していることから、画像を摺擦することになり、画像劣化を招きやすくなる。
【0016】
このようなフィラー部材によりシートとの接触状態をシートの有無判別の条件とするのに代えて、光学センサを用いてシートからの光反射状態によりシートと非接触な状態でシートの有無判別を行う構成が本出願人により提案されている(例えば、特願2002−239092号)。
【0017】
【特許文献1】
特開平11−189363号公報(「0017」欄、図5)
【特許文献2】
特開2000−53273号公報(「0010」〜「0011」欄、図1)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
光学的な反射状態を判別する場合には、シートが不透明な場合には有効であるが、画像形成対象となるシートには、OHP等の光透過が可能な材質のものを用いる場合がある。従って、光透過が可能なシートの場合には光学的センサを用いた有無判別が困難となるため、使用されるシートの種類が限定されてしまい、使い勝手が悪くなることは否めない。
【0019】
一方、カール矯正位置は、定着装置において加熱定着されたシートが搬送されてくる位置に設定されている関係上、カール矯正のためにカールが生じている方向と逆方向に癖付けした場合にその癖付けにより新たなカールが発生することがある。つまり、定着装置から搬送されてくるシートはカール矯正位置において搬送ローラの周面に沿って移動することによりカールとは逆向きに折り返されることでカールをなくされるが、搬送ローラの周面に沿って移動する際には定着装置で加熱されたことによる蓄熱が原因するアイロン効果によってその位置での癖付けによる新たなカールが発生することになる。
しかも、定着装置により加熱されたシート上のトナーは、シートに溶融軟化した状態で浸透することで定着されることになるが、搬送ローラに達した時点では未だ、トナーの軟化状態が継続されている場合があり、これにより、搬送ローラ表面に軟化したトナーが付着してしまう場合がある。この結果、次の搬送シートにトナーが転移することで不良画像が得られる虞がある。
【0020】
本発明の第1の目的は、上記従来のシート搬送装置における問題に鑑み、特に、定着装置から排出される際に定着装置からの加熱による変形が生じているシートや、光透過可能なシートであってもシートの搬送状態、特にジャム発生を正確に監視して定着装置でのシートの過熱などの不具合をコスト上昇を招くことなく解消できる構成を備えたシート搬送装置および画像形成装置を提供することにある。
【0021】
本発明の第2の目的は、上記従来のシート搬送装置における問題に鑑み、コスト上昇を招くことなく不良画像の発生を防止することが可能な構成を備えたシート搬送装置および画像形成装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シートの搬送方向を切り換え可能な構成と、上記シートの搬送方向における該搬送方向の切り換え位置手前側近傍に配置されている搬送ローラと、該搬送ローラの周方向に沿って複数並置されて該搬送ローラに圧接しながら回転可能なバックアップローラとを備え、上記搬送ローラの周面に倣った形状に上記シートを挟持搬送可能なシート搬送装置において、上記搬送ローラと上記バックアップローラとで構成されるシート挟持搬送位置における上記シートの有無およびまたは上記搬送ローラの表面温度を上記シートおよび上記搬送ローラに非接触な状態で検知可能な構成を備えたことを特徴としている。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、上記シートに非接触な状態でシートの有無を検知する構成として、上記搬送ローラ側に配置されて該搬送ローラの位置変化を検知可能な構成が用いられることを特徴としている。
【0024】
請求項3記載の発明は、 請求項2記載の発明に加えて、上記搬送ローラの位置変化を検知する構成として、上記シートの挟持による搬送ローラの位置変化を検知可能な反射型光学センサが用いられることを特徴としている。
【0025】
請求項4記載の発明は、シート搬送路中に配置されている搬送ローラと、該搬送ローラの周方向に沿って複数並置されて該搬送ローラに圧接しながら回転可能なバックアップローラとを備え、上記搬送ローラの周面に倣った形状に上記シートを挟持搬送可能なシート搬送装置において、上記バックアップローラの配置位置間に上記シートおよび上記搬送ローラと非接触な状態で該シートおよびまたは上記搬送ローラからの反射光を用いて該シートの有無を検知可能な構成を備えていることを特徴としている。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、上記非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられている反射型光学センサと、上記搬送ローラに設けられている光吸収部とを備え、該搬送ローラでの反射光とシートからの反射光とに基づきシートの有無を判別可能な構成が用いられることを特徴としている。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、上記非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられている反射型光学センサと、上記搬送ローラの表面を鏡面とした構成を備え、上記搬送ローラの反射光と上記シートからの反射光とに基づきシートの有無を判別可能な構成を備えていることを特徴としている。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、上記非接触な状態で上記シートの有無およびまたは上記搬送ローラの表面温度を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられて上記シート表面およびまたは上記搬送ローラ表面の光を吸収して温度検知可能な温度検知手段が用いられ、該温度検知手段は、上記シート表面およびまたは上記搬送ローラ表面の少なくとも一方の温度を検知可能であることを特徴としている。
【0029】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の発明に加えて、上記搬送ローラは、表面を鏡面仕上げされたヒートパイプが用いられることを特徴としている。
【0030】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のうちの一つに記載の発明に加えて、上記有無検知対象となるシートが透過材である場合に該透過材の移動方向先端若しくは後端の少なくとも先端に予め画像を形成して上記搬送ローラ間を通過させることを特徴としている。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明に加えて、上記予め形成された画像は、光学センサで認識可能な反面、人間による視覚的認識が不能な画像であることを特徴としている。
【0032】
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の発明に加えて、上記予め形成される画像は、単一のみでなく複数形成されることを特徴としている。
【0033】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明に加えて、上記予め形成される画像のうちで、複数形成する場合には、移動方向に沿って並置し、並置方向での画像のサイズを変化させてあることを特徴としている。
【0034】
請求項13記載の発明は、請求項8記載の発明に加えて、上記搬送ローラに用いられるヒートパイプには冷却用手段が設けられ、該冷却用手段は、表面温度に応じて冷却態位が設定されることを特徴としている。
【0035】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明に加えて、上記ヒートパイプ冷却手段は、上記搬送ローラの表面温度が該ヒートパイプとして定着後のトナーの軟化を解消するに必要な冷却温度を超えた時点で新たなシートの搬送を禁止する処理を実行可能な構成であることを特徴としている。
【0036】
請求項15記載の発明は、請求項1乃至14のうちの一つに記載のシート搬送装置を画像形成装置に用いることを特徴としている。
【0037】
請求項16記載の発明は、請求項14記載のシート搬送装置を用いる画像形成装置において、上記ヒートパイプ冷却手段が上記新たなシートの搬送を禁止する処理を実行する際には、新たな画像形成処理工程を停止することを特徴としている。
【0038】
請求項17記載の発明は、請求項15記載の発明に加えて、上記シートには単一色若しくは複数色の画像が担持されることを特徴としている。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例によって本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置の模式図であり、同図に示す画像形成装置は、色分解に対応した複数の色画像をそれぞれ形成可能な感光体を複数備え、各感光体上で形成されたトナー像を中間転写体に重畳転写した画像を記録用紙などのシートに対して一括転写することにより多色画像を形成可能なカラープリンタである。本発明では、画像形成装置として、カラープリンタに限らず、カラー複写機、ファクシミリ装置および印刷機なども含まれること勿論である。
【0040】
図1において、カラープリンタ1は、画像形成部1Aが縦方向の中央部に位置し、その下方には給紙部1Bが、さらに画像形成部1Aの上方には原稿載置台1C1を備えた原稿走査部1Cがそれぞれ配置されている。
【0041】
画像形成部1Aには、水平方向に展張面を有する中間転写ベルト2が配置されており、中間転写ベルト2の上位には、色分解色と補色関係にある色のトナーを用いて画像を形成するための構成が設けられている。
画像形成部1Aには、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による画像を担持可能な感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写体2の展張面に沿って並置されている。
【0042】
各感光体3Y、3M、3C、3Bはそれぞれ同じ方向(図1では、反時計方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周辺には、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4,書き込み装置5,現像装置6,1次転写装置7,およびクリーニング装置8が配置されている(便宜上、感光体3Yを対象として、各装置の符号にYを付して示してある)。
【0043】
中間転写ベルト2は、複数のローラ2A〜2Cに掛け回されて感光体との対峙位置において同方向に移動可能な構成を備え、展張面を構成するローラ2A、2Bとは別のローラ2Cは、中間転写ベルト2を挟んで2次転写装置9に対峙している。なお、図1中、符号10は、中間転写ベルト2を対象としたクリーニング装置を示している。
【0044】
2次転写装置9は、2次転写ローラ9Aおよび転写後のシートを定着装置11に向けて搬送するために一対のローラ2B,2B’に掛け回された搬送ベルト9Cを備えており、中間転写ベルト2に重畳された多色画像あるいは単一色の画像が2次転写ローラ9Aにより転写されたシートが搬送ベルト9C内に装備されている吸引装置を介して吸着搬送されて定着装置11に持ち来される。
【0045】
2次転写位置には給紙部1Bからシートが給送されるようになっている。
給紙部1Bは、複数の給紙カセット1B1と、給紙カセット1B1から繰り出されるシートの搬送路に配置された複数の搬送ローラ1B2と、2次転写位置前方に位置するレジストローラ1B3とを備えている。図1に示す構成において給紙部1Bには、給紙トレイ1B1から繰り出されるシートの搬送路に加えて給紙カセット1B1内に収容されていない種類のシートを2次転写位置に向け給送できる構成が備えられており、この構成は、画像形成部1Aの壁面の一部を起倒可能に設けた手差しトレイ1A1と繰り出しコロ1A2とを備えている。
【0046】
給紙カセット1B1からレジストローラ1B3に向けたシートの搬送路途中には、手差しトレイ1A1から繰り出されたシートの搬送路が合流し、いずれの搬送路から給送されるシートもレジストローラ1B3によってレジストタイミングが設定されるようになっている。
【0047】
書き込み装置5は、原稿走査部1Cに有する原稿載置台1C1上の原稿を走査することにより得られる画像情報あるいは図示しないコンピュータから出力される画像情報により書き込み光(便宜上、イエロー画像形成のための書き込み光を符号5Yで示す)が制御されて感光体4Y、4M、4C、4Bに対して画像情報に応じた静電潜像を形成するようになっている。
【0048】
原稿走査部1Cには、原稿載置台1C1上の原稿を露光走査するスキャナ1C2および結像光学素子1C2Aが備えられており、さらに原稿載置台1C1の上面には、自動原稿給送装置1C3が配置されている。
自動原稿給送装置1C3は、原稿載置台1C1上に繰り出される原稿を反転可能な構成を備え、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。
【0049】
書き込み装置5により形成された感光体3上の静電潜像は現像装置6によって可視像処理され、中間転写ベルト2に1次転写される。中間転写ベルト2に対して各色毎のトナー像が順次転写されて重畳されると、2次転写装置9によりシートに対して一括して2次転写される。
【0050】
2次転写されたシートは、表面に担持している未定着画像を定着装置11によって定着される。
図1に示す画像形成装置に用いられる定着装置11は、トナーに直接接触する加熱部材としてベルト11Aが用いられ、このベルト11Aはシートの挟持搬送が可能な定着ローラ11Bと、熱源を内蔵している加熱ローラ11Cとに掛け回されている。定着ローラ11Bにはシートの挟持搬送が可能な今一つの部材である加圧ローラ11Dが対向当接して連動するようになっており、加圧ローラ11Dの内部にも熱源が配置されている。
【0051】
定着装置11を通過したシートは、定着装置11の後方に配置されている搬送路切り換え爪12によって搬送方向が選択されるようになっており、排紙トレイ13に向けた搬送路と、反転搬送路RPとに搬送方向が選択される。
【0052】
以上のような構成を備えたカラープリンタ1では、原稿載置台1C1上に載置された原稿を露光走査することによりあるいはコンピュータからの画像情報により、一様帯電された感光体3に対して静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置6によって可視像処理された後、トナー像が中間転写ベルト2に1次転写される。
【0053】
中間転写ベルト2に転写されたトナー像は、単一色画像の場合にはそのまま給紙部1Bから繰り出されたシートに対して転写され、多色画像の場合には1次転写が繰り返されることにより重畳された上でシートに対して一括して2次転写される。2次転写後のシートは入り口ガイド11Aにより定着装置11に導入され、定着装置11により未定着画像を定着された後、排紙トレイ13あるいは、反転されて再度レジストローラ1B3に向けて給送される。
【0054】
図2は、定着装置11から排出されるシートの搬送路を切り替えるための構成を示す図であり、同図において、定着装置11から排出されるシートの搬送路延長上には、排紙反転部とシートの搬送路を挟んで対向当接している回転可能な排出ローラ14A、14Bを備えた排紙装置14が配置されたシート排出口14Cが設けられている。
【0055】
一方、シートを反転させる排紙反転部には、定着装置11からのシートの排出方向(便宜上、図2において符号Pで示す)に沿って上流側にシートのカールを除去するためのデカール機構15を構成するバックアップローラ15A、15Bおよび搬送ローラ15Cが、そしてデカール機構15を通過したシートをシート排出口14Cあるいはガイド板16,17,18を備えた反転経路のいずれかに向けて搬送方向を切り換えることができる揺動可能な搬送路切換爪12がそれぞれ配置されている。
デカール機構15における搬送ローラ15Cには、この搬送ローラ15Cをバックアップローラ15A、15Bに対して圧接させて挟持圧力を付与するための弾性体15Dが設けられている。
【0056】
反転経路は、シート両面への画像形成時あるいは反転状態で排出する場合に選択される経路であり、反転対象となるシートを一旦ガイド板17,18で構成される搬送路に導入し、反転ユニットにおいてスイッチバック処理された後、再給紙される態勢と排紙トレイ13に向けて搬送される態勢とが選択されるようになっている。このため、シートが導入される側であるガイド板17,18で構成された搬送路およびガイド板16,17で構成される搬送路には、所定方向にシートを搬送可能な内側排紙ローラ19,外側排紙ローラ20およびこれら各ローラに当接して連動可能な連動ローラ21がそれぞれ所定の位置に配置されている。
図2において反転経路中には、符号Dで示す方向に回転してガイド板17,18で構成される搬送路内に導入されたシートをスイッチバック処理する反転ローラ22および分岐爪23さらにはスイッチバック処理されたシートを再給紙する経路と排紙口37に向けて移送する反転排出経路24とを設定可能な両面分岐爪25がそれぞれ設けられている。
【0057】
搬送路切り換え爪12により反転経路に導入された後、再度裏面に画像形成されて排紙トレイ13に排出されるシートは、画像面が下側となった状態で順次排出されて積載されることになるので、最終のシートが排出された後、排紙トレイ13から取り出された際に最下位のページが第1頁に相当している。このため、改めてページ順を揃える作業を不要にできる。
【0058】
上述した定着装置11から排出されるシートが搬送路切り換え位置に達する前に通過するデカール機構15には、定着装置11でのシートの搬送状態をシートの有無により検知可能な構成が設けられてシートの搬送状態を監視するようになっている。
【0059】
図3はシートの有無を検知するための構成を説明する模式図であり、同図に示すシートの有無検知構造は、定着装置11を通過した直後のシートを対象としてシートと非接触な状態で検知することを特徴としている。
図3においてシートの有無検知構造は、デカール機構15における搬送ローラ15Cの上位に配置されて、搬送ローラ15Cの位置変化を検知可能な反射型の光学センサ26が用いられている。
【0060】
光学センサ26は、シートを挟持していない場合の搬送ローラ15Cの位置から得られる出力電圧を基準として、その出力電圧の変化によりシートの有無を検知するようになっている。
図4は、光学センサ26の回路構成を示す図であり、同図に示すように、光源(LED)から搬送ローラ26に向けて照射された光が受光部(PSD)での受光量に応じて出力電圧を図示しない画像形成処理制御部に出力する。
【0061】
図5は、光学センサ26の出力とシートの有無との関係を示す線図であり、同図において、搬送ローラ15Cとバックアップローラ15A、15Bとの間に挟持搬送対象となるシートが存在せずに搬送ローラ15Cと光学センサ26との間の距離が大きくなる場合には光学センサ26からの出力電圧が小さくなる特性のセンサとすると、これを基準としてシートが存在した場合にシートの厚さに応じた搬送ローラ15Cの位置変化に応じた出力電圧が増加するのを検知することでシートの有無を判別することができるようになっている。本実施形態では、搬送ローラ15Cと光学センサ26との間の距離が6.2mmの場合に出力電圧が1Vとなり、シートの厚さに応じてこの値から小さくなる傾向を読み取ることでシートの有無を判別することができる。シートの厚さとしては50μm〜200μmが対象となり、この場合の出力電圧は薄紙などのシートで1.7V、厚紙などのシートで4.7Vとなるように出力電圧の特性が設定されている。
【0062】
本実施形態においては、シートの有無検知が定着装置11から排出されたシートが最初に通過する位置で実行される。つまり、搬送方向切り換え爪12に到達する前の段階でシートの有無検知が行われる。これにより、搬送方向切り換え爪12の応答遅れに遭遇することなくシートの有無検知が行えることになるので、シートの搬送間隔を短くした場合でも定着装置11でのシートの有無検知が正確に行えることになる。しかも、シートの有無検知は、シートの接触することなく行えるので、フィラー部材を用いた場合と違ってシートへの衝撃が作用しない。これにより、シートの有無検知部においてシート先端が折損したりあるいは画像擦れを起こすことがない。
【0063】
次に、本発明の実施形態に関する別例について説明する。
本実施形態は、シートの有無検知をデカール機構の設置位置でシートと非接触な状態でシートを直接検知することにより行うことを特徴としている。
図6において、デカール機構15におけるバックアップローラ15A、15Bの配置位置間には、シートからの反射光を用いてシートの有無を検知可能な反射型の光学センサ26’が配置されている。
図7は光学センサ26’の配置状態を示す図であり、同図において、光学センサ26’は、支軸15A1,15B1の軸方向に沿って交互に配置されているバックアップローラ15A、15B同士の支軸間で軸方向中央部に配置されており、光源からの照射光がバックアップローラ15A、15Bの配置位置間を透して搬送ローラ15Cの表面に照射できるように位置決めされている。バックアップローラ15Bが交互に配置されているのはシートの幅方向で癖付けすることにより曲げ剛性を高めるためである。
【0064】
図8は、光学センサ26’の回路構成図であり、同図に示すように、光学センサ16’は、光源側がアノード・カソード側とされ、受光部側がコレクタ・エミッタ側とされたダイオードで構成され、受光部側からは光量に応じた光電流が出力されるようになっている。
【0065】
図7に示した光学センサ26’は、搬送ローラ15Cとシートとで反射状態が異なることを利用して、シートの有無を判別するようになっている。このため、搬送ローラ15Cの表面は光吸収が可能な表面処理が施された光吸収部とされており、具体的には、カーボンを分散したフッ素系の熱収縮チューブが搬送ローラ周面に装着されている。
【0066】
図9は、図7に示した構成による光学センサ26’から得られる出力状態を示す線図であり、同図において縦軸は光学センサ26’から出力される光電流IL(μA)を示し、横軸は時間(T)を示している。
図9において、シートからの反射光が存在しない場合には光学センサ26’からの光電流の出力はなく、この状態を基準としてシートからの反射光が光学センサ26’により受光されると光学センサ26’から光電流が出力されることになり、これによりシートの有無を判別することができる。なお図9において符号A1,A2,A3はシートの通過状態を示しており、この通過時に対応して光学センサ16’から光電流が出力される関係が示されている。
【0067】
本実施形態においては、シートの通過状態による反射状態の変化をシート自体からの反射光の有無により判別することができる。しかも、光学センサ26’は、バックアップローラ15A、15Bの配置位置間に位置決めされて、いわゆる搬送ローラ15Cとアックアップローラ15A、15Bとでシートが直接挟持搬送される位置に位置決めされているので、定着後のシート移動を司る位置という最もシートの搬送に関係する位置でシートの有無を検知することができ、これ以外の位置での検知に比べて定着装置から排出されたシートの搬送状態を精度良く検知することができる。さらに、光学センサ26’はシートと非接触な位置関係を設定されているので、仮にジャムが発生した場合にデカール機構15が外部に取り出される際においてもその着脱操作の邪魔にならない位置に位置決めすることができ、ジャム解消作業の円滑化を阻まないようにすることができる。
【0068】
次に本発明の実施形態に関する他の例について説明する。
本実施形態は、図6に示した光学センサ26’の構成を対象として搬送ローラ15Cの表面を鏡面とすることによりシートとの間で反射状態を異ならせることを特徴としている。つまり、搬送ローラ15Cの表面は凹凸をなくして鏡面仕上げされて光を全反射できる状態とされており、この処理が可能な材質として、金属が用いられている。金属を用いる搬送ローラ15Cの表面には、反射効率を高めるためにニッケルメッキが施されている。
【0069】
図10は搬送ローラ15Cの表面からの反射光とシートからの反射光との違いによる光学センサ26’からの光電流の出力状態を示す線図であり、同図において縦軸は光電流IL(μA)を示し、横軸は時間(T)を示している。
図10に示す結果は、図9に示した状態と逆の関係となっており、シートが存在しない場合の方がシートが存在する場合に比べて反射光に基づく光電流値が高くなっている。図10に示す結果においては、シートが存在しない場合の光電流が2000μAとなり最大値を示し、シートが存在する場合には均等拡散反射のためにシートが存在しない場合よりも受光量が少なくなり、概ね、1250μAを示している。なお、図10において符号A1,A2,A3は、図9に示した場合と同様に、シートの通過状態を示している。
【0070】
本実施形態においては、搬送ローラ15Cの表面が鏡面仕上げられ、この反射状態とシートからの反射状態との違いにより図3に示した場合と同様にシートの有無を判別することができ検知することができる。しかも、本実施形態では、搬送ローラ15Cが表面を鏡面仕上げしやすい金属で構成されているので、冷却部材として用いることができる。つまり、定着後のトナーを冷却することにより再軟化を防いで搬送ローラ15Cへの転移を防止できると共に、カール矯正方向への曲げ癖付け、いわゆる、アイロン効果により新たなカールが生じるのを防止することができる。特に、搬送ローラ15Cを単なる金属ローラとすることに限らず、ヒートパイプローラとすることにより冷却効果を向上させて上述した機能を確保することができる。
【0071】
次に本発明の別の実施形態について説明する。
今まで説明したシート搬送装置におけるシートの有無検知対象となるシートは、光学センサ26,26’を用いることでシートからの反射光が得られるシートが対象となっており、換言すれば、光の反射が可能な不透明材質のシートが対象となっている。
【0072】
しかし、シートには不透明なものばかりでなく、OHP等の光透過が可能な材質もある。本実施形態では、光透過可能な透過材がシートとして用いられる場合のシートの有無検知が行えるようにすることを特徴としている。
つまり、光透過可能なシートが用いられる場合には、シートの移動方向前端側およびまたは後端側に予め画像を形成し、その画像を直接光学センサによって検知するようになっている。
【0073】
本実施形態では、図6および図7に示した構成の光学センサ26’を用いる場合が前提となっており、デカール機構15を通過するシートを直接光学的に検知できるようになっている。
【0074】
図11はシート(便宜上、図2において用いた符号Pで示す)の移動方向’矢印で示す方向)先端側に線(ライン)画像などを用いた画像Gを形成した場合を示しており、画像Gは、移動方向先端そのものではなく、先端から後方に5mm以上ずらした位置で光学センサ26’の検知幅である1mmおよびシートの搬送時でのバラツキを考慮して光学センサ26’の検知中心を基準として6〜10mm程度の主走査方向の幅を持たせて形成されている。移動方向先端から後方にずらして画像Gを形成する理由は、先端そのものに形成した場合にシートが定着ローラに貼り付くのを防止するためである。
【0075】
画像Gは、シートPの移動方向先端側のみでなく、図12に示すように移動方向後端側(符号G’で示す)にも形成することができる。
移動方向後端側に形成された画像G’は、デカール機構15を通過し終わるまでの間でシートのジャム発生を検知するために用いられる。つまり、デカール機構15を通過する段階では移動方向先端側の画像Gを検知することにより、そして、先端がデカール機構15を通過した場合には移動方向後端側の画像G’によりシートのジャム検知を行うことができる。これにより、シートの移動方向全域がデカール機構15を通過する間、ジャム検知が行えることになり、定着装置11とデカール機構15との間のシート搬送路で比較的高温部をなす定着装置11側の搬送路を人手により開放する必要をなくすことができる。なお、移動方向先端側および後端側にそれぞれ画像G,G’を形成した場合に後端側の画像G’の検知タイミングはシートの移動速度により予め判っているので、その移動時間経過後における光学センサ26’からの検知信号の有無によりシートのジャム検知を行う。
【0076】
画像は、図13において符号YGで示すように、光学センサ26’においてのみ識別可能で、人間による視覚的認識が不能な特性を有しており、具体的には、500nm〜700nm程度の高光反射率を有するイエロートナーを用いた画像で構成されている。この画像はイエロー画像の形成が可能な感光体3Yを用いて形成される。
【0077】
画像G,G’は、単一のみでなく、複数並設することもできる。
図14は、この場合を示しており、シートPの移動方向両端側にそれぞれ形成されている画像G、G’を構成する線画像は、移動方向に沿って同じ太さの場合(図14(B)中、符号M1で示す)、あるいは、図14(C)に示すように、並置方向で異なる太さ(L1>L2)とする場合がある。並置方向で異なる太さとした場合を示す図14(C)においては、各端部で3本の線画像M1,M2が形成されており、その線画像のうちで、両側の線画像M1が太さ2mmとされ、これ螺旋画像の間に位置する線画像M2は太さが1mmに設定されている。
【0078】
複数の画像を形成することにより、検知誤差、つまり、ノイズなどの影響により正確な画像検知信号が得られなくなる確率を少なくしてシートPの有無検知を正確に行えるようにすることができる。
【0079】
次に本発明のさらに別の実施形態について説明する。
本実施形態は、光学センサを用いる代わりに温度センサを用いてシートの有無および搬送ローラの表面温度の少なくとも一方を検知できるようにしたことを特徴としている。
【0080】
図15は、図6に示した配置構成を対象として本実施形態の構成を説明する図であり、同図において、デカール機構15におけるバックアップローラ15A、15Bの配置位置間には、シートおよび搬送ローラ15Cの表面温度を検知可能な温度検知センサ(便宜上、符号26Aで示す)が配置されている。
温度検知センサ26Aは、検知対象に対して非接触な状態でシート表面および搬送ローラ15Cの表面の光を吸収して温度を検知可能なサーモパイルが用いられている。
サーモパイル(熱電堆)は、例えば、昭和60年3月5日、丸善株式会社発行「科学大事典」第1054頁(熱電堆)の欄に開示されているように、複数個の熱電対を直列接続してその受光接点を直線又は放射状に配列した光検出器であり、検知対象部に照射された赤外線等の反射光を受光することにより発生した温接点部での温度変化を熱電対の熱起電力として取り出すことができる構成を備えている。
サーモパイルの出力電圧(V)は、ステファンボルツマンの法則に基づき、
V=A(TB4−TS4)
但し、A:比例常数
TB:検知対象物の温度(K)
TS:サーモパイルの温度(K)
であり、この出力電圧から検知対象物の温度を算出する場合には、サーモパイルの出力電圧と、サーモパイルの絶対温度(周囲温度)を測定して演算する。
【0081】
図15において、(A)はシートの有無をシートの表面温度により検知している状態を、(B)は搬送ローラ15Cの表面温度を検知している状態がそれぞれ示している。
【0082】
シートの表面温度および搬送ローラ15Cの表面温度に関するデータは、図16に示す制御部30に出力されるようになっている。
図16は、画像形成処理全般のシーケンス処理を実行する制御部30の構成を説明するためのブロック図であり、同図において本実施形態に関係する部材として、入力側には温度検知センサ26Aが接続され、出力側には後で説明する冷却ファンの駆動部31,シート搬送駆動部32,画像形成処理制御部33および警報部を備えた表示パネル34が接続されている。
【0083】
本実施形態では、搬送ローラ15Cを定着後のシート上に担持されているトナーの冷却手段として用いるようになっており、このため、搬送ローラ15Cには、熱交換作用が得られるヒートパイプが用いられている。
搬送ローラ15Cとして用いられるヒートパイプには、その長手方向端部に図示しないが冷却フィンが設けられており、この冷却フィンを冷却手段としての冷却ファン(図示されず)によって強制送風することにより冷却効率を上げるようになっている。
冷却ファンは、冷却ファン駆動部31により作動態位を設定されることにより、回転および停止の何れかが選択される。
【0084】
シート搬送駆動部32は、給紙部から排紙部に至る全般の搬送部材を対象として駆動停止を行う場合に用いられる駆動部であり、この駆動停止は、装置内での異常現象の発生やオペレータにより装置の外壁が開放された場合などが対象となる。
画像形成処理制御部33は、画像形成部1Aで用いられる各作像部材の状態管理などが行われる部分であり、例えば、現像剤濃度管理や感光体の疲労度チェックなどが対象となる。
【0085】
表示パネル34は、いわゆる、装置に設けられている操作パネル(図示されず)の一部で構成され、異常状態の表示や画像形成モード選択内容などの表示に用いられる。
【0086】
制御部30では、温度検知センサ26Aからの出力に基づき、シートの有無および搬送ローラ15Cの表面温度による冷却態位の設定を行うようになっているが、シートの有無判別のためには、予め、定着後にシートの表面温度を実験等によって求めておき、この表面温度を基準として温度検知センサ26Aから得られる温度情報によりシートの有無を判別するようになっている。
本実施形態では、シートの有無判別の閾値となる表面温度は約110℃に設定されている。
【0087】
一方、搬送ローラ15Cは、その表面温度が75℃に維持されるようになっており、この温度が維持できるように冷却ファンの態位設定が行われる。特に、搬送ローラ15Cは定着後のトナーと接触する部材であるので、トナーの冷却により軟化状態を解消して搬送ローラ15Cへのトナーの付着、いわゆる、粘着を防止するようになっている。このため、上記設定温度である75℃に達する前の時点の温度(65℃〜70℃)において冷却ファンを回転させて強制冷却させ、設定温度以下の場合には冷却ファンを停止させる。
【0088】
図17および図18は、冷却ファンの態位設定を説明するためにシートの搬送枚数と搬送ローラ15Cにおける表面温度の変化を示す図である。
図17は、画像形成装置の始動時から冷却ファンを回転させて搬送ローラ15Cであるヒートパイプを強制冷却した場合を示し、図18は、搬送ローラ15Cであるヒートパイプの表面温度が上述した設定温度75℃に達する前に冷却ファンを回転させて強制冷却する場合を示している。
搬送ローラ15Cは、シートの搬送枚数が多くなるに従ってシートからの受熱量も多くなることで温度上昇する。そこで、図17では、始動時から強制冷却することで搬送ローラ15Cの温度上昇が緩やかとなり、設定温度である75℃に達した際のシート搬送枚数は40枚程度であった。これに対して、図18では、設定温度である75℃に達するまでの間、冷却ファンが停止させてあるので、搬送ローラ15Cの温度上昇が急峻となり、設定温度に達した際のシート搬送枚数は15枚程度であった。図18では、設定温度に達する前において冷却ファンを回転させて強制冷却を開始している。これにより、図18に示した場合には、設定温度以下の場合には上述した温度範囲(65℃〜70℃)以外において冷却ファンを回転させることがないので、その間に消費される電力を低減することができ、ランニングコストの上昇を抑えるとともにトナーの軟化状態を冷却硬化状態に変えることで搬送ローラ15Cへのトナーの付着、ひいては搬送ローラに接触する新たなシートへのトナーの転移を防止することができる。
【0089】
搬送ローラ15Cに用いられるヒートパイプは、自らが有する冷却フィンに対して冷却ファンからの送風により強制冷却されるようになっているが、制御部30では、強制冷却が不能となった場合の処置も採るようになっている。つまり、強制冷却が不能となる場合としては、冷却ファンの故障などの動作異常や冷却風の移動が行えなくなる状況の発生などがあり、後者の場合としては、通風路が障害物の存在によって遮断されてしまう場合などがある。
【0090】
制御部30では、搬送ローラ26Aの表面温度を監視し、設定温度(75℃)に達する前の温度範囲(65℃〜70℃)で冷却ファンを回転させるが、冷却ファンを回転させたにもかかわらず、図19においてブロッキング発生領域と表示されているように、搬送ローラ15Cの表面温度が設定温度を超えた場合、換言すれば、トナーの軟化を解消するに必要な冷却温度に相当する温度を超えた時点には、新たなシートの搬送を禁止する一方、このシートを対象として実行される画像形成処理を停止させるようになっている。このような停止は表示パネル34において警報として表示される。図19において用いたブロッキングとは、軟化トナーが搬送ローラ表面に付着し、さらには新たに搬送さえるシートの搬送ローラ側に付着したトナーが再転移する現象をいう。
【0091】
本実施形態は以上のような構成において、制御部30の動作を説明するフローチャートにより作用を説明すると図20に示すとおりである。
図20において、シート表面の温度(T)が設定温度(T0)と比較されてシートの有無判別が行われる(ST1)。
シートの有無判別において、シート表面温度に相当している場合には、図示しないが、制御部30において搬送系での異常な搬送状態チェックなどが実行される。ステップST1においてシートがない場合には、搬送ローラ15Cの表面温度が検知され、その温度(T’)が設定温度(T1)と比較される(ST2)。この場合の設定温度は75℃であり、その設定温度以上である場合には冷却ファンが作動され(ST3)、設定温度以下の場合には冷却ファンが停止される(ST4)。これにより、電力消費量が低減されることになる。
【0092】
冷却ファンが作動した場合には、再度搬送ローラ15Cの表面温度が検知され、設定温度を越したかどうかが判別される(ST5)。冷却ファンが作動状態にあるにもかかわらず、搬送ローラ15Cの表面温度が設定温度を越した場合には、新たなシートの搬送(シート繰り出し)が停止され(ST6)、このシートを対象とした画像形成処理も停止される(ST7)。さらには、表示パネル34において異常状態が発生したことを警告する(ST8)。この場合の警告は、例えば、サービスマンコールなどが行われる。
【0093】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、搬送ローラとバックアップローラとで構成されるシート挟持搬送位置におけるシートの有無をシートと非接触な状態で検知するようになっているので、定着装置からシートが排出される位置に近い場所でシートへのよけいな負荷を与えることなく有無検知が可能となる。このため、シートの搬送間隔が短くできることで画像形成に関するスループットを向上させる際においても定着装置内でのシートの搬送不良を正確に判別して過熱などの不具合を解消することが可能となる。しかも、非接触な状態での検知が行えることにより、シートの厚さに関係なくシートに衝撃が発生することもなくなるので、シートの折損や画像擦れなどの不具合も解消することが可能となる。さらに加えて、シートの有無のみでなく搬送ローラの表面温度も検知することができることによりシートに対するアイロン効果により新たなカールの発生状況を判別することが可能となり、新たなカール発生を防止するための対策を採ることができるようになる。
【0094】
請求項2および3記載の発明によれば、搬送ローラの位置変化によりシートの有無を検知できるので、定着装置を通過した直後のシートの有無がシートと非接触状態で確実に検知することが可能となる。
【0095】
請求項4乃至6記載の発明によれば、搬送ローラの周面に沿って並置されているバックアップローラの配置位置間においてシートの有無をシートと非接触な状態で検知可能な構成を備えており、特に請求項5および6記載の発明においては搬送ローラとシートとの光反射状態の違いに基づくという簡単な構成によりシートの有無判別がシートの搬送方向切り替え前にしかもシートと非接触な状態で検知できるので、シートの搬送方向切り替えに用いられる部材の応答遅れの影響を受けることなく有無検知が正確に行えることになる。これにより、シートの搬送間隔を短くした場合でも搬送経路切り替え部材によるジャム発生を抑制しながらシートの有無検知が可能となると共にジャム発生時等において搬送機構を外部に引き出す際には有無検知部が邪魔になることがなく、ジャム解消操作性を損ねないようにすることが可能となる。
【0096】
請求項7記載の発明によれば、非接触な状態でシートの有無およびまたは搬送ローラの表面温度を検知する構成として、シート表面およびまたは搬送ローラ表面の光を吸収して温度検知が可能な構成を用いているので、シートの有無のみでなくシートの有無検知と同じ検知構成により搬送ローラ表面の温度も検知できることにより、検知部材の構成の簡略化と省スペース化が可能となる。
【0097】
請求項8記載の発明によれば、搬送ローラとして表面を鏡面仕上げされたヒートパイプが用いられているので、シートの有無検知と共にシートのカール矯正と冷却とを同時に行うことができる。これにより、シートの有無検知の段階でシートが冷却できるので、トナーの冷却を迅速に行ってトナーの再軟化による接触部材への転移の防止およびアイロン効果による再カールの発生を防止することが可能となる。
【0098】
請求項9記載の発明によれば、透過体をシートとして用いた場合において透過材に予め光学センサによる識別が可能な画像を形成することにより、光学センサによる検知が困難な透過体であっても安価な検知機構を採用できる非接触な状態でのシートの有無検知が可能となる。
【0099】
請求項10記載の発明によれば、予め形成されて画像が光学センサでの認識が可能である反面、人間の視覚的識別ができな特性を有しているので、シート上での本来の画像部以外の余計な画像として認識されにくくすることができ、不良画像として認識させないようにすることができる。
【0100】
請求項11および12記載の発明によれば、透過体の移動方向先端側およびまたは後端側に予め形成される画像は、単一のみでなく複数設けることができるので、ー殿汚れなどによるノイズの影響を受けることなくシートの有無検知が正確に行えるようにすることが可能となる。
【0101】
請求項13記載の発明によれば、搬送ローラとして用いられるヒートパイプには冷却手段が設けられ、該冷却手段が搬送ローラの表面温度に応じて冷却態位を設定されるようになっているので、定着後に搬送されるシートの再カールの発生を冷却状態の設定により効率よく防止することが可能となる。
【0102】
請求項14および16記載の発明によれば、ヒートパイプの冷却手段がヒートパイプにおいてトナーの軟化を解消するに必要な冷却温度を超えた場合に新たなシートの搬送および請求項16記載の発明では画像形成行程の実行を禁止するようになっているので、ヒートパイプローラに付着している軟化トナーが新たなシートの転移されてしまうのを未然に防止して不良画像の発生を抑制することが可能となる。
【0103】
請求項15および17記載の発明によれば、シート厚さや担持されているトナーの量に関係なく定着装置から移動してくるシートの搬送状態をシートと非接触な状態で監視することができ、これによりシートへの余計の負荷の増加あるいは画像の摺擦を招くことなく搬送状態および再カールの発生が起こりうるかどうかを正確に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る実施例によるシート排出装置が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に設けられている反転部の構成を説明するための模式図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いられるデカール機構の構成を対象とした本発明の実施の形態を説明するための図である。
【図4】図3に示した光学センサの回路構成図である。
【図5】図3および図4に示した光学センサの特性を説明するための線図である。
【図6】図3に示したデカール機構の構成を対象とする本発明の実施形態に関する別例を説明するための図である。
【図7】図6に示した光学センサの配置構成図を示す部分的な斜視図である。
【図8】図6に示した光学センサの回路構成図である。
【図9】図6に示した光学センサによるシート検知状態に対応した特性線図である。
【図10】本発明の実施形態に関する他の例による光学センサの特性線図である。
【図11】透過体のシートを用いた場合の移動方向先端側に形成された画像を示す図である。
【図12】透過体のシートを用いた場合の移動方向先端側および後端側に形成された画像を示す図である。
【図13】透過体のシートを用いた場合の移動方向先端が輪およびまたは後端側に形成される画像の別の例を示す図である。
【図14】図12に示した画像の変形例を示す図であり、(A)は、図12に相当する図、(B)および(C)は(A)中において一点鎖線で囲った部分での画像形態をそれぞれ示す図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態を説明するための温度検知構造を示す図であり、(A)はシートを対象とする場合を、(B)は搬送ローラを対象とする場合を示している。
【図16】図15に示した温度検知手段を用いた制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図17】図16に示した制御部で実施される温度管理による温度変化を示す線図である。
【図18】図16に示した制御部で実施される温度管理による温度変化を示す線図である。
【図19】図16に示した制御部で実施される温度管理による温度変化を示す線図である。
【図20】図16に示した制御部の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像形成装置
12 搬送路切り換え爪
15 デカール機構
15A、15B バックアップローラ
15C 搬送ローラ
26,26’ 光学センサ
26A 温度検知センサ
30 制御部
31 冷却ファン駆動部
G,G’ 画像
YG、YG’ 人間では認識不能な画像
L1,L2 画像の太さ
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート搬送装置および画像形成装置に関し、さらに詳しくは、シートの搬送不良を検知するための構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機やプリンタあるいはファクシミリ装置などの画像形成装置においては、潜像担持体上に形成された静電潜像を現像プロセスにおいて可視像処理した後、その可視像を記録媒体の一つである記録用紙等のシートに対して静電転写し、転写された可視像が、例えば、加熱定着されて複写物あるいは記録物として得られるようになっている。
【0003】
定着に用いられる構成の一つにシートの搬送路を挟んで対向する加熱ローラと加圧ローラとを配置し、これら両ローラによりシートを挟持搬送する過程でトナー像に対して熱・圧力を作用させて定着する熱ローラ定着方式を用いた構成がある。
熱ローラ定着方式は、熱効率が高く高速化が図れること、伝熱効率が高く安定した定着効率が得られることおよびシートの搬送媒体として利用できることにより構造が簡単であることなどの利点があることから近年多用されるようになっている。
【0004】
定着後のシートは、加熱ローラおよび加圧ローラの近傍に配置されている排紙ローラにより排紙トレイなどに排出される場合と、排紙トレイに向かうことなくレジストローラに向けて再給送され、再給送過程において反転されて定着装置を通過した際の画像面の裏側に再度画像が形成されてから排紙トレイに排出される場合とが選択されることがある。
【0005】
排紙トレイおよび再給送過程の何れかにシートを給送するための構成としては、排紙トレイと再給送路との分岐位置に揺動可能な搬送路切り換え爪を配置し、この搬送路切り換え爪を画像形成モード、つまり、片面への画像形成あるいは両面への画像形成の何れかのモードに対応して揺動位置を切り換える構成が知られている。
【0006】
画像形成装置の内部には、シートの搬送状態を監視して搬送路上での紙詰まり、いわゆるジャムの発生による搬送不良が起きた場合を検知できる構成が採用されている。
定着装置を通過するシートも監視対象となる。これは、定着装置を通過するシートにおいてカールが生じた場合にその部分での搬送不良が発生すると定着装置内での過熱を招いたり排紙トレイ上での端縁整合性(スタック性)が損ねられたりするのを防止するためである。
【0007】
シートに発生するカールは、自らが保有する水分が定着装置における加熱によって変化し、水分の蒸発による収縮時に発生する応力限界が原因となって発生する。カールは、シートに担持されているトナーの量に比例する傾向があり、例えば、モノクロ画像形成時とフルカラー画像形成時とでは、シートに担持されているトナーの量が異なり、フルカラー画像形成時にはトナーの量が多くなることにより上述した膨張・収縮現象が大きくなることが原因してカールの発生が顕著となる。
【0008】
カールが生じた場合には、排紙トレイに排出される時点で先端が下側に垂れ下がっていると、先端が排紙トレイの載置面に突き当たって進行が妨げられてジャムを生じやすくなる。また、先端の整合性も悪化することになる。さらに、再給送路への導入が困難となる。
【0009】
従来、シート先端のカールを矯正するための構成の一つに、カールが生じている方向と逆方向にシートを折り返した状態で搬送する構成があり、具体的には、搬送路中でカールが生じている側と反対側となる位置に配置されている搬送ローラとこの搬送ローラの周方向に並置されて周面に当接している一対のバックアップローラとを備えて構成したデ・カール機構が知られている(例えば、特許文献1)。
【0010】
上記公報に示されている構成では、搬送ローラと一対のバックアップローラとで構成される搬送ローラ周面に沿った搬送路がカールの生じている方向とは逆方向にシートを屈曲させる方向とされていることにより、シートをカールの矯正面に相当する搬送ローラ周面に倣って移動させる過程でカールの発生方向と逆方向に癖付けしてカールを矯正するようになっている。
【0011】
ところで、排紙トレイ側と再給送路側とに搬送経路を切り換えることができる画像形成装置においては、切り換え爪の揺動態位を画像形成モードに応じて設定するようになっているが、近年、画像形成時でのスループットを向上させて、いわゆる、画像形成行程から排紙トレイに排出されるまでの画像形成時間を短縮することが望まれてきている。このため、連続してシートを搬送する場合、搬送されるシートの搬送速度を同じとした場合にはシート同士の搬送間隔を小さく、換言すればシート間の距離を短くすることがある。
【0012】
しかし、このような処理を採用した場合、切り換え爪の態位切り換えに要する時間がある程度必要であることから、態位切り換えタイミングがシートの搬送タイミングに整合しなくなることもあり、これにより、搬送路切り換え位置でシートのジャムが発生しやすくなるという不具合がある。
【0013】
従来、定着装置を通過したシートの搬送状態を検出するための構成として、上述したカール矯正位置においてシートにより押し動かされるフィラー部材を配置した構成が提案されている(例えば、特許文献2)。
【0014】
上記公報には、一対のローラのうちで、シートの搬送方向前方側に位置するローラ近傍に先端を位置決めされた揺動可能なフィラー部材を設け、該ローラから繰り出されるシート先端によってフィラー部材を押し動かすことによりフィラー部材の揺動角をジャム検知判断に用いるようにした構成が示されている。
【0015】
しかし、上記公報に示されているジャム検知機構を備えた構成では、シートによるフィラー部材の押し動かし動作が必要となる。このため、シートの種類によっては、正確なジャム検知が行えなくなる虞がある。つまり、シートには、厚さによる曲げ剛性が低いものもあり、曲げ剛性が低いシートとして薄いシートが搬送された場合には、その先端がフィラー部材に突き当たった際の衝撃により折れ曲がったりあるいは傷ついたりしやすくなる。しかも、フィラー部材はシートの画像面に対向していることから、画像を摺擦することになり、画像劣化を招きやすくなる。
【0016】
このようなフィラー部材によりシートとの接触状態をシートの有無判別の条件とするのに代えて、光学センサを用いてシートからの光反射状態によりシートと非接触な状態でシートの有無判別を行う構成が本出願人により提案されている(例えば、特願2002−239092号)。
【0017】
【特許文献1】
特開平11−189363号公報(「0017」欄、図5)
【特許文献2】
特開2000−53273号公報(「0010」〜「0011」欄、図1)
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
光学的な反射状態を判別する場合には、シートが不透明な場合には有効であるが、画像形成対象となるシートには、OHP等の光透過が可能な材質のものを用いる場合がある。従って、光透過が可能なシートの場合には光学的センサを用いた有無判別が困難となるため、使用されるシートの種類が限定されてしまい、使い勝手が悪くなることは否めない。
【0019】
一方、カール矯正位置は、定着装置において加熱定着されたシートが搬送されてくる位置に設定されている関係上、カール矯正のためにカールが生じている方向と逆方向に癖付けした場合にその癖付けにより新たなカールが発生することがある。つまり、定着装置から搬送されてくるシートはカール矯正位置において搬送ローラの周面に沿って移動することによりカールとは逆向きに折り返されることでカールをなくされるが、搬送ローラの周面に沿って移動する際には定着装置で加熱されたことによる蓄熱が原因するアイロン効果によってその位置での癖付けによる新たなカールが発生することになる。
しかも、定着装置により加熱されたシート上のトナーは、シートに溶融軟化した状態で浸透することで定着されることになるが、搬送ローラに達した時点では未だ、トナーの軟化状態が継続されている場合があり、これにより、搬送ローラ表面に軟化したトナーが付着してしまう場合がある。この結果、次の搬送シートにトナーが転移することで不良画像が得られる虞がある。
【0020】
本発明の第1の目的は、上記従来のシート搬送装置における問題に鑑み、特に、定着装置から排出される際に定着装置からの加熱による変形が生じているシートや、光透過可能なシートであってもシートの搬送状態、特にジャム発生を正確に監視して定着装置でのシートの過熱などの不具合をコスト上昇を招くことなく解消できる構成を備えたシート搬送装置および画像形成装置を提供することにある。
【0021】
本発明の第2の目的は、上記従来のシート搬送装置における問題に鑑み、コスト上昇を招くことなく不良画像の発生を防止することが可能な構成を備えたシート搬送装置および画像形成装置を提供することにある。
【0022】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、シートの搬送方向を切り換え可能な構成と、上記シートの搬送方向における該搬送方向の切り換え位置手前側近傍に配置されている搬送ローラと、該搬送ローラの周方向に沿って複数並置されて該搬送ローラに圧接しながら回転可能なバックアップローラとを備え、上記搬送ローラの周面に倣った形状に上記シートを挟持搬送可能なシート搬送装置において、上記搬送ローラと上記バックアップローラとで構成されるシート挟持搬送位置における上記シートの有無およびまたは上記搬送ローラの表面温度を上記シートおよび上記搬送ローラに非接触な状態で検知可能な構成を備えたことを特徴としている。
【0023】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明に加えて、上記シートに非接触な状態でシートの有無を検知する構成として、上記搬送ローラ側に配置されて該搬送ローラの位置変化を検知可能な構成が用いられることを特徴としている。
【0024】
請求項3記載の発明は、 請求項2記載の発明に加えて、上記搬送ローラの位置変化を検知する構成として、上記シートの挟持による搬送ローラの位置変化を検知可能な反射型光学センサが用いられることを特徴としている。
【0025】
請求項4記載の発明は、シート搬送路中に配置されている搬送ローラと、該搬送ローラの周方向に沿って複数並置されて該搬送ローラに圧接しながら回転可能なバックアップローラとを備え、上記搬送ローラの周面に倣った形状に上記シートを挟持搬送可能なシート搬送装置において、上記バックアップローラの配置位置間に上記シートおよび上記搬送ローラと非接触な状態で該シートおよびまたは上記搬送ローラからの反射光を用いて該シートの有無を検知可能な構成を備えていることを特徴としている。
【0026】
請求項5記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、上記非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられている反射型光学センサと、上記搬送ローラに設けられている光吸収部とを備え、該搬送ローラでの反射光とシートからの反射光とに基づきシートの有無を判別可能な構成が用いられることを特徴としている。
【0027】
請求項6記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、上記非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられている反射型光学センサと、上記搬送ローラの表面を鏡面とした構成を備え、上記搬送ローラの反射光と上記シートからの反射光とに基づきシートの有無を判別可能な構成を備えていることを特徴としている。
【0028】
請求項7記載の発明は、請求項4記載の発明に加えて、上記非接触な状態で上記シートの有無およびまたは上記搬送ローラの表面温度を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられて上記シート表面およびまたは上記搬送ローラ表面の光を吸収して温度検知可能な温度検知手段が用いられ、該温度検知手段は、上記シート表面およびまたは上記搬送ローラ表面の少なくとも一方の温度を検知可能であることを特徴としている。
【0029】
請求項8記載の発明は、請求項6または7記載の発明に加えて、上記搬送ローラは、表面を鏡面仕上げされたヒートパイプが用いられることを特徴としている。
【0030】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のうちの一つに記載の発明に加えて、上記有無検知対象となるシートが透過材である場合に該透過材の移動方向先端若しくは後端の少なくとも先端に予め画像を形成して上記搬送ローラ間を通過させることを特徴としている。
【0031】
請求項10記載の発明は、請求項9記載の発明に加えて、上記予め形成された画像は、光学センサで認識可能な反面、人間による視覚的認識が不能な画像であることを特徴としている。
【0032】
請求項11記載の発明は、請求項9または10記載の発明に加えて、上記予め形成される画像は、単一のみでなく複数形成されることを特徴としている。
【0033】
請求項12記載の発明は、請求項11記載の発明に加えて、上記予め形成される画像のうちで、複数形成する場合には、移動方向に沿って並置し、並置方向での画像のサイズを変化させてあることを特徴としている。
【0034】
請求項13記載の発明は、請求項8記載の発明に加えて、上記搬送ローラに用いられるヒートパイプには冷却用手段が設けられ、該冷却用手段は、表面温度に応じて冷却態位が設定されることを特徴としている。
【0035】
請求項14記載の発明は、請求項13記載の発明に加えて、上記ヒートパイプ冷却手段は、上記搬送ローラの表面温度が該ヒートパイプとして定着後のトナーの軟化を解消するに必要な冷却温度を超えた時点で新たなシートの搬送を禁止する処理を実行可能な構成であることを特徴としている。
【0036】
請求項15記載の発明は、請求項1乃至14のうちの一つに記載のシート搬送装置を画像形成装置に用いることを特徴としている。
【0037】
請求項16記載の発明は、請求項14記載のシート搬送装置を用いる画像形成装置において、上記ヒートパイプ冷却手段が上記新たなシートの搬送を禁止する処理を実行する際には、新たな画像形成処理工程を停止することを特徴としている。
【0038】
請求項17記載の発明は、請求項15記載の発明に加えて、上記シートには単一色若しくは複数色の画像が担持されることを特徴としている。
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、図に示す実施例によって本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係るシート搬送装置を適用した画像形成装置の模式図であり、同図に示す画像形成装置は、色分解に対応した複数の色画像をそれぞれ形成可能な感光体を複数備え、各感光体上で形成されたトナー像を中間転写体に重畳転写した画像を記録用紙などのシートに対して一括転写することにより多色画像を形成可能なカラープリンタである。本発明では、画像形成装置として、カラープリンタに限らず、カラー複写機、ファクシミリ装置および印刷機なども含まれること勿論である。
【0040】
図1において、カラープリンタ1は、画像形成部1Aが縦方向の中央部に位置し、その下方には給紙部1Bが、さらに画像形成部1Aの上方には原稿載置台1C1を備えた原稿走査部1Cがそれぞれ配置されている。
【0041】
画像形成部1Aには、水平方向に展張面を有する中間転写ベルト2が配置されており、中間転写ベルト2の上位には、色分解色と補色関係にある色のトナーを用いて画像を形成するための構成が設けられている。
画像形成部1Aには、補色関係にある色のトナー(イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック)による画像を担持可能な感光体3Y、3M、3C、3Bが中間転写体2の展張面に沿って並置されている。
【0042】
各感光体3Y、3M、3C、3Bはそれぞれ同じ方向(図1では、反時計方向)に回転可能なドラムで構成されており、その周辺には、回転過程において画像形成処理を実行する帯電装置4,書き込み装置5,現像装置6,1次転写装置7,およびクリーニング装置8が配置されている(便宜上、感光体3Yを対象として、各装置の符号にYを付して示してある)。
【0043】
中間転写ベルト2は、複数のローラ2A〜2Cに掛け回されて感光体との対峙位置において同方向に移動可能な構成を備え、展張面を構成するローラ2A、2Bとは別のローラ2Cは、中間転写ベルト2を挟んで2次転写装置9に対峙している。なお、図1中、符号10は、中間転写ベルト2を対象としたクリーニング装置を示している。
【0044】
2次転写装置9は、2次転写ローラ9Aおよび転写後のシートを定着装置11に向けて搬送するために一対のローラ2B,2B’に掛け回された搬送ベルト9Cを備えており、中間転写ベルト2に重畳された多色画像あるいは単一色の画像が2次転写ローラ9Aにより転写されたシートが搬送ベルト9C内に装備されている吸引装置を介して吸着搬送されて定着装置11に持ち来される。
【0045】
2次転写位置には給紙部1Bからシートが給送されるようになっている。
給紙部1Bは、複数の給紙カセット1B1と、給紙カセット1B1から繰り出されるシートの搬送路に配置された複数の搬送ローラ1B2と、2次転写位置前方に位置するレジストローラ1B3とを備えている。図1に示す構成において給紙部1Bには、給紙トレイ1B1から繰り出されるシートの搬送路に加えて給紙カセット1B1内に収容されていない種類のシートを2次転写位置に向け給送できる構成が備えられており、この構成は、画像形成部1Aの壁面の一部を起倒可能に設けた手差しトレイ1A1と繰り出しコロ1A2とを備えている。
【0046】
給紙カセット1B1からレジストローラ1B3に向けたシートの搬送路途中には、手差しトレイ1A1から繰り出されたシートの搬送路が合流し、いずれの搬送路から給送されるシートもレジストローラ1B3によってレジストタイミングが設定されるようになっている。
【0047】
書き込み装置5は、原稿走査部1Cに有する原稿載置台1C1上の原稿を走査することにより得られる画像情報あるいは図示しないコンピュータから出力される画像情報により書き込み光(便宜上、イエロー画像形成のための書き込み光を符号5Yで示す)が制御されて感光体4Y、4M、4C、4Bに対して画像情報に応じた静電潜像を形成するようになっている。
【0048】
原稿走査部1Cには、原稿載置台1C1上の原稿を露光走査するスキャナ1C2および結像光学素子1C2Aが備えられており、さらに原稿載置台1C1の上面には、自動原稿給送装置1C3が配置されている。
自動原稿給送装置1C3は、原稿載置台1C1上に繰り出される原稿を反転可能な構成を備え、原稿の表裏各面での走査が行えるようになっている。
【0049】
書き込み装置5により形成された感光体3上の静電潜像は現像装置6によって可視像処理され、中間転写ベルト2に1次転写される。中間転写ベルト2に対して各色毎のトナー像が順次転写されて重畳されると、2次転写装置9によりシートに対して一括して2次転写される。
【0050】
2次転写されたシートは、表面に担持している未定着画像を定着装置11によって定着される。
図1に示す画像形成装置に用いられる定着装置11は、トナーに直接接触する加熱部材としてベルト11Aが用いられ、このベルト11Aはシートの挟持搬送が可能な定着ローラ11Bと、熱源を内蔵している加熱ローラ11Cとに掛け回されている。定着ローラ11Bにはシートの挟持搬送が可能な今一つの部材である加圧ローラ11Dが対向当接して連動するようになっており、加圧ローラ11Dの内部にも熱源が配置されている。
【0051】
定着装置11を通過したシートは、定着装置11の後方に配置されている搬送路切り換え爪12によって搬送方向が選択されるようになっており、排紙トレイ13に向けた搬送路と、反転搬送路RPとに搬送方向が選択される。
【0052】
以上のような構成を備えたカラープリンタ1では、原稿載置台1C1上に載置された原稿を露光走査することによりあるいはコンピュータからの画像情報により、一様帯電された感光体3に対して静電潜像が形成され、静電潜像が現像装置6によって可視像処理された後、トナー像が中間転写ベルト2に1次転写される。
【0053】
中間転写ベルト2に転写されたトナー像は、単一色画像の場合にはそのまま給紙部1Bから繰り出されたシートに対して転写され、多色画像の場合には1次転写が繰り返されることにより重畳された上でシートに対して一括して2次転写される。2次転写後のシートは入り口ガイド11Aにより定着装置11に導入され、定着装置11により未定着画像を定着された後、排紙トレイ13あるいは、反転されて再度レジストローラ1B3に向けて給送される。
【0054】
図2は、定着装置11から排出されるシートの搬送路を切り替えるための構成を示す図であり、同図において、定着装置11から排出されるシートの搬送路延長上には、排紙反転部とシートの搬送路を挟んで対向当接している回転可能な排出ローラ14A、14Bを備えた排紙装置14が配置されたシート排出口14Cが設けられている。
【0055】
一方、シートを反転させる排紙反転部には、定着装置11からのシートの排出方向(便宜上、図2において符号Pで示す)に沿って上流側にシートのカールを除去するためのデカール機構15を構成するバックアップローラ15A、15Bおよび搬送ローラ15Cが、そしてデカール機構15を通過したシートをシート排出口14Cあるいはガイド板16,17,18を備えた反転経路のいずれかに向けて搬送方向を切り換えることができる揺動可能な搬送路切換爪12がそれぞれ配置されている。
デカール機構15における搬送ローラ15Cには、この搬送ローラ15Cをバックアップローラ15A、15Bに対して圧接させて挟持圧力を付与するための弾性体15Dが設けられている。
【0056】
反転経路は、シート両面への画像形成時あるいは反転状態で排出する場合に選択される経路であり、反転対象となるシートを一旦ガイド板17,18で構成される搬送路に導入し、反転ユニットにおいてスイッチバック処理された後、再給紙される態勢と排紙トレイ13に向けて搬送される態勢とが選択されるようになっている。このため、シートが導入される側であるガイド板17,18で構成された搬送路およびガイド板16,17で構成される搬送路には、所定方向にシートを搬送可能な内側排紙ローラ19,外側排紙ローラ20およびこれら各ローラに当接して連動可能な連動ローラ21がそれぞれ所定の位置に配置されている。
図2において反転経路中には、符号Dで示す方向に回転してガイド板17,18で構成される搬送路内に導入されたシートをスイッチバック処理する反転ローラ22および分岐爪23さらにはスイッチバック処理されたシートを再給紙する経路と排紙口37に向けて移送する反転排出経路24とを設定可能な両面分岐爪25がそれぞれ設けられている。
【0057】
搬送路切り換え爪12により反転経路に導入された後、再度裏面に画像形成されて排紙トレイ13に排出されるシートは、画像面が下側となった状態で順次排出されて積載されることになるので、最終のシートが排出された後、排紙トレイ13から取り出された際に最下位のページが第1頁に相当している。このため、改めてページ順を揃える作業を不要にできる。
【0058】
上述した定着装置11から排出されるシートが搬送路切り換え位置に達する前に通過するデカール機構15には、定着装置11でのシートの搬送状態をシートの有無により検知可能な構成が設けられてシートの搬送状態を監視するようになっている。
【0059】
図3はシートの有無を検知するための構成を説明する模式図であり、同図に示すシートの有無検知構造は、定着装置11を通過した直後のシートを対象としてシートと非接触な状態で検知することを特徴としている。
図3においてシートの有無検知構造は、デカール機構15における搬送ローラ15Cの上位に配置されて、搬送ローラ15Cの位置変化を検知可能な反射型の光学センサ26が用いられている。
【0060】
光学センサ26は、シートを挟持していない場合の搬送ローラ15Cの位置から得られる出力電圧を基準として、その出力電圧の変化によりシートの有無を検知するようになっている。
図4は、光学センサ26の回路構成を示す図であり、同図に示すように、光源(LED)から搬送ローラ26に向けて照射された光が受光部(PSD)での受光量に応じて出力電圧を図示しない画像形成処理制御部に出力する。
【0061】
図5は、光学センサ26の出力とシートの有無との関係を示す線図であり、同図において、搬送ローラ15Cとバックアップローラ15A、15Bとの間に挟持搬送対象となるシートが存在せずに搬送ローラ15Cと光学センサ26との間の距離が大きくなる場合には光学センサ26からの出力電圧が小さくなる特性のセンサとすると、これを基準としてシートが存在した場合にシートの厚さに応じた搬送ローラ15Cの位置変化に応じた出力電圧が増加するのを検知することでシートの有無を判別することができるようになっている。本実施形態では、搬送ローラ15Cと光学センサ26との間の距離が6.2mmの場合に出力電圧が1Vとなり、シートの厚さに応じてこの値から小さくなる傾向を読み取ることでシートの有無を判別することができる。シートの厚さとしては50μm〜200μmが対象となり、この場合の出力電圧は薄紙などのシートで1.7V、厚紙などのシートで4.7Vとなるように出力電圧の特性が設定されている。
【0062】
本実施形態においては、シートの有無検知が定着装置11から排出されたシートが最初に通過する位置で実行される。つまり、搬送方向切り換え爪12に到達する前の段階でシートの有無検知が行われる。これにより、搬送方向切り換え爪12の応答遅れに遭遇することなくシートの有無検知が行えることになるので、シートの搬送間隔を短くした場合でも定着装置11でのシートの有無検知が正確に行えることになる。しかも、シートの有無検知は、シートの接触することなく行えるので、フィラー部材を用いた場合と違ってシートへの衝撃が作用しない。これにより、シートの有無検知部においてシート先端が折損したりあるいは画像擦れを起こすことがない。
【0063】
次に、本発明の実施形態に関する別例について説明する。
本実施形態は、シートの有無検知をデカール機構の設置位置でシートと非接触な状態でシートを直接検知することにより行うことを特徴としている。
図6において、デカール機構15におけるバックアップローラ15A、15Bの配置位置間には、シートからの反射光を用いてシートの有無を検知可能な反射型の光学センサ26’が配置されている。
図7は光学センサ26’の配置状態を示す図であり、同図において、光学センサ26’は、支軸15A1,15B1の軸方向に沿って交互に配置されているバックアップローラ15A、15B同士の支軸間で軸方向中央部に配置されており、光源からの照射光がバックアップローラ15A、15Bの配置位置間を透して搬送ローラ15Cの表面に照射できるように位置決めされている。バックアップローラ15Bが交互に配置されているのはシートの幅方向で癖付けすることにより曲げ剛性を高めるためである。
【0064】
図8は、光学センサ26’の回路構成図であり、同図に示すように、光学センサ16’は、光源側がアノード・カソード側とされ、受光部側がコレクタ・エミッタ側とされたダイオードで構成され、受光部側からは光量に応じた光電流が出力されるようになっている。
【0065】
図7に示した光学センサ26’は、搬送ローラ15Cとシートとで反射状態が異なることを利用して、シートの有無を判別するようになっている。このため、搬送ローラ15Cの表面は光吸収が可能な表面処理が施された光吸収部とされており、具体的には、カーボンを分散したフッ素系の熱収縮チューブが搬送ローラ周面に装着されている。
【0066】
図9は、図7に示した構成による光学センサ26’から得られる出力状態を示す線図であり、同図において縦軸は光学センサ26’から出力される光電流IL(μA)を示し、横軸は時間(T)を示している。
図9において、シートからの反射光が存在しない場合には光学センサ26’からの光電流の出力はなく、この状態を基準としてシートからの反射光が光学センサ26’により受光されると光学センサ26’から光電流が出力されることになり、これによりシートの有無を判別することができる。なお図9において符号A1,A2,A3はシートの通過状態を示しており、この通過時に対応して光学センサ16’から光電流が出力される関係が示されている。
【0067】
本実施形態においては、シートの通過状態による反射状態の変化をシート自体からの反射光の有無により判別することができる。しかも、光学センサ26’は、バックアップローラ15A、15Bの配置位置間に位置決めされて、いわゆる搬送ローラ15Cとアックアップローラ15A、15Bとでシートが直接挟持搬送される位置に位置決めされているので、定着後のシート移動を司る位置という最もシートの搬送に関係する位置でシートの有無を検知することができ、これ以外の位置での検知に比べて定着装置から排出されたシートの搬送状態を精度良く検知することができる。さらに、光学センサ26’はシートと非接触な位置関係を設定されているので、仮にジャムが発生した場合にデカール機構15が外部に取り出される際においてもその着脱操作の邪魔にならない位置に位置決めすることができ、ジャム解消作業の円滑化を阻まないようにすることができる。
【0068】
次に本発明の実施形態に関する他の例について説明する。
本実施形態は、図6に示した光学センサ26’の構成を対象として搬送ローラ15Cの表面を鏡面とすることによりシートとの間で反射状態を異ならせることを特徴としている。つまり、搬送ローラ15Cの表面は凹凸をなくして鏡面仕上げされて光を全反射できる状態とされており、この処理が可能な材質として、金属が用いられている。金属を用いる搬送ローラ15Cの表面には、反射効率を高めるためにニッケルメッキが施されている。
【0069】
図10は搬送ローラ15Cの表面からの反射光とシートからの反射光との違いによる光学センサ26’からの光電流の出力状態を示す線図であり、同図において縦軸は光電流IL(μA)を示し、横軸は時間(T)を示している。
図10に示す結果は、図9に示した状態と逆の関係となっており、シートが存在しない場合の方がシートが存在する場合に比べて反射光に基づく光電流値が高くなっている。図10に示す結果においては、シートが存在しない場合の光電流が2000μAとなり最大値を示し、シートが存在する場合には均等拡散反射のためにシートが存在しない場合よりも受光量が少なくなり、概ね、1250μAを示している。なお、図10において符号A1,A2,A3は、図9に示した場合と同様に、シートの通過状態を示している。
【0070】
本実施形態においては、搬送ローラ15Cの表面が鏡面仕上げられ、この反射状態とシートからの反射状態との違いにより図3に示した場合と同様にシートの有無を判別することができ検知することができる。しかも、本実施形態では、搬送ローラ15Cが表面を鏡面仕上げしやすい金属で構成されているので、冷却部材として用いることができる。つまり、定着後のトナーを冷却することにより再軟化を防いで搬送ローラ15Cへの転移を防止できると共に、カール矯正方向への曲げ癖付け、いわゆる、アイロン効果により新たなカールが生じるのを防止することができる。特に、搬送ローラ15Cを単なる金属ローラとすることに限らず、ヒートパイプローラとすることにより冷却効果を向上させて上述した機能を確保することができる。
【0071】
次に本発明の別の実施形態について説明する。
今まで説明したシート搬送装置におけるシートの有無検知対象となるシートは、光学センサ26,26’を用いることでシートからの反射光が得られるシートが対象となっており、換言すれば、光の反射が可能な不透明材質のシートが対象となっている。
【0072】
しかし、シートには不透明なものばかりでなく、OHP等の光透過が可能な材質もある。本実施形態では、光透過可能な透過材がシートとして用いられる場合のシートの有無検知が行えるようにすることを特徴としている。
つまり、光透過可能なシートが用いられる場合には、シートの移動方向前端側およびまたは後端側に予め画像を形成し、その画像を直接光学センサによって検知するようになっている。
【0073】
本実施形態では、図6および図7に示した構成の光学センサ26’を用いる場合が前提となっており、デカール機構15を通過するシートを直接光学的に検知できるようになっている。
【0074】
図11はシート(便宜上、図2において用いた符号Pで示す)の移動方向’矢印で示す方向)先端側に線(ライン)画像などを用いた画像Gを形成した場合を示しており、画像Gは、移動方向先端そのものではなく、先端から後方に5mm以上ずらした位置で光学センサ26’の検知幅である1mmおよびシートの搬送時でのバラツキを考慮して光学センサ26’の検知中心を基準として6〜10mm程度の主走査方向の幅を持たせて形成されている。移動方向先端から後方にずらして画像Gを形成する理由は、先端そのものに形成した場合にシートが定着ローラに貼り付くのを防止するためである。
【0075】
画像Gは、シートPの移動方向先端側のみでなく、図12に示すように移動方向後端側(符号G’で示す)にも形成することができる。
移動方向後端側に形成された画像G’は、デカール機構15を通過し終わるまでの間でシートのジャム発生を検知するために用いられる。つまり、デカール機構15を通過する段階では移動方向先端側の画像Gを検知することにより、そして、先端がデカール機構15を通過した場合には移動方向後端側の画像G’によりシートのジャム検知を行うことができる。これにより、シートの移動方向全域がデカール機構15を通過する間、ジャム検知が行えることになり、定着装置11とデカール機構15との間のシート搬送路で比較的高温部をなす定着装置11側の搬送路を人手により開放する必要をなくすことができる。なお、移動方向先端側および後端側にそれぞれ画像G,G’を形成した場合に後端側の画像G’の検知タイミングはシートの移動速度により予め判っているので、その移動時間経過後における光学センサ26’からの検知信号の有無によりシートのジャム検知を行う。
【0076】
画像は、図13において符号YGで示すように、光学センサ26’においてのみ識別可能で、人間による視覚的認識が不能な特性を有しており、具体的には、500nm〜700nm程度の高光反射率を有するイエロートナーを用いた画像で構成されている。この画像はイエロー画像の形成が可能な感光体3Yを用いて形成される。
【0077】
画像G,G’は、単一のみでなく、複数並設することもできる。
図14は、この場合を示しており、シートPの移動方向両端側にそれぞれ形成されている画像G、G’を構成する線画像は、移動方向に沿って同じ太さの場合(図14(B)中、符号M1で示す)、あるいは、図14(C)に示すように、並置方向で異なる太さ(L1>L2)とする場合がある。並置方向で異なる太さとした場合を示す図14(C)においては、各端部で3本の線画像M1,M2が形成されており、その線画像のうちで、両側の線画像M1が太さ2mmとされ、これ螺旋画像の間に位置する線画像M2は太さが1mmに設定されている。
【0078】
複数の画像を形成することにより、検知誤差、つまり、ノイズなどの影響により正確な画像検知信号が得られなくなる確率を少なくしてシートPの有無検知を正確に行えるようにすることができる。
【0079】
次に本発明のさらに別の実施形態について説明する。
本実施形態は、光学センサを用いる代わりに温度センサを用いてシートの有無および搬送ローラの表面温度の少なくとも一方を検知できるようにしたことを特徴としている。
【0080】
図15は、図6に示した配置構成を対象として本実施形態の構成を説明する図であり、同図において、デカール機構15におけるバックアップローラ15A、15Bの配置位置間には、シートおよび搬送ローラ15Cの表面温度を検知可能な温度検知センサ(便宜上、符号26Aで示す)が配置されている。
温度検知センサ26Aは、検知対象に対して非接触な状態でシート表面および搬送ローラ15Cの表面の光を吸収して温度を検知可能なサーモパイルが用いられている。
サーモパイル(熱電堆)は、例えば、昭和60年3月5日、丸善株式会社発行「科学大事典」第1054頁(熱電堆)の欄に開示されているように、複数個の熱電対を直列接続してその受光接点を直線又は放射状に配列した光検出器であり、検知対象部に照射された赤外線等の反射光を受光することにより発生した温接点部での温度変化を熱電対の熱起電力として取り出すことができる構成を備えている。
サーモパイルの出力電圧(V)は、ステファンボルツマンの法則に基づき、
V=A(TB4−TS4)
但し、A:比例常数
TB:検知対象物の温度(K)
TS:サーモパイルの温度(K)
であり、この出力電圧から検知対象物の温度を算出する場合には、サーモパイルの出力電圧と、サーモパイルの絶対温度(周囲温度)を測定して演算する。
【0081】
図15において、(A)はシートの有無をシートの表面温度により検知している状態を、(B)は搬送ローラ15Cの表面温度を検知している状態がそれぞれ示している。
【0082】
シートの表面温度および搬送ローラ15Cの表面温度に関するデータは、図16に示す制御部30に出力されるようになっている。
図16は、画像形成処理全般のシーケンス処理を実行する制御部30の構成を説明するためのブロック図であり、同図において本実施形態に関係する部材として、入力側には温度検知センサ26Aが接続され、出力側には後で説明する冷却ファンの駆動部31,シート搬送駆動部32,画像形成処理制御部33および警報部を備えた表示パネル34が接続されている。
【0083】
本実施形態では、搬送ローラ15Cを定着後のシート上に担持されているトナーの冷却手段として用いるようになっており、このため、搬送ローラ15Cには、熱交換作用が得られるヒートパイプが用いられている。
搬送ローラ15Cとして用いられるヒートパイプには、その長手方向端部に図示しないが冷却フィンが設けられており、この冷却フィンを冷却手段としての冷却ファン(図示されず)によって強制送風することにより冷却効率を上げるようになっている。
冷却ファンは、冷却ファン駆動部31により作動態位を設定されることにより、回転および停止の何れかが選択される。
【0084】
シート搬送駆動部32は、給紙部から排紙部に至る全般の搬送部材を対象として駆動停止を行う場合に用いられる駆動部であり、この駆動停止は、装置内での異常現象の発生やオペレータにより装置の外壁が開放された場合などが対象となる。
画像形成処理制御部33は、画像形成部1Aで用いられる各作像部材の状態管理などが行われる部分であり、例えば、現像剤濃度管理や感光体の疲労度チェックなどが対象となる。
【0085】
表示パネル34は、いわゆる、装置に設けられている操作パネル(図示されず)の一部で構成され、異常状態の表示や画像形成モード選択内容などの表示に用いられる。
【0086】
制御部30では、温度検知センサ26Aからの出力に基づき、シートの有無および搬送ローラ15Cの表面温度による冷却態位の設定を行うようになっているが、シートの有無判別のためには、予め、定着後にシートの表面温度を実験等によって求めておき、この表面温度を基準として温度検知センサ26Aから得られる温度情報によりシートの有無を判別するようになっている。
本実施形態では、シートの有無判別の閾値となる表面温度は約110℃に設定されている。
【0087】
一方、搬送ローラ15Cは、その表面温度が75℃に維持されるようになっており、この温度が維持できるように冷却ファンの態位設定が行われる。特に、搬送ローラ15Cは定着後のトナーと接触する部材であるので、トナーの冷却により軟化状態を解消して搬送ローラ15Cへのトナーの付着、いわゆる、粘着を防止するようになっている。このため、上記設定温度である75℃に達する前の時点の温度(65℃〜70℃)において冷却ファンを回転させて強制冷却させ、設定温度以下の場合には冷却ファンを停止させる。
【0088】
図17および図18は、冷却ファンの態位設定を説明するためにシートの搬送枚数と搬送ローラ15Cにおける表面温度の変化を示す図である。
図17は、画像形成装置の始動時から冷却ファンを回転させて搬送ローラ15Cであるヒートパイプを強制冷却した場合を示し、図18は、搬送ローラ15Cであるヒートパイプの表面温度が上述した設定温度75℃に達する前に冷却ファンを回転させて強制冷却する場合を示している。
搬送ローラ15Cは、シートの搬送枚数が多くなるに従ってシートからの受熱量も多くなることで温度上昇する。そこで、図17では、始動時から強制冷却することで搬送ローラ15Cの温度上昇が緩やかとなり、設定温度である75℃に達した際のシート搬送枚数は40枚程度であった。これに対して、図18では、設定温度である75℃に達するまでの間、冷却ファンが停止させてあるので、搬送ローラ15Cの温度上昇が急峻となり、設定温度に達した際のシート搬送枚数は15枚程度であった。図18では、設定温度に達する前において冷却ファンを回転させて強制冷却を開始している。これにより、図18に示した場合には、設定温度以下の場合には上述した温度範囲(65℃〜70℃)以外において冷却ファンを回転させることがないので、その間に消費される電力を低減することができ、ランニングコストの上昇を抑えるとともにトナーの軟化状態を冷却硬化状態に変えることで搬送ローラ15Cへのトナーの付着、ひいては搬送ローラに接触する新たなシートへのトナーの転移を防止することができる。
【0089】
搬送ローラ15Cに用いられるヒートパイプは、自らが有する冷却フィンに対して冷却ファンからの送風により強制冷却されるようになっているが、制御部30では、強制冷却が不能となった場合の処置も採るようになっている。つまり、強制冷却が不能となる場合としては、冷却ファンの故障などの動作異常や冷却風の移動が行えなくなる状況の発生などがあり、後者の場合としては、通風路が障害物の存在によって遮断されてしまう場合などがある。
【0090】
制御部30では、搬送ローラ26Aの表面温度を監視し、設定温度(75℃)に達する前の温度範囲(65℃〜70℃)で冷却ファンを回転させるが、冷却ファンを回転させたにもかかわらず、図19においてブロッキング発生領域と表示されているように、搬送ローラ15Cの表面温度が設定温度を超えた場合、換言すれば、トナーの軟化を解消するに必要な冷却温度に相当する温度を超えた時点には、新たなシートの搬送を禁止する一方、このシートを対象として実行される画像形成処理を停止させるようになっている。このような停止は表示パネル34において警報として表示される。図19において用いたブロッキングとは、軟化トナーが搬送ローラ表面に付着し、さらには新たに搬送さえるシートの搬送ローラ側に付着したトナーが再転移する現象をいう。
【0091】
本実施形態は以上のような構成において、制御部30の動作を説明するフローチャートにより作用を説明すると図20に示すとおりである。
図20において、シート表面の温度(T)が設定温度(T0)と比較されてシートの有無判別が行われる(ST1)。
シートの有無判別において、シート表面温度に相当している場合には、図示しないが、制御部30において搬送系での異常な搬送状態チェックなどが実行される。ステップST1においてシートがない場合には、搬送ローラ15Cの表面温度が検知され、その温度(T’)が設定温度(T1)と比較される(ST2)。この場合の設定温度は75℃であり、その設定温度以上である場合には冷却ファンが作動され(ST3)、設定温度以下の場合には冷却ファンが停止される(ST4)。これにより、電力消費量が低減されることになる。
【0092】
冷却ファンが作動した場合には、再度搬送ローラ15Cの表面温度が検知され、設定温度を越したかどうかが判別される(ST5)。冷却ファンが作動状態にあるにもかかわらず、搬送ローラ15Cの表面温度が設定温度を越した場合には、新たなシートの搬送(シート繰り出し)が停止され(ST6)、このシートを対象とした画像形成処理も停止される(ST7)。さらには、表示パネル34において異常状態が発生したことを警告する(ST8)。この場合の警告は、例えば、サービスマンコールなどが行われる。
【0093】
【発明の効果】
請求項1記載の発明によれば、搬送ローラとバックアップローラとで構成されるシート挟持搬送位置におけるシートの有無をシートと非接触な状態で検知するようになっているので、定着装置からシートが排出される位置に近い場所でシートへのよけいな負荷を与えることなく有無検知が可能となる。このため、シートの搬送間隔が短くできることで画像形成に関するスループットを向上させる際においても定着装置内でのシートの搬送不良を正確に判別して過熱などの不具合を解消することが可能となる。しかも、非接触な状態での検知が行えることにより、シートの厚さに関係なくシートに衝撃が発生することもなくなるので、シートの折損や画像擦れなどの不具合も解消することが可能となる。さらに加えて、シートの有無のみでなく搬送ローラの表面温度も検知することができることによりシートに対するアイロン効果により新たなカールの発生状況を判別することが可能となり、新たなカール発生を防止するための対策を採ることができるようになる。
【0094】
請求項2および3記載の発明によれば、搬送ローラの位置変化によりシートの有無を検知できるので、定着装置を通過した直後のシートの有無がシートと非接触状態で確実に検知することが可能となる。
【0095】
請求項4乃至6記載の発明によれば、搬送ローラの周面に沿って並置されているバックアップローラの配置位置間においてシートの有無をシートと非接触な状態で検知可能な構成を備えており、特に請求項5および6記載の発明においては搬送ローラとシートとの光反射状態の違いに基づくという簡単な構成によりシートの有無判別がシートの搬送方向切り替え前にしかもシートと非接触な状態で検知できるので、シートの搬送方向切り替えに用いられる部材の応答遅れの影響を受けることなく有無検知が正確に行えることになる。これにより、シートの搬送間隔を短くした場合でも搬送経路切り替え部材によるジャム発生を抑制しながらシートの有無検知が可能となると共にジャム発生時等において搬送機構を外部に引き出す際には有無検知部が邪魔になることがなく、ジャム解消操作性を損ねないようにすることが可能となる。
【0096】
請求項7記載の発明によれば、非接触な状態でシートの有無およびまたは搬送ローラの表面温度を検知する構成として、シート表面およびまたは搬送ローラ表面の光を吸収して温度検知が可能な構成を用いているので、シートの有無のみでなくシートの有無検知と同じ検知構成により搬送ローラ表面の温度も検知できることにより、検知部材の構成の簡略化と省スペース化が可能となる。
【0097】
請求項8記載の発明によれば、搬送ローラとして表面を鏡面仕上げされたヒートパイプが用いられているので、シートの有無検知と共にシートのカール矯正と冷却とを同時に行うことができる。これにより、シートの有無検知の段階でシートが冷却できるので、トナーの冷却を迅速に行ってトナーの再軟化による接触部材への転移の防止およびアイロン効果による再カールの発生を防止することが可能となる。
【0098】
請求項9記載の発明によれば、透過体をシートとして用いた場合において透過材に予め光学センサによる識別が可能な画像を形成することにより、光学センサによる検知が困難な透過体であっても安価な検知機構を採用できる非接触な状態でのシートの有無検知が可能となる。
【0099】
請求項10記載の発明によれば、予め形成されて画像が光学センサでの認識が可能である反面、人間の視覚的識別ができな特性を有しているので、シート上での本来の画像部以外の余計な画像として認識されにくくすることができ、不良画像として認識させないようにすることができる。
【0100】
請求項11および12記載の発明によれば、透過体の移動方向先端側およびまたは後端側に予め形成される画像は、単一のみでなく複数設けることができるので、ー殿汚れなどによるノイズの影響を受けることなくシートの有無検知が正確に行えるようにすることが可能となる。
【0101】
請求項13記載の発明によれば、搬送ローラとして用いられるヒートパイプには冷却手段が設けられ、該冷却手段が搬送ローラの表面温度に応じて冷却態位を設定されるようになっているので、定着後に搬送されるシートの再カールの発生を冷却状態の設定により効率よく防止することが可能となる。
【0102】
請求項14および16記載の発明によれば、ヒートパイプの冷却手段がヒートパイプにおいてトナーの軟化を解消するに必要な冷却温度を超えた場合に新たなシートの搬送および請求項16記載の発明では画像形成行程の実行を禁止するようになっているので、ヒートパイプローラに付着している軟化トナーが新たなシートの転移されてしまうのを未然に防止して不良画像の発生を抑制することが可能となる。
【0103】
請求項15および17記載の発明によれば、シート厚さや担持されているトナーの量に関係なく定着装置から移動してくるシートの搬送状態をシートと非接触な状態で監視することができ、これによりシートへの余計の負荷の増加あるいは画像の摺擦を招くことなく搬送状態および再カールの発生が起こりうるかどうかを正確に検知することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る実施例によるシート排出装置が適用される画像形成装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示した画像形成装置に設けられている反転部の構成を説明するための模式図である。
【図3】図1に示した画像形成装置に用いられるデカール機構の構成を対象とした本発明の実施の形態を説明するための図である。
【図4】図3に示した光学センサの回路構成図である。
【図5】図3および図4に示した光学センサの特性を説明するための線図である。
【図6】図3に示したデカール機構の構成を対象とする本発明の実施形態に関する別例を説明するための図である。
【図7】図6に示した光学センサの配置構成図を示す部分的な斜視図である。
【図8】図6に示した光学センサの回路構成図である。
【図9】図6に示した光学センサによるシート検知状態に対応した特性線図である。
【図10】本発明の実施形態に関する他の例による光学センサの特性線図である。
【図11】透過体のシートを用いた場合の移動方向先端側に形成された画像を示す図である。
【図12】透過体のシートを用いた場合の移動方向先端側および後端側に形成された画像を示す図である。
【図13】透過体のシートを用いた場合の移動方向先端が輪およびまたは後端側に形成される画像の別の例を示す図である。
【図14】図12に示した画像の変形例を示す図であり、(A)は、図12に相当する図、(B)および(C)は(A)中において一点鎖線で囲った部分での画像形態をそれぞれ示す図である。
【図15】本発明のさらに別の実施形態を説明するための温度検知構造を示す図であり、(A)はシートを対象とする場合を、(B)は搬送ローラを対象とする場合を示している。
【図16】図15に示した温度検知手段を用いた制御部の構成を説明するためのブロック図である。
【図17】図16に示した制御部で実施される温度管理による温度変化を示す線図である。
【図18】図16に示した制御部で実施される温度管理による温度変化を示す線図である。
【図19】図16に示した制御部で実施される温度管理による温度変化を示す線図である。
【図20】図16に示した制御部の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 画像形成装置
12 搬送路切り換え爪
15 デカール機構
15A、15B バックアップローラ
15C 搬送ローラ
26,26’ 光学センサ
26A 温度検知センサ
30 制御部
31 冷却ファン駆動部
G,G’ 画像
YG、YG’ 人間では認識不能な画像
L1,L2 画像の太さ
Claims (17)
- シートの搬送方向を切り換え可能な構成と、上記シートの搬送方向における該搬送方向の切り換え位置手前側近傍に配置されている搬送ローラと、該搬送ローラの周方向に沿って複数並置されて該搬送ローラに圧接しながら回転可能なバックアップローラとを備え、上記搬送ローラの周面に倣った形状に上記シートを挟持搬送可能なシート搬送装置において、
上記搬送ローラと上記バックアップローラとで構成されるシート挟持搬送位置における上記シートの有無およびまたは上記搬送ローラの表面温度を上記シートおよび上記搬送ローラに非接触な状態で検知可能な構成を備えたことを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項1記載のシート搬送装置において、
上記シートに非接触な状態でシートの有無を検知する構成として、
上記搬送ローラ側に配置されて該搬送ローラの位置変化を検知可能な構成が用いられることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項2記載のシート搬送装置において、
上記搬送ローラの位置変化を検知する構成として、上記シートの挟持による搬送ローラの位置変化を検知可能な反射型光学センサが用いられることを特徴とするシート搬送装置。 - シート搬送路中に配置されている搬送ローラと、該搬送ローラの周方向に沿って複数並置されて該搬送ローラに圧接しながら回転可能なバックアップローラとを備え、上記搬送ローラの周面に倣った形状に上記シートを挟持搬送可能なシート搬送装置において、
上記バックアップローラの配置位置間に上記シートおよび上記搬送ローラと非接触な状態で該シートおよびまたは上記搬送ローラからの反射光を用いて該シートの有無を検知可能な構成を備えていることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項4記載のシート搬送装置において、
上記非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられている反射型光学センサと、
上記搬送ローラに設けられている光吸収部とを備え、該搬送ローラでの反射光とシートからの反射光とに基づきシートの有無を判別可能な構成が用いられることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項4記載のシート搬送装置において、
上記非接触な状態でシートの有無を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられている反射型光学センサと、
上記搬送ローラの表面を鏡面とした構成を備え、
上記搬送ローラの反射光と上記シートからの反射光とに基づきシートの有無を判別可能な構成を備えていることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項4記載のシート搬送装置において、
上記非接触な状態で上記シートの有無およびまたは上記搬送ローラの表面温度を検知可能な構成として、上記バックアップローラの配置位置間に設けられて上記シート表面およびまたは上記搬送ローラ表面の光を吸収して温度検知可能な温度検知手段が用いられ、該温度検知手段は、上記シート表面およびまたは上記搬送ローラ表面の少なくとも一方の温度を検知可能であることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項6または7記載のシート搬送装置において、
上記搬送ローラは、表面を鏡面仕上げされたヒートパイプが用いられることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項1乃至8のうちの一つに記載のシート搬送装置において、
上記有無検知対象となるシートが透過材である場合に該透過材の移動方向先端若しくは後端の少なくとも先端に予め画像を形成して上記搬送ローラ間を通過させることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項9記載のシート搬送装置において、
上記予め形成された画像は、光学センサで認識可能な反面、人間による視覚的認識が不能な画像であることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項9または10記載のシート搬送装置において、
上記予め形成される画像は、単一のみでなく複数形成されることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項11記載のシート搬送装置において、
上記予め形成される画像のうちで、複数形成する場合には、移動方向に沿って並置し、並置方向での画像のサイズを変化させてあることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項8記載のシート搬送装置において、
上記搬送ローラに用いられるヒートパイプには冷却用手段が設けられ、該冷却用手段は、表面温度に応じて冷却態位が設定されることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項13記載のシート搬送装置において、
上記ヒートパイプ冷却手段は、上記搬送ローラの表面温度が該ヒートパイプとして定着後のトナーの軟化を解消するに必要な冷却温度を超えた時点で新たなシートの搬送を禁止する処理を実行可能な構成であることを特徴とするシート搬送装置。 - 請求項1乃至14のうちの一つに記載のシート搬送装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
- 請求項14記載のシート搬送装置を用いる画像形成装置において、
上記ヒートパイプ冷却手段が上記新たなシートの搬送を禁止する処理を実行する際には、新たな画像形成処理工程を停止することを特徴とする画像形成装置。 - 請求項15記載の画像形成装置において、
上記シートには単一色若しくは複数色の画像が担持されることを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003012599A JP2004175567A (ja) | 2002-08-20 | 2003-01-21 | シート搬送装置および画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002239092 | 2002-08-20 | ||
JP2002286800 | 2002-09-30 | ||
JP2003012599A JP2004175567A (ja) | 2002-08-20 | 2003-01-21 | シート搬送装置および画像形成装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004175567A true JP2004175567A (ja) | 2004-06-24 |
Family
ID=32718716
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003012599A Pending JP2004175567A (ja) | 2002-08-20 | 2003-01-21 | シート搬送装置および画像形成装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004175567A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013057865A (ja) * | 2011-09-09 | 2013-03-28 | Ricoh Co Ltd | シート積載装置および画像形成装置 |
US20150283771A1 (en) * | 2012-10-09 | 2015-10-08 | Pirelli Tyre S.P.A. | Method for controlling the thickness of a continuous elongated element made of elastomeric material in a process for building tyres |
-
2003
- 2003-01-21 JP JP2003012599A patent/JP2004175567A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013057865A (ja) * | 2011-09-09 | 2013-03-28 | Ricoh Co Ltd | シート積載装置および画像形成装置 |
US20150283771A1 (en) * | 2012-10-09 | 2015-10-08 | Pirelli Tyre S.P.A. | Method for controlling the thickness of a continuous elongated element made of elastomeric material in a process for building tyres |
US10173383B2 (en) * | 2012-10-09 | 2019-01-08 | Pirelli Tyre S.P.A. | Method for controlling the thickness of a continuous elongated element made of elastomeric material in a process for building tyres |
US11084238B2 (en) | 2012-10-09 | 2021-08-10 | Pirelli Tyre S.P.A. | Method for controlling the thickness of a continuous elongated element made of elastomeric material in a process for building tyres |
US11207857B2 (en) | 2012-10-09 | 2021-12-28 | Pirelli Tyre S.P.A. | Method for controlling the thickness of a continuous elongated element made of elastomeric material in a process for building tyres |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP5768507B2 (ja) | 定着装置および画像形成装置 | |
JP5924857B2 (ja) | 画像形成装置 | |
US8326169B2 (en) | Image forming apparatus | |
US10338506B2 (en) | Fixing device | |
JP2006251479A (ja) | 定着装置および画像形成装置 | |
JP2004341177A (ja) | 定着装置 | |
JP2008064930A (ja) | 定着装置および画像形成装置 | |
US8023837B2 (en) | Image forming apparatus capable of preventing a sheet jamming during detected abnormal situations | |
US7945180B2 (en) | Apparatus and method for forming image | |
JP5544761B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4631607B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP2004175567A (ja) | シート搬送装置および画像形成装置 | |
US20110299897A1 (en) | Image forming apparatus and cleaning method | |
JP5106141B2 (ja) | 画像形成装置及び画像形成装置のクリーニング方法 | |
JP6464792B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP7161698B2 (ja) | 定着装置、及び、画像形成装置 | |
JP2005017762A (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4632815B2 (ja) | 定着装置及び画像形成装置 | |
JP4120395B2 (ja) | 画像形成装置およびジャム検出方法 | |
US10824111B2 (en) | Heating device and image processing apparatus | |
US10845757B2 (en) | Image processing apparatus having cooling duct | |
JP2015148786A (ja) | 画像形成装置 | |
JP7414568B2 (ja) | センサユニット及び画像形成装置 | |
JP2012098654A (ja) | 複連式画像形成装置 | |
JP5659650B2 (ja) | 画像形成装置と画像形成装置の制御方法 |