JP2004334089A - ポジ型感光性樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】樹脂、ナフトキノンジアジド化合物、沸点100℃〜250℃の溶媒1種以上を含む感光性樹脂組成物であって、前記樹脂として(ア)から(ウ)処理後の溶解速度が0.1nm/秒〜3nm/秒の範囲である樹脂を使用することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
(ア)樹脂を固形分30重量%で乳酸エチルに溶解し、
(イ)6インチシリコンウェハー上に90℃で20分のプリベーク後に膜厚1μm±0.2μmになるように形成し、
(ウ)プリベーク後の膜を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬したときの、該樹脂の2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体、フラットパネルディスプレーなどに用いられるポジ型の感光性樹脂組成物に関する。特に半導体の保護膜に使用される感光性耐熱性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体、フラットパネルディスプレーのパターン形成のためのレジストには、アルカリ可溶性のノボラック樹脂などにナフトキノンジアジド化合物を添加したものが使われている。また、さらに高解像度化を狙うため、アルカリ可溶基を酸で解離する基で保護した樹脂にオニウム塩などの強酸を出す光酸発生剤を添加したものが用いられている。
【0003】
また、半導体素子、フラットパネルディスプレーの絶縁膜や保護膜としてポリイミド前駆体やポリベンゾオキサゾール前駆体にナフトキノンジアジド化合物を添加した、ポジ型の耐熱性感光性樹脂前駆体組成物が知られている。このようなポジ型の耐熱性感光性樹脂前駆体組成物では、一般にアルカリ水溶液に対する溶解性が大きいために、現像時に大きな膜減りがあるなどの問題があった。
【0004】
このような問題の改良のため、ポリイミド前駆体樹脂やポリベンゾオキサゾール前駆体樹脂のアルカリ可溶基を酸解離基で保護したものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
【0005】
しかしながら、これらの保護基を前駆体樹脂に導入すると、イミド閉環などの環化反応が遅くなり、膜物性が低下すること、ポリマー自身の吸光度が大きく、特に光酸発生剤の効率が高くならず、感度向上が期待できないことなどの問題があった。
【0006】
また、ノボラック樹脂を用いたポジ型感光性フォトレジストの場合、使用するノボラック樹脂の溶解速度は、ナフトキノンジアジド化合物を加えた時の溶解速度、その後の露光した部位の溶解速度から好適に使用される範囲が限定されることが示されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−356554号公報(第1−2頁)
【0008】
【特許文献2】
特開平10−186664号公報(第1−2頁)
【0009】
【非特許文献1】
SPIE、1262、476(1990)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
これに対して、本発明者らは鋭意努力した結果、ポジ型感光性樹脂組成物に用いる樹脂のアルカリ現像液に対する溶解性をある特定範囲にすることで、感光性組成物にした時の現像での膜減りがほとんど起こらず、しかも高感度なものが得られることを見出し本発明に到達した。
【0011】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、樹脂、ナフトキノンジアジド化合物、沸点100℃〜250℃の溶媒1種以上を含む感光性樹脂組成物であって、前記樹脂として(ア)から(ウ)処理後の溶解速度が0.1nm/秒〜3nm/秒の範囲である樹脂を使用することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物をその骨子とする。
(ア)樹脂を固形分30重量%で乳酸エチルに溶解し、
(イ)6インチシリコンウェハー上に90℃で20分のプリベーク後に膜厚1μm±0.2μmになるように形成し、
(ウ)プリベーク後の膜を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬したときの、該樹脂の2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に使用する樹脂としては、(ア)から(ウ)処理後の溶解速度が0.1nm/秒〜3nm/秒の範囲である樹脂を使用する必要がある。
(ア)樹脂を固形分30重量%で乳酸エチルに溶解し、
(イ)6インチシリコンウェハー上に90℃で20分のプリベーク後に膜厚1μm±0.2μmになるように形成し、
(ウ)プリベーク後の膜を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬したときの、該樹脂の2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度。かかる条件を満たしうる樹脂としては、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体、ノボラック樹脂、部分的にエステル化したポリヒドロキシスチレン、ポリヒドロキシベンゾエート、アクリル酸共重合アクリル系樹脂などがある。特に好ましいのは、エステル化を進めたポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体である。これらの樹脂は、例えば、エステル化などのアルカリ現像液不溶化処理により、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド化合物からなるポジ型レジストの未露光部並みに溶解速度が低下されたものである。
【0013】
これらの樹脂は、重合時の仕込み比率を変えてアルカリ可溶基を好ましい範囲にすることや、アルカリ可溶基であるフェノール基やカルボキシル基などをエステル化やアミド化することで溶解速度を低下して、溶解度をより望ましい範囲に調整することもできる。
【0014】
溶解度の測定方法は前述した通りであり、樹脂の溶媒としては乳酸エチルが使用される。ここで、ポリイミド前駆体、ポリベンゾオキサゾール前駆体など乳酸エチルに溶解しにくい樹脂を用いる場合には、ガンマブチロラクトンなどその他の溶媒を加えても良い。乳酸エチルに固形分が30重量%になるように溶解された樹脂溶液は、6インチのシリコンウェハー上に、乾燥後の膜厚がおよそ1μmになるように形成される。膜の形成には公知の方法が使用可能であり、例えば、スピンコートすることで形成することができる。その後、90℃で20分プリベークする。プリベークに使用する機器は特に限定されず、例えば、ホットプレートを使用することができる。
【0015】
プリベーク後の膜は、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液にに浸漬され、溶解速度が測定される。溶解速度の測定には公知の装置を使用することができる。例えば、溶解速度モニター装置を用いることができる。
【0016】
本発明において、樹脂としてはポリイミド前駆体が好ましく使用される。ここで、ポリイミド前駆体としては、テトラカルボン酸とジアミンからなる下記化学式(2)で表される樹脂が使用される。
【0017】
【化2】
【0018】
(ここで、R4は、炭素数2〜30までの4価の有機基。R5は炭素数2〜30までの2価の有機基。R6は水素または炭素数1〜10までの1価の有機基を表す)。
【0019】
化学式(2)において、R4を含む基は、テトラカルボン酸残基を表している。R4は、耐熱性の観点から見ると芳香族基が好ましい。R4として好ましい基を下記に例記する。
【0020】
【化3】
【0021】
また、R4は、脂肪族基として下記に示すようなものを使用することも出来る。
【0022】
【化4】
【0023】
化学式(2)において、R5を含む基はジアミン残基を表している。R5は、耐熱性の観点から芳香族ジアミンが好ましいが、脂肪族ジアミンも使用できる。芳香族ジアミンの例としては、フェニレンジアミン残基、ジアミノジフェニルエーテル残基、ジアミノジフェニルメタン残基、ジアミノジフェニルスルホン残基、ジアミノジフェニルプロパン残基、ジアミノジフェニルヘキサフルオロプロパン残基、ジアミノジフェニルスルホン残基、ジアミノジフェニルスルフィド残基、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン残基、ビス(アミノフェニルジメチルメタン)ベンゼン残基、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン残基、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン残基、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基、ビス(アミノフェノキシフェニル)残基、ジアミノピリジン残基、ジアミノキノリン残基、ジアミノアントラキノン残基などを挙げることができる。また、脂肪族ジアミンの例としては、エチレンジアミン残基、ヘキサメチレンジアミン残基、シクロヘキシルジアミン残基、メチレンビス(シクロヘキシルアミン)残基、ジアミノアダマンタン残基などを挙げることが出来る。
【0024】
化学式(2)において、基板との接着性を高める等の目的で、R4を含む基または5を含む基にケイ素原子を有した化合物を使用することが出来る。このようなものとして、R4としては、下記の有機基などを挙げることが出来る。
【0025】
【化5】
【0026】
また、化学式(2)において、R5を含む基としては、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、ビス(アミノプロピル)オクタメチルテトラシロキサン、ビス(アニリノ)ジメチルシラン、ビス(アニリノ)テトラメチルジシロキサン、ビス(アニリノ)オクタメチルテトラシロキサンなどの残基を挙げることが出来る。このような、シリコン原子含有基は全体の1〜30モル%配合するのが好ましい。
【0027】
化学式(2)において、R6は、水素原子または炭素数1〜10よりなる1価の有機基である。このような例として、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、シクロヘキシル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、メトキシエチル基、メトキシブチル基などが挙げられる。
【0028】
本発明に使用する樹脂として特に好ましいものとして、下記一般式(3)で表される樹脂を挙げることが出来る。
【0029】
【化6】
【0030】
(ここで、R6は炭素数2〜20の2価の有機基。R7は炭素数6〜20の芳香族環を含む3価の有機基。R8は、水素または炭素数1〜10の1価の有機基を表す)。
【0031】
化学式(3)で表される樹脂は、ポリベンゾオキサゾール前駆体ポリマーを表している。耐熱性の観点からすると芳香族基を有したものが好ましく、このような例として、フタール酸残基、ジフェニルエーテルジカルボン酸残基、ジフェニルスルホンジカルボン酸残基、ベンゾフェノンジカルボン酸残基、ビフェニルジカルボン酸残基、ピリジンジカルボン酸残基、ジカルボキシナフタレン残基、キノリンジカルボン酸残基、アントラキノンジカルボン酸残基などがある。また、耐熱性は相対的に低いが、露光時の透明性に優れるものとして、脂肪族のジカルボン酸がある。このようなものとして、グリコール酸残基、アジピン酸残基、シクロヘキシルジカルボン酸残基、ジシクロヘキシルメタンジカルボン酸残基、シクロブタンジカルボン酸残基、シクロペンタンジカルボン酸残基などを挙げることができる。
【0032】
また、化学式(3)において、R6を含む基の5〜70モル%に相当する量を、トリメリット酸、トリメシン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ベンゾフェノントリカルボン酸、ジフェニルスルホントリカルボン酸、ジフェニルヘキサフルオロトリカルボン酸などの芳香族トリカルボン酸、シクロヘキシルトリカルボン酸、ジシクロヘキシルメタントリカルボン酸、ブタントリカルボン酸、シクロブタントリカルボン酸、シクロペンタントリカルボン酸などの脂肪族トリカルボン酸やピロメリット酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ジフェニルスルホンテトラジカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ジフェニルヘキサフルオロプロパンテトラカルボン酸などの芳香族テトラカルボン酸、シクロヘキシルテトラカルボン酸、ジシクロヘキシルメタンテトラカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族テトラカルボン酸などを用いて、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度を適当な速度に調整することも出来る。
【0033】
さらに、化学式(3)において、R6を含む基に水酸基を有したヒドロキシイソフタール酸、ヒドロキシナフタレンジカルボン酸、ヒドロキシトリメリット酸などを用いることも出来る。R6成分は1種のみで構成しても良いが、複数種で構成することも出来る。これは、単量体混合物を使用する他、共重合、ブレンドでも達成できる。
【0034】
化学式(3)において、R7を含む基は、水酸基を有した炭素数6〜30のジアミン残基を表している。このようなものとしては耐熱性の観点から芳香族を有した化合物が好ましく、例えば、ヒドロキシフェニレンジアミン残基、ジヒドロキシフェニレンジアミン残基、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)エーテル残基、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)スルホン残基、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン残基、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)フェニルエタン残基ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)プロパン残基、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン残基、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)パーフルオロブタン残基などを挙げることが出来る。
【0035】
さらに、熱処理後にオキサゾール環になるためには、水酸基とアミド基が隣り合った位置にあるものが好ましい。
【0036】
また、化学式(3)において、R7を含む基の5〜0モル%に相当する量に、水酸基を有していないジアミン成分を用いることも出来る。このようなジアミンとしては、フェニレンジアミン、ナフタレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンジアミノジフェニルスルフィド、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ベンチジン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルメタン、ビス(アミノフェノキシ)ジフェニルプロパン、ビス{(アミノフェノキシ)フェニル}エーテル、ビス(アミノフェノキシ)ベンゼン、ジメチル−ジアミノビフェニル、ジエチル−ジアミノビフェニル、テトラメチル−ジアミノビフェニル、ビス(トリフルオロメチル)ジアミノビフェニル、あるいはこれらの芳香族環にアルキル基やハロゲン原子で置換した化合物や、脂肪族のシクロヘキシルジアミン、メチレンビスシクロヘキシルアミン、ヘキサメチレンジアミンなどが挙げられる。
【0037】
化学式(3)において、基板との接着性を高める等の目的で、R6を含む基または7を含む基にケイ素原子を有した化合物を使用することが出来る。このような化合物として、R6を含む基としては、下記の有機基などを挙げることが出来る。
【0038】
【化7】
【0039】
また、化学式(3)において、R7を含む基としては、ビス(アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(アミノプロピル)ヘキサメチルトリシロキサン、ビス(アミノプロピル)オクタメチルテトラシロキサン、ビス(アニリノ)ジメチルシラン、ビス(アニリノ)テトラメチルジシロキサン、ビス(アニリノ)オクタメチルテトラシロキサンなどの残基を挙げることが出来る。このような、シリコン原子含有基は全体の1〜30モル%配合するのが好ましい。
【0040】
本発明で使用される樹脂としては、下記一般式(1)で表される構造を有しているのが、好ましい一態様である。
【0041】
【化8】
【0042】
(ここで、R1は炭素数2〜30の2価から6価の有機基。R2は炭素数2〜40の2価から6価の有機基。R3、R4はそれぞれ同一または異なり、水素、炭素数1〜20の1価の有機基、酸またはアルカリにより脱離する基から選ばれる1種。Y、Zはそれぞれ同一または異なり、水酸基、エーテル基、アミノ基、アミド基、チオール基、チオエーテル基から選ばれる少なくとも1つを含む1価の基。a、b、c、dは0〜4の整数であり、a+b+c+d>0である。nは10から100万までの整数を表す)。
【0043】
化学式(1)において、−CO−R1(Y)a(COOR3)c−CO−は2価から4価の酸成分を示しており、2価の酸として好ましいものとしては、フタール酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸、ベンゾフェノンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ヘキサフルオロプロパンジフェニルジカルボン酸、ヒドロキシフタール酸、チオフタール酸、ジフェニルエーテルヒドロキシジカルボン酸、ジフェニルエーテルジヒドロキシカルボン酸、ジフェニルエーテルトリヒドロキシジカルボン酸、ジフェニルエーテルチオカルボン酸、ジフェニルエーテルジチオカルボン酸、アミノフタール酸、メトキシフタール酸、メチルメルカプトフタール酸などの芳香族ジカルボン酸、トリメリット酸、トリメシン酸、ベンゾフェノントリカルボン酸、ジフェニルエーテルトリカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ヘキサフルオロプロピルジフェニルトリカルボン酸、ヒドロキシトリメリット酸、ヒドロキシジフェニルエーテルトリカルボン酸、アミノジフェニルエーテルトリカルボン酸、エトキシジフェニルエーテルトリカルボン酸、チオジフェニルエーテルトリカルボン酸、ターフェニルトリカルボン酸などのトリカルボン酸、ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ジフェニルエーテルテトラカルボン酸、ヘキサフルオロプロパンジフェニルテトラカルボン酸、ターフェニルテトラカルボン酸。ヒドロキシピロメリット酸、アミノピロメリット酸、チオピロメリット酸、メトキシピロメリット酸、などの他、下記化学式に記載されたものなどがある。
【0044】
【化9】
【0045】
【化10】
【0046】
一般式(1)中、−NH−R2(Z)b(COOR4)d−NH−はジアミン成分を表している。これらの好ましい例としては、フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルエーテル、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ジアミノ安息香酸、ジアミノチオベンゼン、ジアミノフェノール、ジアミノジフェニルチオエーテル、アミノフェノキシベンゼン、ビス(アミノフェノキシフェニル)メタン、ビス(アミノフェノキシフェニル)スルホン、ビス(アミノフェノキシフェニル)プロパン、ビス(アミノフェノキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、下記化学式で表されるものなどがある。
【0047】
【化11】
【0048】
また、脂肪族ジアミン化合物であるヘキサメチレンジアミン、シクロヘキシルジアミン、これらにチオール基、アミノ基、カルボキシル基、エステル基を導入したものを挙げることが出来る。
【0049】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物には、メチロール化合物を含んでいることが好ましい。メチロール化合物としては、特に限定されないが、ジメチルロールベンゼン、ジメチロールアセトアニリド、ジメチロール安息香酸メチル、ヒドロキシメチルベンゼンジメチロール、ビス[(ヒドロキシ−ヒドロキシメチル−ジメチルフェニル)メチル]シクロヘキシルフェノール、ヒドロキシベンゼントリメチロール、ジメチルトリヒドロキシメチルフェノール、(テトラヒドロキシメチ)ベンゼンジオール、メチレンビス[ビス(ヒドロキシメチル)フェノール]、メチレンビス[メチル−ヒドロキシメチルフェノール]、アルキル化メラミンメチロール化合物として、ニカラックMW−30HM、MW−100HM、MX−750LM(以上三和ケミカル(株)製)、アルキル化尿素メチロール化合物として、ニカラックMX−270、MX−280、MX−290(以上、三和ケミカル(株)製)などがある。好ましくは、アルキルメラミンメチロール化合物、アルキル化尿素メチロール化合物として、例えば、ニカラックシリーズなどを挙げることができる。メチロール化合物を添加することで、溶解速度の制御が容易になる。
【0050】
また、前記した条件で測定した溶解速度が0.1〜3nm/秒であるノボラック樹脂を1〜70重量部配合することが好ましい。さらに、一般式(1)で表される樹脂100重量部に対して、ノボラック樹脂を1〜70重量部配合し、さらにメチロール化合物を1〜30重量部加えることで、組成物の溶解速度を適当な範囲に調整して使用することが好ましい。
【0051】
また、本発明では、溶解速度が50〜150nm/秒のノボラック樹脂を一般式(1)で表される樹脂100重量部に対して1〜70重量部配合し、組成物の溶解速度を適当な範囲に調整して使用することも、現像時間を短くする点から好ましく使用される。
【0052】
このようなポリマーにエポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂などである。また、耐熱性樹脂と前駆体を共重合、混合などして使用することもできる。
【0053】
本発明に用いられるその他の樹脂としては、ノボラック樹脂、部分的にエステル化したポリヒドロキシスチレン、アクリル樹脂、フェノール樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体、あるいはポリエステル、ポリアミド、ポリカーボネートなどを挙げることが出来る。
【0054】
本発明には、ナフトキノンジアジド化合物を含むことが必要である。本発明に使用するナフトキノンジアジド化合物としては、ポリフェノール化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がエステルとして結合したもの、ポリアミノ化合物にナフトキノンジアジドスルホン酸がアミドとして結合したものなどが挙げられ、本発明では両者とも好ましく用いられる。
【0055】
さらに好ましい化合物としては、下記に示すものを挙げることが出来る。
【0056】
【化12】
【0057】
本発明において、ナフトキノンジアジド化合物の添加量は特に限定されないが、樹脂100重量部に対して5〜100重量部加えるのが好ましい。
【0058】
ナフトキノンジアジド化合物は、樹脂にポジ型の感光性を付与する成分として働くことができる。
【0059】
本発明の組成物には、さらに紫外線あるいは化学線照射により酸を発生する化合物を加えることもできる。このようなものとしては、オニウム塩、ハロゲン含有化合物、ジアゾケトン化合物、ジアゾメタン化合物、スルホン化合物、スルホン酸エステル化合物、スルホンイミド化合物などが挙げられ、これらの1種以上を、樹脂に対して0.5〜10重量%混合することが好ましい。
【0060】
本発明の組成物には、さらに、トリメトキシアミノプロピルシラン、トリメトキシエポキシシラン、トリメトキシビニルシラン、トリメトキシチオールプロピルシランなどのシランカップリング剤を添加することもできる。
【0061】
また、一般式(3)のR3成分として、ビス(アミノ−ヒドロキシフェニル)ジメチルシランなどのシリコン原子含有ビスアミノフェノール、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(4−アニリノ)テトラメチルジシロキサンなどのジアミン化合物をR3成分の1〜30モル%共重合すること、あるいはケイ素原子を含んだポリイミド樹脂あるいはポリイミド前駆体を加えることで、基板に対する接着性を高めるとともに、酸素プラズマ耐性、UVオゾン耐性を高めることが出来る。
【0062】
本発明の組成物には、金属との接着性を向上させるため、金属と200℃以上の高温処理で錯体を形成するシアノ基、アミノ基、チオール基やそれらの誘導体基と耐熱性樹脂と反応するアミノ基、カルボキシル基、エステル基、水酸基、スルホニル基などを有した化合物を樹脂に対して0.5〜20重量%添加することもできる。これらの化合物として特に好ましいものは、ジシアノアニリン、ジチオ安息香酸、シアノフェノール、アミノシアノプロパン、アミノチオフェノール、チオシアノプロパン、エチレンジアミン、エチレンジアミンジアセテート、エチレンジアミン4酢酸、シアノフェニルスルホン酸、チオフェニルカルボン酸などがある。特にアミノシアノプロパン、アミノチオフェノール、チオシアノプロパン、エチレンジアミン、エチレンジアミンジアセテートなどが好ましく使用される。
【0063】
さらに、本発明では、熱架橋性の化合物として、エチニル基、ビニル基などの基を1〜6個有した化合物を樹脂に対して1〜15重量%加えることができる。このような化合物としては、ジエチニルベンゼン、エチニルアニリン、エチニルフタル酸、エチニルフェノール、ビニルアニリン、ビニル安息香酸、ビニルフェノール、セロキサイドシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)、エポリードシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)、EHPE−3150(ダイセル化学工業(株)製)、デナコールシリーズ(長瀬産業(株)製)などがある。
【0064】
本発明に用いられる溶媒としては、沸点が100度から250度のものを少なくとも1種用いる必要がある。沸点が100度より低い溶媒のみでは、スピンコート時の溶媒の乾燥が早く、ストリエーションと言われる放射状の筋模様が発生し、塗布膜の均一性が低下するため好ましくない。また、沸点が250度を越える溶媒のみでは、溶媒の除去が困難になるため好ましくない。
【0065】
沸点が100℃〜250℃の溶媒の例としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルスルホキシド、ジメチルイミダゾリンなどの双極性非プロトン溶媒、ガンマブチロラクトン、メトキシメチルブチルアセテート、乳酸エチル、乳酸ブチルなどのエステル類、シクロヘキサノンなどのケトン類を挙げることが出来る。これらは単独で用いても良いし、複数を混合して用いても良い。好ましくは、沸点100℃〜180℃の溶媒と沸点180℃〜250℃の溶媒を2種以上混合して使用することである。沸点100℃未満の溶媒、沸点250℃を越える溶媒は、合わせて30重量%以下であることが好ましい。
【0066】
次に、本発明の組成物を利用する際の、好ましい手順を説明する。
【0067】
本発明の組成物の塗布方法としては特に限定されず、例えば、スピンコート、スプレー、スクリーン印刷、ディップ、スリット塗布、電着などの方法を用いることができる。
【0068】
樹脂あるいはその前駆体膜を塗布後、溶媒の乾燥などのためにプリベーク工程を入れることができる。プリベークの条件としては、30℃から200℃の温度でホットプレートを使用する場合、例えば30秒から20分、オーブンを使用する場合、例えば5分〜2時間の範囲で処理することができる。
【0069】
耐熱性樹脂あるいはその前駆体膜には、ポジ型の感光性があるので、プリベーク後、全面を弱く露光する。露光する波長は、感光する感度のある範囲であればいずれでもかまわないが、一般に、超高圧水銀灯のg線(436nm)、h線(405nm)、i線(365nm)などが用いられる。これ以外に、KrFエキシマーによる紫外線(248nm)、アルゴンレーザー(532nm)などを用いることもできる。
【0070】
塗布、プリベーク、露光後に、現像を行い、バンプの表面を露出させる。露出させる厚みは0.5μmから50μm程度が好ましい。さらに好ましくは2μm以上である。
【0071】
現像液の例としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、モノエタノールアミン、ジエチルアミノエタノール、コリンなどの有機アルカリ水溶液、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムなどの無機アルカリ水溶液、酢酸、安息香酸、シュウ酸などの有機酸の水溶液、塩酸、硫酸、硝酸などの無機酸の水溶液、双極性非プロトン溶媒であるN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ガンマブチロラクトンなどに、メタノール、エタノール、ジアセトンアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類を混合したものなどが挙げられる。中でも、アルカリ水溶液が好ましく用いられている。
【0072】
バンプの表面を露出させた後、樹脂あるいはその前駆体膜を熱処理、電磁波処理、薬品処理、紫外線処理などを行い、耐薬品性のある膜に変換する。本処理は、熱処理を行う場合、150℃から450℃の範囲でオーブンを使用する場合、例えば、最高温度で5分〜2時間処理を行う。ホットプレート処理の場合、例えば、最高温度で30秒から20分程度の処理を行う。電磁波処理を行う場合、例えば、1GHz〜30GHz程度の高周波を出力10W〜10KWで、5秒から1時間加える。
【0073】
熱処理、電磁波処理を行う雰囲気は、例えば、空気中、あるいは窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性ガス中、さらに不活性ガスに水素ガスが混合された還元ガス雰囲気中、真空中などで行うことが出来る。このような処理の時の圧力は、0.1torr以下の高真空下から1000気圧程度の高圧下まで、いずれでも行うことが出来る。
【0074】
薬品処理を行う場合、前駆体膜の場合は、前駆体を樹脂に変換するための触媒を薬品として用いることが好ましい。触媒としては、ピリジン、トリエチルアミン、ピペリジン、イミダゾール、ピラゾール、テトラゾールなどの有機塩基、ホウ素塩類、リン酸、ポリリン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの酸化合物などが好ましく用いられる。反応させる温度としては、通常、常温から400℃程度で行う。雰囲気、圧力などは上記した熱処理と同様の条件を用いることができる。
【0075】
本発明のポジ型感光性樹脂組成物の用途は特に限定されないが、例えば、半導体の保護膜、CCD素子のレンズ、有機EL素子の絶縁膜、液晶表示素子の配向膜や平坦化膜、実装基板の層間絶縁膜などとして好ましく用いられる。
【0076】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。なお、実施例中の耐熱性樹脂組成物の評価は以下の方法により行った。
【0077】
溶解速度の測定
4インチシリコンウェハーに測定に、使用する樹脂を乳酸エチルに固形分が30%になるように溶解し、この溶液をミカサ(株)製のスピンコーター1H−360DSを用いて、90℃で20分のプリベーク後の膜厚が1.0±0.2μmになるように塗布した。塗布後、忍足製作所製のイナートオーブンを用いて90℃で200分プリベークした。このプリベークしたウェハーを溶解速度測定装置(リンテック製)に入れ、アルカリ現像液として2.38%のテトラメチルアンモニウム水溶液(三菱化学(株)製ELM−D)を用いて測定した。
【0078】
感光性
6インチシリコンウェハーに120℃×3分のプリベーク後の膜厚が7μmになるように東京エレクトロン(株)製塗布現像装置Mark−7のスピンコーターを用いて樹脂溶液を塗布した。次いで、Mark−7のホットプレートを用いて120℃で3分プリベークした。プリベーク後のウェハーをi線ステッパー(GCA社製、DSW−8000)を用いて、1〜100μmのパターンのあるレチクルを通しフォーカスを0μmに設定して、露光時間300ミリ秒(露光量150mJ/cm2に相当)から2000ミリ秒(露光量1000mJ/cm2に相当)まで変化させて露光を行った。 露光後、Mark−7の現像装置を用いて、2.38%テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて、60秒毎に120秒間現像を行った。現像前後の膜厚を大日本スクリーン(株)製の膜厚測定機STM−602Jを用いて、屈折率1.64にて測定した。現像前後の膜厚の変化は小さいほど現像後の形状が良く好ましい。1μm以下が好ましい。
【0079】
合成例1:ナフトキノンジアジド化合物1の合成
乾燥窒素気流下、4,4−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン)ビスフェノール(本州化学(株)製)21.2g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド(東洋合成(株)製)32.2g(0.12モル)を1,4−ジオキサン(林純薬(株)製)500gに溶解させ、40℃に加熱した。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン(和光純薬(株)製)12.1g(0.12モル)を系内の温度が45℃以上にならないように滴下した。滴下後、40℃で2時間攪拌した。副生したトリエチルアミンの塩酸塩を濾過し、ろ液を1%塩酸3lに投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。さらに、水10lで洗浄を2度繰り返し、50℃の真空乾燥機で20時間乾燥させ、ナフトキノンジアジド化合物1を得た。
【0080】
合成例2:ナフトキノンジアジド化合物2の合成
乾燥窒素気流下、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン(本州化学(株)製)19.9g(0.05モル)と5−ナフトキノンジアジドスルホニル酸クロリド(東洋合成(株)製)34.9g(0.13モル)を1,4−ジオキサン(林純薬(株)製)500gに溶解させ、40℃に加熱した。ここに、1,4−ジオキサン50gと混合させたトリエチルアミン(和光純薬(株)製)13.1g(0.13モル)を系内の温度が45℃以上にならないように滴下した。滴下後、40℃で2時間攪拌した。副生したトリエチルアミンの塩酸塩を濾過し、ろ液を1%塩酸3lに投入させた。その後、析出した沈殿をろ過で集めた。さらに、水10lで洗浄を2度繰り返し、50℃の真空乾燥機で20時間乾燥させ、ナフトキノンジアジド化合物2を得た。
【0081】
合成例3:酸無水物1(TMDA)の合成
攪拌羽、温度計、窒素導入管を取り付けた、1Lの3つ口フラスコに2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン(セントラル硝子(株)製、以下BAHFと略する)18.3g(0.05モル)をはかり入れ、アセトン(特級、佐々木化学薬品(株)製)300mLに溶解させた。ここにグリシジルメチルエーテル(東京化成(株)製、以下GMEと略する)80g(0.91モル)を加え、溶液の温度を2℃に冷却した。ここに、無水トリメリット酸クロリド(東京化成(株)製)21.1g(0.1モル)をアセトン200mLに溶解させた溶液を15分かけて、溶液の温度が5℃を越えないように滴下した。
滴下後、2℃で2時間攪拌し、その後、30分かけて25℃にした。25℃で30分攪拌した後、ろ過を行い、黄色い沈殿物を回収した。集めた沈殿物をさらにアセトンで2回洗浄した。この沈殿を80℃の真空乾燥機で24時間乾燥させ、表記の酸無水物1(TMDA)を得た。
【0082】
合成例4 ジアミン1(HFHA)の合成
攪拌羽、温度計、窒素導入管を取り付けた、2Lの3つ口フラスコにBAHF18.3g(0.05モル)をはかり入れ、アセトン200mLに溶解させた。ここに、GME80mL(0.91モル)を加えて溶液の温度を2℃に冷却した。ここに、3−ニトロ安息香酸クロリド(東京化成(株)製)18.6g(0.1モル)をアセトン200mLに溶解させた溶液を15分かけて、溶液の温度が5℃を越えないように滴下した。
滴下後、2℃で2時間攪拌し、その後、30分かけて25℃にした。25℃で30分攪拌した後、ろ過を行い、沈殿物を回収した。集めた沈殿物をさらにアセトンで2回洗浄した。この沈殿を安息香酸メチルで再結晶し、100℃の真空乾燥機で48時間乾燥し、白色粉体33gを得た。
白色粉体13.4gをはかり取り、テトラヒドロフラン(和光純薬(株)製)100mLとメタノール(片山化学(株)製)50mLの混合溶媒を40℃にして溶解させた。ここに、5%パラジウム−炭素(和光純薬(株)製)0.2gを加え、飽水ヒドラジン(和光純薬(株)製)8gを30分かけて徐々に滴下した。その後、溶液の温度を40℃のまま4時間攪拌を続けた。
その後、ろ過によりパラジウム−炭素を除去し、水1Lに投入して、薄黄色の沈殿を得た。これをろ過で集め、さらに水、メタノールで洗浄し、80℃の真空乾燥機で48時間乾燥させ、HFHAを得た。
【0083】
実施例1
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.0g(0.095モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製、APDS)1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学(株)製、NMP)50gに40℃で溶解させた。ここに、合成例1で合成したTMDA71.4g(0.1モル)を一度に加えた。40℃で2時間攪拌を続けた後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(三菱レーヨン(株)製、DMA)26.2g(0.22モル)をNMP30mLで希釈した溶液を10分かけて滴下した。
滴下終了後、40℃で2時間攪拌を続け、その後、酢酸10mLを加え、過剰なDMAを分解した。その後、水1Lに投入し白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後、水で2回洗浄した。洗浄後の沈殿を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥させポリマー1を得た。このポリマー1の溶解速度は0.6nm/秒であった。
次にポリマー1を10gはかり取り、合成例1で合成した感光剤2g、1,1,2,2−テトラ(4−ヒドロキシフェニル)エタン1.5g、パラクレゾールの3量体(旭有機化学(株)製)0.5gをガンマブチロラクトン(三菱化学(株)製、GBL)20gに溶解させた。溶解した後、1μmのメンブレンフィルターでろ過をした。
感光性を評価したところ、感度800ミリ秒であり、現像前後の膜厚変化は0.21μmと小さかった。このため、さらに現像時間を60秒延長した時の膜減り量は0.1μmと、現像条件の変化による膜厚の変化がほとんど見られず、現像条件の変化に強いことが分かった。
【0084】
比較例1
乾燥窒素気流下、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル19.0g(0.095モル)、1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン(信越化学(株)製、APDS)1.24g(0.005モル)をN−メチル−2−ピロリドン(三菱化学(株)製、NMP)50gに40℃で溶解させた。ここに、合成例1で合成したTMDA71.4g(0.1モル)を一度に加えた。40℃で2時間攪拌を続けた後、ジメチルホルムアミドジメチルアセタール(三菱レーヨン(株)製、DMA)11.9g(0.1モル)をNMP30mLで希釈した溶液を10分かけて滴下した。
滴下終了後、40℃で2時間攪拌を続け、その後、酢酸10mLを加え、過剰なDMAを分解した。その後、水1Lに投入し白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後、水で2回洗浄した。洗浄後の沈殿を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥させポリマー2を得た。このポリマー2の溶解速度は7.5nm/秒であった。
次にポリマー2を10gはかり取り、実施例1と同じ組成で感光性耐熱性樹脂前駆体溶液を調整した。この溶液を1μmのメンブレンフィルターでろ過した。
感光性を評価したところ、感度250ミリ秒と高かったが、現像による膜減りが2.5μmと大きかった。このため、現像時間をさらに60秒延長すると、さらに膜厚が1.25μm減少しており、現像工程での膜厚管理が難しかった。
【0085】
実施例2
乾燥窒素気流下、合成例4で合成したHFHA27.2g(0.045モル)、APDS 1.24g(0.005モル)をNMP50gに40℃で溶解させた。ここに、3,3’,4,4’−ジフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物15.1g(マナック(株)製、0.05モル)を一度に加えた。40℃で2時間攪拌を続けた後、DMA 26.2g(0.22モル)をNMP30mLで希釈した溶液を10分かけて滴下した。
滴下終了後、40℃で2時間攪拌を続け、その後、酢酸10mLを加え、過剰なDMAを分解した。その後、水1Lに投入し白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、その後、水で2回洗浄した。洗浄後の沈殿を50℃の真空乾燥機で72時間乾燥させポリマー3を得た。ポリマー3の溶解速度は0.8nm/秒であった。
このポリマー3を10gはかり取り、合成例2で合成した感光剤2g、4,4−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン)ビスフェノール0.5g、パラクレゾール3量体 1.2gをGBL20gに溶解させた。溶解した後、1μmのメンブレンフィルターでろ過をした。
感光性を評価したところ、感度750ミリ秒であり、現像前後の膜厚変化は0.32μmと小さく良好であった。
【0086】
実施例3
乾燥窒素気流下、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール27.0g(HBT、黒金化成(株)製、0.2モル)、トリエチルアミン20.2g(東京化成(株)製、0.2モル)をNMP200gに溶解し、3℃に冷却した。この溶液に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド29.5g(DEDC、日本農薬(株)製、0.1モル)をアセトン100gに溶解させた溶液を内温が10℃を越えないように滴下した。この溶液を3℃で2時間攪拌し、その後、室温に上昇して30分攪拌を続けた。攪拌終了後、溶液をろ過して反応して副生したトリエチルアミンの塩酸塩を除き、ろ液をエバポレーターでアセトンを除去して濃縮した。この濃縮した溶液を水1Lに投入して、白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、2度水とメタノールで洗浄し、50度の真空乾燥機で48時間乾燥した、DEDCのHBTエステルを得た。
乾燥窒素気流下、BAHF9.15g(0.025モル)、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル5.01g(0.025モル)とDEDCのHBTエステル23.6g(0.05モル)をNMP150g、ピリジン(和光純薬(株)製)7.9gに溶解させ、70度で6時間攪拌を続けた。攪拌終了後、溶液を室温に戻し、水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を水3Lで洗浄し、50度の真空乾燥機で48時間乾燥し、ポリマー4を得た。ポリマー4の溶解速度は1.2nm/sであった。
次にポリマー4を10gはかり取り、実施例1と同じ組成で感光性耐熱性樹脂前駆体溶液を調整した。溶解した後、1μmのメンブレンフィルターでろ過をした。
感光性を評価したところ、感度850ミリ秒であり、現像前後の膜厚変化は0.3μmと小さく良好であった。
【0087】
比較例2
乾燥窒素気流下、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール27.0g(HBT、黒金化成(株)製、0.2モル)、トリエチルアミン20.2g(東京化成(株)製、0.2モル)をNMP200gに溶解し、3℃に冷却した。この溶液に4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸ジクロリド29.5g(DEDC、日本農薬(株)製、0.1モル)をアセトン100gに溶解させた溶液を内温が10℃を越えないように滴下した。この溶液を3℃で2時間攪拌し、その後、室温に上昇して30分攪拌を続けた。攪拌終了後、溶液をろ過して反応して副生したトリエチルアミンの塩酸塩を除き、ろ液をエバポレーターでアセトンを除去して濃縮した。この濃縮した溶液を水1Lに投入して、白色沈殿を得た。この沈殿をろ過で集め、2度水とメタノールで洗浄し、50℃の真空乾燥機で48時間乾燥した、DEDCのHBTエステルを得た。
乾燥窒素気流下、BAHF18.3g(0.05モル)とDEDCのHBTエステル23.6g(0.05モル)をNMP150g、ピリジン(和光純薬(株)製)7.9gに溶解させ、70度で6時間攪拌を続けた。攪拌終了後、溶液を室温に戻し、水3Lに投入して白色沈殿を得た。この沈殿を水3Lで洗浄し、50℃の真空乾燥機で48時間乾燥し、ポリマー5を得た。ポリマー5の溶解速度は8.2nm/秒であった。
次にポリマー5を10gはかり取り、実施例1と同じ組成で感光性耐熱性樹脂前駆体溶液を調整した。溶解した後、1μmのメンブレンフィルターでろ過をした。感光性を評価したところ、感度500ミリ秒であり、現像前後の膜厚変化は2.3μmと大きかった。
【0088】
【発明の効果】
本発明により、現像での膜減りが少なく、現像条件の変化に強いポジ型感光性樹脂組成物を提供することができる。
Claims (6)
- 樹脂、ナフトキノンジアジド化合物、沸点100℃〜250℃の溶媒1種以上を含む感光性樹脂組成物であって、前記樹脂として(ア)から(ウ)処理後の溶解速度が0.1nm/秒〜3nm/秒の範囲である樹脂を使用することを特徴とするポジ型感光性樹脂組成物。
(ア)樹脂を固形分30重量%で乳酸エチルに溶解し、
(イ)6インチシリコンウェハー上に90℃で20分のプリベーク後に膜厚1μm±0.2μmになるように形成し、
(ウ)プリベーク後の膜を、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に浸漬したときの、該樹脂の2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液に対する溶解速度。 - 前記樹脂が、ポリイミド前駆体またはポリベンゾオキサゾール前駆体である請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- さらにメチロール化合物を含んでいることを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記樹脂100重量部に対し、前記した条件で測定した溶解速度が0.1nm/秒〜3nm/秒であるノボラック樹脂を1〜70重量部含んでいることを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
- 前記樹脂100重量部に対し、前記した条件で測定した溶解速度が50nm/秒〜150nm/秒であるノボラック樹脂を1〜70重量部含んでいることを特徴とする請求項1記載のポジ型感光性樹脂組成物。
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