JP2004332364A - 木造建築物の耐力壁及び既存建築物の補強方法 - Google Patents
木造建築物の耐力壁及び既存建築物の補強方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004332364A JP2004332364A JP2003129234A JP2003129234A JP2004332364A JP 2004332364 A JP2004332364 A JP 2004332364A JP 2003129234 A JP2003129234 A JP 2003129234A JP 2003129234 A JP2003129234 A JP 2003129234A JP 2004332364 A JP2004332364 A JP 2004332364A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- bearing wall
- structural plate
- reinforcing
- load
- building
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Working Measures On Existing Buildindgs (AREA)
- Load-Bearing And Curtain Walls (AREA)
Abstract
【解決手段】柱1及び土台2、梁または胴差し3に深さ10mmの切込み(シャクリ)10をそれぞれ形成し、この切込み10内に合板製の構造用板材5を10mmの遊間12を設けて嵌め込み、構造用板材5の全周に釘を打ち込んで固定し、柱1、土台2、梁3と面一の耐力壁とする。遊間12が存在するため構造用板材5は、切込み10に拘束されず、急激な破壊に到らないので粘りのある構造物を得ることができる。添え柱、添え梁及び添え土台にこの耐力壁を形成することによって既存の建築物の補強にも応用することができる。構造用板材5が添え柱、添え梁及び添え土台と面一であるので、外側への張り出しを小さくすることができる。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐震性を高めた木造建築物の構造に関し、詳細には、構造用板材を構造部材として利用した耐力壁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
木造建築の在来工法において、特許文献1(特開平6−81411号公報)及び2(特開平9−195420号公報)に示されるように柱、梁及び土台に切込みを設け、切込み内に構造用板材を嵌め込んで固定し、耐力壁とすることがおこなわれている。
これは、図8に示すように柱1、土台2、梁または胴差し3に切込み(しゃくり)10を形成し、構造用板材5を切込みに嵌め込んで釘等で固定したものである。構造用板材5は切込み10に隙間なくピッタリと嵌め込んであり、柱等の枠材と強固に一体化してある。
【0003】
【特許文献1】
特開平6−81411号公報(図1、特許請求の範囲、詳細な説明段落7、14)
【特許文献2】
特開平9−195420号公報(要約、特許請求の範囲、図1、図2、詳細な説明段落3、5、9、10)
【特許文献3】
特許第3050536号(特許請求の範囲、図1)
【特許文献4】
特許第3124945号(特許請求の範囲、図1)
【0004】
【発明が解決すべき課題】
この切込みに構造用板材を隙間なく嵌め込んだ耐力壁では、構造用板材5が柱、土台、梁と強固に一体化されており、構造用板材5の強度を有効に活用することができ、耐力壁として有効ではあるが、剛性が大きく、水平方向の変形に対する余裕がなく、耐力壁の枠材である土台や梁が破壊して急激に潰れて構造物としての形状が保たれず崩壊する恐れがある。
本発明は、耐力壁が急激に破壊されるのを抑止して構造物に粘りを与え、耐力の限界に達しても、建築物としての形状が保持されるようにするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
このため、柱、土台、梁(胴差し)により構成される枠材に切込みを設けて切込み枠を形成し、この切込み枠に構造用板材を周縁に遊間を設けて嵌め込み、釘等の固定手段で固定するものである。
柱、土台、梁の枠材と構造用板材が一体となって耐力壁として機能し、限界を超える外力が作用した場合、切込みと構造用板材との間に遊間が存在するため、耐力壁が崩壊することなく枠が変形するので、急激に破壊するということがなく、粘りのある構造物とすることができる。
また、既存建築物の補強において、既存の柱、梁に切込みを設けた添え柱、及び添え梁を固定して切込み枠を形成し、構造用板材をこの切込み枠内に周縁に遊間を設けて固定することによって既存木造建築物を補強するものである。
【0006】
【実施例】
図1の正面図及び図2の断面図において、1は柱、2は土台、3は胴差しまたは梁、4は受枠材、5は構造用板材(構造用合板)、6は間柱である。
柱1、土台2、及び胴差し3には、図2の断面図及び図3の部分詳細図に示すように、深さ10mm、幅55mmの切込み(シャクリ)10がそれぞれ形成され、切込み10によって柱1、土台2、胴差し3で構成される枠の内側に切込み枠が形成される。切込み10の深さは、嵌め込む構造用板材5の厚さとほぼ等しいものとする。
【0007】
切込み10は、現場で形成するか、または、木材を柱、梁等に加工する際に同時に形成しておく。必要に応じて間柱6、受枠材4及び筋違い(図示しない)を取り付ける。間柱6及び受枠材4等は、切込み分だけ内側に取り付け、表面が切込み10の面と同一面になるようにする。柱1と土台2及び胴差し3との交点には枠の形状を保持するための補強金物25がビスで取り付けてある。
【0008】
厚さ9mmの構造用板材5を切込み10との間に10mmの遊間12をあけて設置し、釘51を50〜100mmの間隔で打ち込んで固定する。本実施例では、構造用板材5は、中央の間柱6及び受枠材4の位置で分割した4枚である。構造用板材5の厚さとほぼ等しい切込み10が柱1、土台2、及び胴差し(梁)3に設けてあるので、切込み10に設置された構造用板材5と柱1等の枠材は面一となり、建物の外側への張り出しを小さくすることができる。構造用板材5の外側には、下地を設けてサイディング、モルタル壁等の外装が施工される。
【0009】
遊間12の大きさは、耐力壁に水平変形が生じても、構造用板材5が切込み10に接触して変形が極度に抑制されることのないように定める必要があり、少なくとも5mmが必要である。
【0010】
遊間12が狭いと、切込み10に構造用板材5を隙間なくピッタリ嵌め込んで固定する従来技術と同様に、耐力壁が横からの力を受けて変形すると構造用板材5と柱1が接触して耐力壁の剛性が高まって粘りを失い、急激な崩壊をする。
遊間12を10mmとすることにより、傾き1/15radの変形の場合でも耐力壁はその形状を保持することができ、構造物が急激に崩壊することがなく、粘りのある構造物とすることができる。
【0011】
【実施例2】
既存建築物の補強に本発明の耐力壁を適用したものを図4〜図7に示す。
既存の柱1、土台2、及び胴差し3に各々切込み10を設けた添え柱11、添え土台21及び添え胴差し31を既存の建築物に長ビス52で固定して切込み枠を形成し、この切込み枠内に構造用板材5を周縁に遊間12を設けて釘51を50〜100mmの間隔で打設して固定する。
既存建築物の補強の場合、長ビス52を打ち込んで添え柱11等を既存の構造物に固定するため、図6に示すように、柱の幅(L)に切込み10を設けた残りの部分の幅(a)を少なくとも35mm程度確保して長ビスの保持力を損なわないようにする。遊間12の大きさは、添え柱11の大きさや切込み10を形成した残りの幅(a)を勘案して決めることができる。
【0012】
添え柱11等を既存建築物の上に固定したことにより、耐力壁が外側に張り出すが、構造用板材5を切込み10内に納めてあるので、従来の補強工法に比較して、構造用板材5の厚さ分だけ外壁の張り出しを押さえることができる。
【0013】
【発明の効果】
本発明の耐力壁は、遊間を設けて構造用板材を切込み枠内に固定するものであるので、木造建築物の軸組の歪みや変形を防止できると共に、切込み枠と構造用板材の間に遊間を設けることによって耐力壁に粘りが付与されており、急激に破壊して構造物が崩壊するという危険を避けることができる。
また、この耐力壁を既存の木造建築物の補強に応用することによって既存の建築物を補強することができ、かつ、従来の補強工法に比較して、外壁の張り出し量を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐力壁の正面図。
【図2】本発明の耐力壁の縦断面図。
【図3】耐力壁の角部の拡大詳細図。
【図4】既存建築物の補強に本発明の耐力壁を応用した斜視図。
【図5】既存建築物の補強に本発明の耐力壁を応用した縦断面図。
【図6】既存建築物の補強に本発明の耐力壁を応用した横断面図。
【図7】既存建築物の補強に本発明の耐力壁を応用した土台部分の拡大図。
【図8】従来の構造用板材を利用した耐力壁の斜視図。
【符号の説明】
1 柱
2 土台
3 胴差し(梁)
4 受枠材
5 構造用板材
6 間柱
Claims (4)
- 木造建築物の軸組を構成する柱、土台及び胴差しに切込みを設けて切込み枠を形成し、この切込み枠に構造用板材を周縁に遊間を設けて固定した耐力壁。
- 請求項1において、遊間が5mm以上である耐力壁。
- 既存の木造建築物に切込みを設けた添え柱、及び添え梁を固定して切込み枠を形成し、構造用板材をこの切込み内に周縁に遊間を設けて固定する既存建築物の補強方法。
- 請求項3において、遊間が5mm以上である既存建築物の補強方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003129234A JP4218754B2 (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 木造建築物の耐力壁及び既存建築物の補強方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003129234A JP4218754B2 (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 木造建築物の耐力壁及び既存建築物の補強方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004332364A true JP2004332364A (ja) | 2004-11-25 |
JP4218754B2 JP4218754B2 (ja) | 2009-02-04 |
Family
ID=33505143
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003129234A Expired - Fee Related JP4218754B2 (ja) | 2003-05-07 | 2003-05-07 | 木造建築物の耐力壁及び既存建築物の補強方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4218754B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011074645A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Asahi Tostem Gaiso Kk | 木造住宅の外壁構造、外壁工法、及び、既存外壁のリフォーム方法 |
JP2017110460A (ja) * | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 原田木材株式会社 | 耐力壁構造 |
-
2003
- 2003-05-07 JP JP2003129234A patent/JP4218754B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011074645A (ja) * | 2009-09-30 | 2011-04-14 | Asahi Tostem Gaiso Kk | 木造住宅の外壁構造、外壁工法、及び、既存外壁のリフォーム方法 |
JP2017110460A (ja) * | 2015-12-18 | 2017-06-22 | 原田木材株式会社 | 耐力壁構造 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4218754B2 (ja) | 2009-02-04 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP2004332364A (ja) | 木造建築物の耐力壁及び既存建築物の補強方法 | |
JPH11131590A (ja) | 筋かい固定金具および筋かい固定方法 | |
JP3088713B2 (ja) | コンクリート造建築物の型枠構造 | |
JP2609971B2 (ja) | コンクリート型枠パネルにおける桟木用固定枠 | |
JP3314055B2 (ja) | 建築物の補強金物 | |
JP4317773B2 (ja) | 既存外装壁の耐震改修構造 | |
JP2011231504A (ja) | 耐震用下地材及びこの耐震用下地材を用いた耐震壁構造 | |
JP6802086B2 (ja) | 耐力壁およびその施工方法 | |
JP6495500B1 (ja) | 長尺材端部のほぞ接合構造 | |
JP7041470B2 (ja) | 木造建築物の耐力壁構造およびその構築方法 | |
JP2003166512A (ja) | かすがい | |
JP2006144453A (ja) | 両引きプレート及びこれを用いた仕口装置 | |
JP3208110B2 (ja) | 床 柱 | |
JPH11100984A (ja) | 床と壁の連結構造及びその連結部材 | |
JP2022037772A (ja) | 耐力壁構造およびその利用 | |
JP2022064505A (ja) | 耐力壁 | |
JP2005248615A (ja) | 壁体の構造 | |
JP2004238912A (ja) | 軸組構造 | |
JP2004052523A (ja) | 木造建築物の補強装置(1)木板組 | |
JPH07173889A (ja) | 強固な木質パネルおよびその製造方法 | |
JP2009167712A (ja) | 筋かい固定金物および筋かいパネル | |
JPH07197565A (ja) | 壁パネルの取り付け方法 | |
JPH0932119A (ja) | 建物ユニット用補強材 | |
JP2001132107A (ja) | 内壁パネルの取付構造 | |
JP2002242346A (ja) | Alcパネルの取付金具 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20060309 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Effective date: 20060328 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060511 |
|
A02 | Decision of refusal |
Effective date: 20060718 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20060830 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080822 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20081104 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 3 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121 |
|
R150 | Certificate of patent (=grant) or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 3 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111121 |
|
FPAY | Renewal fee payment (prs date is renewal date of database) |
Year of fee payment: 4 Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121121 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |