JP2004333849A - 偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱可塑性ノルボルネン系樹脂を使用した偏光フィルムの製造において、フィルムへ色素を均一に分散させることができ、色素の熱劣化を生じることがない偏光フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の偏光フィルムの製造方法は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と二色性色素とを溶媒に溶解または分散した溶液を基材上へキャストしてフィルムを形成し、このフィルムを乾燥して、得られた樹脂フィルムを基材から剥離する工程と、前記樹脂フィルムを延伸処理する工程とを含むことを特徴としている。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は偏光フィルムの製造方法に関する。更に詳しくは、本発明は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を使用した偏光フィルムの製造において、フィルムへ色素を均一に分散させることができ、色素の熱劣化を生じることがない偏光フィルムの製造方法に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】
従来より、液晶ディスプレイの構成要素として偏光板が使用されている。図1は、液晶ディスプレイ用の偏光板の具体的構成を示す模式図である。この偏光板は、偏光フィルム1と、その両面に積層形成された保護フィルム2A、2Bとを備え、一方の保護フィルム2Aの表面には、接着剤層3を介して、位相差フィルム4が設けられている。
【0003】
偏光板を構成する偏光フィルム1は、例えば、水溶性の二色性色素で染色した高分子フィルムを延伸処理することによって形成される。偏光フィルム1を構成する高分子フィルムとしては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム等が使用されている。
【0004】
偏光板を構成する保護フィルム2A、2Bは、偏光フィルム1を保護することにより、その耐久性および機械的強度を担保するものであり、保護フィルム2A、2Bとしては、通常、トリアセチルセルロース(TAC)からなるフィルムが使用されている。接着剤層3を介して設けられた位相差フィルム4は、通常、ポリカーボネート(PC)からなるフィルムを延伸処理することにより形成される。
【0005】
しかしながら、PVA系フィルムは充分な耐久性(耐湿性および耐熱性)を有していないため、PVA系の偏光フィルムを備えた偏光板は、高温高湿環境下に曝されることによって、その偏光性能が急激に低下することがある。また、PVA系の偏光フィルムは、吸水に伴って変形(寸法変化)し、液晶セル内の液晶を圧迫して表示特性などに悪影響を与えることもある。
【0006】
PVA系の偏光フィルムの欠点である耐久性が改良された偏光フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂に染料を含有させた偏光フィルムが知られている。しかしながら、この偏光フィルムは充分な偏光特性を有していない。また、PET系樹脂は高い屈折率を有するため、光反射率が高く、結果として光透過率が低下してしまう。
【0007】
これらの点を解決する技術として、特許文献1には、熱可塑性ノルボルネン系樹脂に二色性色素を含有させた偏光フィルムが開示されており、耐久性を有するとともに偏光特性にも優れた偏光フィルムが得られている。
【0008】
しかしながら、この特許文献1に記載の偏光フィルムは、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と二色性色素とを溶融混錬して、混錬物を押出成型して樹脂フィルムを得、この樹脂フィルムを延伸処理して製造するか、あるいは予めフィルム形成された熱可塑性ノルボルネン系樹脂を二色性色素で染色して製造している。これらの製造方法では、二色性色素をフィルムへ充分に均一に分散することができず、得られたフィルムが色むらを有することがあり、偏光特性へ悪影響を与える場合がある。また、押出成型による製法では、高温下で二色性色素が劣化してしまうといった問題があった。
【0009】
本発明者は、上記した従来技術の問題点を解決するために鋭意検討を行った結果、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と二色性色素とを溶媒に溶解または分散した溶液を基材へキャストして樹脂フィルムを形成することにより、色素が樹脂フィルムへ均一に分散され、色むらのない偏光フィルムが得られることを見出し本発明を完成するに至った。
【0010】
【特許文献1】
特開平2001−356213号公報
【0011】
【発明の目的】
本発明は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂を使用した偏光フィルムの製造において、フィルムへ色素を均一に分散させることができ、色素の熱劣化を生じることがない偏光フィルムの製造方法を提供することを目的としている。
【0012】
【発明の概要】
本発明の偏光フィルムの製造方法は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と二色性色素とを溶媒に溶解または分散した溶液を基材上へキャストしてフィルムを形成し、このフィルムを乾燥して、得られた樹脂フィルムを基材から剥離する工程と、前記樹脂フィルムを延伸処理する工程とを含むことを特徴としている。
【0013】
また、上記の本発明において、下記式(I)で表される骨格を有する熱可塑性ノルボルネン系樹脂を用いることが好適である。
【0014】
【化2】
Figure 2004333849
【0015】
(式中、A、B、CおよびDは、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基である。mは0または1〜3の整数を示す。)
【0016】
【発明の具体的説明】
以下、本発明を具体的に説明する。
<熱可塑性ノルボルネン系樹脂>
本発明で偏光フィルムの製造に用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、その繰り返し単位中にノルボルナン骨格を有する。このノルボルナン骨格としては、下記式(I)、(II)で表わされるものを挙げることができる。このうち、式(I)で表される骨格を有する樹脂を用いることが特に好ましい。
【0017】
【化3】
Figure 2004333849
【0018】
(式(I)および式(II)中、A、B、CおよびDは、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基である。mは0または1〜3の整数を示す。)
本発明で用いることができる熱可塑性ノルボルネン系樹脂としては、例えば、特開昭60−168708号公報、特開昭62−252406号公報、特開昭62−252407号公報、特開平2−133413号公報、特開昭63−145324号公報、特開昭63−264626号公報、特開平1−240517号公報、特公昭57−8815号公報に記載されている樹脂が挙げられる。
【0019】
これらの樹脂の中でも、ノルボルネン系モノマーの開環重合体を水素添加して得られる水添重合体は、非晶性ポリマーであるため、光学的特性の均一なフィルムが容易に得られることから特に好ましく用いられる。この場合、水添重合体の水素添加率は、60MHz、H−NMRで測定した値が50%以上であり、好ましくは90%以上、さらに好ましくは98%以上である。水素添加率が高いほど、得られる偏光フィルムは、熱や光に対する安定性が優れたものとなる。
【0020】
このような水添重合体の特に好適な例としては、下記式(III)で表わされる少なくとも1種のテトラシクロドデセン誘導体を単独で、あるいは、このテトラシクロドデセン誘導体と、これと共重合可能な不飽和環状化合物とをメタセシス重合して得られる重合体を水素添加して得られる水添重合体を挙げることができる。
【0021】
【化4】
Figure 2004333849
【0022】
(式中、A、B、CおよびDは、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基である。mは0または1〜3の整数を示す。)
上記式(III)で表わされるテトラシクロドデセン誘導体は、A、B、CおよびDのうち少なくとも1つが極性基であるため、これを重合して得た水添重合体を用いることで、他の材料との密着性、耐熱性などに優れた偏光フィルムを得ることができる。
【0023】
この極性基としては、−(CHCOOR(ここで、Rは炭素数1〜20の炭化水素基、nは0〜10の整数を示す。)で表わされる基が、偏光フィルムを構成する水添重合体が高いガラス転移温度を有する点から好適である。特に、この−(CHCOORで表わされる極性置換基が、式(III)のテトラシクロドデセン誘導体の1分子あたりに1つ含有されることが、吸水率を低下させる点から好ましい。この極性置換基において、Rで示される炭化水素基の炭素数が多くなるほど得られる水添重合体の吸湿性が小さくなる点では好ましいが、得られる水添重合体のガラス転移温度とのバランスの点から、この炭化水素基は、炭素数1〜4の鎖状アルキル基または炭素数5以上の(多)環状アルキル基であることが好ましく、特にメチル基、エチル基、シクロヘキシル基であることが好ましい。
【0024】
さらに、−(CHCOORで表わされる基が結合した炭素原子に、炭素数1〜10の炭化水素基が置換基として結合されていることが、得られる水添重合体の吸湿性が低くなる点から好ましい。特に、合成が容易である点から、この置換基としてはメチル基またはエチル基が好ましい。具体的には、8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5 ,17.10〕ドデカ−3−エンが好ましい。これらのテトラシクロドデセン誘導体、およびこれと共重合可能な不飽和環状化合物の混合物は、例えば特開平4−77520号公報第4頁右上欄12行〜第6頁右下欄第6行に記載された方法によってメタセシス重合、水素添加することができる。
【0025】
本発明で用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂の重量平均分子量は、充分な強度を得るために、通常は5,000〜1,000,000であり、好ましくは8,000〜200,000である。
【0026】
本発明により製造された偏光フィルムを構成する熱可塑性ノルボルネン系樹脂のガラス転移温度(Tg)は120℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは140℃以上である。また、その飽和吸水率は1重量%以下であることが好ましく、さらに好ましくは0.8重量%以下である。ガラス転移温度(Tg)が120℃以上で、飽和吸水率が1重量%以下である熱可塑性ノルボルネン系樹脂を偏光フィルムの樹脂成分として使用することにより、この偏光フィルムから構成される液晶ディスプレイを過酷な環境下で長時間使用しても、光学的特性の低下を防止することができる。上記式(I)、(II)で表わされるノルボルナン骨格を有する熱可塑性樹脂のTgおよび飽和吸水率は、置換基A、B、C、Dの種類を選択することにより制御することができる。
【0027】
本発明で原料として用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、クロロホルム中、30℃で測定される固有粘度(ηinh )が、0.1〜1.5dl/gであることが好ましく、さらに好ましくは0.4〜1.2dl/gである。固有粘度(ηinh )が0.1dl/g未満では、得られる偏光フィルムが機械的特性に劣り、耐衝撃性が低下する。一方、固有粘度(ηinh )が1.5dl/gを超えると加工性に劣る。
【0028】
本発明に用いられる熱可塑性ノルボルネン系樹脂は、これに公知の酸化防止剤、紫外線吸収剤を添加することによって安定化することができる。
【0029】
酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジメチルフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−ジオキシ−3,3’−ジ−t−ブチル−5,5’−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]、2,4,8,10−テトラオキスピロ[5,5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイトが挙げられる。これらの酸化防止剤の添加量は、熱可塑性ノルボルネン系樹脂100質量部に対して、通常0.1〜3質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。酸化防止剤の使用量が過少であると、耐久性の改良効果が不充分であり、使用量が過剰であるとフィルム表面からブリードしたり、透明性が低下することがあり好ましくない。
【0030】
紫外線吸収剤としては、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノンが挙げられる。
【0031】
また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
<二色性色素>
本発明に用いられる二色性色素としては、分子構造上二色性を有する直接染料、分散染料および酸性染料などを挙げることができ、これらの中でも、熱可塑性ノルボルネン系樹脂の軟化点において、分解などの変質を起こさない二色性染料を用いることが好ましい。
【0032】
具体的には、黄色系、橙色系、青色系、紫色系、赤色系などの染料を使用することができる。代表的な二色系染料としては、例えば、C.I.Direct系のブラック17,19および154、ブラウン44,106,195,210および223、レッド2,23,28,31,37,39,79,81,240,242および247、ブルー1,15,22,78,90,98,151,168,202,236,249および270、バイオレット9,12,51および98、グリーン1および85、イエロー8,12,44,86および87、オレンジ26,39,106および107等の直接染料;C.I.Disperse系のブルー214、レッド60、イエロー56等の分散染料を挙げることができる。
【0033】
偏光フィルムでは、通常、ニュートラルグレイ色が使用される。可視光領域である400〜700nmに一定の吸収を有する偏光フィルムを得るためには、二色性染料を2種以上併用する。
【0034】
また、二色性色素として好適な化合物としては、アゾ系、キノフタロン系、アントラキノン系およびペリレン系の化合物を挙げることができる。
【0035】
二色性色素の使用量は、基材樹脂に対する染料の着色能力および目的とする偏光フィルムの厚さを考慮して決定される。例えば、厚さ30〜200μmの偏光フィルムを得る場合には、基材樹脂に対する染料の割合は0.00001〜0.5質量%であることが好ましい。また、必要に応じて、染色助剤を使用してもよく、例えば、基材樹脂に対してぼう硝を2〜10質量%の割合で使用することが好ましい。
<偏光フィルムの製造方法>
本発明では、キャスティング法により偏光フィルムを製造する。すなわち、熱可塑性ノルボルネン系樹脂と二色性色素とを溶媒に溶解または分散した溶液を基材へキャストして、基材上にフィルムを形成し、このフィルムを乾燥した後に、得られた樹脂フィルムを基材から剥離して、延伸処理に供する樹脂フィルムを得ている。
【0036】
樹脂および二色性色素を溶媒に溶解または分散する方法としては特に制限はなく、例えば常温もしくは加温下で樹脂を溶媒へ一度に、または少しずつ添加して撹拌することにより均一なドープを得、次いでドープへ二色性色素を添加して撹拌することによりキャスト溶液を得ることができる。
【0037】
使用する溶媒としては、例えばメチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができ、単独または2種以上を混合して用いられる。
【0038】
熱可塑性ノルボルネン系樹脂を溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%にする。樹脂濃度をあまり低くすると、フィルムの厚みを確保することが困難になり、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなる等の問題が生じることがある。一方、樹脂濃度が高すぎると、溶液粘度が高くなるため色素が均一に分散しにくくなったり、得られる光学用フィルムの厚みと表面が均一になりにくくなる。
【0039】
次いで、この溶液を、コーター、ダイス等により、あるいはスプレー、ハケ、ロールスピンコート、ディッピング等の手段を用いて基材上にキャストして、基材上にフィルムを形成する。
【0040】
コーターでキャストする場合には、例えばバーコーター、コンマコ−ター、グラビアコーター、マイヤバー、ロールコーター、リップコーター、Tダイ、バー付きTダイ等が用いられる。
【0041】
また、キャストする基材としては、例えば金属ドラム;スチールベルト;ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;ポリテトラフルオロエチレン製ベルト等が用いられる。
【0042】
次いで、基材へキャストして得られたフィルムを乾燥して溶媒を除去した後、基材からフィルムを剥離する。このフィルムを延伸処理して、偏光フィルムを形成する。この延伸処理は、公知の一軸延伸法、すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、縦一軸延伸法で行うことができる。また、分子の配向に影響のない範囲で延伸した後に、分子を配向させるべく一軸方向に延伸してもよい。
【0043】
一軸延伸処理における延伸倍率としては、2〜9倍であることが好ましく、さらに好ましくは3〜7倍である。延伸倍率が2倍未満である場合には、二色性色素を十分に配向させることができず、優れた偏光特性を有する偏光フィルムを得ることが困難となる。一方、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルムを9倍を超える倍率で延伸することはきわめて困難であり、実用的ではない。なお、延伸処理後、当該処理温度よりも高温条件で延伸フィルムを熱処理することが好ましい。
【0044】
こうして得られた偏光フィルム(延伸フィルム)の厚さは、通常10〜200μmであり、好ましくは20〜100μmである。
【0045】
本発明の方法により得られた偏光フィルムは、下記のいずれかの構成:
(1)この偏光フィルムの単層構成
(2)保護フィルムと、この偏光フィルムと、保護フィルムとの積層構成
(3)保護フィルムと、この偏光フィルムと、保護フィルムと、位相差フィルムとの積層構成
とすることにより、偏光板として使用される。
【0046】
この偏光板は、公知の液晶基板、透明電極層、液晶配向層、ガスバリアなどを積層し、液晶ディスプレイとして用いられる。この偏光板を用いた液晶ディスプレイは携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル(登録商標)、ナビゲーションなどの車載用液晶ディスプレイ、液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどに用いることができる。
【0047】
【発明の効果】
本発明の製造方法によれば、熱可塑性ノルボルネン系樹脂からなるフィルム中へ二色性色素を均一に分散させることができるために色むらを生じることがなく、また色素の熱劣化を生じることもない。したがって、耐湿性および耐熱性に優れるとともに偏光特性にも優れた偏光フィルムを提供することができる。
【0048】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこの実施例に限定されない。
【0049】
【合成例1】熱可塑性ノルボルネン系樹脂の合成
8−メチル−8−メトキシカルボニルテトラシクロ〔4,4,0,12.5 ,17.10〕ドデカ−3−エン100gと、1,2−ジメトキシエタン60gと、シクロヘキサン240gと、1−ヘキセン9gと、ジエチルアルミニウムクロライドのトルエン溶液(0.96モル/リットル)3.4mlとを内容積1リットルのオートクレーブに仕込んだ。一方、六塩化タングステンの1,2−ジメトキシエタン溶液(0.05モル/リットル)20mlと、パラアルデヒドの1,2−ジメトキシエタン溶液(0.1モル/リットル)10mlとをフラスコ内で混合した。この混合溶液4.9mlを、前記オートクレーブ内に添加した。密栓後、オートクレーブ内を80℃に加熱しながら2.5時間にわたって攪拌することにより重合を行った。
【0050】
得られた重合体溶液に、1,2−ジメトキシエタンとシクロヘキサンとの混合溶媒(1,2−ジメトキシエタン/シクロヘキサン=20質量%/80質量%)を加えて、重合体/溶媒の割合を1/10(質量比)とした後、トリエタノールアミン20gを加えて10分間攪拌した。この重合体溶液に、メタノール500gを加えて30分間攪拌して静置した。2層に分離した上層を除き、再びメタノールを加えて30分間攪拌し、静置した後上層を除いた。同様の操作をさらに2回行ない、得られた下層をシクロヘキサン、1,2−ジメトキシエタンで適宜希釈し、重合体濃度が10%であるシクロヘキサン−1,2−ジメトキシエタン溶液を得た。
【0051】
このようにして得られた重合体溶液に、水添触媒としてパラジウム/シリカマグネシア[日揮化学(株)製、パラジウム量=5%]20gを添加し、オートクレーブ中で、水素圧40kg/cmとして165℃で4時間にわたり水素添加反応を行った。次いで、水添触媒を濾過によって除去した。このようにして得られた水添重合体溶液に、酸化防止剤であるペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]を、当該水添重合体に対して0.1%となる割合で加えてから380℃で減圧下に脱溶媒を行った。次いで、溶融した樹脂をチッ素雰囲気下で押出機によりペレット化することにより、固有粘度0.48dl/g(30℃、クロロホルム中)、水素添加率99.5%、ガラス転移温度168℃の水添重合体(熱可塑性ノルボルネン系樹脂)を得た(以下、これを「樹脂A」という)。
【0052】
【実施例1】
(a)400〜500nmに主な吸収波長帯を有するオレンジ系の二色性色素:Direct Orange 39と、(b)470〜600nmに主な吸収波長帯を有するレッド系の二色性色素:Direct Red 79と、(c)520〜650nmに主な吸収波長帯を有するブルー系の二色性色素:Direct Blue 202と、(d)600〜700nmに主な吸収波長帯を有するグリーン系の二色性色素:Direct Violet 9とを、a:b:c:d(質量比)が5:27:40:25となる割合で色素を混成した。
【0053】
一方で、合成例1で得られた樹脂A 100質量部をメチレンクロライド300質量部に溶解してドープ溶液を調整し、このドープ溶液へ上記の混成色素0.005質量部を添加し、混合して均一な溶液を調整した。
【0054】
この溶液を、キャストフィルム製造装置で製膜し、二色性色素を含有する樹脂Aのフィルム(フィルムの平均厚み:200μm)を得た。
【0055】
得られたフィルムをテンター延伸機に装着し、160℃の雰囲気下で縦一軸方向へ5倍延伸することにより偏光フィルムを得た。
偏光板の評価
このようにして得られた偏光フィルムについて、可視域(400〜900nm)の光線透過率および偏光度を測定することにより、光学特性(透明性)および偏光性能を評価した。また、温度80℃、相対湿度90%の高温高湿度環境下に偏光フィルムを100時間放置した後、偏光度を再度測定することにより耐久性(耐湿性・耐熱性)を評価した。
【0056】
実施例の偏光フィルムは光線透過率48%、偏光度(高温高湿度環境放置前)97%、偏光度(高温高湿度環境放置後)96%を示し、偏光板として充分な耐久性および偏光性能を示した。
【0057】
【比較例1】
合成例1で得られたペレット状の樹脂A 100質量部に、実施例1で用いた混成色素0.005質量部を配合して混合した混合物を、Tダイを備え、温度300℃に調整した押出機に投入し、溶融押出で厚さ150μmのフィルムを製造したが、色素が均一に分散せず、色むらのあるフィルムしか得られなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、液晶ディスプレイ用の偏光板の具体的構成を示す模式図である。
【符号の説明】
1 偏光フィルム
2A 保護フィルム
2B 保護フィルム
3 接着剤層
4 位相差フィルム

Claims (2)

  1. 熱可塑性ノルボルネン系樹脂と二色性色素とを溶媒に溶解または分散した溶液を基材上へキャストしてフィルムを形成し、このフィルムを乾燥して、得られた樹脂フィルムを基材から剥離する工程と、
    前記樹脂フィルムを延伸処理する工程とを含むことを特徴とする、偏光フィルムの製造方法。
  2. 前記熱可塑性ノルボルネン系樹脂が、下記式(I)で表される骨格を有することを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルムの製造方法。
    Figure 2004333849
    (式中、A、B、CおよびDは、それぞれ独立に水素原子または1価の有機基を示し、これらのうち少なくとも1つは極性基である。mは0または1〜3の整数を示す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN104181626A (zh) * 2014-08-29 2014-12-03 上海和辉光电有限公司 一种偏光片、其制备方法及包含该偏光片的显示器
CN105842903A (zh) * 2015-02-03 2016-08-10 住友化学株式会社 偏振板、液晶面板及液晶显示装置

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