JP2004332777A - 小型軸受構造及び小型軸受構造の製造方法 - Google Patents

小型軸受構造及び小型軸受構造の製造方法 Download PDF

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俊夫 岩田
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Abstract

【課題】スラストギャップを無くして、中心軸(シャフト)を中心として相対的回転するハウジングの位置精度を向上し、かつ振動、衝撃等にも耐久性の優れた小型軸受構造を提供する。
【解決手段】一対の環状の軸石4A、4Bが中心軸1に接触するように、筒状ハウジング3を中心軸1に回転自在に挿通し、スラスト板5を、スラストボール6のみが接触するよう中心軸1の自由端1aに載せ、筒状ハウジング3とスラスト板5とを固着させて一対の環状の軸石4A、4Bとスラストボール6と共に中心軸1に対して回転自在な可動材Xを形成し、中心軸1の他端1bを筐体8に固定し、スラストボール6を中心軸1の自由端1aに押し付けるように予圧を与えて可動材Xと中心軸1とのスラストギャップを無くすようにして成ることを特徴とする小型軸受構造。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば、HDD等に用いられているVCM(ボイスコイルモータ)等の磁気ヘッドを備えた可動片の軸受として使用するための小型化が要求される小型軸受構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種の小型軸受構造は、従来、専らボールベアリングを用いたものが一般的である(例えば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0003】
【特許文献1】
特許第3243121号明細書
【特許文献2】
特開2001−43658号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このようなボールベアリング構造のものにあっては、高精度を保持するためには、構造上小型化が困難であって、外径の大きさも、せいぜい5mm〜6mm程度が限界であり、それ以下の小型化は、全く実現不可能であった。
【0005】
このような課題に対して、本出願人は、先きの出願の特願2001−313937号、特願2003−3201号および特願2003−33719号において、ボールベアリングレスの超小型化が可能な軸受構造を提案した。
【0006】
この発明も、先きの特許出願と同一の課題の下になされたもので、殊にスラストギャップを無くして、中心軸(シャフト)を中心として相対的回転するハウジングの位置精度を向上し、かつ振動、衝撃等にも耐久性の優れた小型軸受構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記の技術的構成により前記目的を達成できたものである。
【0008】
(1)中央孔に一対の環状の軸石を固着した筒状ハウジングと、中央孔にスラストボールが嵌め込まれたスラスト板と、中心軸と、筐体と、を備える小型軸受構造であって、前記一対の環状の軸石が前記中心軸に接触するように、前記筒状ハウジングを前記中心軸に回転自在に挿通し、前記スラスト板を、前記スラストボールのみが接触するよう前記中心軸の自由端に載せ、前記筒状ハウジングと前記スラスト板とを固着させて前記一対の環状の軸石と前記スラストボールと共に前記中心軸に対して回転自在な可動材を形成し、前記中心軸の他端を前記筐体に固定し、前記スラストボールを前記中心軸の自由端に押し付けるように予圧を与えて前記可動材と前記中心軸とのスラストギャップを無くすようにして成ることを特徴とする小型軸受構造。
【0009】
(2)前記可動材は、前記中心軸に対し、前記一対の環状の軸石と前記スラストボールによって位置決めされることを特徴とする前記(1)項記載の小型軸受構造。
【0010】
(3)前記スラストボールは、スラストバネによって前記予圧を与えられていることを特徴とする前記(1)項記載の小型軸受構造。
【0011】
(4)前記一対の環状の軸石は、内周がオリーブ構造であることを特徴とする前記(1)項記載の小型軸受構造。
【0012】
(5)前記スラストボールは、前記中心軸の中心あるいは前記中心軸の中心近傍で前記中心軸と接触することを特徴とする前記(1)項記載の小型軸受構造。
【0013】
(6)中央孔に一対の環状の軸石を固着した筒状ハウジングと、中央孔にスラストボールが嵌め込まれたスラスト板と、中心軸と、筐体と、を備える小型軸受構造の製造方法であって、前記スラスト板と前記筒状ハウジングとを固着して可動材を形成し、前記可動材を前記中心軸の自由端に嵌挿し、前記中心軸の他端を前記筐体に固定し、スラストバネを備えた受板を前記スラストボールに被せ、前記スラストボールを前記中心軸の自由端に押し付けるようにして前記受板を前記筐体に固定することを特徴とする小型軸受構造の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0015】
なお、この実施例は、中心軸を所望の固定側に固着起立させた非回転とする場合を示している。
【0016】
図において、1は、円柱状の中心軸(シャフト)、1aは、中心軸1の自由端、1bは、中心軸1の他端、2はフランジボルト、3は筒状ハウジング、3aは筒状ハウジングの中央孔、4Aは、内周がオリーブ構造の軸石A、4Bは内周がオリーブ構造の軸石Bである。
【0017】
軸石A4Aと、軸石B4Bは、一対の環状の軸石を形成する。
【0018】
5はスラスト板、5aはスラスト板5の中央孔、6はスラストボール、7はスラストバネ、8は各種筐体、9は受板、10はナット、12はナット、13はアーム材、20は小型軸受構造、Xは、筒状ハウジング3、軸石A4A、軸石B4B、スラスト板5、スラストボール6からなる可動材、Pは、断面オリーブ状の円弧状面である。
【0019】
筒状ハウジング3の中央孔3aの上下に一体的に固着した一対の環状の軸石4A、4Bは、中心軸1に回転自在に挿通させている。また、中央孔5aにスラストボール6が嵌め込まれたスラスト板5を、スラストボール6のみが接触するよう中心軸1の自由端1aに載せている。すなわち、中心軸1の自由端1aは、筒状ハウジング3の中央孔3aに挿通され、スラストボール6に突き当たっている。
【0020】
そして、筒状ハウジング3とスラスト板5とは接着等により固着され、筒状ハウジング3と一対の環状の軸石4A、4Bとスラスト板5とスラストボール6とからなる中心軸1に対して回転自在な可動材Xを形成している。従って、中心軸1の自由端1aの上に可動材Xが載置されることになる。
【0021】
このとき、中心軸1と摺接する一対の環状の軸石4A,4Bの内周は、断面オリーブ状の円弧状面P(オリーブ構造)として形成して、ラジアル方向の軸損を軽減するのが好ましい。また、可動材Xは中心軸1に対して、一対の環状の軸石である軸石A4A、軸石B4Bによりラジアル方向について位置決めされることになる。
【0022】
そして、中心軸1は、スラスト板5の中央孔5aに嵌め込まれたスラストボール6に突き当たっていることから、中心軸1とスラストボール6の接触面積は点接触であるため論理的に「点」という極小であり、可動材Xが回転するときの回転方向の摩擦抵抗を極小にできる。すなわち、中心軸1と摺接するスラストボール6は球形であることから、スラスト方向の軸損を軽減することができる。
【0023】
そして、可動材Xは中心軸1に対して、スラストボール6によりスラスト方向について位置決めされることになる。また、スラストボール6は、スラスト板5の中央孔5aに嵌め込まれていることから、中心軸1の中心あるいは中心軸1の中心近傍で中心軸1と接触させることができる。
【0024】
次に、中心軸1の他端1bは、フランジボルト2に挿通固定し、このフランジボルト2は、固定側の各種筐体8に挿通し、ナット10によって固着させてある。
【0025】
従って、中心軸1は、フランジボルト2を介して各種筐体3に固定されている。
【0026】
そして、スラストボール6の上部から、スラストバネ7を備えた受板9を被せる。スラストバネ7によってスラストボール6と接触させ、そのバネ力によってスラストボール6に予圧(プリロード)を与えることで、スラストボール6を中心軸1の自由端1aに押し付けて、スラストギャップを無くすことができる。
【0027】
そして、この状態で受板9を各種筐体8にネジ止め等により固定する(不図示)ことで、振動、衝撃等にも耐久性の優れた本発明の小型軸受構造20を得ることができる。
【0028】
なお、可動材Xに、予めボイスコイルモータ(以下、VCMという。)やアーム材13等をボルト止め等によって固定することで、VCMやアーム材13等を中心軸1に対して回動自在とすることができる。
【0029】
次に、上述の構成について、製造方法を説明し乍ら、さらに構成を説明する。
【0030】
まず、始めに、中心軸1にフランジボルト2を治具で位置決めして、接着等により固定し、筒状ハウジング3の中央孔3aに一対の環状の軸石4A、4Bを圧力等により固定し、一対の環状の軸石4A、4Bに注油する。それと共に、スラスト板5の中央孔5aに面位置を合わせて圧入等によりスラストボール6を嵌め込んで固定する。
【0031】
そして、スラスト板5と筒状ハウジング3とを接着等により固着して可動材Xを形成する。
【0032】
ここで、可動材Xに、VCMやアーム材13等をボルト止め等によって固定することができる。
【0033】
次に、中心軸1の上部にオイルを注油し、中心軸1の自由端1aに可動材Xを嵌挿する。
【0034】
そして、フランジボルト2を各種筐体8に挿通して、ナット10によるネジ止め等で固定する。
【0035】
これによって、中心軸1をフランジボルト2を介して各種筐体8に固定させると共に、可動材Xを中心軸1に対して回転自在に載置することができる。
【0036】
そして、スラストバネ7を備えた受板9をスラストボール6に被せ、スラストボール6に接触したスラストバネ7のバネ力によりスラストボール6に予圧を与える。ここで、スラストボール6を中心軸1の自由端1aに押し付けるようにして受板9を各種筐体8にネジ止め等により固定する(不図示)ことで、スラストギャップを無くし、かつ振動、衝撃等にも耐久性の優れた本発明の小型軸受構造20を得ることができる。
【0037】
次に、本発明の小型軸受構造をハードディスク(HDD)に用いた例について図2を用いて説明する。
【0038】
図2は、この発明の小型軸受構造をハードディスクに用いた例を示す平面図である。
【0039】
21はヨーク、22は磁石、23はVCM、24は磁気ヘッド、25はディスクである。
【0040】
例えばHDDのVCMの軸受の場合は、アーム材13の一端に磁気ヘッド24を設けると共に、他端にVCM23を設け、さらにVCM23の周囲にヨーク21と磁石22を固定して備える。そして、VCM23のリニアモータ的な動作に応じて、中心軸1を支点として可動材X、アーム材13、アーム材の一端に設けられた磁気ヘッド24が回動する。その際、本発明の小型軸受構造20によれば、スラストギャップを無くして磁気ヘッド24を精密操作することができ、かつ振動、衝撃等にも耐久性の優れるものである。
【0041】
以上、本発明の構成によれば、筒状ハウジング3は、中央孔3aの上下に固定した軸石4A,4Bによって中心軸1に回転自在に挿通され、かつ中心軸1の一方は、中心軸1の自由端1aの頂面中央でスラストボール6によって摩擦抵抗を狭小とした状態で支持でき、他方は、各種筐体8に挿入固着したフランジボルト2で支持され、しかもスラストボール6の上部からスラストバネ7のバネ力を働かせてスラスト方向に予圧を与えているので、筒状ハウジング3、一対の環状の軸石4A、4B、スラスト板5、スラストボール6からなる可動材Xをスラストギャップを無くして精度よく回転させることができ、かつ振動、衝撃等にも耐久性が優れることになる。
【0042】
なお、以上の実施例では、中心軸1を固定し、筒状ハウジング3側を回転構造として示してあるが、筒状ハウジング3側を固定し、中心軸1側を回転させる構造としても実施できる。
【0043】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、スラストギャップを無くして、中心軸(シャフト)を中心として相対的に回転する筒状ハウジング等の可動材の位置精度を向上し、かつ振動、衝撃等にも耐久性の優れた小型軸受構造を提供することができる。
【0044】
すなわち、全体を小型に形成できるものであって、スラスト軸受は、片側を固定し、他側をスラストバネによりスラストボールを抑え付けて予圧を与える構成にすることにより、摩擦抵抗を狭小とすると共に、スラストギャップを無くすことができ、またこの予圧を与えることにより筒状ハウジング等の可動材の位置精度が良くなり、又振動、衝撃などにも強くなるなどの効果があるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示す小型軸受構造の拡大した縦断面図で、構造を明確にするため相当に誇張して表現してある。
【図2】この発明の小型軸受構造をハードディスクに用いた例を示す平面図である。
【符号の説明】
1 円柱状の中心軸(シャフト)
1a 中心軸1の自由端
1b 中心軸1の他端
2 フランジボルト
3 筒状ハウジング
3a 中央孔
4A,4B 一対の環状の軸石
5 スラスト板
5a 中央孔
6 スラストボール
7 スラストバネ
8 各種筐体
9 受板
13 アーム材
20 小型軸受構造
21 ヨーク
22 磁石
23 VCM
24 磁気ヘッド
25 ディスク
P 断面オリーブ状の円弧状面
X 可動材

Claims (6)

  1. 中央孔に一対の環状の軸石を固着した筒状ハウジングと、中央孔にスラストボールが嵌め込まれたスラスト板と、中心軸と、筐体と、を備える小型軸受構造であって、
    前記一対の環状の軸石が前記中心軸に接触するように、前記筒状ハウジングを前記中心軸に回転自在に挿通し、前記スラスト板を、前記スラストボールのみが接触するよう前記中心軸の自由端に載せ、前記筒状ハウジングと前記スラスト板とを固着させて前記一対の環状の軸石と前記スラストボールと共に前記中心軸に対して回転自在な可動材を形成し、前記中心軸の他端を前記筐体に固定し、前記スラストボールを前記中心軸の自由端に押し付けるように予圧を与えて前記可動材と前記中心軸とのスラストギャップを無くすようにして成ることを特徴とする小型軸受構造。
  2. 前記可動材は、前記中心軸に対し、前記一対の環状の軸石と前記スラストボールによって位置決めされることを特徴とする請求項1記載の小型軸受構造。
  3. 前記スラストボールは、スラストバネによって前記予圧を与えられていることを特徴とする請求項1記載の小型軸受構造。
  4. 前記一対の環状の軸石は、内周がオリーブ構造であることを特徴とする請求項1記載の小型軸受構造。
  5. 前記スラストボールは、前記中心軸の中心あるいは前記中心軸の中心近傍で前記中心軸と接触することを特徴とする請求項1記載の小型軸受構造。
  6. 中央孔に一対の環状の軸石を固着した筒状ハウジングと、中央孔にスラストボールが嵌め込まれたスラスト板と、中心軸と、筐体と、を備える小型軸受構造の製造方法であって、
    前記スラスト板と前記筒状ハウジングとを固着して可動材を形成し、
    前記可動材を前記中心軸の自由端に嵌挿し、
    前記中心軸の他端を前記筐体に固定し、
    スラストバネを備えた受板を前記スラストボールに被せ、前記スラストボールを前記中心軸の自由端に押し付けるようにして前記受板を前記筐体に固定することを特徴とする小型軸受構造の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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