JP2004332109A - ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置 - Google Patents

ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2004332109A
JP2004332109A JP2004114203A JP2004114203A JP2004332109A JP 2004332109 A JP2004332109 A JP 2004332109A JP 2004114203 A JP2004114203 A JP 2004114203A JP 2004114203 A JP2004114203 A JP 2004114203A JP 2004332109 A JP2004332109 A JP 2004332109A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
wire
stainless steel
wire mesh
mass
magnetic
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2004114203A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4307312B2 (ja
Inventor
Hideaki Tanigawa
谷川英昭
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
KANSAI KANAAMI KK
Original Assignee
KANSAI KANAAMI KK
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by KANSAI KANAAMI KK filed Critical KANSAI KANAAMI KK
Priority to JP2004114203A priority Critical patent/JP4307312B2/ja
Publication of JP2004332109A publication Critical patent/JP2004332109A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4307312B2 publication Critical patent/JP4307312B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Combined Means For Separation Of Solids (AREA)

Abstract

【課題】 磁気特性、強度、目開き精度、耐食性、耐摩耗特性に優れたふるい用の磁性金網と、金網ユニット及びふるい分け装置を提供する。
【解決手段】質量で、Ni:5〜8%,Cr:15〜20%を含み、かつC≦0.03%、Si:2.0%〜5.0%とする低C高Si系ステンレス鋼線で所定の目開きに製織してなるふるい用の磁性金網と、この金網を用いてなる金網ユニット及びふるい分け装置であって、より好ましくは、前記ステンレス鋼線を、C≦0.03%、Si:3.0〜4.5%、Mn:2.0〜2.5%、Ni:6.0〜7.0%、Cr:15.0〜17.0%と、さらにMo:0.3〜1.0%、Cu:0.8〜1.2%、Nb:0.1〜0.5%のいずれか1種以上を含んで、残部Fe及び不可避不純物からなる2相ステンレス鋼で構成してなる。
【選択図】 図1





Description

本発明は、ふるい用の磁性金網、及びこの磁性金網を用いてなる金網ユニット並びにふるい分け装置に関し、例えば医薬品や食品工業のような特に安全性を重要視される分野での粉粒体等の分級・分離に好適するものである。
従来から、粉体や粒体の分級、選別、分離、異物分離などのために種々のふるい用金網が利用され、被処理品の性状や特性、あるいは処理方法などによってその材質や織り方は任意に選択されている。このような金網用材料として、強度や耐食性などの観点から、例えばSUS304やSUS316材などのステンレス鋼線が用いられ、またこれを所定の目開きに製織加工する場合にも加工性に優れることから、今日の一般的な金網用材料として定着している。
ところで、このような金網でふるい分け操作を行なう場合、通常、分離効率を高める為に連続的に振動を与える。しかし、ふるい分け中の金網は、被処理粉粒体との摩擦により摩耗、あるいは繰返しの振動によって疲労し、さらに相当の負荷を受けることから、その一部が破断して処理済品(製品)中に混ざり込むことが指摘されており、特にこうした破断は、例えば線径0.5mm以下のような細線による金網で、かつ繰返し長時間の負荷が加わる場合に起こりやすく、また時として応力腐食などによることもある。
そして、一旦このような破断が発生すると、処理済の製品粉体中にその一部が混ざり込むととともに、それまで処理してきた全量の再処理が必要となり、生産性の面でその影響は非常に大きいものである。また、こうした異物混入の問題は、被処理品が例えば医薬品や食品など安全性を問われるものである場合には、製品の安全保証という面から絶対的な排除が求められ、はかり知れない大きな影響をもたらす。
そこで従来から、このようなトラブルを防止するために、例えば金網を構成する線材を磁性を有する磁性線材で構成し、万一、その一部が脱落して処理済製品中に混入しても、次工程での磁選機によって除去することが行なわれており、その為の材料として、例えば先行文献1(特開平10−130788号)では、C:0.01〜0.05%,Si:0.1〜1.5%,Mn:0.3〜1.0%,Ni:3〜8%,Cr:20〜30%,Mo:1.0〜6.0%、残り:Fe及び不可避不純物を含有する高耐食性ステンレス鋼線が提案されている。
また、同様に先行文献2(特開2002−120919号)ではコンベアベルトを対象として、次の2種類のステンレス鋼線の使用も提案されている。
A)Ni:2.5〜8%、Cr:18〜30%,Mo:3.5%以下、N:0〜0.2%を含み、且つCu,Ti,Nbの1又は2種以上を合計で0〜1%含有する2相ステンレス鋼。
B)Cr:17%以上、Mo:0〜3%,C≦0.02%、N≦0.02%,C+N≦0.05%を含み、且つCu,Ti,Nbの1又は2種以上を合計で0〜1%含有するフェライト系ステンレス鋼。
:特開平10−130788号 :特開2002−120919号
ところで、磁性金網に用いられるステンレス鋼線は、製織する際の作業性と網目品質の均一化を図る必要から、通常は固溶化熱処理を施して軟質仕上げされているが、前記文献1及び文献2−A)によるNi含有のステンレス鋼線では、Ni当量が約26%と大きいことから、所定の磁性を有しながらも高強度特性を持つことができず、その結果、網目が安定しにくく、また繰返し使用による網目の変化や疲労破壊などによる寿命低下、あるいは被処理粉体などとの摩擦により耐久性の面で十分ではなく、更なる改善が望まれている。
例えば前記各文献中に示されている強度として、前記Ni含有のステンレス鋼線ではいずれも約800〜900MPa程度とされ、他方の後者文献2−B)によるフェライト系ステンレス鋼線でも650MPa程度に留まるものである。したがって、このような低強度のステンレス鋼線による金網では、仮に所定の磁性の持つものであるとしても、線径の細い線材でなる金網製品では、被処理粉体の載荷によって線材には瞬間的な負荷が加わり、その結果、部分的な線材伸びによる歪みや緩みが生じるなど、網目の不均一をもたらすこととなる。さらに、このような負荷の繰返しや、処理促進の為の振動の付与による加工硬化は、やがて疲労破壊の原因となる。
また、このような金網製品では、前記摩耗を極力少なくすることが寿命の面で望まれるものの、これら従来の低強度のステンレス鋼線では耐摩耗性向上を期待することができず、この為、早期に交換したりあるいは太線径のものを用いるなど、対応として有効とは言い難い。
そこで、本発明者はこのような磁性金網に好適する磁性ステンレス鋼線として、線材のニッケル当量に着目し、かつオーステナイト相とフェライト相との2相組識からなる2相ステンレス鋼を得るにはけい素の増量を図ることが有効との結論に至った。
そこで前記の課題を解決する手段として、本願請求項1の発明は、質量で、Ni:5〜8%,Cr:15〜20%を含み、かつC≦0.03%、Si:2.0%〜5.0%とする低C高Siステンレス鋼線により、所定の目開きに製織されてなることを特徴とするふるい用磁性金網である。
請求項2に係わる発明は、前記ステンレス鋼線が、質量で、C≦0.03%、Si:3.0〜4.5%、Mn:2.0〜2.5%、Ni:6.0〜7.0%、Cr:15.0〜17.0%と、さらにMo:0.3〜1.0%、Cu:0.8〜1.2%、Nb:0.1〜0.5%のいずれか1種以上を含んで、残部Fe及び不可避不純物を含む2相ステンレス鋼で構成されてなる前記ふるい用磁性金網である。
また請求項3に係わる発明は、前記ステンレス鋼線の下記A式によるNi当量が20〜23%とするものであり、請求項4に係わる発明は、該ステンレス鋼線が引張強さ900〜1200MPa、伸び:35〜60%を有する磁性金網である。
(A)Ni当量=Ni+0.65Cr+0.98Mo+1.05Mn+0.35Si+12.6C
さらに請求項5に係わる発明は、前記いずれかの磁性金網が、剛性を持つ例えばリング状の枠部材に装着され、取り扱いやふるい装置への装着が容易な形態に組立てされてなる金網ユニットであり、また請求項6の発明は、前記金網ならびに金網ユニットの少なくとも一つが、振動機構を備えたふるい分け装置である。また、前記金網ユニットにおける枠部材の形状や構造、金網材料の取付方法などについては、特に規定するものではなく、従来から採用されている様々な形態を採用し得る。
本発明による磁性金網は、これを構成する線材として低Cかつ高Siのステンレス鋼が用いられており、この成分範囲にすることで軟質状態でありながらも、高強度で耐食性、及び優れた磁性特性を有するものとなり、万一その一部が被処理品中に混在しても磁気的選別を確実に行える。しかも、前記低C高Siステンレス鋼は高い硬度も有することから耐摩耗性にも優れている為、耐久性を高めて寿命アップのものとなり、各種形状や形態のふるい用などの金網材料として幅広い用途に用いることができる。
また、金網ユニット及びふるい分け装置についても、前記磁性金網を枠部材に張設して組立てしていることから、使用に伴う目開きの変化を抑え、緩み発生の軽減も可能となり、また繰返曲げ疲労にも優れることから疲労破壊などの問題も改善できる。したがって、本発明のふるい用磁性金網あるいはこれを用いてなるふるい分け装置においては、特に安全性が問われる医薬品業界や食品業界に対して好適するものである。
このように本発明のふるい用磁性金網は、これを構成する線材としてステンレス鋼線の中でも、少なくともNi:5〜8%とCr:15〜20%を基本組成とし、かつCを0.03%以下の低炭素でSiを2.0〜5.0%とする低C高Si系のステンレス鋼線を選定したことを特徴としている。このような高Siかつ低Cとすることで、軟質状態でありながらも高強度かつフェライトを安定化して磁性を高め、さらに耐食性を高めるものとしている。
より好ましい実施態様として、請求項2ではC≦0.03%、Si:3.0〜4.5%、Mn:2.0〜2.5%、Ni:6.0〜7.0%、Cr:15.0〜17.0%と、さらにMo:0.3〜1.0%、Cu:0.8〜1.2%、Nb:0.1〜0.5%のいずれか1種以上を含む2相ステンレス鋼線によるものとしており、これら材料成分の設定範囲とする理由は次による。
(C)炭素は、強力なオーステナイト生成で強度を増大させることができるが、炭化物などを生成して耐食性を低下させやすく、また多量に含有してオーステナイト状態のまま安定すると所定の磁性が得られにくくなって本願の目的が達成できない。したがって、その上限を0.03%とし、より好ましくは0.02%以下とする。
(Si)けい素は有効な脱酸剤で、しかも前記したように強力なフェライト生成元素であり、特に2.0%以上の添加によって強度、弾性限を増加し、また耐食性の改善に効果的であるが、5.0%を越える程多量に添加すると靭性を減少させる。したがって、本発明では2.0(好ましくは2.0を越え)〜5.0%とし、より好ましくは3.0〜4.5%、更に好ましくは3.2〜4.2%とする。
(Cr)クロムは、ステンレス鋼の基本成分で、耐食性、耐孔食性を高め、また磁性特性を向上する為のフェライトを安定させる為には少なくとも15%以上の添加が必要であるが、20%を越える程多量を添加すると硬度や引張強さを低下させることとなることからその範囲を15〜20%、より厳密に15.0〜20.0%とし、さらに好ましくは15.0〜17.0%とする。
(Ni)ニッケルも、オーステナイト安定化に寄与し耐食性を高めるものであり、例えば5%程度以上の添加が好ましいが、逆にNiは高価でまた添加量に伴って硬度や引張強さを低下させることからその範囲を5〜8%、より厳密には5.0〜8.0%とする。しかし一方でNiは靭性を向上させることもできることから、振動付与しながら使用されるふるい金網では6.0〜7.0%、更に好ましくは6.2〜6.8%の添加にすることが望ましい。
(Mn)マンガンも前記Siと同様に脱酸剤として用いられるものであって、オーステナイト鋼ではγを安定化して耐食性を高めたり変態点を下げる場合などに有効であり、好ましくは1.5〜3.0%(より好ましくは2.0〜2.5%)とする。
また本願発明では、前記各元素に加えて請求項2に示すMo,Cu,Nbなどの第三元素の少なくとも1種以上を含有することも好ましく、本発明の対象としている。これら第三元素は、いずれも磁性特性を高める為のフェライト生成元素や生地強化、耐食性などの目的で有効なものであるが、一方では材料のコストアップとなることから多量の添加は好ましくなく、合計で3.0%以下にするのがよい。なお、この中でCuは腐食電位を貴にして耐食性を増し孔食感受性も減少させることができることから、例えばCu:0.8〜1.5%にするのがよく、また例えば0.3〜1.0%程度(好ましくは0.5〜0.7%)のMoとの共存によってその効果はさらに顕著となる。またNbについても、フェライト生成元素として作用し、好ましくは0.05〜0.3%とするが、これら第三元素は、それぞれ単独にあるいは相互に組合せて用い得る。
本発明に係わる前記ステンレス鋼線は、このような組成を含み若干の不可避不純物(例えばP≦0.05,S≦0.03等)と残部実質的にFeで構成されるが、より好ましくは、例えば各元素のバランスとして前記Ni当量を23%以下(例えば20.0〜23.0%)とするのがよく、金属組織はオーステナイトとフェライトが混在する2相組織のものとなる。
このような2相ステンレス鋼とする為の具体的な操作要領については、例えば『ステンレス鋼便覧』p69〜71(昭和48年8月30日:日刊新聞社発行)にも説明されるように種々加工条件の調整で可能であり、またその確認は、例えば任意断面での顕微鏡観察や、フェライトインジケーター、X線解析装置などでの機器分析で可能である。特に本発明では、Siを前記のように2.0%以上にしていることから、2相組織が得られやすい利点がある。また、本発明では前記したようにSiを高くしている為、以下記載の熱処理によって線表面にシリカ系化合物を形成し、これが耐磨耗性を向上させる要因と考えられる。
金網は、このような組成のステンレス鋼線で構成し、また金網として所定の目開きを持たせる為に必要な細径化と熱処理によって仕上げられるものであるが、好ましくは引張強さ900〜1200MPaで伸び35〜60%、より好ましくは1000〜1100MPa、40〜50%の高強度高伸び特性となるよう前記加工条件が適宜調整される。例えば0.3mm程度のステンレス鋼線とするものでは、伸線加工率50%以上(好ましくは80〜98%)での冷間伸線後、800〜1100℃(好ましくは850〜950℃)で光輝熱処理仕上げするのがよい。
特に、このような高強度・高伸び特性を前記加工率と比較的低温での熱処理で得ることは、該ステンレス鋼線における磁性と加工硬化性を高めることとなり、例えば製織後の該ステンレス鋼線の波付け山部での硬度をHv:330以上(好ましくは330〜450)にできる利点もあり、したがって、高硬度化による使用時での耐摩耗性の向上と高磁性化での吸着性を高める上から好ましい。また、前記ステンレス鋼の前記伸線加工を例えばダイヤモンドダイスでの湿式伸線加工で行ったものでは、該鋼線の表面粗さを例えば0.8μm(表面粗さRz)以下の高精度表面にすることができ、製織時での線の滑りをよくして作業性を向上する。
なお、前記磁性については、例えばその切片に磁石を接近させた場合の着磁性の優劣で評価でき、また硬度(Hv)については、該鋼線の任意断面における数点の測定平均値で示される。
このように本発明による磁性金網は、高Siかつ低Cのステンレス鋼線によって構成し所定の目開きをもって製織してなるものであって、該ステンレス鋼線は十分な磁性を有しながらも高強度でしかも伸びが大きいことから、製織作業性とともに形成された目開き安定化を図ることができ、また機械的特性も優れることから摩耗や破断なども起こりにくく、万一使用中にその一部が欠損して混在してもその除去を可能にする。
なお、本発明では、処理される被処理粉体の形態や処理方法によって、前記金網は任意な織り構造や目開きに設定され、かつ織り構造についても、例えば平織り、綾織り、畳織り、むしろ織り、トリプル織りなどが採用されるが、前記平織り金網は、目開きの精度が高く、しかも縦・横線の双方が交互に組み合わされることから目ずれ現象が生じにくい。また、例えば耐摩耗性を更に高める為に、織り加工後に更に所定厚さに圧延することで、線同士の交差部を部分的に押圧偏平化させることで硬化されることも好ましい。この場合、本発明による前記ステンレス鋼線では加工硬化率が大きいことから、このような処理に適する。
次に金網ユニット、及びふるい分け装置について説明すれば、金網ユニット1は例えば図2に見られるように、前記所定の網目を持つふるい用金網2が枠部材3に張設され、容易に取り扱えるようにされたものである。枠部材3としては、例えば金属薄帯を断面U字状にして金網の端部を包み、さらに一面側に折り曲げることで剛性を持たせたもの、あるいは別製のリングと金網を溶接あるいは接着したものなどを含む他、通常のふるい網として広く用いられているように、金属板を丸めた筒体の底面に該金網を張設したものとしてもよい。
また、前記磁性金網2は1層だけの単層で用いても、また目開きや織り方の異なる複数枚を重ねて用いることで、特に細目の金網を粗目の金網で支持することで、網目の変形を抑制し、かつ負荷に耐えるようにするなど、分離効率や全体強度アップを図ることも好ましい。
次にふるい分け装置については、図4に示すように、所定の前記金網ユニット1が振動機構を持つ振動装置11に付設され、例えばモーター12の主軸回転に伴って金網ユニット1に振動を発生させるもので、振動は例えば別途超音波発生装置などを併用してもよい。この装置では、被処理粉体は同図の粉体供給口13に投入され、前記振動装置11で振動する金網ユニット1の網上で受けて連続的に下流側に移送されることとなり、その過程で該粉体は、網目を通過したふるい下粒子と網上に残った粗大粒子とに各々分離され、ふるい上排出口14とふるい下排出口15から各々排出される。
この場合、金網ユニット1は同図のように1枚だけで構成してもよいが、分離精度を高める為に、例えば網目の異なる2枚以上を所定間隔を設けて配置し、各網目毎に分級することもでき、さらに装置の形態についても、例えばディスク状の金網ユニットを用いる円形のふるい分け装置とすることもできる。
本発明の実施例に用いた磁性金網は、次の要領で得たものである。
ステンレス鋼線として表1に示す低C高Siステンレス鋼4種類を選定し、各々冷間伸線加工と熱処理加工を繰返しながら素線径0.5mmの軟質細線とし、更にこれをダイヤモンドダイスでの湿式スリップ型伸線機によって、加工率91%の伸線加工と温度880℃での熱処理加工を行った。この中で、実施例1、2は第三元素としてMo,Cuを複合添加し、低CでかつSiを3.5%にしたもの、実施例4はさらにNbを複合添加したものであり、また実施例3は第三元素としてMoを添加したものである。
得られたステンレス鋼線細線は、線径0.15mmで何れも引張強さ1070〜1090MPa、伸び39〜41%の高強度高伸び特性を持ち、また表面状態もRz:0.4〜0.6μm程度の高精度なものであった。このステンレス鋼線に磁石を近付けたところ十分な磁性を有していることが確認された。
一方、前記実施例に対する比較材として、前記先行特許文献1による高耐食性ステンレス鋼線と、従来から一般的に用いられてきたSUS430及びSUS304の各種ステンレス鋼線を選択し、同様にして得た各線材の特性結果を併せて表2に示す。
ここで、引張強さと伸び特性は、JIS−Z2241により細線が破断する際の応力と伸びから求め、また耐力については同チャートから読み取ったものである。また耐食性については、JIS−G0591「ステンレス鋼の5%硫酸腐食試験方法」により試験前後の腐食減量で示しており、表面粗さはJIS−B0601「表面粗さ」によるRz値で示している。これら各試験結果に見られるように、比較例Aは引張強さが高いものの伸びが少なく、織り加工が困難であると考えられる。一方、本発明に係わる各実施例の線材は比較例の線材に比して、磁性を有しながらも高い強度と伸びを両立するため、織り加工性に優れ、耐久性に富む材料であると言える。さらに耐食性についても大幅に向上していることがわかる。
次に、これら各細線の金網としての評価をする為に、実施例1、3の線材と比較例A〜Cにより各々60メッシュの平織り金網を製作して、織り加工性と、目開き精度、強度、摩耗特性、疲労特性、磁石吸着性等の各試験を行なった。その結果を表3に示す。
※1.目開き精度は、目開きの標準偏差を平均値で除した変動係数で示す。
※2.各試験値で2段表記は、緯方向試験/経方向試験での値である。
ここで、各試験の評価は以下方法で行った。
織り加工性は、前記各細線を各々経糸緯糸として織機にセットして幅1300mmで製織した時のトラブル回数、欠点数から総合評価したもので、実施例線材は平滑表面で滑り性がよいため、断線もなく円滑な織り作業ができた。
こうして得られた金網品質として、目開きのバラツキを図1にも併記しており、本発明の実施例品はバラツキが小さく、高精度であることが分かる。粉体製品の諸特性はその粒子径に強く依存するため、安定した品質を得るには、高精度のふるい分けが求められる。当然ながら、ふるい分けの精度は目開き精度に依存する。したがって、目開き精度に優れた本発明のふるい用金網は、粉体の製造プロセスにおいて品質向上の点で大きく貢献すると言える。
次に破断強度については、各金網を経緯各方向に各々20mm幅で切除した試料をインストロン社製引張試験機にセットして破断に要する荷重(幅1mm当たりに換算)で評価した。本発明による実施例品は、線材自体の強度が高いことから製織後の強度も高く、また伸び特性も各比較例よりも優れたものであった。
また摩耗特性は、各金網から採取した50mm角の試料をステンレス製の基板上にスポット溶接で固定し、これを振動研磨機(月島機械(株)製、FM3)のドラム内に研磨石(森田研磨材工業(株)製、MORP6×15とMT15×10を混合比1:3で60kg)と一緒に投入して、8時間の研磨加工を行なった後の試料の厚さをマイクロメーターで測定したものであり、試験前の厚さとの減少率で示している。したがって、減少率の少ないものほど耐摩耗性を有するものであり、本発明の実施例品は最も優れた結果となった。
さらに疲労特性については、図3に示すように前記と同様に採取した幅20mmの各試料Aの上端を固定チャックBに取付け、下端には約2kgの負荷を掛けて左右に繰返し約45゜可動させながら、試料Aが破断するまでの曲げ回数で評価したものである。試験は、経方向と緯方向の2種類について各10点行い、その平均回数を示している。
磁石吸着特性の試験では、各試料金網を5mm角に切除し(約17mg)、磁石(NEOMAX−48BH(住友特殊金属製))をゆっくりと近付けて行き、試験片が磁石に吸着した時の距離で評価しており、この試験では、実施例品は比較例A,Bにはやや及ばなかったものの、SUS304(比較例C)の約4倍の吸着性を有することが確認された。
また、線の硬度測定については、金網より切り出した波付け線の一部を樹脂に埋め込んで固定し、精密に研磨した断面の頂点付近、すなわち波付け加工の影響を受けた部分の数ケ所をマイクロビッカース硬度計(荷重300g)によって測定し、平均値として示したものである。
これら結果からも明らかなように、本発明の金網製品は他の2相系ステンレス鋼による金網(比較例A)に比して強度、耐食性、織り加工性に優れ、また高硬度でもあることから摩耗特性にも優れて好ましいものであった。また、比較例Bではクロム系であることから磁気特性には優れるものの、強度が不足して疲労や摩耗特性に劣り、また耐食性は非常に悪い結果となり、さらにSUS304による比較例Cでは、磁性がほとんどなく、着磁性の面から全くその目的を満たさないものとの結果が確認された。
そこでこの金網ユニットの寿命特性を見る為に、これを図4のふるい分け装置に取り付けて、食品用粉体のふるい分けを行った。その結果、3ケ月間の連続使用にも係わらず、摩耗や疲労破断はなく、寿命的にもSUS304より優れるという結果であった。
実施例による磁性金網の目開き分布を示すグラフ。 本発明の磁性金網を用いてなる金網ユニットの一例を示す斜視図。 疲労試験の方法を示す概要図。 ふるい分け装置の一例を示す概要図。
符号の説明
1 金網ユニット
2 磁性金網
3 枠部材

Claims (6)

  1. 質量で、Ni:5〜8%,Cr:15〜20%を含み、かつC≦0.03%、Si:2.0%〜5.0%とする低C高Si系ステンレス鋼線により、所定の目開きに製織されてなるふるい用磁性金網。
  2. 前記ステンレス鋼線は、質量で、C≦0.03%、Si:3.0〜4.5%、Mn:2.0〜2.5%、Ni:6.0〜7.0%、Cr:15.0〜17.0%と、さらにMo:0.3〜1.0%、Cu:0.8〜1.2%、Nb:0.1〜0.5%のいずれか1種以上を含んで、残部Fe及び不可避不純物からなる2相ステンレス鋼で構成されてなる請求項1記載のふるい用磁性金網。
  3. 前記ステンレス鋼線は、次式によるNi当量(A)が20〜23%である請求項1又は2に記載のふるい用磁性金網。
    (A)Ni当量=Ni+0.65Cr+0.98Mo+1.05Mn+0.35Si+12.6C
  4. 前記ステンレス鋼線は、引張強さ900〜1200MPa、伸び:35〜60%を有するものである請求項3に記載のふるい用磁性金網。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の前記磁性金網の外縁部が、枠部材に装着されてなる金網ユニット。
  6. 請求項1〜4のふるい用磁性金網、あるいは請求項5による金網ユニットの少なくとも一つが、振動装置に付設されてなるふるい分け装置。
JP2004114203A 2003-04-14 2004-04-08 ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置 Expired - Lifetime JP4307312B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2004114203A JP4307312B2 (ja) 2003-04-14 2004-04-08 ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置

Applications Claiming Priority (2)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003109115 2003-04-14
JP2004114203A JP4307312B2 (ja) 2003-04-14 2004-04-08 ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004332109A true JP2004332109A (ja) 2004-11-25
JP4307312B2 JP4307312B2 (ja) 2009-08-05

Family

ID=33513128

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2004114203A Expired - Lifetime JP4307312B2 (ja) 2003-04-14 2004-04-08 ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4307312B2 (ja)

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092116A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Nippon Seisen Co Ltd 強磁性網体
JP2014240058A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 日本金網商工株式会社 濾過用又は篩用の金網
JP2015218378A (ja) * 2014-05-20 2015-12-07 日本精線株式会社 磁気特性に優れた二相系のステンレス鋼線及びこれを用いた磁性金網製品
CN109791851A (zh) * 2016-10-07 2019-05-21 信越聚合物株式会社 接点部件、接点部件的制造方法以及具备接点部件的按钮开关用部件
JP2022042111A (ja) * 2020-09-02 2022-03-14 株式会社アライドマテリアル モリブデンメッシュ
WO2023120349A1 (ja) * 2021-12-22 2023-06-29 東亞合成株式会社 樹脂粉体又は無機粉体の製造方法及び製造装置

Cited By (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007092116A (ja) * 2005-09-28 2007-04-12 Nippon Seisen Co Ltd 強磁性網体
JP2014240058A (ja) * 2013-06-12 2014-12-25 日本金網商工株式会社 濾過用又は篩用の金網
JP2015218378A (ja) * 2014-05-20 2015-12-07 日本精線株式会社 磁気特性に優れた二相系のステンレス鋼線及びこれを用いた磁性金網製品
CN109791851A (zh) * 2016-10-07 2019-05-21 信越聚合物株式会社 接点部件、接点部件的制造方法以及具备接点部件的按钮开关用部件
JP2022042111A (ja) * 2020-09-02 2022-03-14 株式会社アライドマテリアル モリブデンメッシュ
JP7092835B2 (ja) 2020-09-02 2022-06-28 株式会社アライドマテリアル モリブデンメッシュ
WO2023120349A1 (ja) * 2021-12-22 2023-06-29 東亞合成株式会社 樹脂粉体又は無機粉体の製造方法及び製造装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP4307312B2 (ja) 2009-08-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP2226406B1 (en) Stainless austenitic low Ni alloy
CA2642764C (en) Stainless steel weld overlays with enhanced wear resistance
KR102465787B1 (ko) 초경합금 및 그의 제조 방법, 및 압연 롤
EP2439301A1 (en) High strength stainless steel pipe
JP2008127590A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼
CN111727267A (zh) 奥氏体耐磨钢板
EP3825432B1 (en) High-strength steel sheet and method for manufacturing same
JP5009517B2 (ja) 強磁性網体
JP2013234387A (ja) 高い耐摩耗性を持つ材料
JP6154780B2 (ja) 磁気特性に優れた二相系のステンレス鋼線及びこれを用いた磁性金網製品
TW500811B (en) Austenitic stainless steel excellent in fine blankability
JP2017101326A (ja) 磁気特性に優れた二相系のステンレス鋼線、及び篩用、ネットコンベア用又はフィルタ用の磁性金網製品
JP2004332109A (ja) ふるい用磁性金網、金網ユニット及びふるい分け装置
JP5155634B2 (ja) 耐水素性ばね用ステンレス鋼線及びそれを用いた耐水素性ばね製品
JP7131572B2 (ja) 超硬合金及び圧延用超硬合金製複合ロール
CN114729431B (zh) 不锈喷砂介质
JP5099978B2 (ja) 高強度細線及びその製造方法
EP2947199A1 (en) Rubber article reinforcing steel wire and rubber article using same
JP2016079482A (ja) 複相ステンレス鋼およびその製造方法
JP5766476B2 (ja) ショットピーニング投射材用粉末およびそのショットピーニング方法
EP3521476A1 (en) Austenitic heat-resistant alloy and welding joint using same
JP2003253399A (ja) 高強度ステンレス鋼極細線
JP2009228114A (ja) ステンレス鋼の高強度軟質細線
WO2020245285A1 (en) A martensitic stainless alloy
JP2021188081A (ja) オーステナイト系ステンレス鋼板及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20041213

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050225

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060320

RD02 Notification of acceptance of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422

Effective date: 20060320

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20060320

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070914

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080812

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20081009

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20090421

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20090428

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4307312

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120515

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130515

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140515

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

EXPY Cancellation because of completion of term