JP5146252B2 - 偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置 - Google Patents

偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置 Download PDF

Info

Publication number
JP5146252B2
JP5146252B2 JP2008271630A JP2008271630A JP5146252B2 JP 5146252 B2 JP5146252 B2 JP 5146252B2 JP 2008271630 A JP2008271630 A JP 2008271630A JP 2008271630 A JP2008271630 A JP 2008271630A JP 5146252 B2 JP5146252 B2 JP 5146252B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarizing film
film
polarizing
parts
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2008271630A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010101983A (ja
Inventor
隆嗣 鈴木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Konica Minolta Advanced Layers Inc
Original Assignee
Konica Minolta Advanced Layers Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Konica Minolta Advanced Layers Inc filed Critical Konica Minolta Advanced Layers Inc
Priority to JP2008271630A priority Critical patent/JP5146252B2/ja
Publication of JP2010101983A publication Critical patent/JP2010101983A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5146252B2 publication Critical patent/JP5146252B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Liquid Crystal (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)

Description

本発明は新規な偏光フィルム、その製造方法、及びそれを用いた液晶表示装置に関する。
従来より、液晶表示装置の構成要素として偏光板が使用されている。図1は、液晶表示装置用の偏光板の具体的構成を示す模式図である。この偏光板は、偏光フィルム1と、その両面に積層形成された保護フィルム2A、2Bとを備え、一方の保護フィルム2Aの表面には、接着剤層3を介して、位相差フィルム4が設けられている。
偏光板を構成する偏光フィルム1は、例えば、水溶性の二色性色素で染色した高分子フィルムを延伸処理することによって形成される。偏光フィルム1を構成する高分子フィルムとしては、ポリビニルアルコール(PVA)系フィルム等が使用されている。
偏光板を構成する保護フィルム2A、2Bは、偏光フィルム1を保護することにより、その耐久性および機械的強度を担保するものであり、保護フィルム2A、2Bとしては、通常、トリアセチルセルロース(TAC)からなるフィルムが使用されている。接着剤層3を介して設けられた位相差フィルム4は、通常、ポリカーボネート(PC)からなるフィルムを延伸処理することにより形成される。
しかしながら、PVA系フィルムは充分な耐久性(耐湿性および耐熱性)を有していないため、PVA系の偏光フィルムを備えた偏光板は、高温高湿環境下に曝されることによって、その偏光性能が急激に低下することがある。また、PVA系の偏光フィルムは、吸水に伴って変形(寸法変化)し、液晶セル内の液晶を圧迫して表示特性などに悪影響を与えることもある。
PVA系の偏光フィルムの欠点である耐久性が改良された偏光フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)系樹脂に染料を含有させた偏光フィルムが知られている。しかしながら、この偏光フィルムは充分な偏光特性を有していない。また、PET系樹脂は高い屈折率を有するため、光反射率が高く、結果として光透過率が低下してしまう。
また、熱安定および耐光性の改良された二色性偏光子として、特許文献1には、二色性色素のリオトロピック液晶相から流動配向により形成された偏光素子が開示されている(特許文献1参照。)。しかしながら、この偏光素子は偏光性能の点で現在のヨウ素−PVA系の偏光子に比べて低く、十分満足いくものではない。
さらにまた、特定の熱可塑性樹脂に二色性色素を溶液製膜および溶融製膜した偏光フィルムが開示されているが(特許文献2参照。)、耐久性の点で不十分であるという課題が判明した。
特表平8−511109号公報 特開2007−316617号公報
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、本発明の目的は、薄膜で、耐湿性及び耐熱性に優れ、かつ高い偏光度を有する偏光フィルム、その製造方法、及びそれを用いたコントラストの高い液晶表示装置を提供することにある。
本発明の上記目的は、以下の構成により達成することができる。
1.下記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステルを含有することを特徴とする偏光フィルム。
Figure 0005146252
[式中、A、Bは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基または、水酸基で置換された炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。但しAとBは同じであっても異なっていてもよい。]
2.前記偏光フィルムが、二色性色素を含有することを特徴とする前記1に記載の偏光フィルム。
3.前記1又は2に記載の偏光フィルムを形成する際に、せん断力をかけて偏光フィルムを形成することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
4.前記1又は2に記載の偏光フィルムを形成し、形成した該偏光フィルムを延伸処理することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
5.前記1又は2に記載の偏光フィルムを形成する際に、せん断力をかけて偏光フィルムを形成し、形成した該偏光フィルムを延伸処理することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
6.前記1または2に記載の偏光フィルムを含有することを特徴とする液晶表示装置。
本発明により、薄膜で、耐湿性及び耐熱性に優れ、かつ高い偏光度を有する偏光フィルム、その製造方法、及びそれを用いたコントラストの高い液晶表示装置を提供することができた。
以下本発明を実施するための最良の形態について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
〈セルロースエステル〉
本発明の偏光フィルムを構成するセルロースエステルは、一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステルである。
以下にAの具体例を挙げる。
A−1 −CHCH
A−2 −CHCHCH
A−3 −CH=CH−
A−4
Figure 0005146252
A−6 −CHC(CH
以下Bの具体例を挙げる。
B−1 −CHCH
B−2 −CHCHCHCH
B−3
Figure 0005146252
本発明における一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するセルロースエステルは、未置換の水酸基を有するセルロース、またはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、フタリル基等のアシル基によってすでに一部の水酸基が置換されているセルロースエステルの存在下で、多塩基酸またはその無水物と多価アルコールとのエステル化反応、またはL−ラクチド、D−ラクチドの開環重合、L−乳酸、D−乳酸の自己縮合を行わせることによって得ることができる。
エステル化反応に用いる多塩基酸無水物として、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水フマル酸が挙げられるが特に限定されない。
エステル化反応に用いることができる多価アルコールとして、グリセリン、エチレングリコール、プロピレングリコールなどが挙げられるが特に限定されない。
エステル化反応に用いる触媒としては、無触媒で反応をすることもできるが、公知のルイス酸触媒などを用いることができる。使用できる触媒としてはスズ、亜鉛、チタン、ビスマス、ジルコニウム、ゲルマニウム、アンチモン、ナトリウム、カリウム、アルミニウムなどの金属およびその誘導体が挙げられ、特に誘導体については金属有機化合物、炭酸塩、酸化物、ハロゲン化物が好ましい。具体的にはオクチルスズ、塩化スズ、塩化亜鉛、塩化チタン、アルコキシチタン、酸化ゲルマニウム、酸化ジルコニウム、三酸化アンチモン、アルキルアルミニウムなどを例示することができる。また、触媒としてパラトルエンスルホン酸に代表される酸触媒を用いることもできる。また、カルボン酸とアルコールとの脱水反応を促進するためにカルボジイミド、ジメチルアミノピリジンなど公知の化合物を添加してもよい。
係る反応は、セルロースエステルおよびその他の反応させる化合物を溶解させることが可能な有機溶媒中における反応によってもよいし、剪断力を付加しながら加熱攪拌が可能なバッチ式ニーダーを用いた反応によるものであってもよいし、一軸或いは二軸のエクストルーダーを用いた反応によるものであってもよい。
本発明の繰り返し単位はセルロースに対して0.5〜190質量%の範囲で適宜含有させることができる。
セルロースエステルの置換度は、適宜選択することができるが、2.2〜3であることが、熱可塑性、熱加工性の点から好ましい。
本発明のセルロースエステルにおいて、セルロースの水酸基部分の水素原子が脂肪族アシル基との脂肪酸エステルであるとき、脂肪族アシル基は炭素原子数が2〜20で具体的にはアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、ラウロイル、ステアロイル等が挙げられる。
本発明のセルロースエステルの重合度は、特に制限されず、例えば、粘度平均重合度で、70以上(例えば、80〜800)の範囲から選択でき、100〜500、好ましくは110〜400、さらに好ましくは120〜350程度であってもよい。
本発明の繰り返し単位は、当該部分の数平均分子量として、例えば、80〜10000、好ましくは100〜5000、さらに好ましくは200〜2000程度、特に300〜1500、通常1000未満であってもよい。なお、当該セルロースエステルが有する繰り返し単位のみの数平均分子量は、エステル化反応する前のセルロースエステルと反応後のセルロースエステルをポリスチレン換算したGPCデータまたは、1H−NMRにより比較して求めた。
本発明の繰り返し単位をセルロースもしくはセルロースエステルに導入する際に副反応として、一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を有するオリゴマー、ポリエステルが生成することあるが、これらの化合物は可塑剤として作用することから精製により必ずしも完全に除去する必要はなくセルロースエステルに含んでもよい。含有量としてはセルロースエステルに対して30質量%であればセルロースエステルの性質を大きく変化させることは少ない。可塑性の点から、好ましくは0.5〜20質量%である。
これらのオリゴマー、ポリエステルの数平均分子量は、300〜10000であり、可塑性の点から好ましくは500〜8000である。
〈二色性色素〉
本発明の偏光フィルムは、好ましくは上記のセルロースエステル(基材)中に、二色性色素から選ばれた少なくとも1種が含有されて構成されている。
セルロースエステル中に含有される二色性色素としては、分子構造上二色性を有する直接染料、分散染料および酸性染料などから選択することができ、これらのなかで、偏光フィルムの基材樹脂の軟化点において、分解などの変質を起こさない二色性色素を好ましく使用することができる。具体的には、黄色系、橙色系、青色系、紫色系、赤色系などの染料が使用できる。代表的な二色性色素としては、例えば、C.I.Direct系のブラック17,19および154、ブラウン44,106,195,210および223、レッド2,23,28,31,37,39,81,240,242および247、ブルー1,15,22,78,90,98,151,168,202,236,249および270、バイオレット9,12,51および98、グリーン1および85、イエロー8,12,44,86および87、オレンジ26,39,106および107のような直接染料;C.I.Disperse系のブルー214、レッド60、イエロー56などの分散染料を挙げることができる。
偏光フィルムでは、通常、ニュートラルグレイ色が使用される。可視光領域である400〜700nmに一定の吸収を有する偏光フィルムを得るためには、二色性色素を2種以上併用する。さらに、本発明では、1種または2種以上の二色性色素と、ヨウ素とを併用して色相を調整してもよい。
上記の二色性色素として好適な化合物としても特に限定されるものでないが、アゾ系、キノフタロン系、アントラキノン系およびペリレン系から選ばれた化合物を挙げることができ、このような化合物からなる色素を使用することにより、本発明の効果を有効に得ることができる。
これらの二色性色素のうち、セルロースエステルとの相互作用の観点において、分散染料、油溶性染料が好ましく用いることができる。油溶性染料とは、有機溶媒に対する溶解性を有する染料であり、特に好ましくは酢酸エチルに対する25℃での溶解度が1質量%以上の油溶性染料である。
以下、本発明の二色性色素の具体例を示す。
Figure 0005146252
Figure 0005146252
〈その他の添加剤〉
本発明の偏光フィルムを構成するセルロースエステルには、公知の可塑剤、例えば、フタル酸エステル系可塑剤(ジエチルフタレート、ジブチルフタレート等)、リン酸エステル系可塑剤(トリクレジルフォスフェート等)、グリセリンエステル系可塑剤(グリセリントリベンゾエート等)などを添加することによって、可塑化温度を低下させることができる。
これらの可塑剤の添加量は、セルロースエステル100質量部に対して、通常1〜30質量部、好ましくは5〜20質量部である。可塑剤の使用量が過小である場合には、可塑化温度が高く、加工性が不十分であり、過大である場合には、フィルム表面からブリードしたり、透明性が低下するなどの問題点が生じ好ましくない。
本発明の偏光フィルムを構成するセルロースエステルには、公知の酸化防止剤、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2′−ジオキシ−3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジメチルフェニルメタン、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−ジオキシ−3,3′−ジ−t−ブチル−5,5′−ジエチルフェニルメタン、3,9−ビス[1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]、2,4,8,10−テトラオキスピロ[5,5]ウンデカン、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェニル)オクチルホスファイト;紫外線吸収剤、例えば2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、6−ベンゾトリアゾイル−2、4−tert−アミルフェノールなどを添加することによって安定化することができる。また、加工性を向上させる目的で滑剤などの添加剤を添加することもできる。
これらの酸化防止剤の添加量は、セルロースエステル100質量部に対して、通常0.1〜3質量部、好ましくは0.2〜2質量部である。酸化防止剤の使用量が過少である場合には、耐久性の改良効果が不十分であり、過大である場合にはフィルム表面からブリードアウトしたり、透明性が低下するなどの問題点が生じ好ましくない。
二色性色素の使用量は、基材樹脂に対する色素の着色能力および目的とする偏光フィルムの厚さを考慮して決定される。例えば、厚さ30〜200μmの偏光フィルムを得る場合には、基材樹脂に対する染料の割合は0.01〜10質量%であることが好ましい。また、必要に応じて、染色助剤を使用してもよい。
上記二色性色素は、液晶化合物と併用して用いても良く、使用する液晶としては例えば、4−シアノ−4′−n−ペンチルビフェニル、4−シアノ−4′−n−プロポキシビフェニル、4−シアノ−4′−n−ペントキシビフェニル、4−シアノ−4′−n−オクトキシビフェニル、4−シアノ−4′−n−ペンチルターフェニルなどのシアノ−ビフェニル系液晶混合物(例えば、メルク社商品記号E−8)、あるいはトランス−4−n−プロピル−(4−シアノフェニル)−シクロヘキサン、トランス−4−n−ペンチル−(4−シアノフェニル)−シクロヘキサン、トランス−4−n−ヘプチル−(4−シアノフェニル)−シクロヘキサン、トランス−4−n−ペンチル−(4′−シアノビフェニル)−シクロヘキサンなどのシクロヘキサン系液晶混合物(例えば、メルク社商品記号ZLI−1132、ZLI−1840)などをあげることができる。
液晶としては、上記の例に限定されるものでなく、その他のビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、シッフベース系液晶、エステル系液晶、ピリミジン系液晶、テトラジン系液晶、その他の液晶が単体または混合物として使用できる。
〈偏光フィルムの製造方法〉
本発明の偏光フィルムを製造する方法としては、セルロースエステルと二色性色素とを有機溶媒に溶解もしくは加熱溶融し、基材上へキャストしてフィルムを形成し、フィルムを基材から剥離した後、形成したフィルムを延伸処理することによって製造される。
もしくは、セルロースエステルと二色性色素とを有機溶媒に溶解もしくは加熱溶融し、ベース上に塗布して、形成したフィルムを延伸処理することによって製造される。
使用する有機溶媒としては、例えばメチレンクロライド、クロロホルム等のハロゲン含有溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、1−メトキシ−2−プロパノール等のセロソルブ系溶媒;ジアセトンアルコール、アセトン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロヘキサノン、エチルシクロヘキサノン、1,2−ジメチルシクロヘキサン等のケトン系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸エチル等のエステル系溶媒;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒;1−ペンタノール、1−ブタノール等のアルコール系溶媒を挙げることができ、単独または2種以上を混合して用いられる。
セルロースエステルを溶媒に溶解または分散させる際には、該樹脂の濃度を、通常は10〜50質量%、好ましくは15〜40質量%にする。樹脂濃度をあまり低くすると、フィルムの厚みを確保することが困難になり、また、溶媒蒸発にともなう発泡等によりフィルムの表面平滑性が得にくくなる等の問題が生じることがある。一方、樹脂濃度が高すぎると、溶液粘度が高くなるため色素が均一に分散しにくくなったり、得られる光学用フィルムの厚みと表面が均一になりにくくなる。
セルロースエステルと二色性色素を加熱溶融する場合は、併用する可塑剤、酸化防止剤とともに混合し、120〜350℃に加熱することによって、好ましくは180〜270℃に加熱することによって、溶融させるができる。
次いで、この溶液もしくは溶融物を、コーター、ダイス等により、あるいはスプレー、ハケ、ロールスピンコート、ディッピング等の手段を用いて基材もしくはベース上にキャストもしくは塗布して、フィルムを形成する。
コーターでフィルムを形成する場合には、例えばバーコーター、コンマコーター、グラビアコーター、ワイヤバー、ロールコーター、リップコーター、Tダイ、バー付きTダイ等が用いられる。
フィルムを形成する際には、せん断力をかけて形成するのが好ましく、せん断力の大きさは0.05MPa〜20MPaの範囲が好ましい。0.05MPa以下のせん断力では、二色性色素を十分に配向させることができず、優れた偏光特性を有する偏光フィルムを得ることが困難となる。一方、二色性色素を十分に配向させるためにはせん断力が大きい方が好ましいが、従来、10MPa以上のせん断力では、フィルムのむらが生じやすく、結果としてフィルム生産性が極端に悪化してしまい好ましくないことが知られていたが、本発明のセルロースエステルを用いることにより、10MPa以上のせん断力でもフィルムのむらが生じず、フィルム生産性が良好なことが明らかとなった。
キャストする基材としては、例えば金属ドラム;スチールベルト;ポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム;ポリテトラフルオロエチレン製ベルト等が用いられる。
また、塗布するベースとしては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)およびポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステルフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)、セルロースアセチルプロピオネート(CAP)等のセルロースフィルム、ノルボルネン系樹脂等が用いられる。これらの内、セルロースアセチルプロピオネート樹脂、ノルボルネン系樹脂等の光学的に均一でレターデーションの小さい透明高分子フィルムが好ましい。
基材へキャストしてフィルムを形成した場合には、得られたフィルムを乾燥して溶媒を除去した後、基材からフィルムを剥離する。
その後、フィルムを延伸処理して、偏光フィルムを形成する。この延伸処理は、公知の一軸延伸法、すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、縦一軸延伸法で行うことができる。また、分子の配向に影響のない範囲で延伸した後に、分子を配向させるべく一軸方向に延伸してもよい。
一軸延伸処理における延伸倍率としては、1.05〜10倍であることが好ましく、さらに好ましくは1.5〜7倍である。なお、延伸処理後、当該処理温度よりも高温条件で延伸フィルムを熱処理することが好ましい。
こうして得られた偏光フィルム(延伸フィルム)の厚さは、通常10〜200μmであり、好ましくは20〜100μmである。
本発明の方法により得られた偏光フィルムは、下記のいずれかの構成:
(1)この偏光フィルムの単層構成(基材へキャストした場合)
(2)この偏光フィルムの2層構成(ベースへ塗布した場合)
(3)この偏光フィルムと、保護フィルムとの積層構成
(4)この偏光フィルムと、保護フィルムと、位相差フィルムとの積層構成とすることにより、偏光板として使用される。
本発明の偏光フィルムは、耐久性、特に耐湿性に優れていることにより、上記(1)、(2)に示したように、保護フィルムを貼り合わせることなく、単独で偏光板を構成することができる。上記(3)の層構成を有する本発明の偏光板は、本発明の偏光フィルムの両面もしくは片側に、保護フィルムが貼り合わされてなり、上記(4)の層構成を有する本発明の偏光板は、前記保護フィルムの一方の表面に、接着剤層を介して位相差フィルムが設けられてなるものである。
〈保護フィルム〉
本発明の偏光板(例えば、上記(3)の層構成を有する偏光板)を構成する保護フィルムは、光学的に均一でレターデーションの小さい透明高分子フィルムから構成される。保護フィルムを構成する高分子材料としては、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)などのセルロース系フィルム、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系フィルム、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレートなどのアクリル樹脂系フィルム、ポリカーボネート系フィルム、ポリエーテルスルホン系フィルム、ポリスルホン系フィルム、ポリイミド系フィルム、熱可塑性ノルボルネン系樹脂フィルムを用いることができる。偏光フィルムと保護フィルム、位相差フィルムを貼合するには粘着剤や接着剤を使用する事が出来る。これらの粘着剤、接着剤としては、透明性に優れたものが好ましく、具体例としては天然ゴム、合成ゴム、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、ポリビニルエーテル、アクリル系、変成ポリオレフィン系、およびこれらにイソシアナートなどの硬化剤を添加した硬化型粘着剤、ポリウレタン系樹脂溶液とポリイソシアナート系樹脂溶液を混合するドライラミネート用接着剤、合成ゴム系接着剤、エポキシ系接着剤などが挙げられる。
また、更に偏光板の片面または両面に各種機能層を設けることも可能であり、機能層としては、たとえば感圧接着剤層、アンチグレア層、ハードコート層、アンチリフレクション層、ハーフリフレクション層、反射層、蓄光層、拡散層、エレクトロルミネッセンス層などが挙げられ、更に各種2層以上の組み合わせをすることも可能で、たとえばアンチグレア層とアンチリフレクション層、蓄光層と反射層、蓄光層と光拡散層などの組み合わせが挙げられる。ただしこれらに限定されることはない。
本発明の偏光板の有する耐湿性、耐熱性および光学特性を更に向上させることができるとともに、本発明の偏光フィルムに対する接着性に優れているという観点から、少なくとも一方の保護フィルムが熱可塑性セルロース系樹脂(偏光フィルムの基材樹脂と同種の樹脂)からなることが好ましく、両方の保護フィルムが熱可塑性セルロース系樹脂からなることが特に好ましい。
本発明の偏光板を構成する保護フィルムは、上記の高分子材料を使用する溶液流延法(キャスティング法)または溶融成形法により好適に製造することができる。保護フィルムの厚さとしては、通常20〜250μmとされ、好ましくは50〜190μmとされる。
本発明の偏光板を構成する保護フィルムは、特開平8−43812号公報に記載されているように、位相差フィルムの機能を有するものであってもよい。
〈位相差フィルム〉
本発明の偏光板(例えば、上記(4)の層構成を有する偏光板)に設けられる位相差フィルムは、延伸処理により得られる複屈折が光学的に均一なものとなる高分子フィルムから構成される。位相差フィルムを構成する高分子材料としては、ポリカーボネート(PC)、ビニロン、ポリビニルアルコール、ポリカーボネート、ポリスチレンナイロン、酢酸ブチルセルロール、セロハン、熱可塑性セルロース系樹脂を挙げることができる。これらのうち、本発明の偏光板の有する耐湿性、耐熱性および光学特性を更に向上させることができるという観点から、熱可塑性セルロース系樹脂(偏光フィルムの基材樹脂と同種の樹脂)が好ましい。
位相差フィルムを製造する方法としては、溶液流延法および溶融成形法により作製した上記の高分子材料からなるフィルムを、延伸処理または表面プレス処理する方法を挙げることができる。「溶液流延法」の具体的方法としては、特開平5−148413号公報に記載の方法を挙げることができる。また、「溶融成形法」の具体的方法としては、特開平4−59218号公報に記載の押出成形法、カレンダー法、熱プレス法、射出成形法などを挙げることができる。位相差フィルムを製造するための「延伸処理」としては、公知の一軸延伸法、すなわち、テンター法による横一軸延伸法、ロール間圧縮延伸法、周遠の異なるロールを利用する縦一軸延伸法などを用いることができる。また、分子の配向に影響のない範囲で延伸した後、分子を配向させるべく一軸方向に延伸する二軸延伸であってもよい。
〈液晶表示装置〉
本発明の偏光フィルムは、MVA(Multi−domein Vertical Alignment)モード、PVA(Patterned Vertical Alignment)モード、CPA(Continuous Pinwheel Alignment)モード、OCB(Optical Compensated Bend)モード、IPS(In Place Switching)モード等に用いることができ、特定の液晶モード、偏光板の配置に限定されるものではない。
本発明の偏光フィルムは、公知の液晶基板、透明電極層、液晶配向層、ガスバリアなどを積層し、液晶表示装置として用いられる。本発明の偏光フィルムを用いた液晶表示装置は携帯電話、ディジタル情報端末、ポケットベル(登録商標)、ナビゲーションなどの車載用液晶モニター、調光パネル、OA機器用ディスプレイ、AV機器用ディスプレイなどに用いることができる。
液晶表示装置はカラー化及び動画表示用の装置としても応用されつつあり、本発明により表示品質が改良され、コントラストの改善や偏光板の耐性が向上したことにより、疲れにくく忠実な動画像表示が可能となる。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下において、「部」および「%」は、特に断りのない限り「質量部」および「質量%」を意味する。
以下に、セルロースエステルの合成例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<合成例1>セルロースエステル1の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41)80部を加え、110℃、4時間、4Torr(1Torrは、133.322Paである)で減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン20部、シクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル1を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応したε−カプロラクトンの平均モル数は0.43、平均置換度は0.08、平均重合度は5.1であった。
<合成例2>セルロースエステル2の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41)70部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン30部、シクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル2を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応したε−カプロラクトンの平均モル数は0.86、平均置換度は0.12、平均重合度は7.4であった。
<合成例3>セルロースエステル3の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、LM−80、置換度2.10)60部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン40部、シクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル3を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応したε−カプロラクトンの平均モル数は1.29、平均置換度は0.34、平均重合度は3.9であった。
<合成例4>セルロースエステル4の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41)70部、L−ラクチド30部を加え、65℃、12時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、L−ラクチドの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、L−ラクチドが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル4を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応した乳酸単位(乳酸ユニット)の平均モル数は0.85、平均置換度DSは0.22、平均重合度は3.9であった。
<合成例5>セルロースエステル5の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−20、置換度2.41)50部、L−ラクチド50部を加え、65℃、12時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したシクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、L−ラクチドの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、L−ラクチドが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル5を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応した乳酸単位(乳酸ユニット)の平均モル数は1.93、平均置換度は0.30、平均重合度は6.4であった。
<合成例6>セルロースエステル6の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、NAC、置換度2.74)50部を加え、110℃、4時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、事前に乾燥、蒸留したε−カプロラクトン50部、シクロヘキサノン67部を加えて160℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にモノブチルスズトリオクチレート0.25部を添加し、160℃で2時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物(グラフト体)を濾別することによって、ε−カプロラクトンの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、ε−カプロラクトンが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル6を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応したε−カプロラクトンの平均モル数は1.66、平均置換度は0.17、平均重合度は10.1であった。
<合成例7>セルロースエステル7の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、NAC、置換度2.74)20部、L−ラクチド80部を加え、65℃、24時間、4Torrで減圧乾燥した。その後、乾燥窒素によりパージを行い、還流冷却管を取り付け、140℃に加熱、撹拌して酢酸セルロースを均一に溶解させた。この反応液にオクタン酸スズ0.10部を添加し、140℃で1時間撹拌しながら加熱した。その後、反応液を室温まで冷却し反応を終結させ反応物を得た。さらに、クロロホルム90部に対して反応物10部を溶解後、大過剰のメタノール900部中にゆっくりと滴下し、沈殿した沈殿物を濾別することによって、L−ラクチドの単独重合体を除去した。さらに、60℃にて5時間以上加熱乾燥し、L−ラクチドが酢酸セルロースに反応したセルロースエステル7を得た。そして、1H−NMRにより得られたセルロースエステルの一次構造を分析した。その結果、グルコース単位1モルあたりに反応した乳酸単位(乳酸ユニット)の平均モル数は14.1、平均置換度は0.23、平均重合度は60.5であった。
<合成例8>セルロースエステル8の合成
反応器に酢酸セルロース(ダイセル化学工業(株)製、L−40、置換度2.41))70部、無水マレイン酸10部、グリセリン10部、可塑剤としてアジピン酸ジオクチル10部を量りとり、室温でプレブレンドした。その後、この混合物を予め140℃に昇温したラボプラストミル(東洋精機(株)製、バッチ式混練ニーダー)中に30rpmで回転させた状態で5分間かけて投入した。引き続き、回転数を90rpmまで上げた後20分間加熱混練し反応を行い、セルロースエステル8を得た。
実施例1
<偏光フィルム1の作製>
(a)400〜500nmに主な吸収波長帯を有するオレンジ系の二色性色素(1)と、
(b)470〜600nmに主な吸収波長帯を有するレッド系の二色性色素(4)と、
(c)520〜650nmに主な吸収波長帯を有するブルー系の二色性色素(7)と、
(d)600〜700nmに主な吸収波長帯を有するグリーン系の二色性色素(9)
とを、a:b:c:d(質量比)が5:27:40:25となる割合で色素を混成した。
表1に示すセルロースエステル1の100質量部をメチレンクロライド300質量部に溶解してドープ溶液を調製し、このドープ溶液へ上記の混成色素0.005質量部を添加し、混合して均一な溶液を調製した。
この溶液を、キャストフィルム製造装置で表2に示すせん断力をかけて製膜し、二色性色素を含有する樹脂フィルム(フィルムの平均厚み:200μm)を得た。
得られたフィルムをテンター延伸機に装着し、160℃の雰囲気下で縦一軸方向へ5倍延伸することにより本発明の偏光フィルム(1)を得た。
<偏光フィルム2〜15の作製>
本発明の偏光フィルム1と同様に、表1に示す樹脂、二色性色素、せん断力にて本発明の偏光フィルム2〜12、及び比較の偏光フィルム13〜15を作製した。
なお、比較の偏光フィルム13〜15に用いられた比較の樹脂1、2は、繰返し単位として下記式で表される構造を有する樹脂を使用した。
Figure 0005146252
<保護フィルム1の作製(TACからなる保護フィルム)>
厚さ80μmのTACフィルム「コニタック」(コニカミノルタオプト(株)製)を用意した。以下、このTACフィルムを「保護フィルム1」という。
<偏光フィルム16の作製>
ヨウ素5.0g、ヨウ化カリウム250g、ホウ酸10g、水1000gからなる水溶液(40℃)中に、厚さ50μmのPVAフィルムを浸漬しながら約5分間で4倍に一軸延伸し、得られた延伸フィルムの緊張を保持しながら当該延伸フィルムの表面をアルコールで洗浄し、次いで、乾燥することにより、延伸フィルム(比較用の偏光フィルム)を得た。以下、この延伸フィルムを「比較偏光フィルム16」という。
Figure 0005146252
<偏光板1〜15の作製>
上記偏光フィルム1〜15の作製で得られた偏光フィルムを、そのまま偏光板(本発明の偏光板1〜12、比較の偏光板13〜15)とした。
<偏光板16の作製>
上記偏光フィルム16の作製で得られた偏光フィルムを両面に、保護フィルム1の作製で用意した保護フィルムを貼り合わせることにより、比較の偏光板16を製造した。
このようにして得られた偏光板について、下記の評価を行った。
<耐久性>
可視域(400〜900nm)の光線透過率および偏光度を測定することにより、光学特性(透明性)および偏光性能を評価した。また、下記の耐久性試験サイクルを4サイクル経過後の偏光度を再度測定することにより耐久性(耐湿性・耐熱性)を評価した。
(耐久性試験1サイクル)=(温度80℃、相対湿度90%の環境下に偏光板を24時間放置した後、温度20℃、相対湿度40%の環境下に偏光板を24時間放置する。)
また、偏光板の平面性を評価した。
<平面性>
幅90cm、長さ100cmの大きさに各偏光板試料を切り出し、50W蛍光灯を5本並べて試料台に45°の角度から照らせるように高さ1.5mの高さに固定し、試料台の上に各フィルム試料を置き、偏光板表面に反射して見える凹凸を目で見て、次のように判定した。この方法によって平面性の判定が出来る。
A:蛍光灯が5本とも真っすぐに見えた
B:蛍光灯が少し曲がって見えるところがある
C:蛍光灯が全体的に少し曲がって見える
D:蛍光灯が大きくうねって見える
ここで、A、Bが実用上問題ないレベルと判断した
結果を表2に示す。
Figure 0005146252
表2から、本発明のセルロースエステルを用いた偏光板は、保護フィルムを用いずに薄膜であるにもかかわらず、優れた偏光特性と優れた耐久性を有していることが分かる。また、高いせん断力で偏光フィルムを形成した場合に優れた偏光特性を有するが、10MPa以上のせん断力でフィルムを形成しても、偏光板の平面性は問題ないことが分かる。
実施例2
<偏光フィルム17の作製>
表3に示すセルロースエステル100部、可塑剤としてペンタエリスリトールテトラベンゾエート10部、Irganox1010(チバ・ジャパン(株)製)1部と表3に示す二色性色素3部を240℃に窒素気流下で溶融混練し、表3に示すせん断力をかけながら押出して200μmのセルロースエステルフィルムを得た。このフィルムを、テンター延伸機に装着し、160℃の雰囲気下で縦一軸方向に3倍延伸し、本発明の偏光フィルム17を得た。
<偏光フィルム18〜24の作製>
セルロースエステルおよび二色性色素を表3に示す樹脂および色素に代えた以外は調製例17と同様にして、本発明の偏光フィルム18〜21、及び比較の偏光フィルム22〜24を作製した。
<偏光板17〜24の作製>
上記偏光フィルム17〜24の作製で得られた偏光フィルムを、そのまま偏光板(本発明の偏光板17〜21、比較の偏光板22〜24)とした。
Figure 0005146252
このようにして得られた偏光板について、下記の評価を行った。
<耐久性>
得られた偏光板を実施例1と同様に光学特性(透明性)および偏光性能を評価した。また、実施例1と同様の下記の耐久性試験サイクルを6サイクル経過後の偏光度を再度測定することにより耐久性(耐湿性・耐熱性)を評価した。
(耐久性試験1サイクル)=(温度80℃、相対湿度90%の環境下に偏光板を24時間放置した後、温度20℃、相対湿度40%の環境下に偏光板を24時間放置する。)
また、偏光板の平面性を評価した。
<平面性>
幅90cm、長さ100cmの大きさに各偏光板試料を切り出し、50W蛍光灯を5本並べて試料台に45°の角度から照らせるように高さ1.5mの高さに固定し、試料台の上に各フィルム試料を置き、偏光板表面に反射して見える凹凸を目で見て、次のように判定した。この方法によって平面性の判定が出来る。
A:蛍光灯が5本とも真っすぐに見えた
B:蛍光灯が少し曲がって見えるところがある
C:蛍光灯が全体的に少し曲がって見える
D:蛍光灯が大きくうねって見える
ここで、A、Bが実用上問題ないレベルと判断した
結果を表4に示す。
Figure 0005146252
表4から、本発明のセルロースエステルを用いた偏光板は、保護フィルムを用いずに薄膜であるにもかかわらず、優れた偏光特性と優れた耐久性を有していることが分かる。また、高いせん断力で偏光フィルムを形成した場合に優れた偏光特性を有するが、10MPa以上のせん断力でフィルムを形成しても、偏光板の平面性は問題ないことが分かる。
実施例3
<液晶表示装置としての特性評価>
32型TFT型カラー液晶ディスプレイベガ(ソニー社製)の偏光板を剥がし、実施例1および2で作製した耐久性試験後の各々の偏光板を液晶セルのサイズに合わせて断裁した。液晶セルを挟むようにして、前記作製した偏光板2枚を偏光板の偏光軸が元と変わらないように互いに直交するように貼り付け、32型TFT型カラー液晶ディスプレイを作製し、光学フィルムの偏光板としての特性を評価したところ、本発明の偏光板1〜12、17〜21を用いた液晶表示装置は、比較の偏光板13〜16、22〜24を用いた液晶表示装置に対してコントラストも高く、更に色ムラもない優れた表示性を示した。
これにより、液晶ディスプレイなどの画像表示装置用の偏光板として優れていることが確認された。
液晶ディスプレイ用の偏光板の具体的構成を示す模式図である。
符号の説明
1 偏光フィルム
2A,2B 保護フィルム
3 接着剤層
4 位相差フィルム

Claims (6)

  1. 下記一般式(1)または(2)で表される繰り返し単位を少なくとも一つ有するセルロースエステルを含有することを特徴とする偏光フィルム。
    Figure 0005146252
    [式中、A、Bは、炭素数1〜12の2価の炭化水素基または、水酸基で置換された炭素数1〜12の2価の炭化水素基を表す。但しAとBは同じであっても異なっていてもよい。]
  2. 前記偏光フィルムが、二色性色素を含有することを特徴とする請求項1に記載の偏光フィルム。
  3. 請求項1又は2に記載の偏光フィルムを形成する際に、せん断力をかけて偏光フィルムを形成することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  4. 請求項1又は2に記載の偏光フィルムを形成し、形成した該偏光フィルムを延伸処理することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  5. 請求項1又は2に記載の偏光フィルムを形成する際に、せん断力をかけて偏光フィルムを形成し、形成した該偏光フィルムを延伸処理することを特徴とする偏光フィルムの製造方法。
  6. 請求項1または2に記載の偏光フィルムを含有することを特徴とする液晶表示装置。
JP2008271630A 2008-10-22 2008-10-22 偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置 Active JP5146252B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008271630A JP5146252B2 (ja) 2008-10-22 2008-10-22 偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008271630A JP5146252B2 (ja) 2008-10-22 2008-10-22 偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010101983A JP2010101983A (ja) 2010-05-06
JP5146252B2 true JP5146252B2 (ja) 2013-02-20

Family

ID=42292706

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008271630A Active JP5146252B2 (ja) 2008-10-22 2008-10-22 偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5146252B2 (ja)

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6010841B2 (ja) * 2012-05-31 2016-10-19 株式会社ポラテクノ 有機el表示装置及び有機el表示装置用偏光素子
KR102057722B1 (ko) 2013-05-14 2019-12-19 삼성전자주식회사 편광 필름용 조성물, 편광 필름 및 표시 장치

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010101983A (ja) 2010-05-06

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI272426B (en) Polarizing plate and liquid crystal display employing the same
JP3807511B2 (ja) 偏光フィルム
KR101304591B1 (ko) 위상차 필름, 이의 제조방법, 및 이를 포함하는 액정 표시 장치
WO2013187134A1 (ja) 液晶表示装置
KR20070053278A (ko) 편광판에 유용한 적합성 가소화제 화합물
JPWO2007066470A1 (ja) 偏光板、偏光板の製造方法及び液晶表示装置
US20040027520A1 (en) Multilayer optical compensator, liquid crystal display, and process
KR101449887B1 (ko) 광학 필름 및 그것을 사용한 편광판, 액정 표시 장치
WO2017057255A1 (ja) 偏光板保護フィルム、その製造方法、偏光板及び画像表示装置
JP5232408B2 (ja) 光学フィルムならびにそれを用いた偏光板および液晶表示装置
WO2011010751A1 (en) Va-mode liquid-crystal display device
JP5146252B2 (ja) 偏光フィルム、偏光フィルムの製造方法、それを用いた液晶表示装置
JP2005099191A (ja) セルロースフィルム、偏光板および液晶表示装置
JP5304597B2 (ja) 光学フィルム、偏光板及び液晶表示装置
JP2008052041A (ja) 光学フィルム、偏光板、液晶表示装置
JP5617543B2 (ja) 位相差フィルム、偏光板及び液晶表示装置
TW201514005A (zh) 偏光板及液晶顯示裝置
JP5699519B2 (ja) 位相差フィルム、位相差フィルムの製造方法、偏光板及び液晶表示装置
TW200921203A (en) Liquid crystal display device
JP2013097873A (ja) 有機エレクトロルミネッセンス表示装置
KR20150037541A (ko) 내용제성이 우수한 광학 필름 및 이를 포함하는 편광판
TWI448781B (zh) Liquid crystal display device
JP2007316617A (ja) 偏光フィルム
JP2002202411A (ja) 位相差板、偏光板およびそれを用いた反射型液晶表示素子
JP6607964B2 (ja) 偏光板、画像表示装置及び偏光板保護フィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20110812

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20120209

TRDD Decision of grant or rejection written
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121024

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20121030

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20121112

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5146252

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151207

Year of fee payment: 3

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350