JP2004333692A - ガイドピン挿通孔付き部品とその製法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガイドピンの抜き差しに伴う割れや欠けを防止したガイドピン挿通孔付き部品とその製法を提供する。
【解決手段】マイクロレンズアレイ10は、透光基板12と、この基板12の一方の主面にレジストからなるレンズパターンをドライエッチング処理により転写して形成したレンズL1〜L4とを備え、基板12にはガイドピン挿通孔14,16が設けられている。14等の各孔を形成するには、基板12の一方の主面に環状の位置決め層18を形成した後、層18の中央部に0.8mm程度の直径を有する半貫通孔を精密ドリルで形成し、基板12の他方の主面を研磨して半貫通孔を貫通孔14とする。0.7mm程度の直径の孔を有する金属板22を位置決め層18の孔に嵌合し且つ金属板22の孔にセラミック製の孔形成ピンを嵌合した状態でメッキ処理を行なって金属板22から基板12の他方の主面に達する金属層26を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】マイクロレンズアレイ10は、透光基板12と、この基板12の一方の主面にレジストからなるレンズパターンをドライエッチング処理により転写して形成したレンズL1〜L4とを備え、基板12にはガイドピン挿通孔14,16が設けられている。14等の各孔を形成するには、基板12の一方の主面に環状の位置決め層18を形成した後、層18の中央部に0.8mm程度の直径を有する半貫通孔を精密ドリルで形成し、基板12の他方の主面を研磨して半貫通孔を貫通孔14とする。0.7mm程度の直径の孔を有する金属板22を位置決め層18の孔に嵌合し且つ金属板22の孔にセラミック製の孔形成ピンを嵌合した状態でメッキ処理を行なって金属板22から基板12の他方の主面に達する金属層26を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロレンズアレイ等のガイドピン挿通孔付き部品とその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガイドピン挿通孔を有するマイクロレンズアレイは、本願と同一の出願人により既に提案されている(特願2002−305996号参照)。
【0003】
図37は、この種のマイクロレンズアレイの一例を示すもので、このマイクロレンズアレイは、透光基板1を備えている。基板1の一方の主面には、レジストからなる球面凸状のレンズパターンをドライエッチング処理により転写することにより凸状のレンズQ1〜Q4が設けられている。
【0004】
基板1において、レンズQ1〜Q4を含むレンズ列の一方側及び他方側には、選択的ドライエッチング処理等を含む薄膜プロセスによりガイドピン挿通孔2,3が設けられている。これらの孔2,3は、基板1の一方の主面側において開口端部2a,3aがいずれも外方に進むにつれてサイズが増大するように形成されている。これは、ガイドピンの挿通を容易にするためである。
【0005】
図37に示すマイクロレンズアレイを光ファイバアレイ等の光部品に結合するには、ガイドピン挿通孔2,3にガイドピンをそれぞれ挿通した状態で各々のガイドピンを光部品側の2つのガイドピン挿通孔(又は溝)に挿通し、必要に応じて接着剤等により固定すればよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術によると、薄膜プロセスによりガイドピン挿通孔2,3を形成するため、孔2,3の寸法及び位置の精度としては高精度が得られる。しかしながら、基板1を石英で構成した場合、孔2,3にガイドピンを抜き差しすると、孔2,3に割れや欠けが生じ易いという問題点がある。
【0007】
この発明の目的は、ガイドピンの抜き差しに伴う割れや欠けを防止したガイドピン挿通孔付き部品とその製法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るガイドピン挿通孔付き部品は、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が設けられた非金属製の基板と、
前記貫通孔よりサイズが小さいガイドピン挿通孔を形成するように前記貫通孔の内壁を覆う金属層と
を備えたものである。
【0009】
この発明のガイドピン挿通孔付き部品によれば、例えば石英等の非金属製の基板に設けた貫通孔の内壁を覆う金属層によりガイドピン挿通孔を形成したので、ガイドピン挿通孔にガイドピンを抜き差しする際にはガイドピンが金属層に接触するようになり、基板を石英等で構成しても、ガイドピン挿通孔に割れや欠けが生ずるのを防止することができる。
【0010】
この発明のガイドピン挿通孔付き部品において、前記基板の2つの主面のうちいずれか一方の主面には前記貫通孔よりサイズが小さいピン挿通孔を有する金属板を前記貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つ前記ピン挿通孔を前記貫通孔に位置合せするように配置すると共に、前記金属板に連続して前記金属層を形成し、前記基板の他方の主面において前記貫通孔の他方の開口端周辺部を覆うように前記金属層を形成してもよい。このようにすると、金属層は、基板の一方の主面では金属板により貫通孔の一方の開口端周辺部に係止されると共に、基板の他方の主面では金属層の一部により貫通孔の他方の開口端周辺部に係止される。従って、基板には金属層が強固に固定されることになり、ガイドピン挿通孔にガイドピンを抜き差しする際に金属層が基板から脱落するのを防止することができる。
【0011】
この発明のガイドピン挿通孔付き部品において、前記基板の2つの主面のうちいずれの主面においても前記貫通孔の開口端周辺部を覆うように前記金属層を形成してもよい。このようにすると、金属層は、基板のいずれの主面においても金属層の一部によりガイドピン挿通孔の開口端周辺部に係止される。従って、基板には金属層が強固に固定されることになり、ガイドピン挿通孔にガイドピンを抜き差しする際に金属層が基板から脱落するのを防止することができる。
【0012】
この発明に係る第1のガイドピン挿通孔付き部品の製法は、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が設けられた非金属製の基板を用意する工程と、
前記基板の2つの主面のうちいずれか一方の主面において前記貫通孔よりサイズが小さいピン挿通孔を有する金属板を前記貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つ前記ピン挿通孔を前記貫通孔に位置合せするように配置すると共に、非金属製の孔形成ピンを前記金属板のピン挿通孔に嵌合しつつ前記貫通孔を介して前記基板の他方の主面側に延長するように配置する工程と、
前記金属板を前記のように配置すると共に前記孔形成ピンを前記のように配置した状態において前記金属板をメッキ下地として金属メッキ処理を行なうことにより前記貫通孔の内壁を覆うメッキ金属からなる金属層を形成する工程と、
前記金属板のピン挿通孔及び前記金属層から前記孔形成ピンを取外して前記金属層に前記孔形成ピンの太さに相当するサイズを有するガイドピン挿通孔を付与する工程と
を含むものである。
【0013】
第1のガイドピン挿通孔付き部品の製法によれば、基板の一方の主面においてピン挿通孔を有する金属板を貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つピン挿通孔を貫通孔に位置合せするように配置すると共に、非金属製の孔形成ピンを金属板のピン挿通孔に嵌合しつつ貫通孔を介して基板の他方の主面側に延長するように配置した状態で金属板をメッキ下地として金属メッキ処理を行なうことにより貫通孔内にガイドピン挿通孔を有する金属層を形成するので、孔形成ピンの寸法及び位置に対応してガイドピン挿通孔を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0014】
第1のガイドピン挿通孔付き部品の製法において、前記金属板を配置する工程では、前記金属板として、前記ピン挿通孔を前記貫通孔側とは反対側にて外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したものを用いてもよい。このようにすると、金属板のピン挿通孔に孔形成ピンを嵌合するのが容易になると共に精密な嵌合が可能となり、ガイドピン挿通孔の形成精度が一層向上する。また、金属板を残しておいてガイドピンの挿入口とすることでガイドピン挿入が容易となる。
【0015】
この発明に係る第2のガイドピン挿通孔付き部品の製法は、
固定板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が形成された非金属製の基板を接着層を介して前記メッキ下地層に接着することにより前記基板を前記固定板に固定する工程と、
前記基板を前記固定板に固定した状態において前記貫通孔の内部に前記貫通孔のサイズより細く且つ前記基板の2つの主面間の厚さより厚いレジスト層をホトリソグラフィ処理により形成すると共に、前記レジスト層をマスクとする除去処理により前記レジスト層の周辺で前記接着層を選択的に除去して前記メッキ下地層の一部を前記レジスト層を取囲むようなパターンで露呈させ且つ前記レジスト層の下に前記接着層の一部を残存させる工程と、
前記レジスト層及びその下の前記接着層の一部と、前記接着層と、前記基板とをマスクとして前記メッキ下地層に金属メッキ処理を施すことにより前記貫通孔の内壁を覆うメッキ金属からなる金属層を形成する工程と、
前記レジスト層及びその下の前記接着層の一部を除去して前記金属層にガイドピン挿通孔を付与する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記基板を前記金属層に前記ガイドピン挿通孔が付与された状態で前記固定板から分離する工程と、
前記基板から前記接着層を除去する工程と
を含むものである。
【0016】
第2のガイドピン挿通孔付き部品の製法によれば、固定板上のメッキ下地層に接着層で固定した基板の貫通孔内にホトリソグラフィ処理によりレジスト層を形成すると共にこのレジスト層をマスクとする除去処理により接着層を選択的に除去してメッキ下地層をレジスト層を取囲むようなパターンで露呈させ且つレジスト層の下に接着層の一部を残存させた後、レジスト層及びその下の接着層の一部と、接着層と、基板とをマスクとしてメッキ下地層に金属メッキ処理を施すことにより貫通孔内にガイドピン挿通孔を有する金属層を形成するので、レジスト層及びその下の接着層の一部を含む積層体の寸法及び位置に対応してガイドピン挿通孔を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0017】
第2のガイドピン挿通孔付き部品の製法において、前記基板を前記固定板に固定する工程では、前記基板として、前記貫通孔を前記固定板に接着する側とは反対側にて外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したものを用い、前記レジスト層を形成する工程では、前記レジスト層を下方レジスト層及び上方レジスト層の積層として形成すると共に上方レジスト層を下方レジスト層より細く形成するようにしてもよい。このようにすると、金属メッキ処理では上方レジスト層の周辺でメッキ成長が遅れると共に貫通孔の開口端部が外方に進むにつれてサイズを増大する形状になっているため、ガイドピン挿通孔は、外方に進むにつれてサイズが増大するように形成される。従って、ガイドピン挿通孔にガイドピンを挿入するのが容易となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態に係るマイクロレンズアレイを示すもので、図1のA−A’線断面は、図2に示されている。
【0019】
マイクロレンズアレイ10は、例えば石英からなる非金属製の透光基板12と、この基板12の一方の主面に一列状に設けられた球面凸状のレンズL1〜L4とを備えている。L1等の各レンズは、レジストからなる球面凸状のレンズパターンをドライエッチング処理により基板12の一方の主面に転写することにより形成される。
【0020】
基板12の一方の主面において、レンズL1〜L4を含むレンズ列の一方側及び他方側には、例えばレジストからなる環状の位置決め層18,20が設けられている。位置決め層18,20は、ホトリソグラフィ処理により寸法精度良く(サブミクロンの精度で)形成されるもので、レンズL1〜L4に対する位置精度も良好である。位置決め層18,20の中央部には、精密ドリル等を用いてガイドピン挿通孔形成用の貫通孔14a,16aがそれぞれ形成される。貫通孔14a,16aは、いずれも基板12の一方の主面から他方の主面に貫通するように形成される。
【0021】
基板12の一方の主面において、位置決め層18,20の内側孔18a,20aには、例えばNi−Fe合金からなる環状の金属板22,24が嵌合されている。金属板22,24は、それぞれピン挿通孔22a,24aを有するもので、薄膜プロセスによりサブミクロンの精度で形成される。ピン挿通孔22a,24aは、それぞれ貫通孔14a,16aより小さいサイズ(直径)を有するもので、いずれも貫通孔側とは反対側で外方に進むにつれてサイズが増大するように形成されている。
【0022】
例えばNi−Fe合金からなる金属層26,28は、貫通孔14a,16aの内壁をそれぞれ覆うもので、このような被覆状態においてガイドピン挿通孔14,16をそれぞれ形成している。ガイドピン挿通孔14,16は、それぞれ金属層26,28の厚さに相当する分だけ貫通孔14a,16aより小さいサイズ(直径)を有する。金属層26,28は、金属板22,24にそれぞれ連続して形成されるもので、基板12の他方の主面ではそれぞれ貫通孔14a,16aの開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成される。このような金属層26を形成するためには、一例として、ピン挿通孔22aに非金属製の孔形成ピンを挿通しつつ該孔形成ピンを貫通孔14aを介して基板12の他方の主面側に延長した状態で金属板22をメッキ下地としてメッキ処理を行ない、この後ピン挿通孔22a及び金属層26から孔形成ピンを取外すようにすればよい。これと同様にして金属層28も形成することができる。ガイドピン挿通孔14,16は、それぞれピン挿通孔22a,24aとほぼ等しいサイズ(直径)を有し且つそれぞれピン挿通孔22a,24aに連続するように形成される。マイクロレンズアレイ10の使用時において、ガイドピン挿通孔14,16には、それぞれガイドピンP1,P2が挿通される。ガイドピンP1,P2は、いずれもステンレススチール又はセラミック等からなるものである。
【0023】
上記したマイクロレンズアレイ10について図1,2を参照して寸法例を示すと、次の通りである。基板12において、長さaは6.5mm、幅bは1.5mm、厚さkは0.5mmとすることができる。L1等の各レンズの開口径は0.24mm、レンズL1,L4の中心間の距離cは0.75mm、L1,L2等の隣り合うレンズ間のピッチ(中心間の距離)eは0.25mmとすることができる。18等の位置決め層において、内径hは2.0mm、外径fは2.4mm、厚さjは0.08mmとすることができる。14等のガイドピン挿通孔の直径gは0.7mm、ガイドピン挿通孔14,16の中心間の距離dは4.6mm、14a等の貫通孔のフランジ部の外径iは1mm、P1等のガイドピンの直径は0.7mmとすることができる。
【0024】
マイクロレンズアレイ10を光ファイバアレイ等の光部品に結合するには、ガイドピン挿通孔14,16にガイドピンP1,P2をそれぞれ挿通した状態でガイドピンP1,P2を光部品側の2つのガイドピン挿通孔(又は溝)に挿通し、必要に応じて接着剤等により固定する。18等の位置決め層に対する22等の金属板の位置決め誤差は、1μm程度であり、これにP1等のガイドピンの外径精度及び22a等のピン挿通孔の寸法精度を加えても、L1等のレンズの中心に対して2μm以下の精度でP1等のガイドピンを固定可能である。
【0025】
P1等のガイドピンを14等のガイドピン挿通孔に抜き差しする際には、P1等のガイドピンが26等の金属層に接触するため、石英からなる基板12において14a等の貫通孔の開口端部で割れや欠けが生ずるのを防止することができる。また、26等の金属層は、基板12の一方の主面側で22等の金属板により係止されると共に、基板12の他方の主面側で26等の金属層のフランジ部により係止されるので、P1等のガイドピンの抜き差しにより26等の金属層が脱落するのを防止することができる。さらに、22a等のピン挿通孔を貫通孔側とは反対側で外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したので、22a等のピン挿通孔に孔形成ピンを挿通するのが容易になると共に精密な嵌合が可能となり、しかも14等のガイドピン挿通孔にP1等のガイドピンを挿通するのが容易になると共に精密な嵌合が可能になる。
【0026】
次に、図3〜13を参照して上記のようなマイクロレンズアレイの製法の一例を説明する。図3〜13において、図1,2と同様の部分には同様の符号を付してある。
【0027】
図3の工程では、例えば石英からなる透光基板12の一方の主面(基板12の上面)に位置合せマーク形成パターン30aを有するレジスト層30をホトリソグラフィ処理により形成する。
【0028】
図4の工程では、基板12の上面にパターン30a及びレジスト層30を覆ってCr層をスパッタ法で形成する。このときのCr層の厚さは、300nmとすることができる。Cr層を形成した後、レジスト層30をその上のCr層と共に除去(リフトオフ)することによりパターン30aに対応するCr製の位置合せマーク32を基板12の上面に形成する。
【0029】
図5の工程では、所望の4個のレンズにそれぞれ対応するレジスト層R1〜R4をホトリソグラフィ処理により基板12の上面に形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク32を基準として処理を行なう。
【0030】
図6の工程では、レジスト層R1〜R4に加熱リフロー処理を施して各レジスト層が球面状凸部をなすようにする。そして、位置合せマーク32を覆うようにカプトンテープ等の保護層34を形成する。これは、図7のエッチング工程で位置合せマーク32が除去されるのを防ぐためである。
【0031】
図7の工程では、ドライエッチング処理によりレジスト層R1〜R4の球面凸状のレンズパターンを基板12の上面に転写して凸状のレンズL1〜L4を形成する。ドライエッチング処理では、CHF3,CF4又はC3F8等のフッ素系のエッチングガスあるいはこのガスにAr,O2又はH2等のガスを混合したエッチングガスを用いることができる。レンズL1〜L4を形成した後、保護層34を除去して位置合せマーク32を露呈させる。
【0032】
図8の工程では、基板12の上面においてレンズL1〜L4を含むレンズ列の一方側及び他方側に例えばレジストからなる位置決め層18,20をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク32を基準として処理を行なう。位置決め層18は、図14に示すような環状の平面パターンを有するように形成し、位置決め層20も位置決め層18と同様の平面パターンで形成する。位置決め層18.20は、サブミクロンの寸法精度で形成されると共に、L1等のレンズに対して良好な位置精度で形成される。
【0033】
図9の工程では、基板12の上面において位置決め層18,20の中央部にそれぞれ半貫通孔14A,16Aを精密ドリルにより形成する。ここで、半貫通孔とするのは、貫通孔にすると、精密ドリルが基板12を突き抜ける時に貫通孔の開口端部に欠けが生じ易く、これを防ぐためである。14A等の半貫通孔のサイズ(直径)は、P1等のガイドピンに対して余裕のあるサイズとし、例えばP1等のガイドピンの直径が0.7mmであれば、0.8mmとすることができる。
【0034】
図10の工程では、基板12の下面を半貫通孔14A,16Aの有効深さに達するまで研磨することにより半貫通孔14A,16Aをそれぞれ貫通孔14a,16aとする。
【0035】
図11の工程では、位置決め層18,20の内側孔18a,20aに環状の金属板22,24をそれぞれ嵌合する。図14には、位置決め孔18の内側孔18aに金属板22を嵌合した状態を上面図で示す。位置決め層20の内側孔20aに金属板24を嵌合した状態も図14に示したものと同様である。金属板22,24は、それぞれピン挿通孔22a,24aを有するもので、後述するように薄膜プロセスにより精度良く形成される。
【0036】
メッキ電極板40は、基板12の上面を覆うようなサイズ及び形状を有するもので、位置決め層18,20にそれぞれ嵌合可能な第1及び第2の下方突出部を有する。メッキ電極板40には、上面から第1の下方突出部を貫通するように第1のピン挿通孔40aが設けられると共に、上面から第2の下方突出部を貫通するように第2のピン挿通孔40bが設けられている。第1及び第2のピン挿通孔40a,40bは、例えばセラミックからなる非金属製の孔形成ピン42,44をそれぞれ挿通するためのものである。孔形成ピン42,44は、それぞれフランジ部42a,44aを有する。
【0037】
メッキ電極板40を第1及び第2の下方突出部が位置決め層18,20にそれぞれ嵌合される(金属板22,24の上にそれぞれ載置される)ようにして基板12の上面に重ねた後、孔形成ピン42をピン挿通孔40a,22aに挿通しつつ貫通孔14aを介して基板12の他方の主面側に延長する状態にすると共に、孔形成ピン44をピン挿通孔40b,24aに挿通しつつ貫通孔16aを介して基板12の他方の主面側に延長する状態にする。このとき、孔形成ピン42,44は、それぞれフランジ部42a,44aによりメッキ電極板40の上面に係止されて保持される。メッキ電極板40と基板12との間の隙間には、レジスト等のメッキマスク材を充填してメッキマスク層46を形成する。また、孔形成ピン42とピン挿通孔40aの内壁との間の隙間及び孔形成ピン44とピン挿通孔40bとの間の隙間にも、レジスト等のメッキマスク材を充填する。
【0038】
図12の工程では、図11に関して上記したようなメッキ準備状態でメッキ電極板40に通電し、金属板22,24をメッキ下地として例えばNi−Fe合金のメッキ処理を行なうことによりNi−Fe合金からなる金属層26,28を形成する。このとき、金属層26,28は、それぞれ貫通孔14a,16aの内壁を覆い且つ基板12の他方の主面側で貫通孔14a、16aの開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成する。
【0039】
図13の工程では、孔形成ピン42をピン挿通孔40a,22a及び金属層26から抜き取るとともに、孔形成ピン44をピン挿通孔40b,24a及び金属層28から抜き取る。そして、有機溶剤を用いてピン挿通孔40a,40b内のレジスト等のメッキマスク材を除去すると共にメッキマスク層46を除去することにより基板12の上面からメッキ電極板40を取外す。この結果、基板12の一方の主面にレンズL1〜L4、位置決め層18,20、金属板22,24を有すると共に金属層26,28の内側にピン挿通孔22a,24aにそれぞれ連続してガイドピン挿通孔14,16を有するマイクロレンズアレイ10が得られる。
【0040】
位置決め層18,20は、ネガレジストで構成されているため、通常の有機溶剤では除去されない。位置決め層18,20を残しておき、基板12の一方の主面(レンズL1〜L4の形成面)側に配置する光素子(レーザーダイオード、ホトダイオード等)との間のスペーサとして使用することができる。
【0041】
図15〜17は、金属板の製法の一例を示すものである。図15の工程では、例えば石英からなる基板11の一方の主面にCr層13及びCu層15を順次にスパッタ法で形成する。Cr層13及びCu層15の厚さは、それぞれ30nm及び300nmとすることができる。Cr層13は、Cu層15の密着性を向上させるためのもの、Cu層15は、メッキ下地層として用いられるものである。
【0042】
次に、Cu層15の上にレジスト層17をホトリソグラフィ処理により形成する。レジスト層17は、図17に示すピン挿通孔22aが外方に進むにつれて開口サイズを増大するのを可能にするために設けられるもので、円形状の平面パターンを有し且つピン挿通孔22aのサイズ(直径)より若干大きなサイズ(直径)を有するように形成する。この後、ホトリソグラフィ処理によりCu層の上にはレジスト層21を、レジスト層17の上にはレジスト層21aをそれぞれ形成する。レジスト層21は、図14,17に示す金属板22の外形に対応する円形状の孔21Aを有し且つレジスト層17を取囲むように形成する。レジスト層21aは、図14,17に示すピン挿通孔22aを形成するために設けられるもので、円形状の平面パターンを有し且つピン挿通孔22aのサイズ(直径)にほぼ等しいサイズ(直径)を有するように形成する。
【0043】
図16の工程では、レジスト層17,21,21aをマスクとしてNi−Fe合金の選択メッキ処理を行なうことによりNi−Fe合金からなる金属板22をCu層15の上に形成する。このとき、レジスト層21aの周辺では、レジスト層17の存在によりメッキ成長が遅れるため、金属板22のピン挿通孔22aは、外方に進むにつれて開口サイズが増大するように形成される。
【0044】
図17の工程では、薬液処理等によりレジスト層21,21a,17を除去する。そして、エッチング処理によりCu層15を除去して金属板22を基板11から分離する。この結果、ピン挿通孔22aを有する金属板22が得られる。図11に示した金属板24も、上記した金属板22と同様にしてサブミクロンの精度で作成することができる。Cr層13を有する基板11は、図15の工程に戻ってCu層15を形成することにより再使用することができる。
【0045】
図18〜31は、マイクロレンズアレイの製法の他の例を示すものである。図18の工程では、例えば石英からなる透光基板12の一方の主面(基板12の上面)に図3,4に関して前述したと同様にして位置合せマーク32を形成する。
【0046】
次に、基板12の上面にレジスト層R11〜R14とレジストからなる位置決め層18,20とをホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク32を基準として処理を行なう。レジスト層R11〜R14は、所望の4個のレンズにそれぞれ対応するものである。位置決め層18は、図14に示したような環状の平面パターンを有するように形成する。位置決め層18において、幅mは100μm、内側孔18aの直径は0.8mmとすることができる。位置決め層20も位置決め層18と同様に形成する。
【0047】
図19の工程では、レジスト層R11〜R14及び位置決め層18,20に加熱リフロー処置を施して各レジスト層が球面状凸部をなすようにすると共に各位置決め層の幅方向の断面が半円状をなすようにする。
【0048】
図20の工程では、基板12の上面に位置合せマーク32を覆ってカプトンテープ等の保護層34を形成する。これは、図21のエッチング工程で位置合せマークが除去されるのを防ぐためである。
【0049】
図21の工程では、図7に関して前述したと同様にドライエッチング処理を行なうことによりレジスト層R11〜R14の球面凸状レンズパターンを基板12の上面に転写して凸状のレンズL1〜L4を形成する。また、このときのドライエッチング処理により位置決め層18,20の環状パターンを基板12の上面に転写して環状の位置決め凸部58,60を形成する。位置決め凸部58,60は、図20に示す位置決め層18,20の断面形状にそれぞれ対応して幅方向の断面が半円状となる。ドライエッチング処理の後、保護層34を除去して位置合せマーク32を露呈させる。
【0050】
図22の工程では、精密ドリルDRを用いて環状の位置決め凸部58,60の内側孔に半貫通孔14A,16Aをそれぞれ形成する。半貫通孔14A,16Aの直径は、それぞれ位置決め凸部58,60の内側孔の直径(例えば0.8mm)にほぼ等しくすることができる。
【0051】
図23の工程では、基板12の下面を半貫通孔14A,16Aの有効深さに達するまで研磨することにより半貫通孔14A,16Aをそれぞれ貫通孔14a,16aとする。貫通孔14a,16aは、位置決め凸部58,60の内側孔にそれぞれ連続して形成されるので、いずれも基板12の上面側で外方に進むにつれて開口サイズが増大する形状となる。図23の工程では、一方の主面にレンズL1〜L4及び位置決め凸部58,60を有すると共に一方の主面から他方の主面に貫通する貫通孔14a,16aを有する基板12が得られる。
【0052】
図24の工程では、例えば石英からなる固定板62を用意する。固定板62の上面には、図32に示すように下から順にCr層64a,Cu層64b及びレジスト層64cを重ねてレジスト/Cu/Cr積層64を形成する。ここで、Cr層64a及びCu層64bは、図15に関して前述したと同様にスパッタ法によりそれぞれ30nm及び300nmの厚さに形成する。レジスト層64cは、塗布法により2μmの厚さに形成する。レジスト層64cを接着層として用いて図23の基板12の下面を固定板62の上面に接着し、固定する。このときの固定状態は、図25に示されている。
【0053】
図25の工程では、基板12の上面に位置合せマーク32、レンズL1〜L4及び貫通孔14a,16aを覆ってレジスト層66を塗布する。
【0054】
図26の工程では、レジスト層66に露光・現像処理を施してレジスト層66をパターニングすることにより貫通孔14a,16a内にレジスト層66a,66bをそれぞれ形成する。レジスト層66a,66bは、図30に示すガイドピン挿通孔14,16をそれぞれ形成するために設けられるもので、それぞれ貫通孔14a,16aより小さいサイズ(直径)で形成する。現像処理においては、図32に示すようにレジスト層64cがレジスト層66aの周辺で環状にエッチングされる。このことは、レジスト層66bの周辺についても同様である。
【0055】
図27の工程では、基板12の上面に位置合せマーク32、レンズL1〜L4、貫通孔14a,16a及びレジスト層66a,66bを覆ってレジスト層68を塗布する。
【0056】
図28の工程では、レジスト層68に露光・現像処理を施してレジスト層68をパターニングすることにより貫通孔14a,16a内に(レジスト層66a,66bの上に)レジスト層68a,68bをそれぞれ形成する。レジスト層68aは、図32に示すガイドピン挿通孔14の一方の開口部14pを形成するために設けられるもので、開口部14pの開口サイズ(直径)が外方に進むにつれて増大するのを可能にするためレジスト層66aより若干小さいサイズ(直径)で形成する。このことは、レジスト層68bについても同様である。現像処理においては、図32に示すようにレジスト層66aの形成時と同様にレジスト層66aの周辺でレジスト層64cが環状にエッチングされる。このことは、レジスト層66bの周辺についても同様である。
【0057】
図26,28の現像処理の結果として、レジスト層64cの一部64c0がレジスト層66aの下にレジスト層64cから分離して存在するようになる。また、レジスト層66aの下でレジスト層64c0の外周部がサイドエッチを受けるため、レジスト層64c0は、レジスト層66aより若干小さいサイズ(直径)Qを有するようになる。さらに、基板12の下でレジスト層64cの内周部がサイドエッチを受けるため、レジスト層64cの内側孔のサイズ(直径)は、貫通孔14aのサイズ(直径)より若干大きくなる。レジスト層64c0のサイズQは、一例として0.7mmとすることができる。レジスト層68aのサイズ(直径)Pは、レジスト層64c0のサイズQより若干大きくする(P>Q)。レジスト層64cの接着時の温度条件によっては、レジスト層64c0の外周部及びレジスト層64cの内周部のいずれも殆どサイドエッチが生じないようにすることも可能である。この場合、図28に示すように貫通孔14a,16aの下部形状がいずれもストレート状となる。レジスト層66bの下部周辺のエッチング状況も、レジスト層66aに関して上記したと同様である。
【0058】
図29の工程では、基板12及びレジスト層66a,66b,68a,68bをマスクとして例えばNi−Fe合金の選択メッキ処理を行なうことによりNi−Fe合金からなる金属層72,74を貫通孔14a,16aの内側にそれぞれ形成する。貫通孔14aに関するこのときのメッキ状況を図32に示す。金属層72は、貫通孔14aの内壁を覆って形成され、レジスト層66aの外径に相当するサイズ(直径)のガイドピン挿通孔14を有する。
【0059】
基板12の一方の主面側では、金属層72が位置決め凸部58の内周部(開口サイズが徐々に増大する部分)を覆って形成され、レジスト層68aの外径に相当するサイズ(直径)の開口部14pを有する。開口部14pは、ガイドピン挿通孔14の一方の開口部を構成する。金属層72が位置決め凸部58の内周部を覆って形成される際にレジスト層68aの周辺ではレジスト層66aの存在によりメッキ成長が遅れるため、金属層72は、外方に進むにつれて開口サイズ(直径)が増大するように形成される。
【0060】
基板12の他方の主面側では、金属層72が貫通孔14aの開口周辺部を覆って(フランジ部をなすように)形成され、レジスト層64c0の外径に相当する開口部14qを有する。開口部14qは、ガイドピン挿通孔14の他方の開口部を構成する。レジスト層66b,68bの周辺のメッキ状況も、レジスト層66a,68aに関して上記したと同様である。
【0061】
図30の工程では、薬液処理等によりレジスト層68a,68b,66a,66bを除去して金属層72,74にそれぞれガイドピン挿通孔14,16を付与する。このとき、図32に示すレジスト層64c0も除去する。
【0062】
図31の工程では、図32に示すCu層64bをエッチング処理により除去して基板12を固定板62から分離する。そして、図32に示すレジスト層64cを基板12から薬液処理等により除去する。この結果、図31に示すように基板12の一方の主面にレンズL1〜L4及び位置決め凸部58,60を有すると共に基板12の貫通孔14a,16a内に金属層72,74によりガイドピン挿通孔14,16をそれぞれ形成したマイクロレンズアレイが得られる。
【0063】
図31の工程で得られたマイクロレンズアレイは、図1,2に示したマイクロレンズアレイ10と同様にガイドピン挿通孔14,16にそれぞれガイドピンを挿通して他の光部品に結合することができる。薄膜プロセスを用いているため、開口部14p,14qを有するガイドピン挿通孔14を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0064】
ガイドピンを14等のガイドピン挿通孔に抜き差しする際には、ガイドピンが72等の金属層に接触するため、石英からなる基板12において14a等の貫通孔の開口端部で割れや欠けが生ずるのを防止することができる。また、72等の金属層は、基板12の一方の主面側で位置決め凸部58と重なるフランジ部で係止されると共に、基板12の他方の主面側で貫通孔14aの開口端周辺部に重なるフランジ部で係止されるので、ガイドピンの抜き差しにより72等の金属層が脱落するのを防止することができる。さらに、開口部14pを外方に進むにつれて開口サイズが大きくなるように形成すると共に、開口部14pを開口部14qより若干サイズが大きくなるように形成したので、14等のガイドピン挿通孔にガイドピンを挿通するのが容易になると共に精密な嵌合が可能になる。
【0065】
図33は、マイクロレンズアレイのメッキ部の変形例を示すもので、図32と同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
図33に示すメッキ部が図32に示すメッキ部と異なる点は、基板12の一方の主面において位置決め凸部58を設ける代りに貫通孔14aの開口部を外方に進むにつれて開口サイズが増大する開口部12aとしたことである。
【0067】
開口部12aを形成するには、図21のエッチング工程の後、図22の工程において、位置合せマーク32を基準としてホトリソグラフィ処理により(レジスト層を用いて)孔あけ位置を決定し、決定に係る孔あけ位置に精密ドリルDRを用いて半貫通孔を形成する。そして、半貫通孔の開口端の角部を露呈するようにレジスト層を形成した後、このレジスト層をマスクとするエッチング処理に半貫通孔の開口端の角部を除去して開口部12aを得る。この後の工程は、図23〜31に関して前述したと同様である。図22の工程では、精密ドリルによる孔あけの代りに、レジスト層をマスクとする選択的ドライエッチング処理により半貫通孔を形成してもよい。このとき、マスク用のレジスト層は、位置合せマーク32を基準としてホトリソグラフィ処理により形成する。
【0068】
図33に示すメッキ部において、金属層72が開口部12aを覆って形成される際にレジスト層68aの周辺ではレジスト層66aの存在によりメッキ成長が遅れるため、金属層72は、外方に進むにつれて開口サイズ(直径)が増大するように形成される。図33のメッキ部に基づくガイドピン挿通孔14についても、図32のメッキ部に基づくガイドピン挿通孔14に関して前述したと同様の作用効果が得られる。
【0069】
図34は、この発明の他の実施形態に係るコンタクトプローブを示すもので、図35には、図34のB−B’線断面を示す。コンタクトプローブは、LSI等の試験・評価に用いられる。
【0070】
コンタクトプローブ80は、例えばアルミナからなる台形状のプローブ基板82を備え、基板82には、ガイドピン挿通孔84,86が設けられている。基板82の一方の主面において、平行な二辺のうちの長辺の近傍には、例えばレジストからなる位置決め層88,90が設けられている。位置決め層88の中央部には、図35に示すように基板82の一方の主面から他方の主面に貫通するように貫通孔84aが設けられており、位置決め層90の中央部にも、貫通孔84aと同様の貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0071】
基板82の一方の主面において、位置決め層88,90の内側孔には、環状の金属板92,94がそれぞれ嵌合されている。貫通孔84aの内壁は、図35に示すように金属層96で覆われており、金属層96がガイドピン挿通孔84を形成している。位置決め層90の中央部に設けた貫通孔の内壁も、貫通孔84aの内壁と同様に金属層98で覆われており、金属層98がガイドピン挿通孔86を形成している。金属層96,98は、基板82の一方の主面側でそれぞれ金属板92,94に連続している。金属層96は、基板82の他方の主面側で貫通孔84aの開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成されており、金属層98も、基板82の他方の主面側で貫通孔84aと同様の貫通孔の開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0072】
基板82の他方の主面には、平行な二辺のうちの短辺から突出するように10本のコンタクトピン100が形成されると共に、これらのコンタクトピンとそれぞれ一体をなす配線層(図示せず)が形成されている。一例として、各コンタクトピン及び各配線層は、いずれもNi−Fe合金からなっている。
【0073】
コンタクトプローブ80について寸法例を示すと、次の通りである。基板82において、平行な二辺のうちの長辺の長さMは20mm、平行な二辺間の一辺の長さNは15mm、厚さqは1mmとすることができる。また、88等の位置決め層の厚さtは80μm、コンタクトピン100のピッチ(隣り合うコンタクトピンの中心間の距離)pは40μmとすることができる。
【0074】
コンタクトプローブ80において、ガイドピン挿通孔84,86は、図8〜17に関して前述した工程により寸法及び位置の精度良く形成することができる。別の方法としては、図22〜33に関して前述した工程によってもガイドピン挿通孔84,86を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0075】
コンタクトプローブ80は、ガイドピン挿通孔にそれぞれガイドピンを挿通した状態で各ガイドピンをプローブアームのガイドピン挿通孔に挿通し、固定することでプローブアームに取付けることができる。ガイドピン挿通孔84,86については、ガイドピン挿通孔14,16について前述したと同様の作用効果が得られ、特にコンタクトプローブ80を交換する際にガイドピンの抜き差しによりガイドピン挿通孔84,86の開口端部で割れや欠けが生ずるのを防止できる効果が得られる。
【0076】
図36は、この発明の更に他の実施形態に係る電気泳動分析器を分解状態で示すものである。電気泳動分析器は、極微量のたんぱく質や核酸などを高速且つ高分解能で分析するために用いられる。
【0077】
電気泳動分析器110は、光検出器112、シリンドリカルレンズ120、電気泳動マイクロチップ140及びシリンドリカルレンズ170を備えている。光検出器112は、パッケージ112A内にホトセルアレイ114を収容したもので、パッケージ112Aの側部には、ホトセルアレイ114に接続された多数の端子116が設けられている。
【0078】
シリンドリカルレンズ120は、長方形状のレンズ基板(透光基板)120Aにレンズ部122を設けたもので、基板120Aには、対角線上の2つの角部の近傍にそれぞれガイドピン挿通孔124,126が設けられている。ガイドピン挿通孔124,126の断面構造は、図2に示したガイドピン挿通孔14,16の断面構造と同様であり、128,130が例えばレジストからなる位置決め層、132,134が位置決め層128,130の内側孔にそれぞれ嵌合された金属板、136,138が基板120Aの2つの貫通孔の内壁をそれぞれ覆って形成された金属層である。金属層136,138は、図2に示した金属層26と同様に基板120Aの一方の主面側ではそれぞれ金属板132,134にそれぞれ連続し、基板120Aの他方の主面側では2つの貫通孔の開口端周辺部をそれぞれ覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0079】
マイクロチップ140は、第1及び第2の透光板を重ね合わせて構成されたチップ基板(透光基板)140Aを備えている。第1の透光板の表面には、長いキャピラリー溝142と、この溝142につながる短いキャピラリー溝144a,144bとが形成されている。第2の透光板には、キャピラリー溝142の一端と、キャピラリー溝144aの一端と、キャピラリー溝144bの一端と、キャピラリー溝142の他端とにそれぞれ対応してリザーバ孔146a,146b,146c,146dが設けられており、このような溝とリザーバ孔との対応関係を確保した状態で第2の透光板が第1の透光板の表面に重ね合わされ、固定される。
【0080】
長方形状のチップ基板140Aには、レンズ基板120Aのガイドピン挿通孔124,126とそれぞれ対応する位置にガイドピン挿通孔148,150が形成されている。ガイドピン挿通孔148,150の断面構造は、図2に示したガイドピン挿通孔14,16の断面構造と同様であり、152,154が例えばレジストからなる位置決め層、156,158が位置決め層152,154の内側孔にそれぞれ嵌合された金属板、160,162が基板140Aの2つの貫通孔の内壁をそれぞれ覆って形成された金属層である。金属層160,162は、図2に示した金属層26と同様に基板140Aの一方の主面側では金属板156,158にそれぞれ連続し、基板140Aの他方の主面側では2つの貫通孔の開口端周辺部をそれぞれ覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0081】
シリンドリカルレンズ170は、長方形状のレンズ基板(透光基板)170Aにレンズ部172を設けたもので、チップ基板140Aのガイドピン挿通孔148,150とそれぞれ対応する位置にガイドピン挿通孔174,176が設けられている。ガイドピン挿通孔174,176の断面構造は、図2に示したガイドピン挿通孔14,16の断面構造と同様であり、178,180が例えばレジストからなる位置決め層、182,184が位置決め層178,180の内側孔にそれぞれ嵌合された金属板、186,188が基板170Aの2つの貫通孔の内壁をそれぞれ覆って形成された金属層である。金属層186,188は、図2に示した金属層26と同様に基板170Aの一方の主面側では金属板182,184にそれぞれ連続し、基板170Aの他方の主面側では2つの貫通孔の開口端周辺部をそれぞれ覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0082】
マイクロチップ140について寸法例を示すと、次の通りである。基板140Aにおいて、長さLは60mm、幅Wは30mm、146a等のリザーバ孔の直径及び深さはいずれも1mm、142等のキャピラリ−溝の幅及び深さはそれぞれ50μm及び10μm、148等のガイドピン挿通孔の内径は1mmとすることができる。基板120Aの124等のガイドピン挿通孔の内径及び基板170Aの174等のガイドピン挿通孔の内径は、いずれも1mmとすることができる。
【0083】
シリンドリカルレンズ120,170及びマイクロチップ140において、ガイドピン挿通孔124,126,148,150,174,176は、図8〜17に関して前述した工程により寸法及び位置の精度良く形成することができる。別の方法としては、図22〜33に関して前述した工程によってもガイドピン挿通孔124,126,148,150,174,176を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0084】
電気泳動分析器110を組立てる際には、第1のガイドピン(図示せず)をガイドピン挿通孔124と、スペーサS1の孔S11と、ガイドピン挿通孔148と、スペーサS3の孔S31と、ガイドピン挿通孔174とに挿通すると共に、第2のガイドピン(図示せず)をガイドピン挿通孔126と、スペーサS2の孔S21と、ガイドピン挿通孔150と、スペーサS4の孔S41と、ガイドピン挿通孔176とに挿通する。このようなガイドピン挿通状態において、シリンドリカルレンズ120とマイクロチップ140とをスペーサS1,S2を介して接近配置すると共に、マイクロチップ140とシリンドリカルレンズ170とをスペーサS3,S4を介して接近配置し、このような位置合せ・接近状態においてシリンドリカルレンズ120、マイクロチップ140及びシリンドリカルレンズ170を固定手段(図示せず)で固定する。この後、固定されたレンズ120、チップ140及びレンズ170を含むアセンブリをレンズ120側にて光検出器112と光学的に結合する。
【0085】
142等のキャピラリ−溝の幅が50μm程度である場合、マイクロチップ140に対する120等の各シリンドリカルレンズの位置決め精度は、数μm以内であることが望ましい。上記のようにガイドピン挿通孔124,148,174と、ガイドピン挿通孔126,150,176とにそれぞれガイドピンを挿通して位置決めを行なうと、チップ140に対する120等の各レンズの位置決めを数μm以内の精度で行なうことができる。
【0086】
電気泳動分析器110を使用する際には、リザーバ孔146a〜146dのいずれかからキャピラリー溝142,144a,144bに泳動液を注入する。そして、リザーバ孔146b,146cのいずれかから試料を注入した後、リザーバ孔146b,146cにそれぞれ電極を差し込んで所定時間だけ高電圧を印加することにより試料をキャピラリー溝144a,144b中に分散させる。この後、リザーバ孔146a,146bにそれぞれ電極を差し込んで泳動電圧を印加することにより試料をキャピラリー溝142内で電気泳動させる。
【0087】
このような状態において、紫外平行光UVをシリンドリカルレンズ170を介してキャピラリー溝142に入射させ、溝142の通過光をシリンドリカルレンズ120を介してホトセルアレイ114に入射させる。ホトセルアレイ114を用いて紫外光の吸収を検知して目的成分を検出する。このような分析処理の後、シリンドリカルレンズ120,170及びマイクロチップ140を含むアセンブリにおいては、光検出器との結合を解くと共に固定手段を取外し、さらにガイドピン挿通孔124,148,174と、ガイドピン挿通孔126,150,176とからそれぞれガイドピンを抜き取ってレンズ120,170及びチップ140等の構成部品に分解し、各構成部品を洗浄することができる。ガイドピン挿通孔124,126,148,150,174,176については、ガイドピン14,16について前述したと同様の作用効果が得られ、特に各ガイドピン挿通孔の開口端部でガイドピンの抜き差しにより割れや欠けが生ずるのを防止できる効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、非金属製の基板に設けた貫通孔の内壁を金属層で覆ってガイドピン挿通孔を形成するようにしたので、基板を石英等で構成しても、ガイドピンの抜き差しに伴ってガイドピン挿通孔に割れや欠けが生ずるのを防止できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線に沿う断面図である。
【図3】この発明に係るマイクロレンズアレイの製法の一例におけるレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図4】図3の工程に続くスパッタ工程及びリフトオフ工程を示す断面図である。
【図5】図4の工程に続くレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図6】図5の工程に続く加熱リフロー工程及び保護層形成工程を示す断面図である。
【図7】図6の工程に続くドライエッチング工程を示す断面図である。
【図8】図7の工程に続く位置決め層形成工程を示す断面図である。
【図9】図8の工程に続く孔あけ工程を示す断面図である。
【図10】図9の工程に続く裏面研磨工程を示す断面図である。
【図11】図10の工程に続くメッキ準備工程を示す断面図である。
【図12】図11の工程に続くメッキ工程を示す断面図である。
【図13】図12の工程に続くメッキ用具除去工程を示す断面図である。
【図14】位置決め層の内側孔に金属板を嵌合した状態を示す上面図である。
【図15】金属板の製法の一例におけるレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図16】図15の工程に続くメッキ工程を示す断面図である。
【図17】図16の工程に続くレジスト除去工程及び金属板分離工程を示す断面図である。
【図18】この発明に係るマイクロレンズアレイの製法の他の例におけるレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図19】図18の工程に続く加熱リフロー工程を示す断面図である。
【図20】図19の工程に続く保護層形成工程を示す断面図である。
【図21】図20の工程に続くドライエッチング工程を示す断面図である。
【図22】図21の工程に続く孔あけ工程を示す断面図である。
【図23】図22の工程に続く裏面研磨工程を示す断面図である。
【図24】図23の工程に続く基板固定工程を示す断面図である。
【図25】図24の工程に続くレジスト塗布工程を示す断面図である。
【図26】図25の工程に続くレジストパターニング工程を示す断面図である。
【図27】図26の工程に続くレジスト塗布工程を示す断面図である。
【図28】図27の工程に続くレジストパターニング工程を示す断面図である。
【図29】図28の工程に続くメッキ工程を示す断面図である。
【図30】図29の工程に続くレジスト除去工程を示す断面図である。
【図31】図30の工程に続く基板分離工程を示す断面図である。
【図32】メッキ部を示す拡大断面図である。
【図33】メッキ部の変形例を示す拡大断面図である。
【図34】この発明の他の実施形態に係るコンタクトプローブを示す斜視図である。
【図35】図34のB−B’線に沿う断面図である。
【図36】この発明の更に他の実施形態に係る電気泳動分析器を示す分解斜視図である。
【図37】従来のマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【符号の説明】
10:マイクロレンズアレイ、12:透光基板、14a,16a,84a:貫通孔、14,16,84,86,124,126,148,150,174,176:ガイドピン挿通孔、18,20,88,90,128,130,152,154,178,180:位置決め層、30,66,68,R1〜R4,R11〜R14:レジスト層、22,24,92,94,132,134,156,158,182,184:金属板、26,28,72,74,96,98,136,138,160,162,186,188:金属層、32:位置合せマーク、34:保護層、40:メッキ電極板、42,44:孔形成ピン、46:メッキマスク層、58,60:位置決め凸部、62:固定板、64:レジスト/Cu/Cr積層、80:コンタクトプローブ、82:プローブ基板、100:コンタクトピン、110:電気泳動分析器、112:光検出器、120,170:シリンドリカルレンズ、140:電気泳動マイクロチップ、L1〜L4:レンズ、P1,P2:ガイドピン、S1〜S4:スペーサ。
【発明の属する技術分野】
この発明は、マイクロレンズアレイ等のガイドピン挿通孔付き部品とその製法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ガイドピン挿通孔を有するマイクロレンズアレイは、本願と同一の出願人により既に提案されている(特願2002−305996号参照)。
【0003】
図37は、この種のマイクロレンズアレイの一例を示すもので、このマイクロレンズアレイは、透光基板1を備えている。基板1の一方の主面には、レジストからなる球面凸状のレンズパターンをドライエッチング処理により転写することにより凸状のレンズQ1〜Q4が設けられている。
【0004】
基板1において、レンズQ1〜Q4を含むレンズ列の一方側及び他方側には、選択的ドライエッチング処理等を含む薄膜プロセスによりガイドピン挿通孔2,3が設けられている。これらの孔2,3は、基板1の一方の主面側において開口端部2a,3aがいずれも外方に進むにつれてサイズが増大するように形成されている。これは、ガイドピンの挿通を容易にするためである。
【0005】
図37に示すマイクロレンズアレイを光ファイバアレイ等の光部品に結合するには、ガイドピン挿通孔2,3にガイドピンをそれぞれ挿通した状態で各々のガイドピンを光部品側の2つのガイドピン挿通孔(又は溝)に挿通し、必要に応じて接着剤等により固定すればよい。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記した従来技術によると、薄膜プロセスによりガイドピン挿通孔2,3を形成するため、孔2,3の寸法及び位置の精度としては高精度が得られる。しかしながら、基板1を石英で構成した場合、孔2,3にガイドピンを抜き差しすると、孔2,3に割れや欠けが生じ易いという問題点がある。
【0007】
この発明の目的は、ガイドピンの抜き差しに伴う割れや欠けを防止したガイドピン挿通孔付き部品とその製法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るガイドピン挿通孔付き部品は、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が設けられた非金属製の基板と、
前記貫通孔よりサイズが小さいガイドピン挿通孔を形成するように前記貫通孔の内壁を覆う金属層と
を備えたものである。
【0009】
この発明のガイドピン挿通孔付き部品によれば、例えば石英等の非金属製の基板に設けた貫通孔の内壁を覆う金属層によりガイドピン挿通孔を形成したので、ガイドピン挿通孔にガイドピンを抜き差しする際にはガイドピンが金属層に接触するようになり、基板を石英等で構成しても、ガイドピン挿通孔に割れや欠けが生ずるのを防止することができる。
【0010】
この発明のガイドピン挿通孔付き部品において、前記基板の2つの主面のうちいずれか一方の主面には前記貫通孔よりサイズが小さいピン挿通孔を有する金属板を前記貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つ前記ピン挿通孔を前記貫通孔に位置合せするように配置すると共に、前記金属板に連続して前記金属層を形成し、前記基板の他方の主面において前記貫通孔の他方の開口端周辺部を覆うように前記金属層を形成してもよい。このようにすると、金属層は、基板の一方の主面では金属板により貫通孔の一方の開口端周辺部に係止されると共に、基板の他方の主面では金属層の一部により貫通孔の他方の開口端周辺部に係止される。従って、基板には金属層が強固に固定されることになり、ガイドピン挿通孔にガイドピンを抜き差しする際に金属層が基板から脱落するのを防止することができる。
【0011】
この発明のガイドピン挿通孔付き部品において、前記基板の2つの主面のうちいずれの主面においても前記貫通孔の開口端周辺部を覆うように前記金属層を形成してもよい。このようにすると、金属層は、基板のいずれの主面においても金属層の一部によりガイドピン挿通孔の開口端周辺部に係止される。従って、基板には金属層が強固に固定されることになり、ガイドピン挿通孔にガイドピンを抜き差しする際に金属層が基板から脱落するのを防止することができる。
【0012】
この発明に係る第1のガイドピン挿通孔付き部品の製法は、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が設けられた非金属製の基板を用意する工程と、
前記基板の2つの主面のうちいずれか一方の主面において前記貫通孔よりサイズが小さいピン挿通孔を有する金属板を前記貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つ前記ピン挿通孔を前記貫通孔に位置合せするように配置すると共に、非金属製の孔形成ピンを前記金属板のピン挿通孔に嵌合しつつ前記貫通孔を介して前記基板の他方の主面側に延長するように配置する工程と、
前記金属板を前記のように配置すると共に前記孔形成ピンを前記のように配置した状態において前記金属板をメッキ下地として金属メッキ処理を行なうことにより前記貫通孔の内壁を覆うメッキ金属からなる金属層を形成する工程と、
前記金属板のピン挿通孔及び前記金属層から前記孔形成ピンを取外して前記金属層に前記孔形成ピンの太さに相当するサイズを有するガイドピン挿通孔を付与する工程と
を含むものである。
【0013】
第1のガイドピン挿通孔付き部品の製法によれば、基板の一方の主面においてピン挿通孔を有する金属板を貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つピン挿通孔を貫通孔に位置合せするように配置すると共に、非金属製の孔形成ピンを金属板のピン挿通孔に嵌合しつつ貫通孔を介して基板の他方の主面側に延長するように配置した状態で金属板をメッキ下地として金属メッキ処理を行なうことにより貫通孔内にガイドピン挿通孔を有する金属層を形成するので、孔形成ピンの寸法及び位置に対応してガイドピン挿通孔を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0014】
第1のガイドピン挿通孔付き部品の製法において、前記金属板を配置する工程では、前記金属板として、前記ピン挿通孔を前記貫通孔側とは反対側にて外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したものを用いてもよい。このようにすると、金属板のピン挿通孔に孔形成ピンを嵌合するのが容易になると共に精密な嵌合が可能となり、ガイドピン挿通孔の形成精度が一層向上する。また、金属板を残しておいてガイドピンの挿入口とすることでガイドピン挿入が容易となる。
【0015】
この発明に係る第2のガイドピン挿通孔付き部品の製法は、
固定板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が形成された非金属製の基板を接着層を介して前記メッキ下地層に接着することにより前記基板を前記固定板に固定する工程と、
前記基板を前記固定板に固定した状態において前記貫通孔の内部に前記貫通孔のサイズより細く且つ前記基板の2つの主面間の厚さより厚いレジスト層をホトリソグラフィ処理により形成すると共に、前記レジスト層をマスクとする除去処理により前記レジスト層の周辺で前記接着層を選択的に除去して前記メッキ下地層の一部を前記レジスト層を取囲むようなパターンで露呈させ且つ前記レジスト層の下に前記接着層の一部を残存させる工程と、
前記レジスト層及びその下の前記接着層の一部と、前記接着層と、前記基板とをマスクとして前記メッキ下地層に金属メッキ処理を施すことにより前記貫通孔の内壁を覆うメッキ金属からなる金属層を形成する工程と、
前記レジスト層及びその下の前記接着層の一部を除去して前記金属層にガイドピン挿通孔を付与する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記基板を前記金属層に前記ガイドピン挿通孔が付与された状態で前記固定板から分離する工程と、
前記基板から前記接着層を除去する工程と
を含むものである。
【0016】
第2のガイドピン挿通孔付き部品の製法によれば、固定板上のメッキ下地層に接着層で固定した基板の貫通孔内にホトリソグラフィ処理によりレジスト層を形成すると共にこのレジスト層をマスクとする除去処理により接着層を選択的に除去してメッキ下地層をレジスト層を取囲むようなパターンで露呈させ且つレジスト層の下に接着層の一部を残存させた後、レジスト層及びその下の接着層の一部と、接着層と、基板とをマスクとしてメッキ下地層に金属メッキ処理を施すことにより貫通孔内にガイドピン挿通孔を有する金属層を形成するので、レジスト層及びその下の接着層の一部を含む積層体の寸法及び位置に対応してガイドピン挿通孔を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0017】
第2のガイドピン挿通孔付き部品の製法において、前記基板を前記固定板に固定する工程では、前記基板として、前記貫通孔を前記固定板に接着する側とは反対側にて外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したものを用い、前記レジスト層を形成する工程では、前記レジスト層を下方レジスト層及び上方レジスト層の積層として形成すると共に上方レジスト層を下方レジスト層より細く形成するようにしてもよい。このようにすると、金属メッキ処理では上方レジスト層の周辺でメッキ成長が遅れると共に貫通孔の開口端部が外方に進むにつれてサイズを増大する形状になっているため、ガイドピン挿通孔は、外方に進むにつれてサイズが増大するように形成される。従って、ガイドピン挿通孔にガイドピンを挿入するのが容易となる。
【0018】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態に係るマイクロレンズアレイを示すもので、図1のA−A’線断面は、図2に示されている。
【0019】
マイクロレンズアレイ10は、例えば石英からなる非金属製の透光基板12と、この基板12の一方の主面に一列状に設けられた球面凸状のレンズL1〜L4とを備えている。L1等の各レンズは、レジストからなる球面凸状のレンズパターンをドライエッチング処理により基板12の一方の主面に転写することにより形成される。
【0020】
基板12の一方の主面において、レンズL1〜L4を含むレンズ列の一方側及び他方側には、例えばレジストからなる環状の位置決め層18,20が設けられている。位置決め層18,20は、ホトリソグラフィ処理により寸法精度良く(サブミクロンの精度で)形成されるもので、レンズL1〜L4に対する位置精度も良好である。位置決め層18,20の中央部には、精密ドリル等を用いてガイドピン挿通孔形成用の貫通孔14a,16aがそれぞれ形成される。貫通孔14a,16aは、いずれも基板12の一方の主面から他方の主面に貫通するように形成される。
【0021】
基板12の一方の主面において、位置決め層18,20の内側孔18a,20aには、例えばNi−Fe合金からなる環状の金属板22,24が嵌合されている。金属板22,24は、それぞれピン挿通孔22a,24aを有するもので、薄膜プロセスによりサブミクロンの精度で形成される。ピン挿通孔22a,24aは、それぞれ貫通孔14a,16aより小さいサイズ(直径)を有するもので、いずれも貫通孔側とは反対側で外方に進むにつれてサイズが増大するように形成されている。
【0022】
例えばNi−Fe合金からなる金属層26,28は、貫通孔14a,16aの内壁をそれぞれ覆うもので、このような被覆状態においてガイドピン挿通孔14,16をそれぞれ形成している。ガイドピン挿通孔14,16は、それぞれ金属層26,28の厚さに相当する分だけ貫通孔14a,16aより小さいサイズ(直径)を有する。金属層26,28は、金属板22,24にそれぞれ連続して形成されるもので、基板12の他方の主面ではそれぞれ貫通孔14a,16aの開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成される。このような金属層26を形成するためには、一例として、ピン挿通孔22aに非金属製の孔形成ピンを挿通しつつ該孔形成ピンを貫通孔14aを介して基板12の他方の主面側に延長した状態で金属板22をメッキ下地としてメッキ処理を行ない、この後ピン挿通孔22a及び金属層26から孔形成ピンを取外すようにすればよい。これと同様にして金属層28も形成することができる。ガイドピン挿通孔14,16は、それぞれピン挿通孔22a,24aとほぼ等しいサイズ(直径)を有し且つそれぞれピン挿通孔22a,24aに連続するように形成される。マイクロレンズアレイ10の使用時において、ガイドピン挿通孔14,16には、それぞれガイドピンP1,P2が挿通される。ガイドピンP1,P2は、いずれもステンレススチール又はセラミック等からなるものである。
【0023】
上記したマイクロレンズアレイ10について図1,2を参照して寸法例を示すと、次の通りである。基板12において、長さaは6.5mm、幅bは1.5mm、厚さkは0.5mmとすることができる。L1等の各レンズの開口径は0.24mm、レンズL1,L4の中心間の距離cは0.75mm、L1,L2等の隣り合うレンズ間のピッチ(中心間の距離)eは0.25mmとすることができる。18等の位置決め層において、内径hは2.0mm、外径fは2.4mm、厚さjは0.08mmとすることができる。14等のガイドピン挿通孔の直径gは0.7mm、ガイドピン挿通孔14,16の中心間の距離dは4.6mm、14a等の貫通孔のフランジ部の外径iは1mm、P1等のガイドピンの直径は0.7mmとすることができる。
【0024】
マイクロレンズアレイ10を光ファイバアレイ等の光部品に結合するには、ガイドピン挿通孔14,16にガイドピンP1,P2をそれぞれ挿通した状態でガイドピンP1,P2を光部品側の2つのガイドピン挿通孔(又は溝)に挿通し、必要に応じて接着剤等により固定する。18等の位置決め層に対する22等の金属板の位置決め誤差は、1μm程度であり、これにP1等のガイドピンの外径精度及び22a等のピン挿通孔の寸法精度を加えても、L1等のレンズの中心に対して2μm以下の精度でP1等のガイドピンを固定可能である。
【0025】
P1等のガイドピンを14等のガイドピン挿通孔に抜き差しする際には、P1等のガイドピンが26等の金属層に接触するため、石英からなる基板12において14a等の貫通孔の開口端部で割れや欠けが生ずるのを防止することができる。また、26等の金属層は、基板12の一方の主面側で22等の金属板により係止されると共に、基板12の他方の主面側で26等の金属層のフランジ部により係止されるので、P1等のガイドピンの抜き差しにより26等の金属層が脱落するのを防止することができる。さらに、22a等のピン挿通孔を貫通孔側とは反対側で外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したので、22a等のピン挿通孔に孔形成ピンを挿通するのが容易になると共に精密な嵌合が可能となり、しかも14等のガイドピン挿通孔にP1等のガイドピンを挿通するのが容易になると共に精密な嵌合が可能になる。
【0026】
次に、図3〜13を参照して上記のようなマイクロレンズアレイの製法の一例を説明する。図3〜13において、図1,2と同様の部分には同様の符号を付してある。
【0027】
図3の工程では、例えば石英からなる透光基板12の一方の主面(基板12の上面)に位置合せマーク形成パターン30aを有するレジスト層30をホトリソグラフィ処理により形成する。
【0028】
図4の工程では、基板12の上面にパターン30a及びレジスト層30を覆ってCr層をスパッタ法で形成する。このときのCr層の厚さは、300nmとすることができる。Cr層を形成した後、レジスト層30をその上のCr層と共に除去(リフトオフ)することによりパターン30aに対応するCr製の位置合せマーク32を基板12の上面に形成する。
【0029】
図5の工程では、所望の4個のレンズにそれぞれ対応するレジスト層R1〜R4をホトリソグラフィ処理により基板12の上面に形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク32を基準として処理を行なう。
【0030】
図6の工程では、レジスト層R1〜R4に加熱リフロー処理を施して各レジスト層が球面状凸部をなすようにする。そして、位置合せマーク32を覆うようにカプトンテープ等の保護層34を形成する。これは、図7のエッチング工程で位置合せマーク32が除去されるのを防ぐためである。
【0031】
図7の工程では、ドライエッチング処理によりレジスト層R1〜R4の球面凸状のレンズパターンを基板12の上面に転写して凸状のレンズL1〜L4を形成する。ドライエッチング処理では、CHF3,CF4又はC3F8等のフッ素系のエッチングガスあるいはこのガスにAr,O2又はH2等のガスを混合したエッチングガスを用いることができる。レンズL1〜L4を形成した後、保護層34を除去して位置合せマーク32を露呈させる。
【0032】
図8の工程では、基板12の上面においてレンズL1〜L4を含むレンズ列の一方側及び他方側に例えばレジストからなる位置決め層18,20をホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク32を基準として処理を行なう。位置決め層18は、図14に示すような環状の平面パターンを有するように形成し、位置決め層20も位置決め層18と同様の平面パターンで形成する。位置決め層18.20は、サブミクロンの寸法精度で形成されると共に、L1等のレンズに対して良好な位置精度で形成される。
【0033】
図9の工程では、基板12の上面において位置決め層18,20の中央部にそれぞれ半貫通孔14A,16Aを精密ドリルにより形成する。ここで、半貫通孔とするのは、貫通孔にすると、精密ドリルが基板12を突き抜ける時に貫通孔の開口端部に欠けが生じ易く、これを防ぐためである。14A等の半貫通孔のサイズ(直径)は、P1等のガイドピンに対して余裕のあるサイズとし、例えばP1等のガイドピンの直径が0.7mmであれば、0.8mmとすることができる。
【0034】
図10の工程では、基板12の下面を半貫通孔14A,16Aの有効深さに達するまで研磨することにより半貫通孔14A,16Aをそれぞれ貫通孔14a,16aとする。
【0035】
図11の工程では、位置決め層18,20の内側孔18a,20aに環状の金属板22,24をそれぞれ嵌合する。図14には、位置決め孔18の内側孔18aに金属板22を嵌合した状態を上面図で示す。位置決め層20の内側孔20aに金属板24を嵌合した状態も図14に示したものと同様である。金属板22,24は、それぞれピン挿通孔22a,24aを有するもので、後述するように薄膜プロセスにより精度良く形成される。
【0036】
メッキ電極板40は、基板12の上面を覆うようなサイズ及び形状を有するもので、位置決め層18,20にそれぞれ嵌合可能な第1及び第2の下方突出部を有する。メッキ電極板40には、上面から第1の下方突出部を貫通するように第1のピン挿通孔40aが設けられると共に、上面から第2の下方突出部を貫通するように第2のピン挿通孔40bが設けられている。第1及び第2のピン挿通孔40a,40bは、例えばセラミックからなる非金属製の孔形成ピン42,44をそれぞれ挿通するためのものである。孔形成ピン42,44は、それぞれフランジ部42a,44aを有する。
【0037】
メッキ電極板40を第1及び第2の下方突出部が位置決め層18,20にそれぞれ嵌合される(金属板22,24の上にそれぞれ載置される)ようにして基板12の上面に重ねた後、孔形成ピン42をピン挿通孔40a,22aに挿通しつつ貫通孔14aを介して基板12の他方の主面側に延長する状態にすると共に、孔形成ピン44をピン挿通孔40b,24aに挿通しつつ貫通孔16aを介して基板12の他方の主面側に延長する状態にする。このとき、孔形成ピン42,44は、それぞれフランジ部42a,44aによりメッキ電極板40の上面に係止されて保持される。メッキ電極板40と基板12との間の隙間には、レジスト等のメッキマスク材を充填してメッキマスク層46を形成する。また、孔形成ピン42とピン挿通孔40aの内壁との間の隙間及び孔形成ピン44とピン挿通孔40bとの間の隙間にも、レジスト等のメッキマスク材を充填する。
【0038】
図12の工程では、図11に関して上記したようなメッキ準備状態でメッキ電極板40に通電し、金属板22,24をメッキ下地として例えばNi−Fe合金のメッキ処理を行なうことによりNi−Fe合金からなる金属層26,28を形成する。このとき、金属層26,28は、それぞれ貫通孔14a,16aの内壁を覆い且つ基板12の他方の主面側で貫通孔14a、16aの開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成する。
【0039】
図13の工程では、孔形成ピン42をピン挿通孔40a,22a及び金属層26から抜き取るとともに、孔形成ピン44をピン挿通孔40b,24a及び金属層28から抜き取る。そして、有機溶剤を用いてピン挿通孔40a,40b内のレジスト等のメッキマスク材を除去すると共にメッキマスク層46を除去することにより基板12の上面からメッキ電極板40を取外す。この結果、基板12の一方の主面にレンズL1〜L4、位置決め層18,20、金属板22,24を有すると共に金属層26,28の内側にピン挿通孔22a,24aにそれぞれ連続してガイドピン挿通孔14,16を有するマイクロレンズアレイ10が得られる。
【0040】
位置決め層18,20は、ネガレジストで構成されているため、通常の有機溶剤では除去されない。位置決め層18,20を残しておき、基板12の一方の主面(レンズL1〜L4の形成面)側に配置する光素子(レーザーダイオード、ホトダイオード等)との間のスペーサとして使用することができる。
【0041】
図15〜17は、金属板の製法の一例を示すものである。図15の工程では、例えば石英からなる基板11の一方の主面にCr層13及びCu層15を順次にスパッタ法で形成する。Cr層13及びCu層15の厚さは、それぞれ30nm及び300nmとすることができる。Cr層13は、Cu層15の密着性を向上させるためのもの、Cu層15は、メッキ下地層として用いられるものである。
【0042】
次に、Cu層15の上にレジスト層17をホトリソグラフィ処理により形成する。レジスト層17は、図17に示すピン挿通孔22aが外方に進むにつれて開口サイズを増大するのを可能にするために設けられるもので、円形状の平面パターンを有し且つピン挿通孔22aのサイズ(直径)より若干大きなサイズ(直径)を有するように形成する。この後、ホトリソグラフィ処理によりCu層の上にはレジスト層21を、レジスト層17の上にはレジスト層21aをそれぞれ形成する。レジスト層21は、図14,17に示す金属板22の外形に対応する円形状の孔21Aを有し且つレジスト層17を取囲むように形成する。レジスト層21aは、図14,17に示すピン挿通孔22aを形成するために設けられるもので、円形状の平面パターンを有し且つピン挿通孔22aのサイズ(直径)にほぼ等しいサイズ(直径)を有するように形成する。
【0043】
図16の工程では、レジスト層17,21,21aをマスクとしてNi−Fe合金の選択メッキ処理を行なうことによりNi−Fe合金からなる金属板22をCu層15の上に形成する。このとき、レジスト層21aの周辺では、レジスト層17の存在によりメッキ成長が遅れるため、金属板22のピン挿通孔22aは、外方に進むにつれて開口サイズが増大するように形成される。
【0044】
図17の工程では、薬液処理等によりレジスト層21,21a,17を除去する。そして、エッチング処理によりCu層15を除去して金属板22を基板11から分離する。この結果、ピン挿通孔22aを有する金属板22が得られる。図11に示した金属板24も、上記した金属板22と同様にしてサブミクロンの精度で作成することができる。Cr層13を有する基板11は、図15の工程に戻ってCu層15を形成することにより再使用することができる。
【0045】
図18〜31は、マイクロレンズアレイの製法の他の例を示すものである。図18の工程では、例えば石英からなる透光基板12の一方の主面(基板12の上面)に図3,4に関して前述したと同様にして位置合せマーク32を形成する。
【0046】
次に、基板12の上面にレジスト層R11〜R14とレジストからなる位置決め層18,20とをホトリソグラフィ処理により形成する。このときのホトリソグラフィ処理では、位置合せマーク32を基準として処理を行なう。レジスト層R11〜R14は、所望の4個のレンズにそれぞれ対応するものである。位置決め層18は、図14に示したような環状の平面パターンを有するように形成する。位置決め層18において、幅mは100μm、内側孔18aの直径は0.8mmとすることができる。位置決め層20も位置決め層18と同様に形成する。
【0047】
図19の工程では、レジスト層R11〜R14及び位置決め層18,20に加熱リフロー処置を施して各レジスト層が球面状凸部をなすようにすると共に各位置決め層の幅方向の断面が半円状をなすようにする。
【0048】
図20の工程では、基板12の上面に位置合せマーク32を覆ってカプトンテープ等の保護層34を形成する。これは、図21のエッチング工程で位置合せマークが除去されるのを防ぐためである。
【0049】
図21の工程では、図7に関して前述したと同様にドライエッチング処理を行なうことによりレジスト層R11〜R14の球面凸状レンズパターンを基板12の上面に転写して凸状のレンズL1〜L4を形成する。また、このときのドライエッチング処理により位置決め層18,20の環状パターンを基板12の上面に転写して環状の位置決め凸部58,60を形成する。位置決め凸部58,60は、図20に示す位置決め層18,20の断面形状にそれぞれ対応して幅方向の断面が半円状となる。ドライエッチング処理の後、保護層34を除去して位置合せマーク32を露呈させる。
【0050】
図22の工程では、精密ドリルDRを用いて環状の位置決め凸部58,60の内側孔に半貫通孔14A,16Aをそれぞれ形成する。半貫通孔14A,16Aの直径は、それぞれ位置決め凸部58,60の内側孔の直径(例えば0.8mm)にほぼ等しくすることができる。
【0051】
図23の工程では、基板12の下面を半貫通孔14A,16Aの有効深さに達するまで研磨することにより半貫通孔14A,16Aをそれぞれ貫通孔14a,16aとする。貫通孔14a,16aは、位置決め凸部58,60の内側孔にそれぞれ連続して形成されるので、いずれも基板12の上面側で外方に進むにつれて開口サイズが増大する形状となる。図23の工程では、一方の主面にレンズL1〜L4及び位置決め凸部58,60を有すると共に一方の主面から他方の主面に貫通する貫通孔14a,16aを有する基板12が得られる。
【0052】
図24の工程では、例えば石英からなる固定板62を用意する。固定板62の上面には、図32に示すように下から順にCr層64a,Cu層64b及びレジスト層64cを重ねてレジスト/Cu/Cr積層64を形成する。ここで、Cr層64a及びCu層64bは、図15に関して前述したと同様にスパッタ法によりそれぞれ30nm及び300nmの厚さに形成する。レジスト層64cは、塗布法により2μmの厚さに形成する。レジスト層64cを接着層として用いて図23の基板12の下面を固定板62の上面に接着し、固定する。このときの固定状態は、図25に示されている。
【0053】
図25の工程では、基板12の上面に位置合せマーク32、レンズL1〜L4及び貫通孔14a,16aを覆ってレジスト層66を塗布する。
【0054】
図26の工程では、レジスト層66に露光・現像処理を施してレジスト層66をパターニングすることにより貫通孔14a,16a内にレジスト層66a,66bをそれぞれ形成する。レジスト層66a,66bは、図30に示すガイドピン挿通孔14,16をそれぞれ形成するために設けられるもので、それぞれ貫通孔14a,16aより小さいサイズ(直径)で形成する。現像処理においては、図32に示すようにレジスト層64cがレジスト層66aの周辺で環状にエッチングされる。このことは、レジスト層66bの周辺についても同様である。
【0055】
図27の工程では、基板12の上面に位置合せマーク32、レンズL1〜L4、貫通孔14a,16a及びレジスト層66a,66bを覆ってレジスト層68を塗布する。
【0056】
図28の工程では、レジスト層68に露光・現像処理を施してレジスト層68をパターニングすることにより貫通孔14a,16a内に(レジスト層66a,66bの上に)レジスト層68a,68bをそれぞれ形成する。レジスト層68aは、図32に示すガイドピン挿通孔14の一方の開口部14pを形成するために設けられるもので、開口部14pの開口サイズ(直径)が外方に進むにつれて増大するのを可能にするためレジスト層66aより若干小さいサイズ(直径)で形成する。このことは、レジスト層68bについても同様である。現像処理においては、図32に示すようにレジスト層66aの形成時と同様にレジスト層66aの周辺でレジスト層64cが環状にエッチングされる。このことは、レジスト層66bの周辺についても同様である。
【0057】
図26,28の現像処理の結果として、レジスト層64cの一部64c0がレジスト層66aの下にレジスト層64cから分離して存在するようになる。また、レジスト層66aの下でレジスト層64c0の外周部がサイドエッチを受けるため、レジスト層64c0は、レジスト層66aより若干小さいサイズ(直径)Qを有するようになる。さらに、基板12の下でレジスト層64cの内周部がサイドエッチを受けるため、レジスト層64cの内側孔のサイズ(直径)は、貫通孔14aのサイズ(直径)より若干大きくなる。レジスト層64c0のサイズQは、一例として0.7mmとすることができる。レジスト層68aのサイズ(直径)Pは、レジスト層64c0のサイズQより若干大きくする(P>Q)。レジスト層64cの接着時の温度条件によっては、レジスト層64c0の外周部及びレジスト層64cの内周部のいずれも殆どサイドエッチが生じないようにすることも可能である。この場合、図28に示すように貫通孔14a,16aの下部形状がいずれもストレート状となる。レジスト層66bの下部周辺のエッチング状況も、レジスト層66aに関して上記したと同様である。
【0058】
図29の工程では、基板12及びレジスト層66a,66b,68a,68bをマスクとして例えばNi−Fe合金の選択メッキ処理を行なうことによりNi−Fe合金からなる金属層72,74を貫通孔14a,16aの内側にそれぞれ形成する。貫通孔14aに関するこのときのメッキ状況を図32に示す。金属層72は、貫通孔14aの内壁を覆って形成され、レジスト層66aの外径に相当するサイズ(直径)のガイドピン挿通孔14を有する。
【0059】
基板12の一方の主面側では、金属層72が位置決め凸部58の内周部(開口サイズが徐々に増大する部分)を覆って形成され、レジスト層68aの外径に相当するサイズ(直径)の開口部14pを有する。開口部14pは、ガイドピン挿通孔14の一方の開口部を構成する。金属層72が位置決め凸部58の内周部を覆って形成される際にレジスト層68aの周辺ではレジスト層66aの存在によりメッキ成長が遅れるため、金属層72は、外方に進むにつれて開口サイズ(直径)が増大するように形成される。
【0060】
基板12の他方の主面側では、金属層72が貫通孔14aの開口周辺部を覆って(フランジ部をなすように)形成され、レジスト層64c0の外径に相当する開口部14qを有する。開口部14qは、ガイドピン挿通孔14の他方の開口部を構成する。レジスト層66b,68bの周辺のメッキ状況も、レジスト層66a,68aに関して上記したと同様である。
【0061】
図30の工程では、薬液処理等によりレジスト層68a,68b,66a,66bを除去して金属層72,74にそれぞれガイドピン挿通孔14,16を付与する。このとき、図32に示すレジスト層64c0も除去する。
【0062】
図31の工程では、図32に示すCu層64bをエッチング処理により除去して基板12を固定板62から分離する。そして、図32に示すレジスト層64cを基板12から薬液処理等により除去する。この結果、図31に示すように基板12の一方の主面にレンズL1〜L4及び位置決め凸部58,60を有すると共に基板12の貫通孔14a,16a内に金属層72,74によりガイドピン挿通孔14,16をそれぞれ形成したマイクロレンズアレイが得られる。
【0063】
図31の工程で得られたマイクロレンズアレイは、図1,2に示したマイクロレンズアレイ10と同様にガイドピン挿通孔14,16にそれぞれガイドピンを挿通して他の光部品に結合することができる。薄膜プロセスを用いているため、開口部14p,14qを有するガイドピン挿通孔14を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0064】
ガイドピンを14等のガイドピン挿通孔に抜き差しする際には、ガイドピンが72等の金属層に接触するため、石英からなる基板12において14a等の貫通孔の開口端部で割れや欠けが生ずるのを防止することができる。また、72等の金属層は、基板12の一方の主面側で位置決め凸部58と重なるフランジ部で係止されると共に、基板12の他方の主面側で貫通孔14aの開口端周辺部に重なるフランジ部で係止されるので、ガイドピンの抜き差しにより72等の金属層が脱落するのを防止することができる。さらに、開口部14pを外方に進むにつれて開口サイズが大きくなるように形成すると共に、開口部14pを開口部14qより若干サイズが大きくなるように形成したので、14等のガイドピン挿通孔にガイドピンを挿通するのが容易になると共に精密な嵌合が可能になる。
【0065】
図33は、マイクロレンズアレイのメッキ部の変形例を示すもので、図32と同様の部分には同様の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0066】
図33に示すメッキ部が図32に示すメッキ部と異なる点は、基板12の一方の主面において位置決め凸部58を設ける代りに貫通孔14aの開口部を外方に進むにつれて開口サイズが増大する開口部12aとしたことである。
【0067】
開口部12aを形成するには、図21のエッチング工程の後、図22の工程において、位置合せマーク32を基準としてホトリソグラフィ処理により(レジスト層を用いて)孔あけ位置を決定し、決定に係る孔あけ位置に精密ドリルDRを用いて半貫通孔を形成する。そして、半貫通孔の開口端の角部を露呈するようにレジスト層を形成した後、このレジスト層をマスクとするエッチング処理に半貫通孔の開口端の角部を除去して開口部12aを得る。この後の工程は、図23〜31に関して前述したと同様である。図22の工程では、精密ドリルによる孔あけの代りに、レジスト層をマスクとする選択的ドライエッチング処理により半貫通孔を形成してもよい。このとき、マスク用のレジスト層は、位置合せマーク32を基準としてホトリソグラフィ処理により形成する。
【0068】
図33に示すメッキ部において、金属層72が開口部12aを覆って形成される際にレジスト層68aの周辺ではレジスト層66aの存在によりメッキ成長が遅れるため、金属層72は、外方に進むにつれて開口サイズ(直径)が増大するように形成される。図33のメッキ部に基づくガイドピン挿通孔14についても、図32のメッキ部に基づくガイドピン挿通孔14に関して前述したと同様の作用効果が得られる。
【0069】
図34は、この発明の他の実施形態に係るコンタクトプローブを示すもので、図35には、図34のB−B’線断面を示す。コンタクトプローブは、LSI等の試験・評価に用いられる。
【0070】
コンタクトプローブ80は、例えばアルミナからなる台形状のプローブ基板82を備え、基板82には、ガイドピン挿通孔84,86が設けられている。基板82の一方の主面において、平行な二辺のうちの長辺の近傍には、例えばレジストからなる位置決め層88,90が設けられている。位置決め層88の中央部には、図35に示すように基板82の一方の主面から他方の主面に貫通するように貫通孔84aが設けられており、位置決め層90の中央部にも、貫通孔84aと同様の貫通孔(図示せず)が設けられている。
【0071】
基板82の一方の主面において、位置決め層88,90の内側孔には、環状の金属板92,94がそれぞれ嵌合されている。貫通孔84aの内壁は、図35に示すように金属層96で覆われており、金属層96がガイドピン挿通孔84を形成している。位置決め層90の中央部に設けた貫通孔の内壁も、貫通孔84aの内壁と同様に金属層98で覆われており、金属層98がガイドピン挿通孔86を形成している。金属層96,98は、基板82の一方の主面側でそれぞれ金属板92,94に連続している。金属層96は、基板82の他方の主面側で貫通孔84aの開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成されており、金属層98も、基板82の他方の主面側で貫通孔84aと同様の貫通孔の開口端周辺部を覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0072】
基板82の他方の主面には、平行な二辺のうちの短辺から突出するように10本のコンタクトピン100が形成されると共に、これらのコンタクトピンとそれぞれ一体をなす配線層(図示せず)が形成されている。一例として、各コンタクトピン及び各配線層は、いずれもNi−Fe合金からなっている。
【0073】
コンタクトプローブ80について寸法例を示すと、次の通りである。基板82において、平行な二辺のうちの長辺の長さMは20mm、平行な二辺間の一辺の長さNは15mm、厚さqは1mmとすることができる。また、88等の位置決め層の厚さtは80μm、コンタクトピン100のピッチ(隣り合うコンタクトピンの中心間の距離)pは40μmとすることができる。
【0074】
コンタクトプローブ80において、ガイドピン挿通孔84,86は、図8〜17に関して前述した工程により寸法及び位置の精度良く形成することができる。別の方法としては、図22〜33に関して前述した工程によってもガイドピン挿通孔84,86を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0075】
コンタクトプローブ80は、ガイドピン挿通孔にそれぞれガイドピンを挿通した状態で各ガイドピンをプローブアームのガイドピン挿通孔に挿通し、固定することでプローブアームに取付けることができる。ガイドピン挿通孔84,86については、ガイドピン挿通孔14,16について前述したと同様の作用効果が得られ、特にコンタクトプローブ80を交換する際にガイドピンの抜き差しによりガイドピン挿通孔84,86の開口端部で割れや欠けが生ずるのを防止できる効果が得られる。
【0076】
図36は、この発明の更に他の実施形態に係る電気泳動分析器を分解状態で示すものである。電気泳動分析器は、極微量のたんぱく質や核酸などを高速且つ高分解能で分析するために用いられる。
【0077】
電気泳動分析器110は、光検出器112、シリンドリカルレンズ120、電気泳動マイクロチップ140及びシリンドリカルレンズ170を備えている。光検出器112は、パッケージ112A内にホトセルアレイ114を収容したもので、パッケージ112Aの側部には、ホトセルアレイ114に接続された多数の端子116が設けられている。
【0078】
シリンドリカルレンズ120は、長方形状のレンズ基板(透光基板)120Aにレンズ部122を設けたもので、基板120Aには、対角線上の2つの角部の近傍にそれぞれガイドピン挿通孔124,126が設けられている。ガイドピン挿通孔124,126の断面構造は、図2に示したガイドピン挿通孔14,16の断面構造と同様であり、128,130が例えばレジストからなる位置決め層、132,134が位置決め層128,130の内側孔にそれぞれ嵌合された金属板、136,138が基板120Aの2つの貫通孔の内壁をそれぞれ覆って形成された金属層である。金属層136,138は、図2に示した金属層26と同様に基板120Aの一方の主面側ではそれぞれ金属板132,134にそれぞれ連続し、基板120Aの他方の主面側では2つの貫通孔の開口端周辺部をそれぞれ覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0079】
マイクロチップ140は、第1及び第2の透光板を重ね合わせて構成されたチップ基板(透光基板)140Aを備えている。第1の透光板の表面には、長いキャピラリー溝142と、この溝142につながる短いキャピラリー溝144a,144bとが形成されている。第2の透光板には、キャピラリー溝142の一端と、キャピラリー溝144aの一端と、キャピラリー溝144bの一端と、キャピラリー溝142の他端とにそれぞれ対応してリザーバ孔146a,146b,146c,146dが設けられており、このような溝とリザーバ孔との対応関係を確保した状態で第2の透光板が第1の透光板の表面に重ね合わされ、固定される。
【0080】
長方形状のチップ基板140Aには、レンズ基板120Aのガイドピン挿通孔124,126とそれぞれ対応する位置にガイドピン挿通孔148,150が形成されている。ガイドピン挿通孔148,150の断面構造は、図2に示したガイドピン挿通孔14,16の断面構造と同様であり、152,154が例えばレジストからなる位置決め層、156,158が位置決め層152,154の内側孔にそれぞれ嵌合された金属板、160,162が基板140Aの2つの貫通孔の内壁をそれぞれ覆って形成された金属層である。金属層160,162は、図2に示した金属層26と同様に基板140Aの一方の主面側では金属板156,158にそれぞれ連続し、基板140Aの他方の主面側では2つの貫通孔の開口端周辺部をそれぞれ覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0081】
シリンドリカルレンズ170は、長方形状のレンズ基板(透光基板)170Aにレンズ部172を設けたもので、チップ基板140Aのガイドピン挿通孔148,150とそれぞれ対応する位置にガイドピン挿通孔174,176が設けられている。ガイドピン挿通孔174,176の断面構造は、図2に示したガイドピン挿通孔14,16の断面構造と同様であり、178,180が例えばレジストからなる位置決め層、182,184が位置決め層178,180の内側孔にそれぞれ嵌合された金属板、186,188が基板170Aの2つの貫通孔の内壁をそれぞれ覆って形成された金属層である。金属層186,188は、図2に示した金属層26と同様に基板170Aの一方の主面側では金属板182,184にそれぞれ連続し、基板170Aの他方の主面側では2つの貫通孔の開口端周辺部をそれぞれ覆うように(フランジ部をなすように)形成されている。
【0082】
マイクロチップ140について寸法例を示すと、次の通りである。基板140Aにおいて、長さLは60mm、幅Wは30mm、146a等のリザーバ孔の直径及び深さはいずれも1mm、142等のキャピラリ−溝の幅及び深さはそれぞれ50μm及び10μm、148等のガイドピン挿通孔の内径は1mmとすることができる。基板120Aの124等のガイドピン挿通孔の内径及び基板170Aの174等のガイドピン挿通孔の内径は、いずれも1mmとすることができる。
【0083】
シリンドリカルレンズ120,170及びマイクロチップ140において、ガイドピン挿通孔124,126,148,150,174,176は、図8〜17に関して前述した工程により寸法及び位置の精度良く形成することができる。別の方法としては、図22〜33に関して前述した工程によってもガイドピン挿通孔124,126,148,150,174,176を寸法及び位置の精度良く形成することができる。
【0084】
電気泳動分析器110を組立てる際には、第1のガイドピン(図示せず)をガイドピン挿通孔124と、スペーサS1の孔S11と、ガイドピン挿通孔148と、スペーサS3の孔S31と、ガイドピン挿通孔174とに挿通すると共に、第2のガイドピン(図示せず)をガイドピン挿通孔126と、スペーサS2の孔S21と、ガイドピン挿通孔150と、スペーサS4の孔S41と、ガイドピン挿通孔176とに挿通する。このようなガイドピン挿通状態において、シリンドリカルレンズ120とマイクロチップ140とをスペーサS1,S2を介して接近配置すると共に、マイクロチップ140とシリンドリカルレンズ170とをスペーサS3,S4を介して接近配置し、このような位置合せ・接近状態においてシリンドリカルレンズ120、マイクロチップ140及びシリンドリカルレンズ170を固定手段(図示せず)で固定する。この後、固定されたレンズ120、チップ140及びレンズ170を含むアセンブリをレンズ120側にて光検出器112と光学的に結合する。
【0085】
142等のキャピラリ−溝の幅が50μm程度である場合、マイクロチップ140に対する120等の各シリンドリカルレンズの位置決め精度は、数μm以内であることが望ましい。上記のようにガイドピン挿通孔124,148,174と、ガイドピン挿通孔126,150,176とにそれぞれガイドピンを挿通して位置決めを行なうと、チップ140に対する120等の各レンズの位置決めを数μm以内の精度で行なうことができる。
【0086】
電気泳動分析器110を使用する際には、リザーバ孔146a〜146dのいずれかからキャピラリー溝142,144a,144bに泳動液を注入する。そして、リザーバ孔146b,146cのいずれかから試料を注入した後、リザーバ孔146b,146cにそれぞれ電極を差し込んで所定時間だけ高電圧を印加することにより試料をキャピラリー溝144a,144b中に分散させる。この後、リザーバ孔146a,146bにそれぞれ電極を差し込んで泳動電圧を印加することにより試料をキャピラリー溝142内で電気泳動させる。
【0087】
このような状態において、紫外平行光UVをシリンドリカルレンズ170を介してキャピラリー溝142に入射させ、溝142の通過光をシリンドリカルレンズ120を介してホトセルアレイ114に入射させる。ホトセルアレイ114を用いて紫外光の吸収を検知して目的成分を検出する。このような分析処理の後、シリンドリカルレンズ120,170及びマイクロチップ140を含むアセンブリにおいては、光検出器との結合を解くと共に固定手段を取外し、さらにガイドピン挿通孔124,148,174と、ガイドピン挿通孔126,150,176とからそれぞれガイドピンを抜き取ってレンズ120,170及びチップ140等の構成部品に分解し、各構成部品を洗浄することができる。ガイドピン挿通孔124,126,148,150,174,176については、ガイドピン14,16について前述したと同様の作用効果が得られ、特に各ガイドピン挿通孔の開口端部でガイドピンの抜き差しにより割れや欠けが生ずるのを防止できる効果が得られる。
【0088】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、非金属製の基板に設けた貫通孔の内壁を金属層で覆ってガイドピン挿通孔を形成するようにしたので、基板を石英等で構成しても、ガイドピンの抜き差しに伴ってガイドピン挿通孔に割れや欠けが生ずるのを防止できる効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態に係るマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【図2】図1のA−A’線に沿う断面図である。
【図3】この発明に係るマイクロレンズアレイの製法の一例におけるレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図4】図3の工程に続くスパッタ工程及びリフトオフ工程を示す断面図である。
【図5】図4の工程に続くレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図6】図5の工程に続く加熱リフロー工程及び保護層形成工程を示す断面図である。
【図7】図6の工程に続くドライエッチング工程を示す断面図である。
【図8】図7の工程に続く位置決め層形成工程を示す断面図である。
【図9】図8の工程に続く孔あけ工程を示す断面図である。
【図10】図9の工程に続く裏面研磨工程を示す断面図である。
【図11】図10の工程に続くメッキ準備工程を示す断面図である。
【図12】図11の工程に続くメッキ工程を示す断面図である。
【図13】図12の工程に続くメッキ用具除去工程を示す断面図である。
【図14】位置決め層の内側孔に金属板を嵌合した状態を示す上面図である。
【図15】金属板の製法の一例におけるレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図16】図15の工程に続くメッキ工程を示す断面図である。
【図17】図16の工程に続くレジスト除去工程及び金属板分離工程を示す断面図である。
【図18】この発明に係るマイクロレンズアレイの製法の他の例におけるレジスト層形成工程を示す断面図である。
【図19】図18の工程に続く加熱リフロー工程を示す断面図である。
【図20】図19の工程に続く保護層形成工程を示す断面図である。
【図21】図20の工程に続くドライエッチング工程を示す断面図である。
【図22】図21の工程に続く孔あけ工程を示す断面図である。
【図23】図22の工程に続く裏面研磨工程を示す断面図である。
【図24】図23の工程に続く基板固定工程を示す断面図である。
【図25】図24の工程に続くレジスト塗布工程を示す断面図である。
【図26】図25の工程に続くレジストパターニング工程を示す断面図である。
【図27】図26の工程に続くレジスト塗布工程を示す断面図である。
【図28】図27の工程に続くレジストパターニング工程を示す断面図である。
【図29】図28の工程に続くメッキ工程を示す断面図である。
【図30】図29の工程に続くレジスト除去工程を示す断面図である。
【図31】図30の工程に続く基板分離工程を示す断面図である。
【図32】メッキ部を示す拡大断面図である。
【図33】メッキ部の変形例を示す拡大断面図である。
【図34】この発明の他の実施形態に係るコンタクトプローブを示す斜視図である。
【図35】図34のB−B’線に沿う断面図である。
【図36】この発明の更に他の実施形態に係る電気泳動分析器を示す分解斜視図である。
【図37】従来のマイクロレンズアレイを示す斜視図である。
【符号の説明】
10:マイクロレンズアレイ、12:透光基板、14a,16a,84a:貫通孔、14,16,84,86,124,126,148,150,174,176:ガイドピン挿通孔、18,20,88,90,128,130,152,154,178,180:位置決め層、30,66,68,R1〜R4,R11〜R14:レジスト層、22,24,92,94,132,134,156,158,182,184:金属板、26,28,72,74,96,98,136,138,160,162,186,188:金属層、32:位置合せマーク、34:保護層、40:メッキ電極板、42,44:孔形成ピン、46:メッキマスク層、58,60:位置決め凸部、62:固定板、64:レジスト/Cu/Cr積層、80:コンタクトプローブ、82:プローブ基板、100:コンタクトピン、110:電気泳動分析器、112:光検出器、120,170:シリンドリカルレンズ、140:電気泳動マイクロチップ、L1〜L4:レンズ、P1,P2:ガイドピン、S1〜S4:スペーサ。
Claims (7)
- ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が設けられた非金属製の基板と、
前記貫通孔よりサイズが小さいガイドピン挿通孔を形成するように前記貫通孔の内壁を覆う金属層と
を備えたガイドピン挿通孔付き部品。 - 前記基板の2つの主面のうちいずれか一方の主面には前記貫通孔よりサイズが小さいピン挿通孔を有する金属板を前記貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つ前記ピン挿通孔を前記貫通孔に位置合せするように配置すると共に、前記金属板に連続して前記金属層を形成し、前記基板の他方の主面において前記貫通孔の他方の開口端周辺部を覆うように前記金属層を形成した請求項1記載のガイドピン挿通孔付き部品。
- 前記基板の2つの主面のうちいずれの主面においても前記貫通孔の開口端周辺部を覆うように前記金属層を形成した請求項1記載のガイドピン挿通孔付き部品。
- ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が設けられた非金属製の基板を用意する工程と、
前記基板の2つの主面のうちいずれか一方の主面において前記貫通孔よりサイズが小さいピン挿通孔を有する金属板を前記貫通孔の一方の開口端周辺部を覆い且つ前記ピン挿通孔を前記貫通孔に位置合せするように配置すると共に、非金属製の孔形成ピンを前記金属板のピン挿通孔に嵌合しつつ前記貫通孔を介して前記基板の他方の主面側に延長するように配置する工程と、
前記金属板を前記のように配置すると共に前記孔形成ピンを前記のように配置した状態において前記金属板をメッキ下地として金属メッキ処理を行なうことにより前記貫通孔の内壁を覆うメッキ金属からなる金属層を形成する工程と、
前記金属板のピン挿通孔及び前記金属層から前記孔形成ピンを取外して前記金属層に前記孔形成ピンの太さに相当するサイズを有するガイドピン挿通孔を付与する工程と
を含むガイドピン挿通孔付き部品の製法。 - 前記金属板を配置する工程では、前記金属板として、前記ピン挿通孔を前記貫通孔側とは反対側にて外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したものを用いる請求項4記載のガイドピン挿通孔付き部品の製法。
- 固定板の一方の主面にメッキ下地層を形成する工程と、
ガイドピン挿通孔形成用の貫通孔が形成された非金属製の基板を接着層を介して前記メッキ下地層に接着することにより前記基板を前記固定板に固定する工程と、
前記基板を前記固定板に固定した状態において前記貫通孔の内部に前記貫通孔のサイズより細く且つ前記基板の2つの主面間の厚さより厚いレジスト層をホトリソグラフィ処理により形成すると共に、前記レジスト層をマスクとする除去処理により前記レジスト層の周辺で前記接着層を選択的に除去して前記メッキ下地層の一部を前記レジスト層を取囲むようなパターンで露呈させ且つ前記レジスト層の下に前記接着層の一部を残存させる工程と、
前記レジスト層及びその下の前記接着層の一部と、前記接着層と、前記基板とをマスクとして前記メッキ下地層に金属メッキ処理を施すことにより前記貫通孔の内壁を覆うメッキ金属からなる金属層を形成する工程と、
前記レジスト層及びその下の前記接着層の一部を除去して前記金属層にガイドピン挿通孔を付与する工程と、
前記メッキ下地層を除去して前記基板を前記金属層に前記ガイドピン挿通孔が付与された状態で前記固定板から分離する工程と、
前記基板から前記接着層を除去する工程と
を含むガイドピン挿通孔付き部品の製法。 - 前記基板を前記固定板に固定する工程では、前記基板として、前記貫通孔を前記固定板に接着する側とは反対側にて外方に進むにつれてサイズが増大するように形成したものを用い、前記レジスト層を形成する工程では、前記レジスト層を下方レジスト層及び上方レジスト層の積層として形成すると共に上方レジスト層を下方レジスト層より細く形成する請求項6記載のガイドピン挿通孔付き部品の製法。
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